JP3470374B2 - 光学ピックアップ装置の2軸アクチュエータ - Google Patents

光学ピックアップ装置の2軸アクチュエータ

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JP3470374B2
JP3470374B2 JP01983194A JP1983194A JP3470374B2 JP 3470374 B2 JP3470374 B2 JP 3470374B2 JP 01983194 A JP01983194 A JP 01983194A JP 1983194 A JP1983194 A JP 1983194A JP 3470374 B2 JP3470374 B2 JP 3470374B2
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毅 久保
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な光学ピックアップ
装置の2軸アクチュエータに関する。詳しくは、プリン
ト基板に回路パターンとして形成される複数層のフォー
カシングコイル要素及び/又はトラッキングコイル要素
により構成されたフォーカシングコイル及び/又はトラ
ッキングコイルの形状に工夫を施すことによりフォーカ
シング及び/又はトラッキングの制御性を向上させるこ
とができる新規な光学ピックアップ装置の2軸アクチュ
エータを提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】光学ピックアップ装置の2軸アクチュエ
ータの小型化に伴い、フォーカシングコイル及びトラッ
キングコイルの小型化も図られ、例えば、プリント基板
に回路パターンによりコイル要素を形成し、このような
プリント基板をマグネットとヨークとの間の磁界内にそ
の磁束方向に複数枚重ね合せて配置したものが開発され
ている。
【0003】図11乃至図19はプリント基板にコイル
要素として回路パターンを形成しこれを磁界内の磁束方
向に重ね合せて配置することによりフォーカシングコイ
ル及びトラッキングコイルを形成した光学ピックアップ
装置の2軸アクチュエータの一例aを示すものである。
【0004】2軸アクチュエータaは矩形をした稍厚目
の板状のベース基板bと、該ベース基板bの一端部から
突設された支持プリント基板cにその一端が支持された
4本の平行リンクd、d、・・・と、該平行リンクd、
d、・・・の遊端間に支持されると共に対物レンズeを
保持するレンズ保持部材fと、該レンズ保持部材fに支
持されたコイル基板gと、上記ベース基板b上に取着さ
れると共に上記コイル基板gを両側から挟むように配置
されたU字状をしたヨークhと、該ヨークhに取着され
たマグネットi等から成る。
【0005】ベース基板bは非磁性材料から成り、その
長手方向の他端側部分には透孔jが形成されている。
【0006】平行リンクd、d、・・・は導電性を有す
る金属材料から成り、上述のようにレンズ保持部材fを
支持すると共に、支持プリント基板c上の所定の回路パ
ターンと上記コイル基板gに形成した回路パターンによ
り形成されたフォーカシングコイル及びトラッキングコ
イルヘの給電を行うようになっている。
【0007】レンズ保持部材fは稍厚目の略矩形の板状
をした非磁性材料から成り、レンズ保持部材fの長手方
向における他端に寄った位置に上記対物レンズeが支持
され、また、その略中央部に比較的大きく開口した矩形
の孔kが形成されている。
【0008】そして、このようなレンズ保持部材fは4
本の平行リンクd、d、・・・を介して上記支持プリン
ト基板cに支持された状態で、上記ベース基板bと略平
行に位置されると共に、上記対物レンズeがベース基板
bの透孔jの上方に位置され、また、上記ヨークhの相
対向する2つのヨーク片(以下、それぞれ「内ヨー
ク」、「外ヨーク」という。)l、mが矩形孔k内に稍
余裕をもった状態で位置される。尚、ヨークhのうち、
支持プリント基板c側のヨーク片を内ヨークlと云い、
対物レンズe側のヨーク片を外ヨークmと云う。
