JP3473990B2 - プロピレン系重合体組成物 - Google Patents

プロピレン系重合体組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融張力にすぐれたプ
ロピレン系重合体組成物に関する。この組成物は、従来
のポリプロピレンの欠点である溶融張力が改良されてお
り、ブロー成形、シート成形、ラミネート成形、発泡成
形等に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】結晶性プロピレン系重合体は、他のポリ
オレフィンに比較して透明性、剛性、表面光沢、耐熱性
に優れている反面、溶融張力が小さく、ブロー成形、シ
ート成形、ラミネート成形、発泡成形に劣っていた。こ
の欠点を改良する方法として高圧法低密度ポリエチレン
を添加する方法等が知られている。しかし、この方法で
はポリプロピレンの本来の透明性、剛性を損なうことに
なり、十分な改良と言えない。
【0003】高溶融張力を持ったプロピレン系重合体の
製造方法としては、a.放射線(高エネルギー線)の照
射、b.パーオキサイド架橋などの方法が挙げられる。
これらは、重合後に部分的な架橋を施し、長鎖分岐を導
入することで溶融張力を高める方法である。しかし、a
では大がかりな設備を必要とし、bでは混練を必要とす
るのでコスト的には望ましくない。また、a,bは樹脂
の劣化も同時に起こるので物性面からも好ましくない。
また、高い溶融張力を得るために、多量の橋掛け構造を
導入すると、ゲル成分が多くなり性能を損なうし、少量
では、溶融張力は不足であるという問題点もある。本出
願人らは、かかる組成物としてポリプロピレンに酸無水
物をグラフトしたものを用いる事を提案した(特開昭5
9−109544)が、その効果は必ずしも充分とは言
えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、結晶
性プロピレン系重合体の性能は保持したまま、溶融張力
が改良されたブロー成形、シート成形、ラミネート成
形、発泡成形に適した材料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、不飽和カルボン酸をグラフトした後に、
これと反応する複数の官能基を有する化合物で橋掛け構
造を形成することで得られた、溶融張力とMFRの間に
一定の関係を有する組成物のみが、実質上のゲル成分が
少なく、上述の成形材料に適した組成物となることを見
いだし本発明に到達した。すなわち本発明の課題は、
[1]成分(1):プロピレンの単独重合体およびまた
はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体に、不
飽和カルボン酸及びまたはその誘導体をグラフトした変
性ポリプロピレンと、成分(2):この不飽和カルボン
酸およびその誘導体と反応する官能基を分子内に少なく
とも2個以上有する分子量3000以下の反応性化合物
を必須成分として含み、かつ溶融張力とメルトフローイ
ンデックス(MFR)が次の式(1)の関係にあること
を特徴とするプロピレン系重合体組成物によって達成す
ることができる。 log(溶融張力)>−1.16×log(MFR)+0.92 ‥‥(1)
【0006】以下、本発明の組成物についてさらに詳細
に説明する。本発明における成分(1)の変性ポリプロ
ピレンの製造に使用されるポリプロピレンとしては、プ
ロピレンの単独重合体、またはプロピレンに少量のエチ
レンおよびまたはブテン−1等のモノマーを共重合し
た、いわゆるランダムポリプロピレン、または複数のリ
アクターを用いて逐次重合によって製造されるいわゆる
エチレン・プロピレンブロック共重合体、あるいはこれ
らを組合せた組成物を供することができる。また、これ
らの重合時に少量のジエン類たとえば、1,9−デカジ
エン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、
イソプレン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエ
ン等を加え共重合したものも用いることが出来る。
【0007】本発明における成分(1)の変性ポリプロ
ピレンを得るために用いられる不飽和カルボン酸および
またはその誘導体(以後「不飽和カルボン酸化合物」と
いう)としては例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロ
トン酸、イソクロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、1−ブ
テン−3,4−ジカルボン酸無水物、炭素数が多くとも
18である末端に二重結合を有するアルケニル無水コハ
ク酸、等を挙げることができる。これらは2種類以上同
時に併用しても差し支えない。このうち、無水マレイン
酸、無水イタコン酸が好適に用いられる。
