JP6248280B2 - 電動機およびこの電動機を備えた電気機器 - Google Patents

電動機およびこの電動機を備えた電気機器 Download PDF

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Description

本発明は、特に、軸受における電食の発生を抑制するように改良された電動機および、この電動機を備えた電気機器に関する。
近年、電動機の駆動方式は、パルス幅変調(Pulse Width Modulation)方式(以下、「PWM方式」という)を用いたインバータ駆動が多く採用される。PWM方式を用いたインバータ駆動の場合、巻線の中性点の電位は零とならない。従って、軸受の外輪と軸受の内輪との間には、電位差(以下、「軸電圧」という)が発生する。
軸電圧は、スイッチングによる高周波成分を含んでいる。軸電圧が軸受の内部に存在する油膜の絶縁破壊が生じる電圧に達すると、軸受の内部には微小な電流が流れる。この微小な電流が流れると、軸受の内部には電食が発生する。電食が進行した場合、軸受の内輪、軸受の外輪または軸受ボールには、波状の摩耗現象が発生する。波状の摩耗現象が発生すると、軸受から異常音が発生することがある。この異常音の発生が、電動機における不具合の主要因の1つとなっている。
また、電動機をPWM方式によってインバータ駆動する駆動回路に用いられる電源供給回路と、この電源供給回路を成す1次側回路と、この1次側回路を大地へ電気的に接続してアースを行う回路とは、それぞれ電気的に絶縁された構成である。それぞれ電気的に絶縁された構成である回路を、インバータ用電源回路という。なお、インバータ駆動する駆動回路は、制御回路なども含む。
従来から、電食の発生を抑制するために、以下のような対策が考えられている。
(1)軸受の内輪と軸受の外輪とを導通状態にする。
(2)軸受の内輪と軸受の外輪とを絶縁状態にする。
(3)軸電圧を低減する。
上記(1)を実現する具体的な方法としては、軸受に用いられる潤滑剤を、導電性を有する潤滑剤にすることが挙げられる。但し、導電性を有する潤滑剤は、時間が経過すれば導電性が悪化する、あるいは、摺り合わせて動くことの信頼性に欠ける、などの課題がある。
上記(1)を実現する他の具体的な方法としては、回転軸にブラシを設置して、導通状態にする方法も考えられる。この方法は、ブラシの摩耗粉が生じる、あるいは、ブラシを設置するスペースが必要となる、などの課題がある。
上記(2)を実現する具体的方法としては、軸受の内部に位置する鉄ボールを、非導電性のセラミックボールに変更することが挙げられる。この方法は、電食の発生を抑制する効果は非常に高い。しかしながら、この方法はコストが高いという課題があるため、汎用的な電動機には採用できない。
上記(3)を実現する具体的方法としては、特開2007−159302号公報のような従来の方法が知られている。すなわち、固定子鉄心と、導電性を有する金属製のブラケットと、が電気的に短絡される。固定子鉄心と金属性のブラケットとが電気的に短絡されると、静電容量が変化するため、軸電圧を低減できる。
また、特開2004−229429号公報のような従来の方法もある。この従来の方法は、電動機が備える軸受における電食の発生を抑制する。従来の方法として、電動機の固定子鉄心などが、アースとして大地へ電気的に接続される構成が開示されている。
さらに、特開2010−158152号公報のような従来の方法もある。この従来の方法は、回転体に誘電体層が設けられる。回転体に誘電体層が設けられると、静電容量が変化するため、軸電圧を低減できる。
特開2007−159302号公報 特開2004−229429号公報 特開2010−158152号公報
しかしながら、特開2007−159302号公報のような従来の方法は、固定子鉄心と金属性のブラケットとを電気的に短絡させるものである。この方法では、静電容量の調整が不可能である。しかも、回転子に用いられる磁石の材質や、回転子の構造によっては、軸電圧が高くなるという課題があった。
また、特開2004−229429号公報のような従来の方法は、静電容量を高くするものである。この方法において、軸受の内輪と軸受の外輪との間は、常に電位が高い状態で静電容量のバランスが保たれる必要がある。本構成では、次のことが考えられる。すなわち、電動機が使用される環境や、固定子と回転子とを組み立てる際の精度バラツキなどに起因して、静電容量のバランスが崩れることがある。このような場合、逆に、軸電圧が高くなり、電食が発生しやすくなるという課題があった。
本発明の電動機は、上記課題に鑑みてなされたものであり、軸受における電食の発生を抑制した電動機、および、この電動機を備えた電気機器を提供することを目的とする。
本発明の電動機は、固定子と、回転子と、一対の軸受と、一対のブラケットと、導通材料と、を備える。固定子は、巻線と、巻線を巻装する固定子鉄心と、を有する。回転子は、固定子に対向して周方向に永久磁石を含む回転体と、回転体の軸心を貫通して回転体に固定されるシャフトと、を有する。一対の軸受は、シャフトを支持する。一対のブラケットは、軸受を固定するとともに導電性を有する。導通材料は、一対のブラケットを電気的に接続する。導電材料は、金属線と、金属線を被覆する絶縁材料と、を有するリード線で構成される。
静電容量Aを、シャフトと、回転体の軸心に対して最外周となる最外周面との間に生じる静電容量とする。静電容量Bを、固定子鉄心と導通材料との間に生じる静電容量とする。測定周波数10kHzのときに、静電容量Aと静電容量Bとの関係は、0.50A≦B≦3.08Aである。
また本発明の電気機器は、上記した電動機と、この電動機を駆動する駆動部と、を備える。
本発明の電動機は、軸受における電食の発生が抑制される。また本発明は軸受における
電食の発生が抑制された電動機を備えた電気機器を提供できる。
