JP3467263B2 - ボンド磁石空孔部の封孔処理方法および該方法により封孔処理されたボンド磁石 - Google Patents

ボンド磁石空孔部の封孔処理方法および該方法により封孔処理されたボンド磁石

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はボンド磁石表面の
空孔部に対して有効な封孔処理方法および該方法により
封孔処理されたボンド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】Nd−Fe−B系永久磁石に代表される
R−Fe−B系永久磁石などの希土類系永久磁石は、資
源的に豊富で安価な材料が用いられ、かつ、高い磁気特
性を有していることから、今日様々な分野で使用されて
いる。近年、希土類系永久磁石が使用される電子業界や
家電業界では、部品の小型化やダウンサイジング化が進
み、それに対応して、磁石自体も小型化や複雑形状化の
必要性に迫られている。この観点から、磁性粉と樹脂バ
インダーを主成分とした、形状成形が容易なボンド磁石
が注目され、すでに各種方面で実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】希土類系永久磁石は、
大気中で酸化腐食されやすいRを含む。それ故、表面処
理を行わずに使用した場合には、わずかな酸やアルカリ
や水分などの影響により表面から腐食が進行して錆が発
生し、それに伴って、磁気特性の劣化やばらつきを生じ
るという問題点を有しているので、電気めっき処理など
により磁石表面に耐食性被膜を形成させる必要がある。
しかしながら、例えば、表面に空孔部を有するボンド磁
石に直接電気めっき処理を施した場合、表面洗浄剤やめ
っき液が空孔部に侵入し、それらが残留することによ
り、磁石の腐食を招くことになる。この点を解消すべ
く、磁石表面の空孔部にガラスなどの無機物や樹脂を含
浸させるという封孔処理を行った後、電気めっき処理を
行う方法が提案されている(例えば、特開平7−201
620号公報参照)。しかしながら、封孔処理を行うに
際して、磁石を無機物成分や樹脂成分を含む水溶液に浸
漬したのでは、水分により磁石が腐食する恐れがあるの
で望ましくない。また、磁石を樹脂自体や非水溶媒を用
いた溶解液に浸漬した場合でも、浸漬過程の後に必然的
に硬化過程が必要となるので、生産工程の簡略化の観点
から望ましくない。また、上記の方法では、磁石表面の
空孔部のみに無機物や樹脂を含浸させることは不可能で
あり、磁石表面全体に無機物や樹脂からなる被着層が形
成される。この被着層は液タレなどが原因で均一に形成
されないので、たとえ続く過程において表面平滑化処理
を行ったとしても、磁石の表面精度に悪影響を及ぼし、
優れた寸法精度のめっき被膜を形成させることは困難で
ある。該被着層を除去してもよいが、生産工程の増加を
招いてしまう。また、特開平9−205013号公報に
は、ボンド磁石にブラストメディアと金属粉末を同時に
投射するか、ブラストメディアと金属粉末とボンド磁石
を容器内に入れ、容器全体を回転や振動することで、ボ
ンド磁石表面の空孔部を封孔処理する方法が記載されて
いる。しかしながら、この方法では、金属粉末がいった
ん磁石表面の空孔部に圧入されても、その後の容器内の
収容物との衝突や、容器内壁との衝突により、圧入され
た金属粉末が脱落してしまい、空孔部の封孔が十分にな
されないという問題点がある。さらに、スピンドルモー
ターなどの各種小型モーターや、アクチュエーターに用
いられるサーボモーターなどに利用されているリング状
ボンド磁石については、その外側表面(端面も含む。以
下同じ)の空孔部にはもちろんのこと、内側表面の空孔
部にも十分な封孔処理を施す必要がある。そこで本発明
は、ボンド磁石表面の空孔部に対して選択的に、かつ簡
易で乾式的に行うことができ、優れた封孔効果を発揮
し、ボンド磁石の表面精度に影響を及ぼすことのない封
孔処理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の点に鑑
みてなされたものであり、本発明のボンド磁石空孔部の
封孔処理方法は、請求項1記載の通り、表面に空孔部を
有する成形体としてのボンド磁石その空孔部に圧入固
着させる金属粉末を生成させる長径0.3mm〜10m
mの金属粉末生成物質を処理容器内に収容し、前記処理
容器内にて、収容物に運動エネルギーを供給することに
より、金属粉末生成物質から長径0.1μm〜10μm
の金属粉末を生成させ、生成した金属粉末を空孔部に圧
入固着させることを特徴とする。また、請求項2記載の
封孔処理方法は、請求項1記載の封孔処理方法におい
て、前記金属粉末生成物質が銅粉末を生成させる銅粉末
生成物質であることを特徴とする。また、請求項3記載
の封孔処理方法は、請求項1または2記載の封孔処理方
法において、前記金属粉末生成物質が針状形状および/
または円柱状形状であることを特徴とする。また、請求
項4記載の封孔処理方法は、請求項1乃至3のいずれか
に記載の封孔処理方法において、さらに油脂を処理容器
内に収容することを特徴とする。また、請求項5記載の
封孔処理方法は、請求項4記載の封孔処理方法におい
て、油脂を含有する植物性媒体を用いて油脂を処理容器
内に収容することを特徴とする。また、請求項6記載の
封孔処理方法は、請求項4記載の封孔処理方法におい
て、さらに無機質粉末を処理容器内に収容することを特
徴とする。また、請求項7記載の封孔処理方法は、請求
項6記載の封孔処理方法において、油脂により無機質粉
末をその表面に被着させた植物性媒体を用いて無機質粉
末と油脂を処理容器内に収容することを特徴とする。ま
た、請求項8記載の封孔処理方法は、請求項5または7
記載の封孔処理方法において、前記植物性媒体が植物性
