JP3469782B2 - 紙と樹脂との複合材及びその製造方法 - Google Patents
紙と樹脂との複合材及びその製造方法Info
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Description
合材及びその製造方法に関するもである。
と混練して、成形原材料として利用する技術は、古紙の
リサイクルの一つの方法や燃焼カロリーの低減策として
着目され、また、紙成分が51wt%以上の場合には紙
として一般ゴミの扱いとなり廃棄性の観点からも注目さ
れている。この紙と樹脂との複合材を製造する方法とし
ては、紙を小片状として樹脂と混練する方法と、紙を解
繊し、この繊維状の解繊物と樹脂と混練する方法とに大
別し得る。前者は小片状の紙の存在が成形品内で見える
場合があり外観上の点から使用用途が限られる場合があ
るが、後者は、そのような外観上の制約は殆どなく、さ
らに、解繊物の植物繊維が樹脂の強化材として作用し、
樹脂単体に比して機械的強度を向上させることができる
という利点がある。
し、この小片状の紙を溶融した樹脂液中で叩解して解繊
することにより、叩解による解繊と混練とを一つの工程
で行う方法が知られている。ところがこの方法では、叩
解を溶融した樹脂液中で行うため、叩解中に大きなせん
断力と熱とが加わり、繊維が劣化してしまう。
し、この解繊した紙と樹脂とを混練する方法があるが、
この方法については、解繊を多量の水を用いて溶解させ
る湿式法と、溶解のための水を用いない乾式法の2つの
方法がある。
(8〜9%程度)に乾燥すると繊維間の水素結合力が大
きくなり、物理的な力で混練分散させることが困難とな
ったり、熱エネルギーを多量に必要とすると言った問題
が指摘されている。
号公報に記載の方法が提案されている。この方法は、溶
解のための水を用いない乾式法により紙を解繊し、これ
に分散性改良剤を加えて造粒し、この粒状とした解繊繊
維を樹脂とを混練するものである。
%程度)をほぼ維持して解繊するものであり、混練に使
用される解繊繊維は、8〜9%程度の水分量を含んでい
る。その結果、解繊繊維と樹脂との複合材の含水率は、
最大、4〜6%となる可能性があり、このように、吸水
した含水率の高い複合材を用いて成形を行うと、成形時
の加熱溶融の段階で水分の蒸気化により、発泡による形
成物の欠落空洞化がおこり、正常な成形品は得られな
い。
分が上昇するため、混練を長時間行うことによって、複
合材の含水率を低下させることはできるが、乾燥を混練
に過度に依存することは、混練工程の生産性の低下を招
き、コストアップの要因となる。また、生産において、
安定な複合材を得るためには、加熱温度、混練時間等の
製造条件を一定にすることが重要である。ところが、水
分量の安定を中心に管理すると、解繊繊維の含水率は大
気湿度によって大きく左右するため、含水率に応じて混
練の加熱温度条件や混練時間等を変更する必要が生じて
しまい、複合材全体の製品の安定性を図ることができな
い。
きく左右する他の要因として、解繊繊維の繊維長に着目
したものであり、繊維長の面からも品質の安定化と生産
性の向上を図らんとするものである。
解繊された紙と樹脂との複合材であって、安定した品質
を有しており、しかも、高い生産性のもと低コストで生
産され得る複合材を提供することを目的とする。本願の
第2の発明は、上記の目的に加えて、繊維長の面からも
品質の安定化と生産性の向上を図った解繊された紙と樹
脂との複合材を提供せんとするものである。本願の第3
の発明は、品質の安定化と共に、高い生産性のもと低コ
ストで紙と樹脂との複合材を生産する方法を提供するこ
とを目的とする。本願の第4の発明は、上記の第3の発
明の目的に加えて、種々の特性を備えた紙と樹脂との複
合材を、安定した品質のもとで製造し得る紙と樹脂との
複合材を生産する方法を提供せんとするものである。
構成を特徴とするを提供することにより、上記の課題を
解決する。本願の第1の発明は、乾式により解繊した紙
を樹脂と混練することにより得られた紙と樹脂との複合
材において、上記の解繊した紙は混練前に乾燥されたも
のであり、且つ、解繊した紙が一定長さの繊維群に揃え
られたものであり、この繊維群は、繊維群を構成する紙
の繊維の80%が、繊維長のバラツキを2.5mm以下
の範囲内に揃えられたものであることを特徴とする紙と
樹脂との複合材を提供する。本願の第2の発明は、第1
の発明に係る紙と樹脂との複合材にあって、上記の混練
前の解繊した紙の含水率が1%以上5%以下に調整され
たものであることを特徴とするものを提供する。本願の
