JP3475545B2 - 粉末冶金用混合鋼粉及びそれを含む焼結用材料 - Google Patents

粉末冶金用混合鋼粉及びそれを含む焼結用材料

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JP3475545B2 JP02054295A JP2054295A JP3475545B2 JP 3475545 B2 JP3475545 B2 JP 3475545B2 JP 02054295 A JP02054295 A JP 02054295A JP 2054295 A JP2054295 A JP 2054295A JP 3475545 B2 JP3475545 B2 JP 3475545B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉末冶金用混合鋼粉及
びそれらを含む焼結用材料に関し、詳しくは、Mo−V
予合金鋼粉と鉄燐粉の混合鋼粉、Mo−V予合金鋼粉
と、鉄燐粉と、Mo粉、Cu粉、Ni粉、Co粉、W粉
の一種以上との混合鋼粉、Mo粉、Cu粉、Ni粉、C
o粉、W粉の一種以上を部分的に拡散接合した部分拡散
Mo−V予合金鋼粉と鉄燐粉の混合鋼粉、及びこれら混
合鋼粉に、黒鉛粉、潤滑材及び有機物系結合剤のなかの
一種以上を混合した焼結用材料に係わる。
【0002】
【従来の技術】合金鋼粉を原料に粉末冶金プロセスで成
形、焼結して製造される焼結体、焼結浸炭焼入体、焼結
鍛造体及び焼結鍛造浸炭焼入体(焼結後に、サイジン
グ、コイニング、切削、穿孔等の加工によって寸法や形
状の矯正・造形加工を行ったり、あるいはショットピー
ニングや浸炭窒化物等の表面処理を施すものを含むの
で、以下「焼結熱処理体」という)は、次第に高強度部
品の領域にまでその使用範囲が拡大されつつある。例え
ば、高い引張強さ、衝撃値及び疲れ強さが要求される自
動車部品用ギヤなどが、その典型的なものである。この
自動車用ギヤを製造する場合、その引張強さ、衝撃値及
び疲れ強さを向上させるため、一旦鉄にMo、Cu、N
i、Co、W、Mn、Cr、V、P、Siなどを合金化
させた鉄系の焼結体を製造し、その後、浸炭、窒化、焼
入れ−焼戻し等の熱処理を施すのが一般的である。しか
し、この鉄系の焼結熱処理体は、その引張強さが高いほ
ど疲れ強さも高くなるが、その反面、衝撃値が低下する
場合も多いので、対策として原料粉の改善に着目して、
引張強さと衝撃値を共に高めるか、あるいは引張強さと
衝撃値のバランスを保った合金鋼粉の研究、開発が行わ
れてきた。
【0003】つまり、鉄系の焼結熱処理体の高強度化及
び高靱性化には、(a)基地(マトリックスともいう)
の強化、(b)焼結体の高密度化(空孔減少化)、
(c)酸素含有量の低減(低介在物量化)を図る必要性
が明確となり、原料粉としての鉄粉や合金鋼粉の製造工
程あるいは圧縮成形する前の混合工程(原料粉の段階と
もいう)で、鉄にC、Mo、Cu、Ni、Co、W、M
n、Cr、V、P、Siなどの合金元素を加えるように
なったのである。そして、該原料粉の段階で、上記合金
元素を加えた粉末として、 (1)純鉄粉に各合金元素粉末を配合した混合粉 (2)予め溶鋼段階で完全に各元素を合金化した予合金
鋼粉 (3)純鉄粉や予合金鋼粉の表面に各合金元素粉末を部
分的に拡散接合した部分拡散合金鋼粉(複合合金鋼粉と
もいう) 等が製造されるようになった。
【0004】しかしながら、(1)の純鉄粉に各合金元
素粉末を配合した混合粉は、上記(b)の高密度化の意
図において、純鉄粉並みの高圧縮性を確保できるという
利点があるが、焼結に際して焼結雰囲気中や浸炭雰囲気
中のCO2 濃度や露点を低く厳密に制御しないと,添加
したFeより活性金属であるMn、Cr、V、Siなど
が酸化を起こして(c)の低酸素量化を図れず、さら
に、各合金元素がFe中に十分拡散せずに不均質組織の
ままとなって(a)の基地強化を達成できないという問
題があった。そのために、(1)の純鉄粉に各合金元素
粉末を配合した混合粉は、近年の高強度化の要求に対応
できず、最近では使用されない状態に至っている。
【0005】これに対し、(2)の各元素を完全に合金
化した予合金鋼粉は、溶鋼を水でアトマイズして製造す
るため、溶鋼のアトマイズ工程での酸化と完全合金化に
よる固溶硬化作用を生ずるが、Mo、Mn、Cr、V、
Si、Pなどの合金元素の種類と量を限定することによ
り、(c)の低酸素量化と(b)の純鉄粉並みの高圧縮
性とを確保できる。また、(a)の完全合金化による基
地強化の可能性もあり、高強度用高靱性の予合金鋼粉と
して現在も開発が行われている。また、(3)の部分拡
散合金鋼粉は、純鉄粉や予合金鋼粉に各元素の金属粉末
を配合し非酸化性または還元性の雰囲気のもとで加熱し
て、純鉄粉や予合金鋼粉の表面に各金属粉末を部分的に
拡散接合して製造するため、(1)の混合粉及び(2)
の予合金鋼粉の良い点を組み合わせることができる。し
たがって、(c)の低酸素量化と(b)の純鉄粉並みの
高圧縮性とを確保でき、完全合金相と部分的な濃化相か