皮屑、おが屑、もみ、ふすま、果実の殻、トウモロコシ
の穂軸から選ばれる少なくとも一つであることを特徴と
する。また、請求項記載の封孔処理方法は、請求項
記載の封孔処理方法において、前記ボンド磁石がリング
状ボンド磁石であることを特徴とする。また、請求項
記載の封孔処理方法は、請求項1乃至9のいずれかに
記載の封孔処理方法において、処理容器内の収容物に振
動および/または攪拌を加えることにより、収容物への
運動エネルギーの供給を行うことを特徴とする。また、
請求項11記載の封孔処理方法は、請求項10記載の封
孔処理方法において、前記処理容器がバレル装置の処理
室であることを特徴とする。また、請求項12記載の封
孔処理方法は、請求項記載の封孔処理方法において、
円筒形処理容器にリング状ボンド磁石を、その中心軸線
方向が円筒形処理容器の中心軸線方向と平行になるよう
に収容し、この円筒形処理容器を、その中心軸線を中心
に回転させることにより、収容物への運動エネルギーの
供給を行うことを特徴とする。また、請求項13記載の
封孔処理方法は、請求項12記載の封孔処理方法におい
て、リング状ボンド磁石の中空部に、その中心軸線方向
と平行になるように、棒状部材を挿通配置することを特
徴とする。また、本発明のボンド磁石は、請求項14
載の通り、請求項1記載の封孔処理方法により封孔処理
されたことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のボンド磁石空孔部の封孔
処理方法は、表面に空孔部を有する成形体としてのボン
ド磁石その空孔部に圧入固着させる金属粉末を生成さ
せる長径0.3mm〜10mmの金属粉末生成物質を処
理容器内に収容し、前記処理容器内にて、収容物に運動
エネルギーを供給することにより、金属粉末生成物質か
ら長径0.1μm〜10μmの金属粉末を生成させ、生
成した金属粉末を空孔部に圧入固着させることを特徴と
するものである。この方法によれば、金属粉末生成物質
は、金属粉末生成物質同士の衝突、成形体との衝突、処
理容器内壁との衝突などにより、金属粉末を生成させる
役割と、生成した金属粉末を空孔部に圧入させるための
メディアとしての役割を果し、これらの役割が相まっ
て、優れた封孔効果を発揮する。
【0006】この発明の封孔処理方法が適用できる表面
に空孔部を有する成形体としては、ボンド磁石の他、ダ
イカスト(die casting)などが挙げられ
る。中でもこの発明の封孔処理方法は、ボンド磁石表面
の空孔部の処理に適している
【0007】ボンド磁石は、磁性粉と樹脂バインダーを
主成分とするものであれば磁気的等方性ボンド磁石であ
っても磁気的異方性ボンド磁石であってもよい。また、
樹脂バインダーにより結合形成されたものの他、金属バ
インダーや無機バインダーなどにより結合成形されたも
のであってもよい。さらに、バインダーにフィラーを含
むものであってもよい。
【0008】希土類系ボンド磁石としては、種々の組成
のものや結晶構造のものが知られているが、これらすべ
てが本発明の対象となる。例えば、特開平9−9251
5号公報に記載されているような異方性R−Fe−B系
ボンド磁石、特開平8−203714号公報に記載され
ているようなソフト磁性相(例えば、α−FeやFe
B)とハード磁性相(NdFe14B)を有するNd
−Fe−B系ナノコンポジット磁石、従来から広く使用
されている液体急冷法により作成された等方性Nd−F
e−B系磁石粉末(例えば、商品名:MQP−B・MQ
I社製)を用いたボンド磁石などが挙げられる。また、
特公平5−82041号公報記載の(Fe1−x
1−y(0.07≦x≦0.3,0.001≦y≦
0.2)で表されるR−Fe−N系ボンド磁石などが挙
げられる。
【0009】本発明の効果は、ボンド磁石を構成する磁
性粉の組成、結晶構造、異方性の有無などにより異なる
ものではない。従って、前述のいずれのボンド磁石にお
いても目的とする効果を得ることができる。
【0010】なお、ボンド磁石を構成する磁性粉は、希
土類系永久磁石合金を溶解し、鋳造後に粉砕する溶解粉
砕法、一度焼結磁石を作成した後、これを粉砕する焼結
体粉砕法、Ca還元にて直接磁性粉を得る直接還元拡散
法、溶解ジェットキャスターで希土類系永久磁石合金の
リボン箔を得、これを粉砕・焼純する急冷合金法、希土
類系永久磁石合金を溶解し、これをアトマイズで粉末化
して熱処理するアトマイズ法、原料金属を粉末化した
後、メカニカルアロイングにて微粉末化して熱処理する
メカニカルアロイ法などの方法で得ることができる。ま
た、R−Fe−N系ボンド磁石を構成する磁性粉は、希
土類系永久磁石合金を粉砕し、これを窒素ガス中または
アンモニアガス中で窒化した後、微粉末化するガス窒化
法などの方法でも得ることができる。以下、R−Fe−
B系ボンド磁石用の磁性粉の製造を例にとって各方法の
概略を説明する。
【0011】(溶解粉砕法)原料を溶解して鋳造後に機
械的粉砕する工程による製造法である。例えば、出発原
料として、電解鉄、Bを含有し残部はFeおよびAl、
Si、Cなどの不純物からなるフェロボロン合金、希土
類金属、あるいはさらに、電解Coを配合した原料粉
を、高周波溶解し、その後水冷銅鋳型に鋳造し、水素吸
蔵粉砕するか、スタンプミルなどの通常の機械的な粉砕
により粗粉砕する。次の微粉砕のプロセスとしては、ボ
ールミル、ジェットミルなどの乾式粉砕ならびに種々の
溶媒を用いる湿式粉砕などが採用できる。本方法によ
り、主相が正方晶で、実質的に単結晶ないし数個の結晶
粒からなる平均粒度1μm〜500μmの微粉末を得る
ことができる。また、所要組成の3μm以下の微粉砕粉
を、磁界中配向成形した後、解砕し、さらに800℃〜
1100℃で熱処理した後、解砕することにより、高保
磁力を有した磁性粉を得ることができる。
