JP3466559B2 - 上撚マルチフィラメント糸条の毛羽加工方法 - Google Patents

上撚マルチフィラメント糸条の毛羽加工方法

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JP3466559B2 JP2000353937A JP2000353937A JP3466559B2 JP 3466559 B2 JP3466559 B2 JP 3466559B2 JP 2000353937 A JP2000353937 A JP 2000353937A JP 2000353937 A JP2000353937 A JP 2000353937A JP 3466559 B2 JP3466559 B2 JP 3466559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、下撚が施された複数本
の下撚マルチフィラメント糸条を合糸して実撚りを加え
た後、毛羽加工を施す上撚マルチフィラメント糸条の毛
羽加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スパンライク糸等として使用される毛羽
糸は、実撚りの下撚が施された複数本の下撚マルチフィ
ラメント糸条(一般的には2本又は3本)を合糸して実
撚り(この段階の撚りを「上撚」と言う)を加えたもの
で、各下撚マルチフィラメント糸条の構成フィラメント
単糸の一部が切断された糸で、この切断端が糸の表面に
突出して毛羽立たせた状態を生じさせる。ここで、「各
下撚マルチフィラメント糸条」は、多数本の構成フィラ
メント単糸に実撚り(この段階の撚りを「下撚」又は
「先撚り」と言う)を加えたものである。また、「合糸
して実撚り(この段階の撚りを「上撚」と言う)を加え
た」とは、上撚数が下撚数の約60〜100%と言わ
れ、これが通常の上撚数を入れた糸と言われている。
【0003】このような毛羽糸を製造する方法には、従
来、大別して次の2通りのものがあった。第1の毛羽糸
製造方法は、下撚マルチフィラメント糸条をガイドに巻
きかけて往復状態にし、この往路側と復路側とを交錯さ
せつつ一方側を強く引き出すようにすることで、上記交
錯部分で捩りと扱きを同時に与えて毛羽を発生させてお
き、その後、このように毛羽加工済みの下撚マルチフィ
ラメント糸条を複数本合糸したうえで、これら全体に上
撚(実撚り)を加えるというものである。
【0004】第2の毛羽糸製造方法は、摩擦仮撚用のデ
ィスクと粗面(研磨)ディスクとが回転軸に串刺し状に
設けられた回転具を、例えば3本、互いの軸方向を平行
させ且つ各隣接するディスク相互を軸方向で噛み合わせ
状に配置して寄せ集めると共に、これら回転具の寄せ集
め中心へ1本の下撚マルチフィラメント糸条を通過させ
各ディスクの外周端に接触する状態にし、そのうえで全
回転具の回転と下撚マルチフィラメント糸条の糸送りと
を行って、毛羽加工と仮撚りとを同時に加えるというも
のである。
【0005】なお、第1の毛羽糸製造方法は、例えば特
許第2973828号公報、特開平2−216233号
公報、特公平7−103501号公報、特開平8−33
7937号公報、特開平10−102341号公報、特
開平10−110343号公報、特許第2621973
号公報などに記載されている。第2の毛羽糸製造方法
は、特開平4−240237号公報、特開平5−518
34号公報、特開平8−158187号公報(以上は、
主として下撚の方向と仮撚りの方向とを逆にすべく規定
したもの)、実公昭58−46129号公報、特公昭6
2−6010号公報(以上は、主として摩擦仮撚用のデ
ィスクと粗面ディスクとの配置や形状等を規定したも
の)などに記載されている。
【0006】上記した第1の毛羽糸製造方法では、下撚
マルチフィラメント糸条同士を強く擦過させる必要があ
ることから、下撚マルチフィラメント糸条に強い張力を
与えなければならず、これを原因とした、下撚マルチフ
ィラメント糸条自体の糸切れが生じ易いと言うことがあ
った。そして、この強い張力により、各下撚マルチフィ
ラメント糸条の構成フィラメント単糸も同時に強いスト
レスやダメージを受けて、毛羽加工後における下撚マル
チフィラメント糸条の強力の減少が大きいということが
あった。すなわち、歩留まり性に劣り、このことが毛羽
糸の製造コストを高めると共に、毛羽糸強力の大幅な低
下に繋がっていた。
【0007】一方、上記した第2の毛羽糸製造方法で
は、粗面ディスクを下撚マルチフィラメント糸条に強く
押し付けることになるので、やはり下撚マルチフィラメ
ント糸条にはこれに耐え得るだけの強い張力を与えなけ
ればならず、これによって下撚マルチフィラメント糸条
自体に糸切れが生じ易く、毛羽加工後における強力の減
少が大きいということがあった。
【0008】すなわち、この第2の毛羽糸製造方法もま
た、歩留まり性に劣り、このことが毛羽糸の製造コスト
を高めると共に、毛羽糸強力の大幅な低下に繋がってい
た。また、下撚マルチフィラメント糸条の研磨を確実に
行って十分な毛羽立ちをさせるために、下撚マルチフィ
ラメント糸条の送り速度を高めることができないという
ことがあり、このためそれだけ毛羽糸の生産性が低いと
いうこともあった。更に、この第2の毛羽糸製造方法で
は、製造された毛羽糸としての品質にもバラツキ(研磨
ムラ)が発生し易いということがあった。また、絶えず
ディスクの摩耗劣化が起こっているため、経時的にみ
て、品質的に安定した毛羽糸が得られにくいという課題
があった。
【0009】そこで、本願出願人は、図10(a)に示
すように、特願2000−174093号として「毛羽
糸の毛羽加工方法及び毛羽加工装置」に関する特許出願
を既に行っている。この特許出願の内容は、複数本の下
撚マルチフィラメント糸条(X,Y,Z)を引き揃えた
状態とし、これら全体を回動する摩擦仮撚体21に接触
させることで回転運動を生起させて仮撚りを加えると共
に、個々の下撚マルチフィラメント糸条(X,Y,Z)
自体にも自転状の回転運動を生起させることにより、上
記下撚マルチフィラメント糸条(X,Y,Z)を相互に
擦過させ、それらの構成フィラメント単糸の一部を切断