らなる複合組織となって(a)の基地強化の可能性があ
り、高強度高靱性用の部分拡散予合金鋼粉として現在も
開発が行われている。
【0006】そこで、以下に予合金鋼粉及び部分拡散予
合金鋼粉について詳述するが、これらの基本的な合金成
分としては、多くの場合Moが用いられる。これは、鉄
鋼材料の強化元素として通常Moが用いられるのと同じ
理由による。すなわち、鉄鋼材料において、Moは、パ
ーライトの生成を遅延させ、ベイナイト組織として母相
(マトリックス)を変態強化し、母相と炭化物に分配し
て母相を固溶強化するとともに、微細炭化物となって母
相を析出強化したり、ガス浸炭性が良く非粒界酸化元素
なので、浸炭強化する。そして、Moを含む予合金鋼粉
の焼結の段階では、(a)の基地強化と(b)の空孔減
少化及び空孔球状化のために、それに鉄燐粉を混合し
て、Fe−P2元系やFe−Mo−P−Cの4元系の共
晶温度、つまり1050℃〜1180℃で発生する融液
及びFe−Mo−Pのα相形成を利用することが行われ
るようになった。
【0007】例えば、公表特許公報平5−506482
号及び公表特許公報平5−507967号は、Moを必
須として含み、Cr、Vを制限した予合金鋼粉と鉄燐粉
を混合して高強度高靱性の焼結体を得る技術を開示し
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、公表特
許公報平5−506482号に記載の混合粉及びその焼
結体は、Mo+Wの全量が3〜20wt%の範囲内にあ
るようなMo:3〜15wt%及びW:3〜20wt%
の、いわゆる高速度鋼組成の予合金鋼粉に、P量で0.
2〜1.0wt%のFe3 PとC量で0.5〜1.5w
t%の黒鉛粉を混合し、焼結したものである。この高速
度鋼組成の予合金鋼粉及び焼結体は、全量で2wt%未
満、望ましくは1wt%未満のCr及び(または)Vを
含むことができるというものであるが、Si、Mn、
P、S、Alと言った不純物元素量についての記載がな
く、言及もされていない。したがって、この高速度鋼組
成の予合金鋼粉及び焼結体は、水アトマイズ、還元焼
鈍、焼結及び浸炭焼入れの各工程でSi、Mn、Cr、
Alが酸化して予合金鋼粉のO量が増え、さらにP、S
の固溶硬化によって圧粉密度及び焼結密度を低下させ、
焼結体強度及び浸炭焼入れ体の強度及び衝撃値を低下さ
せるという問題点がある。特に、Mn及びCrは、該焼
結・浸炭焼入体において、残留オーステナイトを増加さ
せ、強度をさらに低下させるという別の問題がある。ま
た、O量が1.0wt%を超えたFe3 P粉を用いた場
合、Fe3 P粉を添加したにもかかわらず、焼結・浸炭
焼入体の強度及び靱性が向上しないという問題点もあ
る。
【0009】一方、公表特許公報平5−507967号
に記載の混合粉及びその焼結体は、Mo量が0.3〜
3.5wt%の範囲内にある予合金鋼粉に、P量で0.
3〜0.7wt%のFe3 P粉を混合し焼結したもので
ある。そして、この混合粉及び焼結体は、Cを0.1w
t%未満、好適にはCを0.07wt%未満とし、その
他の合金元素の量を2wt%以下、最適には0.5wt
%以下にすることで、衝撃値の高い焼結体を製造すると
いうものであった。しかし、この混合粉の予合金鋼粉
は、Moが単一合金であることのために、また、O量が
1.0wt%を超えたFe3 P粉を用いた場合、Fe3
P粉を添加したにもかかわらず、焼結・浸炭焼入体の強
度及び靱性が向上しないという問題点があった。
【0010】そこで、本発明は、かかる事情を鑑み、粉
末段階における低酸素量化と純鉄粉並みの高圧縮性を確
保し、かつ焼結体または浸炭焼入体における低酸素量
化、基地強化及び空孔の減少と球状化を達成したMo−
V系の予合金鋼粉と鉄燐粉との混合粉を提供することを
目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため鋭意研究を行い、溶鋼のアトマイズ工程、還
元焼鈍工程、焼結工程及び浸炭焼入れなどの熱処理工程
において、Feより易酸化性元素の量を低く制限し、且
つ鉄燐粉から混入する酸素を防ぐと、低酸素量化を達成
できるとう知見を得た。また、Mo−Vを必須とした予
合金鋼粉に、O量が1.0wt%以下の鉄燐粉を混合し
て焼結すると、鉄燐粉のP酸化量がFe−Pの2元素及
びFe−Mo−P−Cの4元系融液の発生と拡散を阻害
せず、焼結が促進するという基本的知見も得た。
【0012】本発明は、かかる知見を具現化したもので
あり、重量%で、C:0.02%以下、Si:0.1%
以下、Mn:0.3%以下、P:0.03%以下、S:
0.03%以下、Cr:0.1%以下、Al:0.1%
以下、Mo:0.1〜6.0%、V:0.05〜2.0
%、O:0.25%以下を含み、残部がFe及び不可避
不純物からなる予合金鋼粉と、O量が1.0%以下の鉄
燐粉とを、P量が0.1〜0.6%になるよう混合して
なることを特徴とする粉末冶金用混合鋼粉である。ま
た、本発明は、上記予合金鋼粉が、さらに重量%で、C
u:4.0%以下、Ni:6.0%以下、Co:10.
