JP2005014499A - 生分解性繊維強化プラスチックの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】混練過程を必要とせず、セルロース系繊維とポリ乳酸を劣化させずに両者を組み合わせた生分解性繊維強化プラスチックを製造する方法を提供する。
【解決手段】セルロース系繊維をポリ乳酸で結合した生分解性繊維強化プラスチックの製造方法であって、セルロース系繊維を圧縮成形して繊維圧密体とする工程、上記繊維圧密体を切断加工して繊維圧密ペレットとする工程、上記繊維圧密ペレットとポリ乳酸ペレットとを混合する工程、および得られたペレット混合物をポリ乳酸の融点以上の温度で成形する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】セルロース系繊維をポリ乳酸で結合した生分解性繊維強化プラスチックの製造方法であって、セルロース系繊維を圧縮成形して繊維圧密体とする工程、上記繊維圧密体を切断加工して繊維圧密ペレットとする工程、上記繊維圧密ペレットとポリ乳酸ペレットとを混合する工程、および得られたペレット混合物をポリ乳酸の融点以上の温度で成形する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロース系繊維をポリ乳酸で結合した生分解性繊維強化プラスチック(生分解性FRP)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護等を目的として、種々の分野への生分解性プラスチックの適用が検討されており、その一環として、セルロース系繊維(天然繊維)を生分解性プラスチックで結合した生分解性繊維強化プラスチックも開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2000−127117号公報)には、セルロース系繊維(天然繊維)にバインダとして生分解性プラスチックを混在させ、加熱加圧して成形した生分解性繊維ボードが開示されている。この方法では、セルロース系繊維と生分解性プラスチックとを生分解性プラスチックの融点以上で混練して塊状混合体とし、これを粉砕した混合体ペレットを生分解性プラスチックの融点以上の温度で圧縮成形して生分解性繊維ボードとする。
【0004】
上記の生分解性プラスチックの一つとしてポリ乳酸が注目されている。ポリ乳酸とは、玉蜀黍、薩摩芋、砂糖黍などの植物から抽出した糖質を原料とするプラスチックである。特に、直接重合法で得られた高分子量のポリ乳酸は、汎用プラスチックであるポリエチレンやポリスチレンと比較しても十分な強度を持っており、他の生分解性プラスチックと比較して透明性も高く、湿った環境下でも黴が生えない等の優れた特性を備えている。
【0005】
本発明者は、このように優れた特性を持つポリ乳酸とセルロース系繊維とを組み合わせた生分解性繊維強化プラスチックを、上記従来の方法により製造することを試みた。しかし、得られた製品は強度が低くてバラツキも大きい上、素材本来の白色ではなく薄茶色に変色していて意匠性にも問題があった。
【0006】
これは、ポリ乳酸の融点が約170℃と比較的高いため、この融点以上で行なうセルロース系繊維とポリ乳酸との混練中に、ポリ乳酸の劣化とセルロース系繊維の劣化(分解・変色)が発生することが原因であることが判明した。
【0007】
その対策として、混練時間を短縮すると、混練が不十分になり、変色は防止できても強度のばらつきが発生するという問題があった。
【0008】
このように、混練を必須とする上記従来の方法では、強度・意匠性の劣化を避けることができなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−127117号公報(特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、混練過程を必要とせず、セルロース系繊維およびポリ乳酸を劣化させずに両者を組み合わせた生分解性繊維強化プラスチック(生分解性FRP)を製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、セルロース系繊維をポリ乳酸で結合した生分解性繊維強化プラスチックの製造方法であって、
セルロース系繊維を圧縮成形して繊維圧密体とする工程、
上記繊維圧密体を切断加工して繊維圧密ペレットとする工程、
上記繊維圧密ペレットとポリ乳酸ペレットとを混合する工程、および
得られたペレット混合物をポリ乳酸の融点以上の温度で成形する工程
を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