第3の発明は、乾式により紙を解繊する工程と、得られ
た解繊繊維を乾燥する工程と、この乾燥した解繊繊維を
樹脂と混練する工程とを備えた紙と樹脂との複合材の製
造方法において、一つの群を構成する紙の繊維の80%
が繊維長のバラツキを2.5mm以内の範囲内に収めら
れた繊維群を、繊維長の異なりによって複数種類生産
し、これらの複数種類の繊維群から少なくとも1つの群
を選択して、樹脂と混練するものであることを特徴とす
る紙と樹脂との複合材の製造方法を提供する。本願の第
4の発明は、上記の第3の発明に係る製造方法であっ
て、解繊繊維を乾燥する工程により得られた混練前の解
繊繊維の含水率が1%以上5%以下であることを特徴と
する方法を提供する。このように、繊維長のバラツキの
小さな群から、1つを選択することによって、製品の品
質の安定化を図ることができ、さらに、2種以上を選択
することによって、複合材に求められる物性を容易に変
更調整できるものである。
ってもよいが、資源の再利用の観点からは、古紙を利用
することができる。古紙の種類も特に問わないが、紙管
等の厚みの大きな古紙を利用することも可能である。ま
た、焼却時にダイオキシンの発生を防止する観点からす
ると、上質紙等の塩素系の漂白剤等の薬剤を用いて処理
された紙を除いて、言い換えれば、塩素化合物を含まな
い紙を利用することが望ましい。
を高めるために、粗砕装置によって数mmなしい数cm角状
の粗砕片に粗砕しておくことも望ましい。解繊は、必要
に応じて粗砕処理を施した紙を、綿状の繊維になすもの
で、溶解のための水を用いない乾式法によりなされる。
湿式で行うと、得られた繊維を公定水分量(8〜9%程
度)に乾燥すると繊維間の水素結合力が大きくなり、物
理的な力で混練分散させることが困難となるため、乾式
の方が有利である。
は、一定長さの繊維群に揃えることが望ましい。この繊
維群は、繊維群を構成する紙の繊維の80%が、繊維長
のバラツキを2.5mm以下の範囲内に揃える。一例を掲
げると、紙の繊維の80%が、1mm以下の群、2±1mm
の群、3mm〜4mmの群と言うように、繊維長を揃える。
繊維長を揃える方法としては、乾式の場合には、紙を微
細にせん断する刃の間隔や、スクリーンの目の大きさ
を、夫々の群に応じた大きさのものに変更することによ
って、繊維長を揃えることができる。尚、この乾式の場
合にも、せん断の能率を高めるためや、爆発防止のため
に微量の水を投入して解繊してもよい。そして、得られ
た解繊繊維の水分量は、紙の公定水分8〜9%若しくは
それ以下の水分量となっている。
は、紙の通常の水分量(紙の公定水分8〜9%)より少
ない含水率に減少させるものである。望ましくは5%以
下、より望ましくは物性保持と生産性向上を目的として
1〜3%の含水率に調整する。ここで、含水率xとは、
x=(w0−w1)/w1×100で表される。但し、
w0=乾燥前の重量、w1=乾燥後の重量とする。乾燥
方法としては特に制限はないが、熱風を利用した熱風循
環乾燥方式の他、時間短縮のために有利な高周波加熱乾
燥方式や赤外線照射加熱乾燥方式を用いることができ
る。
れ、混練される。樹脂としては、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ABS樹脂等々の熱可塑性樹脂を用いること
ができる他、熱硬化性の樹脂から選択して用いてもよ
い。調合と混練とは別工程としてもよく、同じ工程とし
てもよい。また、繊維長の異なる複数の繊維群を、調合
してもよい。解繊繊維と樹脂との配合比率は、重量比率
で5:95〜90:10程度とすることが好ましいが、
解繊繊維を51%以上とする(51:49〜90:10
程度とする)ことによって、得られた製品が紙として焼
却し得る点で特に好ましい。尚、この解繊繊維と樹脂と
の他に、着色剤、安定剤等の添加物を加えることもでき
る。
せ、攪拌することによって、樹脂を解繊繊維と混合させ
るもので、これにより解繊繊維と樹脂との複合化が図ら
れる。その際、混練中の加熱、発熱によって、水分が蒸
発して1%以下(望ましくは0.3%以下)まで、含水
率が低下させられるが、本願発明では前述の乾燥工程を
経ているため、水分飛散時間を短縮することができ、混
練時のコストやエネルギーを削減することができる。こ
の混練は、解繊繊維を混練装置の混練槽中に先に投入し
て、後から樹脂を投入してもよく、その逆に、先に樹脂
を投入した後、解繊繊維を投入してもよく、両者を予め
調合して予備的に混合した後、投入してもよい。尚、解
繊繊維を乾燥した後に、大気中に長時間放置しておく