0%以下の1種以上を含んだり、Nb:0.10%以
下、B:0.03%以下の1種以上を含むことを特徴と
する粉末冶金用混合鋼粉である。さらに、本発明は、上
記記載のいずれかの予合金鋼粉に、重量%で、Mo:4
%以下、Cu:4%以下、Ni:10%以下、Co:4
%以下及びW:8%以下のいずれか1種以上の金属粉末
を部分的に拡散付着してなることを特徴としたり、Mo
粉:4%以下、Cu粉:4%以下、Ni粉:10%以
下、Co粉:4%以下及びW粉:8%以下のなかの1種
以上の金属粉末を単に混合してなることを特徴とする粉
末冶金用混合鋼粉でもある。そして、これらの粉末冶金
用混合鋼粉に、重量%で、黒鉛粉:1.2%以下と、2
%以下の潤滑剤及び有機物系結合剤の1種以上とを混合
してなることを特徴とする焼結用材料も本発明とした。
【0013】
【作用】本発明では、重量%で、C:0.02%以下、
Si:0.1%以下、Mn:0.3%以下、P:0.0
3%以下、S:0.03%以下、Cr:0.1%以下、
Al:0.1%以下、Mo:0.1〜6.0%、V:
0.05〜2.0%、O:0.25%以下を含み、残部
がFe及び不可避不純物からなる予合金鋼粉と、O量が
1.0%以下の鉄燐粉とを、P量が0.1〜0.6%に
なるよう混合してなることを特徴とする粉末冶金用混合
鋼粉としたので、溶鋼のアトマイズ工程、還元焼鈍工
程、焼結工程及び浸炭焼入等の熱処理工程で起きる酸化
を極くわずかに低減でき、鋼粉段階でのFe基地の硬さ
を純鉄粉並みにできるようになる。その結果、鉄燐粉と
の混合粉、あるいはそれに黒鉛粉を混合したものは、純
鉄粉を用いた時のような高圧縮性を示すようになり、さ
らにPの固溶強化と空孔球状化やMo炭化物の析出によ
り、Mo単一合金鋼に比べ一段と高強度高靭性を有する
ようになった。
【0014】なお、P量が0.1〜0.6%の意味は、
次式の通りである。 P2 /(W1 +W2 )×100=0.1〜0.6 ここで、W1 は予合金鋼粉量、W2 は鉄燐粉量、P2
鉄燐粉中のP量。 また、本発明では、上記予合金鋼粉に、重量%で、C
u:4.0%以下、Ni:6.0%以下、Co:10.
0%以下の1種以上を含ませたり、Nb:0.10%以
下、B:0.03%以下の1種以上を含ませたり、ある
いは上記2種類の成分元素を同時に含ませるようにした
ので、上記効果は一層確実に達成できるようになる。
【0015】さらに、本発明では、上記記載のいずれか
の予合金鋼粉に、重量%で、Mo:4%以下、Cu:4
%以下、Ni:10%以下、Co:4%以下及びW:8
%以下のいずれか1種以上の金属粉末を部分的に拡散付
着してなることを特徴としたり、Mo粉:4%以下、C
u粉:4%以下、Ni粉:10%以下、Co粉:4%以
下及びW粉:8%以下のなかの1種以上の金属粉末を単
に混合してなることを特徴とする粉末冶金用混合鋼粉と
したので、これらの混合鋼粉を焼結体及び浸炭焼入れ等
の熱処理体とした際には、それらの組織が複合化し、一
段と高強度高靭性が達成されるようになるし、また成形
性も良くなる。
【0016】以下に、本発明に係る粉末冶金用混合鋼粉
及び焼結体における予合金鋼粉中の各合金元素、鉄燐
粉、黒鉛粉及び潤滑剤の作用効果及び含有量の限定理由
を述べる。 C:0.02%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.
