JP3370153B2 - 繊維強化樹脂製品の製造方法および該製造方法に用いる製造用金型 - Google Patents

繊維強化樹脂製品の製造方法および該製造方法に用いる製造用金型

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維強化樹脂製品の製造
方法および該方法に用いる成形用の金型に関し、特に、
強化繊維をキャビティ内に配置した後に未反応のRIM
ナイロン樹脂をキャビティ内に射出して、強化繊維に含
浸させつつ反応を生じさせる反応射出成形法により、繊
維含有率が高く複雑な形状の成形品を製造するために好
適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の繊維強化樹脂製品を反応
射出成形法により製造する方法として、本出願人は、図
3に示すように、製品面を形成する金型1の型面2の少
なくとも一部に可撓性シート3を用い、金型型面により
囲まれるキャビティ4内に強化繊維5を配置した後、上
記可撓性シート3をかぶせて金型1に固定し、可撓性シ
ート3と金型型面2により囲繞されるキャビティを形成
し、可撓性シート3に対して外部より圧力空気を注入口
6より加えて、可撓性シート3を介してキャビティ4の
内部に配置している強化繊維5を加圧し、未反応原料液
をキャビティ内に射出口7より射出して強化繊維中に原
料液を含浸させつつ反応を生じさせる方法を提供してい
る。(特開平3−272820号、特願平3ー2728
92号)
【0003】上記可撓性シート3としては、ナイロン、
セロファン、ゴム、ポリエステル、ポリエーテルケトン
等の可撓性を有するものが用いられており、離型性、重
合性、耐熱性、強度等を考慮して、シリコンゴムが最も
好適に用いられている。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】上記した可撓性シート
を用いた製造方法では、余剰となる樹脂の排出が不十分
で成形品の肉厚、重量のばらつきが非常に大きい問題が
あった。即ち、マトリクス樹脂として反応射出成形する
RIMナイロンやシクロペンタジエンを使用した場合、
その未反応原料液の反応時間が速く、キャビティ内の強
化繊維の量に対して樹脂量が多いままに、即ち、余剰樹
脂が十分に排出されないままに、成形が完了した。その
場合、図4に示すように、型面側に部分的に樹脂のみの
部分Zが生じた状態で成形が完了し、重量や肉厚の不安
定となる欠点があった。特に、重合時間が短い樹脂を用
いた場合に顕著となっている。
【0005】上記問題の解決方法として、可撓性シート
を予め製品形状の内面の形状と対応させた形状にプリフ
ォームしておき、可撓性シートと金型型面との間の隙間
を小さくし、膨張させた可撓性シートによりキャビティ
内部の加圧を迅速に図り、よって、樹脂を射出口より強
化繊維に浸透させながら排出口へとスムーズに流し、余
剰樹脂を十分に排出することが好ましい。
【0006】上記のように、プリフォームされる可撓性
シート3’は、例えば、図5に示すヘルメットを製造す
る場合には、図6に示す形状にプリフォームしておく必
要がある。該可撓性シート3’は、中央部に略半球状の
突出部3a’を有すると共に、その開口端3b’より外
方へシート状態に延在させた金型固定部3c’とを有す
る。
【0007】上記プリフォームされた可撓性シート3’
をシリコンゴムで形成する場合、図7に示すように、シ
ート状のシリコンゴムを分割し、この分割したシリコン
ゴムシート3b”を、模型5の外周面に、シート3b”
の端部を重ねて貼り合わせ、この状態で加硫して、図5
に示すプリフォームされた可撓性シート3’を成形して
いる。
【0008】しかしながら、上記のように、球形面への
シートの貼り合わせは、非常に手数がかかり、プリフォ
ームされた可撓性シート3’を成形するまでに2時間以
上の長時間を要する問題がある。また、上記シートを貼
り合わせた部分の肉厚が大となって、プリフォームされ
た可撓性シートの伸びが不均一なる欠点がある。この伸
びが不均一な可撓性シートを用いて成形すると、成形品
に樹脂リッチの部分と樹脂リーンの部分が存在して、強
化繊維に樹脂が均一に含浸された均質な成形品を得るこ
とが出来ない欠点がある。
【0009】本発明は、上記した問題に鑑みてなされた
もので、容易にプリフォームされると共に肉厚が一定で
伸びが均一となる可撓性シートを備えた金型を提供する
と共に、該可撓性シートを備えた金型による繊維強化樹
脂製品の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、反応射出成形用ナイロン樹脂をマトリク
スとする繊維強化樹脂製品の製造方法として、金型のキ
ャビティ内に型面に沿って強化繊維を配置し、ついで、
製品の内面形状に対応した形状にプリフォームされ、少