と、解繊繊維が吸湿して乾燥の意味がなるなるため、低
含水率を維持した状態で混練工程へと移す必要がある。
具体的には、乾燥と混練とを連続して行うことが最も単
純で確実な方法であると言えるが、乾燥後に密閉状態で
貯蔵して低含水率を維持するか、或いは、混練工程前に
再度乾燥するか、何れにしても、混練前に少なくとも1
回の乾燥処理を行うことによって、混練開始時に低含水
率とする。
ら攪拌する、加圧攪拌式混練製造方法を用いることがで
きる。この方法では、圧力を加えながら攪拌するため、
時間短縮、混合の良好性、物性の安定化、紙繊維体積の
低減を図ることができる。特に、圧力を加えながら解繊
繊維を攪拌することによって、解繊繊維群の密度が高ま
り、樹脂との混練が良好になされ、時間短縮、混合の良
好性、物性の安定化、紙繊維体積の低減が図かられる。
加圧の圧力は、0.10〜0.17MPaのエアー圧に
てコンパウンドするものであり、まず、密度の小さな綿
状の解繊繊維を圧縮する。ある程度圧縮がなされた状態
で、樹脂を投入して攪拌するものであり、混練の完了状
態では、殆ど圧力がかかっていない状態となる。また、
この加圧攪拌式混練製造方法では、圧力があるため、混
練用のスクリューの回転数は、20〜50rpm程度の
低速攪拌で足る。このように高速回転を行う必要がない
ため、紙繊維を傷めない点で有利である。
る目的から、上記のように、利用する紙の種類を選択す
るのも一つの方法であるが、確実に選択し得ないおそれ
もあるため、混練開始までの段階、即ち、粗砕、解繊、
乾燥、調合の段階で脱塩素処理を行っておくことも望ま
しい。また、樹脂に関しても、ダイオキシンの発生の抑
制の観点からは、再生樹脂を使用しないことやポリ塩化
ビニル樹脂等の塩素化合物を含む樹脂を用いないことが
好ましい。
の複合材(以下、単に本件複合材と言う)は、合成樹脂
の常法によって、利用される。一般には、造粒処理によ
ってペレット状とされ、各種の樹脂成形機によって種々
の製品を成形する。成形の方法と、これに用いられる成
形機の種類は、合成樹脂成形に利用されるものから種々
選択して使用できる。本件複合材の含水率は0.4%以
下となっているが、本件複合材から樹脂成形までの間に
吸湿しないように、得られたペレットを防湿性のパッケ
ージ内等に保持しておくことが望ましいが、その後吸湿
した水分を乾燥させるように、成形前に乾燥させるか、
さらに、例えば射出成形機の成形機における原料の投入
口に、乾燥装置を設けておき、成形前に投入する本件複
合材のペレットを0.3%以下の含水率程度に乾燥させ
るようにしてもよい。
に示すが、本件発明はこの実施例に限定して解釈される
べきではない。
〜30mm角の粗砕片に粗砕し、乾式解繊装置によって解
繊した。その際、得られた紙の繊維の80%が2±1mm
の範囲内に収まるように、解繊装置のスクリーンの目の
大きさを設定した。得られた解繊繊維を、熱風乾燥機に
よって乾燥し、その含水率を4.69%とした。この解
繊繊維60重量%を、ポリエチレン樹脂40重量%と共
に加圧攪拌式混練装置によって混練し、得られた実施例
1に係る複合材を造粒機によって造粒し、ペレット状と
した。造粒完了時の実施例1に係る複合材の含水率は、
0.35%であった。この複合材を1ケ月放置した後、
射出成形機で試験片を成形した。尚、射出成形機に投入
時の複合材の含水率を示す成形前含水率は、1.50%
であった。
も、表1に示す条件によって上記方法によって成形し
た。尚、比較例1,2は乾燥工程を実施しないものであ
り、比較例3は対象区としてポリエチレン樹脂のみによ
って成形した。
定結果と、造粒工程における生産性と、各実施例及び比
較例で得られた樹脂成形品の各種機械的物性の測定結果
とを表1の下半に示す。「20分後材料温度」は、混練
開始時から20分経過した時点での材料温度を示すもの
で、高い値の方が温度効率が良い。「20分後電流」
は、混練開始時から20分経過した時点での混練装置の
攪拌モータの電流を示し、値の低い方が電気効率は良
く、製造時間の短縮が出来る。生産性は、1時間当たり
に生産されるペレットの総重量を示し、値の大きい方が
生産性が高い。「引張強度」「引張弾性率」はJIS
K7113によって、「アイゾット衝撃値」はJIS
K7110(ノッチ付き)によって試験した。
び比較例1,2は、解繊繊維を含まない比較例3に比し
て機械的物性が向上しているが、比較例1,2について
は、乾燥工程が行われておらず、含水率が5%を越える
ため、乾燥工程を行った各実施例に比して、生産性が低
く、機械的物性の成形収縮率についても大きな値とな
