JP3468805B2 - 繊維予備成形体の製造方法 - Google Patents

繊維予備成形体の製造方法

Info

Publication number
JP3468805B2
JP3468805B2 JP28365893A JP28365893A JP3468805B2 JP 3468805 B2 JP3468805 B2 JP 3468805B2 JP 28365893 A JP28365893 A JP 28365893A JP 28365893 A JP28365893 A JP 28365893A JP 3468805 B2 JP3468805 B2 JP 3468805B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
fiber preform
sizing agent
fibers
mandrel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28365893A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07137151A (ja
Inventor
和実 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP28365893A priority Critical patent/JP3468805B2/ja
Priority to TW83108768A priority patent/TW294688B/zh
Publication of JPH07137151A publication Critical patent/JPH07137151A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3468805B2 publication Critical patent/JP3468805B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化樹脂製品の製
造に用いられる繊維予備成形体の製造方法に関し、詳し
くは、金型のキャビティ内にセットされ、該金型内に注
入されるRIMナイロンやシクロペンタジエン等からな
る反応射出成形用のマトリクス樹脂を含浸させて繊維強
化樹脂を成形する繊維予備成形体を、フィラメントワイ
ンディング法(以下、FW法と略す)で成形する場合に
発生しやすい繊維角度のずれの発生を防止するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、FW法で成形した繊維を強化繊維
とする繊維強化樹脂製品を製造する場合、通常、繊維を
マンドレルに巻く前に、未硬化の樹脂を繊維に含浸さ
せ、この繊維を連続的に供給して、回転しながら軸線方
向に移動するマンドレルに巻き付けて、マンドレルの外
周面全体に繊維を巻き付けた状態のまま硬化させ、その
後、マンドレルから引き抜いて繊維強化樹脂成形品を得
ている。
【0003】上記した従来の方法では、必要とする成形
品の形状が屈曲形状である場合、マンドレルも屈曲形状
としておく必要があるが、この屈曲形状のマンドレルに
繊維を自動的に巻き付けることが困難であり、また、仮
に、屈曲管形状のマンドレルの外周面に繊維を巻き付け
たとしても、マンドレルに巻き付けた状態のままで硬化
している屈曲管形状の成形品をマンドレルから引き抜く
ことが困難で、製品形状によっては引き出しが出来ない
場合が多い。さらに、上記のように、繊維をFWする前
に、前以て樹脂に含浸させる方法では、反応射出成形に
用いる樹脂、例えば、RIMナイロンやシクロペンタジ
エンをマトリクス樹脂として用いることが出来なかっ
た。
【0004】上記した問題に対して、本出願人は先に、
FWした強化繊維を用いて反応射出成形で成形品を製造
する場合、未硬化の樹脂をFWする強化繊維に含浸せず
に、反応射出成形時に重合阻害を発生させないサイジン
グ剤、例えば、水またはアルコールに可溶なナイロンか
らなるサイジング剤溶液に浸漬した後、FW法でマンド
レルにかぶせたチューブあるいは中実体からなる中子に
巻き付けて、繊維予備成形体を形成し、ついで、チュー
ブの場合はマンドレルから脱型して強化繊維をチューブ
に巻き付けた形態からなる繊維予備成形体、あるいは強
化繊維を中実体に巻き付けた形態からなる繊維予備成形
体を、金型のキャビティ内にセットし、金型内で反応射
出成形(RIM)を行って所要の形状の成形品を得る繊維
強化樹脂製品の製造方法を提供している。(特願平3−
271566号、特願平3−271570号)
【0005】上記方法によると、屈曲形状の成形品を製