【0012】(焼結体粉砕法)所要のR−Fe−B系合
金を焼結し、再度粉砕して磁性粉を得る方法である。例
えば、出発原料として、電解鉄、Bを含有し残部はFe
およびAl、Si、Cなどの不純物からなるフェロボロ
ン合金、希土類金属、あるいはさらに、電解Coを配合
した原料粉を、不活性ガス雰囲気下、高周波溶解などで
合金化し、スタンプミルなどを用いて粗粉砕、さらに、
ボールミルなどにより微粉砕する。得られた微粉末を磁
界下または磁界をかけずに加圧成形し、非酸化性雰囲気
である真空中や不活性ガス中で焼結し、再度粉砕して、
平均粒度0.3μm〜100μmの微粉末を得る。この
後、保磁力を高めるために、500℃〜1000℃で、
熱処理を施してもよい。
【0013】(直接還元拡散法)フェロボロン粉、フェ
ロニッケル粉、コバルト粉、鉄粉、希土類酸化物粉など
からなる少なくとも1種の金属粉および/または酸化物
粉からなる原料粉を所望する原料合金粉末の組成に応じ
て選定し、上記原料粉に、金属CaあるいはCaH
上記希土類酸化物粉の還元に要する化学量論的必要量の
1.1倍〜4.0倍(重量比)混合し、不活性ガス雰囲
気中で900℃〜1200℃に加熱し、得られた反応生
成物を水中に投入して反応副生成物を除去することによ
り、粗粉砕が不要な10μm〜200μmの平均粒度を
有する粉末を得る。得られた粉末は、さらに、ボールミ
ル、ジェットミルなどの乾式粉砕を行い微粉砕するのも
よい。また、所要組成の3μm以下の微粉砕粉を、磁界
中配向成形した後、解砕し、さらに800℃〜1100
℃で熱処理した後、解砕することにより、高保磁力を有
した磁性粉を得ることができる。
【0014】(急冷合金法)所要のR−Fe−B系合金
を溶解し、ジェットキャスターでメルトスピンさせて2
0μm厚み程度のリボン箔を得てこれを粉砕した後、焼
鈍熱処理し、0.5μm以下の微細結晶粒を有する粉末
となす。また、上記のリボン箔から得た微細結晶粒を有
する粉末をホットプレス・温間据え込み加工して、異方
性を付与したバルク磁石を得、これを微粉砕するのもよ
い。
【0015】(アトマイズ法)所要のR−Fe−B系合
金を溶解し、細いノズルより溶湯を落下させ、高速の不
活性ガスまたは液体でアトマイズし、これを篩分けまた
は粉砕後、乾燥または焼鈍熱処理して磁性粉を得る方法
である。また、上記の微細結晶粒を有する粉末をホット
プレス・温間据え込み加工して、異方性を付与したバル
ク磁石を得、これを微粉砕するのもよい。
【0016】(メカニカルアロイ法)所要の原料粉末
を、ボールミル、振動ミル、乾式アトライターなどによ
り、不活性ガス中で、原子レベルで混合、非晶質化し、
その後、焼鈍熱処理して磁性粉を得る方法である。ま
た、上記の微細結晶粒を有する粉末をホットプレス・温
間据え込み加工して、異方性を付与したバルク磁石を
得、これを微粉砕するのもよい。
【0017】また、バルクや磁性粉に対して磁気的異方
性を付与する方法として、急冷合金法により得られた合
金粉をホットプレスなどにより低温で焼結し、さらに温
間据え込み加工により磁気的異方性を付与したバルク状
磁石体を粉砕する温間加工・粉砕法(特公平4−202
42号公報参照)、急冷合金法により得られた合金粉を
そのまま金属製容器に充填封入し、温間圧延などの塑性
加工により磁気的異方性を付与するパック圧延法(特許
第2596835号公報参照)、合金鋳塊を熱間で塑性
加工し、その後に粉砕して磁気的異方性を有する磁性粉
を得るインゴット熱間加工・粉砕法(特公平7−668
92号公報参照)、希土類系永久磁石合金を水素中で加
熱して水素を吸蔵させた後、脱水素処理し、次いで冷却
することにより磁性粉を得るHDDR法(特公平6−8
2575号公報参照)などを採用することができる。な
お、磁気的異方性の付与は、上記の原料合金と異方化手
段の組合せに限られるものではなく、適宜組み合わせる
ことができる。
【0018】上記の方法により得られる磁性粉の組成と
しては、例えば、R:8原子%〜30原子%(但しRは
Yを含む希土類元素の少なくとも1種、望ましくはN
d、Prなどの軽希土類を主体として、あるいはNd、
Prなどとの混合物を用いる)、B:2原子%〜28原
子%(Bの一部をCで置換することもできる)、Fe:
65原子%〜84原子%(Feの一部を、Feの50%
以下のCo、Feの8%以下のNi、のうち少なくとも
1種で置換したものを含む)が挙げられる。
【0019】また、得られるボンド磁石の高保磁力化、
耐食性向上のために、原料粉末に、Cu:3.5原子%
以下、S:2.5原子%以下、Ti:4.5原子%以
下、Si:15原子%以下、V:9.5原子%以下、N
b:12.5原子%以下、Ta:10.5原子%以下、
Cr:8.5原子%以下、Mo:9.5原子%以下、
W:9.5原子%以下、Mn:3.5原子%以下、A
l:9.5原子%以下、Sb:2.5原子%以下、G
e:7原子%以下、Sn:3.5原子%以下、Zr:
5.5原子%以下、Hf:5.5原子%以下、Ca:
8.5原子%以下、Mg:8.5原子%以下、Sr:7
原子%以下、Ba:7原子%以下、Be:7原子%以
下、Ga:10原子%以下、のうち少なくとも1種を添
加含有させることができる。
【0020】Nd−Fe−B系ナノコンポジット磁石用
の磁性粉は、Rが1原子%〜10原子%、Bが5原子%
〜28原子%、残部が実質的にFeからなる範囲で組成
を選定することが望ましい。
【0021】ボンド磁石を製造する際のバインダーとし
て、樹脂バインダーを用いる場合、各成形法に適した樹
脂を用いればよい。例えば、圧縮成形に適した樹脂とし
ては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレ
ートなどが挙げられる。射出成形法に適した樹脂として