し、この切断により毛羽を形成させて毛羽糸(W)を製
造する。
【0010】この毛羽糸の毛羽加工方法によれば、複数
本の下撚マルチフィラメント糸条(X,Y,Z…)に対
して、その全体に回転運動を生起させて仮撚りを加える
と共に、個々の下撚マルチフィラメント糸条(X,Y,
Z…)自体にも自転状の回転運動を生起させるという、
同時に二重の撚りを加えることで、低張力下での、各下
撚マルチフィラメント糸条(X,Y,Z…)の擦過でそ
の構成フィラメント単糸に適度な糸切れ、即ち、毛羽を
生じさせることができるので、製造コストの低廉化と生
産性の向上とを図りつつ、十分な毛羽立ちであって、且
つ毛羽加工後における強力低下少ない毛羽糸を製造する
ことが可能となる。このように得られた毛羽糸Wは、そ
のまま巻き取れば毛羽合糸となり、1本1本ほぐして巻
き取れば毛羽単糸として使用できる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の毛羽
糸の製造方法は、いずれも十分な毛羽立ちで毛羽数を多
く生じさせることを主眼とする。勿論、毛羽数を多く生
じさせることは重要であるが、この点のみならず毛羽糸
の製造方法には種々の重要な要素がある。その一つは、
その使用目的に応じて、所望の毛羽数や毛羽長の毛羽糸
を製造することである。そして、その使用目的に応じ
て、毛羽数や毛羽長を段階的に調整できれば、毛羽加工
の加工状態の種々異なる上撚マルチフィラメント糸条を
製造でき、スパンライク糸等として使用される毛羽糸の
汎用性が高められる。
【0012】ここで、スパンライク糸等として使用され
る毛羽糸の通常の上撚数は、上撚数が下撚数の約60〜
100%と通常は言われるが、製造メーカー各社でも相
違する。このように、複数本の下撚マルチフィラメント
糸条に上撚を加える数は、必ずしも定まったものではな
く、むしろ、今日の使用目的の多様化の下では、上記通
常の上撚数を加えた糸よりも少ない上撚りでも使用され
る可能性が広まっている。糸の撚りや毛羽立ちは、糸自
体の外観や強さ、見かけの太さ、含気率、光沢、手触り
などの性質に影響を及ぼすだけではなく、糸によって作
られる織物や編み物の性質とも大きな関わりをもってい
る。
【0013】そこで、本発明の目的は、複数本の下撚マ
ルチフィラメント糸条を摩擦仮撚体に接触させることに
よる仮撚りを加える際の毛羽加工の理論的解明をするこ
とを前提に、複数本の下撚マルチフィラメント糸条の相
互に毛羽数を多くしたり少なくしたり、毛羽長の長いも
の発生させたり短いものを発生させたり、その使用目的
に合わせて毛羽数や毛羽長の異なる毛羽糸を段階的に製
造することができる上撚マルチフィラメント糸条の毛羽
加工方法を提供することにある。また、本願発明の前提
となる先の特願2000−174093号の発明よりも
毛羽数の発生数の極めて高い毛羽数を発生させることが
でき、しかもトルクが少なく取り扱い易い上撚マルチフ
ィラメント糸条の毛羽加工方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、特願20
00−174093号の発明を完成させた後も、複数本
の下撚マルチフィラメント糸条に対してこれら全体のみ
ならず個々の下撚マルチフィラメント糸条自体にも十分
な毛羽の発生を施す研究を重ね、本発明を完成するに至
った。その研究のなかで本願発明を完成させる契機とな
った研究が、下撚マルチフィラメント糸条を複数本使用
して、これら複数本に対して上撚数が下撚数の約60〜
100%の上撚数と言われる通常の上撚数の上撚マルチ
フィラメント糸条に直接毛羽を発生させる研究である。
この研究では、結局、通常の上撚数を加えて摩擦仮撚体
に接触させることで仮撚りを加えようとしても、擦った
跡は糸に残るが、毛羽はほとんど発生せず、わずかに発
生したとしても極端に短い毛羽しか発生しないことが分
かった。しかし、この教訓と特願2000−17409
3号の発明から次の発明を完成するに至った。
【0015】本発明の請求項1記載の上撚マルチフィラ
メント糸条は、多数本の構成フィラメント単糸に実撚り
を加えた下撚マルチフィラメント糸条を複数本使用し
て、これら複数本の下撚マルチフィラメント糸条を引き
揃えた後、所定回数の上撚を加えた状態で、これら全体
を回動する摩擦仮撚体に接触させることで回転運動を生
起させて仮撚りを加えると共に、個々の下撚マルチフィ
ラメント糸条自体にも自転状の回転運動を生起させるこ
とにより、上記下撚マルチフィラメント糸条を相互に擦
過させ、それらの構成フィラメント単糸の一部を切断
し、この切断により毛羽を形成させることを特徴とす
る。
【0016】なお、本発明の上撚マルチフィラメント糸
条の毛羽加工方法に使用する毛羽加工装置は、引き揃え
状態にした後所定回数の上撚り加えた複数本の下撚マル
チフィラメント糸条に当接しつつ回転してその全体に仮
撚りと個別の自転状撚りとを同時に生起させる摩擦仮撚
体を具備する。
【0017】本発明では、特願2000−174093
号の発明と同様、まず、複数本の下撚マルチフィラメン
ト糸条を引き揃え状態にするが、これと同時に更に、こ
れら複数本に所定回数の上撚を加えた状態にする。そし
て、これら複数本の下撚マルチフィラメント糸条を引き
揃えた後、所定回数の上撚を加えた状態で、これら全体
を回動する摩擦仮撚体に接触させることで回転運動を生
起させて仮撚りを加えると共に、この仮撚りと同時に、
個々の下撚マルチフィラメント糸条自体にも自転状の回
転運動を生起させる。
【0018】これを2本の下撚マルチフィラメント糸条
を給糸する場合について説明する(後述の図5,図6及
び図8参照)。各下撚マルチフィラメント糸条X,Y
は、摩擦仮撚体21に当接することによる摩擦力によっ
て自転状の回転運動をしながら、2本全体としても回転
運動を行う。したがって、自転状の回転運動をする各下
撚マルチフィラメント糸条X,Yが互いに擦過すること
により、構成フィラメント単糸の一部が切断されて毛羽
を形成させる。この場合、各下撚マルチフィラメント糸
条X,Yは実撚の下撚が加えられていることによる束縛
により、2本としての挙動を行うことになる。すなわ
