JP3471078B2 - 給排水装置の腐食状態検出方法及び給排水装置の腐食状態検出装置を備えた給排水装置 - Google Patents

給排水装置の腐食状態検出方法及び給排水装置の腐食状態検出装置を備えた給排水装置

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JP3471078B2
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祝治 朝倉
株式会社山崎鉄工所
トヨタ工業株式会社
株式会社東京仙印商店
株式会社タック
シグマ化工株式会社
有限会社神奈川空調工業
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、腐食状態検出装置を備
える配管装置、給水槽、排水槽等の給排水装置に関し、
特に腐食状態検出装置を備える配管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に行われている建築物、船舶等の建
造物内の水道管等の給排水装置の腐食計測は、電気化学
的手法を用いた腐食電位及び分極曲線の測定並びに分極
抵抗法などにより行われている。しかし、給排水装置の
構造物を対象とする現場計測では、基準電極と測定電極
間の電位差を測定することにより計測できるので、分極
曲線の測定及び分極抵抗法に比して、装置が高価でな
く、また操作が簡単であり、配管内の腐食系を乱さない
などの点から、主として腐食電位計測が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、腐食電位計測
は、腐食の自然電位を求めるものであるから、平衡論的
情報しか得られないので、腐食速度を正確に測定するこ
とができず、問題とされていた。本発明は、腐食電位計
測の計測値に係る問題点を解決することを目的としてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、腐食電位計測
という簡単な操作及び安価な装置によって測定すること
ができる腐食速度測定装置を提供することを目的として
いる
【0005】即ち、本発明は、配管水路と、該配管水路
の上流側に形成されている第1分岐点及び前記配管水路
の下流側に形成されている第2分岐点を結ぶ迂回流路
と、前記配管水路の第1分岐点と第2分岐点の間の上流
側及び下流側に夫々設けられている開閉弁と、これら開
閉弁の間に形成されている腐食促進溶液導入口及び腐食
促進溶液排出口と、該腐食促進溶液導入口に開閉弁を介
して接続する腐食促進溶液槽と、前記腐食促進溶液導入
口及び排出口の間において、配管水路内に液密に挿通さ
れている基準電極と、測定電極の配管水路壁とを備え、
前記基準電極及び測定電極は電位差計に接続しているこ
とを特徴とする腐食状態検出装置を備えた配管装置にあ
る。
【0006】本発明において、腐食状態が検出される対
象は、腐食環境下で使用される金属又は配管路の管壁で
ある。金属試料は、試料片として測定セル中に試験電極
側として吊るされ、電位差計の試験電極側に接続させ
て、該電位差計の基準電極側に接続されている基準電極
に対する腐食電位が測定される。本発明において、基準
電極は、電気化学的に電極電位を測定するための基準に
なる電極であり、標準水素電極、飽和カロメル電極及び
銀・塩化銀電極がある。
【0007】配管路の管壁の場合は、分岐管内の上流側
開閉弁及び下流側開閉弁の間に形成される測定領域内に
露出する管壁の一部に、電位差計の試験電極側を接続さ
せ、分岐管の測定領域の管壁の一部に貫通孔を形成し
て、前記電位差計の基準電極側に接続する基準電極が前
記貫通孔内に液密に挿通保持して、分岐管内に突出させ
て、前記基準電極に対する試験電極である管壁の腐食電
位が計測される。この腐食電位の計測は、基準溶液中又
は腐食促進溶液中で行われ、基準溶液又は腐食促進溶液
中で計測された腐食電位の差、即ち電位応答幅が求めら
れる。
【0008】本発明において、基準溶液は、水道水及び