【0009】ヨークhは磁性材料から成る板状部材をU
字状に折り曲げて形成され、上記ベース基板bの略中央
部に上方に向かって開口する向きで、かつ、内ヨークl
と外ヨークmとがベース基板bの長手方向において離間
するように配置されている。
【0010】マグネットiは横長な矩形の板状をしてお
り、その長手方向に2等分するように異極が着磁され、
上記内ヨークlの内側面に取着されており、これによ
り、マグネットiと外ヨークmとの間に磁束の向きが異
なった2つの磁界nが形成される。
【0011】コイル基板gは4枚の薄肉のプリント基板
o、o、・・・を重ね合わせて形成され、各薄肉プリン
ト基板o、o、・・・にはフォーカシングコイル要素
p、p、・・・及びトラッキングコイル要素q、q、・
・・が回路パターンとして形成されている。
【0012】尚、4枚の薄肉プリント基板o、o、・・
・に形成された各回路パターンは略同じ形状に形成され
ているため、一の薄肉プリント基板oについてのみ説明
を行い、他の薄肉プリント基板o、o、・・・について
はその説明を省略する。
【0013】薄肉プリント基板oの中央部には縦長な矩
形の渦を巻くように回路パターンが形成されてトラッキ
ングコイル要素qが形成され、また、トラッキングコイ
ル要素qを取り囲むようにその四隅には矩形の角部を斜
めに切除したような異形状に渦を巻くように回路パター
ンが形成されてフォーカシングコイル要素p、p、・・
・が形成され、これら4つのフォーカシングコイル要素
p、p、・・・は薄肉プリント基板oの中心を中心とし
て点対称になるように配列されている。
【0014】r、r、・・・は薄肉プリント基板oの各
所に形成されたスルーホールであり、4枚の薄肉プリン
ト基板o、o、・・・を重ね合わせたときに一の薄肉プ
リント基板oのフォーカシングコイル要素p、p、・・
・又はトラッキングコイル要素qと他の薄肉プリント基
板oのフォーカシングコイル要素p、p、・・・又はト
ラッキングコイル要素qとをそれぞれ接続するためのも
のである。
【0015】このような薄肉プリント基板o、o、・・
・が重ね合わされてコイル基板gが形成され、また、各
フォーカシングコイル要素p、p、・・・又はトラッキ
ングコイル要素q、q、・・・は上記スルーホールr、
r、・・・にメッキが施されてこれらコイル要素が各別
に直列に接続されるように電気的接続が図られ、これに
より、フォーカシングコイル要素p、p、・・・が1つ
のフォーカシングコイルsを、また、トラッキングコイ
ル要素q、q、・・・が1つのトラッキングコイルtを
構成するようになっている。
【0016】尚、図17はフォーカシングコイルs及び
トラッキングコイルtとマグネットiとの位置関係を示
したものである。
【0017】また、平行リンクd、d、・・・に支持さ
れた可動部(レンズ保持部材f、対物レンズe、コイル
基板g等)の重心xはコイル基板gの重心yと同じにな
るように(図19参照)、即ち、これら重心がコイル基
板gの4枚の薄肉プリント基板o、o、・・・のうち第
2層と第3層とを重ね合せた境界面上であってその面方
向における重心に位置するようになっている。
【0018】しかして、フォーカシングコイルsに給電
されると、フォーカシングコイルsのうち左上に位置す
る部分sluの下側部分sludと左下に位置する部分
sldの上側部分slduとに同じ方向、例えば、左方
に向う電流が流れ、かつ、フォーカシングコイルsのう
ち右上に位置する部分sruの下側部分srudと右下
に位置する部分srdの上側部分srduとに上記左側
の部分slud及びslduとは逆の方向、即ち、右方
に向う電流が流れるようになっており、これらがそれぞ
れ対向するマグネットil、irの極性が異なるため、
コイル基板gとしては同じ方向への移動力が生じ、レン
ズ保持部材fはベース基板bに対して上下方向、即ち、
フォーカシング方向へ移動されることになる。
【0019】また、トラッキングコイルtに給電される
と、トラッキングコイルtの左側部分tlと右側部分t
rとに異なった方向へ向かって電流が流れるが、左側部
分tlと右側部分trとはそれぞれ異なった極性のマグ
ネットil、irに対向しているため、コイル基板gと
