JP3469330B2 - 透過型電子顕微鏡 - Google Patents

透過型電子顕微鏡

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JP3469330B2
JP3469330B2 JP24753294A JP24753294A JP3469330B2 JP 3469330 B2 JP3469330 B2 JP 3469330B2 JP 24753294 A JP24753294 A JP 24753294A JP 24753294 A JP24753294 A JP 24753294A JP 3469330 B2 JP3469330 B2 JP 3469330B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透過型電子顕微鏡に関
する。
【0002】
【従来の技術】透過型電子顕微鏡で試料の回折像を得る
には、対物レンズの後焦点面に常に電子回折像が発生し
ていることから、この像が中間レンズの像面に位置する
ようにフォーカスを合わせれば、投影レンズで拡大した
回折像が蛍光板上に得られる。図9は、一般的な透過型
電子顕微鏡の構成を示す。図示した電子ビームの軌跡
は、蛍光板に回折像を得る際の光学的な結像関係を示
す。電子銃及び加速管1からの電子ビーム3は、コンデ
ンサーレンズ2で所望の電流値とスポットサイズに設定
され、試料4に照射される。試料4を透過した電子ビー
ム3は、対物レンズ5によって電子回折像6の位置に結
像される。電子回折像6は中間レンズ6で中間回折像8
の位置に結像され、投射レンズ9で拡大されて、蛍光板
11に試料5の回折像10が得られる。
【0003】蛍光板11に得られた回折像10を写真フ
ィルムに撮影するには、図中に破線で示したように、蛍
光板11を電子ビーム3の光軸から除き、回折像10が
その下方に投影されるようにする。これによって、蛍光
板11の下部に撮影用のフィルム13をフィルムプレー
ト14に乗せて設定すれば、回折像10の写真撮影がで
きる。
【0004】また、この回折像10をTVカメラ等の撮
像装置で撮影するには、写真撮影の場合と同様に蛍光板
11を電子ビームの光軸から除き、その下部に撮像装置
17を設定する。撮像装置17の前端には撮像装置用蛍
光板15を配置し、蛍光板15に結像した回折像をテー
パーファイバー16によって撮像装置17に導く。撮像
装置17で撮影された回折像は、モニター18に表示で
きる。撮像装置用蛍光板15に結像した回折像を撮像装
置17に像として取り込むには、種々の光学的方法が有
るが、ここでは一例としてテーパーファイバー16を使
う例を示した。
【0005】蛍光板11上に得られた回折像を図10
(a)に示す。この回折像の中心部には、極めて明るい
ゼロ次光領域31と反射光等によってできたゼロ次光反
射領域32とが有り、前者は一際輝いた大きなスポット
として観察され、後者は実際の回折スポット34の上に
雲を塗したように観察される。ゼロ次光領域31の範囲
内には回折像のスポットが含まれている場合もあり、ゼ
ロ次光反射領域32の範囲内ではその雲状の光が観察の
妨げになることが多い。また、回折像としては近軸付近
の回折スポットが重要なことが多く、図10(a)にお
けるゼロ次光領域31やゼロ次光反射領域32の回折像
をより鮮明に観察できることが重要である。
【0006】そのため従来装置では、図9に示すよう
に、回折像に含まれるゼロ次光を遮断する手段としての
スポットマスク12を光軸に設定し、ゼロ次光周辺の回
折スポットに対する影響を軽減して観察することが行わ
れている。このスポットマスク12を使用すると、図1
0(b)に示すように、回折像の上にスポットマスクの
影35ができるものの、ゼロ次光の影響が軽減され、蛍
光体内の乱反射光等が少なくなるので観察がし易くな
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このスポットマスクを
挿入する方法は、スポットマスクの挿入や位置合わせの
ような煩雑な操作を必要とする。また、蛍光板に投影さ
れた回折像の倍率とスポットマスクの寸法等の制約で適
切な遮蔽ができず、例えば必要な回折スポットまで遮蔽
してしまう場合がある。その場合には、試料位置を微調
整して回折像とスポットマスクの影の位置関係をずらし
て必要な回折スポットを観察する必要がある。また写真
