JP3477406B2 - 内燃機関のバルブタイミング変更装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング変更装置

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JP3477406B2
JP3477406B2 JP28427099A JP28427099A JP3477406B2 JP 3477406 B2 JP3477406 B2 JP 3477406B2 JP 28427099 A JP28427099 A JP 28427099A JP 28427099 A JP28427099 A JP 28427099A JP 3477406 B2 JP3477406 B2 JP 3477406B2
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hydraulic oil
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internal combustion
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の運転中
に吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更するため
のバルブタイミング変更装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のバルブタイミング変更装置は、
内燃機関の回転に同期してタイミングチェーンによって
回転されるスプロケットと、吸気弁または排気弁を駆動
するカムシャフトとの間に設けられ、スプロケットに対
してカムシャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁
の開閉タイミングを変更するようにしてある。
【0003】例えば、特開平9−324611号公報に
は、内燃機関の回転に同期してタイミングチェーンによ
って回転されるスプロケットと、このスプロケットと共
に回転するハウジングと、このハウジング内に収容され
て、カムシャフトと共に回転するロータと、このロータ
に放射方向に突出して設けられ、ハウジング内に複数の
作動油室を形成する複数のベーンと、作動油室に作動油
を供給及び排出する油圧吸排手段とを備え、作動油室に
作動油を供給及び排出してハウジングとロータとを相対
回動させるようにしたバルブタイミング変更装置が示さ
れている。
【0004】前記スプロケットはハウジングに一体に設
けられており、このハウジング及びスプロケットは鋳鉄
によって形成してある。
【0005】また、前記スプロケットの外周には外歯が
設けられ、タイミングチェーンが巻着されるようになっ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記スプロ
ケット及びこれに噛み合うタイミングチェーンの潤滑は
オイルパン内の潤滑油が用いられ、クランクシャフトの
回転に伴うオイルスプラッシュを利用して行われるので
あるが、スプロケットとタイミングチェーンとの噛み合
い部分には潤滑油が供給されにくい。
【0007】そのため、前記スプロケットがタイミング
チェーンとの噛み合い部分において潤滑不良を起こす虞
がある。
【0008】本発明は前記従来の実情に鑑みて案出され
たもので、スプロケットの潤滑不良が生じることを効果
的に防止することが可能なバルブタイミング変更装置を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1記載の
発明は、外周側に形成された外歯にタイミングチェーン
が巻着され、内燃機関の回転に同期して回転されるスプ
ロケットと、吸気弁または排気弁を駆動するカムシャフ
トとの間に設けられ、スプロケットに対してカムシャフ
トを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タイミン
グを変更可能な内燃機関のバルブタイミング変更装置に
おいて、前記スプロケットが設けられ、このスプロケッ
トと共に回転する略筒状のハウジング本体と、このハウ
ジング本体に対して相対回動可能に設けられ、カムシャ
フトと共に回転し、ハウジング本体の内部に相対回動自
在に収容され、ハウジング本体の内部に円周方向に複数
の作動油室を形成するベーンと、前記ハウジング本体と
前記ベーンとの間に形成された作動油室と、この作動油
室に作動油を供給及び排出して、前記ハウジング本体と
前記ベーンを相対回動させる油圧吸排手段と、を備え、
前記ハウジング本体は、外歯を有するスプロケットが前