なくともキャビティ型面となる表層がアクリルラテック
スからなる可撓性シートを、金型のキャビティの一部を
構成するように金型を取り付け、未反応の反応射出成形
用ナイロン樹脂(RIMナイロン樹脂)をキャビティ内
に射出し、その後、可撓性シートを外部より加圧して、
該可撓性シートを介してキャビティ内のRIMナイロン
樹脂を加圧し、RIMナイロン樹脂を強化繊維に浸透さ
せて反応を発生させて成形する繊維強化樹脂製品の製造
方法を提供するものである。
【0011】上記可撓性シートを介してキャビティ内部
に付加する圧力媒体としては、圧縮空気等の気体あるい
は液体等の等方的な圧力媒体を用いている。また、可撓
性シートを介して付加する圧力は、RIMナイロン樹脂
の射出前および射出時に付加する一次圧力と、RIMナ
イロン樹脂の射出後でRIMナイロン樹脂の固化完了前
まで付加する二次圧力との2段階に分け、二次圧力を一
次圧力およびRIMナイロン樹脂の射出圧力より大きく
設定することが好ましい。特に、上記一次圧力をP1、
二次圧力をP2、RIMナイロン樹脂の射出圧力をQと
すると、下記の3式を全て充足するように設定すること
が好ましい。 P1≦Q、 1.2×P1<P2、 Q<
P2 また、樹脂浸透性を考慮して、強化繊維を配置したキャ
ビティ内を減圧することも有効である。
【0012】本発明は、また、金型のキャビティ内に予
め強化繊維を配置した後に、該キャビティ内にRIMナ
イロン樹脂を射出し、強化繊維に含浸させつつ反応を生
じさせて繊維強化樹脂成形品の製造をするための金型と
して、上記キャビティを金型の型面と該型面内に強化繊
維を配置した後に金型に固定する可撓性シートにより囲
繞して形成し、該可撓性シートを製品の内面形状に対応
した形状にプリフォームしておくと共に少なくともキャ
ビティ型面となる表層をアクリルラテックスで形成し、
かつ、上記可撓性シートを外部より加圧する手段を設け
ていることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の製造用金
型を提供するものである。
【0013】上記プリフォームした可撓性シートは、ア
クリルラテックスの溶融液にプリフォームの模型を浸漬
し、溶融液から引き上げて自然乾燥し、硬化して成形し
ている。可撓性シートとして、上記のように、アクリル
ラテックスを用いているのは、耐熱性に優れると共に、
RIMナイロン樹脂の重合反応を阻害しないためであ
る。よって、必ずしも可撓性シート全体をアクリルラテ
ックスで成形する必要はなく、耐熱性は優れているがR
IMナイロン樹脂の重合反応を阻害する他のラテックス
の表面、即ち、RIMナイロン樹脂と接するキャビティ
型面となる表面にアクリルラテックスを被膜したもので
あれば良い。その場合は、例えば、天然ゴムラテックス
の溶融液に浸漬し、引き上げて自然乾燥した後、アクリ
ルラテックスの溶融液に浸漬し、引き上げて自然乾燥し
ている。
【0014】本発明において、キャビティ内に予め配置
しておく強化繊維は、形態および種類を問わず、連続繊
維、長繊維あるいは短繊維の形態のカーボン繊維、ガラ
ス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、スチール繊
維、アモルファス金属繊維、有機繊維及び/又はそれら
の混合物が好適に用いられる。
【0015】また、本発明に用いられるRIMナイロン
樹脂は、金型内に重合触媒と重合開始剤とを含む溶融し
たラクタム類を注入し、これを加熱によりポリアミド重
合とするモノマーキャスティング法により成形される。
【0016】上記モノマーであるω−ラクムタ類として
は、α−ピロリドン、α−ピペリドン、ω−エナントラ
クタム、ω−カプロラクタム、ω−カプリロラクタム、
ω−ペラルゴノラクタム、ω−デカノラクタム、ω−ウ
ンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム、あるいはこれ
らのc−アルキル置換−ω−ラクムタ、並びにこれらの
二種以上のω−ラクムタの混合物があげられる。また、
ω−ラクムタは必要に応じて改良成分(ソフト成分)を含
むことが出来る。該ソフト成分は分子中に使用する開始
剤と反応する官能基を有し、しかも、Tgの低い化合物
で、通常の官能基を有するポリエーテルや液状ポリブタ
ジエンなどが使用される。
【0017】上記ω−ラクムタ類として使用される市販
の原料としては、宇部興産(株)のUBEナイロン(UX
−21)等がある。これはアルカリ触媒とカプロラクタ
ムからなるA成分と、ソフト成分を含むプレポリマーと
カプロラクタムからなるB成分とから構成されている。
【0018】上記重合触媒としては、水素化ナトリウム
が好ましいが、その他のナトリウム、カリウム、水素化
チリウム等の公知のω−ラクムタの重合触媒を使用する
ことが出来る。その添加量はω−ラクムタに対して0.