3%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、
Cr:0.1%以下、Al:0.1%以下、O:0.2
5%以下の予合金成分について;C、Si、Mn、P、
S、Cr及びOは、それらの合金量が低いほど予合金鋼
粉の圧縮性向上の傾向を示す。特に、C、P、Sは、該
予合金鋼粉のフェライト相の硬化作用が大きく、圧縮加
工性を著しく悪化させる元素であるので、添加量が少な
いことが好ましい。また、Si、Mn、Cr、A1は、
予合金鋼粉のO量と正相関があり、さらに圧粉密度の間
にも正相関があるので、それらが多いと本発明の目的が
達成できず、O量が0.25%を超えた予合金鋼粉に鉄
燐粉を混合して焼結したとき、Fe3 P粉を混合したに
もかかわらず、焼結・浸炭焼入体の強度及び靱性が向上
しない。従って、本発明では、Si:0.1%以下、M
n:0.3%以下及びCr:0.1%以下、Al:0.
1%以下を、O:0.25%以下を予合金鋼粉の条件と
し、この条件に加え、C:0.02%以下、P:0.0
3%以下及びS:0.03%以下にして純鉄粉並みの圧
粉密度をもつ予合金鋼粉にできたのである。
【0017】すなわち、該予合金鋼粉に潤滑剤としてス
テアリン酸亜鉛粉を1wt%混合し、JPMA P 0
9−1992に従い686MPaの圧力で成形した圧粉
体の密度を測定した時、7.0Mg/m3 以上の純鉄粉
並みの圧粉密度を得、また、該予合金鋼粉に鉄燐粉を混
合して成形、焼結した焼結・浸炭焼入体を高強度高靱性
化するためには、予合金鋼粉はC:0.02%以下、S
i:0.1%以下、Mn:0.3%以下、P:0.03
%以下、S:0.03%以下、Cr:0.1%以下、A
l:0.1%以下、O:0.25%以下に抑えなければ
ならなかった。
【0018】Mo:0.1〜6.0%、V:0.05〜
2.0%の予合金成分について;MoとVは、ともに鋼
粉のフェライト相の硬化作用が小さく、圧縮加工性が良
好で、浸炭窒化性に優れ、Cを含む焼結熱処理体におい
てはベイナイト相またはマルテンサイト相に変態し、微
細炭窒化物を析出して組織を微細化するため、高強度化
を達成する必須元素である。また、MoとVとを含む予
合金鋼粉に鉄燐粉を混合して焼結すると、Fe−P系の
共晶温度:1050〜1180℃で発生する融液による
遷移的液相焼結と、Fe−Mo−V−Pのα相焼結とが
生じて空孔の減少と球状化を促進するために、焼結体を
高靱性化する。Mo:0.1%未満とV:0.05%未
満では、強度や靱性の向上に効果がなく、一方Mo:
6.0%超え及びV:2.0%超えの添加では、純鉄粉
並みの圧粉密度を得ることができない。したがって、M
o:0.1〜6.0%、V:0.05〜2.0%の範囲
に限定した。
【0019】Cu:4.0%以下、Ni:6.0%以
下、Co:10.0%以下、W:4.0%以下の予合金
成分について;Mo−Vを必須とした予合金鋼粉に、C
u、Ni、Co及びWの1種以上を予合金として含ませ
ることにより、焼結熱処理体(Cを含む)においては、
ベイナイト相またはマルテンサイト相への変態開始を低
温度側に移行させ、組織を微細化する。また、浸炭・焼
入体においては、マルテンサイト変態開始を低温度側に
移行させて基地を強化する。そのため、Cu,Ni,C
o,Wの添加は、焼結体及び浸炭・焼入体のいずれにお
いても高強度化に貢献する。Cu:4.0%超え、N
i:6.0%超え、Co:10.0%超え、W:4.0
%超えだと、圧粉体の密度が低下し過ぎ、また浸炭・焼
入体の残留オーステナイトが増大して強度を低下させ
る。よって、Cu:4.0%以下、Ni:6.0%以
下、Co:10.0%以下及びW:4.0%以下の範囲
に限定する。
【0020】Nb:0.10%以下、B:0.03%以
下の予合金成分について;Mo−V予合金鋼粉、及びC
u、Ni、Co及びWの1種以上を含むMo−Vを必須
とする予合金鋼粉に、NbまたはBの1種以上を予合金
成分として含ませると、焼結熱処理体(Cを含む)にお
いて炭窒化物を微細析出してマトリックスをさらに強化
するが、それぞれNb:0.10%超え、B:0.03
%超えの範囲では強度の向上効果がない。よって、N
b:0.10以下、B:0.03以下に限定する。
【0021】Mo量で4%以下のMo粉または酸化Mo
粉、Cu量で4%以下のCu粉または酸化Cu粉、Ni
量で10%以下のNi粉または酸化Ni粉、Co量で4
%以下のCo粉または酸化Co粉、W量で4%以下のM
粉または酸化W粉を配合することについて;Mo−V予
合金鋼粉、またはCu、Ni、Co及びWの1種以上を
含むMo−Vを必須とする予合金鋼粉、またはCu、N
i、Co、Wの1種以上とNb、Bの1種以上とを含む
Mo−Vを必須とする予合金鋼粉に、Mo粉、Cu粉、
Ni粉、Co粉、W粉の1種以上を配合することによ
り、焼結熱処理体(Cを含む)において、完全合金相と
部分的な濃化相から成る複合組織を形成して基地を強化
するため、焼結体及び浸炭・焼入体のいずれにおいても
一段と高強度化することができる。このときの複合組織