撮影においては、回折像の中央部にスポットマスクの影
が写ってしまい写真の品位を落してしまう等の欠点があ
った。
【0008】本発明は、スポットマスクを使用すること
なくゼロ次光を除去して、回折像の中心部にスポットマ
スクの影を形成することなく光軸付近の回折スポットを
観察する手段を提供することを目的とする。また、視野
の端に位置する観察できない程度に暗い回折スポットを
観察可能にすることをも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、蛍光
板に投影された回折像を撮像装置で撮影し、得られた画
像データを画像処理することによってゼロ次光成分を除
去することで前記目的を達成する。また、画像処理によ
って得られた複数フレーム分の画像データを積算して回
折像全体のS/Nを向上することによって、暗い回折ス
ポットの観察を可能にする。
【0010】より具体的には、試料の回折像を、冷却C
CDカメラ等の撮像装置を使用してある一定の時間間隔
でサンプリングする。サンプリングした回折像はAD変
換し、画像データとして画像処理装置やコンピュータ等
に取り込む。この画像データにフィルター処理等の画像
処理を施し、比較的空間周波数の低いゼロ次光成分と比
較的空間周波数の高い回折像成分とを分離し、ゼロ次光
成分を除去する。さらに、得られた回折像の画像データ
を、それ以前に処理した回折像の画像データに加算し、
回折像信号成分を積算してS/Nを向上させ、暗い回折
スポットを観察できる程度に強調する。
【0011】画像処理装置は、1つ以上の指定した周波
数成分のみの信号を残す処理と1つ以上の指定した周波
数成分だけの信号を除去する処理とを選択して実行でき
るものとすることができる。また、画像処理装置は、回
折像から除去したゼロ次光成分の中心位置をゼロ次光成
分を除去した回折像に重ねて表示する機能、得られた回
折像の各回折スポットの強度に関する情報を回折像とと
もに出力する機能、得られた回折像の各回折スポット間
の距離を計算し、距離に関する情報を回折像とともに出
力する機能、グループ指定された特定領域の複数回折ス
ポット又はその周辺に位置してグループ指定された複数
回折スポットと同等の関係にある他の複数回折スポット
に対して各スポットの強度及びその相対距離のいずれか
一方のデータもしくは双方のデータを選択して表示する
機能等をもたせることができる。さらに、回折像や各種
計算データをモニター等に表示する時に、試料名称や日
付等のIDデータを同時表示できるようにすることがで
き、これらの像とデータは同時出力と個別出力とを選択
できるようにすることができる。
【0012】
【作用】本発明の撮像装置と画像処理手段を使ったシス
テムによると、煩雑な融通のきかないスポットマスクの
操作から開放され、スポットマスクを使用することなく
ゼロ次光をカットした回折像を得ることができる。ま
た、スポットマスクの影がない高品質の回折像記録を容
易に得ることができる。
【0013】
【実施例】図1に、本発明による透過型電子顕微鏡の一
実施例の全体概略図を示す。図9に示した装置と同一の
機能部には図9と同一の番号を付し、詳細な説明を省略
する。本実施例の透過型電子顕微鏡は、電子ビーム3を
遮断するシャッター21、シャッター21を駆動するシ
ャッタードライバ22、撮像装置17からの回折像信号
を画像処理する画像処理装置19を備える。画像処理装
置19はCPU20によって制御される。画像処理され
た画像は、モニター18に表示することも、プリンター
23に出力することもできる。図1には図示していない
が、スポットマスクを備えていても構わない。
【0014】撮像装置17は、回折像の撮影に適した低
ノイズ高画質の冷却CCDカメラとするのが好ましい。
回折像10を処理するには、蛍光板11を光軸から除い
て撮像装置用蛍光板15に回折像を投影する。撮像装置
17はその像をテーパーファイバー16を通して撮影す
る。迷光が冷却CCDカメラに入らないように、蛍光板
11を光軸から除く前に、シャッター21を閉状態にし
ておかなければならない。シャッター21の駆動はシャ
ッタードライバ22に制御CPU20から信号を送るこ
とで行われる。蛍光板11を光軸から除き、撮像装置で
回折像を撮影することができる状態になったら、シャッ
ター21を開いて撮像装置17に情報を蓄積する。
【0015】蓄積時間Tは、撮像装置に固有の階調Sと
電子ビームの最大強度Iによって決定される。図6は、
