JP3470902B2 - リゾフェリンの合成方法 - Google Patents

リゾフェリンの合成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明の完成に至る研究は国立保健研究所(NIF)に
与えられた助成金番号第R01DK−49108号によって一部支
援されたものである。アメリカ合衆国政府は本明細書に
記載の発明に対して一定の権利を有する。
本発明の分野 本発明はキレート剤、リゾフェリン(rhizoferrin)
の調製方法に関するものである。
従来技術の説明 鉄はほぼ全ての生命体にとって必須の元素であるが、
環境中にあるの遷移金属の主たる形態であるFe(OH)
(Ksp=2×10-39)が水に不溶なため、ほぼ全ての生命
体はこの金属を利用するためにかなり複雑な鉄のキレー
ト化/運搬方法を発達させてきた。高等動物では蛋白質
を用いて鉄を運搬・吸収している。
微生物は鉄を獲得するために一群の低分子量キレート
剤またはシデロホア(siderophores)を作る[バージェ
ロン(Bergeron)の「微生物シデロホアの合成および溶
体構造」、Chem.Rev.、第84巻、587〜602頁(1984
年)、タイト(Tait)の「小球菌脱窒菌(Micrococcus
denitrificans)によって生成したシデロホアの同定お
よび生合成」、Biochem.J.、第146巻、191〜204頁(197
5年)、グリフィト(Griffiths)達の「ビブリオバクチ
ン(Vibriobactin)、コレラ菌(Vibrio cholerae)か
らのシデロホア」、J.Biol.chem.、第259巻、383〜385
頁(1984年)、アクソイ(Aksoy)達の「地中海貧血症
における輸血過剰および鉄のキレート化」80頁、Hans H
uber Publishers、Berne(1985年)およびビッケル(Bi
ckel)達の「放線菌の代謝生成物、フェリオキサミン
B」、Helv.Chim.Acta、第43巻、2129〜2138頁(1960
年)]。この金属の大部分は不溶な第二鉄の状態で生物
圏に存在していおり、このようなリガンドを持たない細
菌は摂取できない。
多数のシデラホアが同定されているが、これらは2つ
の構造:カテコールアミドとヒドロキサメート(hydrox
amates)[Bergeron、supra]とに大きく分類される。
これら両構造型のリガンドの多くはポリアミン主鎖を含
む。ヘキサ配位カテコールアミドパラバクチン(paraba
ctin)[Tait、supra]とビブリオバクチン[Griffiths
et al,supra]はそれぞれトリアミンスペルミジンおよ
びノルスペルミジンで予想され、ヒドロキサメートはジ
アミジン、プトレシンまたはカダヴェリン(cadaverin
e)またはその生化学的前駆体、オルニチンまたはリジ
ン[Bergeron、supra]から得られることが多い。例え
ば、Streptomyces pilosus、デスフェリオキサミン(de
sferrioxamines)A−Iから単離されたシデロホアは主
鎖にプトレシンまたはカダヴェリン単位が反復するヒド
ロキサメート群からなる[Aksoy et al,supra]。この
キレート剤の中で最もよく知られているデスフェリオキ
サミンB(DFO)[Bickel et al,supra]は直鎖のトリ
ヒドロキサメートリガンドであり、これは鉄(III)(K
f=1×1030M-1)とともに極めて安定なヘキサ配位、八
面体錯体を形成する[モデル(Modell)達の「地中海貧
血症に対する臨床的方法」、217頁、Grune and Stratto
n、London(1984年)]。
DFOは複数の異なる+3陽イオン、例えばAl(III)、
Ga(III)、Cr(III)と結合するが、鉄(III)に対し
ては高い特異性を示す。デスフェリオキサミンのメシレ
ート塩、Desferal(登録商標)が地中海貧血症のような
いくつかの鉄過剰症の治療に使用されてきたことは驚く
べきことではない[アンダーソン(Anderson)の「生物
学および医学における無機化学」15章、アメリカ化学