【0008】本発明における成分(1)の変性ポリプロ
ピレンにおいて、該不飽和カルボン酸化合物含有量は
0.01〜2重量%の範囲であり、好ましくは0.03
〜1.0重量%、更に好ましくは0.05〜0.7重量
%の範囲である。該不飽和カルボン酸化合物含有量が
0.01重量%よりも少なくなると、本発明の目的であ
る溶融張力の向上が不十分となるため十分な成形性の改
善効果をえられない。また、2重量%を越えると、ゲル
成分が多く発生し、外観や耐衝撃性などの物性を大きく
損なう。
【0009】また、本発明のポリプロピレン系重合体組
成物は、成分(1)の変性ポリプロピレンが必須である
が、成分(1)のみでなく他の未変性のポリオレフィン
系樹脂が配合されていても良く、本発明の効果がそこな
われない範囲で配合することはむしろ経済的には好まし
いことである。この場合の変性ポリプロピレンに対する
未変性ポリオレフィンの配合割合としては重量で9倍を
超えない範囲であれば本発明の効果を妨げることはな
い。配合されても良い未変性ポリオレフィン樹脂として
は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ
ブテン系樹脂等があるが、とりわけ先に例示したような
変性ポリプロピレンの製造に使用されるポリプロピレン
系樹脂であることが好ましい。
【0010】本発明に用いる変性ポリオレフィンを製造
するにあたっては、通常知られている種々の方法が利用
できる。すなわち、ポリオレフィン類を溶媒に溶解して
溶液とし、ラジカル開始剤と不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体を混合、反応させる溶液グラフト法、溶媒の不
存在下で押出機内で変性する溶融グラフト法、電子線等
を利用する放射線グラフト法等が利用できる。さらに未
反応の不飽和カルボン酸化合物を除去する意味で、グラ
フト変性後に、溶剤洗浄等により、未反応物、反応副生
物等を除去する工程を経ることが好ましい。
【0011】本発明に関する変性ポリオレフィンのMF
Rとしては、0.1〜1000g/10分の範囲が好ま
しい。この範囲外では本発明の目的に合致した組成物が
得られない。
【0012】本発明において用いられる成分(2)中の
官能基としては、成分(1)中の不飽和カルボン酸基と
反応する物でなければならない。たとえば、水酸基、ア
ミノ基、エポキシ基、イソシアネート基などが用いられ
る。特に好ましくは水酸基、アミノ基、エポキシ基であ
る。
【0013】分子内に2個以上の水酸基を有する多価ア
ルコ−ルおよび誘導体としては、具体的には、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール等のグリコール類;1,4−ブタンジオ
ール;1,6−ヘキサンジオール;1,8−オクタンジ
オール;1,10−デカンジオール、トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール等のアルコール化合物、ア
ルビトール、ソルビトール、キシロース、アラビノー
ス、グルコース、ガラクトース、ソルボース、フルクト
ース、パラチノース、マルトトリオース、マレジトース
等の糖類;エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、ポ
リビニルアルコール、水酸基を複数個有するポリオレフ
ィン系オリゴマー、エチレン−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート[(メタ)アクリレートは、メタクリ
レート及びアクリレートを意味する。以下、同様]共重
合体等の分子内に複数個の水酸基を有する重合体などが
挙げられる。
【0014】また多価アルコール化合物にエチレンオキ
シド叉はプロピレンオキシドを付加させた構造を有する
ポリオキシアルキレン化合物及び、これらと有機カルボ
ン酸化合物とを脱水縮合して得られるポリグリセリンエ
ステル等を用いることもできる。前記のようなポリオキ
シアルキレン化合物は、トリメチロールプロパンにプロ
ピレンオキシドを付加した化合物、トリメチロールプロ
パンにエチレンオキシドを付加した化合物、ペンタエリ
スリトールにエチレンオキシドを付加した化合物、ジグ
リセリンにプロピレンオキシドを付加させた化合物、テ
トラグリセリンにエチレンオキシドを付加させた化合
物、デカグリセリンにプロピレンオキシドを付加させた
化合物などが挙げられる。
【0015】これらのポリオキシアルキレン化合物とし
ては、具体的には、例えば、1, 3-ジヒドロキシプロパ
ン、2,2-ジメチル-1, 3-ジヒドロキシプロパン、トリメ
チロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,1,
1-トリメチロールヘキサン、1,1,1-トリメチロールドデ
カン、2-シクロヘキシル-2- メチロール-1,3- ジヒドロ