しては同じ方向への移動力が生じ、レンズ保持部材fは
ベース基板bに対して水平方向、即ち、トラッキング方
向へ移動されることになる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した従
来の光学ピックアップ装置の2軸アクチュエータaにあ
っては、可動部(レンズ保持部材f、対物レンズe、コ
イル基板g等)の重心とコイル基板gの重心とを形状的
に厳格に一致させても、2軸アクチュエータaの制御性
が悪いという問題があった。
【0021】本発明の発明者は、本発明の光学ピックア
ップの2軸アクチュエータaの周波数特性においてその
1次共振周波数と2次共振周波数との間の700Hz付
近に制御性を悪化させるピークが存在することを確認し
た。
【0022】図18は2軸アクチュエータaのフォーカ
シング制御における周波数特性を示すグラフ図であり、
横軸は周波数を、縦軸はゲイン(左側の目盛)及び位相
(右側の目盛)を表す。
【0023】また、グラフ線uはゲイン曲線を、グラフ
線vは位相曲線を示し、周波数30Hz付近においては
1次共振が生じ、周波数20kHz付近においては2次
共振が生じ、また、周波数700Hz付近で上記ピーク
が生じる。
【0024】かかるピークは、マグネットiと外ヨーク
mとの間の磁界内nの磁束密度が均一でないため、各薄
肉プリント基板o、o、・・・に形成されたフォーカシ
ングコイル要素p又はトラッキングコイル要素qの各形
状を各薄肉プリント基板o、o、・・・間において同じ
にすると、各薄肉プリント基板o、o、・・・間におけ
る各コイル要素p、p、・・・、qにより発生される駆
動力がマグネットiに近い薄肉プリント基板oに形成さ
れたフォーカシングコイル要素p、p、・・・及びトラ
ッキングコイル要素qほど大きいため、コイル基板gと
しては図19で示す矢印A方向に向かう回動力が発生し
てしまうことに起因することが解った。
【0025】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明光学ピッ
クアップ装置の2軸アクチュエータは、上記した課題を
解決するために、プリント基板に回路パターンとして形
成される複数層のうち、対向するヨーク片のうち一方の
ヨーク片に取着されたマグネットにより近い側の層のフ
ォーカシングコイル要素及び/又はトラッキングコイル
要素ほど駆動力の発生に寄与する有効導体部分の長さが
短くなるように形成したものである。
【0026】
【作用】従って、本発明光学ピックアップ装置の2軸ア
クチュエータによれば、対向するヨーク片のうち一方の
ヨーク片に取着されたマグネットと該マグネットに対向
するヨーク片との間に生じた磁界のようにその磁束方向
において磁束密度が均一でなくても、プリント基板に回
路パターンとして形成される複数層のうち、マグネット
により近い側の層のフォーカシングコイル要素及び/又
はトラッキングコイル要素ほど駆動力の発生に寄与する
有効導体部分の長さが短くなるように形成したので、各
層におけるフォーカシングコイル要素及び/又はトラッ
キングコイル要素により発生される駆動力を各層のコイ
ル要素間で略同じにすることができ、対物レンズの周波
数特性においてその1次共振周波数と2次共振周波数と
の間に制御性を悪化させるピークが生ずることを防止す
ることができ、対物レンズのフォーカシング及び/又は
トラッキング制御の制御性を良好にすることができる。
【0027】
【実施例】以下に、本発明光学ピックアップ装置の2軸
アクチュエータの詳細を添付図面に示した実施の一例に
従って説明する。
【0028】図1乃至図10に示す実施例1は薄肉のプ
リント基板に回路パターンを形成し、これらを重ね合せ
ることにより各コイルを構成したものである。
【0029】2軸アクチュエータ1は、磁性金属材料か
ら成るベース基板2と、対物レンズ3を保持しベース基
板2に平行リンク4、4・・・を介して支持されたレン
ズ保持部材5と、上記ベース基板2に形成されたヨーク
6と、該ヨーク6に取着されたマグネット7と、上記レ
ンズ保持部材5に支持されたコイル基板8等から成る。