会、Washington、D.C.(1973年)およびフィッシャー
(Fisher)達の「ブタ用の静脈内デスフェリオキサミン
メシレート治療プロトコルの開発:高性能液体クロマト
グラフィーによるデスフェリオキサミンおよび代謝物の
モニタリング」Pharmacology、第41巻、263〜271頁(19
90年)]。しかし、この薬は体内での半減期が短いた
め、患者に絶えず注入しなければならない。そのため、
研究者はより良い治療用鉄キレート剤を探し続けてき
た。
N1,N4−ビス(1−オキソ−3−ヒドロキシ−3,4−ジ
カルボキシブチル)ジアミノブタン(リゾフェリン)は
透析患者にみられるケカビ属真菌症に関係がある生物体
Rhizopus microsporus var.rhizopodiformisから最初に
単離され[ドレシェル(Drechsel)達、Biol.Met.第4
巻、238〜243頁、1991年]、いくつかの真菌の接合金株
で生じる[チエケン(Thieken)達、FEMS.Microbiol.Le
tt.第94巻、37〜42頁、1992年]。天然のキレート剤パ
ラバクチンおよびDFOと同様にリゾフェリンも第二鉄イ
オンと1:1の錯体を形成する[ドレシェル(Drechsel)
達、Biol.Met.第5巻、141〜148頁、1992年]。しか
し、そのキレート形成定数は測定されていない。リゾフ
ェリンの構造決定[ドレシェル(Drechsel)達、1991
年、supra]から、その1−カルボキシレートの所がク
エン酸で対称的にジアシル化されたプトレシンセンター
があることが明らかになった: すなわち、リゾフェリンはポリアミン主鎖を含むが、
いずれのキレート剤の分類にも属さず、むしろL−リジ
ンおよびD−オルニチンに見られるリゾバクチン[Smit
h、Tetrahedron Lett.第30巻、313〜316頁、1989年]お
よびスタフィロフェリン(staphyloferrin)A[Konets
chny−Rapp et al、Eur.J.Biochem.第91巻、65〜74頁、
1990年]と同じヒドロキシポリカルボキシレートであ
る。クエン酸が対称的な1,3−二置換であるヒドロキサ
メートエアロバクチン、アルスロバクチン、schizokine
n[Bergeron et al,カテコールアミドおよびヒドロキサ
メートシデロホアの合成、Handook of Microbial Iron
Chelators、Winkelman、ed.,CRC Press、Inc.、Boca Ra
ton、FL、271〜307頁(1991年)]およびnannochelin
[サメジマ(Samejima)達、Chem.Pharm,Bull.、第32
巻、3428〜3435頁(1984年)]とは異なり、リゾフェリ
ン中では非対称な官能基を有する各クエン酸のプロキラ
ルな炭素が不斉炭素である。この分子のこれら2つの部
位は円二色性(CD)分光法で天然のものが(R,R)−酒
石酸であるのに対して(R)−配置である[ドレシェル
(Drechsel)達、1992年、supra]。
アミド結合で所望形状のシトレート部分を含むリゾフ
ェリンおよびその他の化合物の合成が必要とされる場合
がある。この合成に挑戦するための主要ルートは、アミ
ン基と結合するために正確な形状のシトレートシントン
(citratesynthon)にアクセスして最終生成物の絶対形
状を明解に定義することである。
本発明の目的はこの合成ルートを提供することにあ
る。
本発明の他の対象は新規な重金属キレート剤と、医薬
組成物と、その使用とにある。
本発明の概要 上記およびその他の目的は本発明によって実現され
る。
本発明の第1の具体例は下記化学式(I)の化合物の
合成方法にある: 〔ここで、 C*はキラル炭素原子であり、 aおよびbは0から10までの整数であり、同一でも異な
っていてもよく、 RはH、アルキル、アリールアルキル、カルボキシルま
たは下記を表す: (ここで、C*およびbは上記の意味を有する)〕 本発明方法は下記(1)〜(3)の工程で構成され
る: (1) 化学式(II)のポリアミンを化学式(III)の
クエン酸のジエステルでアシル化して化学式(IV)のア
ミドを生成する: (ここで、a、bおよびRは上記の意味を有し、Qはア