一定強度の電子ビーム像を撮像するとき、撮像装置に蓄
積される信号と蓄積時間との関係を示す。蓄積時間Tは
aが一番短く、b,cの順に長い。蓄積時間Tを長くす
るほど撮像装置で得られる信号は大きくなり、図中aは
蓄積時間Tが短すぎて撮像装置の性能を充分に利用して
いるとは言えず、一方、cは蓄積時間Tが長すぎて電子
ビーム強度が大きい部分で信号が飽和してしまい正確な
像信号が得られない。図6の場合、撮像装置の階調Sが
飽和しない範囲で最大の信号が得られる時間、すなわち
bの蓄積時間が適当である。このように蓄積時間は、電
子ビーム強度Iが大きければ短く、逆に電子ビーム強度
Iが小さければ長くなる。
【0016】所定の蓄積時間経過後にシャッター21を
閉じて、撮像装置に蓄積した像信号を1フレームの回折
像として画像処理装置19に収集し処理する。処理内容
は画素間の加減算を用いたフィルター処理によるゼロ次
光の除去と、像信号のS/N向上、それに回折スポット
のコントラスト強調である。像信号のS/N向上等は、
上記したシャッター21の開閉処理と、撮像装置17に
よる画像蓄積と、画像処理装置19による画像処理から
なる一連の処理を、複数フレームに渡って実行し像信号
をピクセル毎に積算処理することによって行われる。そ
れによってゼロ次光を除いて、さらに回折像のS/Nを
高め、高コントラストな画像が得られる。高コントラス
ト信号が得られるということは、また、観察しにくい暗
い回折スポットが明るく観察できることでもある。積算
処理中の像信号はモニター18に表示して観察すること
もできる。この処理によって得られた像信号は、画像処
理装置19に記憶されているが、制御CPU20等にそ
のデータを読み出し、もしくは直接プリンター23に出
力して、回折像のプリント写真を得ることもできる。本
実施例で使用した撮像装置は、一般に冷却CCDと呼ば
れる高感度の個体撮像素子であるが、通常のTVカメラ
を使用してフレームの1ピクセル毎にAD変換し処理し
ても同様な結果が得られる。
【0017】図2に、画像処理装置の一例のブロック図
を示す。なお、本発明の画像処理装置の機能は、特別に
設計した画像処理装置を用いることなく、制御用のCP
Uにプログラムをローディングしてソフト的に実行する
ことももちろん可能である。撮像装置の像信号41は、
AD変換器42で、1サンプリングすなわち1フレーム
分の全ピクセルについて、1ピクセル毎に逐次ディジタ
ル信号に変換される。冷却CCDカメラにおいては通常
CCDカメラ内でAD変換するが、このブロック図では
便宜上この位置でAD変換するものとした。AD変換し
た1ピクセル毎のピクセルデータ57は、フレームメモ
リ43のAポートから記憶する。フレームメモリ43に
記憶した像データ58は、制御タイミング信号発生器5
0の指示信号によって、演算ユニット44に加えられ各
種演算処理が実行される。
【0018】ここでは、演算処理の前段階としてフィル
ター処理を実行してゼロ次光成分を除去し、次に最終処
理として回折スポット像の積算処理を行うものとして説
明する。像データ58は演算ユニット44でフィルター
処理を施され、回折スポット像が抽出される。これは、
像データ58の信号が回折スポット像成分とゼロ次光成
分、及び若干のノイズ成分の合成であり、それぞれの信
号成分の基本周波数が異なることを利用して、周波数分
離によって回折スポット像成分を抽出する。この処理方
法については種々の手法があるが、例えば比較的基本周
波数の高い回折スポット像の成分を3×3または5×5
のマトリックスをなす隣接画素間の加減算によるハイパ
ス処理等のフィルター処理で抽出することで行う。得ら
れた演算データ59はゼロ次光を除去した回折スポット
像のみのデータであり、このデータはフレームメモリ4
3にBポートから一時的に記憶される。フレームメモリ
43に一時的に記憶された回折スポット像を表す演算デ
ータは、メモリ45に記憶されている積算回折スポット
像データと演算ユニット44で加算され、加算結果は再
びメモリ45に記憶される。
【0019】AD変換器42でディジタル化された次の
フレームの画像データはフレームメモリ43に記憶さ
れ、演算ユニット44でフィルター処理されて回折スポ
ット像のみのデータが抽出される。このフィルター処理
されたデータはフレームメモリ43に一時的に記憶さ
れ、演算ユニット44でメモリ45に記憶されている積
算回折スポット像データに加算される。加算結果は、再
