JP3466355B2 - 画像形成材料、画像形成方法、およびプリント配線板の製造方法 - Google Patents

画像形成材料、画像形成方法、およびプリント配線板の製造方法

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JP3466355B2
JP3466355B2 JP34134995A JP34134995A JP3466355B2 JP 3466355 B2 JP3466355 B2 JP 3466355B2 JP 34134995 A JP34134995 A JP 34134995A JP 34134995 A JP34134995 A JP 34134995A JP 3466355 B2 JP3466355 B2 JP 3466355B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像形成材料、画像形
成方法、およびプリント配線板の製造方法に関する。よ
り詳しくは、高解像性の画像を形成することが可能な画
像形成材料および画像形成方法であって、例えばプリン
ト配線板等の電子回路を製造する場合のレジスト層や印
刷版のインク受理部となりうる画像形成材料、および該
画像形成材料を用いた画像形成方法と、高解像性を有す
るエッチングレジスト層またはめっきレジスト層を使用
したプリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にプリント配線板等の電子回路は、
絶縁性基板の少なくとも片面に導電層を形成した積層板
の導電層上に耐食性のエッチングレジスト層を設けた
後、露出している導電層をエッチング除去するサブトラ
クティブ法か、絶縁性基板上にめっきレジスト層を形成
した後、金属めっき処理等でめっきレジスト層被覆部以
外の絶縁性基板上に導電層を形成するアディティブ法で
製造される。また、印刷版は紙、アルミニウム板、亜鉛
板等の親水化処理を施した基材上にインク受理層を設け
て作製する。
【0003】電子回路製造時のエッチングレジスト層ま
たはめっきレジスト層と印刷版のインク受理部は、フォ
トポリマーや電子写真感光体等の感光材料を用いて作製
される。
【0004】フォトポリマーを用いた場合には、積層
板、絶縁性基板、紙等の基材上にフォトポリマーを塗布
した後、光を照射することによりフォトポリマーに化学
変化を生じさせる。この化学変化には2種類あり、光が
照射された部分が重合・硬化して、現像液に対して不溶
性となるネガ型と、逆に光が照射された部分の官能基が
変化して現像液に対して可溶性となるポジ型に分けられ
る。何れの場合にも、現像後に残存している現像液不溶
性のフォトポリマーが、エッチングレジスト層、めっき
レジスト層やインク受理層となる。
【0005】電子写真感光体を用いた場合には、基材上
に電子写真感光体を塗布した後、その表面を暗中で一様
に帯電させ、次いで露光を行って、非画像部または画像
部の帯電荷を消失させた後、帯電したトナーを用いてト
ナー現像を行い、帯電部もしくは非帯電部にトナー画像
を形成する。続いて、トナー画像部以外の電子写真感光
体を除去して、エッチングレジスト層、めっきレジスト
層やインク受理層とする。
【0006】フォトポリマーまたは帯電された電子写真
感光体を露光する方法としては、従来マスクを介して、
紫外光または白色光を使用した密着露光法を行うのが主
流であったが、プリント配線板等の電子回路のファイン
パターン化、短期納品化、印刷版の短時間製造化が要求
される中で、コンピューターから直接データを露光装置
に送信するコンピューター・ツゥ・プレートに対応した
レーザー直接描画法への移行が図られている。
【0007】レーザー直接描画法への対応は、フォトポ
リマーおよび電子写真法の両方で進められている。特
に、電子写真法では、特開昭63−1299689号、
特開平6−112627号公報等に記載されているよう
に、光導電性化合物の種類、使用するレーザーの波長に
もよるが、数μJ/cm2という低出力で、露光を行う
ことが可能である。これに対し、フォトポリマーの場合
は光化学反応を伴うために大光量が必要となり、装置の
能力、コストが追随していないといった問題が生じては
いるものの、数〜数百mJ/cm2での露光による画像
形成が可能となっている。
【0008】フォトポリマーと電子写真法のどちらにお
いても、露光後に不要部分の感光材料を現像液を用いて
溶解除去するが、厚み方向の現像が進むと同時に、横方
向の現像も進行し、現像後に残存するフォトポリマー
や、電子写真感光体とトナー画像で形成される画像の断
面形状が台形となるサイドエッチング現象が起こり、画
像解像性を低下させる。特に、アディティブ法によるプ
リント配線板等の電子回路の製造においては、金属めっ
き法により形成する回路部の導電層の厚みを大きくした
い場合にめっきレジスト層の厚みもそれに応じて厚くし
なければならない。したがって、よりサイドエッチング
現象が進行し電子回路のファインパターン化を阻害する
ことがあった。
【0009】ところで、プリント配線板等の電子回路の
ファインパターン化に対応するためには、貫通孔および
/または非貫通孔を有する多層板が必要不可欠である。
例えば、多層プリント配線板をサブトラクティブ法で作
製する場合には、非貫通孔および/または貫通孔を有す
る絶縁性基板の孔内を含む表面に導電層を形成してなる
基板の、回路部に相当する導電層部分をエッチングレジ
スト層で保護し、不要部分の導電層をエッチング処理す
る。この際、孔内の導電層上にレジスト層を確実に形成
することが必須である。
【0010】ポジ型のフォトポリマーを用いた場合で
は、塗布工程で孔内に完全にエッチングレジスト層を形
成することができれば、孔内の導電層を保護することが
可能となる。ネガ型フォトポリマーでは、予め孔内に塗
布されたフォトポリマーに対して拡散光、散乱光等を利
用した特殊な露光機で光をあてなければならない。その
ほか、フォトポリマーをフィルム状にしたドライフィル
ムフォトレジストで、孔に蓋をするテンティング法があ
るが、後工程である現像工程や、エッチング工程でドラ
イフィルムレジストが剥離してしまうことがあり、孔内
の導電層を保護できないばかりか、孔以外の部分の回路
が断線してしまうこともあった。
【0011】電子写真法では、トナー層を孔内に設ける
ことで孔内部導電層の保護を行うことができる。特公平
3−35518号公報には、電子写真感光体上の帯電荷
と逆極性のトナーを用いる正現像法でトナー層を形成す
る方法が提案されている。この方法では、孔内に電子写
真感光体を設け、かつこの上に帯電荷がトナー現像を行
うまで残存していなければならない。このため、帯電工
程で孔内部の電子写真感光体を均一に帯電させる必要が
ある。しかしながら、孔のアスペクト比(=孔長/孔
径)が大きい場合には、孔奥部(孔中心部壁面)には帯
電荷が発生せずに、トナーが付着せず、エッチング工程
時に孔内の導電層が除去されてしまうことがあった。
【0012】さらに、特開平6−112627号公報に