造出来ると共に、繊維をサイジング剤溶液に浸漬した後
にFWしているため、浸漬後にアイを通してマンドレル
にかぶせたチューブ又は中実体からなる中子に巻き付け
る過程において、アイの部分での摩擦が減少され、繊維
にほつれが生じることが出来ると共に、中子に巻き付け
る最中にも繊維は濡れている状態であるため、繊維間で
の結束力が生じてばらけるのが防止出来、繊維を設計し
た配向状態に保持することが出来る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記サイジング剤とし
ては、反応射出成形時に重合阻害を発生させないため
に、繊維上に残留させないことが好ましく、よって、蒸
発して乾燥した時には繊維間の結束力は低下している。
あるいは、サイジング剤として、繊維上に残留させても
重合阻害を生じない水又はアルコールに可溶性のナイロ
ンを用いる場合も、ナイロンの混合量を多くして高濃度
とすると、このサイジング剤として用いるナイロンは反
応射出成形されるナイロンより強度、弾性率が劣るた
め、成形された繊維強化樹脂製品の物性を低下する問題
がある。よって、サイジング剤は通常0.5%以下とし
ており、そのため、水またはアルコールが蒸発して乾燥
した後は、繊維間の結束力は低下している。
【0007】上記のように、乾燥後は繊維間の結束力は
低下するため、例えば、図7に示すように、直管状のマ
ンドレルMに繊維Fの巻付角度を変えて巻き付ける場合
には、角度θから角度ψに切り替える部分Kでは、繊維
間に隙間が発生しているため、巻き付け角度にずれが発
生しやすい。さらに、巻き付けた繊維が曲面上の最短距
離の2点を通る測地線を結ぶ経路を通らない場合にも、
巻き付けた繊維にずれが発生しやすい。即ち、図8
(A)に示すように円錐形状の中子M’に繊維Fを一定
角度でヘリカル巻きをした場合は、円錐体の測地線を通
る経路は(B)となる。同様に、図9(A)に示す楕円
球の中子M”に一定角度でヘリカル巻きをした場合、楕
円球の測地線を通る経路は(B)となる。図8(A)、
図9(A)に示すように、繊維Fが測地線を通らない場
合、曲面上において繊維の長さが余っているため、マン
ドレルからFWした繊維予備成形体を抜き出して持ち運
びする時、あるいは、チューブ状の中子や弾性を有する
中実体を屈折する時など、繊維に外力が加わると、繊維
角度にずれが発生しやすく、設計通りとはならない。よ
って、成形された製品に設計通りの強度や剛性が得られ
ない問題が発生する。
【0008】本発明は上記した問題に鑑みてなさたもの
で、サイジング剤溶液に繊維を浸漬しながらFWして繊
維予備成形体を製造する方法において、サイジング剤溶
液が乾燥した後も、FWで巻き付けられた設計通りの角
度で繊維を保持出来るようにすることを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、サイジング剤溶液が乾燥する前に、ガラ
ス不織布を、FWした繊維の外周面全体、あるいは、少
なくとも繊維角度にずれが発生しやすい部分の外周面
に、ラッピングすることを特徴とする繊維予備成形体の
製造方法を提供するものである。
【0010】詳しくは、本発明は、金型のキャビティ内
にセットされ、該金型内に注入される反応射出成形用の
マトリクス樹脂を含浸させて繊維強化樹脂を成形する繊
維予備成形体の製造方法であって、ロービング、テー
プ、ヤーン、モノフィラメントあるいはクロス形態の強
化繊維をサイジング剤溶液に浸漬しながらフィラメント
ワインディング法で、マンドレル、マンドレルにかぶせ
た中子あるいは中実体からなる中子の外周面に所要の角
度で上記強化繊維を巻き付け、上記サイジング剤溶液の
乾燥前に、少なくとも上記強化繊維の巻付角度を切り替
えた部分および曲面上の2点を結ぶ経路が最短となる測
地線を通らない経路で巻き付けて繊維角度にずれが発生
しやすい部分の外周面のみに、ガラス不織布をラッピン
グして、繊維を巻付角度に保持することを特徴とする繊
維予備成形体の製造方法を提供するものである。
【0011】
【0012】上記サイジング剤溶液は、サイジング剤を
アルコールまたは水に可溶なナイロンとし、水または有
機溶媒にからなる溶解液に溶解したものが好ましい。
【0013】上記有機溶媒は、メタノール、四塩化炭
素、クロロホルム、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、
1,2−ジククロエタン、メタノール、エタノール、イ
ソブロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテ
ルから選択される。上記可溶性ナイロンとしては、東レ