従来の製造方法では、セルロース系繊維とポリ乳酸とをポリ乳酸の融点以上の温度で混練する処理が必須であり、その過程で両者の劣化が発生した。これは、繊維が嵩高なためポリ乳酸との混練に長時間を要したためである。
【0013】
すなわち、ポリ乳酸は通常のプラスチックの供給形態であるペレットとして供給され、混練温度で流動状態になるとは言ってもかなり粘性が高く、これと嵩高なセルロース系繊維とを均一な混在状態にするのは非常に困難であり、混練に長時間を要する。その結果、比較的高温のポリ乳酸の融点以上の温度に長時間曝されることになり、ポリ乳酸が劣化(分解低分子化)して結合相としての強度も結合強度も低下するし、セルロース系繊維が分解劣化して強度が低下するばかりでなく変色(コゲ)により意匠性も劣化する。
【0014】
本発明の方法においては、セルロース系繊維とポリ乳酸との混練を行なわないので、それによる強度・意匠性の劣化という従来の問題は発生しない。
【0015】
ただし、セルロース系繊維とポリ乳酸とを混在状態にする必要がある。その手段に本発明の特徴がある。
【0016】
すなわち、本発明ではセルロース系繊維はそのままの嵩高な状態で用いずに、まず圧縮成形により圧密化してから用いる。得られた繊維圧密体を切断加工により、後工程の成形に適したサイズのペレットにする。得られた繊維圧密ペレットをポリ乳酸ペレットと混合する。両方のペレットを相応のサイズにしておけば、通常の機械的な混合手段によって容易に均一な混合状態が達成できる。これにより調製したペレット混合物を成形装置のホッパーに供給して、ポリ乳酸の融点以上の温度で通常の成形運転を行なえば、セルロース系繊維とポリ乳酸との複合材料として所望形状の生分解性繊維強化プラスチックを得ることができる。
【0017】
望ましくは、ペレット混合物の成形を、該ペレット混合物を加圧下で強制的に塑性流動させることにより行なうと、成形装置内において混練作用が得られるので、両ペレットの均一な混在化を促進できる。加圧下で強制的に塑性流動させる具体的な手段としては、押出しや射出成形が適している。
【0018】
図1に、本発明法の工程図と従来法の工程図とを対比して示す。
【0019】
【実施例】
本発明の方法により、綿繊維をポリ乳酸で結合した生分解性繊維強化プラスチックを製造した。図2に示すように以下の手順で行なった。
【0020】
(1)繊維の前処理
綿繊維に水分を付与する。これは繊維を湿らせる程度でよい。これにより繊維が柔軟になり、プレス成形性が良くなる。本実施例では、図示のように霧吹きを用いたが、特にこれに限定する必要はなく、繊維に適量の水分を付与できる方法であればよい。
【0021】
(2)繊維の圧縮加工(繊維圧密体の作成)
上記のように湿らせた綿繊維をプレス成形により圧縮加工してシート状の繊維圧密体にした。プレス成形条件は、温度80℃、圧力5トン、加圧保持時間15分、シート厚さ:成形前50mm、成形後5〜10mmであった。プレス成形の際、繊維に付与されていた水分は蒸発して除去される。
【0022】
圧縮加工の手段として本実施例ではプレス成形を用いたが、これに限定する必要はなく、繊維を低密度の嵩高状態から高密度の繊維圧密体に成形できる方法であればよい。また、本実施例では圧密体をシート状の形態としたが、これに限定する必要はなく、後工程で切断加工によりペレット化する手段を考慮して選択すればよい。
【0023】
(3)繊維圧密体の切断加工(繊維圧密ペレットの作成)
上記で作成した繊維圧密シートを裁断機により切断加工して、一辺5〜10mmの角ペレットとした。ペレットサイズは最終成形条件と成形品の用途に応じて適宜決めることができる。なお、本実施例では、シート状の繊維圧密体を切断加工したので裁断機を用いたが、これに限定する必要はなく、繊維圧密体の形態に応じて、また必要なペレットの形状、サイズに応じて、適当な切断加工手段を用いることができる。
【0024】
(4)繊維圧密ペレットをポリ乳酸ペレットと混合(ペレット混合物の作成)上記で作成した繊維圧密ペレットと、ポリ乳酸ペレット(形状:円柱形、サイズ:直径=1〜2mm、長さ=2〜3mm)とを同時に押出し機のホッパーに供給する。これにより両ペレットがかなりの程度まで混在状態になる。ホッパーへの供給前に両ペレットを別の容器内で機械的に攪拌して予備混合しておくとなお良い。
【0025】
(5)押出しによる成形
ペレット混合物を押出し成形して角棒状(巾20mm×厚さ2mm×長さ100mm)の成形体サンプルを得た。用いた押出し機は、押出しスリーブを4つの区間に分けて温度制御するタイプである。ペレット供給側から押出し成形体の出口までの4区間(区間1、2、3、4)をそれぞれ下記のように温度制御した。
【0026】
<押出しスリーブ温度>
区間1:165℃(ペレット供給側)
区間2:175℃
区間3:180〜185℃
区間4:160〜165℃(製品出口側)
供給されたペレットはスリーブ内を進行するのに伴い区間1→区間2→区間3の順で徐々に昇温し、スリーブ長さの中央領域(区間2〜3)でポリ乳酸の融点(170℃)を超える高温なって塑性流動が促進され、製品出口側(区間4)ではポリ乳酸の融点より低温にまで降温されて、固形の角棒状成形体としてスリーブから出現する。なお、成形を押出しではなくて射出成形によって行なう場合には、一般に型を50〜100℃に予熱しておくことが望ましい。
【0027】
比較のため、従来法により同様の角棒状成形体を下記の手順で作成した。
【0028】
(1)混練
ポリ乳酸ペレットと綿繊維とを混練して塊状混合物とする。混練条件は、温度180℃、回転数50rpmで、混練時間は1〜3分であった。
【0029】
(2)粉砕(混合物ペレットの作成)
塊状混合物を粉砕してφ5〜8mmのペレット(混合ペレット)にした。
【0030】
(3)成形
混合ペレットを押出し機のホッパーに供給し、実施例と同様の区間温度設定により成形した。実施例と同じ寸法の角棒状成形体が得られた。
【0031】
以上により作製した実施例サンプルおよび比較例サンプルおのおの30本について3点曲げ強度を測定した。測定はJIS K7171に準じた。結果を図3に示す。従来法で作製した比較例サンプルは、強度平均値57.13N、偏差値4.24Nであった。これに対して、本発明法で作製した実施例サンプルは、強度平均値65.1N、偏差値1.6Nであり、強度が向上しかつバラツキが低減した。
【0032】
また、比較例サンプルは薄茶色に変色していたのに対して、実施例サンプルは素材本来の白色を呈しており、意匠性も向上した。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、混練過程を必要とせず、セルロース系繊維およびポリ乳酸を劣化させずに両者を組み合わせた生分解性繊維強化プラスチックを製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、(1)本発明法の工程図および(2)従来法の工程図を示すフローチャートである。
【図2】図2は、本発明による方法の一例における手順(1)〜(5)を示す模式図である。
【図3】図2は、(1)本発明による実施例サンプルと(2)従来法による比較例サンプルについて各々曲げ試験結果を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロース系繊維をポリ乳酸で結合した生分解性繊維強化プラスチック(生分解性FRP)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護等を目的として、種々の分野への生分解性プラスチックの適用が検討されており、その一環として、セルロース系繊維(天然繊維)を生分解性プラスチックで結合した生分解性繊維強化プラスチックも開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2000−127117号公報)には、セルロース系繊維(天然繊維)にバインダとして生分解性プラスチックを混在させ、加熱加圧して成形した生分解性繊維ボードが開示されている。この方法では、セルロース系繊維と生分解性プラスチックとを生分解性プラスチックの融点以上で混練して塊状混合体とし、これを粉砕した混合体ペレットを生分解性プラスチックの融点以上の温度で圧縮成形して生分解性繊維ボードとする。
【0004】
上記の生分解性プラスチックの一つとしてポリ乳酸が注目されている。ポリ乳酸とは、玉蜀黍、薩摩芋、砂糖黍などの植物から抽出した糖質を原料とするプラスチックである。特に、直接重合法で得られた高分子量のポリ乳酸は、汎用プラスチックであるポリエチレンやポリスチレンと比較しても十分な強度を持っており、他の生分解性プラスチックと比較して透明性も高く、湿った環境下でも黴が生えない等の優れた特性を備えている。
【0005】
本発明者は、このように優れた特性を持つポリ乳酸とセルロース系繊維とを組み合わせた生分解性繊維強化プラスチックを、上記従来の方法により製造することを試みた。しかし、得られた製品は強度が低くてバラツキも大きい上、素材本来の白色ではなく薄茶色に変色していて意匠性にも問題があった。
【0006】
これは、ポリ乳酸の融点が約170℃と比較的高いため、この融点以上で行なうセルロース系繊維とポリ乳酸との混練中に、ポリ乳酸の劣化とセルロース系繊維の劣化(分解・変色)が発生することが原因であることが判明した。
【0007】
その対策として、混練時間を短縮すると、混練が不十分になり、変色は防止できても強度のばらつきが発生するという問題があった。
【0008】