は、電子写真感光体の帯電荷と同極性のトナーを用いる
反転現像法によるトナー画像作製方法が開示されてい
る。この方法では、孔内を帯電させる必要はないが、逆
に孔内の帯電荷が完全に消失していなければならない。
孔のアスペクト比が小さい場合や、アスペクト比が大き
くても孔径が大きい場合には、孔内の入口付近の電子写
真感光体が帯電工程で帯電してしまい、ネガ型フォトポ
リマーの場合と同様に孔内部を露光する必要が生じてい
た。
【0013】これとは逆にアディティブ法によって、多
層構造のプリント配線板を製造する場合には、非貫通孔
および/または貫通孔を有する絶縁性基板の非回路部に
相当する部分をめっきレジスト層で保護し、金属めっき
処理等を利用して回路部の導電層の作製を行う。孔内に
導電層を形成するためには、めっきレジスト層が全然無
い状態を形成しなければならない。
【0014】したがって、サブトラクティブ法とは逆に
ポジ型のフォトポリマーを用いた場合に拡散光等を利用
した孔内部の露光が必要となる。電子写真法では、正現
像法の場合には、孔内の電子写真感光体上に帯電荷が無
い状態が必要となるので、孔のアスペクト比が小さい場
合や孔径が大きい場合に、孔の入口付近が帯電されるた
めに、内部露光の必要性が生じるという欠点があった。
また、反転現像法では、孔内の電子写真感光体が均一に
帯電した状態が必要となり、アスペクト比の大きい孔で
は、トナーが付着してしまい、導電層が均一に孔内の絶
縁性基板上に形成されない場合があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、レー
ザー直接描画法を用いて高い解像性を有する画像を容易
に得ることが可能な画像形成材料および画像形成方法を
提供することにある。また、プリント配線板の製造方法
において、高解像性を有するエッチングレジスト層また
はめっきレジスト層を作製する方法を提供すると共に、
多層構造のプリント配線板を製造する際に問題となって
いる非貫通孔および/または貫通孔を容易かつ確実に製
造する方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、次の発明を見出し上
記課題を解決するに至った。
【0017】(1)基材上にアルカリ可溶層と光吸収層
を順に設けたことを特徴とする画像形成材料。
【0018】(2)基材上にアルカリ可溶層と光吸収層
を順に設け、かつ該光吸収層に対向して近接する転写層
を設けたことを特徴とする画像形成材料。
【0019】(3)基材上にアルカリ可溶層と光吸収層
を順に設けた画像形成材料の該光吸収層における不要部
分にレーザーを照射することにより除去し、次いで露出
したアルカリ可溶層をアルカリ液にて除去することを特
徴とする画像形成方法。
【0020】(4)基材上にアルカリ可溶層と光吸収層
を順に設け、かつ該光吸収層に対向して近接する転写層
を設けた画像形成材料に、転写層方向よりレーザーを照
射して不要部分の光吸収層を転写層に転写させた後、転
写層とともに剥離除去し、次いで露出したアルカリ可溶
層をアルカリ液にて除去することを特徴とする画像形成
方法。
【0021】(5)絶縁性基板の少なくとも片面に導電
層を設けた基板の該導電層上に回路部に相当するエッチ
ングレジスト層を形成した後、該レジスト層で被覆され
ていない導電層をエッチング除去し、かつ場合に応じて
残存するエッチングレジスト層を除去するプリント配線
板の製造方法において、導電層上に光吸収層を形成した
後、非回路部に相当する光吸収層をレーザーを照射する
ことにより除去してエッチングレジスト層を形成するこ
とを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【0022】(6)絶縁性基板の少なくとも片面に導電
層を設けた基板の該導電層上に回路部に相当するエッチ
ングレジスト層を形成した後、該エッチングレジスト層
で被覆されていない導電層をエッチング除去し、かつ場
合に応じて残存するエッチングレジスト層を除去するプ
リント配線板の製造方法において、導電層上にアルカリ
可溶層と光吸収層を順に設け、非回路部に相当する光吸
収層をレーザーを照射することにより除去し、次いで露
出したアルカリ可溶層をアルカリ液にて除去してエッチ
ングレジスト層を形成することを特徴とするプリント配
線板の製造方法。
【0023】(7)絶縁性基板に非回路部に相当するめ
っきレジスト層を形成した後、該めっきレジスト層で被
覆されていない絶縁性基板上に導電層を形成し、かつ場
合に応じて残存するめっきレジスト層を除去するプリン
ト配線板の製造方法において、絶縁性基板上に光吸収層
を形成した後、回路部に相当する光吸収層をレーザーを
照射することにより除去してめっきレジスト層を形成す
ることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【0024】(8)絶縁性基板に非回路部に相当するめ
っきレジスト層を形成した後、該めっきレジスト層で被
覆されていない絶縁性基板上に導電層を形成し、かつ場
合に応じて残存するめっきレジスト層を除去するプリン
ト配線板の製造方法において、絶縁性基板上にアルカリ
可溶層と光吸収層を順に設け、回路部に相当する光吸収
層をレーザーを照射することにより除去し、次いで露出
したアルカリ可溶層をアルカリ液にて除去してめっきレ
ジスト層を形成することを特徴とするプリント配線板の
製造方法。
【0025】(9)光吸収層に対向して近接している転
写層を設け、転写層方向よりレーザーを照射して不要部
分の光吸収層を転写層に転写させた後、転写層とともに
剥離除去することを特徴とする上記(5)、(6)、
(7)、または(8)記載のプリント配線板の製造方
法。
【0026】(10)光吸収層が電着法で形成されたこ
とを特徴とする上記(1)または(2)記載の画像形成
材料。
【0027】(11)光吸収層を電着法で形成すること
を特徴とする上記(3)または(4)記載の画像形成方
法。
【0028】(12)光吸収層を電着法で形成すること
を特徴とする上記(5)または(6)記載のプリント配
線板の製造方法。
【0029】(13)光吸収層を電着法で形成し、かつ
光吸収層に対向して近接している転写層を設け、転写層
方向よりレーザーを照射して不要部分の光吸収層を転写
層に転写させた後、転写層とともに剥離除去することを
特徴とする上記(5)または(6)記載のプリント配線
板の製造方法。
【0030】(14) アルカリ可溶層が電着法で形成
されたことを特徴とする上記(1)または(2)記載の
画像形成材料。
【0031】(15)アルカリ可溶層が電着法で形成さ
れたことを特徴とする上記(3)または(4)記載の画
像形成方法。
【0032】(16)アルカリ可溶層を電着法で形成す
ることを特徴とする上記(6)記載のプリント配線板の
製造方法。
【0033】(17)アルカリ可溶層を電着法で形成
し、かつ光吸収層に対向して近接している転写層を設
け、転写層方向よりレーザーを照射して不要部分の光吸
収層を転写層に転写させた後、転写層とともに剥離除去
することを特徴とする上記(6)記載のプリント配線板