記作動油を浸透保持する多孔質の焼結金属によって一体
成形されてなり、このハウジング本体に設けられたスプ
ロケットは、作動油室の軸方向範囲かつ外周側に配置さ
れており、作動油室内の圧力及び遠心力を受けて多孔性
を有する焼結金属の空隙内に作動油を浸透保持するよう
にしてある。
【0010】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の発明の構成において、スプロケットが設けられた略
筒状のハウジング本体の両端側が板部材によって封止さ
れ、前記スプロケットがハウジング本体の軸方向略中心
位置に設けられている構成にしてある。
【0011】また、請求項3記載の発明は、請求項1記
載の発明の構成において、スプロケットが設けられた略
筒状のハウジング本体の両端側が板部材によって封止さ
れ、前記スプロケット及びハウジング本体のみが燒結金
属によって形成されてなる構成にしてある。
【0012】
【0013】
【0014】斯かる構成においては、前記スプロケット
が内燃機関の回転に同期してタイミングチェーンによっ
て回転され、バルブタイミング変更装置を介してカムシ
ャフトが回転される。これによって、前記カムシャフト
が吸気弁または排気弁を駆動する。
【0015】また、前記スプロケットに対するカムシャ
フトの相対回動は、スプロケットと共に回転するハウジ
ング本体と、カムシャフトと共に回転するベーンとの間
に形成される作動油室に作動油を供給及び排出して、
ウジング本体とベーンとが相対回動することによって行
われる。この場合に、前記作動油室への作動油の供給及
び排出は油圧吸排手段によって行われる。
【0016】前記スプロケットに対してカムシャフトが
相対回動されることによって、内燃機関の回転に対する
カムシャフトの回転位相が変更され、吸気弁または排気
弁の開閉タイミングが変更される。
【0017】ここで、本発明にあっては、前記ハウジン
グ本体は、外歯を有するスプロケットが燒結金属によっ
一体成形されこのハウジング本体に設けられたスプ
ロケットは、作動油室の軸方向範囲かつ外周側に配置さ
れている。これによって、前記作動油室に導かれた作動
油が、作動油室内の圧力及び遠心力を受けて多孔性を有
する燒結金属の空隙内に浸透保持され、スプロケットと
タイミングチェーンとの噛み合い部分を潤滑する。
【0018】このため、前記スプロケットがタイミング
チェーンとの噛み合い部分において潤滑不良を起こす虞
が有利に防止される。
【0019】したがって、スプロケットの潤滑不良が生
じることを効果的に防止することが可能なバルブタイミ
ング装置が得られる。
【0020】
【0021】また、請求項記載の発明によれば、ス
ロケットがハウジング本体の軸方向略中心位置に設けら
れているから、ハウジング本体の形成が容易になる。即
ち、前記スプロケットが設けられたハウジング本体が軸
方向の中心線に対して対称な形状となるから、燒結加工
時において型形状が単純化されると共に、燒結金属の密
度のばらつきが抑制され、ハウジング本体の燒結成形が
容易になるのである。
【0022】また、請求項記載の発明によれば、ス
ロケット及びハウジング本体のみが燒結金属によって形
成されてなるから、作動油室に導かれた作動油がスプロ
ケット及びハウジング本体に効果的に浸透保持される。
即ち、ハウジング本体の両端側を封止する板部材を多孔
質でない鋼板等によって形成することにより、作動油が
板部材に浸透されることがなく、スプロケット及びハウ
ジング本体に効果的に浸透されるのである。
【0023】
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて詳述する。
【0025】図1は本発明の実施の形態を示す内燃機関
のバルブタイミング変更装置の要部を断面して示す説明
図、図2は図1のA−A線断面図で、ボルトを取外して
示す図面、図3は図1の要部を拡大して示す断面図であ
る。
【0026】図において、付番1で示されるカムシャフ
トは内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動可能であっ
て、この実施の形態においては吸気弁を駆動するカムシ
ャフトである。
【0027】前記カムシャフト1は図外のシリンダヘッ
ドに固定した軸受け2によって回転自在に支持されてい
る。また、前記軸受け2よりも図1において右側のカム
シャフト1の基幹部(図示せず)には、カムが形成され
ており、このカムによって吸気弁が開閉駆動されるよう
になっている。
【0028】前記カムシャフト1は内燃機関に同期して
回転されるスプロケット3によって回転駆動されるよう
になっており、このスプロケット3は、ハウジング部材