その他の給水、並びに低濃度の洗浄水等の工場排水及び
空調等の冷却水系に使用される水をいう。本発明におい
て、腐食促進溶液は、金属の腐食状態を示す電位応答を
得るために、金属の周囲に存在する溶液環境を変えるた
めのものであり、腐食促進溶液としては、塩化物イオン
を生じる、例えばイオン結合の塩化物のpHが略中性の
溶液が使用され、代表的には、塩化物イオン溶液として
は、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ
金属塩化物溶液が使用される。腐食促進溶液は、これら
塩化物溶液の中、希薄溶液が使用される。塩化ナトリウ
ムの溶液の塩化ナトリウムイオンの濃度は、1モル以下
であり、好ましくは、0.2モル以下の塩化物イオン濃
度に希釈された塩化物溶液を使用することができる。し
かし、0.1乃至0.01モルの塩化物イオン濃度とす
ると、測定試料及び測定される配管壁の腐食系を乱すこ
とがなく、腐食速度の測定ができるので好ましい。
【0009】本発明において、配管路には、前後に開閉
弁を設けて測定領域を形成するのが好ましい。測定領域
には、基準電極を配管路内部に突き出して設けられる。
しかし、このように、配管路の一部に測定領域を形成す
ると、腐食状態の検出時には、該配管路による給水及び
排水を停止することとなるので、このような腐食状態の
検出時においても、配管路の給水及び排水を続ける場合
は、配管路を例えば三方分岐管により分岐して、分岐さ
れた一方の管路に基準電極を備える測定領域を形成し
て、該管路の管壁の腐食状態の検出試験に供し、残る一
方の管路を、腐食状態の検出時に配管路の給水及び排水
に使用する迂回路に形成するのが好ましい。
【0010】配管路に形成された分岐された双方の管路
に測定領域を形成すると、夫々の管路において、腐食促
進溶液を流したときの腐食電位計測と、水を流したとき
の腐食電位計測を同時に行うことができ、直ちに計測さ
れた両電位の差(電位応答幅)又は比の平均値を得るこ
とができる。この配管路に形成された分岐された複数の
管路の夫々に測定領域を形成する場合は、腐食状態の検
出時に給水及び排水を続けることができるように、これ
らの分岐された複数の管路とは別に迂回路を配管路から
分岐することが必要である。
【0011】本発明において、例えば水等の基準溶液中
及び腐食促進溶液中で計測された腐食電位の値に開きが
ないとき、即ち電位応答幅が小さいときは、電位応答幅
が大きいときに比して腐食電流が大きく、したがって、
腐食状態が進行していることを示しており、また水等の
基準溶液中及び腐食促進溶液中で計測された腐食電位の
値に開きが現れるとき、即ち電位応答幅が大きいとき
は、腐食速度は小さく、腐食状態が進行していないこと
を示している。このように計測された腐食電位の値の開
きが大きいほど、腐食速度が小さいことを示している。
本発明において、腐食速度は、計測された水等の基準溶
液中及び腐食促進溶液中での腐食電位の差、即ち電位応
答幅により求められるが、両腐食電位の比により腐食速
度を求めることができる。何れの場合においても、両腐
食電位間の差の大きさ又は両腐食電位の比に対応する腐
食速度を予め求めて、例えば表又は線図に製作してお
き、該表及び線図の対応する腐食電位の差又は比に対応
する腐食速度を求めることができる。
【0012】本発明において、計測された腐食電位の差
に対応する腐食速度は、分極抵抗法、矩形波分極抵抗法
等で測定できる。しかし、測定セル及び配管路の測定領
域の腐食系を乱すことなく腐食速度を求めるには、矩形
波分極抵抗法によるのが好ましい。本発明において、腐
食状態を検出する腐食電位計測は、測定セル中では、水
等の基準溶液又は腐食促進溶液をスターラ等の撹拌機に
より撹乱しながら行い、また配管路内の測定領域におい
ては、水等の基準溶液又は腐食促進溶液を測定領域内に
流しながら行う。
【0013】
【作用】本発明は、腐食状態を検出する金属試料又は配
管路の管壁についての腐食電位計測を、水等の基準溶液