の製造方法。
【0034】(18)光吸収層をロールコート法で形成
することを特徴とする上記(7)または(8)記載のプ
リント配線板の製造方法。
【0035】(19)光吸収層をロールコート法で形成
し、かつ光吸収層に対向して近接している転写層を設
け、転写層方向よりレーザーを照射して不要部分の光吸
収層を転写層に転写させた後、転写層とともに剥離除去
することを特徴とする上記(7)または(8)記載のプ
リント配線板の製造方法。
【0036】(20)光吸収層がレーザーの波長領域に
吸収波長を有する染料または顔料を含有する上記
(1)、(2)、(10)または(14)記載の画像形
成材料。
【0037】(21)光吸収層がレーザーの波長領域に
吸収波長を有する染料または顔料を含有する上記
(3)、(4)、(11)または(15)記載の画像形
成方法。
【0038】(22)光吸収層がレーザーの波長領域に
吸収波長を有する染料または顔料を含有する上記
(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(12)、
(13)、(16)、(17)、(18)または(1
9)記載のプリント配線板の製造方法。
【0039】(23)光吸収層がアルカリ可溶である上
記(5)記載のプリント配線板の製造方法。 (24)光吸収層がアルカリ可溶であり、かつ光吸収層
に対向して近接している転写層を設け、転写層方向より
レーザー光を照射して不要部分の光吸収層を転写層に転
写させた後、転写層と共に剥離除去することを特徴とす
る上記(5)記載のプリント配線板の製造方法。
【0040】以下、本発明を図1から11をもとに詳細
に説明する。図1は本発明の画像形成材料(1)の概念
図である。基材1上にアルカリ可溶層2と光吸収層3を
この順で設けた構成となっている。また、図3は上記画
像形成材料(1)を用いたレーザー直接描画法による本
発明の画像形成方法(3)の概念図である。基材1上に
アルカリ可溶層2と光吸収層3を順に設けた画像形成材
料(図3(a))の該光吸収層3における不要部分をレ
ーザーを照射すること(図3(b))により除去し(図
3(c))、次いで露出したアルカリ可溶層2をアルカ
リ性液を用いて除去する(図3(d))。この画像形成
材料(1)および画像形成方法(3)は、印刷版の製
造、プリント配線板等の電子回路製造の際のレジスト層
形成等に使用することができる。
【0041】図2は本発明の画像形成材料(2)の概念
図である。基材1上にアルカリ可溶層2と光吸収層3を
順に設け、かつ光吸収層3に対向して近接する転写層4
を設けた構成となっている。図4は、上記画像形成材料
(2)を用いたレーザー直接描画法による本発明の画像
形成方法(4)の概念図である。基材1上にアルカリ可
溶層2と光吸収層3を順に設け、かつ光吸収層3に対向
して近接する転写層4を設けた画像形成材料(図4
(a))の該光吸収層3における不要部分をレーザーを
照射すること(図4(b))により転写層4に転写させ
(図4(c))、次いで転写層4とともに不要光吸収層
3を除去し(図4(d))、次いで露出したアルカリ可
溶層2をアルカリ性液を用いて除去する(図4
(e))。この画像形成材料(2)および画像形成方法
(4)は、印刷版の製造、プリント配線板等の電子回路
製造の際のレジスト層形成等に使用することができる。
【0042】本発明の他の発明であるプリント配線板の
製造方法は、サブトラクティブ法を主体にしたものとア
ディティブ法を主体にしたものに大別される。図10の
概念図を基にサブトラクティブ法を説明する。まず、絶
縁性基板11の少なくとも片面に導電層12を設けた基
板13(図10(a))の導電層12上に回路部に相当
するエッチングレジスト層14を設ける(図10
(b))。次に、エッチングレジスト層14で被覆され
ていない導電層12をエッチング除去し(図10
(c))、さらに場合に応じてエッチングレジスト層1
4を除去して(図10(d))、絶縁性基板11上に導
電層12からなる回路が形成される。
【0043】図5は、本発明のプリント配線板の製造方
法(5)の概念図である。基板13(図5(a))の導
電層12上に光吸収層3を形成する(図5(b))。次
いで、レーザーを照射すること(図5(c))によって
非回路部の光吸収層を除去し(図5(d))、残存する
光吸収層3からなるエッチングレジスト層1Rを形成す
る。
【0044】図6は、本発明のプリント配線板の製造方
法(6)の概念図である。基板13(図6(a))の導
電層12上にアルカリ可溶層2および光吸収層3を順に
設け(図6(b))、レーザーを照射すること(図6
(c))によって非回路部の光吸収層3を除去する(図
6(d))。次いで、露出したアルカリ可溶層2をアル
カリ液によって除去し(図6(e))、残存するアルカ
リ可溶層2と光吸収層3からなるエッチングレジスト層
2Rを形成する。
【0045】図11の概念図を基にアディティブ法を説
明する。絶縁性基板11(図11(a))上に非回路部
に相当するめっきレジスト層15を設ける(図11
(b))。次に、めっきレジスト層15で被覆されてい
ない絶縁性基板11上に、金属めっき法等を利用して導
電層16を形成し(図11(c))、さらに場合に応じ
てめっきレジスト層15を除去して(図11(d))、
絶縁性基板11上に導電層16からなる回路が形成され
る。
【0046】図7は、本発明のプリント配線板の製造方
法(7)の概念図である。絶縁性基板11(図7
(a))上に光吸収層3を形成する(図7(b))。次
いで、レーザーを照射すること(図7(c))によって
回路部の光吸収層を除去し(図7(d))、残存する光
吸収層3からなるめっきレジスト層3Rを形成する。
【0047】図8は、本発明のプリント配線板の製造方
法(8)の概念図である。絶縁性基板11(図8
(a))上にアルカリ可溶層2および光吸収層3を順に
設け(8(b))、レーザーを照射すること(図8
(c))によって回路部の光吸収層3を除去する(図8
(d))。次いで、露出したアルカリ可溶層2をアルカ
リ液によって除去し(図8(e))、残存するアルカリ
可溶層2と光吸収層3からなるめっきレジスト層4Rを
形成する。
【0048】本発明のプリント配線板の製造方法(9)
では、本発明のプリント配線板の製造方法(5)、
(6)、(7)、または(8)において、光吸収層に対
向して近接している転写層を設け、転写層方向よりレー
ザーを照射して不要部分の光吸収層を転写層に転写させ
た後、転写層とともに剥離除去する。
【0049】図9は、本発明のプリント配線板の製造方
法(9)の上記プリント配線板の製造方法(5)での実
施態様を表す概念図である。基板13(図9(a))の
導電層12上に光吸収層3を形成する(図9(b))。
次いで、この光吸収層に対向し、かつ近接する転写層4
を設け(図9(c))、転写層4方向よりレーザーを照
射すること(図9(d))によって、不要部分の光吸収
層3を転写層4へ転写させた後(図9(e))、転写層
4とともに剥離除去し(図9(f))、残存する光吸収
層3からなるエッチングレジスト層1R’を形成する。