1〜0.5モル%の範囲が好ましい。
【0019】また、重合開始剤(活性剤)としては、N−
アセチル−ω−カプロラクタムが用いられるが、その他
のトリアリルイソシアヌレート、N−置換エチレンイミ
ン誘導体、1.1'−カルボニルビスアジリジン、オキサ
ゾリン誘導体、2−(N−フェニルベンズイミドイル)ア
セトアニリド、2−(N−フェニルベンズイミドイル)ア
セトアニリド、2−N−モリホリノ−シクロヘキセン−
1.3−ジカルボキサニリド等や公知のイソシアネー
ト、カルボジイミド等の化合物を用いることが出来る。
上記重合開始剤の添加量はω−ラクタムの量に対して
0.05〜1.0モル%の範囲内にあることが好ましい。
【0020】
【作用】上記した本発明に係る製造方法によれば、RI
Mナイロン樹脂の反応を阻害しないアクリルラテックス
を少なくとも表面に有する可撓性シートを用いて成形し
ているため、該可撓性シートと接する側で固化したナイ
ロンは品質が安定し、製造された製品の性能を向上させ
ることが出来る。また、該可撓性シートを予め製品形状
に対応した形状にプリフォームしているため、加圧によ
り膨張させた時に、迅速にキャビティ内を所要の圧力に
高めることができ、キャビティ内に射出したRIMナイ
ロン樹脂を強化繊維に浸透させながらスムーズに排出口
側へと流すことが出来る。よって、余剰の樹脂を固化す
る前に十分に排出でき、所要の肉厚と重量を備えた成形
品を製造することが出来る。
【0021】また、上記可撓性シートはアクリルラテッ
クスに模型を浸漬した後、引き上げて、自然乾燥するだ
けで成形されるため、従来のシリコンゴムシートを模型
に貼り合わせて形成する場合と比較して短時間に簡単に
設けることが出来る。しかも、成形させた可撓性シート
の肉厚は一定で、加圧して膨張させた時に伸びが一定と
なり、伸びが不均一になった場合に発生する樹脂リッチ
の部分と樹脂リーンの部分が生じる欠点を解消出来る。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明に係る金型を示し、該金型10は、
下型11に上面開口で半球形状に凹設された型面12を
形成している。該下型11の上面には、型面12内に繊
維強化材13を配置した後、可撓性シート14をかぶ
せ、該可撓性シート14の周縁部を下型11の上面に載
置し、押え板16をかぶせて締結具(図示せず)で固定す
るようにしている。即ち、可撓性シート14により通常
の金型上型を構成するようにし、可撓性シート14と下
型型面12とによりキャビティ15を形成している。
【0023】上記金型下型11には、型面12の最下端
位置に開口する未反応原料液の注入口20を設ける一
方、上面に樹脂溜まり部18と、該樹脂溜まり部18に
連通した排出口19を設けている。また、上記押え板1
6には圧縮空気注入口16aを設け、該圧縮空気注入口
16aに圧縮空気供給パイプ17を接続して、可撓性シ
ート14を圧縮空気で加圧出来るようにしている。
【0024】上記可撓性シート14は、前記図6と同一
形状で、下型上面に載置する周縁のシート状の金型固定
部14aと、下型11の半球状の凹部に挿入される中央
部のプリフォーム部14bとを備えている。本実施例で
は、ヘルメットを成形するものであるため、下型11の
型面12は半球形状となっており、その内部に挿入配置
するプリフォーム部14bは型面12と所要間隔Lをあ
けて沿う半球形状の突出部となっている。
【0025】上記可撓性シート14は、図2に示すよう
に、アクリルラテックスの溶液槽20に、図7に示す模
型5を浸漬する。ついで、溶液槽30より引き上げて、
模型の表面に所要厚さで被膜されたアクリルラテックス
を自然乾燥で硬化させ、ゴム膜を成形する。該ゴム膜が
可撓性シート14となる。このように、浸漬方法を用い
ることにより所要の複雑な形状のプリフォーム部14b
を非常に簡単に形成することができる。また、可撓性シ
ートの肉厚を均一として、伸び率を一定とすることがで
きる。尚、上記浸漬方法による場合、プリフォームした
可撓性シート14の成形に要した時間は30分で、前記
したシリコンゴムのシートを貼り合わせる場合の略1/
4時間であった。