びメモリ45に記憶される。
【0020】このようにして、各フレームの画像データ
にフィルター処理を施して回折スポット像データを抽出
してはそれを逐次加算していく。このフレームデータの
フィルター処理及び積算は、オペレータから指定された
n回の回数が終了するまで実行される。この加算の結果
得られる画像データは、撮像装置17で得られた回折像
に比べてゼロ次光成分が除去され回折スポット像のコン
トラストが強調された積算回折スポット像データ60と
なる。また、メモリ45の積算回折スポット像データ6
0は、DA変換器46を通してアナログ信号47に変換
され、モニター18に表示される。さらに、バッファ4
8を経由して通信データ49として制御CPU20に転
送し、プリンター23等に出力したり、外部記憶装置等
に出力して記録することができる。
【0021】これらの処理のための制御信号は、制御用
CPU20から通信データ回線49を介して、装置全体
の制御タイミングにあわせて送信される。画像処理装置
19側では、それを制御信号56として受信し、制御タ
イミング信号発生器50において各種制御信号を発生さ
せ、各回路をコントロールする。演算の段階として、説
明を簡単にするため3段階に区分して処理する例を示
す。第1段階の処理は撮像装置からの像信号41をAD
変換器42を通して1フレームの全ピクセルをディジタ
ル化し、フレームメモリ43に記憶する処理であり、こ
の処理は制御タイミング信号発生器50からのデータ収
集指令51で始まり、1フレーム分の処理を実行して終
了する。第2段階の処理は、フレームメモリ43の内容
を演算ユニット44でフィルター処理(例えば、ハイパ
ス処理)し、再度フレームメモリ43に記憶する処理で
あり、これらの処理も制御タイミング制御発生器50か
ら発生される像データ制御信号52、演算結果記憶信号
53、演算モード信号54による制御のもとで行われ
る。また、第3段階の処理はフレームメモリ43に記憶
中の回折スポット像と、メモリ45に記憶してる積算回
折スポット像とを加算する処理であり、制御タイミング
信号発生器50から発生される制御信号52,53,5
4の制御のもとで行われる。
【0022】この撮像装置17による回折像のデータ収
集と、画像処理に係る処理フローを図3に示す。この処
理フローは、図1に示した装置の操作から開始する。ま
ず、電子顕微鏡の蛍光板11に回折像が観察できるよう
に各部を操作し(S1)、処理したい回折像10が蛍光
板上に現れたら、シャッター21を一時的に閉し(S
2)、蛍光板11を開にして光軸から外す(S3)。こ
れで回折像のデータ収集の準備が完了し、データ収集と
画像処理を実行することができる。まず最初にシャッタ
ー21を開にし(S4)、撮像装置17に回折像10を
投影して像信号を蓄積する(S5)。このとき前述のよ
うに、撮像装置17が飽和しない範囲に電子ビーム3の
強度Iと蓄積時間Tを設定する。蓄積時間Tが終了した
らシャッター21を閉にし(S6)、像信号41をAD
変換しながらフレームメモリ43に記憶する(S7)。
このステップS4〜S7が回折像のデータ収集である。
次に、フレームメモリ43の原回折像データ58を演算
ユニット44を使ってフィルター処理し、ゼロ次光成分
等を除去した回折スポット像にし、フレームメモリ43
に記憶する(S8)。さらに、それまでに処理をし、メ
モリ45に記憶されている積算回折スポット像と、フレ
ームメモリ43に記憶してる回折スポット像とを加算
し、回折像のS/N向上と回折スポット像のコントラス
ト強調処理をする(S9)。このS8〜S9の処理が画
像処理である。次に、処理の継続か終了かの判断をし
(S10)、継続ならばS4に戻って上記した処理を繰
り返し、終了ならばシャッター21を閉じ(S11)、
蛍光板11を光軸に設定して(S12)、終了する。
【0023】また、演算処理で得られた積算回折スポッ
ト像データ60に基づく像は、ステップS9で外部モニ
ター18に表示する。この表示タイミングは特にステッ
プS9に固定化する必要はなく、演算データ60がある
限りどの段階で表示しても構わない。これらの一連の処
理はあらかじめプログラムして装置に記憶されており、
オペレータは回折像の程度によって積算回数等を設定す
るだけで他に特別な操作は必要としない。
【0024】以上の処理ルーチンをグローバルなタイミ
ングチャートで表現すると、図4のようになる。初め
に、回折像が観察できるように装置を操作し、シャッタ