は、6ナイロン、12ナイロン、ポリフェニレンスルフ
ィド、ポリブチレンフタレートなどが挙げられる。押し
出し成形法や圧延成形法に適した樹脂としては、ポリ塩
化ビニル、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、塩素化
ポリエチレン、天然ゴム、ハイパロンなどが挙げられ
る。
【0022】ボンド磁石の製造方法は種々知られてお
り、例えば、磁性粉、樹脂バインダー、必要に応じてシ
ラン系やチタン系のカップリング剤、成形を容易にする
潤滑剤、樹脂と無機フィラーの結合剤などを所要の配合
量にて混合し、混練した後、圧縮成形を行い、加熱して
樹脂を硬化させる圧縮成形法の他、射出成形法、押し出
し成形法、圧延成形法などが一般的である。
【0023】金属粉末を生成させる金属粉末生成物質と
しては、具体的には、Cu、Fe、Ni、Co、Cr、
Sn、Zn、Pb、Cd、In、Au、Ag、Alなど
から選ばれる金属粉末を生成させる金属粉末生成物質が
挙げられる。これらの金属粉末生成物質から生成される
金属粉末は、空孔部を封孔した後、酸化などがされてい
ない無垢な金属表面(新鮮表面)が引き起こす特異な表
面化学反応であるメカノケミカル(mechanoch
emical)反応により、磁石表面全体に金属粉末か
らなる(金属粉末を形成源とする)被着層を形成するの
で、磁石表面の封孔処理と導電処理を一度に行うことが
できるという利点を有する。特に、銅粉末は、導電処理
後に行うめっき処理にて形成されるめっき被膜に対し、
導電性や耐食性などの観点から有利であり、また、コス
トの点においても望ましい。
【0024】金属粉末生成物質は、上記の各々単一の金
属成分からなる金属粉末を生成させるものであっても、
二種類以上の金属成分を含む合金からなる金属粉末を生
成させるものであってもよい。また、上記の金属成分を
主成分とし、他の金属成分を含む合金からなる金属粉末
を生成させるものであってもよい。また、工業的生産上
不可避な不純物を含有する金属粉末を生成させるもので
あっても差し支えない。また、異なる金属粉末を生成さ
せる二種類以上の金属粉末生成物質を混合して使用して
もよいことは言うまでもない。
【0025】金属粉末生成物質としては、所望する金属
のみからなる金属片、異種金属からなる芯材に所望する
金属を被覆した複合金属片などが用いられる。これらの
金属片は、針状(ワイヤー状)、円柱状、塊状など様々
な形状を有するが、金属粉末を効率よく生成させるため
などの観点からは、末端が鋭利な針状や円柱状のものを
用いることが望ましい。このような望ましい形状は、公
知のワイヤーカット技術を採用することで容易に得るこ
とができる。
【0026】金属粉末生成物質の大きさ(長径)は、
0.3mm〜10mmである。望ましくは0.3mm〜
5mmであり、より望ましくは0.5mm〜3mmであ
る。このような大きさの金属粉末生成物質は、長径0.
1μm〜10μmの金属粉末を効率よく生成させること
ができるからである。なお、金属粉末生成物質は同一形
状・同一寸法のものを使用してもよいし、異形状・異寸
法のものを混合して使用してもよい。
【0027】処理容器内に収容するボンド磁石と金属粉
末生成物質の総量は、処理容器内容積の10vol%〜
90vol%が望ましい。処理容器内容積の10vol
%未満では、処理量が少なすぎて実用的でないからであ
る。一方、処理容器内容積の90vol%を越えると、
処理容器内での内容物の均一混合攪拌が効率よく起こら
ず、金属粉末生成物質から金属粉末が十分に生成されな
かったり、金属粉末が空孔部に十分に圧入固着されなか
ったりする恐れがあるからである。ボンド磁石に対する
金属粉末生成物質の収容比率は、容積比率(磁石/金属
粉末生成物質)で3以下が望ましい。容積比率が3を越
えると、処理容器内での内容物の均一混合攪拌が効率よ
く起こらず、金属粉末が十分に生成され、金属粉末が空
孔部に十分に圧入固着されるのに時間を要して実用的で
ないことに加え、ボンド磁石同士の衝突が頻繁に起こ
り、磁石の割れや、磁石表面からの磁粉の脱粒などを引
き起こす恐れがあるからである。
【0028】以上のように、本発明のボンド磁石空孔部
の封孔処理方法においては、油脂を処理容器内に収容し
なくても優れた封孔効果を得ることができる。しかしな
がら、空孔部に圧入された金属粉末をより強固に固着さ
せるためには、さらに油脂を処理容器内に収容すること
が望ましい。処理容器内への油脂の収容は、例えば、油
脂を含浸させた植物性媒体を用いて行えばよい。また、
油脂により無機質粉末をその表面に被着させた植物性媒
体を用い、油脂とともに無機質粉末を処理容器内に収容
してもよい。このような植物性媒体は、メディアとして
も機能する点において都合がよい。植物性媒体の収容量
は、処理容器内の収容物の総量として、処理容器内容積
の10vol%〜90vol%になるように収容するこ
とが望ましい。その理由は前述の通りである。また、植
物性媒体と金属粉末生成物質との収容比率は、容積比率
(植物性媒体/金属粉末生成物質)で0.1〜2が望ま
しい。容積比率が0.1未満では、植物性媒体からの無
機質粉末や油脂の供給が十分に行われない恐れがあり、
容積比率が2を越えると、金属粉末生成物質から金属粉
末が十分に生成されなかったりする恐れがあるからであ
る。
【0029】空孔部に圧入された金属粉末を強固に固着
させるための油脂としては、ヘット、ラード、牛脂、羊
脂、鯨油、魚油、肝油、オリーブ油、あまに油、きり油
に代表されるような動植物性油脂などを使用することが
できる。使用する油脂は、油脂により磁石が腐食するこ
とのないように、ハロゲン成分の含有量が2重量%以下
のものを使用することが望ましい。また、油脂に基づく
揮発性成分の発生を防止するために、その沸点は170