本発明の実施の形態1における電動機の断面と拡大した要部とを示す構造図 同実施の形態1における電動機に用いられる回転体の斜視構成図 同実施の形態1における電動機に用いられる他の回転体の斜視構成図 同実施の形態1における電動機に用いられるさらに他の回転体の斜視構成図 同実施の形態1における電動機に用いられる回転体が有する静電容量の測定方法を示す説明図 同実施の形態1における電動機を構成する固定子組立品の断面を示す構成図 同実施の形態1における電動機を構成する固定子組立品が有する静電容量の測定方法を示す説明図 同実施の形態1における電動機が有する軸電圧の測定方法を示す説明図 同実施の形態1における電動機が有する他の軸電圧の測定方法を示す説明図 同実施の形態1における電動機にて測定された電圧波形の一例である完全波形崩れを示す波形図 同実施の形態1における電動機にて測定された電圧波形の一例である一部波形崩れを示す波形図 同実施の形態1における電動機にて測定された電圧波形の一例である波形崩れなしを示す波形図 図10から図12で示した電圧波形と比較する比較例を示す波形図 同実施の形態1における実施例1の評価結果を示す比較図 本発明の実施の形態2における電動機を用いた電気機器であるエアコンの室内機の構造図 本発明の実施の形態3における電動機を用いた電気機器であるエアコンの室外機の構造図 本発明の実施の形態4における電動機を用いた電気機器である給湯機の構造図 本発明の実施の形態5における電動機を用いた電気機器である空気清浄機の構造図
本発明は、後述する実施の形態における電動機において、軸受における電食の発生が抑制される。また本発明は、後述する、軸受における電食の発生が抑制された電動機を備えた電気機器を提供できる。
まず、従来の電動機には、次の注意すべき点がある。すなわち、上述したインバータ用電源回路は、駆動回路に用いられる電源供給回路と、この電源供給回路を成す1次側回路と、この1次側回路を大地へ電気的に接続してアースを行う回路とは、それぞれ電気的に絶縁されている。従って、このインバータ用電源回路と、電動機が備える固定子鉄心などを大地に対して電気的に接続してアースを行う構成と、を併せて採用することは、電動機の仕様や、電動機の特性に注目した場合、新たな課題が生じるものと考えられる。
以下、特に顕著な効果を発揮する本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電動機の断面と拡大した要部とを示す構造図である。図2は、同実施の形態1における電動機に用いられる回転体の斜視構成図である。
本実施の形態では、電気機器であるエアコンに搭載される電動機を例示して、説明する。この電動機は、送風ファンを駆動するブラシレスモータである。この電動機は、インナロータ型の電動機である。インナロータ型の電動機は、回転子が固定子の内周側に、回転自在に配置される。
図1に示すように、本発明の実施の形態1における電動機であるブラシレスモータ100は、固定子10と、回転子14と、一対の軸受15a、15bと、一対のブラケット17、19と、導通材料であるリード線22と、を備える。
固定子10は、巻線である固定子巻線12と、固定子巻線12を巻装する固定子鉄心11と、を有する。回転子14は、回転体30と、シャフト16と、を有する。回転体30は、固定子10に対向して周方向に永久磁石であるフェライト樹脂磁石32を含む。シャフト16は、回転体30の軸心を貫通して回転体30に固定される。一対の軸受15a、15bは、シャフト16を支持する。一対のブラケット17、19には、一対の軸受15a、15bが固定される。一対のブラケット17、19は、導電性を有する。導通材料であるリード線22は、一対のブラケット17、19を電気的に接続する。
図2に示すように、静電容量Aは、シャフト16と、回転体30の軸心に対して最外周となる最外周面32aとの間に生じる静電容量である。図1に示すように、静電容量Bは、固定子鉄心11と導通材料であるリード線22との間に生じる静電容量である。測定する周波数が10kHzのときに、静電容量Aと静電容量Bとの関係は、0.50A≦B≦3.08Aである。
測定する周波数が10kHzのときに、より好ましい静電容量Aと静電容量Bとの関係は、0.62A≦B≦2.07Aである。
このような構成とすれば、高周波における軸受15a、15bの内輪側と軸受15a、15bの外輪側との電位が、等しくなるようにバランスをとることができる。よって、ブラシレスモータ100が使用される環境などに影響されることなく、軸電圧を抑制できる。
なお、測定する周波数は10kHzが好ましい。その理由は、近年のPWM方式を用いたインバータで駆動されるブラシレスモータ100は、駆動周波数が、概ね10kHzだからである。
静電容量Bが静電容量Aの3.08倍より大きくなった場合、軸電圧が大きくなり、軸受15a、15bの内部に存在する油膜の絶縁破壊が発生する。また、静電容量Bが静電容量Aの0.5倍より小さくなった場合でも、軸電圧が大きくなり、軸受15a、15bの内部に存在する油膜の絶縁破壊が発生する。
さらに好ましい範囲は、静電容量Bが、静電容量Aの0.62倍以上であり、かつ、静電容量Aの2.07倍以下となる範囲である。静電容量Bがこの範囲内であれば、軸受15a、15bの内部に存在する油膜の絶縁破壊が発生することがない。また、軸電圧の電圧波形が、崩れることを防止できる。
また、本発明の実施の形態1における電動機であるブラシレスモータ100に用いられる導通材料は、金属線22dと、金属線22dを絶縁材料である被膜22cで被覆するリード線22とする構成である。このような構成とすれば、高周波における軸受15a、15bの外輪側の電位が、リード線22の被膜22cを成す材質や、リード線22の被膜22cの厚みを調整することによって、容易に調整できる。なお、リード線22以外に用い
られる導通材料としては、導電性テープや金属板等がある。
さらに、図1を用いて、詳細に説明する。図1に示すように、固定子鉄心11には、固定子巻線12が巻装される。固定子鉄心11は、固定子鉄心11と固定子巻線12との間を絶縁するインシュレータである樹脂21を有する。固定子鉄心11は、他に固定される部材とともに、モールド材である絶縁樹脂13によってモールド成形される。これらの部材は、絶縁樹脂13によって一体に成形される。この結果、外形が概ね円筒形状をなす固定子10が構成される。