ー21を一時的に閉し、蛍光板11を光軸から除く(開
する)ことで、装置はスタンバイ状態になる。この時、
まだ回折像10は撮像装置17に投影されていない。ま
ず、シャッター21を開にし、撮像装置に回折像を投影
する。また、シャッターの開の立上りから撮像装置の蓄
積時間をカウントし、一定時間Tの経過後シャッター2
1を閉にする。この時、撮像装置17に蓄積した回折像
の像信号を、AD変換器42でディジタル変換してフレ
ームメモリ43に記憶する。データ収集の終了と同時
に、記憶した像データ58に対してフィルター処理と演
算処理を実行する。そして処理の終了と共にモニター1
8に表示する。最後に、図3に示したように、繰り返し
処理の回数が終了すれば、シャッター21を開し、蛍光
板11を光軸に設定して操作の終了とし、繰り返し回数
がn番目に未たない時は、ステップS4に戻ってループ
処理を継続実行する。
【0025】撮像装置17で撮影する回折像をオンオフ
するには、蛍光板11の上方で、かつ、電子ビーム3が
倍率の如何に係らずオンオフできる位置に、シャッター
を備える必要がある。本実施例では、図1に示したよう
に中間レンズ7と投影レンズ9との間にシャッター21
を配置した。この位置に配置したのは回折像を含む電子
ビーム3の寸法が十分に小さく、容易に制御できること
による。しかし、シャッターは、回折像に影響を与えな
い限りどこに配置しても構わない。
【0026】図5に、電子ビーム3をオンオフするシャ
ッター21の一例を示す。図示したのは、電子光学で一
般に使用する静電偏向を利用したシャッターの例であ
り、静電偏向板71、シャッタードライバ22、シャッ
ター制御信号72及び電子ビームの遮蔽板73からな
る。シャッターの開状態、すなわち電子ビーム3を通過
させるときは、シャッタードライバ22はリレーをオフ
状態とする。すると、偏向板71の両面はともに接地状
態で同電位に保たれ、電子ビームは偏向されないで直進
する。また、シャッターを閉するときは、シャッター制
御信号72によりシャッタードライバ22のリレーを励
磁する。すると、偏向板71の片面が+Vボルトにな
り、生じた静電界によって電子ビーム3が偏向され、光
軸から外れて遮蔽板73に投射され、電子ビーム3が遮
断される。なお、シャッターは機械的に電子ビームを遮
断する構造のものとしてもよい。
【0027】ここまでは装置の構成について主に説明し
たが、次に回折像がどのように処理されるかを略図を用
いて説明する。図7(a)は、図10(a)に示した回
折像のA−B線上のラインプロファイル信号である。こ
のラインプロファイル信号は回折スポット像成分34と
ゼロ次光成分33とに分けて考えることができる。図7
(b)は図7(a)の低周波信号成分であるゼロ次光を
示し、図7(c)は図7(a)の高周波成分である回折
スポット像を示す。
【0028】この1フレームの回折スポット像だけで
も、電子顕微鏡として十分な回折像であるが、この回折
スポット像をn回積算処理すると、回折スポット像のS
/Nは改善され、コントラストは強調され、図7(d)
に示すように鮮明な回折スポット像が得られる。従っ
て、フレーム内の全回折スポット信号は図7(e)のよ
うになり、信号の大きなスポットは明るさが強く、小さ
なスポットは明るさが弱く見える。この回折スポット像
が、前述した積算回折スポット像である。
【0029】さらに、1フレームの回折像では観察でき
ない微弱な回折スポット像も、積算効果によって観察で
きるまでにコントラストを高めることができる。また1
フレームの回折像ではノイズもあるが、複数フレームの
積算で上述したようにS/Nの改善も図られる。また、
ゼロ次光成分はほぼ光軸の中心にあるので、図7(b)
の信号の中心を計算して、図7(e)の像に記号等(図
には「×」で表示)のマークとして重畳すれば、試料の
回折像は一層解析がし易くなり操作の一助となる効果が
ある。
【0030】図7には、発明の原理を説明するために回
折スポット像のみを示したが、実際の回折像には回折ス
ポットの他にノイズもあれば、観察や解析に不要な他の
細かい回折スポット等もあるので、それらの信号やデー
タを除いてやればさらに鮮明な回折像になる。その処理
はほとんどがフィルター処理か、指定した閾値でその閾
値以下の信号を除去したりする処理で行うことができ
る。また、極端に強いスポット像がある場合、そのスポ
ットを除去する処理を行ってもよい。