℃以上であることが望ましい。また、使用する油脂の融
点を調節するためにカンデリラろう、カルナバろう、ス
テアリン酸などを適宜配合してもよい。
【0030】油脂は、処理容器内にそれ自体を単独で収
容してもよい。しかしながら、植物性媒体が本来的に含
んでいる油脂を利用してもよい。また、別個の油脂を植
物性媒体に含浸させて収容してもよい。さらに、油脂を
本来的に含んでいる植物性媒体に別個の油脂を含浸させ
て収容してもよい。このように植物性媒体を利用して油
脂を供給すれば、植物性媒体がメディアとして機能する
とともに、油脂の供給源としても機能する。植物性皮
屑、おが屑、もみ、ふすま、果実の殻、トウモロコシの
穂軸(corn cob)などが植物性媒体として使用
される。また、このような植物性媒体の表面は油脂によ
る粘着力を有している。従って、この粘着力を利用して
無機質粉末をその表面に被着させた植物性媒体は、メデ
ィアとして機能するとともに、無機質粉末と油脂の供給
源としても機能する。このように無機質粉末や油脂を植
物性媒体に担持させて収容する態様を採用すれば、処理
容器内へのこれらの収容量を、植物性媒体に対する担持
量として設定すればよいことになる。従って、無機質粉
末や油脂を同時にかつ所望する比率で処理容器内に供給
することが可能となり、しかもこれらが処理容器内で容
易に均一分散するように収容することが可能となる点に
おいて都合がよい。油脂を含浸させた植物性媒体は、例
えば、植物性媒体と、植物性媒体に対して1重量%〜5
重量%の油脂を混練することにより調製することができ
る。このような植物性媒体の具体例としては、牛脂を含
浸させたトウモロコシの穂軸が挙げられる。また、油脂
により無機質粉末を表面に被着させた植物性媒体は、例
えば、植物性媒体と、植物性媒体に対して15重量%以
下の無機質粉末と1重量%〜5重量%の油脂を混練する
ことにより調製することができる。このような植物性媒
体の具体例としては、表面に長径0.01μm〜60μ
mの酸化アルミニウムを牛脂により被着させたトウモロ
コシの穂軸が挙げられる。
【0031】上記において使用しうる無機質粉末として
は、例えば、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウムや酸
化マグネシウムなどの金属酸化物の粉末、炭化珪素など
の金属炭化物の粉末、窒化アルミニウムなどの金属窒化
物の粉末、炭窒化アルミニウムチタンや炭窒化アルミニ
ウムや炭窒化珪素などの金属炭窒化物の粉末、金属の粉
末(例えば、Cu、Fe、Ni、Co、Cr、Sn、Z
n、Pb、Cd、In、Au、Ag、Alなどの粉末:
これらの金属成分を含む合金であってもよい)が挙げら
れる。これらの中では、コストなどの観点からは酸化ア
ルミニウム粉末や銅粉末を使用することが望ましい。な
お、無機質粉末は、二種類以上の無機質粉末を混合して
使用してもよいことは言うまでもない。無機質粉末は、
同一形状・同一寸法のものを使用してもよいし、異形状
・異寸法のものを混合して使用してもよいが、その大き
さは長径0.01μm〜60μmが望ましい。
【0032】なお、処理時間は、処理量にも依存する
が、一般的には1時間程度〜10時間程度である。
【0033】本発明において使用しうる処理容器は、処
理容器内にて、収容物に運動エネルギーを供給すること
ができるものであれば特段限定されるものではないが、
処理容器内の収容物に振動および/または攪拌を加える
ことにより、収容物への運動エネルギーの供給を行うこ
とができる処理容器が、処理の効率の観点から望まし
い。このような処理容器としては、例えば、バレル装置
やボールミル装置の処理室などが挙げられる。磁石自体
の強度が高いとはいえないボンド磁石は、磁石への衝撃
が強いと割れや欠けを生じるので、その観点からはバレ
ル装置の処理室を使用することが望ましい。バレル装置
は、回転式をはじめ、振動式や、遠心式など、公知の装
置を用いることができる。回転式の場合、その回転数は
20rpm〜200rpmとすることが望ましい。振動
式の場合、その振動数は50Hz〜100Hz、振動振
幅は1mm〜50mmとすることが望ましい。遠心式の
場合、その回転数は70rpm〜200rpmとするこ
とが望ましい。
【0034】リング状ボンド磁石表面の空孔部の封孔処
理を行う場合、円筒形処理容器にリング状ボンド磁石
を、その中心軸線方向が円筒形処理容器の中心軸線方向
と平行になるように収容し、この円筒形処理容器を、そ
の中心軸線を中心に回転させることにより、収容物への
運動エネルギーの供給を行うことが望ましい。このよう
にすれば、L/D(Lは磁石の中心軸線方向の長さを表
しDは磁石の内径を表す)値が大きいリング状ボンド磁
石であっても、その外側表面の空孔部にはもちろんのこ
と、内側表面の空孔部にも簡易に、しかも十分に封孔処
理を施すことができる。図1にこの方法に使用される装
置の一例を一部透視図として示す。
【0035】図1に示す装置は、円筒形処理容器(以
下、単に容器ともいう)1を、その中心軸線を中心に回
転させるための装置であり、その手段として、2本のロ
ーラー2−a・2−bを、図示されていない回転式ボー
ルミル用装置などを用いて同一方向に回転させる方法を
採用している。また、容器1内の収容物は、リング状ボ
ンド磁石3と、金属粉末生成物質4である。
【0036】容器1は金属製でも樹脂製でもよいが、リ
ング状ボンド磁石表面の空孔部に圧入固着させたい金属
粉末と同一成分からなるものを使用することが望まし
い。容器1の内壁と収容物との衝突により、容器自体か
ら粉末などが発生しても、金属粉末と同一成分ならば、
収容物との関係において不純物とはならないからであ
る。
【0037】容器1へのリング状ボンド磁石3の収容方
法は、図1のように、磁石3の中心軸線方向が容器1の