このように、混練を必須とする上記従来の方法では、強度・意匠性の劣化を避けることができなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−127117号公報(特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、混練過程を必要とせず、セルロース系繊維およびポリ乳酸を劣化させずに両者を組み合わせた生分解性繊維強化プラスチック(生分解性FRP)を製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、セルロース系繊維をポリ乳酸で結合した生分解性繊維強化プラスチックの製造方法であって、
セルロース系繊維を圧縮成形して繊維圧密体とする工程、
上記繊維圧密体を切断加工して繊維圧密ペレットとする工程、
上記繊維圧密ペレットとポリ乳酸ペレットとを混合する工程、および
得られたペレット混合物をポリ乳酸の融点以上の温度で成形する工程
を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
従来の製造方法では、セルロース系繊維とポリ乳酸とをポリ乳酸の融点以上の温度で混練する処理が必須であり、その過程で両者の劣化が発生した。これは、繊維が嵩高なためポリ乳酸との混練に長時間を要したためである。
【0013】
すなわち、ポリ乳酸は通常のプラスチックの供給形態であるペレットとして供給され、混練温度で流動状態になるとは言ってもかなり粘性が高く、これと嵩高なセルロース系繊維とを均一な混在状態にするのは非常に困難であり、混練に長時間を要する。その結果、比較的高温のポリ乳酸の融点以上の温度に長時間曝されることになり、ポリ乳酸が劣化(分解低分子化)して結合相としての強度も結合強度も低下するし、セルロース系繊維が分解劣化して強度が低下するばかりでなく変色(コゲ)により意匠性も劣化する。
【0014】
本発明の方法においては、セルロース系繊維とポリ乳酸との混練を行なわないので、それによる強度・意匠性の劣化という従来の問題は発生しない。
【0015】
ただし、セルロース系繊維とポリ乳酸とを混在状態にする必要がある。その手段に本発明の特徴がある。
【0016】
すなわち、本発明ではセルロース系繊維はそのままの嵩高な状態で用いずに、まず圧縮成形により圧密化してから用いる。得られた繊維圧密体を切断加工により、後工程の成形に適したサイズのペレットにする。得られた繊維圧密ペレットをポリ乳酸ペレットと混合する。両方のペレットを相応のサイズにしておけば、通常の機械的な混合手段によって容易に均一な混合状態が達成できる。これにより調製したペレット混合物を成形装置のホッパーに供給して、ポリ乳酸の融点以上の温度で通常の成形運転を行なえば、セルロース系繊維とポリ乳酸との複合材料として所望形状の生分解性繊維強化プラスチックを得ることができる。
【0017】
望ましくは、ペレット混合物の成形を、該ペレット混合物を加圧下で強制的に塑性流動させることにより行なうと、成形装置内において混練作用が得られるので、両ペレットの均一な混在化を促進できる。加圧下で強制的に塑性流動させる具体的な手段としては、押出しや射出成形が適している。
【0018】
図1に、本発明法の工程図と従来法の工程図とを対比して示す。
【0019】
【実施例】
本発明の方法により、綿繊維をポリ乳酸で結合した生分解性繊維強化プラスチックを製造した。図2に示すように以下の手順で行なった。
【0020】
(1)繊維の前処理
綿繊維に水分を付与する。これは繊維を湿らせる程度でよい。これにより繊維が柔軟になり、プレス成形性が良くなる。本実施例では、図示のように霧吹きを用いたが、特にこれに限定する必要はなく、繊維に適量の水分を付与できる方法であればよい。
【0021】
(2)繊維の圧縮加工(繊維圧密体の作成)
上記のように湿らせた綿繊維をプレス成形により圧縮加工してシート状の繊維圧密体にした。プレス成形条件は、温度80℃、圧力5トン、加圧保持時間15分、シート厚さ:成形前50mm、成形後5〜10mmであった。プレス成形の際、繊維に付与されていた水分は蒸発して除去される。
【0022】
圧縮加工の手段として本実施例ではプレス成形を用いたが、これに限定する必要はなく、繊維を低密度の嵩高状態から高密度の繊維圧密体に成形できる方法であればよい。また、本実施例では圧密体をシート状の形態としたが、これに限定する必要はなく、後工程で切断加工によりペレット化する手段を考慮して選択すればよい。
【0023】
(3)繊維圧密体の切断加工(繊維圧密ペレットの作成)
上記で作成した繊維圧密シートを裁断機により切断加工して、一辺5〜10mmの角ペレットとした。ペレットサイズは最終成形条件と成形品の用途に応じて適宜決めることができる。なお、本実施例では、シート状の繊維圧密体を切断加工したので裁断機を用いたが、これに限定する必要はなく、繊維圧密体の形態に応じて、また必要なペレットの形状、サイズに応じて、適当な切断加工手段を用いることができる。