4と共に回転可能となっており、また、カムシャフト1
に対して所定角度相対回動可能となっている。
【0029】即ち、前記スプロケット3は、略筒状のハ
ウジング本体5とこのハウジング本体5の両端側を封止
する板部材6,7とから構成されるハウジング部材4
の、ハウジング本体5の外周側に一体成形してある。ま
た、前記ハウジング部材4のハウジング本体5と板部材
6,7は複数の連結ボルト8によって一体的に連結され
ている。
【0030】前記スプロケット3の外周側には外歯9が
形成されており、この外歯9には図外のクランクシャフ
トによって駆動されるタイミングチェーン10が巻着さ
れるようになっている。
【0031】前記スプロケット3はハウジング本体5の
軸方向中心よりもカムシャフト1から離れた位置(図1
において左寄り)に設けられていると共に、板部材6の
厚さが板部材7の厚さよりも薄く形成してある。このた
め、前記スプロケット3はハウジング部材4(第1回転
体)の軸方向中心位置よりもカムシャフト1から離れた
位置に設けられていることになる。また、前記スプロケ
ット3をハウジング本体5の軸方向略中心位置に設ける
ことも可能で、この場合にも板部材6,7の厚さを調節
することによって、スプロケット3をハウジング部材4
の軸方向中心位置よりもカムシャフト1から離れた位置
に設けることが可能である。
【0032】前記ハウジング部材4は、スプロケット3
及びハウジング本体5が燒結金属によって形成され、板
部材6,7が鋼板等によって形成されている。即ち、前
記スプロケット3及びハウジング本体5は多孔質材料か
ら形成され、板部材6,7は多孔質でない材料から形成
されている。
【0033】また、前記ハウジング部材4内は全体とし
て中空状になっており、略筒状のハウジング本体5の半
径方向内方に向かって突出する複数(この実施の形態に
おいては4個)の突起12を形成することによって、半
径方向外方寄りに、中央部分で連結された4個の部屋1
3が形成してある(図2参照)。
【0034】前記ハウジング部材4内にはベーン部材1
5が所定角度相対回動自在に収容されており、このベー
ン部材15とハウジング部材4とを主要素として、後に
詳述する相対回動手段16が構成されている。
【0035】前記ベーン部材15は、その胴部17から
放射方向に突出する複数(この実施の形態においては4
個)のベーン18を有しており、このベーン18を部屋
13内に配置した状態でハウジング部材4内に収容され
ている。
【0036】前記ベーン部材15のベーン18が部屋1
3内に配置されることによって、この部屋13内にベー
ン18の円周方向両側に対峙して一対の作動油室19,
20が区画形成される。また、前記一対の作動油室1
9,20は、この実施の形態において4組形成されてい
る。
【0037】前記作動油室19,20間相互の封止は、
ハウジング本体5の内周側に形成した突起12の先端に
設けたシール部材21をばね部材22で押圧してベーン
部材15の胴部17外周に摺接させると共に、ベーン1
8の先端に設けたシール部材23をばね部材24で押圧
してハウジング本体5の内周に摺接させることによって
成就するようにしてある。
【0038】前記ベーン部材15には、作動油室19に
連通する半径方向の油室側通路25及び作動油室20に
連通する半径方向の油室側通路26が形成してあると共
に、これら油室側通路25,26が開口する一端開放の
穴27が軸方向に形成してある。前記油室側通路25,
26は穴27の軸方向において相互に離れた位置に開口
している。
【0039】これによって、前記油室側通路25,26
を介して作動油室19,20に作動油を選択的に供給及
び排出することにより、ハウジング部材4とベーン部材
15とが相対回動することができるようになっている。
【0040】また、前記ベーン部材15はカムシャフト
1に連結されている。即ち、前記ベーン部材15の穴2
7内にカムシャフト1の端部が挿入され、ベーン部材1
5の胴部17を軸方向に貫通するボルト29によってカ
ムシャフト1に連結されている。
【0041】ここに、前記スプロケット3はハウジング
部材4に設けられている一方、カムシャフト1に連結さ
れたベーン部材15はハウジング部材4対して相対回動
可能となっているから、油室側通路25,26を介して
作動油室19,20に作動油を選択的に供給及び排出す
ることによって、ハウジング部材4とベーン部材15と
が所定角度範囲内で相対回動できることになる。したが
って、前記ハウジング部材4とベーン部材15とを主要
素として、スプロケット3をカムシャフト1に対して相
対回動させる相対回動手段16が構成されていることに
なる。
【0042】前記ハウジング部材4とベーン部材15と
の間には、このハウジング部材4とベーン部材15との