固定子10の内側には、空隙を介して回転子14が挿入される。図2に示すように、回転子14は、回転体30と、シャフト16とを有する。回転体30は、回転子鉄心31を含む円板状である。シャフト16は、回転体30の軸心を貫通して回転体30に固定される。回転体30は、固定子10の内周側に対向して周方向に永久磁石であるフェライト樹脂磁石32を含む。
最外周部のフェライト樹脂磁石32から内周側のシャフト16に向かって、回転体30は、外側鉄心31a、誘電体層50、内側鉄心31bの順に配置される。外側鉄心31aは、回転子鉄心31の外周部を構成する。内側鉄心31bは、回転子鉄心31の内周部を構成する。つまり、本実施の形態1における回転体30は、回転子鉄心31と、誘電体層50と、フェライト樹脂磁石32とが一体に成形される。このように、固定子10の内周側と回転体30の外周側とは、対向して配置される。
図1に示すように、回転子14のシャフト16には、シャフト16を支持する2つの軸受15a、15bが取り付けられる。軸受15a、15bは、複数の鉄ボールを有する円筒形状のベアリングである。軸受15a、15bの内輪側は、シャフト16に固定される。シャフト16がブラシレスモータ本体から突出する側を出力軸側とし、その反対側を反出力軸側とする。図1において、出力軸側は、左側を示し、反出力軸側は、右側を示す。シャフト16は、出力軸側を軸受15aによって支持され、反出力軸側を軸受15bによって支持される。
金属性のブラケット17、19は、それぞれが導電性を有する。軸受15a、15bの外輪側は、金属製のブラケット17、19に固定される。図1において、出力軸側の軸受15aはブラケット17によって固定され、反出力軸側の軸受15bがブラケット19によって固定される。本構成によって、シャフト16が2つの軸受15a,15bに支持されるため、回転子14は回転自在になる。
ブラシレスモータ100には、プリント基板18が内蔵される。プリント基板18には、制御回路を含む駆動回路が実装される。プリント基板18がブラケット19内に内蔵された後、ブラケット17が固定子10に圧入される。このようにして、ブラシレスモータ100が形成される。
プリント基板18には、接続線20が接続される。接続線20は、プリント基板18へ、固定子巻線の電源電圧Vdc、制御回路の電源電圧Vccおよび回転数を制御する制御電圧Vspを印加するリード線を含む。接続線20は、制御回路のグランド線なども含む。
駆動回路が実装されたプリント基板18上のゼロ電位点部は、大地のアースおよび1次側(電源)回路と、それぞれ絶縁される。ゼロ電位点部は、大地のアースおよび1次側(電源)回路の電位に対して、フローティングされた状態となる。ゼロ電位点部とは、プリント基板18上において、基準電位となる0ボルト電位の配線である。通常、ゼロ電位点
部は、グランドと呼ばれるグランド配線を示す。接続線20に含まれるグランド線は、このゼロ電位点部、すなわちグランド配線に接続される。
換言すれば、プリント基板18には、駆動回路が実装される。プリント基板18と接続される固定子巻線12の電源電圧を供給する電源回路と、制御回路の電源電圧を供給する電源回路と、制御電圧を印加するリード線および制御回路のグランド線などを、電源供給回路という。
固定子巻線12の電源電圧を供給する電源回路に対する1次側(電源)回路と、制御回路の電源電圧を供給する電源回路に対する1次側(電源)回路とを、1次側回路という。1次側回路を大地へ電気的に接続してアースを行う回路と、この回路とは独立して接地された大地へアースを行う回路とを、アース回路という。電源供給回路と、1次側回路と、アース回路とは、それぞれ電気的に絶縁される。
つまり、プリント基板18に実装された駆動回路は、1次側回路の電位および大地のアースの電位に対して、それぞれ電気的に絶縁された状態である。よって、電位は浮いた状態となる。この状態は、電位がフローティングされた状態とも表現され、よく知られている。また、プリント基板18に接続される固定子巻線12の電源電圧を供給する電源回路および制御回路の電源電圧を供給する電源回路は、フローティング電源とも呼称され、これもよく知られている。
以上のような構成におけるブラシレスモータ100に対して、接続線20を介して電源電圧および制御信号が、それぞれ供給される。供給された、それぞれの電源電圧および制御信号に基いて、固定子巻線12へ供給される駆動電流が、プリント基板18上に実装された駆動回路によって生成される。固定子巻線12へ駆動電流が流されると、固定子鉄心11から磁界が発生する。固定子鉄心11から生じた磁界とフェライト樹脂磁石32から生じた磁界は、これら磁界の極性に応じた吸引力および反発力を発生する。これらの吸引力および反発力によって、回転子14はシャフト16を中心に回転する。
また、予め、ブラケット19には、導通材料であるリード線22が電気的に接続される。すなわち、図1において、要部を拡大して示したように、ブラケット19のつば部19aには、リード線22の一方の先端部22aが接続される。リード線22は、絶縁樹脂13の内部に配置される。リード線22は、ブラケット19と同様に、絶縁樹脂13と一体に成形される。
リード線22が、ブラシレスモータ100の内部となる絶縁樹脂13の内部に配置される。本構成とすれば、ブラシレスモータ100の外部から、リード線22に力が加えられることを予防できる。本構成とすれば、ブラシレスモータ100を使用する環境やブラシレスモータ100の外部から与えられる応力などに対して、信頼性が高い電気的接続を得ることができる。
つまり、本発明の実施の形態1における電動機であるブラシレスモータ100は、一対のブラケット17、19の少なくとも一方と、固定子鉄心11とは、絶縁樹脂13によって一体成形される。