【0050】本発明の画像形成材料および画像形成方法
に係わる基材としては、例えば印刷版を製造する場合に
はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリフェニレンサルファイド等のプラスチック
板、紙、アルミニウム板、亜鉛板、銅/アルミニウム
板、銅/ステンレス板、クロム/銅板、クロム/銅/ア
ルミニウム板、クロム/鉛/鉄板、クロム/銅/ステン
レス板等の金属板を使用することができる。また、プリ
ント配線板等の電子回路を製造する場合、サブトラクテ
ィブ法では、ガラス基材または紙基材にエポキシ樹脂ま
たはフェノール樹脂等を含浸させた基板、ポリイミドフ
ィルム、ポリエステルフィルム等の絶縁性基板の少なく
とも片面に銅、アルミニウム、銀、鉄、金等の導電層を
設けた積層板を使用することができる。これら積層板と
しては、「プリント回路技術便覧−第二版−」((社)
プリント回路学会編、1993年発行、日刊工業新聞
社)記載のものを使用することができる。アディティブ
法では、絶縁性基板、金属めっき用の触媒を表面に設け
た絶縁性基板、少なくとも片表面に薄い導電層を設けた
絶縁性基板を使用することができる。
【0051】本発明の画像形成材料、画像形成方法、お
よびプリント配線板の製造方法に係わる光吸収層は、樹
脂成分を含有する。印刷版やプリント配線板の製造方法
においては、現像工程、アルカリ処理工程、酸処理工程
等がある。したがって、本発明に係わる光吸収層は、こ
れらの工程で使用される有機液、アルカリ液、酸液に対
して耐性を有している必要がある。このため、下記に挙
げる樹脂のうちで、所望の性質を有する樹脂を単独また
は混合物として用いることができる。
【0052】本発明に係わる光吸収層における樹脂成分
としては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリ
ル酸エステル等で構成されるアクリル樹脂、酢酸ビニル
樹脂、酢酸ビニルとエチレンまたは塩化ビニル等との共
重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ビニル
アセタール樹脂、ポリスチレン、スチレンとブタジエ
ン、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体、ポリ
エチレン、ポリプロピレンおよびその塩化物、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート等の
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、
キシレン樹脂、アルキッド樹脂、ビニル変性アルキッド
樹脂、ゼラチン、セルロースエステル誘導体、ポリカー
ボネート、蝋等が挙げられる。これらの樹脂の重量平均
分子量は5000〜250000が好ましい。
【0053】光吸収層に使用される樹脂成分の多くは、
紫外光領域に吸収波長を有するが、吸収能力が光吸収層
の除去に不足する場合、レーザーの波長が樹脂の吸収波
長と一致しない場合には、光吸収層に吸収剤として、レ
ーザーの波長領域に吸収波長を有する染料、顔料、色素
等を添加することができる。これらの添加物としては、
例えば、カーボンブラック、シアニン、無金属または金
属フタロシアニン、金属ジチオレン、アントラキノン等
を使用することができる。これらの添加物は単独または
混合物として使用することができる。
【0054】本発明における光吸収層の厚さは、薄いと
機械的強度が不足して皮膜が脆弱になり、また逆に厚い
とレーザーによる光吸収層の除去に余分なエネルギーが
必要となる。本発明に係わる光吸収層の厚さは、0.5
0〜20μmの範囲が好ましい。
【0055】本発明に係わる光吸収層は、樹脂成分と添
加剤を適当な溶剤に溶解または分散して浸漬法、スピン
コート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコ
ート法、カーテンコート法、エアナイフ法、ブレードコ
ート法、電着法等の塗布方法を用いて設けることができ
る。
【0056】本発明の画像形成材料、画像形成方法、お
よびプリント配線板の製造方法に係わるアルカリ可溶層
は、アルカリ液に対して可溶性であるほか、印刷版やプ
リント配線板等を製造する場合等には、前のように有
機液、酸液による処理工程があるので、各処理液に対し
て耐性を有している必要がある。本発明に係わるアルカ
リ可溶層に用いられる樹脂の具体例としては、アクリル
樹脂、スチレン/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル
樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、
ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。これらの樹
脂は単独または混合物として用いることができる。
【0057】本発明のアルカリ可溶層に用いる樹脂の重
量平均分子量は、5000〜250000が望ましい。
分子量が5000未満であると自己皮膜性が劣り、一方
分子量が250000を超えると、アルカリ液への溶解
性が低下する。
【0058】本発明に係わるアルカリ可溶層は、樹脂成
分と添加剤を適当な溶剤に溶解または分散して浸漬法、
スピンコート法、バーコート法、ロールコート法、スプ
レーコート法、カーテンコート法、エアナイフ法、ブレ
ードコート法、電着法等の塗布方法を用いて設けること
ができる。
【0059】本発明の画像形成材料(2)、画像形成方
法(4)およびプリント配線板の製造方法(9)等に係
わる転写層は、光吸収層に対向して置かれる。不要部分
の光吸収層は、レーザーが照射されると転写層に移行
し、転写層を剥離する際に共に除去されるようになって
いる。レーザーが照射された光吸収層は、より低分子量
の化合物となるほか、反応性を有する低分子量体、有害
性物質となる場合があるので、これらを転写層に吸着ま
たは付着させて除去することは、作業環境の安全性が向
上することになる。
【0060】本発明の画像形成材料(2)、画像形成方
法(4)およびプリント配線板の製造方法(9)等に係
わる転写層は、レーザーにより除去された光吸収層が吸
着または付着し易い性質を有することが好ましい。ま
た、レーザーは転写層を通して光吸収層に照射されるの
で、転写層はレーザーに対して透過性を有していなけれ
ばならない。このような転写層用の材料としては、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸
ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等のビニル樹
脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチ
レンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等
のオレフィンと他のビニル系単量体との共重合体、アイ