【0030】ベース基板2は平面形状で略矩形を為し、
その前端部の両側寄りの位置に前端縁(図1における右
斜め下方へ向かう方向を前側とし、左斜め上方へ向かう
方向を後側とする。また、右斜め上方へ向かう方向を左
側とし、また、左斜め下方へ向かう方向を右側とする。
以下の説明のおいて向きを示すときはこの方向によるも
のとする。)に開口するように2本のスリットが形成さ
れ、これらスリットとスリットとの間の部分を切り起こ
して上記ヨーク6の一方のヨーク片である外ヨーク9が
形成され、また、該外ヨーク9とベース基板2の後端縁
との間の部分に外ヨーク9側に開口する向きのコ字状に
スリットが形成され、該スリットに囲まれた部分を切り
起こすことによりヨーク6の他方のヨーク片である内ヨ
ーク10が形成されており、これら外ヨーク9と内ヨー
ク10との間に適宜な間隔が形成されている。
【0031】マグネット7は上記内ヨーク10の外ヨー
ク9に対向する面に取着されており、これにより、マグ
ネット7ー内ヨーク10ーベース基板2ー外ヨーク9ー
マグネット7と外ヨーク10との間の間隙ーマグネット
7という磁気回路が形成され、マグネット7と外ヨーク
9との間には磁界11が生じ、また、マグネット7は横
長な矩形の板状をし、その長手方向に2等分するように
異極が着磁されており、これにより上記磁界11はその
磁束の向きが異なった2つの磁界11l、11rから成
る。
【0032】また、磁界11内の磁束密度は図9に示す
ようにマグネット7に近い部分ほど高く、外ヨーク9に
寄った部分ほど低くなっている。
【0033】尚、マグネット7は1つの磁性体に長さ方
向で異なる極性を着磁するようにしたが、これに限ら
ず、2つのマグネットをその極性が面方向で異なるよう
に左右に配列しても良い。
【0034】12はベース基板2の後端部に立設された
2軸ホルダーであり、絶縁材料から成る横長な矩形の板
状をしており、その左右両端寄りの位置に縦方向に延び
るスリット12a、12aがその上端が開口するように
形成されている。
【0035】平行リンク4、4、・・・は導電性と弾性
を有する金属線材から成り、矩形の支持プリント基板1
3の四隅にハンダによって固定されており、該支持プリ
ント基板13は4本の平行リンク4、4、・・・が前方
へ延びる向きで2軸ホルダー12の背面に貼り合せるよ
うに取着される。
【0036】そして、各平行リンク4、4、・・・は上
記2軸ホルダー12のスリット12a、12a内を通さ
れ、該スリット12a、12a内にダンピング材が充填
されている。尚、そのダンピング材の材質を適宜選択す
ることにより、ダンピング効果をある程度調整すること
ができる。
【0037】レンズ保持部材5は絶縁材料から成る板状
を為し、平面で見てその後半分が略矩形状を為し、その
前半分の左右側縁が前方へ行くに従い中央に偏倚するよ
うな形状をしており、その略中央部に左右方向に長い矩
形孔14が形成され、また、前端部に上記対物レンズ3
が支持されている。
【0038】レンズ保持部材5に形成された矩形孔14
はその大きさが上記外ヨーク9、内ヨーク10、マグネ
ット7及び外ヨーク9とマグネット7との間の間隙を合
わせた平面形状より一回り大きく形成されており、レン
ズ保持部材5が上記平行リンク4、4、・・・に支持さ
れた状態で、矩形孔14内に外ヨーク9、内ヨーク10
及びマグネット7が位置される。
【0039】このようなレンズ保持部材5はその全体の
厚さが上記平行リンク4、4、・・・の上下に離間した
もの同士の間の間隔よりも小さく形成されているが、矩
形孔14の左右両脇の部分のうち前側に稍寄った部分は
他の部分よりも稍厚く上記上下に離間した平行リンク4
と4との間の間隔と略同じに形成され、また、矩形孔1
4より後側の部分15は下方ヘ稍厚く形成されている。
【0040】そして、上記矩形孔14の両脇の厚肉部分
は平行リンク4、4、・・・の先端部が結合される被支
持部16、16とされ、また、矩形孔14の後側の厚肉
部15は、当該レンズ保持部材5の重量バランスをとる
ためのバランサー部とされている。バランサー部15
は、後述するように当該レンズ保持部材5の重心とコイ