このような構成とすれば、導電性を有する2つのブラケット17,19をブラシレスモータ100の内部にて、接続ピンや導通ピン23などを介して電気的に接続できる。よって、本構成とすることにより、ブラシレスモータ100が使用される環境や、ブラシレスモータ100の外部から与えられる応力などに対して、信頼性が高い電気的接続を得ることができる。
また、リード線22と固定子鉄心11とを密着させることによって、リード線22と固定子鉄心11との間で生じる静電容量を安定させることができる。しかも、リード線22に用いられる被膜22cの材質と被膜22cの厚みで、静電容量を容易に調整できる。
これに対して、リード線22が、ブラシレスモータ100の外側に設置された場合、ブラシレスモータ100の外部から受けた力によって、リード線22が動くことがある。リード線22が動くと、リード線22と固定子鉄心11との間で生じる静電容量が変化する。静電容量に変化が生じることは、好ましくない。
つまり、本発明の実施の形態1におけるブラシレスモータ100に用いられる導通材料であるリード線22は、固定子鉄心11と接触するとともに、絶縁樹脂13によって一体成形される。
このような構成とすれば、リード線22と固定子鉄心11とを密着することによって、固定子鉄心11とリード線22との間の静電容量を安定させることができる。しかも、リード線22に用いられる被膜22cの材質と被膜22cの厚みで、容易に静電容量を調整できる。
図1に示すように、絶縁樹脂13の内部において、リード線22は、つば部19aからシャフト16の軸心と直交する方向であって、ブラシレスモータ100の側面100aが位置する方向へと引き回される。ブラシレスモータの側面100a近辺まで引き回されたリード線22は、シャフト16の軸心方向に沿って、さらに出力軸側へと引き回される。要部を拡大して示したように、絶縁樹脂13の出力軸側の端面から、リード線22の他方の先端部22bが露出する。先端部22bには、リード線22をブラケット17に電気的に接続するための導通ピン23が、接続される。
本構成によって、ブラケット17が固定子10に圧入されたとき、導通ピン23はブラケット17に接触する。このようにして、導通ピン23とブラケット17とは、電気的な接続が確保される。
本構成において、2つのブラケット17、19と固定子鉄心11とは、絶縁樹脂13によって、絶縁された状態が維持される。しかも、ブラケット17とブラケット19という、2つのブラケットは、導通ピン23を介して電気的に接続される。
本実施の形態において、導通材料であるリード線22には、公称断面積0.5mm2で、被膜22cの厚さ0.3mmの架橋ポリエチレン電線が使用される。リード線22は、固定子鉄心11と接触させられて、絶縁樹脂13によって一体に成形される。
図2に示すように、回転体30は、誘電体層50として、ガラス繊維を20%含むポリブチレンテレフタレート(Poly Butylene Terephtalate、以下「PBT」という)樹脂が使用される。回転体30は、誘電体層50をなすPBT樹脂の厚さが、軸心の半径方向において2.5mmである。この誘電体層50が使用された回転体30を用いれば、つぎの関係を得ることができる。
すなわち、静電容量Aは、シャフト16と、回転体30の軸心に対して最外周となる最外周面32aとの間に生じる静電容量である。静電容量Bは、固定子鉄心11と導通材料であるリード線22との間に生じる静電容量である。
測定する周波数が10kHzのときに、静電容量Aと静電容量Bとの関係は、0.50
A≦B≦3.08Aである。
測定する周波数が10kHzのときに、より好ましい静電容量Aと静電容量Bとの関係は、0.62A≦B≦2.07Aである。
これらの関係を得ることによって、ブラケット17とブラケット19の両ブラケットが同電位となる。ブラケット17とブラケット19とを同電位として、電位のアンバランスを抑制し、軸電圧を小さくする。よって、軸受15a、15bの内部に存在する油膜の絶縁破壊を防止する。
また、誘電体層50の厚みや材料を変えることによって、静電容量は調整される。具体例として、誘電体層50を形成する絶縁樹脂の誘電率が調整される。誘電体層50を形成する絶縁樹脂の厚さ、つまり、電極間距離が調整される。あるいは、誘電体層50を形成する絶縁樹脂の電極面積が調整される。従って、誘電体層50によって、静電容量は容易に調整される。
つまり、本発明の実施の形態におけるブラシレスモータ100に用いられる回転体30は、シャフト16と、回転体30の軸心方向に沿って回転体30の外周となる外周面を有する外周部51と、の間に、誘電体層50を備える構成である。
このような構成とすれば、高周波において、軸受15a、15bの内輪側の電位を、誘電体層50を成す材質や、誘電体層50の厚みを調整することによって、静電容量は容易に調整される。
以下、本発明の実施の形態1について、実施例を示して、より具体的に説明する。なお、本発明の実施の形態1は、以下の実施例に限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない限りにおいて、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
本発明の実施の形態1において、その具体例である実施例1について、図面を用いて説明する。
図2は、同実施の形態1における電動機に用いられる回転体の斜視構成図である。図2に示すように、回転体30は、シャフト16と、回転体30の軸心方向に沿って回転体30の外周となる最外周面32aを有する外周部51と、の間に、誘電体層50を備える。
本実施例1における回転体30は、シャフト16の軸心方向に沿って、シャフト16の周囲に回転子鉄心31が固定される。シャフト16は、回転子鉄心31の軸心を貫通しているため、シャフト16の軸心と回転体30の軸心とは同一である。回転子鉄心31は、シャフト16の軸心方向に沿って、外周に外周部51を有する。