社製AQナイロンや帝国化学産業社製トレジンを用いる
ことが好ましい。
【0014】また、上記FW法により強化繊維として用
いる繊維は、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊
維、炭化ケイ素繊維、スチール繊維、アモルファス金属
繊維、有機繊維及び/またはそれらの混合物が好適に用
いられる。
【0015】さらに、上記繊維予備成形体に対してマト
リクス樹脂として含浸させて反応射出成形法またはレジ
ントランスファーモールディングに用いる樹脂は、RI
Mナイロン、シクロペンタジエン、エポキシ、ウレタン
あるいはポリエステル等が好適に用いられる。例えば、
RIMナイロンである場合、金型内に重合触媒と重合開
始剤とを含む溶融したラクタム類を注入し、これを加熱
によりポリアミド重合とするモノマーキャスティング法
により成形される。
【0016】上記モノマーであるω−ラクタム類として
は、α−ピロリドン、α−ピペリドン、ω−エナントラ
クタム、ε−カプロラクタム、ω−カプリロラクタム、
ω−ペラルゴノラクタム、ω−デカノラクタム、ω−ウ
ンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム、あるいはこれ
らのc−アルキル置換−ω−ラクタム、並びにこれらの
二種以上のω−ラクタムの混合物があげられる。また、
ω−ラクタムは必要に応じて改良成分(ソフト成分)を含
むことができる。該ソフト成分は分子中に使用する開始
剤と反応する官能基を有し、しかも、Tgの低い化合物
で、通常の官能基を有するポリエーテルや液状ポリブタ
ジエンなどが使用される。
【0017】上記ω−ラクタム類として使用される市販
の原料としては、宇部興産(株)会社のUBEナイロン
(UX−21)等がある。これはアルカリ触媒とカプロラ
クタムからなるA成分と、ソフト成分を含むプレポリマ
ーとカプロラクタムからなるB成分とから構成されてい
る。
【0018】上記重合触媒としては、水素化ナトリウム
が好ましいが、その他のナトリウム、カリウム、水素化
リチウム等の公知のω−ラクタムの重合触媒を使用する
ことが出来る。その添加量はω−ラクタムに対して0.
1〜0.5モル%の範囲が好ましい。
【0019】また、重合開始剤(活性剤)としては、N−
アセチル−ε−カプロラクタムが用いられるが、その他
のトリアリルイソシアヌレート、N−置換エチレンイミ
ン誘導体、1.1’−カルボニルビスアジリジン、オキ
サゾリン誘導体、2− (N−フェニルベンズイミドイ
ル)アセトアニリド、2−N−モリホリノ−シクロヘキ
セン−1.3−ジカルボキサニリド等や公知のイソシア
ナート、カルボジイミド等の化合物を用いることが出来
る。上記重合開始剤の添加量はω−ラクタムの量に対し
て0.05〜1.0モル%の範囲内にあることが好まし
い。
【0020】マトリクス樹脂としてシクロペンタジエン
樹脂を用いる場合、該シクロペンタジエン樹脂となる重
合性モノマーとしては、ジシクロペンタジエンのほか、
ジヒドロジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエ
ン、テトラシクロペンタジエン、シクロペンタジエン−
メチルシクロペンタジエン共二重体等が用いられる。
【0021】上記シクロペンタジエン樹脂の重合触媒と
しては、タングステン、モリブデン、タンタル等のハロ
ゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニ
ウム塩等が好適に用いられる。重合開始剤としては、周
期率表第I族〜第III族の金属のアルキル化物を中心
とする有機金属化合物、アルコール、フェノール等の酸
素含有化合物等が好適に用いられる。さらに、上記重合
触媒および活性剤(重合開始剤)を含む溶液は、重合反応
が非常に速く開始されるので、成形用金型に充分に流れ
込まない間に硬化が起こることがあるため、活性調節剤
としてアルキレングリコールまたはポリアルキレングリ
コールから選ばれるグリコール化合物のモノエーテルお
よび/またはモノエステルが好適に用いられる。
【0022】上記金型への射出成形に際しては、金型温
度を通常40〜130℃の範囲とし、通常1〜5分間重
合反応を行っている。
【0023】上記した方法で成形される繊維予備成形体
が直管形状の場合はマンドレルにサイジング剤溶液に浸
漬した強化繊維をFWするが、繊維予備成形体の形状が
曲管等の場合はマンドレルにかぶせたチューブからなる
中子に強化繊維をFWしている。このチューブとして
は、ナイロン、セロファン、ゴム、ポリエステル、ポリ
