JP3470700B2 - スクータ型自動二輪車の収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シート下に収納ス
ペースを持つスクータ型自動二輪車の収納装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、スクータ型車両などの自動二輪車
では、シート下に収納箱を設けて、この収納箱に荷物や
ヘルメットを収納できるようにしている。このような自
動二輪車では、レンチやスパナなどの車載ツール（工
具）を車体に搭載する必要がある。

【０００３】車載ツールはツールホルダーに収納するも
のである。従来は、ツールホルダーの車体への取付けに
は下記（ａ）〜（ｄ）など種々の方法が取られていた。 （ａ）ツールホルダーを前記収納スペースとは別の箇所
にリベット止めする。 （ｂ）ツールホルダーをボルトナットで車体に締め付け
固定する。 （ｃ）ツールホルダーを収納箱と一体成形する。 （ｄ）ツールホルダーを収納箱とは別に設置したものも
ある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
（ａ）、（ｂ）、（ｄ）の取付けによるツールホルダー
では、ツールホルダーが収納箱と別体であり、取付け部
品も要するため、部品点数が一体にしたものに比較して
多く、組付けや製作の工数が増すという問題点が生じ
る。これに対して前記（ｃ）の一体成形するものでは、
従来は十分に防水性を考慮したものが無いという問題点
がある。

【０００５】本発明は、前記従来の問題点を解消するべ
くなされたものであって、ヘルメットの収納箱を一体化
して部品点数が少なくできると共に防水性も良好にでき
るスクータ型自動二輪車の収納装置を提供することを目
的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、次の構成を有する。請求項１の発明は、
書籍、書類やヘルメットなどの物品を適宜収納可能な収
納箱を持ち、該収納箱を座席シート下方に設けて該座席
シートにより上部開口を開閉するようにし、前記収納箱
の下方にＶベルト式無段変速機を有するユニットスイン
グエンジンを配設し、該ユニットスイングエンジンをフ
レームに取り付けたスクータ型自動二輪車用の収納装置
において、前記収納装置は、収納箱の底面を後上がりに
傾斜して、ヘルメットを座席シートとの間に収納可能に
形成すると共に、該収納箱の底面に、前記ヘルメットの
一部が嵌まり込む段部を形成し、更に、該収納箱の底面
の車体幅方向側部には、車体前後方向に長く延び、かつ
該収納箱の中央部底面より下方に落とし込むと共に、該
中央部底面に対する落とし込み深さが収納箱の前部より
後部を深く形成した凹所を備えたことを特徴とするスク
ータ型自動二輪車の収納装置である。また、請求項２の
発明は、前記収納箱は、底面が後ろ上り傾斜になり、さ
らに、前記凹所内に前記収納箱を車体フレームに締め付
けるボルト締め付け箇所を設けたことを特徴とする請求
項１に記載のスクータ型自動二輪車の収納装置である。

【０００７】請求項１の発明によれば、書籍、書類また
はヘルメットなどの物品を適宜収納可能な収納箱を持
ち、該収納箱を座席シート下方に設けて該シートにより
上部開口を開閉するようにしたので、収納箱の防水性が
高い。また、凹所は側部底面に形成したので収納箱の他
の収納物の邪魔にならず、収納物を傷つけることが生じ
ない。また、請求項２の発明によれば、凹所内に前記収
納箱を車体フレームに締め付けるボルト締め付け箇所を
設けたので、収納箱をフレームに締着するボルトにより
ブラケットを共締めでき部品点数を少なく強固に固定で
きる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。図１は実施形態にかかる収納
箱１０を有するスクータ型自動二輪車の全体図、図２は
収納箱１０の縦断面図、図３は収納箱１０にヘルメット
１２とＵ字ロック装置１４の収納状態の説明図、図４は
収納箱１０の底部説明図、図５は収納箱１０の斜視図、
図６は図３のVI−VI線に沿う、収納箱のブラケット２０
の断面図である。

【０００９】実施形態にかかる収納箱は、図１〜図３に
示すように、スクータ型自動二輪車１Ａの収納箱（収納
ボックス）１０であって座席シート１７下方に設けら
れ、該収納箱１０は、ヒンジ１７ｃを介して該座席シー
ト１７により上部開口１０ａを開閉するようにしたもの
である。

【００１０】スクータ型自動二輪車１Ａは、図１に示す
ように、そのほぼ中央部の前部側を搭乗空間に区画形成
するフレーム２２を備え、このフレーム２２の前部にフ
ロントフォーク１が、フレーム２２の下部には太いコイ
リスプリングやダンパ３ａなどを介しエンジン２やミッ
ションなどを含む動力系３がそれぞれ取り付けられてい
る。フレーム２２は、図１に示すように、ほぼ倒Ｌ字形
の複数の第１メインフレーム４と、この複数の第１メイ
ンフレーム４の上部後方に傾斜して連結された第２メイ
ンフレーム５と、この第２メインフレーム５の下部前方
に連結されたほぼ倒く字形のアッパチューブ６と、ほぼ
倒Ｌ字形を呈した複数のダウンチューブ７とを備え、こ
れらがアルミ合金や鋼材などで構成されている。