中及び腐食促進溶液中で行い、水等の基準溶液中で計測
された腐食電位と腐食促進溶液中で計測された腐食電位
の差即ち電位応答幅、又は水等の基準溶液中で計測され
た腐食電位と腐食促進溶液中で計測された腐食電位の比
を求め、予め作成した前記腐食電位の差又は比に対応す
る腐食速度の関係を示す実験式、表又は線図から、前記
両腐食電位の差又は比の値に対応する腐食速度を割り出
し、金属試料及び配管路の腐食状態を検出するので、簡
単な操作で行える腐食電位の計測のみで、腐食速度を求
めることができる。
【0014】このように、本発明によると、分極抵抗法
や矩形波分極抵抗法による腐食速度の計測は、前記腐食
電位の差又は比に対応する腐食速度の関係を示す実験
式、表又は線図を作成する段階で行えば足りるので、例
えば配管路の管壁についての腐食状態は、水等の基準溶
液中及び腐食促進溶液中での腐食電位を計測するだけ
で、簡単且つ容易に知ることができる。
【0015】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の実施の
態様の一について説明するが、本発明は、以下の説明及
び例示によって何ら制限を受けるものではない。図1
は、本発明の一実施例において使用される測定セルの概
略を示す説明図であり、図2は本発明の別の一実施例の
系統図であり、図3は図2に示す実施例の測定領域の基
準電極の取付け構造を中心に示す概略の拡大部分断面図
である。図4は、塩化ナトリウイオン等の塩化物イオン
が1モル濃度となるように添加した場合の、腐食電位の
差即ち電位応答幅(ΔEcorr)と腐食速度(log
corr)の関係を示す図であり、図5は、塩化ナト
リウムイオン等の塩化物イオンが0.1モル濃度となる
ように添加した場合の、腐食電位の差即ち電位応答幅
(ΔEcorr)と腐食速度(loglcorr)の関
係を示す図であり、図6は、塩化ナトリウム等の塩化物
イオンが0.1モル濃度となるように添加した場合の、
腐食電位の差即ち電位応答幅(ΔEcorr)と腐食速
度(loglco rr)の関係を示す図である。図7
は、水道水における塩化ナトリウム等の塩化物イオン濃
度(モル)の変化に対する電位応答(Ecorr)と腐
食速度(lcorr)の変化を示す図である。
【0016】図1において、測定槽1は、栓2を有する
広口の容器3を有している。栓2には、0.1モルの塩
化ナトリウム溶液供給用の漏斗4、空気導入用の管5、
塩橋6、白金板7を備える対極8及び測定される試料片
9を保持する試験電極10が固定されている。測定槽1
の底部11に撹拌子12が回動可能に配置されており、
この回転子12は容器3の下方に設けられるスターラ1
3により回転駆動される。本例においては、塩橋6を介
して、測定槽1とイオンが移動可能に連絡する基準電極
14が設けられている。この基準電極14は、塩化カリ
ウムの飽和溶液15に、銀・塩化銀電極部材16の先端
を浸して形成されている。
【0017】本例において、試験電極10を電位差計1
7を介して基準電極14に接続する回路18が形成され
ている。この回路は無抵抗電流計19を介して、電源2
0の負極に接続している。本例の測定槽1には、矩形波
分極抵抗法により、腐食速度を測定することができるよ
うに、対極8が電源20の正極に接続されてる。
【0018】本例は以上のように構成されているので、
容器3内に水を入れ、栓2をはめて、撹拌子12を回転
させて、試料片9の腐食電位を電位差計17により測定
する。この腐食電位を測定したところで、矩形波分極抵
抗法により腐食速度を求める。即ち、本例において、分
極コンダクタンス測定装置(図示されていない)を用い
て、ファンクションジェネレータ(図示されていない)
により駆動されるガルバノスタット(図示されていな
い)から、測定槽1内に矩形波電流を流して、溶液抵抗
(Rs)及び全抵抗(Rt)を求め、分極抵抗を(R
p)を、式:Rp=Rt−Rsより算出し、腐食速度を
求める。次いで、栓2を取って容器3内の水をあけ、容
器3内を空にしたところで、栓2をして漏斗4から0.