り、成形時にヒケ等の発生の問題が生ずるおそれがあ
る。また、成形前含水率が高くなり、射出成形時にペレ
ットを再度乾燥させる必要性が高くなる。解繊繊維の含
水率を1%未満とした実施例3ついては、1%を越える
実施例2に比して、機械的物性が低くなっている。解繊
繊維の含水率を1%未満とし、さらに繊維長を0.2mm
以下とした実施例6ついては、機械的物性がさらに低
い。このように、含水率を1%未満とすることは、過度
の加熱による繊維の物性の低下が生じたものと思われ、
熱エネルギーの浪費ともなるため、含水率は1%以上と
することが好ましい。また、解繊繊維の長さは、0.3
mm以上であることが好ましいが、0.2mm以下群につい
ては、精密成形性に優れるものであり、また、他の繊維
長の群と併用することによって、物性の調整材としても
利用し得る。
紙と樹脂との複合材であって、安定した品質を有してお
り、しかも、高い生産性のもと低コストで生産され得る
複合材を提供することができたものであり、特に、繊維
長の面からも品質の安定化と生産性の向上を図ることが
できたものである。
行った後に、さらに乾燥工程を行うことによって、品質
の安定化と共に、高い生産性のもと低コストで紙と樹脂
との複合材を生産する方法を提供し得たものであり、さ
らに、種々の特性を備えた紙と樹脂との複合材を、安定
した品質のもとで製造し得る紙と樹脂との複合材を生産
する方法を提供し得たものである。特に、繊維長のバラ
ツキの小さな群から、1つを選択することによって、製
品の品質の安定化を図ることができ、さらに、2種以上
を選択することによって、複合材に求められる物性や生
産性を容易に変更調整できるという効果を生ずるもので
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】乾式により解繊した紙を樹脂と混練するこ
とにより得られた紙と樹脂との複合材において、上記の
解繊した紙は混練前に乾燥されたものであり、且つ、解
繊した紙が一定長さの繊維群に揃えられたものであり、
この繊維群は、繊維群を構成する紙の繊維の80%が、
繊維長のバラツキを2.5mm以下の範囲内に揃えられ
たものであることを特徴とする紙と樹脂との複合材。 - 【請求項2】 上記の混練前の解繊した紙の含水率が1
%以上5%以下に調整されたものであることを特徴とす
る請求項1記載の紙と樹脂との複合材。 - 【請求項3】乾式により紙を解繊する工程と、得られた
解繊繊維を乾燥する工程と、この乾燥した解繊繊維を樹
脂と混練する工程とを備えた紙と樹脂との複合材の製造
方法において、一つの群を構成する紙の繊維の80%が
繊維長のバラツキを2.5mm以内の範囲内に収められ
た繊維群を、繊維長の異なりによって複数種類生産し、
これらの複数種類の繊維群から少なくとも1つの群を選
択して、樹脂と混練するものであることを特徴とする紙
と樹脂との複合材の製造方法。 - 【請求項4】解繊繊維を乾燥する工程により得られた混
練前の解繊繊維の含水率が1%以上5%以下であること
を特徴とする紙と樹脂との複合材の製造方法。
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---|---|---|---|
JP16193498A JP3469782B2 (ja) | 1998-06-10 | 1998-06-10 | 紙と樹脂との複合材及びその製造方法 |
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JP16193498A JP3469782B2 (ja) | 1998-06-10 | 1998-06-10 | 紙と樹脂との複合材及びその製造方法 |
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JPH11348035A JPH11348035A (ja) | 1999-12-21 |
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ID=15744824
Family Applications (1)
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-
1998
- 1998-06-10 JP JP16193498A patent/JP3469782B2/ja not_active Expired - Fee Related
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