ル基板8の重心とを一致させるようにその大きさが決定
される。尚、かかるバランサー部15はできるだけ小さ
くすることが好ましく、従って、レンズ保持部材5及び
対物レンズ3を設計する際これらを考慮する。
【0041】17、17は上記の矩形孔14の上記被支
持部16、16に対応した部分を上下に貫通するように
切り欠いて形成された切欠部である。
【0042】コイル基板8は略矩形でその四隅が斜めに
切り欠かれた如き形状を為し、更に、左右両側縁が左方
及び右方に僅かに突き出して被嵌合部18、18とさ
れ、該被嵌合部18、18が矩形孔14の上記切欠部1
7、17に嵌合されることによってコイル基板8は矩形
孔14内に位置され、その状態で、被嵌合部18、18
の上下両端縁は被支持部16、16の上面又は下面から
上方又は下方へ僅かに突出して位置される。
【0043】コイル基板8は4枚の薄肉のプリント基板
191、192、193、194を重ね合わせて形成さ
れ、各薄肉プリント基板191、192、193、19
4にはフォーカシングコイル要素201、201、・・
・、202、202、・・・、203、203、・・
・、204、204、・・・及びトラッキングコイル要
素211、212、213、214が回路パターンによ
って形成されている。
【0044】尚、4枚の薄肉プリント基板191、19
2、193、194に形成された各回路パターンはフォ
ーカシングコイル要素201、201、・・・、20
2、202、・・・、203、203、・・・、20
4、204、・・・及びトラッキングコイル要素21
1、212、213、214における後述する有効導体
部分の長さが相違する以外は、略同じ形状に形成されて
いるため、一のプリント基板191について主に説明を
行い、他のプリント基板192、193、194につい
ての詳細な説明は省略する。また、符号に添えた数字
(1、2、3、4)は、各層を意味し、「1」は第1
層、「2」は第2層、「3」は第3層、「4」は第4層
であり、第1層が最もマグネット7に近い層を示す。以
下同じ。
【0045】薄肉プリント基板191の中央部には縦長
な矩形の渦を巻くように回路パターンが形成されてトラ
ッキングコイル要素211が形成され、また、トラッキ
ングコイル要素211を取り囲み、かつ、薄肉プリント
基板191の中心を中心とする点対称になる4ヶ所に、
矩形の角部を斜めに切除したような異形状にそれぞれ渦
を巻くように4つの回路パターンが形成されてフォーカ
シングコイル要素201、201、・・・が形成されて
いる。
【0046】そして、各コイル要素201、201、・
・・、211の部分のうち上記マグネット7に対向した
部分201lud(左上部分の下辺部)、201ldu
(左下部分の上辺部)、201rud(右上部分の下辺
部)、201rdu(右下部分の上辺部)、211l
(左辺部)、211r(右辺部)が駆動力の発生に寄与
する有効導体部分221f(フォーカシングコイルにお
ける有効導体部分)、221t(トラッキングコイルに
おける有効導体部分)であり、各コイル要素201、2
01、・・・、211の他の部分が駆動力の発生に寄与
しない無効導体部分231f(フォーカシングコイルに
おける無効導体部分)、231t(トラッキングコイル
における無効導体部分)となっている。
【0047】尚、符号に付した「l」、「r」、
「u」、「d」、「f」、「t」のアルファベットの添
字は、「l」が「左側」を、「r」が「右側」を、
「u」が「上側」を、「d」が「下側」を、「f」が
「フォーカシングコイルに関するもの」を、「t」が
「トラッキングコイルに関するもの」を示す。以下同
じ。
【0048】このような有効導体部分22f、22tは
薄肉プリント基板191、192、193、194ごと
にその長さが相違するように形成されており、第1層の
有効導体部分221f、221tが最も短く、第2層、
第3層に行くに従いその長さは長く、第4層の有効導体
部分224f、224tが最も長くなるように形成され
ている(図4、図5、図6、図7参照)。
【0049】尚、上記有効導体部分の長さを各層により
異ならせるためには、上述のように各コイル要素20、