ち、もし各下撚マルチフィラメント糸条X,Yに実撚の
下撚が加えられていなければ、構成フィラメント単糸が
混在した1本としての回転運動を生起するだけであるか
ら、ここにおいて毛羽は発生しないことになる。
【0019】「所定回数の上撚」とは、複数本の下撚マ
ルチフィラメント糸条を引き揃えた状態において上撚を
加えることを言い、下撚数に対する上撚数の比で表わす
と、0%よりも大きな上撚であれば良い。また、その方
向は、下撚と反対方向でも下撚と同一方向でも良い。な
お、上撚数が下撚数の0%とは、つまり無撚りであり、
特願2000−174093号の発明である。他方、ス
パンライク糸等として使用される毛羽糸の通常の上撚数
は、下撚の反対方向で下撚数の約60〜100%と通常
は言われるが、製造メーカー各社でも相違する。そし
て、下撚数に対する上撚数の比を0%よりも大きな範囲
で変えることにより毛羽数や毛羽長の異なる毛羽糸を段
階的に製造することができる。概略的には、下撚数に対
する上撚数の比が大きければ、毛羽数が少なく毛羽長が
短くなり、他方、下撚数に対する上撚数の比が小さけれ
ば、毛羽数が多く毛羽長が長くなる。したがって、その
目的とする用途に合わせて毛羽数や毛羽長の異なる毛羽
糸を段階的に製造することができる。なお、この発明の
毛羽加工方法は、複数本の下撚マルチフィラメント糸条
を合糸して実撚りを加えてスパンライク糸等として使用
する上撚工程の一環としても製造することができる。
【0020】本発明の請求項2記載の上撚マルチフィラ
メント糸条の毛羽加工方法は、前記所定回数の上撚は、
下撚と反対方向では、下撚数の40%以下で0%よりも
大きい上撚数の上撚であることを特徴とする。また、本
発明の請求項3記載の上撚マルチフィラメント糸条の毛
羽加工方法は、前記所定回数の上撚は、下撚と同一方向
では、下撚数の12%以下で0%よりも大きい上撚数の
上撚であることを特徴とする。
【0021】この請求項2又は請求項3記載の発明によ
れば、図12、図13に示すように、下撚と反対方向で
は、下撚数の40%以下で0%よりも大きい上撚数の上
撚であることにより、また、下撚と同一方向では、下撚
数の12%以下で0%よりも大きい上撚数の上撚である
ことにより、上撚数が下撚数の0%である特願2000
−174093号の発明と同程度か或いはそれ以上の毛
羽数を発生させることができることが実験より明らかに
なった。しかも、上記範囲の上撚数を入れた上撚マルチ
フィラメント糸条は、特願2000−174093号の
発明よりも、トルク(解撚して元の状態に戻ろうとする
力であり、糸が部分的に縮まるような状態になる)が少
なく、複数本の下撚マルチフィラメント糸条相互の拘束
力が強いために、複数本の下撚りマルチフィラメント糸
条各々が分かれることもないので取り扱い易い利点を有
する。
【0022】本発明の請求項4記載の毛羽糸の毛羽加工
方法は、前記所定回数の上撚は、下撚と反対方向では、
下撚数の15%以下で0%よりも大きい上撚数の上撚で
あることを特徴とする。
【0023】本発明によれば、下撚数の15%以下で0
%よりも大きい上撚数の上撚であることにより、上撚数
が下撚数の0%である特願2000−174093号の
発明からは予想を遙かに超える毛羽数を発生させること
ができる。特願2000−174093号の発明は、低
張力下で毛羽を生じさせることができ、製造コストの低
廉化と生産性の向上とを図りつつ、十分な毛羽立ちであ
って、且つ毛羽加工後における強力低下少ない毛羽糸を
製造することが可能であるが、本発明との比較では、個
々の下撚マルチフィラメント糸条は、引き揃えられただ
けで、上撚りがないので(無撚りなので)、毛羽加工装
置によっては、摩擦仮撚体に接触させても下撚マルチフ
ィラメント糸条の回転運動が不安定になりがちとなり、
毛羽加工の際、複数本の下撚マルチフィラメント糸条間
で緩みが発生し易く、これが糸切れの原因となるおそれ
があった。しかし、本発明によれば、上撚を加えたため
に下撚マルチフィラメント糸条の回転運動が更に安定に
なり、毛羽数を多くできる。また、特願2000−17
4093号の発明よりも、毛羽加工の際、複数本の下撚
マルチフィラメント間で緩みが発生し難く、これが糸切
れの原因となるおそれもない。なお、毛羽の発生数が多
いと言うことは、摩擦仮撚体を有する毛羽加工装置の延
伸倍率を低くしても良いことを意味し、延伸倍率を低く
しても良いということは、糸切れの原因となることも少
ないことを意味する。
【0024】本発明の請求項5記載の毛羽糸の毛羽加工
方法は、前記毛羽加工した上撚マルチフィラメント糸条
に対して追撚を加えることを特徴とする。
【0025】本発明によれば、上撚数が下撚数の約60
〜100%と言われるスパンライク糸等として使用され
る場合において、上記上撚の撚り数が不足する場合は、
追撚を加えれば足りる。追撚は、通常の撚糸機、アップ
ツイスターや、ダブルツイスター等で従来通りの方法で
行えば良い。なお、追撚を加えず、そのまま上撚マルチ
フィラメント糸条として使用することも可能である。
【0026】次に、3本の下撚マルチフィラメント糸条
を引き揃え、3本の回転軸に配設された回転円板に当接
する場合(図1参照)を例に挙げて説明すると、各下撚
マルチフィラメント糸条X,Y,Zは断面視した状態で
三角点配置となるが、この位置付けを、例えば時計回り
方向に1番位置、2番位置、3番位置とおけば、下撚マ
ルチフィラメント糸条X,Y,Z全体に加える仮撚り
は、1番位置の下撚マルチフィラメント糸条Xを2番位
置へ、2番位置の下撚マルチフィラメント糸条Yを3番
位置へ、3番位置の下撚マルチフィラメント糸条Zを1
番位置へ、それぞれローテーション的に移動させること
を繰り返すような撚りを言うものである。
【0027】そして、これと同時に個々の下撚マルチフ
ィラメント糸条X,Y,Z自体に対して自転状の回転運
動を生起させるというのは、1番位置の下撚マルチフィ
ラメント糸条Xが上記ローテーション的移動とは別に自
らも回転し、また2番位置の下撚マルチフィラメント糸
条Yが上記ローテーション的移動とは別に自らも回転
し、3番位置の下撚マルチフィラメント糸条Zについて
も上記ローテーション的移動とは別に自らも回転する、