1モル濃度の塩化ナトリウム溶液を容器3内に供給し
て、試料片9の腐食電位を電位差計17により測定す
る。
【0019】このような測定により得られた水で測定し
た腐食電位と、0.1モルNaCl溶液で測定した腐食
電位の差、即ち電位応答幅をΔE(mV)とし、実時間
腐食速度をC(mA/cm)として、次の実験式: ΔE=4.4×10logC+1.6 が求められた。
【0020】水道水、硫酸カリウムの5×10−4モル
溶液又は硫酸カリウムの0.01モル溶液を基準溶液と
した場合で、これら基準溶液で測定した腐食電位と1モ
ルの塩化ナトリウム溶液で測定した腐食電位の差、即ち
電位応答幅と腐食速度の関係は、相関係数0.97で、
次の実験式: △E=1.6×10+1.4×10logC が求められた。この電位応答幅と腐食速度の関係は、図
4に示されている。図中丸印は水道水の場合の電位応答
幅であり、黒い四角印は硫酸カリウムの5×10−4
ル溶液の場合の電位応答幅であり、黒い三角印は、硫酸
カリウムの0.01モル溶液の場合の電位応答幅と腐食
速度の関係を示している。
【0021】基準溶液の水道水又は硫酸カリウム5×1
−4モル溶液で測定された腐食電位と、0.1モルの
NaCl溶液で測定した腐食電位との差と腐食速度の関
係は、相関係数0.90で、次の実験式: ΔE=3.3×10+5.8×10logC が求められた。この電位応答幅と腐食速度の関係は、図
5に示されている。図中丸印は水道水の場合の電位応答
幅であり、黒い四角印は硫酸カリウムの5×10−4
ル溶液の場合の電位応答幅と腐食速度の関係を示してい
る。
【0022】さらに、基準溶液の水道水、硫酸カリウム
の5×10−4モル溶液又は硫酸カリウムの0.01モ
ル溶液で測定した腐食電位と、0.01モルNaCl溶
液で測定した腐食電位との差と腐食速度の関係は、相関
係数0.90で、次の実験式: ΔE=2.5×10+3.3×10logC が求められた。この電位応答幅と腐食速度の関係は、図
6に示されている。図中丸印は水道水の場合の電位応答
幅であり、黒い四角印は硫酸カリウムの5×10−4
ル溶液の場合の電位応答幅であり、黒い三角印は、硫酸
カリウムの0.01モル溶液の場合の電位応答幅と腐食
速度の関係を示している。
【0023】本例において、腐食計測を行う場合、塩化
物イオンを除去して、元の溶液環境即ち基準溶液に戻し
た場合、塩化物イオンに起因する腐食系の乱れが残存す
るか否かを、基準溶液への塩化物イオンの添加と、新た
な基準溶液の入れ換えを繰り返して腐食の状況を調べた
その結果を図7に示す。図7において、白丸は基準溶液
のとき、斜線部分は塩化物イオン濃度が0.1モルのと
きを表している。四角印は腐食速度の測定を示す。横軸
に時間が取ってあり、塩化物イオンの添加が4回あった
ことを示している。
【0024】上記の実験式及び図4乃至図6に示される
ように、本例における水等の基準溶液で測定した腐食電
位と、0.1モルのイオン濃度のNaCl溶液で測定し
た腐食電位の差、即ち電位応答幅ΔE(mV)はlog
Cと線形関係にあり、前記腐食電位を求めることによっ
て、腐食速度Dを求めることができる。この腐食速度
は、前記実時間腐食速度とよく対応していた。例えば、
図5についてみれば、水等の基準溶液において計測され
た腐食電位の値と腐食促進溶液において計測された腐食
電位の値の開き、即ち電位応答幅(ΔE corr )が−
200mVに現れるときの腐食速度(log
corr )は10 −3 (mA/cm )のオーダーで
あるのに対し、電位応答幅(ΔE corr )が0mV、
即ち水等の基準溶液中と腐食促進溶液中で計測された腐
