JP3470592B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

渦電流式減速装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラックやバス等
の大型車両に使用される渦電流式減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トラックやバス等の大型自動車の制動装
置には、主ブレーキであるフットブレーキ、補助ブレー
キである排気ブレーキの他に、長い坂道の降坂時等にお
いて安定した減速を行い、かつフットブレーキの焼損を
防止するために渦電流式減速装置が使用される。
【0003】図1は、渦電流式減速装置の一例を示す縦
断面図である。同図において、符号1はロータ、2はロ
ータのアーム、3はロータの円筒部、4は冷却フィン、
5はステータ、6は永久磁石、7は磁石の支持リング、
8はポールピース、9はピストンロッド、10は空圧装
置、11は回転軸、12は案内棒である。
【0004】同図は磁石として永久磁石を使用し、ロー
タの回転面として円筒部3の内周面13を用いた例であ
り、永久磁石6は円筒部3の内周面13と向かい合って
設けられているが、永久磁石6が円筒部の外周面側に設
けられる場合もある。
【0005】また、同図では、磁石として永久磁石を使
用しているが、電磁石を使用するものとがある。
【0006】特開平1−288636号公報には、ロー
タの回転面として円板の片側面を用い、磁石には電磁石
を用いた例が開示されている。
【0007】いずれの場合にも、ロータの回転面に対向
させて固定磁石を設け、磁石の磁束によりロータに渦電
流を発生させる方式である。以下では図1の形式の渦電
流式減速装置について説明する。
【0008】図1において、ロータ1には、アーム2を
介して強磁性体からなる円筒部3が配置され、回転軸1
2の片側端部に取り付けられている。ロータの円筒部3
は、回転軸12と一体に回転する。
【0009】ステータ5を構成する磁石の支持リング7
の周囲には永久磁石6が複数個配置され、磁石の支持リ
ング7はステータ5に設けられた空圧装置10のピスト
ンロッド9に結合されており、空圧装置10の駆動によ
って複数の案内棒12に沿い回転軸の軸方向に往復運動
する。この往復運動によって永久磁石6がポールピース
8の位置、すなわち円筒部3の内周面13と磁気的に対
向する位置まで挿入された状態(図示の軸の上側の状
態)が制動オンの状態である。反対に、永久磁石6がポ
ールピース7から離れた位置にある状態(図示の軸の下
側の状態)が制動オフの状態である。
【0010】制動オンの状態では、永久磁石6から発す
る磁束を横切って円筒部3が回転運動するので、円筒部
3の内周面13の近傍に渦電流が流れる。この渦電流と
磁束の相互作用によってロータ1には制動トルクが発生
する。この円筒部3は、渦電流にともなうジュール熱で
加熱され、制動オフの状態で冷却フイン4によって冷却
される。このため、円筒部3には、制動のオン・オフの
繰返しによって熱サイクルが負荷される。
【0011】電磁石を使用した渦電流式減速装置におい
ても制動トルクの発生原理は、永久磁石の場合と同じで
ある。ただし、永久磁石を用いる場合には、前記のよう
に磁石が往復運動することによって制動のオン・オフを
行うのに対して、電磁石を用いる場合には、電磁石コイ
ルの電流を調整することによって制動のオン・オフを行
う。
【0012】制動トルクを大きくする方法として、ロー
タの円筒部の磁石と対向する回転面に、電気抵抗の小さ
な材料(アルミニウム、銅または銅合金など)からなる
表面処理層を設けた渦電流式減速装置が提案されている
(たとえば、特開平1−288636号公報参照)。
【0013】アルミニウムは、軽量で電気抵抗も小さく
表面処理層として好ましいが、制動時には600℃を超
える温度になることがあり、溶融することがある。ま
た、アルミニウム層を形成するには、真空蒸着装置等を
必要とし、製作が煩雑である。銅または銅合金は、より
高温にも耐えられるが、温度上昇によって、酸化、減肉
され、制動トルクが低下するという問題がある。
【0014】これを解決する方法として、特開平5−2
36732号公報には回転面の表面処理層をニッケル−
銅−ニッケルクロム合金の3層で被覆した渦電流式減速