ミン保護基である) (ここで、R'は炭素数10までのアルキル、アリール、ア
ラルキルまたはシクロアルキルである) (2) 化学式(IV)のアミドを加水分解して、化学式
(V)の酸を生成する: (3) 化学式(V)の酸のQ基を除去して保護を外
し、化学式(I)の酸を生成する。
本発明の他の具体例は化学式(VI)で表されるいくつ
かの新規な重金属キレート剤と、それと薬理学上許容さ
れる酸および陽イオンとの塩にある。
(ここで、a、b、C*およびR'は上記の意味を有し、
R"はR'またはQである) 本発明のさらに他の具体例は治療有効量の化学式(V
I)の化合物または薬理学上許容される酸または陽イオ
ンとの塩と、薬理学上許容される担体とからなる単位投
与量の形の医薬組成物にある。
本発明のさらに別の具体例は、治療を必要とするヒト
およびヒト以外の動物に、化学式(VI)の化合物または
薬理学上許容される酸または陽イオンとの塩を治療有効
量で投与する治療方法に関にある。
本発明の詳細な説明 以下、リゾフェリンの合成を参照して本発明を詳細に
説明するが、本明細書に記載の本発明原理は、アミド結
合を介してアミンに結合した特別な鏡像異性体(エナン
チオマー)構造のクエン酸部分を含む任意の化合物の調
製に適用できるということは当業者に理解できよう。
リゾフェリンの合成式は下記の通り: 鏡像異性体(III)は下記式で得られる: 上記の構造式および模式図において、Rは炭素数10ま
での任意のエステル化用アルコール、例えばアルキル
(例:メチル、エチル、プロピル、ブチル)、アリール
(例:フェニル)、アラルキル(例:ベンジル)または
シクロアルキル(例:シクロペンチル、シクロベンジ
ル)等の残基にすることができる。
ジアミン反応物は化学式(II)のような一級アミン基
を有する任意のアミンにすることができる。Rは炭素数
10までのアルキル、アリール、アラルキルまたはシクロ
アルキルにするか、下記の基にすることができる。
本明細書で用いる「アミノ保護基」(Q)は合成中に
アミノ基を保護するためにアミノ基の水素原子の場所に
挿入されるQ基を意味する。適当なアミノ保護基の選択
は、保護の理由と保護された生成物の最終用途に依存す
る。保護基が合成中の保護にのみ用いられる場合は、一
般的なアミノ保護基を使用できる。適当なアミノ保護基
は従来技術で知られており、例えば、BodanszkyのPrinc
iples of Synthesis、Springer−Verlag、New York(19
84)、Ivesの米国特許第4,619,915号および後者に関す
る多くの刊行物に記載されている。Methoden der Organ
ischen Chemie、Houben−Waylのアミノ基に関する第15
巻、第1およびペプチド合成方法に関する第15巻、第2
も参照されたい。合成用の代表的なアミノ保護基にはベ
ンジルおよびアシル基、例えばtert−ブトキシカルボニ
ル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、アセチル
等が含まれる。合成用のさらに他の一般的なアミノ保護
基は文献[Bodanszky、supraおよびIves、supra]に記
載されている。
リゾフェリンの一般的な合成法はトリメチルシトレー
トを立体的に制御しながら鹸化して1,2−ジメチルシト
レートに変換する方法である[ヒロタ(Hirota)達、Ch
emistry Lett、191〜194頁、1980年]。カルボン酸の鏡
像異性体はその(_)−ブルシン塩を生成することで分
離する。水からの分別結晶を5回行った後の単結晶X線
回折によって結晶性塩は(R)−構造の1,2−ジメチル
シトレートを含むことが示される。この塩を1N_HClで処
理し、エチルアセテートで抽出すると(R)−1,2−ジ
メチルシトレートが得られる。
正しい鏡像異性体の酸を得た後、N1,N4−ジベンジル
−1,4−ジアミノブタン[サメジマ(Samejima)達、sup
ra]を、ジフェニルホスホリルアジド(Et3N/DMF)を用
いて(R)−1,2−ジメチルシトレート(2等量)でア
シル化した[シオイリ(Shioiri)達、J.Am.Chem.Soc.