20、・・・、21のマグネット7に対向した部分の辺
の長さを各層において異ならせるようにしたものに限ら
ず、例えば、渦巻状に形成した回路パターンの渦巻の巻
き数を少なくすることにより有効導体部分の長さの総和
が短くなるようにしても良い。
【0050】24、24、・・・は薄肉プリント基板1
91の各所に形成されたスルーホールであり、4枚の薄
肉プリント基板191、192、193、194を重ね
合わせたときに一の薄肉プリント基板19のフォーカシ
ングコイル要素20又はトラッキングコイル要素21と
他の薄肉プリント基板19のフォーカシングコイル要素
20又はトラッキングコイル要素21とをそれぞれ接続
するためのものである。
【0051】25、25は薄肉プリント基板191の左
側の被嵌合部18に対応した位置の上端部及び下端部に
回路パターンによりそれぞれ形成された給電端子であ
り、フォーカシングコイル26とトラッキングコイル2
7に各別に給電するためのものである。尚、この給電端
子25、25は、第1層の薄肉プリント基板191と第
4層の薄肉プリント基板194のみに形成されており、
コイル基板8としては、フォーカシングコイル26用に
2つの給電端子251u(第1層の薄肉プリント基板1
91の左側の上部)、254u(第4層の薄肉プリント
基板194の右側の上部)が、また、トラッキングコイ
ル27用に2つの給電端子251d(第1層の薄肉プリ
ント基板191の左側の下部)、254d(第4層の薄
肉プリント基板194の右側の下部)が形成される。
【0052】このような薄肉プリント基板191、19
2、193、194が重ね合わされてコイル基板8が形
成され、また、各フォーカシングコイル要素20、2
0、・・・又はトラッキングコイル要素21、21、・
・・は上記スルーホール24、24、・・・にメッキが
施されてこれらコイル要素が各別に直列に接続されるよ
うに電気的接続が図られ、これにより、フォーカシング
コイル要素20、20、・・・が1つのフォーカシング
コイル26を、また、トラッキングコイル要素21、2
1、・・・が1つのトラッキングコイル27を構成する
ようになっている。
【0053】このようなコイル基板8が取着されたレン
ズ保持部材5はその被支持部16、16が上下に対向す
る平行リンク4、4の先端間に挟持されるように位置さ
れ、平行リンク4、4、・・・の先端部とコイル基板8
の両被嵌合部18、18の上下両端縁とがそれぞれ半田
付けにより結合され、これにより、コイル基板8に形成
された上記給電端子25、25、・・・と平行リンク
4、4、・・・との電気的接続が図られ、また、レンズ
支持部材5はその被支持部16、16に半田が盛られる
ことによりコイル基板8と結合されると共に平行リンク
4、4、・・・の先端間に取着され、ベース基板2に対
して上下方向及び水平方向に移動自在に支持される。
尚、コイル基板8その被嵌合部18、18をはレンズ保
持部材5の切欠部17、17に予め接着剤により固定し
ておいても良い。
【0054】そして、レンズ保持部材5が平行リンク
4、4、・・・を介してベース基板2に支持された状態
で、上記コイル基板8は、マグネット7と外ヨーク9と
の間、即ち、磁界11内にマグネット7及び外ヨーク9
に接触しないように近接して位置される。
【0055】また、平行リンク4、4、・・・に支持さ
れた可動部(レンズ保持部材5、対物レンズ3、コイル
基板8等)の重心Xはコイル基板8の重心Yと同じにな
るように、即ち、これら重心X、Yがコイル基板8の4
枚の薄肉プリント基板191、192、193、194
のうち第2層192と第3層193とを重ね合せた境界
面上であってその面方向における重心に位置するように
なっている。
【0056】しかして、フォーカシングコイル26に給
電されると、フォーカシングコイル要素201の有効導
体部分221fのうち左側に位置するもの221fl
(201lud)、221fl(201ldu)とに
は、同じ方向、例えば、左方に向う電流が流れ、かつ、
右側に位置するもの221fr(201rud)、22
1fr(201rdu)とには、上記左側の有効導体部
分221fl、221flとは逆の方向、即ち、右方に