中心軸線方向と平行になるように収容する。図1ではリ
ング状ボンド磁石3を容器内に1個しか収容していない
が、2個以上並べて収容してもよいことはいうまでもな
い。複数個を並べて収容すれば、その整列効果により、
磁石同士の衝突を抑制し、磁石表面の荒れを防止するこ
とができる他、一定のスペースにおける積載効率の点に
おいて優れた効果を得ることができる。また、直径が異
なる複数個のリング状ボンド磁石を重ねて(即ち、大き
な方の磁石の中空部に小さい方の磁石を入れて)収容し
てもよい。
【0038】容器1へのリング状ボンド磁石3の収容に
際しては、磁石3の中空部に、磁石3の中心軸線方向と
平行になるように、棒状部材5を挿通配置することが望
ましい(図2参照)。この棒状部材の存在により、リン
グ状ボンド磁石の容器内における挙動を沈静化できるの
で、磁石を複数個収容した場合においては、磁石同士の
衝突を抑制し、磁石表面の荒れを防止する効果がある。
また、この棒状部材は、金属粉末を空孔部に圧入させる
ためのメディアとしても機能する点において都合がよ
い。なお、この棒状部材は金属製でも樹脂製でもよい
が、リング状ボンド磁石表面の空孔部に圧入固着させた
い金属粉末と同一成分からなるものを使用することが望
ましい。
【0039】容器1を2本のローラー2−a・2−bに
よりその中心軸線を中心に回転させると(図1矢印参
照)、金属粉末生成物質4はリング状ボンド磁石3に対
して容器の回転方向と同じ方向に流動する。その結果、
金属粉末生成物質4から生成した金属粉末が磁石表面の
空孔部に効率よく圧入され、強固に固着される。とりわ
け、リング状ボンド磁石3の中空部内を流動する金属粉
末生成物質4は、磁石の内側表面に対して流動状態で接
触するので、内側表面の空孔部への金属粉末の圧入固着
に有利に働く。
【0040】容器の回転数は、リング状ボンド磁石表面
の空孔部に対して金属粉末生成物質を効率よく、しかも
均一に流動接触させるという点において、50rpm以
上が望ましい。容器の回転数が速くなるにつれて、リン
グ状ボンド磁石の中空部内に位置する金属粉末生成物質
は、効率よく磁石の内側表面に対して流動状態で接触す
るようになるので、内側表面の空孔部への金属粉末の圧
入固着に有利に働く。しかしながら、過度の回転を容器
に加えると、磁石と容器内面や収容物との激しい衝突が
起こり、磁性粉が脱粒したり、圧入固着された金属粉末
が脱落したりする恐れがある。従って、容器の回転数は
300rpm以下が望ましい。
【0041】本発明のボンド磁石空孔部の封孔処理方法
により表面の空孔部が封孔処理されたボンド磁石に対し
ては、後の工程において、優れた寸法精度の耐食性被膜
を形成することができる。耐食性被膜の形成方法は特段
限定されるものではなく、自体公知の電気めっき処理法
などを採用することができる。代表的な電気めっき処理
法としては、例えば、Ni、Cu、Sn、Co、Zn、
Cr、Ag、Au、Pb、Ptなどから選ばれた少なく
とも一種の金属または金属の合金(B、S、Pを含有し
ていてもよい)を用いためっき法などが挙げられる。め
っき厚は、50μm以下、望ましくは10μm〜30μ
mである。
【0042】電気Niめっき処理を行う場合、洗浄、電
解Niめっき、洗浄、乾燥の工程で行うことが望まし
い。めっき浴槽は磁石の形状に応じて種々の浴槽が使用
でき、例えば、リング形状のボンド磁石の場合には、ひ
っかけめっき処理用浴槽やバレルめっき処理用浴槽を用
いることが望ましい。めっき浴としては、ワット浴、ス
ルファミン酸浴、ウッド浴などの公知のめっき浴を使用
すればよい。陽極には電解Ni板を用いるが、Niの溶
出を安定させるために、電解Ni板としてSを含有した
エストランドニッケルチップを使用するのが望ましい。
以下、本発明の詳細を具体的実施例に基づき説明する。
【0043】
【実施例】参考例1: (工程A)急冷合金法で作製した、Nd:12原子%、
Fe:77原子%、B:6原子%、Co:5原子%の組
成からなる平均長径150μmの合金粉末にエポキシ樹
脂を2wt%加えて混練し、686N/mmの圧力で
圧縮成形した後、150℃で1時間キュアし、外径20
mm×内径18mm×長さ3mmのリング状ボンド磁石
を作製した。得られたリング状ボンド磁石(素材上が
り)の特性は、Br:0.67T、(BH)max:7
0.8kJ/m、HcJ:711kA/mであった。 (工程B)工程Aで得られたリング状ボンド磁石100
個(見かけ容積0.3リットル、重量130g)と、見
かけ容積8リットルのセラミックスメディア(酸化アル
ミニウムを主成分とする砥粒を焼結して長径5mm〜7
mmの粒状に固めて作製:真比重2.9〜3.1g/c
)と、見かけ容積8リットルの酸化アルミニウム粉
末を牛脂により表面に被着させたトウモロコシの穂軸
(長径1mm〜2mmのトウモロコシの穂軸に対して1
0重量%の酸化アルミニウム#800(長径20μm以
下)と3重量%の牛脂を混練して作製)を容積20リッ
トルの振動バレル装置の処理室に収容し(合計収容量は
処理室内容積の82vol%)、振動数60Hz、振動
振幅20mmの条件にて乾式的に処理を2時間行った。
その結果、磁石表面の空孔部に酸化アルミニウム粉末が
圧入固着されたリング状ボンド磁石が得られた。電子顕
微鏡による表面観察から、空孔部に圧入固着されている
酸化アルミニウム粉末の多くは、長径5μm程度のもの
であることがわかった。このようにして封孔処理された
リング状ボンド磁石を、油の中に入れ、真空(0.1T
orr以下)下で10分間吸引を行った。この操作によ
る磁石の重量変化から算定される含油量から空孔率を測
定したところ、0.8%であり、空孔部が極めて効果的
に封孔されたことがわかった(無処理のリング状ボンド
磁石の空孔率は9.8%)。