エーテルケトン等の可撓性を有するチューブ状のものが
用いられる。また、中子として中実体を用いる場合は、
繊維予備成形体とした後に曲げを要する場合にはウレタ
ンフォーム等の弾性体より形成することが好ましい。た
だし、曲げ等の変形を要しない場合は、板材や金属材等
の剛性を有するものが使用出来る。
【0024】
【作用】本発明に係わる繊維予備成形体の製造方法で
は、サイジング剤溶液の乾燥前に、ガラス不織布でラッ
ピングしているため、該ガラス不織布にサイジング剤溶
液が浸透して繊維との密着がはかられ、ガラス不織布に
より移動しないように繊維相互合が強く結合され、設計
された通りの繊維角度を保持できる。特に、サイジング
剤として可溶性ナイロンを用いた場合、該可溶性ナイロ
ンが硬化した時にガラス不織布に浸透したナイロンと繊
維に含浸したナイロンが一体に結合するため、繊維はガ
ラス不織布により確実に拘束されて移動せず、繊維角度
にずれが発生しない。なお、上記ガラス不織布を繊維予
備成形体の外周面の全体にラッピングせず、繊維角度に
ずれが発生しやすい部分のみをラッピングした場合、全
体にラッピングする場合と比較して重量増加を低減する
ことができる。
【0025】また、ラッピングしたガラス不織布が繊維
予備成形体の外周面に位置するため、繊維予備成形体を
金型内に予め配置して反応射出成形する際、ガラス不織
布に樹脂が十分に浸透し、成形品の表面形状を平滑にす
ることができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明に係わる方法で製造された直管形状
の繊維予備成形体1の第1実施例を示し、可撓性チュー
ブ2からなる中子の表面に所要角度でFWして巻き付け
た強化繊維3を備え、該強化繊維3の外周面全体をガラ
ス不織布4でラッピングしている。 上記強化繊維3は
図2に示すように、直管の両側と中央部とで巻き付け角
度を変えており、両側部分では繊維角度を軸線Lに対し
て20°、中央部分では38°としており、角度切り替
え部K1、K2で巻き付け角度を変えている。
【0027】上記繊維予備成形体1は図3に示す方法で
製造している。即ち、マンドレル5には可撓性チューブ
2からなる中子をかぶせた状態としている。該記マンド
レル5を、周知のFW機と同様に、駆動手段(図示せず)
により回転作動および軸線方向へ直線往復作動させる。
尚、マンドレル5側を強制駆動せずに、繊維巻き付け側
を回転および直線往復作動させるようにしても良い。
【0028】一方、所要の強化繊維3をそのロール6か
ら引き出し、アイ7、テンションロール8を通して後、
アルコール可溶性ナイロンをサイジング剤とするサイジ
ング剤溶液9を貯溜している容器10を通して浸漬し
て、強化繊維3を可撓性チューブ2の外周面に巻き付け
ていく。其の際、上記角度切り替え部K1、K2で強化
繊維3の巻き付け角度を切り替えている。
【0029】強化繊維3の所定の巻き付けが終了し、強
化繊維3に付着したサイジング剤溶液が蒸発して乾燥す
る前に、強化繊維3の全外周面にガラス不織布4をラッ
ピングする。このラッピングは、強化繊維3が移動不可
となる程度に強く巻き付けている。 ラッピング終了
後、マンドレル5より中子2と共に引き抜き、図1に示
す繊維予備成形体1を得る。
【0030】図4は本発明の第2実施例を示し、ガラス
不織布4を、角度切り替え部K1、K2の特に繊維角度
にずれが発生してばらけやすい部分にのみラッピングし
ている。なお、前記図8(A)および図9(A)に示す
ように、FWする強化繊維Fの巻き付け経路が全で測地
線を通らない経路である場合は、FWした強化繊維Fの
全面にガラス不織布を巻き付けている。
【0031】尚、上記実施例ではマンドレルにかぶせた
チューブからなる中子に強化繊維を巻き付けているが、
マンドレルに強化繊維を直接FWする場合、あるいは、
マンドレルを用いずに中実体からなる中子に強化繊維を
FWする場合にも適用することができる。
【0032】上記のように製造した繊維予備成形体1を
用いて、図5に示す方法で、反応射出成形法で繊維強化
樹脂製品を製造している。即ち、上記繊維予備成形体1
を図5(A)に示すように、金型20のキャビティ21
の形状(直管のパイプ形状)に沿うように、チューブ2に
強化繊維3を巻付けている繊維予備成形体1をキャビテ
ィ21内にセットする。ついで、図5(B)に示すよう
に、金型20の上下型20A,20Bの型締を行い、チ
ューブ2内にエアを注入した状態で、金型の注入口22
より反応射出成形する樹脂の未反応溶液をキャビティ2
1内に充填し、重合反応を生じさせて成形する。数分後
に硬化した後、金型を離型し、図5(C)に示すキャビテ