第94巻、6203〜6205頁(1972年)]。三級アルコールの
除去によってオレフィンを含む副生成物を除去するフラ
ッシュクロマトグラフィー後に収率26%でジアミドが得
られたことはNMRで確認された。このメチルエステルを
水酸化ナトリウムのメタノール水で加水分解し、酸性化
してN,N'−ジベンジルリゾフェリンを得た。
N−ベンジルアミドは水素化分解に対して強いので
[Williams et al、Tetrahedron Lett.第30巻、451〜45
4頁、1989年]、金属還元状態(Li/NH3/THF)下でテト
ラ酸を脱保護し[Kim et al、J.Org.Chem.第46巻、5383
〜5389頁、1981年]、陽イオン交換樹脂カラムで塩をプ
ロトン化し、C−18逆相カラムで精製して最終生成物の
リゾフェリンを得た。合成で得られた化合物を高域NMR
および高分解能質量スペクトルで分析した結果、公知の
天然物のスペクトル[Drechsel et al、1991、supra]
と基本的に同一であった。合成サンプルと天然物の絶対
配置(R,R)は同じ波長で負のコットン効果を示すの
で、両者は互いに同一である[Drechsel et al、1992、
supra]。
リゾフェリンは、それぞれ1個および2個の5員環を
有するイミドリゾフェリンおよびビス−イミドリゾフェ
リンに脱水して放置すると環化する[Drechsel et al、
1992、supra]。この環をpH5.0で生成するための0次の
速度定数は6.9×10-2h-1であることがNMRで観察され
た。pH3で見られる環化の程度は文献[Drechsel et a
l、1992、supra]と同様であった。すなわち、この分析
データは分解が起こる前に得られたものである。
上記のリゾフェリン合成方法は、ヒドロキシポリカル
ボキシル化シデロホアスタフィロフェリンA[Konetsch
ny−Rapp et al、Supra.およびMeiwes et al、FEMS Mic
robiol.Lett.第67巻、201〜206頁、1990年]の調製に用
いることもできる。ここの場合にはその1−カルボキシ
レートの所でD−オルニチンをクエン酸でNα,Nδ−ジ
アシル化する。さらに、構造活性研究のために、中心の
メチレン橋の鎖長が異なるリゾフェリンの類似物を合成
することができる。
化学式(VI)の化合物は重金属キレート剤として有用
であり、化学式(V)の化合物と同様に調製する。
本発明の医薬組成物は経口投与(錠剤、カプセルまた
はピル)、非経口投与または経皮投与が可能な化合物ま
たは混合物にするのに適した薬理学上許容される担体を
含むのが好ましい。活性成分は一般の任意の薬理上許容
される担体と混合または配合することができる。
本発明の医薬組成物の調製および投与では、一般的な
任意の投与方法、活性成分に対して不活性な媒体または
担体が利用可能であるということは当業者に理解できよ
う。この投与方法、媒体および担体は例えばRemington'
s Pharmaceutical Sciences、第4版(1970年)に記
載されており、その内容を本明細書の一部を成す。当業
者は本発明原理から適当な媒体、賦形剤および担体を決
定し、それに活性物質を配合して本発明の医薬組成物を
容易に作ることができる。
本発明の医薬組成物に含むべき活性成分の治療有効量
は各症例に応じた複数の要因、例えば、治療する患者の
タイプ、体重、状態、治療すべき疾患、予定投与法、予
定投与量を取り込む患者の能力などに依存する。一般
に、活性成分は単位投与量当たり約50〜約500mg、好ま
しくは約50〜約250mgの量である。
本発明の医薬組成物および治療方法に用いられる活性
成分は化学式IまたはIIの化合物の薬理学上許容される
塩または錯体、例えばナトリウム、カリウムまたはその
他の無毒の金属塩、アミン塩や、HCl、HAc等との酸の塩
にすることができる。
本発明の化合物、組成物および方法は重金属、例えば
鉄過剰に起因する病気、例えば地中海貧血症の治療に有
用である。