という状態を言うものである。このような二重の撚り
(回転運動)を同時に加えると、各下撚マルチフィラメ
ント糸条X,Y,Zの擦過間では、それらの構成フィラ
メント単糸が、その自転速度に対する2倍速(相手の下
撚マルチフィラメント糸条との間での相対速度となるか
ら)で擦過しあい、これによって互いの構成フィラメン
ト単糸に適度な切断が起こることになる(毛羽が発生す
る)。この点は、特願2000−174093号の発明
の場合も同様であるが、本発明によれば、上撚を加える
ために、下撚マルチフィラメント糸条の回転運動が更に
安定になり、擦過しあう状態に速やかに移行して毛羽数
を多くできる。また、毛羽加工装置による毛羽加工の
際、複数本の下撚マルチフィラメント間で緩みが発生し
難く、これが糸切れの原因となるおそれもない。
【0028】このように、構成フィラメント単糸の糸の
切断部分で毛羽を形成させた毛羽糸(上撚マルチフィラ
メント糸条)が製造される。ここにおいて、摩擦仮撚体
は、下撚マルチフィラメント糸条に当接する部分を外周
面とする回転円板によって形成することができる。摩擦
仮撚体が回転円板を具備するものとした場合、これら回
転円板は、一軸上に少なくとも1枚あればよいが、仮撚
効果(回転効果)を高める場合には複数個を串刺し配置
すればよい。
【0029】そして、摩擦仮撚体は、互いに平行状態と
された複数本の回転軸を有して、これら各回転軸ごとに
少なくとも1枚の回転円板が設けられ、且つ回転円板が
それらの外周相互を軸方向に重合並列させた状態で配置
されたものとすればよい。この摩擦仮撚体は、下撚マル
チフィラメント糸条に当接時の動摩擦係数として0.2
5以上を生起可能になったものを使用することが好適と
されている。この点は、従来における第2の毛羽糸製造
方法で用いられていた粗面ディスクとは、顕著に異なる
ところである。
【0030】すなわち、従来の第2の毛羽糸製造方法で
は、粗面ディスクによって直接的に下撚マルチフィラメ
ント糸条を研磨していたため、この粗面ディスクに必要
とされる構造上の条件としては表面粗さであったが、本
発明では、図10(b)に示すように、上撚を加えるた
めに、下撚マルチフィラメント糸条の回転運動が安定に
なり(特願2000−174093号の発明よりも更に
安定になり)、擦過しあう状態に速やかに移行すること
によって毛羽を発生させるものである。このため、摩擦
仮撚体には、表面粗さよりも、上記のように下撚マルチ
フィラメント糸条との間の動摩擦係数に重点がおかれる
ものとなっている。摩擦仮撚体が上撚マルチフィラメン
ト糸条に当接する部分での周速を、上撚マルチフィラメ
ント糸条の送り速度で除算すれば、糸速比を得ることが
できるが、本発明においても、この糸速比は、1.5以
上とすることが好適とされている。
【0031】また、特願2000−174093号の発
明では、下撚マルチフィラメント糸条のトルクが大きい
ので、低速で解除(或いは「解舒」)しようとするとス
ナールが発生しやすく、これが糸切れに繋がり易いと言
うことがあり、下撚マルチフィラメント糸条の送り速度
は100m/分以上とするのが好適とされている。しか
し、本発明では、トルクが小さい上撚マルチフィラメン
ト糸条を使用しているので、スナールが発生し難く、上
撚マルチフィラメント糸条の送り速度は100m/分以
下でも良い。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づき説明する。
【0033】まず、本発明の内容の理解を正確なものに
するために、本明細書中に記載される用語をまず説明す
る。化学繊維は、フィラメントとして紡糸されるので、
これらを集束させ、必要に応じて撚りを掛ければフィラ
メント糸条を得ることができる。このように、2本以上
のフィラメントから成る糸をマルチフィラメント糸条と
呼ぶ。また、フィラメントがある程度太く、実用に耐え
る強さや伸びを持つ場合は、その1本のフィラメントを
モノフィラメント糸条と呼ぶ。撚りのかかり方は、撚り
方向(繊維束または糸束を束の軸のまわりにねじる方
向)と撚り数(ねじりの程度)によって決まる。撚り方
向は、糸軸に対する糸表面の繊維の傾きの方向によって
Z撚りおよびS撚りとして示される。我が国で左撚りと
いうのはZ撚り、右撚りというのはS撚りのことであ
る。仮撚り法とは、加工糸の製造方法における加燃法の
一つであり、糸を走行させながら加撚、熱固定、解撚の
3操作を連続して行う方法であって、糸の中央部をつか
んで糸軸のまわりにねじることによって得られる。この
とき、つかみ部の上側と下側の糸には同数で、方向が反
対の撚りがかかることになるが、この撚りは単に見かけ
の撚りであって、つかみ部を離すと糸は無撚りの状態に
戻る。実撚りとは、無撚りの状態にならず、実際に撚り
が加えられることで、下撚りも上撚りも上記実撚りを意
味する。
【0034】(毛羽加工装置)図1乃至図4は、本発明
の上撚マルチフィラメント糸条の毛羽加工方法に使用す
る毛羽加工装置1の第1の例を示している。図2に示す
ように、その前工程での複数(図例では3つとした)の
ボビン2,3,4から解舒される下撚マルチフィラメン
ト糸条X,Y,Zに所定回数の上撚を加えた上撚マルチ
フィラメント糸条Uが、巻玉18に巻き取られたものが
使用されて、本実施の形態の毛羽加工装置1にかけられ
る。すなわち、所定回数の上撚を加えた上撚マルチフィ
ラメント糸条Uは、上流側送出ローラ(「第1フィード
ローラ」とも言う)5及びガイド6を介した後、毛羽加
工装置1を経ることによって毛羽糸Wとなり,ガイド7
及び下流側送出ローラ8を経た後、巻取ローラ9の駆動
を受けつつ巻取チーズ10で巻き取られる。
【0035】上流側送出ローラ5及び下流側送出ローラ
8は、それぞれエプロンベルト駆動装置12、13等に
よって上撚マルチフィラメント糸条U及び毛羽糸Wを挟
持し、送り出している。例えば、これらのエプロンベル
ト駆動装置12、13では、上流側送出ローラ5及び下
流側送出ローラ8(「第2フィードローラ」とも言う)
のバランス制御をすることにより、毛羽加工装置1を通
過する上撚マルチフィラメント糸条Uの張力を調節する