つまり、回転体30は、回転体30の軸心方向に沿って、回転子鉄心31の外周部51としてフェライト樹脂磁石32が備えられる。回転子鉄心31は、シャフト16と固定される内側鉄心31bと、外周部51と接する外側鉄心31aとの間に、誘電体層50を備える。誘電体層50には、ガラス繊維を20%含むPBT樹脂が用いられる。PBT樹脂は、ラジアル方向の厚さが2.5mmである。
本構成の回転体30を作成して、シャフト16と回転体30の最外周面32aとの間に生じる静電容量Aが、6.5pFとなる回転体の試料A1を得た。
次に、図3に示すように、本実施例1における他の回転体30は、シャフト16の軸心方向に沿って、直接、シャフト16の周囲にフェライト樹脂磁石32が固定される。本構成の回転体30を作成して、シャフト16と回転体30の最外周面32aとの間に生じる静電容量Aが、15pFとなる回転体の試料A2を得た。
次に、図4に示すように、本実施例1におけるさらに他の回転体30は、シャフト16の軸心方向に沿って、シャフト16の周囲に回転子鉄心31が固定される。回転子鉄心31は、シャフト16の軸心方向に沿って、外周に外周部51を有する。つまり、回転体30は、回転体30の軸心方向に沿って、回転子鉄心31の外周部51としてフェライト樹脂磁石32が備えられる。
回転体30を構成する各要素の寸法は、つぎのとおりである。まず、回転子鉄心31の直径は、25mmである。回転子鉄心31の外周に備えられる外周部51であるフェライト樹脂磁石32において、ラジアル方向の肉厚は、12.5mmである。これらの回転子鉄心31とフェライト樹脂磁石32とを組み合わせて、直径50mmの回転体30を作成する。
本構成の回転体30を作成して、シャフト16と回転体30の最外周面32aとの間に生じる静電容量Aが、32pFとなる回転体の試料A3を得た。
また、試料A3とは異なる寸法比で、試料A4を作成する。試料A4において、回転子鉄心31の直径は、36mmである。回転子鉄心31の外周に備えられる外周部51であるフェライト樹脂磁石32において、ラジアル方向の肉厚は、7mmである。これらの回転子鉄心31とフェライト樹脂磁石32とを組み合わせて、直径50mmの回転体30を作成する。
本構成の回転体30を作成して、シャフト16と回転体30の最外周面32aとの間に生じる静電容量Aが、40pFとなる回転体の試料A4を得た。
試料A3、A4には、ナイロン系フェライト樹脂磁石が用いられる。試料A3、A4に含まれるフェライト磁石粉末は、約88〜92wt%である。
次に、試料A1から試料A4に生じた静電容量を測定する方法について、説明する。図5に示すように、試料A1から試料A4に生じた静電容量の測定は、LCRメータ(LCR Meter)60を用いて行う。LCRメータ60は、株式会社エヌエフ回路設計ブロック製のLCRメータ、ZM2353とケルビンクリップテストリード(Kelvin
clip test leads)、2325Aを用いる。LCRメータ60を用いて静電容量を測定する際、回転体30の最外周面32aには、銅箔61が貼り付けられる。
シャフト16は、木製板の上に固定される。木製板は、厚さ20mmである。各試料について、銅箔61とシャフト16との間に生じた静電容量を、LCRメータ60を用いて測定する。静電容量を測定するときの測定条件は、つぎのとおりである。測定する周波数は10kHzである。測定する温度は20℃である。電圧レベルは1Vである。
次に、本実施例1において、試料A1から試料A4と組み合わせる固定子組立品について、説明する。固定子組立品は、静電容量Bを有する。固定子組立品は、後述する試料B1から試料B4を作成する。
図6に示すように、導通材料は、金属線と、金属線を絶縁材料である被膜で被覆するリード線22である。固定子組立品52において、導通材料であるリード線22は、固定子
鉄心11と接触する。導通材料であるリード線22は、絶縁樹脂13によって、固定子鉄心11と一体に形成される。
以下、具体例について、説明する。本実施例1において、試料B1となる固定子組立品52には、導通材料であるリード線22として、架橋ポリエチレン電線が用いられる。架橋ポリエチレン電線は、公称の断面積が0.5mm2の金属線22dと、金属線22dを被覆する被膜22cの厚さが0.15mmの絶縁材料とを有する。リード線22は、固定子鉄心11と接触する。リード線22は、絶縁樹脂13によって、固定子鉄心11と一体に成形される。
本構成の固定子組立品52を作成して、固定子鉄心11と導通材料であるリード線22との間に生じる静電容量Bが、4pFとなる固定子組立品の試料B1を得た。
次に、本実施例1において、試料B2となる固定子組立品52には、導通材料であるリード線22として、架橋ポリエチレン電線が用いられる。架橋ポリエチレン電線は、公称の断面積が0.5mm2の金属線22dと、金属線22dを被覆する被膜22cの厚さが0.3mmの絶縁材料とを有する。リード線22は、固定子鉄心11と接触する。リード線22は、絶縁樹脂13によって、固定子鉄心11と一体に成形される。
本構成の固定子組立品52を作成して、固定子鉄心11と導通材料であるリード線22との間に生じる静電容量Bが、13pFとなる固定子組立品の試料B2を得た。
次に、本実施例1において、試料B3となる固定子組立品52を作成する。試料B3は、固定子巻線12が巻装される固定子鉄心11を絶縁樹脂13で一体に成形した後、絶縁樹脂13の外周面に沿って、リード線22が備えられる。
導通材料であるリード線22として、架橋ポリエチレン電線が用いられる。架橋ポリエチレン電線は、公称の断面積が0.5mm2の金属線22dと、金属線22dを被覆する被膜22cの厚さが0.15mmの絶縁材料とを有する。
本構成の固定子組立品52を作成して、固定子鉄心11と導通材料であるリード線22との間に生じる静電容量Bが、20pFとなる固定子組立品の試料B3を得た。
同様に、本実施例1において、試料B4となる固定子組立品52を作成する。試料B4は、固定子巻線12が巻装される固定子鉄心11を絶縁樹脂13で一体に成形した後、絶縁樹脂13の外周面に沿って、リード線22が備えられる。