装置が提案されている。
【0015】同公報の技術は、円筒部表面の最外側をニ
ッケルクロム合金で被覆することによって銅が酸化、減
肉されるのを防止することと、熱膨張による銅層とロー
タ円筒部との相対変位をニッケル層で緩和することをね
らったものである。
【0016】このニッケルクロム合金層は、減圧溶射に
よって形成するとしているが、空孔の残存は避けられ
ず、銅層の酸化を防止することができない。また、ニッ
ケルクロム合金膜は、硬度が高く靱性に乏しいので、熱
サイクルや熱衝撃によって亀裂を発生しやすいという問
題がある。
【0017】銅層と円筒部との緩衝材料としては、ニッ
ケルが用いられているが、この構成では長時間使用した
場合に、銅からニッケルへの拡散が起こるため、銅とニ
ッケルの界面の銅側で空孔(カーケンダルボイド)が生
じ、そこから表面処理部が剥離、脱落するという問題が
ある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】近年、渦電流式減速装
置を搭載する大型車両が増加しており、従来よりも積載
量の大きなトラックやトレーラーへの搭載が進められて
いる。このため、渦電流式減速装置に要求される制動能
力は増大する傾向にあり、渦電流式減速装置の制動中の
ロータの回転面温度は、650℃程度になることもあっ
て、さらに耐久性に優れた装置が望まれている。
【0019】本発明の目的は、ロータの温度が650℃
程度にもなる過酷な使用条件下で、表面保護層の亀裂を
防止し、かつ銅または銅合金層の強磁性体円筒部からの
剥離を抑制する耐久性に優れた渦電流式減速装置を提供
することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明ではロータの円筒
部の表面処理層を、溶射法に比べて安定した品質の膜を
形成できるめっき法によって作成することを前提に研究
を行った。その結果、以下の知見を得た。
【0021】(a) 表面処理層の導電体層としては銅また
は銅合金を用いる。この銅層の酸化、減肉を防止するた
め最外層は、耐酸化性、耐熱サイクル性に優れたニッケ
ルめっきがよい。しかし、ニッケルめっき単体では銅層
から銅が拡散してくるので、これを防止するため、ニッ
ケル系の合金層を銅層とニッケル層の間に挟むのがよ
い。
【0022】(b) 銅層と円筒部との間の緩衝材として、
ニッケルめっきは同様に銅の拡散の問題があるので、銅
の拡散を防止する層としてニッケル系合金層が必要であ
る。この場合、拡散防止のニッケル系合金層と緩衝材の
ニッケルの2層は必要ではなく、ニッケル系合金層で拡
散防止と緩衝材の機能を満たすことができる。
【0023】(c) ニッケル合金層やニッケル層の厚さを
適切な範囲にする必要がある。
【0024】前記知見に基づいて、本発明の要旨は以下
の(1) 〜(3) にある。
【0025】(1)ロータと、該ロータの回転面に対向
させ、固定して設けた磁石とを備え、該磁石の磁束によ
り前記ロータに渦電流を発生させる方式の渦電流式減速
装置であって、前記磁石の側を向いた前記回転面に、
ングステン、鉄、ボロン、コバルト及びリンから選ばれ
る1種以上を合金元素として含有するニッケル系合金か
らなる第1層、銅または銅合金からなる第2層、ニッケ
ル系合金からなる第3層、およびニッケルからなる第4
層を順次設けたことを特徴とする渦電流式減速装置。こ
の本発明にかかる渦電流式減速装置ではタングステン
の含有量は1〜50質量%であり、鉄の含有量は1〜1
5質量%であり、ボロンの含有量は1〜10質量%であ
り、コバルトの含有量は1〜20質量%であり、リンの
含有量は1〜20質量%であることが望ましい。さら
に、これらの元素を2種以上含有する場合には、各元素
の合計含有量が1〜50質量%であることが望ましい。
請求項1記載の渦電流式減速装置。さらに、第1層がメ
ッキによって形成されている層であることが例示され
る。
【0026】(2) 第1層の厚さt1 が下記の範囲である
ことを特徴とする前記(1) 項に記載の渦電流式減速装
置。
【0027】t1=1〜30μm (3) 第3層の厚みt3 と第4層の厚さt4 が、下記の式
を満足することを特徴とする前記(1) または(2) 項に記
載の渦電流式減速装置。
【0028】t3+t4=5〜50μm t3/(t3+t4)=0.05〜0.8
【0029】