キシプロパン、2-(p- メチルフェニル)-2-メチロール-
1,3- ジヒドロキシプロパン、ペンタエリスリトール、
グリセリン、ジグリセリン、ヘキサグリセリン、オクタ
グリセリン、デカグリセリン等にエチレンオキシドもし
くはプロピレンオキシドを付加反応させた化合物が挙げ
られる。
【0016】また、前記のようなポリグリセリンエステ
ルとしては、具体的には、例えば、グリセリンモノステ
アレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノ
ラウレート、グリセリンモノカプリレート、グリセリン
モノヘキサノエート、グリセリンモノフェネチルエステ
ル、グリセリンモノプロピオネート、ジグリセリンモノ
ステアレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセ
リンモノオレエート、ジグリセリンモノヘキサノエー
ト、ジグリセリンジオクタノエート、テトラグリセリン
モノステアレート、テトラグリセリントリステアレー
ト、テトラグリセリンテトラステアレート、テトラグリ
セリントリヘキサノエート、テトラグリセリンモノフェ
ネチルエステル、ヘキサグリセリンモノステアレート、
ヘキサグリセリンジステアレート、ヘキサグリセリンペ
ンタステアレート、ヘキサグリセリントリオレエート、
ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンペ
ンタラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デ
カグリセリンオクタステアレート、デカグリセリンペン
タオレエート、デカグリセリンジラウレート、ペンタデ
カグリセリンジステアレート、ペンタデカグリセリンデ
カオレエート、オクタデカグリセリンテトラステアレー
ト等が挙げられる。
【0017】さらに、ソルビタンアルキルエステルとし
ては、具体的には、例えば、ソルビタンモノステアレー
ト、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレ
ート、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノヘ
キサノエート、ソルビタンモノフェネチルエステル、ソ
ルビタンモノプロピオネート、ソルビタントリステアレ
ート、ソルビタンテトラステアレート等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは価数(一分子内の水酸基の
数)が3〜7のものである。
【0018】分子内にアミノ基を複数有する化合物とし
ては、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノ
ブタン、1,2−ジメチル−1,3−プロパンアミン、
ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタ
ジアミン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、2,
5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、ジアミノノ
ナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、ジエチレン
トリアミン、N−(アミノエチル)−1,3−メチルジ
プロパンジアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジ
プロピルアミン、3,3’−イミノビスプロピルアミ
ン、トリエチレンテトラミン、トリス(2−アミノエチ
ル)アミン、テトラエチレンペンタミン、1,4−ジア
ミノシクロヘキサン、ポリエチレンイミンなどがあげら
れる。あるいは、アミノ基と水酸基の両方を有する化合
物も用いられる。例えばエタノールアミン2−ヒドロキ
シエチルヒドラジン、3−アミノ−1−プロパノール、
DL−2−アミノ−1−プロパノール、DL−1−アミ
ノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、
2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ペンタ
ノール、DL−2−アミノ−1−ペンタノール、6−ア
ミノ−1−ヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)
エタノールなどが用いられる。
【0019】分子内にエポキシ基を複数有する化合物と
しては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリ
スリトールポリグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグ
リシジルエーテル、ジグリシジルビスフェノールAおよ