ことができ、これにより毛羽量の調整ができる。また勿
論、それらを同期的に制御することで送り速度を所定に
設定することもできる。
【0036】毛羽加工装置1は、図3及び図4に示すよ
うに、装置本体20の上部に3つの摩擦仮撚体21が寄
せ集め状に設けられ、これら個々の摩擦仮撚体21が装
置本体20の下部側に設けられた回転駆動手段22によ
って回転される構造となっている。各摩擦仮撚体21
は、回転軸25に対して複数個(図例では3個)の回転
円板(ディスクとも言う)26が串刺し状にされ、且つ
各回転円板26が、それらの相互間に対して回転円板2
6の2枚分の肉厚を越える隙間27を形成させるような
一軸配置状態とされたものとなっている。また、それぞ
れの摩擦仮撚体21における配置関係としては、隣接す
る摩擦仮撚体21との相互間で各回転軸25が平行し、
且つ各回転円板26と各隙間27とが対向配置となっ
て、回転円板26同士が軸方向で重合されるようになっ
ている。
【0037】このように各摩擦仮撚体21が寄せ集めら
れた状態として、図1に示すように、その中央に縦方向
に貫通する三角柱状の空間(回転円板26の外周端で囲
まれた部分)30が形成されることになり、この空間3
0が、上撚マルチフィラメント糸条U(XYZの合糸)
を挿通させるための糸通路30となる。図3及び図4に
示すように、各回転軸25は、それらの軸間距離を接近
させて回転円板26と上撚マルチフィラメント糸条Uと
の接圧を高め、摩擦力を増大させ、もって仮撚効果(回
転効果)を高めるようにセットされる。この場合、上記
した三角柱状の空間は見掛け上は形成されないことにな
るが、上撚マルチフィラメント糸条Uは各回転軸25の
回転円板26に対して屈曲しつつ接触して、蛇行状に走
行する状態となり、実質的には糸通路30は形成されて
いることになる。なお、装置本体20には、この糸通路
30の上部に上部糸ガイド32が設けられ、また糸通路
30の下方に下方糸ガイド33が設けられている。ま
た、回転駆動手段22は、一つの摩擦仮撚体21の回転
軸25に対してその下端部に設けられたワーブ35をタ
ンゼンシャルベルト36で回転させ、この回転軸25か
ら歯付きベルト手段37を介して他の二つの摩擦仮撚体
21の回転軸25にも回転力を伝えるものとなってい
る。このことから全ての摩擦仮撚体21は同一方向へ同
一回転数で回転されるものである。
【0038】したがって、上撚マルチフィラメント糸条
Uを構成する下撚マルチフィラメント糸条X,Y,Z
は、個々の自転状の回転運動をしながら全体としても回
転運動をされる状態が得られる。これを図10(a)
(b)で説明すると、特願2000−174093号の
発明では、複数本の下撚マルチフィラメント糸条(X,
Y,Z)を引き揃えた状態として摩擦仮撚体21に接触
させるものであったが(図10(a))、本実施の形態
では、複数本の下撚マルチフィラメント糸条(X,Y,
Z)を引き揃えた後、所定回数の上撚を加えた状態で摩
擦仮撚体21に接触させる相違がある(図10
(b))。このように、上撚マルチフィラメント糸条U
の場合、予め下撚マルチフィラメント糸条(X,Y,
Z)間に撚りが入っているので集束性が良く、摩擦仮撚
体21による回転運動が安定する。特に糸掛けするとき
に安定する。ここで、上撚マルチフィラメント糸条の撚
り方向を図11(a)(b)(c)(d)を用いて説明
すると、下撚マルチフィラメント糸条がS撚りである場
合とZ撚りの場合があり、これら各々に対して上撚マル
チフィラメント糸条UがS撚りである場合とZ撚りの場
合がある。図11において、右下がりのハッチングが下
撚マルチフィラメント糸条がS撚りである場合を示して
おり、右上がりのハッチングが下撚マルチフィラメント
糸条がZ撚りである場合を示している。図11(a)
は、下撚り糸がS撚りで上撚り糸がS撚りの例であり、
図11(c)は、下撚り糸がS撚りで上撚り糸がZ撚り
の例であり、図11(b)は、下撚り糸がZ撚りで上撚
り糸がS撚りの例であり、図11(d)は、下撚り糸が
Z撚りで上撚り糸がZ撚りの例である。本発明はこれら
何れの場合も含まれる。
【0039】上記糸通路30へ上撚マルチフィラメント
糸条Uが挿通され、上撚マルチフィラメント糸条Uが各
摩擦仮撚体21の回転円板26に屈曲しつつ蛇行状態と
されたとき、各摩擦仮撚体21における回転円板26
は、その外周面が上撚マルチフィラメント糸条Uに当接
する。
【0040】この動摩擦係数(μ)は、次の関係式から
求めることができる。
【0041】
【数1】
【0042】この数1において、θ:接触角(ラジア
ン)、T1:入口張力、T2:出口張力、e:定数(約
2.7)とする。
【0043】このような動摩擦係数を得るには、回転円
板(ディスクとも呼ぶ)26をクロムメッキ梨地仕様と
しても上記の所定値を満足させるのは難しく、セラミッ
ク製又はセラミック溶射仕様とするか、或いはウレタン
製(図7に関して後述する第2の例を参照)とするのが
好適である。なお、摩擦仮撚体21の回転円板26にお
いて、その外周端の表面粗さは、10S以下としておけ
ば十分であるが、10Sを超えるものとしても別段構わ
ない。
【0044】回転駆動手段22による各摩擦仮撚体21
の回転数は、回転円板26としての外周面における周速
を、上撚マルチフィラメント糸条Uの送り速度で除算す
ることで得られる糸速比が1.5以上となることを目安
として設定されている。
【0045】図7は、本発明の上撚マルチフィラメント
糸条の毛羽加工方法に使用する毛羽加工装置1の他の例
を示している。この第2の例の毛羽加工装置1は、各摩
擦仮撚体21を備える回転円板26をウレタン製とした
場合であって、これら回転円板26の摩耗を抑制させる
ために、糸通路30の入口部(上端開口部)と出口部
(下端開口部)とに相当させて耐摩耗性に優れたガイド
ディスク37を設けている。
【0046】図8及び図9は、本発明の上撚マルチフィ
ラメント糸条U(XYの合糸)の毛羽加工方法に使用す
る毛羽加工装置1の更に他の例を示している。この例の
毛羽加工装置1では、内周摩擦仮撚方式を採用してい
る。すなわち、摩擦仮撚体21は短円筒形をしたもの
で、且つ、一つだけ設けられた構成となっている。な