【0026】上記した金型を用いて、半球殻形状の成形
品(ヘルメット)を以下の如く成形した。下型の型面12
の円弧面に沿って、ガラス繊維クロス(日東紡製WEA
18K105BZ)を配置した。
【0027】ついで、厚さ1.3mmのアクリルラテック
ス製品の可撓性シート14を押え板16と共に金型下型
11の上面に固定した。上記可撓性シート14を圧縮空
気注入口16aより注入する圧縮空気で2kg/cm2で加圧
し、可撓性シート14のプリフォーム部14bを押圧し
て、型面12に沿って配置した繊維強化材13に押し付
けた。即ち、図1に示すように、金型型面12と可撓性
シート14とにより繊維強化材13を充填した半球殻形
状キャビティ15を形成する。金型を150℃に昇温す
ると共に、排出口19あるいは注入口20を減圧源(図
示せず)に連通して上記キャビティ15内に5mmHgに減
圧した。
【0028】ついで、RIMナイロン(宇部興産製UX
−21)のモノマーを90℃に溶融し、混合撹拌して、
注入口20より射出した。所定量のRIMナイロンを射
出した後、可撓性シート14に二次圧力をかけて加圧
し、余剰樹脂を樹脂溜め18に溜た後、排出口19より
排出した。
【0029】噴射後、2分以内で重合が終了し、可撓性
シート14を取り除いて離型し、ヘルメットからなる成
形品を取り出した。該ヘルメットの重量は710gであ
った。
【0030】上記ヘルメットからなる成形品を切断して
分析したところ、過剰樹脂部分の存在は認められず、厚
みは均一なものとなっていた。
【0031】本発明のアクリルラテックスからなる可撓
性シートと他のゴムラテックスからなる可撓性シートと
を比較する実験を行った。即ち、天然ゴムラテックス、
SBRラテックス、NBRラテックス、クロロプレンゴ
ムラテックス、ウレタンゴムラテックスにより夫々可撓
性シートを形成し、本発明のアクリルラテックス製の可
撓性シートと同様に図1に示す金型に取り付け、前記実
施例と同様にRIMナイロンをマトリクスとする繊維強
化樹脂製のヘルメットを成形した。
【0032】耐熱性およびRIMナイロン樹脂の重合性
に対する影響の点で成形品を測定した。耐熱性の点で
は、天然ゴムラテックス、SBRラテックス、NBRラ
テックスは成形後は元の形状をとどめていなかった。ク
ロロプレンゴムラテックスおよびウレタンゴムラテック
スは繰り返し使用すると5回目から老化して使用できな
くなった。繰り返し使用しても元の形状を保持して使用
できるのはアクリルラテックス製の可撓性シートのみで
あった。即ち、アクリルラテックスの耐熱温度は200
℃であるが、クロロプレンゴムラテックスおよびウレタ
ンゴムラテックスは180℃、天然ゴムラテックス、S
BRラテックスおよびNBRラテックスは100℃であ
るため、上記の結果となった。
【0033】RIMナイロン樹脂の重合性に対しては、
天然ゴムラテックスおよびウレタンゴムラテックス製の
可撓性シートを用いた場合、RIMナイロンが全く重合
せず固化しなかった。NBRラテックスおよびクロロプ
レンゴムラテックスの可撓性シートを用いた場合、RI
Mナイロンは固化するが、可撓性シートと接する表面付
近のRIMナイロン樹脂を削り取ってみたろころ、ピン
セットで容易に崩れる程度であり、重合性が悪かった。
RIMナイロンが重合して確実に固化したのはアクリル
ラテックスおよびSBRラテックスのみであった。
【0034】上記結果をまとめると、下記の表の如くと
なる。尚、表中、Aは良い結果、Cは悪い結果、Bはそ
の中間の評価を示す。
【0035】
【表1】
【0036】上記した結果から、RIMナイロンをマト
リクス樹脂とする場合には、可撓性シートはアクリルラ
テックスから成形するか、あるいは、少なくともRIM
ナイロンと接触する表層をアクリルラテックスとする必
要があることが、確認できた。
【0037】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
に係わるRIMナイロン樹脂をマトリクスとする繊維強
化樹脂製品の製造方法によれば、金型でキャビテイを構
成する上型として使用する可撓性シートをプリフォーム
しているため、加圧して膨張させた時に迅速にキャビテ