【0031】また、回折像の各スポットの明るさや各ス
ポット間の距離等の情報は、試料を解析する上で重要で
あり、モニター等に回折像と同時表示すれば極めて便利
である。この処理を実行するには、収集した回折像の各
スポットのモニター内の頂点位置座標とその高さ(信号
の大きさ)を計算し、計算されたスポット位置の近傍に
信号強度を表示するようにすればよい。
【0032】モニターに回折像と各種データを同時に表
示した例を図8に示す。図8(a)は回折像の各回折ス
ポットのコントラスト強度を表示した例であり、各回折
スポットの中で最大の強度を持つAスポットを基準にし
て、各スポットの強度比を表示している。これと類似の
表示方法として、コントラスト強度そのものを表示した
り、コントラスト強度をランク分けして色区分や英数字
区分等で表示することも可能である。さらに、各スポッ
トに記号を付けたりして区別し、モニター上等にその記
号とコントラスト強度をリストで表示したりすることも
できる。
【0033】図8(b)は回折像の中から4個の回折ス
ポットを指定し、その相互距離を表示した例である。観
察中のオペレータがスポットA,B,C,Dを逐次マウ
ス等で指定し、観察したいスポット距離(間隔)は、ス
ポット指定と同様に、マウス等で再度両スポットを指定
するか、もしくは指定スポット間の全ての距離を自動的
に指定するようにしてもよい。スポット間距離は、直接
回折像の付近に表示してもよいが、ここではスポットに
付けた記号間の距離として、回折像の横にリスト表示し
た例を示す。
【0034】上ではコントラスト強度と相互距離を別々
に分けて表示したが、色分け等の処理を行って混乱のな
いようにして同一の場所に同時表示しても構わない。ま
た、図示のように、試料の名称や日付等のIDを同時表
示してもよい。その他、繰り返し同一の組合せ回折スポ
ットが観察できる結晶試料の場合等には、その組合せ回
折スポットを1つのグループとして、コントラスト強度
や相互距離を同時表示する他、そのグループ周辺にある
組合せが等しい回折スポット群についても、各種データ
を計算して表示するようにしてもよい。ここで、組合せ
が等しい回折スポット群とは、スポットの相互距離が等
しいか、その比が等しい等のスポット群を言う。この例
を図8(b)に破線で示した。この処理の実行は、基準
とするスポット群を指定した後で、”等しいスポット群
のサーチ”を指示することで行うことができる。
【0035】また、上記したモニターの回折像、各種デ
ータやID等は必要に応じて、回折像とデータを同時に
又はそれぞれ個別に、あるいはオペレータの要求に従っ
た組合せて、プリンター等の記録手段に出力することも
できる。一般的にはハードコピーとしてモニターの全内
容を出力することが便利である。
【0036】
【発明の効果】本発明によると、電子顕微鏡の回折像を
観察し解析する時等において、ゼロ次光の影響をなく
し、重要な光軸中心部の回折像が観察可能となる。ま
た、画像処理の効果によって回折像のS/N改善を図
り、周辺部の暗い回折スポットまで観察が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による透過型電子顕微鏡の構成例を示す
図。
【図2】画像処理装置の一構成例を示す図。
【図3】画像処理フローの一実施例を示す図。
【図4】装置制御タイミングチャートの一動作例を示す
図。
【図5】電子ビームシャッターの一例を示す図。
【図6】撮像装置に蓄積される回折像信号と蓄積時間と
の関係を示す図。
【図7】回折像の画像処理を示す説明図。
【図8】モニターに回折像と各種データを同時に表示し
た表示例を示す図。
【図9】従来の一般的な透過型電子顕微鏡の構成例を示
す図。
【図10】従来の透過型電子顕微鏡による回折像の説明
図。
【符号の説明】
1…電子銃及び加速管、2…コンデンサレンズ、3…電
子ビーム、4…試料、5…対物レンズ、6…電子回折
像、7…中間レンズ、8…中間回折像、9…投影レン
ズ、10…回折像、11…蛍光板、12…スポットマス
ク、13…フィルム、14…フィルムプレート、15…
撮像装置用蛍光板、16…テーパファイバー、17…撮
像装置、18…モニター、19…画像処理装置、20…
制御CPU、21…シャッター、22…シャッタードラ
イバ、23…プリンター、31…強ゼロ次光領域、32
…ゼロ次光反射領域、33…ゼロ次光、34…回折スポ
ット像、35…スポットマスクの影、41…像信号、4