お、図示は省略したが、この第3の例でも、摩擦仮撚体
21は回転駆動手段22によって回転されるものとなっ
ている。この第3の例では、摩擦仮撚体21の中心部に
形成された筒孔が糸通路30となされるものであって、
この糸通路30の挿通された上撚マルチフィラメント糸
条U(XYの合糸)は、この摩擦仮撚体21の筒孔内面
に当接して自転状の回転運動と全体回転を生起するよう
になっている。
【0047】図8に示す摩擦仮撚体21の形態は、円筒
形状の内周面に複数本の下撚マルチフィラメント糸条
X,Yを当接させる内周摩擦仮撚方式を示しているが、
その他、一本の回転軸の回転円板が少なくとも1枚以上
配設された1軸外周摩擦方式としたり、或いは、2本以
上の平行な回転軸にそれぞれ少なくとも1枚以上の回転
円板がそれらの外周面相互を軸方向に重合並列させた状
態で配置された多軸外周摩擦方式としたりしてもよい。
更に、逆行して回転するベルト間に上撚マルチフィラメ
ント糸条Uを挟持し、仮撚を与えるベルト仮撚方式とし
たり、回転円板と逆行して回転するベルトに上撚マルチ
フィラメント糸条Uを挟持させる方式としたりすること
もできる。
【0048】(上撚マルチフィラメント糸条の毛羽加工
方法)次に、このような構成を具備する毛羽加工装置1
を用いて毛羽糸Wを製造する本発明の方法を説明する。
【0049】糸通路30へ上撚マルチフィラメント糸条
U(XとYとZの合糸)が挿通された状態で、回転駆動
手段22によって全摩擦仮撚体21が同一方向(図1中
における反時計回り方向とする)へ同一回転数で回転さ
れ、また上撚マルチフィラメント糸条U(XとYとZの
合糸)に送り駆動(図3及び図4の上から下)が掛けら
れると、上撚糸を構成する各下撚マルチフィラメント糸
条X,Y,Zは、それぞれが当接している摩擦仮撚体2
1の回転円板26から回転力を与えられる。したがっ
て、各下撚マルチフィラメント糸条X,Y,Zは、図1
中における時計回り方向へ向けて、その全体がローテー
ション的に移動されるような撚りを繰り返すことにな
る。すなわち、これによって仮撚りが施されるものであ
る。
【0050】また、これと同時に、個々の下撚マルチフ
ィラメント糸条X,Y,Zには自転状の撚りが生起する
ことになるので、下撚マルチフィラメント糸条XとYと
の擦過間、下撚マルチフィラメント糸条YとZとの擦過
間、下撚マルチフィラメント糸条ZとXとの擦過間で、
それぞれ各下撚マルチフィラメント糸条X,Y,Zの構
成フィラメント単糸に適度な糸切れが起こり、もってこ
の糸切れ部分による毛羽が発生することになる。このよ
うにして毛羽糸Wが製造される。
【0051】得られた毛羽糸Wは,そのまま巻き取られ
てその使用目的によって使用される。本発明では、上撚
りが加えられているので、その使用目的によっては、そ
のまま毛羽合糸として使用することができる。しかし、
上撚数が下撚数の約60〜100%と通常言われるスパ
ンライク糸等として使用される場合において、上記上撚
の回転数が不足する場合は、追撚を加えれば良い。追撚
は、通常の撚糸機、アップツイスターや、ダブルツイス
ター等で従来通りの方法で行えば良い。追撚の方向は、
上撚りと同方向である。またこの毛羽糸Wは、上撚糸を
構成する各下撚マルチフィラメント糸条X,Y,Zが互
いに擦過しあう領域(毛羽発生作用を生じる領域:図2
中符号M)を1m以上の長い距離にできることに伴い、
発生する毛羽数にバラツキが少なく、高品質のものとな
っている。なお、上撚糸を構成する下撚マルチフィラメ
ント糸条X,Y,Zに送り駆動をかける場合、特願20
00−174093号の発明と同様、その送り速度は4
00m/分以上の高速に設定することも可能である。こ
れは、各下撚マルチフィラメント糸条X,Y,Zの構成
フィラメント単糸が互いの擦過で糸切れを起こす作用
(毛羽発生作用)において、糸速の依存性が低いためで
ある。
【0052】また、特願2000−174093号の発
明と同様、下撚マルチフィラメント糸条X,Y,Zに付
与する張力をそれほど高く設定しなくてもよいので、糸
切れが生じ難く、歩留まりを良好にできる利点もあり、
そのうえ毛羽加工後における毛羽糸強力の低下も少な
い。このように、特願2000−174093号の発明
は、従来例との関係で優れた効果を有するが、本発明
は、この特願2000−174093号の発明よりも更
に優れた効果を種々有する。
【0053】ところで、図5及び図6に示すように、糸
通路30に対して2本合糸の上撚マルチフィラメント糸
条Uの個々の下撚マルチフィラメント糸条X,Yだけを
挿通させても、毛羽糸の製造は可能である。ただ、この
場合には、摩擦仮撚体21における回転円板26の外周
面と上撚マルチフィラメント糸条Uの個々の撚マルチフ
ィラメント糸条X,Yとの間の動摩擦係数を高めに設定
するか、或いは摩擦仮撚体21において回転円板26を
設ける個数を増やす等の措置を講ずるのが好適である。
【0054】本発明は、上記した各実施形態に限定され
るものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能であ
る。例えば、図1,図5,図6及び図8において、各下
撚マルチフィラメント糸条X、Y、Zの構成フィラメン
単糸の繊度及び本数は同一の場合を示しているが、それ
ぞれ異なっていてもよい。また、図3及び図4では、各
回転軸25に対して回転円板26が各3枚ずつ配設され
ているが、実施の条件によっては、少なくとも各回転軸
25に回転円板26が1枚以上配設されていればよく、
またそれぞれ同数とする必要もない。
【0055】
【実施例】第1の例(図1乃至図4参照)の毛羽加工装
置1を用いて、上撚マルチフィラメント糸条の下撚数に
対する上撚数の比における毛羽数と毛羽長との関係につ
いて調べる試験を行った。試験結果を表1、表2に示
す。ここで、表1の結果をグラフ化したものが図12で
あり、表2の結果をグラフ化したものが図13である。
また、下撚マルチフィラメント糸条の撚数T(回/m)
は400≦T≦1800の範囲が良い。実施例では12
00回/mである。上下撚数比=(上撚数/下撚数)×
100(%)で表される。そして、製造される毛羽糸W