【００１１】複数の第１メインフレーム４と第２メイン
フレーム５とが区画する空間にはオイルタンク、燃料タ
ンク、及びバッテリなどの構成要素がそれぞれ内蔵され
ている。また、複数の第１メインフレーム４及び第２メ
インフレーム５の後方には図１に示すように、上位に位
置する複数のシートレール８が傾斜状態に連結され、こ
の複数のシートレール８が区画する空間には有底筒形の
収納箱１０が傾斜して内蔵され、この収納箱１０に工
具、後述するＵ字ロック装置１４と、書籍、書類、又は
ヘルメット１２などの物品が適宜収納される。また、ア
ッパチューブ６及び複数のダウンチューブ７の上部前方
にはヘッドパイプ９が傾斜して連結され、このヘッドパ
イプ９にはフロントフォーク１が軸受を介し操舵可能に
貫通支持されている。

【００１２】フロントフォーク１は、その上部にハンド
ル１ａが、下部の弾発的なアウタチューブには回転可能
に前輪１ｂがそれぞれ取り付けられ、整流などの機能を
有するフロントカバー１ｃで被覆されている。また、エ
ンジンユニットは、エンジン２とスクータ１Ａに好適な
Ｖベルト式無段変速機とでユニットスイングエンジンを
構成し、無段変速機の後軸を介して後輪２５を回転可能
に軸支している。

【００１３】また、フレーム２２は、図１に示すよう
に、そのほぼ前部側がレッグシールド、レッグクッショ
ン、及びマットなどで被覆され、これらがほぼ板形の床
板を形成して快適な乗り心地や安定感を確保する。ま
た、フレーム２２は、その左右両側部が一対のサイドカ
バー２７で被覆され、この一対のサイドカバー２７が風
の抵抗の減少、整流などを確保する。各サイドカバー２
７は、成形性や耐衝撃性に優れたＡＢＳ樹脂やポリアミ
ド樹脂などから成形することができる。

【００１４】座席シート１７は、図１に示すように、低
位の前部シート２８と、高位の後部シート２９とを備
え、これら前部シート２８及び後部シート２９が連続し
たほぼ段差構造に構成されている。前部シート２８は、
その表面がレザーで被覆され、下部には断面ほぼ逆Ｕ字
形でポリプロピレン製のシートボトムが設けられている
と共に、複数の第１メインフレーム４の上部及び第２メ
インフレーム５の傾斜上部付近に位置する。

【００１５】後部シート２９は、図１に示すように、そ
の前後方向に伸長して構成され、前部２９ａが上部前方
に指向した傾斜構造に、樹脂製の底板２９ｂの前部下面
は、ヘルメット１２収納に適した凹み構造にそれぞれ構
成されており、後部が上部後方に指向した傾斜起立構造
に構成されている。また、後部シート２９は、その表面
がレザーで被覆されることができる。

【００１６】ここで、前記収納箱１０は、図２、図３、
図６に示すように、車体幅方向側部の底面１０ｂを中央
部よりも下方に落とし込んだ位置にし、かつ、車体前後
方向に長くＵ字ロック装置１４（所定工具の一例）設置
用の凹所１８を形成し、この凹所１８の底面から側面に
亙ってブラケット（ツールホルダープレート）２０を取
付け、該ブラケット２０を収納箱１０とフレーム２２に
共締めし、該ブラケット２０の上端部を外向きに折り曲
げて係止部２０ａを設けて、この係止部２０ａに係止し
た弾性体バンド２４により前記Ｕ字ロック装置１４を凹
所１８内に固定することを可能にしたものである。

【００１７】すなわち、図２〜図５に示すように、収納
箱１０は、平面視概略矩形の内部形状を呈し、内部底面
１０ｂが緩やかに後ろ上がり傾斜になり、該底面１０ｂ
にはそれよりも強い傾斜の後壁１０ｃに繋がっている。
この底面１０ｂは、後輪２５のクッションストロークに
干渉しない位置に形成されている。また、底面１０ｂ前
部には、後ろ向きにＶ字形状の開口３０ａを残して上方
に突出した段部３０が形成され、その開いた部分は底面
１０ｂとほぼ同じ位置で繋がる。

【００１８】凹所１８は、収納箱１０の車体右側方向端
の側壁１０ｄに隣接する底面１０ｂに前後方向に長く谷
形状に形成されており、その後部寄りの部分には、凹所
１８の底面部から側面部に亙る凹み３２が形成され、こ
の凹み３２は、前記側壁１０ｄ上端まで延びて形成され
ている（図５参照）。