相対回動を規制する回動規制手段34が設けてある。前
記回動規制手段34は、この実施の形態において、ベー
ン部材15に形成したシリンダ孔35内に、ばね部材3
6と共に収容することによってベーン部材15の軸方向
に突出可能に設けられた係合部材37の先端を、ハウジ
ング部材4(の板部材6)に設けた係合穴38に係合可
能とした構成にしてある。
【0043】前記シリンダ孔35は、ベーン部材15
に、詳しくはベーン部材15の円周方向幅を大きくした
ベーン18の1つに、軸方向に貫通して形成してある。
前記シリンダ孔35の一方の開口端には、ばね部材36
のためのばね受け39が圧入固定されており、このばね
受け39は、好ましくはベーン18よりも高硬度材料か
ら形成されている。また、前記ばね受け39の外周側の
所定位置には空気抜きのための切欠き溝40が設けてあ
り、この切欠き溝40は、ベーン部材15の胴部17の
側面に設けた半径方向の溝41に連通している。これに
よって、前記係合部材37の後端側に位置するシリンダ
孔35の内部は、その開口端側で、切欠き溝40及び溝
41を介して大気開放されていることになる。
【0044】前記係合部材37は、先端側がテーパ状に
形成されており、このテーパ状の先端側がシリンダ孔3
5内から突出可能である。また、前記係合部材37に
は、その先端に窪み42が形成されていると共に、後端
側の端面に開放する盲穴43が形成してあり、これによ
って、軽量化が図られている。
【0045】前記係合穴38は、この実施の形態におい
ては、ハウジング部材4(の板部材7)よりも硬さの硬
い材料からなり、係合穴38が形成された係合穴部材4
4をハウジング部材4(の板部材7)に埋設することに
よって形成してある。
【0046】前記係合穴38の形状は、開口端側が大径
のカップ状に形成されており、この係合穴38の底部に
は、係合部材37が係合した状態において油室45が形
成されるようになっている。また、前記係合穴38内及
び油室45内は、板部材7及び係合穴部材44に形成し
た油孔46を介して作動油室19に連通している。
【0047】前記ベーン部材15に形成した穴27内に
挿入されたカムシャフト1には、油圧側通路51,52
が軸方向に形成してある。前記油圧側通路51,52は
ベーン部材15に形成した油室側通路25,26にそれ
ぞれ連通すると共に、後述する油圧吸排手段に連通する
ようになっている。
【0048】即ち、前記油圧側通路51は、カムシャフ
ト1の端面から軸方向に先端側が開口しない盲穴状に形
成されて、開口端が穴27の底部側で封止されている。
前記油圧側通路51は、その開口端側においてこの油圧
側通路51から分岐する半径方向通路53及びこの半径
方向通路53が連通する周溝54を介して油室側通路2
5に連通している。また、前記油圧側通路51は、その
先端側においてこの油圧側通路51から分岐する半径方
向通路55及びこの半径方向通路55が連通する周溝5
6を介して後述する油圧吸排手段に連通するようになっ
ている(図3参照)。
【0049】また、前記油圧側通路52は、カムシャフ
ト1の端面から軸方向に先端側が開口しない盲穴状に形
成されて、開口端が栓部材57によって封止されてい
る。前記油圧側通路52は、その開口端側においてこの
油圧側通路52から分岐する半径方向通路58及びこの
半径方向通路58が連通通する周溝59を介して油室側
通路26に連通している。また、前記油圧側通路52
は、その先端側においてこの油圧通路52から分岐する
半径方向通路60及びこの半径方向通路60が連通する
周溝61を介して後述する油圧吸排手段に連通するよう
になっている(図3参照)。
【0050】前記カムシャフト1に形成した油圧側通路
51,52が連通する油圧吸排手段66は、油圧側通路
51に連通する吸排通路67と、油圧側通路52に連通
する吸排通路68と、これら吸排通路67,68をオイ
ルポンプ69からの供給通路70と貯油タンク71に連
通する排出通路72とに選択的に切換えて連通させる
か、または遮断する切換え弁73と、この切換え弁73
を制御する制御装置74とを主要素として構成してある
(図1参照)。
【0051】前記切換え弁73は、この実施の形態にお
いて4ポート弁が採用されている。また、前記切換え弁
73を制御する制御装置74には、内燃機関の運転状態
を示す各種信号が入力される。
【0052】斯かる構成において、内燃機関の始動時
で、前記オイルポンプ69から作動油が十分に供給され
ないとき、或いは制御装置74に最遅角状態を保つ信号
が入力されている場合には、相対回動手段16のベーン
部材15はハウジング部材4に対して最遅角位置にあっ
て(図2参照)、回動規制手段34の係合部材37の先