導通材料であるリード線22として、架橋ポリエチレン電線が用いられる。架橋ポリエチレン電線は、公称の断面積が0.5mm2の金属線22dと、金属線22dを被覆する被膜22cの厚さが0.3mmの絶縁材料とを有する。絶縁材料は、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル成形材料(Bulk Molding Compound、以下「BMC」という)が用いられる。
本構成の固定子組立品52を作成して、固定子鉄心11と導通材料であるリード線22との間に生じる静電容量Bが、31pFとなる固定子組立品の試料B4を得た。
次に、試料B1から試料B4に生じた静電容量を測定する方法について、説明する。図7に示すように、試料B1から試料B4に生じた静電容量の測定は、LCRメータ60を用いて行う。静電容量を測定する際、電動機であるブラシレスモータから固定子が取り出される。固定子が取り出されるブラシレスモータでは、電気的に接続された2つのブラケ
ット17、19を、リード線22によって固定子鉄心11に取り付け直した状態とすることで、固定子組立品52が構成される。
静電容量を測定するときの測定条件は、つぎのとおりである。測定する周波数は10kHzである。測定する温度は20℃である。電圧レベルは1Vである。静電容量を測定する際、固定子鉄心接続金属62とリード線22とを十分に離して、測定結果に影響が及ばないようにする。
また、静電容量の測定は図6に示すように、電動機であるブラシレスモータから回転子を取り出し、導通材料であるリード線22が電気的に接続された2つのブラケット17、19を固定子10に取り付け直した状態の固定子組立品52を用いる。固定子鉄心11と電気的に接続された静電容量測定用の固定子鉄心接続金属62と、ブラケットとの間の静電容量を、LCRメータ60を用いて測定する。静電容量を測定するときの測定条件は、つぎのとおりである。測定する周波数は10kHzである。測定する温度は20℃である。電圧レベルは1Vである。
上述した回転体の試料A1からA4と、固定子組立品の試料B1からB4とを組み合わせて、ブラシレスモータを作成する。作成される、さまざまな静電容量を有するブラシレスモータを用いて、軸電圧が測定される。軸受は、ミネベア社製、608を用いる。軸受に用いられるグリースは、ちょう度239のものである。
次に、本実施例1において、さまざまな静電容量を有するブラシレスモータを用いて、軸電圧を測定する方法について、説明する。
図8は、同実施の形態1における電動機が有する軸電圧の測定方法を示す説明図である。図8に示すように、ブラシレスモータ100は、シャフト16が水平な状態で運転されて、軸電圧が測定される。軸電圧の測定は、直流安定化電源を使用して、つぎの同一運転条件の下、行う。固定子巻線の電源電圧Vdcは、391Vである。制御回路の電源電圧Vccは、15Vである。回転子の回転数は、1000r/minである。なお、制御電圧Vspを調整して、回転子の回転数が調整される。
軸電圧の測定は、電圧波形を用いて行う。図8に示すように、軸電圧の測定には、オシロスコープ130とプローブ120とを用いて行う。オシロスコープ130は、絶縁トランス140によって、絶縁されている。オシロスコープ130は、テクトロニクス社製のデジタルオシロスコープ、DPO7104を用いる。プローブ120は、テクトロニクス社製の高電圧作動プローブ(High Voltage Differential Probe)、P5205を用いる。
次に、出力軸側に位置する軸受の軸電圧を測定する方法について、説明する。図8に示すように、プラス側プローブ120aは、長さが約30cmのリード線110を有する。リード線110の先端は、リード線の導体がむき出されている。リード線110の先端では、むき出された導体が、直径約15mmのループ状に成形される。ループ状に成形された導体は、導体の内周が、シャフト16の外周と導電接触される。この結果、プラス側プローブ120aは、シャフト16と電気的に接続される。
マイナス側プローブ120bは、長さが約30cmのリード線111を有する。リード線111の先端は、ブラケット17に導電接触される。リード線111の先端は、導電性テープ112によって、ブラケット17に固定される。この結果、マイナス側プローブ120bは、ブラケット17と電気的に接続される。
以上の構成において、シャフト16とブラケット17との間に生じる電圧を測定した。この電圧が、出力軸側に位置する軸受15aの軸電圧である。
次に、反出力軸側に位置する軸受の軸電圧を測定する方法について、説明する。図9に示すように、プラス側プローブ120aは、長さが約30cmのリード線110を有する。リード線110の先端は、リード線の導体がむき出されている。リード線110の先端では、むき出された導体が、直径約15mmのループ状に成形される。ループ状に成形された導体は、導体の内周が、シャフト16の外周と導電接触される。この結果、プラス側プローブ120aは、シャフト16と電気的に接続される。
マイナス側プローブ120bは、長さが約30cmのリード線111を有する。ブラシレスモータ100は、樹脂部分が一部削られて、ブラケット19の一部が露出される。リード線111の先端は、露出されたブラケット19に導電接触される。リード線111の先端は、導電性テープ112によって、露出されたブラケット19に固定される。この結果、マイナス側プローブ120bは、ブラケット19と電気的に接続される。
以上の構成において、シャフト16とブラケット19との間に生じる電圧を測定する。この電圧が、反出力軸側に位置する軸受15bの軸電圧である。
まず、軸電圧の測定は、電圧波形を観測する。電圧波形の観測では、電圧波形に波形崩れが発生しているか、否かを確認する。波形崩れは、「完全波形崩れ」、「一部波形崩れ」、「波形崩れなし」の3区分に分類する。
つぎに、軸電圧の測定は、観測した電圧波形から、ピーク−ピーク間の電圧を測定して、軸電圧の電圧値とする。