は、C量とMo粉、Cu粉、Ni粉、Co粉及びW粉と
の配合組み合わせによって、Mo−V−Wの炭窒化物が
微細析出したベイナイト相とマルテンサイト相とに配分
される。この場合の配合とは、Cu、Ni、Co、Wが
それぞれ金属粉のときは混合または部分拡散熱処理する
ことを意味する。また、Cu、Ni、Co、Wがそれぞ
れ酸化物粉のときは酸素除去を兼ねた部分拡散熱処理す
ることを意味する。
【0022】それぞれ、Mo量が4%を超え、Cu量が
4%を超え、Ni量が10%を超え、Co量が4%を超
えると、圧粉体の密度が低下し過ぎ、また浸炭焼入体で
は、残留オーステナイトが増大して強度を低下する。し
たがって、Cu、Ni、Co、Wの粉末配合量は、それ
ぞれMo量で4%以下、Cu量で4%以下、Ni量で1
0%以下、Co量で4%以下及びW量で4%以下の範囲
に限定する。
【0023】鉄燐粉のO量:1.0%以下、鉄燐粉の混
合量:P分重量で0.1〜0.6%、黒鉛粉:1.2%
以下、潤滑剤及び有機系結合剤のなかの1種以上:2%
以下について;Mo−Vを必須とした予合金鋼粉に、O
量が1.0wt%以下の鉄燐粉をP分重量で0.1〜
0.6%と、黒鉛粉末を1.2%以下とを混合して焼結
すると、Fe−P系の共晶温度1050〜1180℃で
発生する融液による遷移的液相焼結と、Fe−Mo−V
−Pのα相焼結とが生じて、空孔を球状化するとともに
減少させるため、該焼結・浸炭焼入体を高強度化する。
なお、該焼結・浸炭焼入体の高強度化高靱性化を図るに
は、P分重量は0.2〜0.6%の範囲、黒鉛量で0.
4〜0.6%範囲が好適である。しかし、鉄燐粉がP分
重量で0.6%を超え、かつ黒鉛粉末が1.2%を超え
て混合した場合には、該焼結・浸炭焼入体はステダイト
相を晶出し、初析セメンタイト相が粗大化するとともに
空孔も粗大化して強度靱性が低下する。また、鉄燐粉の
O量が1.0wt%を超えると、遷移的液相発生量及び
Pの拡散量が減少するために、鉄燐粉を混合したにもか
かわらず該焼結・浸炭焼入体の強度靱性は向上しない。
混合する鉄燐粉としては、Fe 3 P粉及びFe2 P粉を
用い、その粒径は、75μmを超えて粗大すぎると圧粉
密度が低下し、焼結・浸炭焼入体に100μm以上の粗
大空孔を残留させて強度や靱性を低下させるようにな
る。したがって、混合する鉄燐粉には、75μm以下の
ものを使用するが、特に45μm以下が好適である。
【0024】また、混合する黒鉛粉は、1.2%を超え
ると、該焼結・浸炭焼入体中の初析セメンタイト相とス
テダイト相を粗大化して、その強度や靱性を低下させ
る。さらに、金型成形での圧縮性を確保するためには、
潤滑剤及び有機系結合剤のなかの1種以上を2%以下混
合する必要があるが、その量が2%を超えて過剰になる
と、上記圧縮性が低下し、焼結・浸炭焼入体の残留空孔
が多くなり、強度や靱性がかえって低下することにな
る。なお、潤滑剤としては、ステアリン酸、ステアリン
酸亜鉛などの金属石鹸粉を使用でき、有機系結合剤とし
ては、樟脳、ワックス、オレイン酸、ステアリン酸モノ
アミド、ステアリン酸ジアミドなどが用いられる。これ
らの金属石鹸粉及び有機系結合剤は、成形時に混合する
だけでなく、その融点(溶融温度)以上に加熱し、予め
鋼粉表面に付着しておいても良い。
【0025】以下、実施例において、本発明の内容を具
体的に説明する。
【0026】
【実施例】
(実施例1)表1に、水アトマイズ法で製造した6種類
のMo−V系の予合金鋼粉の化学組成を示す(比較例も
含む)。これらのMo−V系の予合金鋼粉は、主原料の
高純度電解Feを高周波誘導電気炉を用いてAr雰囲気
中で溶製した後、8mmφの耐火物製ノズルから該溶鋼
を自然流下させ、円環型の水ノズルから15MPaの圧
力で0.3m3 /minの水を噴射することによって粉
末にしたものである。該予合金鋼粉の成分調整は、上記
電解Feを溶解した溶鋼に、低炭素の各種フェロアロイ
及び/又は電解金属を投入して行った。また、上記Mo
−V系の各予合金鋼粉は、水アトマイズの後に脱水・真
空乾燥が施され、180μm篩通過粉についてH2 ガス
(露点が30℃)中で950℃×45minの条件で還
元焼鈍し、ハンマーミルで解砕し、さらにもう一度18
0μm篩通過粉にしてある。なお、表1は、化学成分が
多種にわたるため、2段に分けて表示してある。
【0027】表2は、表1のMo−V系の予合金鋼粉を
用い、粒径が45μm以下でO量が0.4%のFe3
粉(レーザ光回折式粒度分析計で測定したときのメジア
ン径:11μm)を、混合後のP重量で0.6%混合し
た時の圧粉体密度及び焼結体の引張強さ及び衝撃値を示
す。その際、圧粉体密度の測定は、JPMA P 09
−1992に準拠し、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉
を1wt%配合し、圧力686MPaで成形した円筒状
試料で行った。焼結体の衝撃値は、JPMAM 05−
1992に準拠して1wt%のステアリン酸亜鉛粉を配
合して686MPaで成形した上記円筒状試料を下記の