は、48本のフィラメントで70デニールの2本合糸
(合糸本数は2本)である。
【0056】摩擦仮撚体21の回転円板26は、セラミ
ック溶射ディスクによるものとし、3つの摩擦仮撚体2
1の全体で計7枚の回転円板26を使用するものとし
た。また、糸速を300m/分とし、糸速比を1.83
に統一した。延伸倍率は1.067である。なお、比較
例2,6は、上撚数が下撚数の0%である特願2000
−174093号の発明である。表1及び表2と図12
及び図13中の「Z」、「S」は、上記Z撚りとS撚り
の意味である。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】毛羽数は、長さ10cmの試料を顕微鏡で
20倍に拡大して目視計数し、その計数値を10倍した
ものである。図12と図13において、下撚と反対方向
の上撚を加えた場合を0を境にプラス側(右側)とし
て、下撚と同一方向の上撚を加えた場合を0を境にマイ
ナス(−)側(左側)として表されている。また、図1
2は、下撚マルチフィラメント糸条がS撚りである場合
において、これに上下撚数比で表される所定回数の仮撚
り方向がZ撚りを■で表し、仮撚り方向がS撚りを◇で
表している。一方、図13は、下撚マルチフィラメント
糸条がZ撚りである場合において、これに上下撚数比で
表される所定回数の仮撚り方向がS撚りを■で表し、仮
撚り方向がZ撚りを◇で表している。
【0060】表1と表2から明らかなように、上下撚数
比がマイナス−16.6%の比較例1では糸切れになっ
たが、−8.4%の実施例1では糸切れがなく、184
の毛羽数(個/m)が生じた。また、上下撚数比が4.
5%の実施例2と8.4%の実施例3の場合は、上撚数
が下撚数の0%である特願2000−174093号の
発明の毛羽数(232)からは予想を遙かに超える毛羽
数(300以上)を発生させることができた。他方、上
下撚数比が32.3%の実施例12では毛羽数が108
で毛羽長がやや短くなり、上下撚数比が50.4%の比
較例7では毛羽数が92で毛羽長が短くなる。そして、
表1をグラフ化した図12と表2をグラフ化した図13
から明なように、所定回数の上撚数を下撚の反対方向に
増やして行くと、毛羽数は一時的に急激に増加した後再
び減り始め、上下数比が40%を越えると、毛羽数は少
なくなり、毛羽長も短くなる。そして、図12から、下
撚数の15%以下で0%よりも大きい上撚数の上撚であ
ることにより、上撚数が下撚数の0%である特願200
0−174093号の発明からは予想を遙かに超える毛
羽数を発生させることが明確に認識できる。
【0061】また、本発明との比較では、特願2000
−174093号の発明の場合は、毛羽加工した後に巻
き取った巻玉を次工程で解舒すると(引き出すと)、複
数本の下撚マルチフィラメント糸条が個別に分かれよう
とするので、解舒しにくく、取り扱いが煩雑になること
があった。また、糸掛けをするとき、摩擦仮撚体による
下撚マルチフィラメント糸条間の回転運動を生起しにく
く、仮撚りが入りにくいので、毛羽加工装置によって
は、糸掛けがし難く、また、仮撚りが入らない状態で第
1フィードローラ(上流側創出ローラ5)に入れると糸
切れすることがあった。しかし、本発明によれば、これ
らの問題もない。
【0062】他方、所定回数の上撚は、下撚と同一方向
では、上撚数を下撚の方向と同一方向に増やして行く
と、毛羽は発生するが、上下撚数比が12%を越える
と、上撚マルチフィラメント糸条Uの回転運動が不安定
になり張力変動するので、糸切れし易くなり好ましくな
い(図12、図13)。すなわち、上述したように、上
下撚数比がマイナス−16.6%の比較例1では糸切れ
になったが、−8.4%の実施例1では糸切れがなく、
184の毛羽数(個/m)が生じたことから、これらの
間の数値(上下数比が約12%)がその境界ラインと考
えられる。そして、上撚マルチフィラメント糸条Uの回
転方向である仮撚り方向は、下撚の反対方向でも、同一
方向でもいずれでも毛羽は発生するが、上撚りと同一方
向が糸掛けし易いので好ましい。これを図11(b)
(c)で説明すると、図11(b)は上撚りがS撚り
(右撚り)であるからS撚りを追撚する方向が仮撚りの
方向として好ましく、図11(c)は上撚りがZ撚り
(左撚り)であるからZ撚りを追撚する方向が仮撚りの
方向として好ましい。なお、図11(a)(d)は、合
糸した糸にトルクが発生するのであまり行われない。ト
ルクが発生するとスナールも発生し易くなり糸切れにつ
ながるからである。
【0063】以上から、下撚数に対する上撚数の比を変
えることにより毛羽数や毛羽長の異なる毛羽糸を段階的
に製造することができる。その目的とする用途に合わせ
て、例えば、毛羽数が多く毛羽長が長くなる糸を製造し
たい場合は、下撚数に対する上撚数の比が小さくすれば
良い。他方、毛羽数が少なく毛羽長が短い糸を製造した
い場合は、下撚数に対する上撚数の比が大きくすれば良
い。なお、この発明の毛羽加工方法は、複数本の下撚マ
ルチフィラメント糸条を合糸して実撚りを加えてスパン
ライク糸等として使用する上撚工程の一環としても製造
することができる。
【0064】また、上撚数が下撚数の約60〜100%
と言われるスパンライク糸等として使用される場合にお
いて、上記上撚の撚数が不足する場合は、追撚を加えれ
ば足りる。追撚の方法としては、通常の撚糸機、アップ
ツイスターや、ダブルツイスター等で従来通りの方法で
行えば足りる。
【0065】次に、第1の例(図1乃至図4参照)の毛
羽加工装置1を用いて、上撚マルチフィラメント糸条の
毛羽数と糸解舒との関係について調べる試験を行った。
試験結果を表3に示す。表3中の「糸解舒」とは、毛羽
加工して巻き取った巻玉を次工程で解舒(引き出す)す
るときの引き出し易さをいう。上撚を入れた複数本の下
撚マルチフィラメント糸条を解舒(引き出す)するとき
に複数本各々が分かれずに取り扱い易い状態が「○」で
表され、複数本各々が分かれて扱い難い状態が「×」で
表されている。なお、摩擦仮撚体21の回転円板26の
種類や使用枚数は、上述の場合と同様である。また、糸
速を400m/分とし、糸速比を1.83に統一した。