本発明方法に従って患者に投与される本発明組成物の
各成分の量が上記要因に依存することは当業者に理解で
きよう。しかし一般に活性成分の投与量は約50〜約500m
g/kg、好ましくは約50〜約250mg/kgであり、投与回数お
よび治療期間は患者のタイプおよび体力および治療すべ
き疾患に依存する。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明が
下記実施例に限定されるものではない。
カラムクロマトグラフィーにはシリカゲル32−63(40
μm「フラッシュ」)またはシリカゲル60(70−230メ
ッシュ)を用いた。旋光度は589nm(Naランプ)でCH3OH
中で室温で操作し、100ml当たりの化合物のグラム数を
cとした。1H NMRスペクトルは重水素化有機溶媒すなわ
ちD2O中で300または600MHzで記録し、テトラ−メチルシ
ランまたは3−(トリメチルシリル)プロピオン−2,2,
3,3−d4酸、ナトリウム塩からの化学シフトを低磁場100
万当たりの部で表した。X線回折データはCCD領域検出
器およびMoKα照射(λ=0.71073Å)を用いたグラファ
イトモノクロメータを備えたシーメンスSMART PLATFORM
で173Kで得た。データの半球(1381フレーム)をω−走
査法(0.3゜のフレーム幅)を用いて得た。初めの50フ
レームはデータ収集の終了時に再度測定し、機器および
結晶の安定性をモニターした(Iでの最大補正は〈1
%)。全データ設定に基づいてPsi走査吸収補正を行っ
た。
円二色性スペクトルはJasco IF−500IIインターフェ
ースおよびCompuAdd 286コンピュータを備えたJasco Mo
del J500C分光旋光計を用いて得た。データ収集および
処理はJasco DP−500/PCシステムの1.28バージョンのソ
フトウェアを用いて行った。セルの光路長は2.00cmであ
った。
紫外線分光学スペクトルはAST486/33コンピュータデ
ータステーションを備えた島津UV−2501PCで得た。セル
の光路長は1.00cmであった。
実施例1 公知方法[ヒロタ(Hirota)達、supra]を変えて1,2
−ジメチルシトレート(2)を調製した。トリメチルシ
トレート(1)(10.0g、42.7mmol)の50%水溶液(CH3
OH(200ml))に水酸化ナトリウム(0.1N、215ml)を室
温で激しく攪拌しながら2時間かけて加えた。この溶液
を約150mlに濃縮し、EtOAc(3×150ml)を用いて抽出
した。水層を1N HCl(45ml)で酸性化し、EtOAc(3×1
50ml)で抽出した。有機層を乾燥(MgSO4)し、濃縮し
て3.70g(39%)の(2)を無色の油として得た。
1H NMR(d6−DMSO)δ5.60(brs,1H,OH),3.64(s,3
H,CO2CH3),3.57(s,3H,CO2CH3),2.87(d,1H,J=15Hz,
1/2 CH2),2.81(d,1H,J=15Hz,1/2 CH2),2.65(d,1H,
J=15Hz,1/2 CH2). 実施例2 1,3−ジクロロヘキシルカルボジイミド(103mg、0.5m
mol)を、(2)(110mg、0.5mmol)と、(s)−
(−)−sec−フェネチルアルコール(61mg,0.5mmol)
と、4−ジメチルアミノ−ピリジン(3mg)との乾燥CH2
Cl2(10ml)溶液に0℃で加え、この混合物を一晩中攪
拌して1,2−ジメチル−3−[(s)−sec−フェネチル
1シトレート(3)を調製した。上記混合物は濾過し、
濾液を濃縮してフラッシュクロマトグラフィー(1:2 Et
OAc/ヘキサン)で精製し、60mg(37%)の(3)を無色
の油として得た: 1H NMR(CDCl3)δ7.35−7.28(m,Ph),5.97(q,J=7
Hz,CHPh),5.88(q,J=7Hz,CHPh),3.77(s,CH3O),3.7
3(s,CH3O),3.69(s,CH3O),3.68(s,CH3O),2.98−2.