オノマー、セルロース誘導体等を用いることができる。
【0061】本発明の画像形成材料(2)、画像形成方
法(4)およびプリント配線板の製造方法(9)等に係
わる転写層は、光吸収層と密着もしくは近接していなけ
ればならず、光吸収層と転写層間距離は0〜2mmが好
ましい。また、不要な光吸収層が転写された後、転写層
は容易にレジスト層として使用する光吸収層から剥離さ
れなければならない。光吸収層と転写層が密着している
場合には、剥離が容易に行えるように、光吸収層と転写
層間に低接着性もしくは低粘着性が存在する必要があ
る。このためには、光吸収層の除去および転写に悪影響
を及ぼさない範囲で、光吸収層または転写層の表面に離
型剤を塗布したり、または光吸収層または転写層に離型
剤を配合することが好ましい。離型剤としては、シリコ
ーンオイル、リン酸エステル系、あるいはフッ素系化合
物等を用いることができる。
【0062】本発明の画像形成材料(2)、画像形成方
法(4)およびプリント配線板の製造方法(9)等に係
わる転写層は、不要の光吸収層とともに剥離除去するた
めに必要な強度を有していなければならない。転写層を
上述の材料を使用して所望の強度を有する厚みにしても
良いが、光吸収層とは反対側に支持体層を設けることも
可能である。しかしながら、レーザーがこの支持体を通
して光吸収層に照射されるので、この光吸収層はレーザ
ーに対して透過性有していることが望ましい。支持体層
としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン樹脂、アイオノマー、ポリビニル樹脂、ポリ(メ
タ)アクリル樹脂等の合成樹脂で形成されたフィルムや
板、ガラス等を使用することができる。
【0063】本発明の画像形成材料(2)、画像形成方
法(4)およびプリント配線板の製造方法(9)等に係
わる転写層の厚さは、薄いと十分な光吸収層の転写能力
が得られない。厚い場合には、経済面で不利にはなる
が、上述のように機械的強度が増すので取り扱いやすく
なる。転写層の最小厚さは0.10μmが好ましい。
【0064】転写層を光吸収層上に設ける方法として
は、予めシート状にした転写層を圧着する方法が有効で
ある。転写層と光吸収層間の距離が0でない場合には、
回路を形成するのに不要な部分に所望の距離と同厚さの
スペーサーを挟んだりして調整する。また、転写層また
は光吸収層にシリコンビーズ等を光吸収層の転写に悪影
響を及ぼさない範囲で混入しておき、スペーサーとして
使用することもできる。
【0065】本発明の画像形成方法およびプリント配線
板の製造方法に係わるレーザーとしては、炭酸ガスレー
ザー、窒素レーザー、Arレーザー、He−Neレーザ
ー、He−Cdレーザー、Krレーザー等の気体レーザ
ー、液体(色素)レーザー、ルビーレーザー、Nd:Y
AGレーザー等の固体レーザー、GaAs/GaAlA
s、InGaAsPレーザー等の半導体レーザー、Kr
Fレーザー、XeClレーザー、XeFレーザー、Ar
2等のエキシマレーザー等を使用することができる。
【0066】本発明の画像形成方法およびプリント配線
板の製造方法(6)、(8)において、不要部分の光吸
収層を除去した後に、露出したアルカリ可溶層を除去す
るのに用いられるアルカリ液は、塩基性化合物を含有す
る。この塩基性化合物としては、例えば珪酸アルカリ金
属塩、アルカリ金属水酸化物、燐酸および炭酸アルカリ
金属およびアンモニウム塩等の無機塩基性化合物、エタ
ノールアミン類、エチレンジアミン、プロパンジアミン
類、トリエチレンテトラミン、モルホリン等の有機塩基
性化合物等を用いることができる。上記塩基性化合物は
単独または混合物として使用することができる。また、
アルカリ液の溶媒としては、水を有利に用いることがで
きる。
【0067】本発明の画像形成方法およびプリント配線
板の製造方法においては、ファインパターン化に対応し
た多層構造のプリント配線板を製造することができる。
多層構造のプリント配線板を製造する場合、サブトラク
ティブ法では、貫通孔および/または非貫通孔を有する
絶縁性基板の外孔内を含む表面に導電層を設けた基板を
使用する。貫通孔を有する基板は、主に絶縁性基板の少
なくとも片面に導電層(第1の導電層)を設けた積層板
に貫通孔を開け、次いで金属めっき処理を行って、孔内
部を含む積層板の表面にめっき導電層(第2の導電層)
を形成したものを、基材または積層板として使用するこ
とができる。非貫通孔を有する基材または積層板は、上
述の方法で作製した貫通孔を有する基板を張り合わせた
り、ビルドアップ式の方法等で作製することができる。
【0068】アディティブ法の場合には、孔を作製した
絶縁性基板、この孔を作製した絶縁性基板に金属めっき
用の触媒を付着させたもの、孔を作製した絶縁性基板に
薄膜の導電層を形成したもの等を使用することができ
る。
【0069】本発明のプリント配線板の製造方法(5)
において、サブトラクティブ法で非貫通孔および/また
は貫通孔を有するプリント配線板を製造する場合には、
孔内に金属めっき処理等により形成された第2の導電層
をエッチング工程で保護しなければならない。したがっ
て、孔内の第2の導電層上に光吸収層を設ける必要があ
り、該層の形成は電着法による層形成が好ましい。電着
法は細孔や凹凸面への追従性に優れていて、孔内に均一
かつ完全に光吸収層を形成することができる。
【0070】本発明の画像形成方法(3)、(4)およ
びプリント配線板の製造方法(6)等において、非貫通
孔および/または貫通孔を有するプリント配線板を製造
する場合にも、孔内に形成された第2の導電層をエッチ
ング工程で保護しなければならない。この場合も孔内に
アルカリ可溶層および光吸収層を有利に設けるために、
電着法による層形成が好ましい。
【0071】本発明の画像形成方法(3)、(4)およ
びプリント配線板の製造方法(7)、(8)等におい
て、アディティブ法で非貫通孔および/または貫通孔を
有するプリント配線板を製造する場合には、孔内にめっ
きレジスト層が形成されてはならない。孔内に光吸収層
が形成されてしまうと、レーザーを照射して光吸収層を
除去しなければならない。この孔内へのレーザー照射は
非常に困難である。したがって、光吸収層をロールコー
ト法により形成し、孔内に光吸収層を設けないことが好
ましい。
【0072】サブトラクティブ法による本発明のプリン
ト配線板の製造方法において、エッチングレジスト層を
形成した後、非回路部の導電層をエッチング除去するに
は、「プリント回路技術便覧−第二版−」記載のエッチ
ング装置、エッチング液等を使用することができる。エ
ッチング液としては、導電層が銅の場合には、塩化第二
鉄液、塩化第二銅液等を用いることができる。
【0073】アディティブ法による本発明のプリント配
線板の製造方法において、めっきレジスト層を形成した
後、回路部に相当する導電層を形成する方法としては、
「表面実装技術」(1993年6月号、日刊工業新聞社
発刊)記載の無電解めっき−電気めっき工程、ダイレク
トプレーティング(直接電気めっき)工程、無電解めっ
き工程等を使用することができる。