食電位の値に開きが現れないときの腐食速度(logl
corr )は、10 (mA/cm )のオーダーであ
る。したがって、図5は、電位応答幅が大きい場合に比
して、電位応答幅が小さい場合は腐食速度が大きく、腐
食が進行していることを示している。しかも、図5で、
電位応答幅ムΔ(mV)と腐食速度logl
corr (mA/cm )との関系は線状であるから、
図5は、水等の基準溶液中で計測された腐食電位の値と
腐食促進溶液中で計測された腐食電位の値の間に開きが
大きいほど、腐食速度が小さいことを示している。この
関係は、図4及び図6においても同様である。 したがっ
て、図4乃至図6は、水等の基準溶液中及び腐食促進溶
液中で計測された腐食電位の値に開きがないとき、即
ち、電位応答幅が小さいときは、電位応答幅が大きいと
きに比して腐食速度が大きく、腐食状態が進行している
ことを示しており、また、水等の基準溶液中及び腐食促
進溶液中で計測された腐食電位の値に開きが現れると
き、即ち電位応答幅が大きいときは、腐食速度は小さ
く、腐食状態が進行していないことを示している。 した
がって、図4乃至図6は、以上のように、水等の基準溶
液中及び腐食促進溶液中で計測された腐食電位の値の開
きが大きいほど、即ち電位応答幅が大きいほど、腐食速
度が小さくなることを示している。電位応答幅に対する
腐食速度は、塩化ナトリウム溶液の塩化ナトリウム濃度
が小さい溶液ほど精密な測定が可能であることを示して
いるが、0.01モル以下の濃度であると水道水と略同
等の塩化物イオン濃度となり、電位応答幅の測定値が小
さくなって、誤差を生じ易くなる。
【0025】図2に示す実施例においては、配管路21
に、分岐点22で分岐して迂回路23が形成されてい
る。配管路21には、上流側に第1開閉弁24が形成さ
れ、下流側に第2開閉弁25が形成されており、前記迂
回路23は、第2開閉弁25の下流側で配管路21に接
続している。配管路21は第1開閉弁24に続く箇所2
6で分岐して、0.1モル濃度の塩化ナトリウム溶液供
給流路27が形成されている。この塩化ナトリウム溶液
供給流路27は、第3開閉弁28を有し、0.1モル濃
度の塩化ナトリウム溶液槽(図示されていない)に、該
塩化ナトリウム溶液を配管路21に送液する送液ポンプ
(図示されていない)を介して接続している。
【0026】また配管路21は第2開閉弁の上流側の箇
所29で分岐して、第4開閉弁30を備える塩化ナトリ
ウム溶液排出路31が形成されている。配管路21の分
岐点26及び29の間には、基準電極32が配管路21
内に突き出て設けられている。基準電極32の周囲の配
管路壁33は、試験電極33となっており測定領域36
が形成されている。基準電極32及び試験電極33は電
位差計37に接続している。一方、迂回路23は、上流
側に第5開閉弁34を備え、また下流側に第6開閉弁3
5を備えている。
【0027】本例は以上のように構成されているので、
配管路21を介して給水を行うときは、第1開閉弁24
及び第2開閉弁25を開き、第2乃至第6開閉弁を閉じ
て行う。水による腐食電位の測定は、このように配管路
21を介して給水を行っている間に行われる。水による
腐食電位の値は、電位差計37の腐食電位が定常値とな
ったところで読み取られる。測定が終わったところで、
第1及び第2開閉弁24及び25を閉じ、第5及び第6
開閉弁34及び35を開いて、迂回路23を介して給水
を行い、塩化ナトリウム溶液による腐食電位の測定を行
う。
【0028】塩化ナトリウム溶液による腐食電位の測定
は、第3及び第4開閉弁28および30を開いて、0.