【0044】実施例1:参考例1の工程Aと同様の方法
で作製されたリング状ボンド磁石を用い、参考例1の工
程Bにおいて、見かけ容積8リットルのセラミックスメ
ディアと、見かけ容積8リットルの酸化アルミニウム粉
末を牛脂により表面に被着させたトウモロコシの穂軸を
収容した代わりに、見かけ容積8リットルの直径0.6
mm×長さ0.6mmの短円柱状銅粉末生成物質(ワイ
ヤーをカットしたもの)と、見かけ容量8リットルの牛
脂を含浸させたトウモロコシの穂軸(長径1mm〜2m
mのトウモロコシの穂軸に対して1.4重量%の牛脂を
混練して作製)を収容したこと以外は参考例1の工程B
と同様に処理を行った。その結果、空孔部に短円柱状銅
粉末生成物質から生成された銅粉末が圧入固着されると
ともに、磁石表面全体に銅粉末からなる(銅粉末を形成
源とする)被着層を有するリング状ボンド磁石を得た。
電子顕微鏡による破断面観察から、空孔部に圧入固着さ
れている銅粉末の多くは、長径1μm〜2μm程度のも
のであることがわかった。
【0045】実施例2:参考例1の工程Aと同様の方法
で作製されたリング状ボンド磁石を用い、参考例1の工
程Bにおいて、見かけ容積8リットルのセラミックスメ
ディアと、見かけ容積8リットルの酸化アルミニウム粉
末を牛脂により表面に被着させたトウモロコシの穂軸を
収容した代わりに、見かけ容積16リットルの直径0.
6mm×長さ0.6mmの短円柱状銅粉末生成物質(ワ
イヤーをカットしたもの)を収容したこと以外は参考例
1の工程Bと同様に処理を行った。その結果、空孔部に
短円柱状銅粉末生成物質から生成された銅粉末が圧入固
着されるとともに、磁石表面全体に銅粉末からなる(銅
粉末を形成源とする)被着層を有するリング状ボンド磁
石を得た。電子顕微鏡による破断面観察から、空孔部に
圧入固着されている銅粉末の多くは、長径1μm〜2μ
m程度のものであることがわかった。
【0046】参考例2:容積40ミリリットルの銅製円
筒形容器(内径32mm×長さ50mm)に、参考例1
の工程Aと同様の方法で作製されたリング状ボンド磁石
14個(重量18g)を、その中心軸線方向が円筒形容
器の中心軸線方向に平行になるように収容した。また、
磁石の中空部に銅製パイプ(直径8mm×長さ45m
m)を挿通配置した。さらに、セラミックスメディア
(酸化アルミニウムを主成分とする砥粒を焼結して長径
5mm〜7mmの粒状に固めて作製:真比重2.9〜
3.1g/cm)と、酸化アルミニウム粉末を牛脂に
より表面に被着させたトウモロコシの穂軸(長径1mm
〜2mmのトウモロコシの穂軸に対して10重量%の酸
化アルミニウム#800(長径20μm以下)と3重量
%の牛脂を混練して作製)を、容積比1:1で配合した
ものを容器内容積の30vol%収容した(リング状ボ
ンド磁石を含めた合計収容量は容器内容積の36vol
%)。回転式ボールミル装置を用い、この円筒形容器を
150rpmでその中心軸線を中心に2時間回転させ
た。その結果、空孔部に酸化アルミニウム粉末が圧入固
着されたリング状ボンド磁石が得られた。電子顕微鏡に
よる表面観察から、空孔部に圧入固着されている酸化ア
ルミニウム粉末の多くは、長径5μm程度のものである
ことがわかった。
【0047】実施例3:参考例1の工程Aと同様の方法
で作製されたリング状ボンド磁石を用い、参考例2のセ
ラミックスメディアを、直径0.6mm×長さ0.6m
mの短円柱状銅粉末生成物質(ワイヤーをカットしたも
の)に代えたこと以外は参考例2と同様に処理を行い、
空孔部に短円柱状銅粉末生成物質から生成された銅粉末
と酸化アルミニウム粉末が圧入固着されたリング状ボン
ド磁石を得た。電子顕微鏡による表面観察から、空孔部
に圧入固着されている銅粉末の多くは、長径1μm〜2
μm程度のものであり、酸化アルミニウム粉末の多く
は、長径5μm程度のものであることがわかった。
【0048】実施例4:参考例1の工程Aと同様の方法
で作製されたリング状ボンド磁石を用い、参考例2にお
いて、セラミックスメディアと、酸化アルミニウム粉末
を牛脂により表面に被着させたトウモロコシの穂軸を、
容積比1:1で配合したものを容器内容積の30vol
%収容した代わりに、直径0.6mm×長さ0.6mm
の短円柱状銅粉末生成物質(ワイヤーをカットしたも
の)と、牛脂を含浸させたトウモロコシの穂軸(長径1
mm〜2mmのトウモロコシの穂軸に対して1.4重量
%の牛脂を混練して作製)を、容積比1:1で配合した
ものを容器内容積の30vol%収容し、処理時間を4
時間としたこと以外は参考例2と同様に処理を行い、空
孔部に短円柱状銅粉末生成物質から生成された銅粉末が
圧入固着されるとともに、磁石表面全体に銅粉末からな
る(銅粉末を形成源とする)被着層を有するリング状ボ
ンド磁石を得た。電子顕微鏡による破断面観察から、空
孔部に圧入固着されている銅粉末の多くは、長径1μm
〜2μm程度のものであることがわかった。
【0049】実施例5:参考例1の工程Aと同様の方法
で作製されたリング状ボンド磁石を用い、参考例2にお
いて、セラミックスメディアと、酸化アルミニウム粉末
を牛脂により表面に被着させたトウモロコシの穂軸を、
容積比1:1で配合したものを容器内容積の30vol
%収容した代わりに、直径0.6mm×長さ0.6mm
の短円柱状銅粉末生成物質(ワイヤーをカットしたも
の)を容器内容積の30vol%収容したこと以外は参
考例2と同様に処理を行い、空孔部に短円柱状銅粉末生
成物質から生成された銅粉末が圧入固着されるととも
に、磁石表面全体に銅粉末からなる(銅粉末を形成源と
する)被着層を有するリング状ボンド磁石を得た。電子
顕微鏡による破断面観察から、空孔部に圧入固着されて
いる銅粉末の多くは、長径1μm〜2μm程度のもので
あることがわかった。
【0050】