74(m,CH2),1.54(d,J=7Hz,C−CH3),1.52(d,J=7H
z,C−CH3). 実施例3 (2)(7g、31.8mmol)を(_)−ブルシン(12.5
g、31.8mmol)のEtOAc(460ml)溶液に一晩中激しく攪
拌しながら加えて(R)−1,2−ジメチルシトレートの
(_)−ブルシン塩を調製した。濾過後、沈殿物(10.5
g)を水(5x)から再結晶し、乾燥して2.04gの白色の結
晶を得た:mp165〜168℃。
ジアステレオ異性体の塩は単斜空間群C2で結晶化し、
下記のセル寸法を有する:a=13.8947(3)、b=12.42
24(3)、c=17.5408(3)Å;α=90゜、β=104.5
56(1)、δ=90゜。この構造はSHELXTLの直接法[She
ldrick、SHELXTL、Siemens XRD Corporation、Madiso
n、WI(1995)]で求め、完全マトリクス最小二乗法を
用いて修正(refine)した。Hでない原子は異方性処理
した。メチル水素原子は理想的な位置で計算し、それぞ
れの炭素原子に乗せた。残りのH原子は制約なしに修正
した。2個の水分子は不斉単位に位置させた。一つの水
分子は完全占有率で修正し、そのH原子を位置付けし
た。他方の水分子は2倍の回転軸に位置付けし、30%の
占有率に修正した。(R)の絶対配置は、ブルシンの立
体化学の知識に基づいて塩のシトレート部分に割り当て
た。パラメータ(521)はI〉2σ(I)の3855反射を
用いる修正の最終サイクルで修正し、R1およびwR2の収
率はそれぞれ0.0434および0.1040を得た。修正はF2を用
いて行った。
実施例4 (R)−1,2−ジメチルシトレート(4)。HCl(1N、
4ml)を(R)−1,2−ジメチルシトレート(2.04g、3.3
2mmol)の(_)−ブルシン塩の水(50ml)の溶液に加
えて、5分間攪拌を続けた。EtOAc(3×50ml)で抽出
し、Na2So4で乾燥濃縮して630mg(86%)の(4)を無
色の油として得た:[α]+4.0(c1.00);NMRは(2)
と同一。
実施例5 N,N'−ジベンジルリゾフェリン、テトラメチルエステ
ル(6)。ジフェニルホスホリルアジド(760mg、2.76m
molとNEt3(1.5ml、11mmol)とを(4)(610mg、2.77m
mol)と、N1,N4−ジベンジル−1,4−ジアミノブタン
[サメジマ(Samejima)達、supra](370mg、1.38mmo
l)とのDMF(20ml)溶液に窒素下0℃で加えた。この溶
液を0℃で1時間、次いで室温で23時間攪拌した。溶媒
を高真空下で除去した後、残留物をEtOAc(25ml)に取
り、飽和NaHCO3(25ml)、水(25ml)、0.5N HCl(25m
l)および水(25ml)で洗浄した。有機層を乾燥(MgS
O4)し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィで分析
(4:1のEtOAc/ヘキサンで溶離)して240mg(26%)の
(6)を淡黄色油として得た: [α]+8.25(c 1.00);1H NMR(CDCl3)δ7.42−7.
24(m,10H),4.65−4.48(m,4H),3.81(s,3H,OCH3),
3.79(s,3H,OCH3),3.69(s,3H,OCH3),3.65(s,3H,OCH
3),3.40−3.12(m,4H),3.10−2.67(m,8H),1.57−1.