びその水添物、フタル酸ジグリシジルエステル、トリメ
チロールプロパントリグリシジルエーテル、ブタンジオ
ールジグリシジルエーテル、エポキシ化大豆油、エポキ
シ化アマニ油、シクロヘキサンジメタノールジグリシジ
ルエーテル、ヘキサントリオールグリシジルエーテル、
脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、臭素化
エポキシ樹脂、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン
樹脂、多官能性エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、臭
素化ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビフェニール型エポキシ樹脂、ポリ
グリシジルアミン型エポキシ樹脂、エステル型エポキシ
樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フ
ェノールノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることがで
きる。
【0020】分子内にイソシアナート基を複数有する化
合物としては、例えばエチレンジイソシアナート、ジイ
ソシアナートブタン、ジイソシアナートヘキサン、ジイ
ソシアナートドデカン、ジイソシアナート−2−メチル
ペンタン、m−フェニレンジイソシアナート、p−フェ
ニレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシア
ナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,5−
ナフチレンジイソシアナート、4’,4’,4’’−ト
リフェニルメタントリイソシアナート、4,4’−ジフ
ェニルメタントリイソシアナート、3,3’−ジメチル
−4,4’−ジフェニレンジイソシアナート、m−キシ
リレン−ジイソシアナート、p−キシリレン−ジイソシ
アナート等が挙げられる。
【0021】これら成分(2)の分子量は3000以下
であることが望ましく、これ以上大きいと反応性が著し
く低下する。また、これらの反応性化合物の融点は、3
00℃以下である事が好ましい。また、これらの反応性
化合物は2種類以上同時に併用しても差し支えない。
【0022】本発明に関する反応性化合物である成分
(2)の使用量は、変性ポリオレフィン中に含まれる不
飽和カルボン酸化合物に由来する単位に対して反応性化
合物に含まれる官能基のモル比が1:10〜10:1の
範囲が望ましい。さらに望ましくは1:7〜7:1、特
に好ましくは1:5〜5:1である。この範囲より大き
くはずれると、組成物に効果的な量の架橋構造を導入す
ることができず、以下に説明する溶融張力とMFRの関
係を満足することが難しくなり、成形性が不十分となる
恐れがある。
【0023】本発明の組成物においては、MFRと溶融
張力の間に式(1)の関係にあることが重要である。通
常、樹脂組成物の溶融張力とMFRは比例関係を示す。
本発明の組成物は、MFRに対し、通常の比例関係を示
す直線上から推測できる溶融張力よりも、大きな値を示
す。このMFRと溶融張力の関係を示したのが式(1)
である。本発明の組成物のMFRと溶融張力が、式
(1)を満たさない場合、溶融張力が充分改良されたと
は言えずブロー、シート、ラミネート、発泡等の成形性
も改善されない。 log(溶融張力)>−1.16×log(MFR)+0.92 (1) ここで、組成物のMFRは望ましくは0.01〜100
の間である。さらに望ましくはMFRが0.01〜10
のブロー、シート、発泡成形に適した組成物、10〜5
0のラミネート成形に適した組成物である。
【0024】本発明においては反応促進剤を用いること
もできる。これは不飽和カルボン酸およびその誘導体に
含まれるカルボニル基を活性化し、水酸基、アミノ基、
エポキシ基、イソシアナート基との反応を促進させる化
合物である。そのような反応促進剤の一例として、有機
カルボン酸の金属塩が挙げられる。有機カルボン酸の金
属塩の例としては、炭素数1〜30の脂肪酸である酢
酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリル酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベ
ヘン酸等のカルボン酸と、周期表のIA属、IIA属、II
B属、 IIIB族の金属(例えばLi、Na、K、Mg、
Ca、Zn、Al等)との金属塩である。
【0025】また本発明に関する樹脂組成物には、該組
成物の特徴を損なわない範囲で各種の添加剤、配合剤、
充填剤を使用することが可能である。これらを具体的に
示せば、酸化防止剤(耐熱安定剤)、紫外線吸収剤(光