【００１９】この凹み３２の中には、図６に詳細に示す
ように、帯材を上開きコの字形状に形成した前記ブラケ
ット２０を嵌入している。このブラケット２０の上端部
の係止部２０ａには、ゴムなどの弾性材からなるバンド
２４の両端リング部材２４ａ、２４ａを引っかけて該バ
ンド２４を係止する。これにより、凹所１８内に収めた
Ｕ字ロック装置１４を固定できるようにする。なお、前
記ブラケット２０は、収納箱１０をフレーム２２に締着
するときにそのボルト３４によりフレーム２２に共締め
する。

【００２０】実施形態の自動二輪車の収納箱１０によれ
ば、側部の底面１０ｂを中央部よりも下方に落とし込ん
で位置させ車体前後方向に長くＵ字ロック装置１４設置
用の凹所１８を形成したので、座席シート１７で開閉す
る収納箱１０内に一体にＵ字ロック装置１４を収納固定
でき、防水性が高い。それと共に、凹所１８は、前記収
納箱１０の車体幅方向側部の底面に形成したので、収納
箱１０の他の収納物（ヘルメット１２など）の邪魔にな
らず、収納物を傷つけることなどが生じ無い。さらに、
凹所１８は車体前後方向に長いので、所定の工具には、
一般的な車載工具も含み、図６に示すように、Ｕ字ロッ
ク装置１４と共に車載工具３６を収納することができ
る。

【００２１】また、前記凹所１８の底面から側面に亙っ
てブラケット２０を取付け、該ブラケット２０を収納箱
１０とフレーム２２にボルト３４により共締めしたの
で、ブラケット２０の固定が部品点数が少なく、かつ、
強固に固定できる。また、該ブラケット２０の上端部に
係止部２０ａを設けて、この係止部２０ａに係止した弾
性体バンド２４により前記Ｕ字ロック装置１４を凹所１
８内に固定するので、バンド２４の取付けという簡易な
手法で工具を取り付けることができ、構造も簡素化す
る。

【００２２】また、収納箱１０の底部前端部には後方Ｖ
字形状に開いた段部３０を形成しているので、ヘルメッ
ト１２を収納したときに、この段部の開口３０ａの両壁
にヘルメット１２の端部を挟みつけて当てることがで
き、ヘルメット１０が収納箱１０内で振動によって踊る
ことがなく、安定する。

【００２３】

【発明の効果】以上説明した通り、請求項１の発明によ
れば、書籍、書類またはヘルメットなどの物品を適宜収
納可能な収納箱を持ち、該収納箱を座席シート下方に設
けて該シートにより上部開口を開閉するようにしたの
で、収納箱の防水性が高い。また、凹所は側部底面に形
成したので収納箱の他の収納物の邪魔にならず、収納物
を傷つけることが生じない。また、請求項２の発明によ
れば、凹所内に前記収納箱を車体フレームに締め付ける
ボルト締め付け箇所を設けるので、収納箱をフレームに
締着するボルトによりブラケットを共締めでき部品点数
を少なく強固に固定できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態にかかる収納箱を有するスク
ータ型車両の全体図である。

【図２】収納箱の縦断面図である。

【図３】収納箱にヘルメットとＵ字ロックを収納した状
態の説明図である。

【図４】収納箱の底部説明図である。

【図５】収納箱の斜視図である。

【図６】図３のVI−VI線に沿う、収納箱のブラケットの
断面図である。

【符号の説明】

２ エンジン １０ 収納箱 １０ｂ 収納箱底面 １２ ヘルメット １７ 座席シート １８ 凹所 ２２ フレーム

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 書籍、書類やヘルメットなどの物品を適
   宜収納可能な収納箱を持ち、該収納箱を座席シート下方
   に設けて該座席シートにより上部開口を開閉するように
   し、前記収納箱の下方にＶベルト式無段変速機を有する
   ユニットスイングエンジンを配設し、該ユニットスイン
   グエンジンをフレームに取り付けたスクータ型自動二輪
   車用の収納装置において、 前記収納装置は、収納箱の底面を後上がりに傾斜して、
   ヘルメットを座席シートとの間に収納可能に形成すると
   共に、該収納箱の底面に、前記ヘルメットの一部が嵌ま
   り込む段部を形成し、更に、該収納箱の底面の車体幅方
   向側部には、車体前後方向に長く延び、かつ該収納箱の
   中央部底面より下方に落とし込むと共に、該中央部底面
   に対する落とし込み深さが収納箱の前部より後部を深く
   形成した凹所を備えたことを特徴とするスクータ型自動
   二輪車の収納装置。
2. 【請求項２】 前記収納箱は、底面が後ろ上り傾斜にな
   り、さらに、前記凹所内に前記収納箱を車体フレームに
   締め付けるボルト締め付け箇所を設けたことを特徴とす
   る請求項１に記載のスクータ型自動二輪車の収納装置。