【0074】アディティブ法による本発明のプリント配
線板の製造方法において、エッチング処理工程もしくは
導電層形成処理工程終了後、エッチングレジスト層また
はめっきレジスト層はそのまま存在していても良いが回
路構成部品、チップ等の接続の際に不要となる場合が多
い。このときは、アルカリ性液で処理することによりこ
れらを除去することができる。また、光吸収層のアルカ
リ性液への溶解性、分散性が低い場合には、メチルエチ
ルケトン、メタノール、エタノール、ブタノール、ジオ
キサンの様な有機溶剤をアルカリ性液に混合することが
でき、場合によっては有機溶剤のみを使用する。
【0075】本発明のプリント配線板の製造方法(5)
等において、上記のエッチングレジスト層の剥離工程を
円滑に行うためには、光吸収層がアルカリ可溶であるこ
とが好ましい。特に、非貫通孔および/または貫通孔を
有するプリント配線板を製造する際の、孔内のエッチン
グレジスト層を除去することが非常に容易となる。
【0076】
【作用】本発明の画像形成材料は、基材上にアルカリ可
溶層と光吸収層を順に設けた構造か、または基材上にア
ルカリ可溶層と光吸収層を設け、かつ光吸収層に対向し
て転写層を設けた新規な画像形成材料である。この画像
形成材料を用いて画像を形成する場合には、レーザーを
直接照射して光吸収層を分解除去するので、コンピュー
ター・ツゥ・プレートに対応することが可能である。ま
た、本発明のプリント配線板の製造方法においても、レ
ジスト層を形成する際の感光材料として光吸収層を用い
るので、レーザー直接描画に対応することができ、高解
像性を有するレジスト層を得ることが可能である。
【0077】レーザー照射による光吸収層の分解除去
は、液による現像で問題となっていたサイドエッチング
現象を起こすことなく、壁面の垂直な画像を形成するこ
とができる。本発明の画像形成方法(3)、(4)およ
びプリント配線板の製造方法(6)、(8)等では、光
吸収層をレーザーを照射することで露出したアルカリ可
溶層をアルカリ液によって除去する工程があるために、
サイドエッチング現象を完全に抑制することはできない
が、例えば、アディティブ法によってプリント配線板を
製造する場合等のめっきレジスト層は必要膜厚が大き
い。この場合、完全に光吸収層のみでレジスト層を作製
しようとすると、レーザーの必要エネルギーが大きくな
りすぎるので、アルカリ可溶層が必要となる。光吸収層
のレジスト層全体に占める割合を調整することで、サイ
ドエッチング現象は最小限に抑えることが可能である。
【0078】本発明の画像形成方法(4)およびプリン
ト配線板の製造方法(9)等では、レーザーを照射する
ことにより分解除去された光吸収層が、光吸収層と対向
して置かれている転写層に移行する。このレーザーによ
って分解された光吸収層は、低分子量体に分解されてい
る成分があり、かつこの低分子量体は人体に対し有害で
あるものがある。このような有害物質を周囲に揮散させ
ることなく、迅速に転写層に付着、吸着させることで、
良好な作業環境を提供することが可能となる。
【0079】本発明のプリント配線板の製造方法(5)
等において、貫通孔および/または非貫通孔内の導電層
を確実に保護するために、光吸収層からなるエッチング
レジスト層を形成する必要がある。細孔内に容易に皮膜
を形成することができる電着法によって光吸収層を作製
することで、サブトラクティブ法により非貫通孔および
/または貫通孔を有する多層プリント配線板を確実に製
造することが可能である。
【0080】本発明の画像形成方法(3)、(4)およ
びプリント配線板の製造方法(6)等においても、アル
カリ可溶層と光吸収層を電着法で形成することで、サブ
トラクティブ法により非貫通孔および/または貫通孔を
有する多層プリント配線板を確実に製造することが可能
である。
【0081】アディティブ法による本発明の画像形成方
法(3)、(4)およびプリント配線板の製造方法
(7)、(8)等において、貫通孔および/または非貫
通孔内に導電層を確実に形成するためには、光吸収層を
孔内に形成してはならない。ロールコート層は、塗布液
および塗布方法の条件によって孔内に皮膜を形成するこ
となく、表面にのみ光吸収層を形成することができるの
で、ピンホール等の欠陥がない非貫通孔および/または
貫通孔を有するプリント配線板を製造することができ
る。
【0082】本発明のプリント配線板の製造方法(5)
等においては、光吸収層をアルカリ可溶にすることで、
導電層のエッチング工程後のエッチングレジスト剥離工
程で、環境上問題となる有機溶剤を用いることなく、ア
ルカリ性液のみで容易にエッチングレジスト層を除去す
ることができる。したがって、回路実装等で問題となる
レジスト層の残査を残すことがない。
【0083】本発明に係わる光吸収層には、レーザーの
波長領域に吸収波長を有する染料または顔料を添加する
ことで、より迅速かつ低出力のレーザーで光吸収層を分
解除去することが可能である。
【0084】
【実施例】本発明の実施例をさらに具体的に詳説する
が、本発明はその趣旨を超えない限り、下記実施例に限
定されるものではない。
【0085】実施例1基材の作製 JIS1050アルミニウムシートを60℃、10%N
aOH水溶液に浸漬し、アルミニウム溶解量が6g/m
2になる様にエッチングした。 水洗後、30%硝酸水溶
液に1分間浸漬して中和し、 充分水洗した。その後、
2.0%硝酸水溶液中で、25秒間電解粗面化を行な
い、50℃、20%硫酸水溶液中に浸漬して表面を洗浄
した後、水洗した。更に、20%硫酸水溶液中で陽極酸
化処理を施して、水洗、乾燥することにより、印刷版用
基材(1110×398mm)を作製した。
【0086】アルカリ可溶層および光吸収層の形成 上記印刷版用基材の表面処理面に表1の塗布液を用い
て、カーテンコート法により塗布後、90℃で10分間
乾燥させて、アルカリ可溶層(膜厚3.5μm)を得
た。さらに、表2の塗布液を用いて、ロールコート法に
より塗布後、90℃で10分間乾燥させて、光吸収層
(膜厚1.5μm)を得た。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】レーザー照射による光吸収層の除去 光吸収層を形成した後、Nd:YAGレーザー(QUA
NTRONIX社製;MODEL 116)を非画像部
に照射して不要な光吸収層を除去した。光吸収層の除去
部の断面を顕微鏡で観察したところ、サイドエッチング
現象等の解像性の低下は確認されなかった。
【0090】アルカリ可溶層の除去 非画像部の光吸収層を除去した後、2.0%炭酸ナトリ
ウム溶液(温度35℃)を2.0kg/cm2でスプレ
ーし、露出したアルカリ可溶層を除去した。アルカリ可
溶層と光吸収層からなる画像を顕微鏡で観察したとこ
ろ、片側約2μmのサイドエッチングが確認されたもの
の、画像部の欠落、非画像部の汚れ等の欠陥のない画像
を得ることができた。
【0091】印刷 上記方法で作製した、アルミ板上に画像を有する印刷版
を用いて、オフセット印刷機(ハマダスター 600 C
D)にて印刷を行なったところ、少なくとも8万枚まで