安定剤)、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、滑剤(スリッ
プ剤、アンチブロッキング剤)、ガラスフィラー等の無
機充填剤、有機充填剤、補強剤、着色剤(染料、顔
料)、発泡剤、香料等が挙げられる。
【0026】この樹脂組成物の製造法には、通常知られ
ている種々の樹脂の混合方法を用いることができる。そ
の具体的方法を例示すれば、各成分を溶融状態で混合す
る方法、すなわち一般に用いられている加圧ニーダー、
ロール、バンバリーミキサー、スタティックミキサー、
スクリュー式押出機等を用いる方法を挙げることができ
る。
【0027】また、上記の樹脂組成物の成形時に各成分
を溶融混合することも可能である。すなわち、各成分を
ペレット、粉体の状態で混合(ドライブレンド)し、押
出機、射出成形機中でフィルム等の製造段階を利用して
溶融混合することも可能である。
【0028】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。ただし、本発明は、これら実施例によってなんら制
約を受けるものではない。
【0029】なお、実施例で用いたMFRはJIS−K
−6721に従って測定した値である。溶融張力の値
は、東洋精機(株)社製のメルトテンションテスターI
I型を用い、オリフィス内径2.095±0.005m
m、オリフィス長さ8.000±0.025mm、樹脂温
度230℃、引き取り速度6.5m/分、押しだし速度
15mm/分で測定した値で以下MTと略する。ゲル分
率は、ソックスレーによるキシレン抽出残の重量%であ
る。
【0030】(実施例1)プロピレン単独重合体に無水
マレイン酸をグラフト変性させた変性ポリプロピレンを
製造した。得られた変性ポリプロピレンは、MFR20
g/10分、無水マレイン酸に由来する単位が0.23
重量%であった。上記変性ポリプロピレン50重量部、
MFRが30g/10分のホモポリプロピレン50重量
部、反応性化合物としてトリメチロールプロパングリシ
ジルエーテル(大日本インキ化学工業製エピクロン72
5エポキシ当量141)0.165重量部(エポキシ基
/無水マレイン酸=1.3)、酸化防止剤として、BH
T0.3重量%を混合した。混合にあたっては、3成分
をタンブラーでドライブレンドした後、30mmφの2
軸押出機を用いて、220℃で溶融混練りしペレット化
した。混合物のMFRは20.0g/10分であった。
MTは0.31gであった。これは式(1)を満たして
いる。このサンプルを抽出法によりゲル分率を測定し
た。サンプルを400メッシュのステンレス金網の袋に
入れキシレン沸点下6時間ソックスレー抽出を行ったと
ころ、抽出残(ゲル分率)は0.1重量%以下の値を示
した。この組成物についてフィルム成形を行った。成形
は25mmφ押出機、200mm幅のTダイスを有する
フィルム成形機を使用し、樹脂温度255℃、引き取り
速度3m/分で厚み75μmのフィルムを製造した。成
形は特に問題なく実施できた。得られたフィルムは外
観、透明性が良好であった。
【0031】(実施例2〜9)変性ポリプロピレンの種
類及び反応性化合物の種類を表1の様に換えて実施例1
と同様の評価をおこなった。用いた各成分の内容は表3
〜5に示す。結果を表1に示した。いずれも式(1)の
関係を満足していた。
【0032】(実施例10〜15)不飽和カルボン酸化
合物量を変えた組成物を調整して実施例1と同様に評価
した。いずれも式(1)を満足していた。成形性は良好
であった。
【0033】(実施例16)表1に示す組成物でブロー
成形を行った。ドローダウンが小さく、パリソンスウェ
ルも大きく、成形性は良好であった。式(1)の関係は
満足していた。
【0034】(実施例17〜20)ベースポリマーを変
えた変性ポリプロピレンを用いて、表1の組成で実施例
1と同様に評価を行った。いずれも式(1)を満足して
いて、成形性、外観も良好であった。
【0035】(実施例21〜22)カルボン酸基とエポ
キシ基の間のモル比を変えた組成物を調製して実施例1
と同様に評価した。いずれも式(1)を満足していた。
成形性は良好であった。
【0036】(実施例23)反応促進剤としてステアリ
ン酸カルシウムを0.5重量%添加した以外は、実施例
1と同様に行った。MFRは18.0g/10分、MTは
0.35gであった。式(1)の関係を満足していた。
【0037】(実施例24)変性ポリプロピレンAを用
いて、表1の組成で実施例1と同様に評価を行った。成
形性、外観も良く、式(1)を満足していた。
【0038】(比較例1)反応性化合物として両末端水
酸基ポリエチレングリコール(分子量5000)を用い
た以外は実施例1と同様に行った。MFRは25.0g
/10分、MTは0.10gであり、式(1)を満たさな
かった、Tダイフィルムの外観は良かったものの、ネッ
クイン・ドローダウン性のバランスは良くなっておらず
成形性は改善されなかった。
【0039】(比較例2)無水マレイン酸含有量が0.