向う電流が流れるようになっており、これらがそれぞれ
対向するマグネット7l、7rの極性が異なるため、コ
イル基板8としては同じ方向への移動力が生じ、レンズ
保持部材5はベース基板2に対して上下方向、即ち、フ
ォーカシング方向へ移動されることになる。
【0057】また、トラッキングコイル27に給電され
ると、トラッキングコイル要素211の有効導体部分2
21tのうち左側部分221tlと右側部分221tr
とに異なった方向へ向かって電流が流れるが、左側部分
221tlと右側部分221trとはそれぞれ異なった
極性のマグネット7l、7rに対向しているため、コイ
ル基板8としては同じ方向への移動力が生じ、レンズ保
持部材5はベース基板2に対して水平方向、即ち、トラ
ッキング方向へ移動されることになる。
【0058】そして、各層におけるコイル要素20、2
1の有効導体部分22f、22tは、前述のように、マ
グネット7に近いものほど短く形成されているため、各
コイル26、27に給電したときに磁界11を横切る
体の電流はマグネット7に近い有効導体部分22f、2
2tを流れるものほど低くくなるが、磁束密度がマグネ
ットに近い部分ほど高くなっいるため、各層における
有効導体部分22f、22tにより発生される駆動力は
略同じになるようになっている(図9参照)。
【0059】従って、コイル基板8としての全体の駆動
力の中心Zと第2層の薄肉プリント基板192と第3層
の薄肉プリント基板193とを重ね合せた境界面上であ
ってその面方向における重心Yとが一致され、各コイル
26、27による駆動中心Zと可動部(レンズ保持部材
5、対物レンズ3、コイル基板8等)の重心Xとが一致
される。
【0060】図10は、上記「従来の技術」の欄で説明
したグラフ図と同様に、対物レンズ3のフォーカシング
制御における周波数特性の本実施例におけるものを示
す。また、本図において、グラフ線Gはゲイン曲線を示
し、グラフ線Pは位相曲線を示す。
【0061】そして、対物レンズ3のフォーカシング制
御における周波数特性は1次共振周波数(30Hz)と
2次共振周波数(20kHz)との間の周波数700H
z付近において、ピークは発生せず、従って、その制御
が容易になる。
【0062】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかなよう
に、本発明光学ピックアップ装置の2軸アクチュエータ
は、対向するヨーク片のうち一方のヨーク片に取着され
たマグネットと、該マグネットと対向するヨーク片との
間の磁界内にその磁束方向に重ね合せられてプリント基
板に回路パターンとして形成される複数層のフォーカシ
ングコイル要素及び/又はトラッキングコイル要素によ
り構成されたフォーカシングコイル及び/又はトラッキ
ングコイルとを有する光学ピックアップ装置の2軸アク
チュエータであって、マグネットにより近い側の層のフ
ォーカシングコイル要素及び/又はトラッキングコイル
要素ほど駆動力の発生に寄与する有効導体部分の長さが
短くなるように形成したことを特徴とする。
【0063】従って、本発明光学ピックアップ装置の2
軸アクチュエータによれば、対向するヨーク片のうち一
方のヨーク片に取着されたマグネットと該マグネットに
対向するヨーク片との間に生じた磁界のようにその磁束
方向において磁束密度が均一でなくても、プリント基板
に回路パターンとして形成される複数層のうち、マグネ
ットにより近い側の層のフォーカシングコイル要素及び
/又はトラッキングコイル要素ほど駆動力の発生に寄与
する有効導体部分の長さが短くなるように形成したの
で、各層におけるフォーカシングコイル要素及び/又は
トラッキングコイル要素により発生される駆動力を各層
のコイル要素間で略同じにすることができ、対物レンズ
のフォーカシング及び/又はトラッキング制御における
周波数特性においてその1次共振周波数と2次共振周波
数との間に制御性を悪化させるピークが生ずることを防
止することができ、対物レンズのフォーカシング及び/
又はトラッキング制御の制御性を良好にすることができ
る。
【0064】
【0065】尚、上記実施例において示した各部の具体