ィ形状(U型の屈曲管形状)の繊維強化樹脂製品30を取
り出している。尚、繊維予備成形体1には、従来の未硬
化樹脂を浸漬していた場合に生じる硬化が発生しておら
ず、かつ、浸漬したサイジング剤溶液は乾燥後に容易に
折り曲げることが出来るため、繊維予備成形体1は折り
曲げることが可能な状態となっている。よって、成形す
る製品が曲管形状である場合は、手で折り曲げて、曲管
形状とした金型のキャビテイ内にセットして成形するこ
とが出来る。
【0033】
【実験例】上記方法からなる繊維予備成形体1を製造
し、ついで、この製造した繊維予備成形体1を用いて
は、繊維強化樹脂製品30を以下の如く製造した。直管
形状の直径14mmのSUS製のマンドレル5に内径1
5.3mmの66ナイロン製チューブ2を通し、その上
に、炭素繊維ロービング(東邦レーヨン社製 HTA−7
−12000)からなる強化繊維を、アルコール可溶性
ナイロン(東レ製AQナイロンK80)の0.5%メタノ
ール溶液からなるサイジング剤溶液に浸漬した後、マン
ドレル5の軸方向に対して、図2に示す角度で、20
°、38°、20°の角度でFW法により巻き付けた。
ついで、上記サイジング剤溶液の乾燥前に、厚さ0.1m
mでチューブ2の長さと略同一の長さを有するシート状
のガラス不織布(日本バイリーン(株)社製EPM40
25)4を、FWした強化繊維3の側方より、強化繊維
3の全外周面に密着するようにラッピングした。ガラス
不織布4を巻き付け、サイジング剤溶液が蒸発して乾燥
したのち、マンドレル1よりチューブ2、強化繊維3お
よびガラス不織布4からなる繊維予備成形体1を引き抜
いた。
【0034】ついで、金型20に設けた断面直径18.
5mm、全長が420mmの直管パイプ状のキャビティ21
内に上記した繊維予備成形体1をセットし、キャビティ
内を真空ポンプで減圧しながら、金型温度を150℃に
昇温し、かつ、可撓性チューブ2の内部に内圧をかけな
がら、宇部興産社製RIMナイロンUX−21を圧力を
かけて注入し、反応射出成形(RIM)により成形した。
詳細には、所要量のRIMナイロンを2つの容器に分け
て入れ、一方には重合触媒を、他方には重合開始剤と活
性調整剤と添加し、2種類の安定した反応溶液を調整し
ている。この2種類の反応溶液を2液反応射出成形装置
のキミシングヘッドで瞬間的に混合させ、混合液を直ち
に上記金型のキャビティ内に注入した。注入された混合
液はキャビティ内に配置した繊維予備成形体1に含浸さ
せながら反応を生じ、1〜5分間重合反応をおこなっ
て、混合液が硬化した。硬化後、金型を開いて成形され
た製品を取り出した。上記した工程により、炭素繊維を
FWした繊維予備成形体1により補強され、マトリクス
樹脂をナイロンとした繊維強化樹脂製の全長420mm、
外径18.5mm、内径15.8mmの直管状パイプを得るこ
とが出来た。
【0035】本発明によるガラス不織布をラッピングし
た繊維予備成形体1を用いて製造したパイプの強度およ
び弾性率をテストした。テストは、上記実施例で製造し
た強度繊維の全体にガラス不織布をラッピングした実験
例1のパイプと、実験例1と同一条件で、図2に示す繊
維角度切り替え部分K1、K2の部分のみをガラス不織
布でラッピングした繊維予備成形体を用いて製造した実
験例2のパイプと、ガラス不織布をラッピングしていな
い繊維予備成形体を用いて成形した比較例のパイプを用
いた。
【0036】テストは図6に示すように、長さ300mm
の支持台40上の両側から突設させた支柱41上にテス
トピースのパイプ30を載置し、上方より一対の加圧バ
ー42を連結枠43より突設した加圧具44で曲げスピ
ード2.5mm/分で4点曲げテストを行った。支柱42
と加圧バー42の間の距離は夫々100mmとしている。
【0037】実験例1、実験例2、比較例のパイプの重
量および上記テストにより得られた曲げ弾性率、強度は
下記の表に示す通りであった。
【0038】
【表1】
【0039】上記表より明らかなように、実験例1、2
は比較例より曲げ弾性率および強度とも優れ、かつ、重
量の点においては比較例より多少増加しているが、増加
量は少ない。特に、実験例2の繊維角度にずれが発生し
やすい部分にのみガラス不織布をラッピングした場合は
重量の増加が約2g/mに過ぎないが、曲げ弾性率および
強度は大幅に向上していた。
【0040】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
に係わる繊維予備成形体の製造方法によれば、FWする
強化繊維をサイジング剤溶液に浸漬して所要角度で、マ
ンドレル、あるいは中子に巻き付けた後に、サイジング
剤溶液が乾燥する前にガラス不織布をラッピングしてい