008重量%の変性PPを用いた以外は実施例3と同様
に行った。MFRは0.7g/10分、MTは11.0g
であり、式(1)は満たさなかった。ブロー成形を行っ
た。外観はよかったもののドローダウン、パリソンスウ
ェルに変化は認められず、成形性は改善されなかった。
【0040】(比較例3)不飽和カルボン酸量を多くし
た以外は、実施例3の条件と同様に行った。MFRは1
10g/10分、MTは0.05gであり、式(1)は満
たさなかった。Tダイフィルムには、ゲル、フィッシュ
アイが多く見られ、成形性も改善されなかった。
【0041】(比較例4)表3中のPP−Aをそのまま
用いて実施例2と同様の評価を行った。MFRは32.
0g/10分、MTは0.11gであり、式(1)は満た
さなかった。Tダイフィルムによる成形性は実施例に比
較してかなり劣った。
【0042】(比較例5)反応性化合物を用いなかった
以外は実施例2と同様の評価を行った。MFRは32.
0g/10分、MTは0.11gであり、式(1)は満た
さなかった、Tダイフィルムによる成形性は実施例に比
較してかなり劣った。
【0043】(比較例6,7)カルボン酸基とエポキシ
基の間のモル比を大きく振った組成物を調製して実施例
1と同様に評価した。いずれも式(1)を満足しなかっ
た。成形性は改善されなかった。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、結晶性プロピレン系重
合体の溶融張力を効果的に改良し、ブロー成形、シート
成形、インフレーション成形、発泡成形に適したプロピ
レン系重合体組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 101/02 C08K 5/15 (72)発明者 甲斐 敏之 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社 大分研究所内 (72)発明者 三河 泰広 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社 大分研究所内 (72)発明者 稲沢 伸太郎 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社 大分研究所内 (72)発明者 田越 宏孝 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社 大分研究所内 (56)参考文献 特開 平1−141932(JP,A) 特開 昭58−204043(JP,A) 特開 平5−148425(JP,A) 特開 平3−227341(JP,A) 特開 昭60−212444(JP,A) 特開 平4−55456(JP,A) 特開 平6−57062(JP,A) 特開 平5−170988(JP,A) 特開 平6−192509(JP,A) 特開 平5−310854(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分(1):プロピレンの単独重合体お
    よびまたはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合
    体に、不飽和カルボン酸及びまたはその誘導体をグラフ
    トした変性ポリプロピレンと成分(2):この不飽和カ
    ルボン酸およびまたはその誘導体と反応する官能基を分
    子内に少なくとも2個以上有する分子量3000以下の
    反応性化合物を必須成分として含み、かつ溶融張力とメ
    ルトフローインデックス(MFR)が次の式(1)の関
    係にあることを特徴とするプロピレン系重合体組成物。 log(溶融張力)>−1.16×log(MFR)+0.92 ‥‥(1)
  2. 【請求項2】 成分(2)における官能基が水酸基であ
    る請求項1記載のプロピレン系重合体組成物。
  3. 【請求項3】 成分(2)における官能基がアミノ基で
    ある請求項1記載のプロピレン系重合体組成物。
  4. 【請求項4】 成分(2)における官能基がエポキシ基
    である請求項1記載のプロピレン系重合体組成物。
  5. 【請求項5】 成分(1)における不飽和カルボン酸及
    びその誘導体の含有量が0.01〜2重量%である請求
    項1ないし請求項4のいずれかに記載のプロピレン系重
    合体組成物。
  6. 【請求項6】 成分(1)中の不飽和カルボン酸及びま
    たはその誘導体と成分(2)中の官能基のモル比が1:
    10〜10:1である請求項1ないし請求項5のいずれ
    かに記載のプロピレン系重合体組成物。
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