延伸倍率1.067である。比較例11と比較例12が
上撚数が下撚数の0%である特願2000−17409
3号の発明である。実施例11は、合糸本数が2本の場
合であり、実施例12は、合糸本数が3本の場合であ
る。
【0066】
【表3】
【0067】この表3から明らかなように、上撚数が下
撚数の0%である特願2000−174093号の発明
の場合(比較例11と比較例12)は、毛羽加工した後
に巻き取った巻玉を次工程で解舒すると(引き出す
と)、複数本の下撚マルチフィラメント糸条が個別に分
かれようとするので、糸解舒しにくく、取り扱いが煩雑
になった。しかし、上下撚数比を4.5%にした実施例
11と実施例12の場合は、糸解舒が良好であった。ま
た、トルク(解撚しても元の無撚状態に戻ろうとする
力)が少なく、複数本の下撚マルチフィラメント糸条相
互の拘束力が強いために、複数本各々が分かれることも
ないので取り扱い易い。また、表3中の「強力」は、糸
の強さをグラム(g)で表したものであるが、特願20
00−174093号の発明の場合(比較例11と比較
例12)とほぼ同じ結果が得られた。したがって、本実
施の形態の毛羽糸Wは、強力の点でも何ら問題はない。
【0068】また、本実施の形態の毛羽加工方法による
ときの下撚マルチフィラメント糸条の本数は、2本〜5
本が好適である。6本以上にすると、複数本の下撚マル
チフィラメント糸条の全体を回転させることも自転状の
回転運動を生起させることも規制されるためである。
【0069】
【発明の効果】本発明の上撚マルチフィラメント糸条の
毛羽加工方法は、複数本の下撚マルチフィラメント糸条
を引き揃えた後、所定回数の上撚を加えた後摩擦仮撚体
により仮撚りを加えることでその目的とする用途に合わ
せて毛羽数や毛羽長の異なる毛羽糸を段階的に製造する
ことができる。また、下撚と反対方向では、下撚数の1
5%以下で0%よりも大きい上撚数を加えることによ
り、本願発明の前提となる先の特願2000−1740
93号の発明よりも毛羽数の発生数の極めて高い毛羽数
を安定に発生させることが可能である。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の毛羽加工装置の第1の例を示す要部拡
大平面断面図(図4のA−A線拡大断面図に相当)であ
る。
【図2】上記毛羽加工装置を用いた毛羽糸の製造ライン
を示した概要図である。
【図3】本発明に係る毛羽加工装置の第1の例を示す斜
視図である。
【図4】図3に対応する正面図である。
【図5】本発明の製造方法において下撚マルチフィラメ
ント糸条を2本合糸した上撚マルチフィラメント糸条を
説明した拡大平面断面図である。
【図6】図5に続く動作状況を示した拡大平面断面図で
ある。
【図7】本発明に係る毛羽加工装置の第2の例を示す斜
視図である。
【図8】本発明に係る毛羽加工装置の第3の例を示す要
部拡大断面図(図9のB−B線拡大断面図に相当)であ
る。
【図9】上記第3の例の毛羽加工装置を用いた毛羽糸の
製造ラインを示した概要図である。
【図10】摩擦仮撚体に接触する糸条を示す図であり、
(a)は3本引き揃えられた下撚マルチフィラメント糸
条が糸掛けにおいて摩擦仮撚体に接触する図であり、
(b)は糸掛けにおいて摩擦仮撚体に上撚マルチフィラ
メント糸条が接触する図である。
【図11】上撚マルチフィラメント糸条の撚り方向を説
明する図である。
【図12】明細書中の表1をグラフ化した図である。
【図13】明細書中の表2をグラフ化した図である。
【符号の説明】
1 毛羽加工装置 21 摩擦仮撚体 26 回転円板 30 摩擦仮撚体が寄せ集められた状態の
空間 U 上撚マルチフィラメント糸条 W 毛羽糸 X,Y,Z 下撚マルチフィラメント糸条
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋 英一 石川県金沢市南森本リ95番地 株式会社 石川製作所内 (56)参考文献 特開 昭55−98932(JP,A) 特開 平8−158187(JP,A) 特開 平2−259134(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D02J 1/00 - 13/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数本の構成フィラメント単糸に実撚り
    を加えた下撚マルチフィラメント糸条を複数本使用し
    て、これら複数本の下撚マルチフィラメント糸条を引き
    揃えた後、所定回数の上撚を加えた状態で、これら全体
    を回動する摩擦仮撚体に接触させることで回転運動を生
    起させて仮撚りを加えると共に、個々の下撚マルチフィ
    ラメント糸条自体にも自転状の回転運動を生起させるこ
    とにより、上記下撚マルチフィラメント糸条を相互に擦
    過させ、それらの構成フィラメント単糸の一部を切断
    し、この切断により毛羽を形成させることを特徴とする
    上撚マルチフィラメント糸条の毛羽加工方法。
  2. 【請求項2】 前記所定回数の上撚は、下撚と反対方向
    では、下撚数の40%以下で0%よりも大きい上撚数の
    上撚であることを特徴とする請求項1記載の上撚マルチ
    フィラメント糸条の毛羽加工方法。
  3. 【請求項3】 前記所定回数の上撚は、下撚と同一方向
    では、下撚数の12%以下で0%よりも大きい上撚数の
    上撚であることを特徴とする請求項1記載の上撚マルチ
    フィラメント糸条の毛羽加工方法。
  4. 【請求項4】 前記所定回数の上撚は、下撚と反対方向
    では、下撚数の15%以下で0%よりも大きい上撚数の
    上撚であることを特徴とする請求項1記載の上撚マルチ
    フィラメント糸条の毛羽加工方法。
  5. 【請求項5】 前記毛羽加工した上撚マルチフィラメン
    ト糸条に対して追撚を加えることを特徴とする請求項1
    乃至請求項4のいずれか1項記載の上撚マルチフィラメ
    ント糸条の毛羽加工方法。
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