イ内部を所要の圧力まで高めることができ、余剰の樹脂
をスムーズに排出口へと流すことができる。よって、余
剰樹脂が溜まった肉厚部分が発生せず、設計通りの製品
を製造できる。
【0038】しかも、可撓性シートを浸漬方法で成形し
ているため、極めて容易に成形できると共に、該可撓性
シートの肉厚を均一とできる。そのため、可撓性シート
を膨張させた時に伸びが均一となり、キャビテイ内部に
均一に加圧して樹脂の浸透性を良好とし、樹脂リッチの
部分と樹脂リーンの部分が生じない均一な製品を製造す
ることができる。
【0039】また、可撓性シートをアクリルラテックス
で形成すると、あるいは少なくともキャビテイ型面側の
表層をアクリルラテックスで被膜しておくと、マトリク
ス樹脂として用いるRIMナイロンの重合を阻害しない
と共に、耐熱性を有するため、長期使用が可能となる利
点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る金型の実施例を示す断面図であ
る。
【図2】 上記金型で用いる可撓性シートの成形方法を
示す概略図である。
【図3】 従来使用されている金型の断面図である。
【図4】 上記金型で成形された製品の欠点を示す断面
図である。
【図5】 上記金型で成形するヘルメットの斜視図であ
る。
【図6】 上記金型で用いている可撓性シートの概略斜
視図である。
【図7】 上記可撓性シートを成形する製作方法を示す
図面である。
【符号の説明】
10 金型 11 下型 12 型面 13 繊維強化材 14 可撓性シート 15 キャビティ 20 注入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29C 45/26 B29C 45/26 70/06 B29K 77:00 // B29K 77:00 105:08 105:08 B29C 67/14 G L (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 70/00 - 70/88 B29C 33/00 - 33/76 B29C 45/00 - 45/84 B29C 39/00 - 39/44 B29C 43/00 - 43/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応射出成形用ナイロン樹脂をマトリク
    スとする繊維強化樹脂製品の製造方法であって、 金型のキャビティ内に型面に沿って強化繊維を配置し、 ついで、製品の内面形状に対応した形状にプリフォーム
    され、少なくともキャビティ型面となる表層がアクリル
    ラテックスからなる可撓性シートを、金型のキャビティ
    の一部を構成するように金型を取り付け、 未反応の反応射出成形用ナイロン樹脂(RIMナイロン
    樹脂)をキャビティ内に射出し、 その後、可撓性シートを外部より加圧して、該可撓性シ
    ートを介してキャビティ内のRIMナイロン樹脂を加圧
    し、RIMナイロン樹脂を強化繊維に浸透させて反応を
    発生させて成形する繊維強化樹脂製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 金型のキャビティ内に予め強化繊維を配
    置した後に、該キャビティ内に未反応のRIMナイロン
    樹脂を射出し、強化繊維に含浸させつつ反応を生じさせ
    て繊維強化樹脂成形品の製造をするための金型におい
    て、 上記キャビティを金型の型面と該型面内に強化繊維を配
    置した後に金型に固定する可撓性シートにより囲繞して
    形成し、該可撓性シートを製品の内面形状に対応した形
    状にプリフォームしておくと共に少なくともキャビティ
    型面となる表層をアクリルラテックスで形成し、かつ、 上記可撓性シートを外部より加圧する手段を設けている
    ことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の製造用金型。
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