条件で焼結し、ノッチなし試験片として測定した。ま
た、該焼結体の引張強さは、1wt%のステアリン酸亜
鉛粉を配合して686MPaで15×15×55mmの
バーを形成した後焼結し、平行部が5φ×15mmの小
型丸棒試験片に機械加工したもので測定した。なお、上
記の焼結は、(N2 −10vol%H2 )の混合ガス中
で1150℃×60min間保持し、その後700〜3
00℃間を20〜30℃/minの速度で冷却すること
で行った。
【0028】表2から、表1に組成を示したMo−V系
の各予合金鋼粉と、粒径が45μm以下でO量が0.4
0%のFe3 P粉とを全体としてP量が0.6%になる
よう配合した本発明に係る粉末冶金用混合鋼粉(以下、
単に混合鋼粉)は、その圧粉体の密度が7.0Mg/m
3 以上で純鉄粉並みの圧縮性を示し、その焼結体は引張
強さ及び衝撃値共に強いことが明らかである。これに対
し、同表の比較例に示すように、Feより易酸化元素で
あるSi、Mn、Cr、Al、Vが所定量を超える予合
金鋼粉は、O量が急増し、かつC、P、S、Mo、Vが
所定量を超えると、その圧縮性(圧粉密度)が急減す
る。また、Mo、Vを本発明で限定する量を超えて配合
しても、鋼粉の圧縮性が急減するために、その焼結体の
強度及び靱性が急減することも明らかである。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】(実施例2)表3は、1.5%Mo−0.
15%Vの予合金鋼粉(A)の化学組成である。この予
合金鋼粉(A)に、粒径が45μm以下でO量が0.4
0%のFe3 P粉(メジアン径:11μm)を混合し、
圧粉体とした時の密度、及び焼結体の引張強さと衝撃値
におよぼすO量及びP量の影響を表4に示す。
【0032】表4から、混合するFe3 P粉のO量が
1.0%以下のとき、及び混合量がP量で0.1〜0.
6%のとき、焼結体の強度及び靱性が一段と大となっ
た。なお、この予合金鋼粉(A)の製造、圧粉体密度の
測定、焼結条件、焼結体の引張強さと衝撃値の測定はす
べて実施例1の場合と同様である。そして、これら圧粉
体試料の製造及び密度測定、焼結条件、焼結体の引張強
さと衝撃値の測定等は、以下に述べる実施例においても
共通している。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】(実施例3)表5及び表6に水アトマイズ
法で製造したMo−V−Cu−Ni−Co系の予合金鋼
粉の化学組成を示す。また、表7は、表5及び表6のM
o−V−Cu−Ni−Co系の予合金鋼粉を用い、粒径
が45μm以下でO量が0.40%のFe 3 P粉(メジ
アン径:11μm)をP量で0.6%を混合したときの
圧粉体の密度及び焼結体の引張強さ及び衝撃値を示す。
【0036】表7から、表5及び表6に示したMo−V
−Cu−Ni−Co系の予合金鋼粉と、粒径が45μm
以下でO量が0.40%のFe3 P粉とをP量で0.6
%配合した本発明に係る混合鋼粉は、比較例と比べ、圧
粉体の密度が7.0Mg/m 3 以上の純鉄粉並みの圧縮
性を示し、その焼結体は引張強さ及び衝撃値が強いこと
がわかる。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】(実施例4)表8及び表9に水アトマイズ
法で製造したMo−V−Nb−B系予合金鋼粉の化学組
成を示す。また、表10は、表8及び表9のMo−V−
Nb−B系の予合金鋼粉を用い、粒径が45μm以下で
O量が0.40%のFe3 P粉(メジアン径:11μ
m)をP量で0.6%を混合したときの圧粉体密度及び
焼結体の引張強さ及び衝撃値を示す。
【0041】表10から、表8及び表9のMo−V−N
b−B系予合金鋼粉と、粒径が45μm以下でO量が
0.40%のFe3 P粉とをP量で0.6%配合した本
発明に係る混合鋼粉は、比較例に比べ、圧粉体密度が
7.0Mg/m3 以上の純鉄粉並みの圧縮性を示し、そ
の焼結体は引張強さ及び衝撃値が強い。
【0042】
【表8】
【0043】
【表9】
【0044】
【表10】
【0045】(実施例5)表11に水アトマイズ法で製
造したMo−V−Cu−Ni−Co−Nb−B系の予合
金鋼粉の化学組成を示す。また、表12は、表11のM
o−V−Cu−Ni−Co−Nb−B系予合金鋼粉を用
い、粒径が45μm以下でO量が0.40%のFe3
粉(メジアン径:11μm)をP量で0.6%を配合し
た本発明に係る混合鋼粉の圧粉体密度及び焼結体の引張
強さ及び衝撃値を示す。
【0046】表12から、表11のMo−V−Cu−N
i−Co−Nb−B系予合金鋼粉と、粒径が45μm以
下でO量が0.40%のFe3 P粉とをP量で0.6%
配合した本発明に係る混合鋼粉は、比較例に比べ、圧粉
体密度が7.0Mg/m3 以上の純鉄粉並みの圧縮性を
示し、その焼結体は引張強さ及び衝撃値が強いことが明
らかである。
【0047】
【表11】
【0048】
【表12】
【0049】(実施例6)表13に、2.10%Mo−
0.55%V予合金鋼粉(B)、2.10%Mo−0.
55V−2.50%Ni−0.50%Cu−6.50%
Co予合金鋼粉(C)及び2.10%Mo−0.55%
V−2.50%Ni−0.50%Cu−6.50%Co
−0.050%Nb−0.03%B予合金鋼粉(D)の
化学組成を示す。また、表14及び表15は、表13に
記載のB、C,Dの予合金鋼粉を用い、粒径が45μm
以下でO量が0.40%のFe3 P粉(メジアン径:1
1μm)をP量で0.6%と、Mo粉:4%以下、Cu
粉:4%以下、Ni粉:10%以下、Co粉:4%以下
及びW粉:4%以下のうちの1種以上との金属粉を混合
したときの圧粉体密度及び焼結体の引張強さ及び衝撃値
である。なお、Mo粉、Cu粉、Ni粉、Co粉及びW
粉はいずれも酸化物を還元した25μm以下の金属粉を
用い、単純に混合した。
【0050】表14及び15から、2.10%Mo−
0.55%V予合金鋼粉(B)、2.10%Mo−0.
55%V−2.50%Ni−0.50%Cu−6.50
%Co予合金鋼粉(C)及び2.10%Mo−0.55
%V−2.50%Ni−0.50%Cu−6.50%C
o−0.050%Nb−0.03%B予合金鋼粉(D)
と、粒径が45μm以下でO量が0.40%のFe3
粉をP量で0.6%と、Mo粉:4%以下、Cu粉:4
%以下、Ni粉:10%以下、Co粉:4%以下及びW
粉:4%以下のうちの1種以上の金属粉とを配合した本
発明に係る混合鋼粉は、いずれも、それぞれの元の予合
金鋼粉を用いた場合(比較例)より高い圧粉体の密度を
示し、その焼結体の引張強さ及び衝撃値もそれぞれの予
合金鋼粉のみの場合と比べて一段と強いことがわかる。
【0051】
【表13】
【0052】
【表14】
【0053】
【表15】
【0054】(実施例7)表16に、2.10%Mo−
0.55%V−0.55%Nb−0.03%B予合金鋼
粉(E)及び2.10%Mo−0.55%V−6.00
%Ni−4.00%Cu−10.00%Co−0.05
%Nb−0.03%B予合金鋼粉(F)の化学組成を示
す。また、表17は、表16に記載のE、Fの予合金鋼
粉の表面に、Mo量で4%以下、Cu量で4%以下、N
i量で10%以下、Co量で4%以下及びW量で4%以
下のうちの1つ以上を拡散付着させ、これに粒径が45
μm以下でO量が0.40%のFe3 P粉(メジアン
径:11μm)をP量で0.6%を混合したときの混合
鋼粉の圧粉体密度及び焼結体の引張強さ及び衝撃値であ
る。さらに、E、Fの予合金鋼粉へのMo、Cu、N
i、Co及びWの拡散付着は、10μm以下のMoO3
粉、10μm以下のCu2 O粉、45μm以下のカーボ
ニルNi粉、25μm以下の還元Co粉及び25μm以
下の還元W粉を用いて混合し、H2 気流中で800から
900℃の温度勾配のある連続炉で熱処理して行い、ハ
ンマーミルで解砕し、180μmの篩通過粉にした。
【0055】表17から、2.10%Mo−0.05%
Nb−0.03%B予合金鋼粉(E)及び2.10%M
o−0.55%V−6.00%Ni−4.00%Cu−
10.00%Co−0.05%Nb−0.03%B予合
金鋼粉(F)にそれぞれMo、Cu、Ni、Co及びW
のなかの一種以上を拡散付着した予合金鋼粉と、粒径が
45μm以下でO量が0.40%のFe3 P粉をP量で
0.6%とを配合した本発明に係る混合鋼粉は、いずれ
も、それぞれの元の予合金鋼粉を用いた場合(比較例)
より高い圧粉体密度を示し、その焼結体の引張強さ及び
衝撃値もそれぞれの予合金鋼粉の場合と比べて一段と強
いことが明らかである。
【0056】
【表16】
【0057】
【表17】
【0058】(実施例8)表19は、既に表11に記載
した2.10%Mo−0.55%V予合金鋼粉(B)
に、O量が0.40%のFe3 P粉の粒度と配合P量を
変えたとき、黒鉛粉の配合量を変えたとき、潤滑剤及び
有機系結合剤の量を変え、本発明に係る焼結用材料とし
たものの圧粉体密度及び焼結体の引張強さ、衝撃値であ
る。また、表18に示した配合粉は、ヘンシェル・ミキ
サにより120℃に加熱し、15分間だけ混合されてい
る。
【0059】表19から、Fe3 P粉の粒度が75μm
以下のとき、P配合量が0.1〜0.6%のとき、黒鉛
配合量が1.2%以下のとき、潤滑剤及び有機系バイン
ダーの配合量が2%以下のとき、それらの焼結用材料は
高い圧粉体密度を示し、その焼結体の引張強さ及び衝撃
値は強い値を示すことが明らかである。なお、Fe3
粉の粒度が45μm以下で、P配合量が0.2〜0.6
%のとき、黒鉛配合量が0.40〜0.9%のとき、焼
結体の引張強さ及び衝撃値は一段と強い値を示す。ま
た、焼結体断面を研磨して3%硝酸アルコール液でエッ
チした組織を光学顕微鏡で観察すると、Fe3 P粉の粒
度が100μmのとき150μm程度の粗大な空孔が多
数存在し、P配合量が0.7%のときステダイト相が結
晶粒界に存在し、黒鉛配合量が1.3%のとき初析セメ
ンタイト相が結晶粒界に存在することも観察された。
【0060】
【表18】
【0061】
【表19】
【0062】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、溶鋼
のアトマイズ工程、還元焼鈍工程、焼結工程及び浸炭焼
入れ等の熱処理工程において、予合金鋼粉の酸化を極力
防止でき、かつ、鋼粉段階におけるFeの基地の硬さを
純鉄粉並みにできるようになったので、該予合金鋼粉と
鉄燐粉との混合粉、または鉄燐粉、黒鉛粉との混合粉
は、純鉄粉を用いたとき並みの高圧縮性を示すようにな
った。また、Pを含む焼結体及び浸炭焼入れなどの熱処
理体においても、Pによる固溶強化と空孔球状化のため
に、また、CとPを含む焼結体及び浸炭焼入れなどの熱
処理体においても、Pの固溶強化と空孔球状化とMo炭
化物の析出に加えた微細なV炭化物を析出した組織微細
化のために、Mo単一予合金粉を用いた時に比べ、一段
と高強度化高靱性化を有する粉末冶金用混合鋼粉及びそ
れらの焼結体が得られた。さらに、Mo粉、Cu粉、N
i粉、Co粉及びW粉の1種以上を混合したり、部分拡
散合金して含むため、組織が複合化し、焼結体及び浸炭
焼入れなどの熱処理体は、一段と高強度化高靱性化を達
成できるようになった。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.02%以下、Si:
    0.1%以下、Mn:0.3%以下、P:0.03%以
    下、S:0.03%以下、Cr:0.1%以下、Al:
    0.1%以下、Mo:0.1〜6.0%、V:0.05
    〜2.0%、O:0.25%以下を含み、残部がFe及
    び不可避不純物からなる予合金鋼粉と、O量が1.0%
    以下の鉄燐粉とを、P量が0.1〜0.6%になるよう
    混合してなることを特徴とする粉末冶金用混合鋼粉。
  2. 【請求項2】 上記予合金鋼粉が、さらに重量%で、C
    u:4.0%以下、Ni:6.0%以下、Co:10.
    0%以下の1種以上を含むことを特徴とする請求項1記
    載の粉末冶金用混合鋼粉。
  3. 【請求項3】 上記予合金鋼粉が、さらに重量%で、N
    b:0.10%以下、B:0.03%以下の1種以上を
    含むことを特徴とする請求項1又は2記載の粉末冶金用
    混合鋼粉。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれか記載の予合金鋼粉
    に、重量%で、Mo:4%以下、Cu:4%以下、N
    i:10%以下、Co:4%以下及びW:8%以下のい
    ずれか1種以上の金属粉末を部分的に拡散付着してなる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の粉末冶
    金用混合鋼粉。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3いずれか記載の予合金鋼粉
    に、重量%で、Mo粉:4%以下、Cu粉:4%以下、
    Ni粉:10%以下、Co粉:4%以下及びW粉:8%
    以下のなかの1種以上の金属粉末を混合してなることを
    特徴とする請求項1〜3いずれか記載の粉末冶金用混合
    鋼粉。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載の粉末冶金用
    混合鋼粉に、重量%で、黒鉛粉:1.2%以下と、2%
    以下の潤滑剤及び有機物系結合剤の1種以上とを混合し
    てなることを特徴とする焼結用材料。
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