【発明の実施の形態】図2は本発明の回転面、すなわち
図1の内周面13に施した表面処理層を示す図1A部の
拡大断面図である。同図において、第1層21は第2層
22と円筒部3との間の緩衝層である。第2層は電気抵
抗の小さい層で、強磁性体の円筒部より電気抵抗が小さ
いため渦電流の発生を促進し、制動力を増大させる機能
をもつ層である。第3、4層は第2層の銅層の保護層で
ある。第1層の要件は後述する。
【0030】第2層22の材料としては、電気抵抗の小
さい銅、銅合金またはアルミニウムが上げられるが、ア
ルミニウムは融点が低いため最高温度が600℃を超え
る条件では使用できない。従って、本発明では銅または
銅合金からなる層(以下、総称して銅層ともいう)とし
た。
【0031】銅層が過度に薄いと渦電流が円筒体にも流
れるので電気抵抗が増し渦電流が小さくなって制動力が
低下する。銅は非磁性であり、銅層が過度に厚いと、強
磁性体のロータの円筒部に達する磁束密度が小さくなる
ため制動トルクが減少する。従って銅層の厚さの好適値
は50〜400μmである。
【0032】第4層24は最外層のニッケル層である。
ニッケルは600〜700℃の温度範囲で耐酸化性に優
れていること、また軟質で延性に富んでいるため、熱サ
イクルや熱衝撃に対しても亀裂の発生が少ないため、銅
層の酸化防止に寄与する。しかし、第4層のニッケルを
第2層の銅層上に直接被覆すると、界面において銅から
ニッケルへ拡散が起こり、銅側に空孔(カーケンダール
ボイド)が生じ、ニッケル層が剥離するおそれがある。
【0033】第3層のニッケル系合金は、第2層の銅側
の空孔の生成を抑制するために中間保護膜として第2層
と第4層の間に使用するものである。第3層のニッケル
系合金の合金元素としては、タングステン、鉄、ボロ
ン、コバルト、リンなどが挙げられる。これらの合金中
では銅の拡散速度がニッケル中に比べて小さく、銅原子
がニッケル格子中に進入しにくくなるためである。各元
素の単独での含有範囲(重量%)は以下の通りである。
【0034】タングステンは1〜50%が好ましい。下
限未満では銅拡散抑制効果が小さく、上限を超えると、
硬度が高くなり剥離や割れが生じやすい。さらに好適範
囲は10〜40%である。
【0035】鉄は1〜15%が好ましい。下限未満では
銅拡散抑制効果が小さく、上限を超えると、熱膨張率が
小さくなりすぎる。さらに好適範囲は3〜12%であ
る。
【0036】ボロンは1〜10%が好ましい。下限未満
では銅拡散抑制効果が小さく、上限を超えると硬度が高
くなり剥離しやすく、コスト高にもなり不利である。さ
らに好適範囲は2〜6%である。
【0037】コバルトは1〜20%が好ましい。下限未
満では銅拡散抑制効果が小さく、上限を超えるとコスト
高になって不利である。さらに好適範囲は5〜18%で
ある。
【0038】リンは1〜20%が好ましい。下限未満で
は銅拡散抑制効果が小さく、上限を超えると硬度が高く
なり、靭性に乏しくなるため割れ、剥離が生じやすくな
る。さらに好適範囲は5〜14%である。
【0039】これら元素を複合して含有する場合は、単
独元素の上限値を超えないようにして、合計含有量が1
〜50%であるのが好ましい。さらに好適範囲は1〜4
0%である。
【0040】第3層のニッケル系合金層の厚さをt3
第4層のニッケル層の厚さをt4 としたとき、第3、第
4層の合計厚さ(t3 +t4 )を5〜50μmの範囲と
し、(t3 /(t3 +t4 ))を0.05〜0.8にな
るように調整するのが望ましい。この層厚さ条件では、
650℃までの温度域において、銅とニッケル間の拡散
による空孔の発生を防止でき、熱ひずみや熱衝撃による
ニッケル系合金の中間保護膜の亀裂を防止できる。
【0041】第3、4層の合計厚さ(t3 +t4 )が5
0μmを超えると、銅層の保護効果は飽和し、コスト高
となる。(t3 +t4 )が5μm未満では、最高温度が
650℃程度の過酷な熱サイクルを受けた場合に、銅の
拡散による空孔の発生を防止する効果や、ニッケル系合
金保護膜のき裂を防止する効果が不十分となり、部分的
に空孔が生じるおそれがある。
【0042】(t3 /(t3 +t4 ))が0.05未満
では、最高温度が650℃程度の過酷な熱サイクルを受
けた場合に、銅とニッケル間の拡散による空孔の発生を
防止する効果が不十分となり、部分的に空孔が生じる場
合がある。
【0043】(t3 /(t3 +t4 ))が0.8を超え
ると、ニッケル第3層の厚さが過剰、第4層の保護膜の
厚みが過度に薄くなり、最高温度650℃程度の過酷な
熱サイクルを受けた場合に、第3層のニッケル系合金層
に亀裂が生じる場合がある。
【0044】さらに好適な範囲は、(t3 +t4 )=1
5〜50μm、(t3 /(t3 +t4))=0.1〜
0.6である。
【0045】ロータの円筒部3と第2層22の銅層の間
に第1層21を設けたのは、強磁性体の円筒部3(一般
に鋼、もしくは合金鋼)と第2層の銅層との熱膨張率の
差によって生じるせん断応力を緩衝するためである。第
1層をニッケル系合金層とした理由は、ニッケル系合金
の緩衝効果を維持しつつ、銅の拡散を抑制するためであ
る。従って、第3層のニッケル系合金層とは緩衝効果を
ねらう点が異なる。ただし、材料としては第3層に用い
た前記の材料と同等のものでよい。
【0046】この場合、第1層の厚さをt1 として、t
1 =1〜30μmとするのが望ましい。通常表面処理層
は電気めっきまたは無電解めっきによって形成するのが
価格・品質面で有利であるが、めっき層の膜厚管理の関
係上、安定した膜厚制御を行うためにt1 を1μm未満
とするのは難しい。また、t1 が1μm未満ではロータ
円筒部と銅層の熱応力の緩衝効果が不十分となる。
【0047】t1 が30μmを超えると、緩衝効果が飽
和しコスト高になるうえ、めっき層内に欠陥が生じる可
能性があり、そこから破壊する可能性が高くなる。さら
に好適な範囲は2〜20μmである。
【0048】
【実施例】図1に示した渦電流式減速装置のロータの円
筒部3の内周面13に表1に示す各種の表面処理層を設
けたものを試験体とした。
【0049】本発明のロータの第1層および第3層のニ
ッケル合金めっき条件は表1に示すとおりである。第2
層の銅層は、シアン系銅めっき浴を用いて電気めっき法
によって形成した。めっき浴の温度は50℃、電流密度
は2.5A/dm2 であった。形成されためっき層の純
度は99.9重量%以上であった。第4層のニッケルめ
っき層は、ワット浴を用い、電気めっき法によって形成
した。めっき浴の温度は50℃、電流密度は1.5A/
dm2 であった。形成されためっき層の純度は99.9
重量%以上であった。
【0050】比較例として、第1層のニッケル系合金層
のないもの、またはニッケル層のみのもの、第3層のニ
ッケル合金層のないものを試験体とした。ただし、比較
例の層番号は本発明例の対応する層にあわせて表1、2
に記した。
【0051】
【表1】
【0052】これらのロータ試験体を大型トラックのト
ランスミッション後部のプロペラシャフトの途中に装備
して、制動トルクを測定するとともに、耐久性を調査す
るための制動試験を実施した。試験に供した渦電流式減
速装置は10トン車用であり、ロータの円筒部はCr−
Mo系の低合金鋼からなり、円筒部3の内径は約400
mm、肉厚は約10mm、軸方向長さは約80mmであ
った。
【0053】制動トルクの測定にあたっては、まず図1
の回転軸11の回転速度を徐々に上げて行き、回転速度
が1000rpm、2000rpmとなった時点での制
動トルクを測定した。
【0054】繰返し制動試験にあたっては、プロペラシ
ャフトの回転速度を2000rpmで一定とし、制動オ
ンとオフを繰返して、ロータに繰返し温度変動を与え
た。この際の制動オンおよびオフの時間については、ロ
ータの内周表面の最高温度が約650℃、最低温度が約
100℃となるように調整した。この制動と非制動を6
000サイクル繰返し、試験後のロータの円筒部内表面
の損傷状況を観察した。さらに、試験後のロータ断面の
ミクロ調査を行い、表面処理層の損傷状況を調査した。
表2に試験結果を示す。
【0055】
【表2】
【0056】表2の試験結果から、制動トルクはニッケ
ルまたはニッケル合金の第1層、第3層および第4層の
有無にはほとんど影響を受けないことがわかった。
【0057】本発明例の試験体No.1〜17では、表
面処理層の一部に膨れが見られたが、ロータ円筒部と表
面処理層の界面での剥離は観察されず、かつ、表面の割
れも発生せず良好ないしやや良好であった。めっき層の
厚さを本発明の規定範囲とした物はすべて良好であっ
た。
【0058】比較例の試験体No.18〜20は、第1
層のニッケル合金めっき層がない試験体である。第2〜
4層の表面処理層に膨れ発生が見られ、一部が脱落し
た。
【0059】比較例の試験体No.21は、第1層がニ
ッケルめっきで、第3、4層の条件は本発明例と同じ試
験体である。第2〜4層の表面処理層に膨れ発生が見ら
れ、一部が脱落した。
【0060】比較例の試験体No.22は、第1層の条
件は本発明と同じで、第3層のニッケル合金めっき層が
なく、第2層の銅層に直接第4層のニッケルめっきを施
した試験体である。第4層のニッケルめっき表面に小さ
な割れがみられ、第2層と第3層の界面に一部ボイドの
発生が見られた。
【0061】
【発明の効果】本発明の渦電流式減速装置用ロータは、
従来の渦電流式減速装置用ロータに比べて、制動トルク
を向上させるために設けた表面処理層の耐久性に優れて
おり、高温での長時間使用においても安定した制動力が
得られるため、トラック、トレーラー等の大型車両の安
全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】永久磁石を使用した渦電流式減速装置を示す縦
断面図である。
【図2】本発明のロータの回転面の表面に施した表面処
理層を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ロータ 2 アーム 3 円筒部 4 冷却フィン 5 ステータ 6 永久磁石 7 磁石の支持リング 8 ポールピース 9 ピストンロッド 10 空圧装置 11 回転軸 12 案内棒 13 内周面 21 第1層 22 第2層 23 第3層 24 第4層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤崎 勝彦 大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住 友金属工業株式会社関西製造所製鋼品事 業所内 (72)発明者 福井 国博 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−236732(JP,A) 特開 平10−155266(JP,A) 特開 平1−288636(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 49/02,49/10 C25D 5/14

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータと、該ロータの回転面に対向さ
    せ、固定して設けた磁石とを備え、該磁石の磁束により
    前記ロータに渦電流を発生させる方式の渦電流式減速装
    置であって、前記磁石の側を向いた前記回転面に、タン
    グステン、鉄、ボロン、コバルト及びリンから選ばれる
    1種以上を合金元素として含有するニッケル系合金から
    なる第1層、銅または銅合金からなる第2層、ニッケル
    系合金からなる第3層、およびニッケルからなる第4層
    を順次設けたことを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 【請求項2】 前記タングステンの含有量は1〜50質
    量%であり、前記鉄の含有量は1〜15質量%であり、
    前記ボロンの含有量は1〜10質量%であり、前記コバ
    ルトの含有量は1〜20質量%であり、前記リンの含有
    量は1〜20質量%であり、さらに、これらの元素を2
    種以上含有する場合には、各元素の合計含有量が1〜5
    0質量%である請求項1記載の渦電流式減速装置。
  3. 【請求項3】前記第1層はメッキによって形成されてい
    る層である請求項1または2記載の渦電流式減速装置。
  4. 【請求項4】 第1層の厚さt1が下記の範囲であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の渦
    電流式減速装置。 t1=1〜30μm
  5. 【請求項5】 第3層の厚みt3と第4層の厚さt4
    が、下記の式を満足することを特徴とする請求項1ない
    し4のいずれかに記載の渦電流式減速装置。 t3+t4=5〜50μm t3/(t3+t4)=0.05〜0.8
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