1モル濃度の塩化ナトリウム溶液を測定領域37を経由
して排出路に流しながら行う。この0.1モル濃度の塩
化ナトリウム溶液を流す間に、塩化ナトリウム溶液の腐
食電位の値を、電位差計37の腐食電位が定常値となっ
たところで読み取る。先に読み取った水による腐食電位
の値と塩化ナトリウム溶液による腐食電位の値の差を求
めて、腐食速度を実験式から求める。
【0029】この塩化ナトリウム溶液による腐食電位の
測定が終了したところで、開閉弁28を閉じ、第1開閉
弁24を開いて、測定領域に残留する測定に使用された
0.1モル濃度の塩化ナトリウム溶液を、流路31から
排出する。腐食電位の測定に使用された塩化ナトリウム
溶液が排出されたところで、第2開閉弁25を開き、第
5及び第6開閉弁34及び35を閉じる。
【0030】配管路21が排水に使用される場合におい
て、腐食速度を検出するときは、第1及び第2開閉弁2
4及び25を閉じ、第5及び第6開閉弁を開いて迂回路
23に排水を流しながら行われる。この場合、流路27
は、第開閉弁28を介して、塩化ナトリウム溶液槽に
接続している。
【0031】まず、第1開閉弁24及び第2開閉弁25
を開き第5開閉弁34及び第6開閉弁35を閉じて、排
水を測定領域36に流して、排水の腐食電位の値が電位
差計の定常値から読み取られる。排水の腐食電位の値が
読み取られたところで、第1及び第2開閉弁24及び2
5を閉じて第5及び第6開閉弁を開いて、第3開閉弁2
8を開いて、測定領域を塩化ナトリウム溶液槽に接続
し、測定領域36内に0.1モル濃度の塩化ナトリウム
溶液を流す。この塩化ナトリウム溶液を測定領域36に
流しながら、0.1モルの濃度の塩化ナトリウム溶液に
よる腐食電位を、電位差計の定常値から読み取る。
【0032】図3は、図2に示す実施例における基準電
極の取付け部の構造の概略を示す測定領域の一部拡大断
面図であり、図2に対応する箇所には、同一の符号が付
されている。配管路21の測定領域36の一部には、基
準電極32の取り付け用分岐管継手38により前後の配
管39及び40が接続されている。
【0033】本例において、前記分岐管継手39は、分
岐ねじ継手であり、その分岐部41には、接合端がねじ
切りされた短管42が螺着されている。短管42のねじ
切りされていない端部43には、ゴム等の弾性部材によ
り作製されている栓44が嵌合されており、基準電極3
2は、この嵌合されている栓44の貫通孔45を挿通し
て栓保持されている。
【0034】本例は以上のように構成されているので、
測定時には、分岐管継手の分岐部41に基準電極32を
取付けた短管42を螺着により取付け、使用しないとき
は、封鎖用のねじ付の栓体(図示されていない)が螺着
される。本例の基準電極32の取付け構造を、図2の実
施例の配管路に適用する場合、開閉弁34及び35を開
き、給水を迂回路23に通し、開閉弁24及び25を閉
じて、封鎖用の栓体を分岐部41から取り除き、短管4
2を分岐部41に取り付ける。短管42の取り付けが行
われたところで、開閉弁24及び25を開いて、配管路
21を介して給水を行い、開閉弁34及び35を閉じ迂
回路23を介する給水を停止する。配管路21を水が流
れる間に水による腐食電位の測定を行う。
【0035】
【発明の効果】本発明は、腐食状態を検出する金属試料
又は配管路の管壁についての腐食電位計測を、水中及び
腐食促進溶液中で行い、水中で計測された腐食電位と腐
食促進溶液中で計測された腐食電位の差又は比を求め、
予め作成した前記腐食電位の差又は比に対応する腐食速
度の関係を示す実験式、表又は線図から、前記両腐食電
位の差又は比の値に対応する腐食速度を割り出し、金属
試料及び配管路の腐食状態を検出するので、従来の分極
抵抗法、矩形波分極抵抗法などによる腐食速度の計測に
比して、短時間で且つ簡単な操作で、腐食速度を求める
ことができる。
【0036】このように、本発明によると、水による腐
食電位と腐食促進溶液における腐食電位の差又は比を求
めて腐食速度を求めるので、従来の分極抵抗法や矩形波
分極抵抗法による腐食速度の計測に比して、測定装置の
構造が簡単となり、配管路の複数箇所に取り付けて、配
管路の腐食状態の管理が、従来の腐食速度測定装置と比
して安価に行うことができ経済的に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例において使用される測定セル
の概略を示す説明図である。
【図2】本発明の別の一実施例の測定セルを備えた配管
路の系統図である。
【図3】図2に示す実施例の測定領域の基準電極の取付
け構造を中心に示す概略の拡大部分断面図である。
【図4】塩化ナトリウイオン等の塩化物イオンが1モル
濃度となるように添加した場合の、腐食電位の差即ち電
位応答幅(ΔEcorr)と腐食速度(logl
corr)の関係を示す図である。
【図5】塩化ナトリウムイオン等の塩化物イオンが0.