は印刷物に汚れの発生もなく良好な印刷物が得られた。
【0092】実施例2光吸収層の形成 紙基材エポキシ樹脂基板の片面に銅箔を張り合わせた片
面銅張積層板(松下電工(株)製、200×300×
1.6mm、銅厚18μm)に、表3の組成を有するア
ルカリ可溶型光吸収層塗布液を用いて、バーコート法を
行い、90℃で20分間熱風乾燥して、4.0μmの光
吸収層を形成した。光吸収層の銅箔への接着性は良好で
あった。
【0093】
【表3】
【0094】レーザーによるエッチングレジスト層の作
光吸収層を形成した後、エキシマレーザー(LAMBD
A PHYSIK LASERTECHNIK LPX
100)を非回路部に照射して不要な光吸収層を除去し
た。得られたエッチングレジスト層は、線幅40μm
で、サイドエッチング等は確認されず、高い解像性を有
していた。
【0095】エッチングおよびエッチングレジスト層剥
エッチングレジスト層を作製した後、45℃に加熱した
市販の塩化第二鉄溶液を60秒間スプレー(スプレー圧
3.0kg/cm2)し、露出した銅箔を除去 した。
続いて、35℃に加熱した2%炭酸ナトリウム溶液を、
スプレー圧2.0kg/cm2で30秒間スプレーし、
エッチングレジスト層を除去して、プリント配線板を得
た。このプリント配線板の銅配線パターンは30±1μ
mで、途中断線、非回路部への銅層の残存等の欠陥は確
認されなかった。
【0096】比較例1 実施例2と同仕様の片面銅張積層板の銅箔にドライフィ
ルムフォトレジスト(日本合成化学工業(株)、日合A
LPHO 371Y40、厚さ40μm)を熱圧着し
た。フォトマスク(パターン幅:40μm)を用いて、
紫外光による密着露光を行った後、30℃に加熱した1
%炭酸ナトリウム溶液を用いて、現像を行った。サイド
エッチング現象とドライフィルムフォトレジストの膜厚
が大きいために生じる光散乱の影響により、得られたレ
ジスト層のパターン幅は40±5μmと、フォトマスク
の画像を忠実に再現することができなかった。また、フ
ォトマスクとドライフィルムフォトレジスト間のゴミが
原因であるエッチングレジスト層の欠落およびピンホー
ルが数カ所確認された。
【0097】実施例2と同様の方法で、露出した銅箔を
除去したところ、エッチングレジスト層が欠落した部分
やピンホールがある部分の銅箔が除去されていた。続い
て、35℃に加熱した2%炭酸ナトリウム溶液で処理し
た(スプレー圧 2.0kg/cm2、40秒)が、ド
ライフィルムフォトレジストを除去することはできず、
らに強アルカリ性である50℃の3.0%水酸化ナト
リウム溶液を用いることで(スプレー圧 2.0kg/
cm2、45秒)、完全に除去することができた。得ら
れた銅配線パターンは、35±5.5μmとサイドエッ
チングが大きく、回路の欠落等も確認された。
【0098】実施例3貫通孔の作製と光吸収層の形成 紙基材エポキシ樹脂基板の両面に銅箔を張り合わせた両
面銅張積層板(松下電工(株)製、200×300×
1.6mm、銅厚18μm)に、0.4mmφと0.6
mmφの貫通孔を100個ずつ開けた後、銅めっき処理
(奥野製薬(株)、OPCプロセスM)を施し、貫通孔
内部および銅箔表面に8μmの銅めっき層を設けた。次
いで、表4の組成を有する光吸収層用塗布液を用いて、
電着法により塗布し、さらに120℃で25分間乾燥さ
せて、貫通孔内部を含む銅めっき層上に厚さ4.0μm
のアルカリ可溶型光吸収層を形成した。電着法では、対
極(負極)として上記銅張積層板と同面積の銅板(厚さ
2mm)を用い、室温(25℃)で100mA/dm2
の直流電流を45秒 間印加した。
【0099】
【表4】
【0100】レーザーによるエッチングレジスト層の作
光吸収層を形成した後、Nd:YAGレーザー(QUA
NTRONIX社製;MODEL 116)を非回路部
に照射して不要な光吸収層を除去した。得られたエッチ
ングレジスト層は、線幅40μmで、サイドエッチング
等は確認されず、高い解像性を有していた。また、貫通
孔内部を顕微鏡で観察したところ、完全にエッチングレ
ジスト層が残存していた。
【0101】エッチングおよびエッチングレジスト層剥
エッチングレジスト層を作製した後、実施例2と同様の
方法で塩化第二鉄溶液で、露出した銅めっき層および銅
箔を除去した。続いて、2%炭酸ナトリウム溶液をスプ
レーし、エッチングレジスト層を除去して、2層構造の
プリント配線板を得た。このプリント配線板の銅配線パ
ターンは30±1μmで、途中断線、非回路部への銅の
残存等の欠陥は確認されなかった。また、スルーホール
内部の銅も完全に保護されていた。
【0102】実施例4貫通孔を有するプリント配線板製造用積層板の作製 紙基材エポキシ樹脂基板の両面に銅箔を張り合わせた両
面銅張積層板(松下電工(株)製、200×300×
1.6mm、銅厚18μm)に、0.4mmφと0.6m
mφの貫通孔を100個ずつ開けた後、銅めっき処理
(奥野製薬(株)、OPCプロセスM)を施し、貫通孔
内部及び銅箔表面に8μmの銅めっき層を設け、基材と
した。
【0103】アルカリ可溶層および光吸収層の形成 積層板の両表面に、表5記載の塗布液を用いて電着法に
より塗布後、120℃で15分間乾燥させて、アルカリ
可溶層(膜厚3.5μm)を得た。電着法では、対極
(負極)として基材と同面積の銅板(厚さ2mm)を用
い、室温25℃で100mA/dm2の直流電圧を45
秒間印加した。顕微鏡で貫通孔 内部を観察したとこ
ろ、貫通孔壁面にも均一なアルカリ可溶層が形成されて
いることが確認された。
【0104】
【表5】
【0105】さらに、アルカリ可溶層形成後の基材を表
6の組成を有する光吸収層塗布液に浸漬後、対極(正
極)として基材と同面積の厚さ2mmの銅板を用い、室
温(25℃)で200Vの直流電流を45秒印加して、
電着法により光吸収層を形成した。90℃で5分間乾燥
させた後、顕微鏡で貫通孔内部を観察したところ、貫通
孔壁面にも均一な光吸収層が形成されているのが確認さ
れた。光吸収層の膜厚は1.5μmであった。
【0106】
【表6】
【0107】レーザー照射による光吸収層の除去 光吸収層を形成した後、Nd:YAGレーザー(QUA
NTRONIX社製;MODEL 116)を非回路部
に相当する光吸収層に照射、除去した。除去後の光吸収
層の断面を顕微鏡で観察したところ、サイドエッチング
は確認されなかった。
【0108】アルカリ可溶層の除去 非回路部の光吸収層を除去した後、2.0%炭酸ナトリ
ウム溶液(温度35℃)を2.0kg/cm2でスプレ
ーし、 露出したアルカリ可溶層を除去した。アルカリ
可溶層と光吸収層からなるエッチングレジスト層を顕微
鏡で観察したところ、片側約2μmのサイドエッチング
はあったものの、画像部の欠落、非画像部の汚れ等の欠
陥は確認されなかった。また、貫通孔内部を観察したと
ころ、光吸収層が貫通孔壁面を覆っており、ピンホール
等の欠陥は確認されなかった。
【0109】プリント配線板の製造 光吸収層およびアルカリ可溶層の非回路部を除去したあ
と、市販の塩化第二鉄溶液(45℃)をスプレー圧3.