端は係合穴38に係合し、ハウジング部材4とベーン部
材15とを連繋している。このため、図外のクランクシ
ャフトからタイミングチェーン10を介してスプロケッ
ト3に与えられる回転駆動力は、ハウジング部材4及び
ベーン部材15を介してカムシャフト1に伝達される。
尚、この場合に、前記ベーン部材15のベーン18は、
ハウジング部材4内に部屋13を形成する突起12の側
面に当接していない。
【0053】前記カムシャフト1が回転することによっ
て、内燃機関の吸気弁が駆動され、開閉制御されること
になる。
【0054】また、前記ベーン部材15がハウジング部
材4に対して最遅角位置にあるとき、回動規制手段34
の係合部材37はばね部材36によって押圧されて、そ
の先端が係合穴38に係合しており、ハウジング部材4
とベーン部材15との間の相対回動が規制されている。
このため、前記カムシャフト1が図外の吸気弁を駆動す
る際に、このカムシャフト1に正または負の反転トルク
が作用してもベーン部材15はハウジング部材4に対し
て相対回動することがないから、ベーン部材15のベー
ン18が突起12の側面に衝接して打音等を生じること
が有利に防止される。
【0055】次に、進角制御される場合は、前記油圧給
排手段66の切換え弁73が制御装置74によって切換
え制御され、給排通路67にオイルポンプ69からの供
給通路70が接続されると共に、給排通路68が排出通
路72に接続されることによって、オイルポンプ69か
らの作動油が給排通路67から、周溝56、半径方向通
路55、油圧側通路51、半径方向通路53、周溝54
及び油室側通路25を介して作動油室19内に導かれ
る。また、前記作動油室19内に導かれた作動油は、板
部材7及び係合穴部材44に形成した油孔46を介し
て、係合部材37の先端が係合する係合穴38内及び係
合穴38の底部に形成された油室45内に導かれる。
【0056】同時に、前記作動油室20内が、油室側通
路26、周溝59、半径方向通路58、油圧側通路5
2、半径方向通路60、周溝61及び給排通路68を介
して排出通路72に連通することになる。
【0057】前記作動油室19内及び回動規制手段34
の係合穴38(及び油室45)内に作動油が導かれるこ
とにより、係合部材37には作動油室19及び係合穴3
8(及び油室45)の作動油圧力が作用し、この係合部
材37はばね部材36のばね力に抗してばね受け39側
に付勢され、シリンダ孔35内に押し戻される。このた
め、前記係合部材37の先端が係合穴38内から離脱し
て係合が解除され、これによって、ハウジング部材4と
ベーン部材15とは係合部材37による拘束が解除され
る。
【0058】前記作動油室19内に作動油が供給される
一方、作動油室20内が排出通路72に連通することに
よって、作動油室19内の油圧力がベーン18の側面に
作用し、ベーン部材15をハウジング部材4に対して図
2の矢印方向、即ち進角方向に回動させる。これによっ
て、前記スプロケット3とカムシャフト1とが相対回動
することになり、カムシャフト1のクランクシャフトに
対する回転位相が変更されて、カムシャフト1は進角制
御され、このカムシャフト1によって駆動される吸気弁
の開閉のタイミングが早められる。
【0059】前記カムシャフト1が進角制御され、ベー
ン部材15がハウジング部材4に対して相対回動して最
進角位置にある場合に、係合部材37は作動油室19内
の油圧によってシリンダ孔35内に押し戻された状態が
継続され、この係合部材37の先端は板部材6の側面に
接することはない。
【0060】次に、油圧給排手段66の切換え弁73が
制御装置74によって切換え制御され、給排通路68に
オイルポンプ69からの供給通路70が接続されると共
に、給排通路67が排出通路72に接続されると、オイ
ルポンプ69からの作動油が周溝61、半径方向通路6
0、油圧側通路52、半径方向通路58、周溝59及び
油室側通路26を介して作動油室20に導かれる。ま
た、前記作動油室19内の作動油は、油室側通路25、
周溝54、半径方向通路53、油圧側通路51、半径方
向通路55、周溝56、吸排通路67及び排出通路72
を通じて貯油タンク71に排出される。
【0061】前記作動油室19内の作動油が排出される
ことによって、係合部材37はこの係合部材37に作用
するばね部材36のばね力によって付勢されるけれど
も、この係合部材37の先端が係合穴38に係合しない
状態においては、ハウジング部材4とベーン部材15と
は、回動規制手段34による拘束が解除された状態が継
続される。
【0062】前記作動油室20内に作動油が供給される
一方、作動油室19内が排出通路72に連通することに
よって、作動油室20内の油圧力がベーン18の側面に
作用し、ベーン部材15をハウジング部材4に対して図
2において反時計方向、即ち遅角方向に回動させる。こ
れによって、前記スプロケット3とカムシャフト1とが
相対回動することになり、カムシャフト1のクランクシ
ャフトに対する回転位相が変更されて、カムシャフト1
は再び遅角制御され、このカムシャフト1によって駆動
される吸気弁の開閉のタイミングが遅らされることにな
る。
【0063】前記カムシャフト1が遅角制御され、ベー
ン部材15がハウジング部材4に対して相対回動して最
遅角位置となる場合に、係合部材37の先端はばね部材
36のばね力によって係合穴38内に再び係合される。
【0064】また、前記ベーン部材15がハウジング部
材4に対して進角方向或いは遅角方向に回動している状
態で、油圧給排手段66の切換え弁73が制御装置74
によって切換え制御され、給排通路67,68と供給通
路70または排出通路72との連通が遮断されると、ハ
ウジング部材4とベーン部材15とは、相対回動の中間
的な位置に保持される。これによって、前記スプロケッ
ト3とカムシャフト1とは相対回動の中間的な位置に保
持されることになり、カムシャフト1は、このカムシャ
フト1によって駆動される吸気弁を所望のタイミングで
制御することになる。
【0065】この場合には、前記作動油室19内は、所
定の圧力状態が維持されていると共に、密閉された状態
となっているから、係合部材37にはばね部材36のば
ね力が作用するけれども、この係合部材37は係合穴3
8に係合することがないから、ハウジング部材4とベー
ン部材15とは、回動規制手段34による拘束が解除さ
れた状態が継続される。
【0066】ここで、本発明にあっては、ハウジング部
材4は、スプロケット3及びこのスプロケット3が設け
られたハウジング本体5が燒結金属によって一体成形
れ、このハウジング部材4に設けられたスプロケット3
は、作動油室19,20の軸方向範囲かつ外周側に配置
されている。これによって、前記作動油室19,20に
導かれた作動油が、作動油室19,20内の圧力及び遠
心力を受けて多孔性を有する燒結金属の空隙内に浸透保
持され、スプロケット3とタイミングチェーン10との
噛み合い部分を潤滑する。
【0067】このため、前記スプロケット3がタイミン
グチェーン10との噛み合い部分において潤滑不良を起
こす虞が有利に防止される。
【0068】したがって、スプロケット3の潤滑不良が
生じることを効果的に防止することが可能なバルブタイ
ミング装置が得られる。
【0069】また、前記スプロケット3は、ハウジング
部材4の軸方向中心よりもカムシャフト1から離れた位
置に設けられているため、バルブタイミング装置の芯ず
れやアンバランス等による振れ回りを防止することがで
きる。即ち、バルブタイミング装置はベーン部材15が
カムシャフト1の端部に取付けられるから、取付けの芯
ずれやアンバランスがあると振れ回りを生じる虞がある
が、本実施の形態にあってはスプロケット3に巻着され
るタイミングチェーン10がカムシャフト1から離れた
位置でバルブタイミング装置に拘束力を与えることにな
る。つまり、前記タイミングチェーン10の張力がハウ
ジング部材4を含むバルブタイミング装置に振れ回りに
対する拘束力として作用することになる。これによって
振れ回りを防止することができるのである。
【0070】また、前記ハウジング部材4が、スプロケ
ット3が設けられた略筒状のハウジング本体5と、この
ハウジング本体5の両端側を封止する板部材6,7とか
ら構成され、スプロケット3がハウジング本体5の軸方
向略中心位置に設けられることによって、ハウジング本
体5の形成が容易になる。即ち、前記スプロケット3が
設けられたハウジング本体5が軸方向の中心線に対して
対称な形状となるから、燒結加工時において型形状が単
純化されると共に、燒結金属の密度のばらつきが抑制さ
れ、ハウジング本体5の燒結成形が容易になるのであ
る。
【0071】また、前記ハウジング部材4が、スプロケ
ット3が設けられた略筒状のハウジング本体5と、この
ハウジング本体5の両端側を封止する板部材6,7とか
ら構成され、スプロケット3及びハウジング本体5のみ
が燒結金属によって形成されてなるから、作動油室1
9,20に導かれた作動油がスプロケット3及びハウジ
ング本体5に効果的に浸透保持される。即ち、前記板部
材6,7を多孔質でない鋼板等によって形成することに
より、作動油が板部材6,7に浸透されることがなく、
スプロケット3及びハウジング本体5に効果的に浸透さ
れるのである。
【0072】また、前記第ハウジング部材4が、スプロ
ケット3が設けられた略筒状のハウジング本体5と、こ
のハウジング本体5の両端側を封止する板部材6,7と