【発明の効果】表面に空孔部を有する成形体としてのボ
ンド磁石その空孔部に圧入固着させる金属粉末を生成
させる長径0.3mm〜10mmの金属粉末生成物質を
処理容器内に収容し、前記処理容器内にて、収容物に運
動エネルギーを供給することにより、金属粉末生成物質
から長径0.1μm〜10μmの金属粉末を生成させ、
生成した金属粉末を空孔部に圧入固着させることを特徴
とする本発明のボンド磁石空孔部の封孔処理方法によれ
ば、金属粉末生成物質は、金属粉末生成物質同士の衝
突、成形体との衝突、処理容器内壁との衝突などによ
り、金属粉末を生成させる役割と、生成した金属粉末を
空孔部に圧入させるためのメディアとしての役割を果
し、これらの役割が相まって、優れた封孔効果を発揮す
る。従って、ボンド磁石表面の空孔部に対して選択的
に、かつ簡易で乾式的に、優れた封孔効果を発揮する処
理が可能となり、ボンド磁石の表面精度に影響を及ぼさ
ず、後の工程で優れた寸法精度のめっき被膜などの耐食
性被膜を形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の表面処理方法に使用される装置の一
例の一部透視図。
【図2】 本発明の被処理物への棒状部材の配置方法を
示す図。
【符号の説明】
1 処理容器 2−a、2−b ローラー 3 リング状ボンド磁石 4 金属粉末生成物質 5 棒状部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 正宏 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社 山崎製作所内 (72)発明者 磯崎 貴裕 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社 山崎製作所内 (56)参考文献 特開 平9−205013(JP,A) 特開 平7−161516(JP,A) 特開 平5−138525(JP,A) 特開 平11−3811(JP,A) 特開 平7−118706(JP,A) 特開 平7−90311(JP,A) 特開 平6−314607(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/08 B22F 3/00 B22F 9/04

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に空孔部を有する成形体としてのボ
    ンド磁石その空孔部に圧入固着させる金属粉末を生成
    させる長径0.3mm〜10mmの金属粉末生成物質を
    処理容器内に収容し、前記処理容器内にて、収容物に運
    動エネルギーを供給することにより、金属粉末生成物質
    から長径0.1μm〜10μmの金属粉末を生成させ、
    生成した金属粉末を空孔部に圧入固着させることを特徴
    とするボンド磁石空孔部の封孔処理方法。
  2. 【請求項2】 前記金属粉末生成物質が銅粉末を生成さ
    せる銅粉末生成物質であることを特徴とする請求項1記
    載の封孔処理方法。
  3. 【請求項3】 前記金属粉末生成物質が針状形状および
    /または円柱状形状であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の封孔処理方法。
  4. 【請求項4】 さらに油脂を処理容器内に収容すること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の封孔処
    理方法。
  5. 【請求項5】 油脂を含有する植物性媒体を用いて油脂
    を処理容器内に収容することを特徴とする請求項4記載
    の封孔処理方法。
  6. 【請求項6】 さらに無機質粉末を処理容器内に収容す
    ることを特徴とする請求項4記載の封孔処理方法。
  7. 【請求項7】 油脂により無機質粉末をその表面に被着
    させた植物性媒体を用いて無機質粉末と油脂を処理容器
    内に収容することを特徴とする請求項6記載の封孔処理
    方法。
  8. 【請求項8】 前記植物性媒体が植物性皮屑、おが屑、
    もみ、ふすま、果実の殻、トウモロコシの穂軸から選ば
    れる少なくとも一つであることを特徴とする請求項5ま
    たは7記載の封孔処理方法。
  9. 【請求項9】 前記ボンド磁石がリング状ボンド磁石で
    あることを特徴とする請求項記載の封孔処理方法。
  10. 【請求項10】 処理容器内の収容物に振動および/ま
    たは攪拌を加えることにより、収容物への運動エネルギ
    ーの供給を行うことを特徴とする請求項1乃至9のいず
    れかに記載の封孔処理方法。
  11. 【請求項11】 前記処理容器がバレル装置の処理室で
    あることを特徴とする請求項10記載の封孔処理方法。
  12. 【請求項12】 円筒形処理容器にリング状ボンド磁石
    を、その中心軸線方向が円筒形処理容器の中心軸線方向
    と平行になるように収容し、この円筒形処理容器を、そ
    の中心軸線を中心に回転させることにより、収容物への
    運動エネルギーの供給を行うことを特徴とする請求項
    記載の封孔処理方法。
  13. 【請求項13】 リング状ボンド磁石の中空部に、その
    中心軸線方向と平行になるように、棒状部材を挿通配置
    することを特徴とする請求項12記載の封孔処理方法。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の封孔処理方法により封
    孔処理されたことを特徴とするボンド磁石。
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