図10から図12を用いて、測定した電圧波形の一例を示す。図10は、同実施の形態1における電動機にて測定された電圧波形の一例である完全波形崩れを示す波形図である。図11は、同実施の形態1における電動機にて測定された電圧波形の一例である一部波形崩れを示す波形図である。図12は、同実施の形態1における電動機にて測定された電圧波形の一例である波形崩れなしを示す波形図である。
図10から図12に示す電圧波形図において、横軸で示した時間は、50μs/divとした。図10から図12に示す電圧波形図において、電圧波形の向きから、電流の方向を判断した。図10から図12に示された電圧波形は、ゼロ電圧ラインよりも図中、上向きである。このことから、シャフト16、すなわち、軸受の内輪側の電位は、ブラケット17またはブラケット19、すなわち、軸受の外輪側の電位よりも高いことが分かる。つまり、電流は、軸受の内輪側から軸受の外輪側に向かって流れているものと判断できる。
電流の方向を比較するため、比較例として図13を示す。図13に示された電圧波形は、ゼロ電圧ラインよりも図中、下向きである。このとき、電流は、軸受の外輪側から軸受の内輪側に向かって流れているものと判断する。
上述した仕様について、電食を抑制する効果を確認するために、それぞれの組み合わせで構成されるブラシレスモータを準備する。準備されたブラシレスモータには、後述する電食耐久試験が行われる。
電食耐久試験は、つぎのとおりである。固定子巻線の電源電圧Vdは、391Vである。制御回路の電源電圧Vccは、15Vである。回転子の回転数は、1000r/minである。なお、制御電圧Vspを調整して、回転子の回転数が調整される。試験中のブラ
シレスモータは、シャフトが水平となる姿勢で回転される。ブラシレスモータは、雰囲気温度が10℃で回転される。ブラシレスモータは、無負荷の状態で、10000時間回転する試験が行われる。
電食の判定は、聴感による異常確認と、軸受内部に波状摩耗を確認した時点で、電食による寿命と判断する。
以上説明した実施例1について、評価した結果を図14に示す。
シャフト16と、回転体30の軸心に対して最外周となる最外周面32aとの間に生じる静電容量を、Aとする。固定子鉄心11と導通材料であるリード線22との間に生じる静電容量を、Bとする。
測定する周波数10kHzのとき、AとBとの関係が、0.50A=B、あるいは、B=3.08Aとなるとき、測定された電圧波形に一部波形崩れが確認された。しかし、10000時間の回転試験を施しても、軸受に電食は発生しなかった。
また、測定する周波数10kHzのとき、AとBとの関係が、0.50A<B<3.08Aを満たす場合、より具体的には、0.62A≦B≦2.07Aを満たす場合、測定された電圧波形には、波形崩れがみられなかった。また、10000時間の回転試験を施しても、軸受に電食は発生しなかった。
以上のことから、つぎの結果が明らかに導き出される。すなわち、測定する周波数10kHzのとき、AとBとの関係が、0.50A≦B≦3.08Aを満たせば、軸受に電食が発生することを抑制できる。
測定する周波数が10kHzのときに、より好ましい静電容量Aと静電容量Bとの関係は、0.62A≦B≦2.07Aである。この関係を満たす場合、電圧波形に波形崩れを生じることなく、しかも、軸受に電食が発生することを抑制できる。
この理由は、以下の作用による。ブラケット17とブラケット19とは、同電位となり、電位のアンバランスが抑制される。軸電圧は低くなり、軸受の内部に存在する油膜が、絶縁破壊することを防止できる。
また、軸電圧が低くなれば、軸受の内部に存在する油膜が絶縁破壊される機会も少なくなるため、波形崩れが発生する回数も減少する。よって、軸受に電食が発生することを抑制できる。
これらの結果からも明らかなように、本発明の実施の形態における電動機は、従来の電動機と比べて、軸電圧が低く、電動機が備える軸受に電食が発生することを抑制できる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態1にて説明した電動機が用いられる電気機器について、具体例を挙げて説明する。まず、本発明の実施の形態2として、同電動機をエアコンの室内機に用いる場合について、説明する。
図15に示すように、エアコンの室内機210は、筐体211の内部に電動機201を含む。電動機201は、回転軸の出力軸側に、負荷であるクロスフローファン212が取り付けられる。エアコンの室内機210は、筐体211の内部に、電動機201を駆動する駆動部である電動機駆動装置213を含む。電動機201は、電動機駆動装置213に
よって駆動される。電動機201は、電動機駆動装置213からの駆動信号により、回転する。電動機201が回転すれば、クロスフローファン212も回転する。クロスフローファン212が回転することで、室内機用熱交換器によって空気調和された空気が、室内に送られる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3として、上述した実施の形態1にて説明した電動機をエアコンの室外機に用いる場合について、説明する。図16に示すように、エアコンの室外機301は、筐体311の内部に電動機308を含む。電動機308は、回転軸の出力軸側に、負荷であるファン312が取り付けられる。電動機308は、送風用電動機として機能する。エアコンの室外機301は、筐体311の底板302に仕切り板304を有する。エアコンの室外機301は、仕切り板304によって、圧縮機室306と熱交換器室309とに区画される。