41(m,4H).C34H44N2O12について分析、計算:C 60.70,H
6.59,N 4.16.結果:C 60.64,H 6.61,N 4.15. 実施例6 N,N'−ジベンジルリゾフェリン(7)。CH3OH(7ml)
と(6)(170mg、0.253mmol)の1N NaOH(7ml)溶液を
室温で5時間攪拌した。HCl(1N、8ml)を加え、この溶
液を約15mlに濃縮した。EtOAc(3×15ml)で抽出後、
有機層を乾燥し(Na2So4)、濃縮して120mg(77%)の
(7)を無色のガラスとして得た: [α]+12.27(c 1.00);1H NMR(CD3OD)δ7.42−
7.20(m,10H,2 Ph),4.67−4.47(m,4H,CH2Ph),3.35−
3.23(m,4H,2 NCH2),3.19−2.69(m,8H,4 CH2CO),1.5
8−1.41(m,4H,2CH2).C30H36N2O12・H2Oについて分
析、計算:C 56.78,H 6.04,N 4.41.結果:C 56.88,H 6.0
8,N 4.34. 実施例7 リゾフェリン。(7)(110mg、0.178mmol)の蒸留TH
F(1.5ml)溶液をLi(33mg、4.8mmol)のNH3(100ml)
溶液に加え、混合物を−78℃に3時間維持した。H3OH水
溶液(50%、10ml)を青色が消えるまで加えた。アンモ
ニアを蒸発させて残留物を陽イオン交換樹脂カラム(Bi
o Rad、AG 50W−X8)に通して水(50ml)に回収する。
生成物(pH=3)を含む溶出物をEtOAc(50ml)を用い
て抽出し、濃縮乾固した。残留物を蒸留EtOH(2ml)に
溶解し、濾過し、濃縮し、収率50mg(64%)でリゾフェ
リンを無色ガラスとして得た:HRMS(FAB、m−ニトロベ
ンジルアルコールマトリクス)C16H25N2O12の計算値43
7.1407(M+H)、実験値437.1407(塩基)。C16H24N2
O12・H2Oについて分析、計算値:C 42.29,H 5.77,N 6.1
7.実験値:C 42.49,H 5.80,N 5.84. 粗生成物(10mg)の溶液は逆相HPLC[ドレシェル(Dr
echsel)達、1992年、supra](C−18調製用カラム、2
1.4mm×25cm、Raininから市販)で精製した。初期移動
相濃度0.1%TFA中3%CH3CNを15分間保持し、次いで35
分かけて0.1%TFA中で3〜11%のCH3CNを勾配溶出し、
次いで0.1%TFA中11%CH3CNで20分間保持した。流量は4
ml/分に維持した。滞留時間は56分にした。凍結乾燥で
4.32mg(9.90μmol)の精製リゾフェリンが無色ガラス
として生成した: [α]−16.7(26℃)(c 0.1613);1H NMR(D2O)δ
3.21−3.15(m,4H),3.02(d,2H,J=16.0Hz),2.79(d,
2H,J=16.0Hz),2.76(d,2H,J=14.6Hz),2.65(d,2H,J
=14.6Hz),1.53−1.47(m,4H). 精製生成物を50.00mlの蒸留水に溶解して原液を調製
した。10.00mlのアリコットを20.00mlに希釈し、1.90ml
の0.010N HCl(最終リゾフェリン濃度=9.04×10-5M)
を用いてpH=3.02に調整する。pH調整後、直ちにCDおよ
びUVスペクトルを取った。全てのスペクトルは上記のよ
うに酸性化した蒸留水ブランクでベースライン補正し
た。
CD結果 リゾフェリンのCDスペクトルは200から220nmで負のコ
ットン効果を示し、205nmで単一最小値、Δε=−2.7が
記録された。公知の単一最小値Δεは204nmで_4.3であ
る[ドレシェル(Drechsel)達、1992年、supra]。
UV結果 nm ε ε10 196 12200 (13900) 200 10800 (13150) 210 5230 (5600) 215 2770 (3000) 220 1200 (1400)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−97359(JP,A) Hartmut Drechsel, Stereochemical Cha racterization of r hizoferrin and ide ntification of its dehydration produ cts,BioMetals,5/3, 141−148 Kazuhiro HIROTA,A FACILE PREPARATIO N OF ASYM−MONOMETY L,SYM−MONOMETHYL A ND ASYM−DIMETHYL C ITRATE,CHEMISTRY L ETTERS,p.191−194 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 231/00 - 231/24 C07C 235/10 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学式(I)の化合物: 〔ここで、 C*はキラル炭素原子であり、 aおよびbは0〜10の整数であり、互いに同一でも異な