【0024】
(4)繊維圧密ペレットをポリ乳酸ペレットと混合(ペレット混合物の作成)上記で作成した繊維圧密ペレットと、ポリ乳酸ペレット(形状:円柱形、サイズ:直径=1〜2mm、長さ=2〜3mm)とを同時に押出し機のホッパーに供給する。これにより両ペレットがかなりの程度まで混在状態になる。ホッパーへの供給前に両ペレットを別の容器内で機械的に攪拌して予備混合しておくとなお良い。
【0025】
(5)押出しによる成形
ペレット混合物を押出し成形して角棒状(巾20mm×厚さ2mm×長さ100mm)の成形体サンプルを得た。用いた押出し機は、押出しスリーブを4つの区間に分けて温度制御するタイプである。ペレット供給側から押出し成形体の出口までの4区間(区間1、2、3、4)をそれぞれ下記のように温度制御した。
【0026】
<押出しスリーブ温度>
区間1:165℃(ペレット供給側)
区間2:175℃
区間3:180〜185℃
区間4:160〜165℃(製品出口側)
供給されたペレットはスリーブ内を進行するのに伴い区間1→区間2→区間3の順で徐々に昇温し、スリーブ長さの中央領域(区間2〜3)でポリ乳酸の融点(170℃)を超える高温なって塑性流動が促進され、製品出口側(区間4)ではポリ乳酸の融点より低温にまで降温されて、固形の角棒状成形体としてスリーブから出現する。なお、成形を押出しではなくて射出成形によって行なう場合には、一般に型を50〜100℃に予熱しておくことが望ましい。
【0027】
比較のため、従来法により同様の角棒状成形体を下記の手順で作成した。
【0028】
(1)混練
ポリ乳酸ペレットと綿繊維とを混練して塊状混合物とする。混練条件は、温度180℃、回転数50rpmで、混練時間は1〜3分であった。
【0029】
(2)粉砕(混合物ペレットの作成)
塊状混合物を粉砕してφ5〜8mmのペレット(混合ペレット)にした。
【0030】
(3)成形
混合ペレットを押出し機のホッパーに供給し、実施例と同様の区間温度設定により成形した。実施例と同じ寸法の角棒状成形体が得られた。
【0031】
以上により作製した実施例サンプルおよび比較例サンプルおのおの30本について3点曲げ強度を測定した。測定はJIS K7171に準じた。結果を図3に示す。従来法で作製した比較例サンプルは、強度平均値57.13N、偏差値4.24Nであった。これに対して、本発明法で作製した実施例サンプルは、強度平均値65.1N、偏差値1.6Nであり、強度が向上しかつバラツキが低減した。
【0032】
また、比較例サンプルは薄茶色に変色していたのに対して、実施例サンプルは素材本来の白色を呈しており、意匠性も向上した。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、混練過程を必要とせず、セルロース系繊維およびポリ乳酸を劣化させずに両者を組み合わせた生分解性繊維強化プラスチックを製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、(1)本発明法の工程図および(2)従来法の工程図を示すフローチャートである。
【図2】図2は、本発明による方法の一例における手順(1)〜(5)を示す模式図である。
【図3】図2は、(1)本発明による実施例サンプルと(2)従来法による比較例サンプルについて各々曲げ試験結果を示すグラフである。
Claims (3)
- セルロース系繊維をポリ乳酸で結合した生分解性繊維強化プラスチックの製造方法であって、
セルロース系繊維を圧縮成形して繊維圧密体とする工程、
上記繊維圧密体を切断加工して繊維圧密ペレットとする工程、
上記繊維圧密ペレットとポリ乳酸ペレットとを混合する工程、および
得られたペレット混合物をポリ乳酸の融点以上の温度で成形する工程
を含むことを特徴とする生分解性繊維強化プラスチックの製造方法。 - 請求項1において、前記ペレット混合物の成形を、該ペレット混合物を加圧下で強制的に塑性流動させることにより行なうことを特徴とする生分解性繊維強化プラスチックの製造方法。
- 請求項2において、前記加圧下で強制的に塑性流動させる成形を、押出しまたは射出成形により行なうことを特徴とする生分解性繊維強化プラスチックの製造方法。
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2003
- 2003-06-27 JP JP2003184902A patent/JP2005014499A/ja active Pending
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