2…AD変換器、43…フレームメモリ、44…演算ユ
ニット、45…メモリ、46…DA変換器、47…モニ
ター信号、48…バッファ、49…通信データ、50…
制御タイミング信号発生器、51…データ収集指令、5
2…像データ制御信号、53…演算結果記憶信号、54
…演算モード信号、55…モニター制御信号、56…画
像処理制御信号、57…ピクセルデータ、58…フレー
ムメモリデータ、59…演算データ、60…積算回折ス
ポット像データ、71…偏向板、72…シャッター制御
信号、73…遮蔽板、75…IDデータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 千之 茨城県勝田市堀口字長久保832番地2 日立計測エンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−204343(JP,A) 特開 昭61−151449(JP,A) 特開 昭56−116260(JP,A) 特開 昭57−65659(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/295 H01J 37/22 H01J 37/26

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子ビームの照射系と、結像系と、撮像
    手段とを備え、試料の回折像を撮像する透過型電子顕微
    鏡において、 前記撮像手段からの前記回折像の画像信号を処理する画
    像処理手段を備え、前記画像処理手段は周波数特性の相
    違に基づいて画像信号から電子ビームのゼロ次光成分を
    分離除去した回折像を出力する機能を有することを特徴
    とする透過型電子顕微鏡。
  2. 【請求項2】 電子ビームをオンオフするシャッター手
    段を備え、前記画像処理手段は画像信号から電子ビーム
    のゼロ次光成分を1フレーム毎に除去し、ゼロ次光成分
    を除去した画像信号をモニターに表示する機能を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の透過型電子顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記画像処理手段は、1つ以上の指定し
    た周波数成分のみの信号を残す処理と1つ以上の指定し
    た周波数成分だけの信号を除去する処理とを選択して実
    行できるものであることを特徴とする請求項1記載の透
    過型電子顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記画像処理手段は、回折像から除去し
    たゼロ次光成分の中心位置を、ゼロ次光成分を除去した
    回折像に重ねて表示する機能を有することを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか1項記載の透過型電子顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記画像処理手段は、得られた回折像の
    各回折スポットの強度に関する情報を回折像とともに出
    力する機能を有することを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項記載の透過型電子顕微鏡。
  6. 【請求項6】 前記画像処理手段は、モニターに表示す
    る回折像の各回折スポット像の周辺に当該スポットの強
    度及びその相対距離のいずれか一方のデータもしくは双
    方のデータを選択して表示する機能を有することを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか1項記載の透過型電子顕
    微鏡。
  7. 【請求項7】 前記画像処理手段は、グループ指定され
    た特定領域の複数回折スポット又はその周辺に位置して
    グループ指定された複数回折スポットと同等の関係にあ
    る他の複数回折スポットに対して各スポットの強度及び
    その相対距離のいずれか一方のデータもしくは双方のデ
    ータを選択して表示する機能を有することを特徴とする
    請求項1〜5のいずれか1項記載の透過型電子顕微鏡。
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