るため、繊維の巻付角度にずれが発生しないように保持
することが出来る。即ち、ガラス不織布にサイジング剤
溶液が浸透して繊維との密着がはかられ、ガラス不織布
により移動しないように繊維相互合が強く結合され、設
計された通りの繊維角度を保持できる。
【0041】特に、サイジング剤として可溶性ナイロン
を用いた場合、該可溶性ナイロンが硬化した時にガラス
不織布に浸透したナイロンと繊維に含浸したナイロンが
一体に結合するため、繊維はガラス不織布により確実に
拘束されて移動せず、繊維角度にずれが発生しない。ま
た、ガラス不織布をラッピングしていることにより、繊
維予備成形体の強度および曲げ弾性率を向上させること
が出来る。
【0042】このように、FWした繊維角度にずれを発
生させずに設計通りに保持できることにより、該繊維予
備成形体を用いて製造した繊維強化樹脂製品は、各部分
に設計通りの角度で巻かれた強化繊維を備え、各部分に
所要の強度を持たせることができる。しかも、上記した
ように、ガラス不織布の付加により製品の強度および曲
げ弾性率をさらに向上させることが出来る。
【0043】また、ラッピングをガラス不織布で行って
いるため、該繊維予備成形体を金型内に予め配置して反
応射出成形する際、ガラス不織布を通して強化繊維内に
樹脂が十分に浸透させることができ、しかも、外周面に
ガラス不織布が位置しているため、成形品の表面形状を
平滑にすることができる。かつ、上記繊維予備成形体を
用いることにより、反応射出成形する樹脂をマトリクス
樹脂とした繊維強化樹脂製品の製造が可能となり、耐衝
撃性、振動減衰性、および耐熱性等のすぐれた特性を有
するRIMナイロンやシクロペンタジエンをマトリクス
樹脂として用いることができる利点を有するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係わる繊維予備成形体
の斜視図である。
【図2】 第1実施例における強化繊維の巻付角度を示
す概略図である。
【図3】 本発明の繊維予備成形体の製造方法を示す概
略図である。
【図4】 本発明の第2実施例に係わる繊維予備成形体
の正面図である。
【図5】 (A)(B)(C)は本発明に係わる繊維予
備成形体を用いた反応射出成形法による繊維強化樹脂製
品の製造方法を示す概略図である。
【図6】 本発明の繊維予備成形体の曲げ弾性率および
強度をテストする装置の概略図である。
【図7】 FWする繊維の巻き付け角度を変えた場合を
示す概略図である。
【図8】 円錐体に強化繊維をFWする場合を示し、
(A)はFWする繊維が測地線を通らない場合を示す概
略図、(B)は測地線を場合を示す概略図である。
【図9】 楕円球に強化繊維をFWする場合を示し、
(A)はFWする繊維が測地線を通らない場合を示す概
略図、(B)は測地線を場合を示す概略図である。
【符号の説明】
1 繊維予備成形体 2 中子となる可撓性チューブ 3 強化繊維 4 ガラス不織布

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型のキャビティ内にセットされ、該金
    型内に注入される反応射出成形用のマトリクス樹脂を含
    浸させて繊維強化樹脂を成形する繊維予備成形体の製造
    方法であって、 ロービング、テープ、ヤーン、モノフィラメントあるい
    はクロス形態の強化繊維をサイジング剤溶液に浸漬しな
    がらフィラメントワインディング法で、マンドレル、マ
    ンドレルにかぶせた中子あるいは中実体からなる中子の
    外周面に所要の角度で上記強化繊維を巻き付け、上記サ
    イジング剤溶液の乾燥前に、少なくとも上記強化繊維の
    巻付角度を切り替えた部分および曲面上の2点を結ぶ経
    路が最短となる測地線を通らない経路で巻き付けて繊維
    角度にずれが発生しやすい部分の外周面のみに、ガラス
    不織布をラッピングして、繊維を巻付角度に保持するこ
    とを特徴とする繊維予備成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記サイジング剤がアルコールまたは水
    に可溶なナイロンである請求項1に記載の繊維予備成形
    体の製造方法。
JP28365893A 1993-11-12 1993-11-12 繊維予備成形体の製造方法 Expired - Fee Related JP3468805B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28365893A JP3468805B2 (ja) 1993-11-12 1993-11-12 繊維予備成形体の製造方法