的な形状乃至構造は、本発明光学ピックアップ装置の2
軸アクチュエータの実施に当たっての具体化のほんの一
例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術
的範囲が限定的に解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図10と共に本発明光学ピックアップ
装置の2軸アクチュエータの実施の一例を示すもので、
本図は斜視図である。
【図2】平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図5乃至図7と共に各層の薄肉プリント基板に
形成した回路パターンによる各コイル要素を示すもの
で、本図は第1層のプリント基板の正面図である。
【図5】第2層のプリント基板の正面図である。
【図6】第3層のプリント基板の正面図である。
【図7】第4層のプリント基板の正面図である。
【図8】各コイルとマグネットとの位置関係を示す概略
図である。
【図9】磁界内の磁束密度の変化を示す概略図である。
【図10】対物レンズの周波数特性を示すグラフ図であ
る。
【図11】図12乃至図19と共に従来の光学ピックア
ップ装置の2軸アクチュエータの一例を示すもので、本
図は平面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う断面図であ
る。
【図13】図14乃至図16と共に各層の薄肉プリント
基板に形成した回路パターンによる各コイル要素を示す
もので、本図は第1層のプリント基板の正面図である。
【図14】第2層のプリント基板の正面図である。
【図15】第3層のプリント基板の正面図である。
【図16】第4層のプリント基板の正面図である。
【図17】各コイルとマグネットとの位置関係を示す概
略図である。
【図18】磁界内の磁束密度の変化を示す概略図であ
る。
【図19】対物レンズの周波数特性を示すグラフ図であ
る。
【符号の説明】
1 2軸アクチュエータ 7 マグネット 9 外ヨーク(ヨーク片) 10 内ヨーク(ヨーク片) 11 磁界19 薄肉プリント基板(プリント基板) 20 フォーカシングコイル要素 21 トラッキングコイル要素 22f 有効導体部分 22t 有効導体部分 26 フォーカシングコイル 27 トラッキングコイル
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−267090(JP,A) 実開 昭62−161322(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/09 G11B 7/095

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向するヨーク片のうち一方のヨーク片
    に取着されたマグネットと、該マグネットと対向するヨ
    ーク片との間の磁界内にその磁束方向に重ね合せられ
    プリント基板に回路パターンとして形成される複数層の
    フォーカシングコイル要素及び/又はトラッキングコイ
    ル要素により構成されたフォーカシングコイル及び/又
    はトラッキングコイルとを有する光学ピックアップ装置
    の2軸アクチュエータであって、マグネットにより近い
    側の層のフォーカシングコイル要素及び/又はトラッキ
    ングコイル要素ほど駆動力の発生に寄与する有効導体部
    分の長さが短くなるように形成したことを特徴とする光
    学ピックアップ装置の2軸アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 コイル要素の各層における回路パターン
    の形状を異ならせることによりマグネットにより近い側
    の層のコイル要素ほど駆動力の発生に寄与する有効導体
    部分の長さが短くなるようにしたことを特徴とする請求
    項1に記載の光学ピックアップ装置の2軸アクチュエー
    タ。
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