を備え、ベーン部材15が、ハウジング部材4の内部に
相対回動自在に収容され、ハウジング部材4の内部に円
周方向に複数の作動油室19,20を形成するベーン1
8を備えてなるから、作動油室19,20が軸方向に比
較的長く形成されることになり、スプロケット3の配置
の自由度、即ち軸方向の配置の自由度を高めることがで
きる。
【0073】
【0074】また、前記カムシャフト1を進角制御する
実施の形態について述べたが、遅角制御するバルブタイ
ミング変更装置に採用することも可能である。
【0075】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、スプロケットの潤滑不良が生じることを効果的
に防止することが可能なバルブタイミング装置が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す内燃機関のバルブタ
イミング装置の要部を断面して示す説明図である。
【図2】図1のA−A線断面図で、ボルトを取外して示
す図面である。
【図3】図1の要部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1… カムシャフト 3…スプロケット5…ハウジング本体 18…ベーン 19…作動油室 20…作動油室 66…油圧吸排手段
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−177416(JP,A) 特開 平10−141024(JP,A) 特開 平9−324611(JP,A) 特開2001−98908(JP,A) 特開2000−34909(JP,A) 特開2000−38908(JP,A) 特開2000−55171(JP,A) 特開 平10−30411(JP,A) 特開 平8−177430(JP,A) 特開 平5−195726(JP,A) 実開 平6−8708(JP,U) 実開 平6−53703(JP,U) 特表2002−514705(JP,A) 社団法人粉体粉末冶金協会,焼結機械 部品の設計要覧,日本,株式会社技術書 院,1967年 6月 1日,第1版,P. 114 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 1/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周側に形成された外歯にタイミングチ
    ェーンが巻着され、内燃機関の回転に同期して回転され
    るスプロケットと、吸気弁または排気弁を駆動するカム
    シャフトとの間に設けられ、スプロケットに対してカム
    シャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タ
    イミングを変更可能な内燃機関のバルブタイミング変更
    装置において、 前記スプロケットが設けられ、このスプロケットと共に
    回転する略筒状のハウジング本体と、 このハウジング本体 に対して相対回動可能に設けられ、
    カムシャフトと共に回転し、ハウジング本体の内部に相
    対回動自在に収容され、ハウジング本体の内部に円周方
    向に複数の作動油室を形成するベーンと、 前記ハウジング本体と前記ベーンとの間に 形成された作
    動油室と、 この作動油室に作動油を供給及び排出して、前記ハウジ
    ング本体と前記ベーンを相対回動させる油圧吸排手段
    と、を備え、前記ハウジング本体は、外歯を有するスプロケットが前
    記作動油を浸透保持する多孔質の焼結金属によって一体
    成形されてなり、このハウジング本体に設けられたスプ
    ロケットは、作動油室の軸方向範囲かつ外周側に配置さ
    れており、作動油室内の圧力及び遠心力を受けて多孔性
    を有する焼結金属の空隙内に作動油を浸透保持すること
    を特徴とする、 内燃機関のバルブタイミング変更装置。
  2. 【請求項2】 スプロケットが設けられた略筒状のハウ
    ジング本体の両端側が板部材によって封止され、前記ス
    プロケットがハウジング本体の軸方向略中心位置に設け
    られていることを特徴とする、請求項1記載の内燃機関
    のバルブタイミング変更装置。
  3. 【請求項3】 スプロケットが設けられた略筒状のハウ
    ジング本体の両端側が板部材によって封止され、前記ス
    プロケット及びハウジング本体のみが燒結金属によって
    形成されてなることを特徴とする、請求項1記載の内燃
    機関のバルブタイミング変更装置。
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