TW83108768A TW294688B (ja) 1993-11-12 1994-09-22

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28365893A JP3468805B2 (ja) 1993-11-12 1993-11-12 繊維予備成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07137151A JPH07137151A (ja) 1995-05-30
JP3468805B2 true JP3468805B2 (ja) 2003-11-17

Family

ID=17668389

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28365893A Expired - Fee Related JP3468805B2 (ja) 1993-11-12 1993-11-12 繊維予備成形体の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP3468805B2 (ja)
TW (1) TW294688B (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
TW294688B (ja) 1997-01-01
JPH07137151A (ja) 1995-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4105817A (en) Multi-chambered cellular structure
US6335100B1 (en) Structural material and process for its production
JPH057640A (ja) バツト及びその製造方法
JP2003519583A (ja) 引き抜きによる複合材のイン・ライン成形のための方法
US20020009581A1 (en) Epoxy resin composition for a fiber-reinforced composite material, yarn prepreg, and process and apparatus for preparing the same
JP3401310B2 (ja) 繊維予備成形体の製造方法
EP0547330B1 (en) Method for manufacturing product made of fiber-reinforced resin and product manufactured by method
JP3468805B2 (ja) 繊維予備成形体の製造方法
JP2987052B2 (ja) 繊維強化構造材料
JPH01229600A (ja) スピーカー振動板
JP3304135B2 (ja) 繊維強化樹脂製品の製造方法
US4267139A (en) Reinforced plastic belt loop
US6592796B2 (en) Method of manufacturing linear small tubular articles
JPH0818346B2 (ja) 繊維強化樹脂製品とその製造方法
CN113442467B (zh) 纤维强化树脂成型品的制造方法
JPH0839580A (ja) 樹脂製管継手の製造方法
JP2758354B2 (ja) テニスラケットおよび該テニスラケットの製造方法
KR200296491Y1 (ko) 매듭성형 권선기가 형성된 필라멘트 와인딩 장치
EP0231381B1 (en) Structural material and process for its production
JPH0369344A (ja) Frp中空製品の製造方法
JP2667783B2 (ja) テニスラケット
JPH06143273A (ja) 成形材料及びフィラメントワインディング成形品
JP3370153B2 (ja) 繊維強化樹脂製品の製造方法および該製造方法に用いる製造用金型
JP3442645B2 (ja) ラケットフレームの製造方法
JPH10110041A (ja) 繊維強化プラスチック

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030826

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080905

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees