JP3476051B2 - 微細空洞含有ポリエステル系フィルム - Google Patents

微細空洞含有ポリエステル系フィルム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、きめ細かい空洞を
多数含有する均質な微細空洞含有ポリエステル系フィル
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂を主原料とする紙代替物である
合成紙は、天然パルプを主原料とする紙に比べて耐水
性、吸湿性、寸法安定性、表面光沢、印刷物の光沢性や
鮮明性、機械的強度等に優れている。そのため、近年そ
の特徴を活かして様々な用途展開がすすめられている。
合成紙の主原料としては、ポリオレフィン系樹脂やポリ
エステル系樹脂が挙げられるが、なかでもポリエチレン
テレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂は、耐
熱性が高く、かつ腰が強いといった合成紙としての重要
な要求特性を備えているので、現状でもかなり広範囲に
利用されている。
【0003】ポリエステル系樹脂を主原料とし、天然紙
に似た機能を備えたフィルムを得る方法として現在最も
有効とされているのは、ポリエステル系樹脂フィルムの
内部に微細な空洞を無数に形成し、それによりフィルム
自体に適度の柔軟性を与え、軽量化出来るとともに、優
れた筆記性や鮮明な印刷・転写性を与える方法である。
このフィルム内部に空洞を形成する手段としては、ポリ
エステル樹脂に対して非相溶の樹脂を空洞形成剤として
原料樹脂中に混合せしめ、フィルム上に形成した後これ
を延伸する事により樹脂界面に空洞を発生させる方法で
ある。
【0004】この空洞形成のために用いられる空洞形成
剤としては、ポリプロピレン樹脂やポリメチルペンテン
樹脂(特開昭49-34755号公報)に代表されるポリオレフ
ィン系樹脂、またポリスチレン系樹脂(例えば特公昭49
-2016号公報、特公昭54-29550号公報等)等が提案され
ている。
【0005】この中でも、ポリオレフィン系樹脂、特に
ポリメチルペンテンは優れた空洞形成能を有しており、
フィルムを軽量化するという点では非常に優れている。
その反面、ポリエステルに対する相溶性の悪さゆえに、
空洞形成剤がポリエステル中に粗粒分散してしまい、空
洞の大きさも非常に大きなものとなってしまう。そし
て、空洞が大きいこととポリエステル自身の腰強さがあ
いまって、フィルムの可撓性が著しく低下してしまうと
いう問題点があった。この問題は、フィルムの製造工程
や加工工程、あるいは印刷物等の最終製品の取り扱い時
に顕在化し、ほんの少しフィルムを撓ませただけでフィ
ルムが折れ曲がってしまう、或いはフィルム表面に折れ
シワが容易に生じるといった問題を生じる。可撓性は、
合成樹脂フィルムの極めて優れた特性の一つであり、こ
の特性を失うということは致命的な欠陥である。
【0006】一方、ポリスチレン系樹脂は、ポリオレフ
ィン系樹脂に比べるとポリエステル系樹脂に対する非相
溶性の程度が低い等の理由により、空洞形成剤の微細分
散が可能となり、きめ細かい空洞を多数形成させること
が可能となる。そのため、ポリオレフィン系樹脂を用い
た場合の致命的な欠陥であったフィルムの可撓性の低下
を最小限とすることが可能となる。しかし、フィルムを
延伸する際に空洞形成剤がフィルム厚み方向につぶれや
すく、空洞の成長が阻害される結果、空洞形成能が劣
り、フィルムを軽量化するという点では不十分であると
いう欠点があった。
【0007】これに対し、ポリオレフィン系樹脂の優れ
た空洞形成能を維持し、かつポリエステル中への分散性
を向上させる方法もいくつか提案されている。例えばポ
リエステル中に界面活性剤(特公平7-17779 )やポリエ
チレングリコール(特開平2-235942)あるいはポリエー
テルエステル共重合体(特開平4-264141)を併用添加す
る方法等である。
【0008】しかしながら、これらの方法でポリオレフ
ィン系樹脂を微分散化するには限界があり、ポリスチレ
ン系樹脂と同等の微分散性を得ることは困難である。ま
た、その他の特性(例えばフィルムの強度や白色度)を
損なうことなく、安定した微分散効果を得ることは極め
て困難であった。
【0009】つまり、、界面活性剤を添加する方法で
は、界面活性剤の不十分な耐熱性のために、メルトライ
ンで変質を生じ、安定した微分散効果が得られない。
【0010】また、ポリエーテル系の樹脂を添加する方
法では、ポリエーテルが極めて熱劣化しやすいため、原
料の乾燥工程や樹脂のメルトラインあるいはフィルム屑
を回収してリサイクリングする工程でポリエーテルの分
解を生じる。ポリエーテルの分解は、ポリオレフィン系
樹脂の微分散化効果のバラツキをもたらすだけでなく、
ポリエステルの分子量を低下させてフィルム強度を著し
く低下させる原因となったり、フィルムを黄色く着色す
るという問題、更にはアルデヒドの生成による刺激臭な
どの問題を生じる。
【0011】この様に、従来の技術においては、ポリオ
レフィン系樹脂、特にポリメチルペンテンの優れた空洞
形成能とポリスチレン系樹脂の優れた可撓性とを併せ持
ち、かつ優れた耐熱性を有する微細空洞含有ポリエステ
ル系フィルムは得られていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量性
と可撓性とを併せ持ち、かつ優れた耐熱性を有する微細
空洞含有ポリエステル系フィルムを提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決すること
が出来た本発明の微細空洞含有ポリエステル系フィルム
は、ポリエステルに該ポリエステルに非相溶の熱可塑性
樹脂を混合した重合体混合物を2軸延伸・熱処理するこ
とによって得られる微細空洞含有ポリエステル系フィル
ムであって、ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂とし
て、少なくともポリスチレン系樹脂とポリメチルペンテ
ン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂を含有し、ポリス
チレン系樹脂の含有量(a重量%)とポリメチルペンテ
ン系樹脂の含有量(b重量%)およびポリプロピレン系
樹脂の含有量(c重量%)が以下の関係、即ち0.01
≦a/(b+c)≦1、c/b≦1、5≦a+b+c≦
30を満足する点に要旨を有するものである。
【0014】以下、本発明の構成成分について以下、順
次説明する。まず、本発明に用いられるポリエステルと
は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコ
ールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。
これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコー
ルとを直接反応させる方法のほか、芳香族ジカルボン酸
のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応
させた後重縮合させるか、あるいは芳香族ジカルボン酸
のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によ
って製造することができる。かかるポリエステルの代表
例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2、6
−ナフタレートなどが挙げられる。このポリエステルは
ホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したも
のであっても良い。いずれにしても本発明においては、
エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート
単位あるいはエチレン−2、6−ナフタレート単位が7
0モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好まし
くは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。
【0015】次に、本発明を特徴付ける成分であるポリ
エステルに非相溶の熱可塑性樹脂(以下空洞形成剤と略
記することがある)としては、ポリスチレン系樹脂のほ
か、ポリメチルペンテン系樹脂及びポリプロピレン系樹
脂が必須成分となる。そして、ポリスチレン系樹脂と特
定のポリオレフィン系樹脂とを特定の比率で混合して用
いることによって初めて、軽量性と可撓性とを併せ持
ち、かつ優れた耐熱性を有する微細空洞含有ポリエステ
ル系フィルムを得る事ができる。
【0016】一方、空洞形成剤としてポリスチレンを単
独で用いた場合には、前述したようにフィルムの可撓性
という点では優れたフィルムが得られるが、ポリオレフ
ィン系樹脂を空洞形成剤として用いた場合と比較する
と、軽量性という点で限界がある。
【0017】本発明におけるポリスチレン系樹脂の含有
量(a重量%)は、ポリメチルペンテン系樹脂の含有量
(b重量%)およびポリプロピレン系樹脂の含有量(c
重量%)に対して、0.01≦a/(b+c)≦1の関
係を満足する必要がある。そして、ポリスチレン系樹脂
の含有量を前記範囲とすることによって、フィルム中に
空洞形成剤を微分散させることが可能となり、フィルム
の可撓性を確保しつつ、十分な軽量化が可能となる。そ
して、上記範囲よりポリスチレン系樹脂の含有量が少な
い場合には、ポリスチレン系樹脂によるポリオレフィン
系樹脂(ポリプロピレン系樹脂およびポリメチルペンテ
ン系樹脂)に対する分散効果が不安定となり、フィルム
のムラや可撓性が不良となる。逆に上記範囲よりポリス
チレン系樹脂の含有量が多い場合には、十分な軽量化効
果が得られなくなる。
【0018】ポリスチレン系樹脂の含有量は、上記の範
囲内で任意に調節することが可能であるが、0.1≦a
/(b+c)≦0.5の範囲がより好ましい。これは、
ポリスチレン系樹脂の含有量をこの範囲内とすることに
よって、より容易にフィルムを軽量化できるからであ
る。
【0019】本発明の微細空洞含有ポリエステル系フィ
ルムは、ポリスチレン系樹脂のほか、ポリオレフィン系
樹脂として、ポリメチルペンテン系樹脂及びポリプロピ
レン系樹脂が必須成分となる。そして、ポリオレフィン
系樹脂としてポリプロピレン系樹脂を単独で用いた場合
には、フィルムの軽量化効果はほとんど発現しない。
【0020】一方、ポリオレフィン系樹脂としてポリメ
チルペンテン系樹脂を単独で用いた場合には、フィルム
を軽量化することは比較的容易である。しかし、フィル
ム中でのポリメチルペンテン系樹脂の分散ムラが発現
し、フィルム表面にキャンバス地状のムラを呈する。尤
も、ポリスチレン系樹脂の含有量をポリメチルペンテン
系樹脂の含有量より多くすればキャンバス地状ムラは大
幅に低減されて実用範囲内となるが、この場合本発明の
軽量化効果は得られない。
【0021】本発明の微細空洞含有ポリエステル系フィ
ルムでは、ポリオレフィン系樹脂としてポリメチルペン
テン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを併用して用いる
ことによって、ポリオレフィン系樹脂としてポリメチル
ペンテン系樹脂を単独で用いた場合に匹敵する軽量化効
果を得つつ、優れた均一性を得ることに成功したのであ
る。
【0022】上記の効果が得られるポリメチルペンテン
系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混合比率は、それぞ
れの樹脂の含有量をb重量%およびc重量%としたと
き、c/b≦1の範囲である必要があり、好ましくは
0.01≦c/b≦0.5、特に好ましくは0.1≦c
/b≦0.5である。そして、ポリプロピレン系樹脂を
微量混合することにより、所期の目的を達成することが
出来る。逆に、混合比率が1を超える場合にはポリメチ
ルペンテン系樹脂の軽量化効果を大きく損なってしま
う。
【0023】本発明のポリスチレン系樹脂とは、ポリス
チレン構造を基本構成要素として含む熱可塑性樹脂を指
し、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティッ
クポリスチレン、アイソタクティックポリスチレン等の
ホモポリマーの外、その他の成分をグラフトあるいはブ
ロック共重合した改質樹脂、例えば耐衝撃性ポリスチレ
ン樹脂や変性ポリフェニレンエーテル樹脂等、更にはこ
れらのポリスチレン系樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹
脂例えばポリフェニレンエーテルとの混合物を含む。
【0024】また、本発明におけるポリメチルペンテン
系樹脂とは、80モル%以上、好ましくは90モル%以
上が4−メチルペンテン−1から誘導される単位を有す
るポリマーであり、他の成分としてはエチレン単位、プ
ロピレン単位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1
等からの誘導単位が例示される。
【0025】かかるポリメチルペンテンのメルトフロー
レートは200g/10分以下であることが好ましく、
更に好ましくは30g/10分以下、特に好ましくは1
0g/10分以下である。これは、メルトフローレート
が200g/10分を超える場合には、フィルムの軽量
化効果を得にくくなるからである。
【0026】また、本発明におけるポリプロピレン系樹
脂としては、アイソタクティックポリプロピレン、シン
ジオタクティックポリプロピレン等のホモポリマーの
外、その他の成分をグラフトあるいはブロック共重合し
た改質樹脂も含まれる。
【0027】本発明は以上の成分を必須要素とするもの
であるが、空洞形成剤として、他の樹脂を併用する事も
可能である。この場合添加可能な樹脂としては、例えば
ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹
脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
スルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンサ
ルファイド系樹脂、環状オレフィン系ポリマーあるいは
その開環重合物などがあげられるが、これらに制限され
るものではない。
【0028】これらの空洞形成剤すなわちポリエステル
に非相溶な熱可塑性樹脂のポリエステルに対する混合量
は、目的とする空洞の量によって異なってくるが、フィ
ルム全体に対して5〜20重量%の範囲とすることが必
要であり、更に好ましい範囲は8〜16重量%である。
5重量%未満では、空洞の生成量を多くすることに限界
がある。逆に、20重量%以上では、フィルムの延伸性
が著しく損なわれ、また耐熱性や強度、腰の強さが損な
われるため好ましくない。
【0029】また、フィルム中には、隠蔽性等を向上さ
せるため、ポリエステル中あるいは空洞形成剤中に、無
機または有機の粒子を必要に応じて添加してもよい。添
加可能な粒子としては、シリカ、カオリナイト、タル
ク、炭酸カルシウム、ゼイライト、アルミナ、硫酸バリ
ウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化
亜鉛、有機白色顔料等が例示されるが特に限定されるも
のではない。
【0030】本発明の微細空洞含有ポリエステル系フィ
ルムは、上記構成成分からなるものであり、層構造とし
ては単層であってもよく或いは2層以上の複層構造であ
っても構わないが、少なくともフィルムの片面にポリオ
レフィン系樹脂を含まないスキン層を有していることが
好ましく、特に前記スキン層を両面に有していることが
好ましい。これは、工程汚染やコンタミの原因となるポ
リオレフィン系樹脂のフィルム表層へのブリードを効果
的に抑制出来るからである。また、スキン層を設けてフ
ィルムを多層構成とすることは、フィルム表面に特徴的
な機能を付与出来る観点からも好ましい。
【0031】スキン層を形成する方法としては、共押し
出し法が好んで用いられる。これは、樹脂の溶融押し出
し直後から冷却固化の間に生じるポリオレフィン系樹脂
のブリードを効果的に抑制する効果があるからである。
【0032】かかるスキン層の厚みは、ポリオレフィン
系樹脂のブリード抑制という観点からは、個々のスキン
層の厚みはフィルム全体厚みの0.5%以上とすること
が好ましい。一方、スキン層厚みの上限は、フィルム全
体の軽量性を確保するために、フィルム全体厚みの30
%以下とすることが好ましい。
【0033】本発明の微細空洞含有ポリエステル系フィ
ルムの軽量性は任意であるが、本発明の効果が有効に発
揮可能な範囲として、見かけ比重は 0.6〜1.2 の範囲で
あることが好ましく、特に 0.7〜1.1 の範囲がより好ま
しい。これは、見かけ比重が0.6未満のものでは空洞含
有率が大きすぎ、フィルムが強度不足となったり、可撓
性が不十分になりやすい。逆に 1.2を超える高比重のも
のでは、空洞含有率不足となり、クッション性や柔軟性
など、空洞形成即ち軽量化によって与えられる特性が有
効に発揮されなくなるからである。
【0034】本発明の微細空洞含有ポリエステル系フィ
ルムの色調は任意であるが、b値が3未満であることが
好ましい。b値が3を超える場合には、フィルムが黄色
味を帯び、その品位を大きく損なってしまう。
【0035】本発明の微細空洞含有ポリエステル系フィ
ルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものでは
ないが、上記組成からなる混合物をフィルム状に成形し
て未延伸フィルムとした後、該未延伸フィルムを延伸す
るという一般的な方法を用いる事が出来る。
【0036】未延伸シートを延伸・配向処理する条件
は、空洞の生成と密接に関係する。以下では、最も好ん
で用いられる逐次2軸延伸方法、特に未延伸シートを長
手方向次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸・
配向条件を説明する。まず、第1段の縦延伸工程では、
周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸す
る。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる
方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それ
らを併用してもよい。ただし、非相溶性樹脂界面に空洞
を多数発現させるためには、延伸温度をポリエステルの
2次転移温度Tg+50℃以下で、3〜5倍に延伸する。
次いで1軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向に
ポリエステルの融点Tm−10℃以下の温度で、 2.5〜5
倍 に延伸する。
【0037】このようにして得られた2軸延伸フィルム
に対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター
中で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−50℃
〜Tmの範囲で行うのが好ましい。
【0038】また、本発明の微細空洞含有ポリエステル
系フィルムは、少なくともそのいずれか一方の表面に塗
布層を有していても構わない。そして、塗布層を設ける
ことにより、インキやコーティング剤などの塗れ性や接
着性を改良することができる。塗布層を構成する化合物
としては、ポリエステル系樹脂が好ましいが、この他に
も、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ア
クリル系樹脂などの通常のポリエステルフィルムの接着
性を向上させる手段として開示されている化合物等が適
用可能である。
【0039】また塗布層を設ける方法としては、グラビ
アコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレ
イコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート
方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式
など通常用いられている方法が適用できる。塗布する段
階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸
後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に
塗布する方法などのいずれの方法も可能である。
【0040】このようにして得られた微細空洞含有ポリ
エステル系フィルムは、フィルムの可撓性と軽量性とを
高度なレベルで両立する。更に、ポリオレフィン系樹脂
の分散剤として界面活性剤やポリエーテル系樹脂を必要
としないため、耐熱性にも優れており、自己回収原料を
再使用しても色調の変化が小さく、フィルム製造の安定
性にも優れている。自己回収原料を再使用する場合の好
ましい使用比率は、5〜50重量%である。
【0041】実施例 次に本発明の実施例および比較例を示す。本発明に用い
る測定・評価方法を以下に示す。
【0042】1)見かけ比重 フィルムを10cm×10cmの正方形に正確に切り出
し、その厚みを50点測定して平均厚みt(単位μm)
を求める。次にサンプルの重量を0.1mgまで測定
し、w(単位g)とする。そして、下式によって見かけ
比重を計算した。 (数1) 見かけ比重(−)=(w/t)×100
【0043】2)フィルムの可撓性 フィルムを長さ5cm、幅1cmの短冊状に切り取り、
直径2mmのステンレス棒に巻き付け、しごく。その後
サンプルを再度伸ばし、実体顕微鏡を用いて表面に発生
した折れシワの状態を観察した。
【0044】3)フィルムの色調 JIS Z8729−1994に準じ、b値で評価し
た。
【0045】実施例1 原料として、極限粘度0.64のポリエチレンテレフタレー
ト樹脂70重量%にメルトフローインデックス 2.0のポ
リスチレン樹脂(三井東圧株式会社製トーポレックス57
0-57U )3重量%、メルトフローインデックス1.7 のポ
リプロピレン樹脂(三井東圧株式会社製ノーブレンFO-5
0F)6重量%、メルトフローインデックス8のポリメチ
ルペンテン樹脂(三井石油化学株式会社製TPX,DX
−845)21重量%をペレット混合し、2軸押し出し
機に供給して十分に混練りし、ストランドを水中キャス
トして冷却した後、ストランドカッターで切断し、空洞
形成剤を含有するマスターペレット(A)を作製した。
【0046】得られたマスターペレットを熱風乾燥(1
70℃×3時間)した後、マスターペレット43重量
%、同様に熱風乾燥した固有粘度0.62のポリエチレンテ
レフタレート樹脂55重量%、平均粒径 0.3μm (電顕
法)のアナタース型二酸化チタン(富士チタン株式会社
製TA-300)2重量%を混合し、フィルムの原料とした。
【0047】これらの原料を、2軸押出機に供給して混
練し、Tダイを用いて30℃に調節された冷却ドラム上に
押し出し、厚み約650μm の未延伸シートを作成し
た。引き続き、得られた未延伸シートを加熱ロールを用
いて86℃に加熱し、ロール間で3.4倍の縦延伸を行っ
た。引き続きテンターで120℃に加熱して 3.7倍に横
延伸し、幅固定して 230℃で5秒間の熱処理を施し、更
に 220℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚み75
μm の微細空洞含有ポリエステル系フィルム(実施例
1)を得た。
【0048】実施例2、比較例1〜3 マスターペレットの組成及びフィルムの組成を、それぞ
れ表1及び表2に示した通りに変更し、2軸延伸後のフ
ィルム厚みが75μm となるように未延伸シートの厚みを
調節すること以外は、実施例1と同様の方法によりフィ
ルムを作製した。
【0049】比較例4 分子量8000のポリエチレングリコールをポリエステ
ルを製造する途中の段階(エステル交換反応後重縮合
前)で15重量%添加し、極限粘度0.83のポリエチ
レンテレフタレート−ポリエーテル共重合体を得た。得
られたチップを熱風乾燥(170℃×3時間)した後、
メルトフローレート26のポリメチルペンテン(三井石
油化学株式会社製TPX,RT−18)チップを10重
量%チップブレンドしてフィルムの原料とした。
【0050】この原料を用い、2軸延伸後のフィルム厚
みが75μm となるように未延伸シートの厚みを調節する
こと以外は、実施例1と同様の方法により、フィルムを
作製した。
【0051】実施例3、比較例5 実施例1および比較例4で得られたフィルムの一部をフ
ラフ状に裁断した後、ベント式2軸押し出し機に供給
し、回収ペレットを作製した。得られた回収ペレットを
30重量%使用し、残りの70重量%については実施例
1および比較例4と同様の組成比で原料を混合した。こ
のようにして得られた自己回収原料を30重量%含有す
る原料を用い、2軸延伸後のフィルム厚みが75μm とな
るように未延伸シートの厚みを調節すること以外は、実
施例1および比較例4と同様の方法で、実施例3および
比較例5のフィルムを作製した。なお、比較例5のフィ
ルムは、比較例1と全く同じ延伸条件下では横延伸時の
フィルム破断が頻発したため、横延伸倍率を2.5倍に低
下させてフィルムを作成した。
【0052】実施例4 実施例1で用いた原料をフィルムコア層の原料として用
い、別途極限粘度0.64のポリエチレンテレフタレート樹
脂65重量%とアナタース型2酸化チタン(富士チタン
製TA-300)35重量%を混合したものをスキン層原料と
して用いた。そしてコア層原料を2軸押し出し機に供給
するとともに、混合されたスキン層原料をベント式2軸
押出機に供給し、フィードブロックに供給してコア層の
両面にスキン層をを結合した。このとき、スキン層原料
とコア層原料の体積比が1対9となるように、ギアポン
プを用いて吐出量を制御した。次いでTダイを用いて30
℃に調節された冷却ドラム上に押し出し、厚み約630
μm の未延伸シートを作成した。後の工程は実施例1と
全く同様の方法で、スキン層を有する厚み75μmの微細
空洞含有ポリエステル系フィルム(実施例4)を得た。
【0053】このようにして得られたフィルムの特性を
表3に示す。なお、比較例5のフィルムは延伸倍率を著
しく低下させたため、フィルムの厚みムラが著しく、比
重および可撓性については信頼性のある評価が実施出来
なかった。そのため、表3には評価結果を記載していな
い。
【0054】表3から、以下のように考察することが出
来る。まず、本発明の構成用件を満足する実施例1およ
び実施例2では、低比重であるにも関わらず十分な可撓
性が得られ、優れた色調と均一な表面状態を安定して得
ることができる。また、自己回収原料を多量に含有する
実施例3においても、色調や製膜安定性を損なうことな
く、優れた品質が得られることが分かる。
【0055】これに対し、本発明の必須成分であるポリ
プロピレン系樹脂を全く含まない場合には、フィルムの
低比重化効果が不十分となる(比較例1)か、フィルム
表面の均一性や可撓性が不十分となる(比較例2)こと
が分かる。
【0056】また、ポリプロピレン系樹脂の混合比率が
本発明で規制される範囲よりも大きい比較例3では、低
比重化効果が不十分となることが分かる。
【0057】また、ポリメチルペンテン系樹脂とポリエ
ーテルを併用添加する従来の方法では、可撓性や表面の
均一性が不十分となること(比較例4)、自己回収原料
を再使用した場合(比較例5)には、フィルムの製膜性
が著しく不良となるばかりではなく、種々の品質を著し
く低下させることが分かる。
【0058】更に、スキン層を有し、かつ本発明の構成
要件を満足する実施例4では、所期の効果が得られるの
みならず、フィルム製造工程の汚染が非常に優れている
ことが分かる。
【0059】
【発明の効果】本発明の微細空洞含有ポリエステル系フ
ィルムは軽量性、可撓性、色調が良好なばかりでなく、
表面状態が均一、且つ生産性に優れていることがわか
る。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルに該ポリエステルに非相
    溶の熱可塑性樹脂を混合した重合体混合物を2軸延伸・
    熱処理することによって得られる微細空洞含有ポリエス
    テル系フィルムであって、ポリエステルに非相溶の熱可
    塑性樹脂として、少なくともポリスチレン系樹脂とポリ
    メチルペンテン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂を含
    有し、ポリスチレン系樹脂の含有量(a重量%)とポリ
    メチルペンテン系樹脂の含有量(b重量%)およびポリ
    プロピレン系樹脂の含有量(c重量%)が以下の関係を
    満足することを特徴とする微細空洞含有ポリエステル系
    フィルム。 0.01≦a/(b+c)≦1 c/b≦1 5≦a+b+c≦30
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフィルムの少なくとも片
    面に、ポリオレフィン系樹脂を含まないスキン層を有
    し、該スキン層個々の厚みがフィルム全体厚みの0.5
    〜30%であることを特徴とする微細空洞含有ポリエス
    テル系フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のフィルム全体の
    見かけ比重が0.6〜1.2であることを特徴とする微
    細空洞含有ポリエステル系フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載のいずれかのフィル
    ムのフィルム原料全体に対する自己回収原料の使用比率
    が5重量%以上であることを特徴とする微細空洞含有ポ
    リエステル系フィルム。
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