    っていてもよく、 RはH、アルキル、アリールアルキル、カルボキシルま
    たは下記の基を表す: (ここで、C*およびbは上記の意味を有する)〕 の合成方法であって、 下記(1)〜(3)の工程からなることを特徴とする方
    法: (1) 化学式(II)のポリアミンを化学式(III)の
    クエン酸のジエステルでアシル化して化学式(IV)のア
    ミドを生成する: (ここで、a、bおよびRは上記の意味を有し、Qはア
    ミン保護基である) (ここで、R'は炭素数10までのアルキル、アリール、ア
    ラルキルまたはシクロアルキルである) (2) 化学式(IV)のアミドを加水分解して、化学式
    (V)の酸を生成する: (3) 化学式(V)の酸のQ基を除去して、化学式
    (I)の酸を生成する。
  2. 【請求項2】a=1、b=1およびR=Hである請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】ポリアミンが脂肪族ジアミンである請求項
    2に記載の方法。
  4. 【請求項4】脂肪族ジアミンが1,4−ジアミノブタンで
    ある請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】Qがベンジル基である請求項1に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】Rがメチルである請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】クエン酸のジエステル(III)がそのラセ
    ミ混合物である請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】クエン酸のジエステル(III)がその鏡像
    異性体である請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】クエン酸のジエステル(III)が(R)鏡
    像異性体である請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】ポリアミンが1,4−ジアミノブタンであ
    り、化合物(I)がリゾフェリンである請求項9に記載
    の方法。
  11. 【請求項11】N1,N4−ジベンジル−1,4−ジアミノブタ
    ンを、(R)−1,2−ジメチルシトレートでアシル化し
    て化学式(VII)の化合物を作り: 化学式(VII)の化合物を加水分解して化学式(VIII)
    の酸を生成し: 化学式(VIII)の酸を脱ベンジル化してリゾフェリンを
    作るリゾフェリンの合成方法。
  12. 【請求項12】ジフェニルホスホリルアジドとトリエチ
    ルアミンとを用いてアシル化を行う請求項11に記載の方
    法。
  13. 【請求項13】ジメチルホルムアミドを含む溶媒中でア
    シル化を行う請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】化学式(VIII)を生成するための化学式
    (VII)の加水分解をアルカリ性メタノール中で行う請
    求項11に記載の方法。
  15. 【請求項15】リゾフェリンを生成するための化学式
    (VIII)の脱ベンジル化を溶解性金属還元状態下で行う
    請求項11に記載の方法。
  16. 【請求項16】溶解性金属還元状態がLiのNH3溶液であ
    る請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】化学式(VI): (ここで、C*およびRは上記の意味を有する) を有するクエン酸トリエステルを立体制御下に鹸化する
    ことによってクエン酸ジエステル(III)を調製する段
    階を含む請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】Rがメチルであり、化学式(VI)の立体
    制御下の鹸化をメチルアルコールのアルカリ溶液中で行
    う請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】クエン酸ジエステル(III)の鏡像異性
    体を調製する段階を含む請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】クエン酸ジエステル(III)のラセミ混
    合物から鏡像異性体を分離することによって上記鏡像異
    性体を調製する請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】ラセミ混合物をキラル塩基と反応させて
    ジアステレオ異性体の塩を生成することによってラセミ
    混合物を分離して上記鏡像異性体を生成する請求項20に
    記載の方法。
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