圧縮機室306には、圧縮機305が設置される。熱交換器室309には、熱交換器307と、送風用電動機として機能する電動機308とが設置される。仕切り板304の上部には、電装品箱310が設置される。電装品箱310内には、電動機308を駆動する駆動部である電動機駆動装置303が設置される。電動機308は、電動機駆動装置303によって駆動される。電動機308は、電動機駆動装置303からの駆動信号により、回転する。電動機308が回転すれば、ファン312も回転する。ファン312が回転すれば、熱交換器307を介して、熱交換器室309に空気が流入する。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4として、上述した実施の形態1にて説明した電動機を給湯器に用いる場合について、説明する。図17に示すように、給湯器330は、筐体331の内部に電動機333を含む。電動機333は、回転軸の出力軸側に、負荷であるファン332が取り付けられる。給湯器330は、筐体331の内部に、電動機333を駆動する駆動部である電動機駆動装置334を含む。電動機333は、電動機駆動装置334によって駆動される。電動機333は、電動機駆動装置334からの駆動信号により、回転する。電動機333が回転すれば、ファン332も回転する。ファン332が回転することで、燃料気化室に対して燃焼に必要な空気が送られる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5として、上述した実施の形態1にて説明した電動機を空気清浄機に用いる場合について、説明する。図18に示すように、空気清浄機340は、筐体341の内部に電動機343を含む。電動機343は、回転軸の出力軸側に、負荷である空気循環用ファン342が取り付けられる。空気清浄機340は、筐体341の内部に、電動機343を駆動する駆動部である電動機駆動装置344を含む。電動機343は、電動機駆動装置344によって駆動される。電動機343は、電動機駆動装置344からの駆動信号により、回転する。電動機343が回転すれば、空気循環用ファン342も回転する。空気循環用ファン342が回転することで、空気清浄機340が設置された室内は、空気が循環される。
以上の説明において、本発明の実施の形態1で示した電動機が用いられる電気機器の具体例として、エアコン室内機、エアコン室外機、給湯器、空気清浄機を示した。本発明の実施の形態1で示した電動機は、その他の家庭用電気機器、各種情報機器、産業機器などに使用される電動機として、利用できることは言うまでもない。
また、本件出願の実施の形態における構成は、上述したとおり、電動機をPWM方式によりインバータ駆動する駆動回路に用いられる電源供給回路と、この電源供給回路を成す
1次側回路と、この1次側回路を大地へ電気的に接続してアースを行う回路とは、それぞれ電気的に絶縁された構成である。インバータを駆動する駆動回路は、制御回路などを含む。
よって、従来技術のように、電動機が含む固定子鉄心などを大地に対して電気的に接続してアースを行う構成を採用しなくても、軸受の電食を抑制する効果が得られる。
本発明の電動機は、軸電圧を減少できるため、軸受に電食が発生することを抑制するのに最適である。このため、主に、電動機の低価格化および電動機の高寿命化が要望される電気機器に用いられる電動機として有効である。電気機器としては、例えば、エアコン室内機、エアコン室外機、給湯機、空気清浄機などがある。
10 固定子
11 固定子鉄心
12 固定子巻線(巻線)
13 絶縁樹脂
14 回転子
15a、15b 軸受
16 シャフト
17、19 ブラケット
18 プリント基板
22 リード線(導通材料)
30 回転体
31 回転子鉄心
31a 外側鉄心
31b 内側鉄心
32 フェライト樹脂磁石(永久磁石)
32a 最外周面
50 誘電体層
51 外周部
52 固定子組立品
201、308、333、343 電動機
210 室内機
213、303、334、344 電動機駆動装置(駆動部)
301 室外機
330 給湯器
340 空気清浄機

Claims (6)

  1. 巻線と、前記巻線を巻装する固定子鉄心と、を有する固定子と、
    前記固定子に対向して周方向に永久磁石を含む回転体と、前記回転体の軸心を貫通して前記回転体に固定されるシャフトと、を有する回転子と、
    前記シャフトを支持する、一対の軸受と、
    前記軸受を固定するとともに導電性を有する、一対のブラケットと、
    前記一対のブラケットを電気的に接続する導通材料と、を備え、
    前記導通材料は、金属線と、前記金属線を被覆する絶縁材料と、を有するリード線であり、
    測定周波数10kHzのときに、前記シャフトと、前記回転体の軸心に対して最外周となる最外周面との間に生じる静電容量Aと、前記固定子鉄心と前記導通材料との間に生じる静電容量Bと、の関係が0.50A≦B≦3.08Aである電動機。
  2. 巻線と、前記巻線を巻装する固定子鉄心と、を有する固定子と、
    前記固定子に対向して周方向に永久磁石を含む回転体と、前記回転体の軸心を貫通して前記回転体に固定されるシャフトと、を有する回転子と、
    前記シャフトを支持する、一対の軸受と、
    前記軸受を固定するとともに導電性を有する、一対のブラケットと、
    前記一対のブラケットを電気的に接続する導通材料と、を備え、
    前記導通材料は、金属線と、前記金属線を被覆する絶縁材料と、を有するリード線であり、
    測定周波数10kHzのときに、前記シャフトと、前記回転体の軸心に対して最外周となる最外周面との間に生じる静電容量Aと、前記固定子鉄心と前記導通材料との間に生じる静電容量Bと、の関係が0.62A≦B≦2.07Aである電動機。
  3. 前記一対のブラケットの少なくとも一方と、前記固定子鉄心とは、絶縁樹脂によって一体成形される請求項1または2のいずれか一項に記載の電動機。
  4. 前記導通材料は、前記固定子鉄心と接触するとともに、絶縁樹脂によって一体成形される請求項1または2のいずれか一項に記載の電動機。
  5. 前記回転体は、前記シャフトと、前記回転体の軸心方向に沿って前記回転体の外周となる外周面を有する外周部と、の間に、誘電体層を備える請求項1〜のいずれか一項に記載の電動機。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の電動機と、前記電動機を駆動する駆動部と、を備える電気機器。
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