1モル濃度となるように添加した場合の、腐食電位の差
即ち電位応答幅(ΔEcorr)と腐食速度(logl
corr)の関係を示す図である。
【図6】塩化ナトリウム等の塩化物イオンが0.1モル
濃度となるように添加した場合の、腐食電位の差即ち電
位応答幅(ΔEcorr)と腐食速度(logl
corr)の関係を示す図である。
【図7】水道水における塩化ナトリウム等の塩化物イオ
ン濃度(モル)の変化に対する電位応答(Ecorr
と腐食速度(lcorr)の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 測定槽 2 栓 3 広口の容器 4 漏斗 5 空気導入用の管 6 塩橋 7 白金板 8 対極 9 試料片 10 試験電極 11 測定槽の底部 12 撹拌子 13 スターラ 14、32 基準電極 15 塩化カリウムの飽和溶液 16 銀・塩化銀電極部材 17、37 電位差計 18 基準電極に接続する回路 19 無抵抗電流計 20 電源 21 配管路 22 分岐点 23 迂回路 24 第1開閉弁 25 第2開閉弁 26、29 分岐箇所 27 塩化ナトリウム溶液供給流路 28 第3開閉弁 30 第4開閉弁 31 塩化ナトリウム溶液排出路 33 配管路壁 34 第5開閉弁 35 第6開閉弁
フロントページの続き (73)特許権者 597001039 株式会社タック 東京都目黒区碑文谷2丁目11番19号 (73)特許権者 501215956 シグマ化工株式会社 東京都港区新橋2−8−16 (73)特許権者 390031358 有限会社神奈川空調工業 神奈川県横浜市戸塚区吉田町598番地 (72)発明者 朝倉 祝治 神奈川県横浜市旭区中沢町24 (72)発明者 ▲吉▼川 美雪 神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台127コ ーポアオ木 (72)発明者 新美 大輔 神奈川県横須賀市森崎3−15−1日産森 崎寮2棟417 (56)参考文献 特開 平4−93649(JP,A) 特開 平5−107217(JP,A) 吉川美雪、新美大輔、朝倉祝治,環境 条件の変化に対する腐食電位応答を利用 した腐食計測−塩化物イオン濃度の変化 の利用,腐食防食’94講演集,日本,腐 食防食協会,1994年 5月10日,41−44 新美大輔、吉川美雪、朝倉祝治,塩化 物イオン濃度の変化に対する系の応答を 用いた腐食計測,第26回安全工学研究発 表会講演予稿集,日本,安全工学協会, 1993年12月 1日,155−158 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/26 351 C02F 1/00 G01N 17/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配管水路と、該配管水路の上流側に形成
    されている第1分岐点及び前記配管水路の下流側に形成
    されている第2分岐点を結ぶ迂回流路と、前記配管水路
    の第1分岐点と第2分岐点の間の上流側及び下流側に夫
    々設けられている開閉弁と、これら開閉弁の間に形成さ
    れている腐食促進溶液導入口及び腐食促進溶液排出口
    と、該腐食促進溶液導入口に開閉弁を介して接続する腐
    食促進溶液槽と、前記腐食促進溶液導入口及び排出口の
    間において、配管水路内に液密に挿通されている基準電
    極と、測定電極の配管水路壁とを備え、前記基準電極及
    び測定電極は電位差計に接続していることを特徴とする
    腐食状態検出装置を備えた配管装置。
  2. 【請求項2】 迂回流路が、その上流側及び下流側に開
    閉弁が夫々設けられ、これら開閉弁の間に腐食促進溶液
    導入口及び腐食促進溶液排出口が形成され、該腐食促進
    溶液導入口に開閉弁を介して腐食促進溶液槽が接続され
    て、前記腐食促進溶液導入口及び排出口の間において、
    配管水路内に基準電極が液密に挿通され、測定電極の配
    管水路壁とを備えていることを特徴とする請求項に記
    載の腐食状態検出装置を備えた配管装置。
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吉川美雪、新美大輔、朝倉祝治,環境条件の変化に対する腐食電位応答を利用した腐食計測−塩化物イオン濃度の変化の利用,腐食防食’94講演集,日本,腐食防食協会,1994年 5月10日,41−44
新美大輔、吉川美雪、朝倉祝治,塩化物イオン濃度の変化に対する系の応答を用いた腐食計測,第26回安全工学研究発表会講演予稿集,日本,安全工学協会,1993年12月 1日,155−158

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