0kg/cm2で60秒間スプレーし、 非回路部の銅め
っき層および銅箔を除去した。続いて35℃の3.0%
水酸化ナトリウム溶液をスプレー圧3.0kg/cm2
で1分間スプレーし、 残存する光吸収層およびアルカ
リ可溶層を剥離した。得られたプリント配線板の銅回路
には、欠落は確認されなかった。また、貫通孔内部を顕
微鏡で観察したところ、内部の銅は完全に残存してお
り、貫通孔等の欠陥は確認されなかった。
【0110】実施例5絶縁性基板の調製 紙基材エポキシ樹脂板(200×300×1.6mm)
に脱脂、コンディショナー処理(奥野製薬(株);OP
C−380コンディクリーンM)を行った後、プレディ
ッピング、キャタライジング、アクセラレーティング工
程(奥野製薬(株);OPC−SAL M、OPC−8
0キャタリストM、OPC−555アクセラレーター
M)を行い、金属パラジウムを両表面に析出させ、アデ
ィティブ法によるプリント配線板製造用絶縁性基板とし
た。
【0111】アルカリ可溶層および光吸収層の形成 上記絶縁性基板の両面に表7の塗布液を用いて、カーテ
ンコート法により塗布後、90℃で10分間乾燥させ
て、アルカリ可溶層(膜厚5.0μm)を得た。さら
に、表2の塗布液を用いて、ロールコート法により塗布
後、90℃で10分間乾燥させて、光吸収層(膜厚15
μm)を得た。
【0112】
【表7】
【0113】レーザー照射による光吸収層の除去 光吸収層を形成した後、Nd:YAGレーザー(QUA
NTRONIX社製;MODEL 116)を回路部に
相当する光吸収層に照射し、除去した。光吸収層の除去
部の断面を顕微鏡で観察したところ、サイドエッチング
現象等の解像性の低下は確認されなかった。
【0114】アルカリ可溶層の除去 回路部の光吸収層を除去した後、2.0%炭酸ナトリウ
ム溶液(温度35℃)を2.0kg/cm2でスプレー
し、 露出したアルカリ可溶層を除去した。アルカリ可
溶層と光吸収層からなる画像を顕微鏡で観察したとこ
ろ、片側約3.5μmのサイドエッチングが確認された
ものの、画像部の欠落、非画像部の汚れ等の欠陥のない
画像を得ることができた。
【0115】プリント配線板の製造 不要なアルカリ可溶層を除去した後、奥野製薬(株)O
PC−750無電解銅めっき浴に25℃で1時間浸漬し
て、無電解銅めっきを行い、厚み約8μmの銅を基材の
露出面上に析出させた。この後、3.0%水酸化ナトリ
ウム溶液(40℃、スプレー圧1.0kg/cm2)を
スプレーして、 残存する光吸収層およびアルカリ可溶
層を剥離した。得られたプリント配線板の銅回路には途
中に欠落や、非回路部への銅の析出等の欠陥は確認され
なかった。
【0116】比較例2 実施例5と同様の方法で金属パラジウムを両表面に析出
させた紙基材エポキシ樹脂板の両表面に、ドライフィル
ムフォトレジスト(日本合成化学工業(株);日合AL
PHO 371Y40、厚さ40μm)を熱圧着した。
フォトマスクを用いて、紫外光による密着露光を行った
後、30℃に加熱した1%炭酸ナトリウム溶液を用い
て、回路部に相当する部分のドライフィルムフォトレジ
ストを除去した。得られたレジスト画像の断面を顕微鏡
で観察したところ、最大15μmのサイドエッチングが
確認された。また、フォトマスクとドライフィルムフォ
トレジスト間に存在したゴミが原因であるピンホールが
確認された。
【0117】この後、実施例5と同様の方法で無電解銅
めっき処理とレジスト剥離処理を行ったところ、得られ
たプリント配線板には非回路部への銅の析出等の欠陥が
確認された。
【0118】実施例6基板への光吸収層の形成 紙基材エポキシ樹脂板の片面に銅箔を張り合わせた片面
銅張積層板(松下電工(株)製、200×300×1.
6mm、銅厚18μm)に、表8の組成を有する光吸収
層塗布液を用いて、バーコート法によりアルカリ可溶型
光吸収層を形成した。90℃で20分間乾燥させたとこ
ろ、厚さ3.9μmのアルカリ可溶型光吸収層を形成す
ることができた。
【0119】
【表8】
【0120】転写層の形成 表9の組成を有する離型剤塗布液を用いて、厚さ1μm
の離型剤層をロールコート法により片面塗布したPET
フィルム(住友スリーエム(株)製、厚さ0.6mm)
の離型剤層を塗布した側を光吸収層に向けて設置した
後、1kg/cm2のロール圧で光吸収層と転写層を圧
着した。
【0121】
【表9】
【0122】レーザーによるエッチングレジスト層の作
転写層を形成した後、エキシマレーザー(LAMBDA
PHYSIK LASERTECHNIK LPX1
00)を非回路部に照射した。次いで転写層とともに、
不要な光吸収層を除去した。銅張積層板の銅箔上におい
て、非回路部に光吸収層の残査は確認されなかった。残
存する光吸収層で形成されたエッチングレジスト層は、
線幅40μmで、サイドエッチング等は確認されず、高
い解像性を有していた。
【0123】エッチングおよびエッチングレジスト層剥
エッチングレジスト層を作製した後、45℃に加熱した
市販の塩化第二鉄溶液を60秒間スプレー(スプレー圧
3.0kg/cm2)し、露出している銅箔を除去し
た。続いて、35℃に加熱した2%炭酸ナトリウム溶液
を、スプレー圧2.0kg/cm2で30秒間スプレー
し、レジスト層を除去して、プリント配線板を得た。こ
のプリント配線板の銅配線パターンは40±1μmで、
途中断線、非回路部への銅の残存等の欠陥は確認されな
かった。
【0124】実施例7貫通孔の作製と光吸収層の形成 紙基材エポキシ樹脂基板の両面に銅箔を張り合わせた両
面銅張積層板に、0.4mmφと0.6mmφの貫通孔
を100個ずつ開けた後、銅めっき処理(奥野製薬
(株)、OPCプロセスM)を行い、貫通孔内部および
銅箔表面に8μmの銅めっき層を設けた。次いで、表4
の組成を有する光吸収層用塗布液を用いて、電着法によ
り塗布し、さらに120℃で25分間乾燥させて、貫通
孔内部を含む銅めっき層上に厚さ4.0μmのアルカリ
可溶型光吸収層を形成した。電着法では、対極(負極)
として上記銅張積層板と同面積の銅板を使い、室温(2
5℃)で100mA/dm2の直流電流を45秒間印加
した。
【0125】転写層の作製 支持体(ガラス板;厚さ0.2mm)の片面に表10の
組成を有する塗液を用いてバーコート法により厚さ20
μmの転写層を作製した。この転写層を形成したガラス
板を、転写層を光吸収層に向けて転写層と光吸収層間距
離が0.1mmになるように設置した。
【0126】
【表10】
【0127】レーザーによるエッチングレジスト層の作
転写層を形成した後、Nd:YAGレーザー(QUAN
TRONIX社製、MODEL 116)を非回路部に
照射して、不要な光吸収層を転写層に転写し、転写層を
形成してあるガラス板を外して、除去した。得られたレ
ジスト層は、線幅40μmで、サイドエッチング現象は
確認されず、高い解像性を有していた。また、貫通孔内
部を顕微鏡で観察したところ、完全にレジスト層が残存
していた。
【0128】エッチングおよびエッチングレジスト層剥
レジスト層を作製した後、実施例2と同様の方法で塩化
第二鉄溶液で、露出した銅めっき層および銅箔を除去し
た。続いて、2%炭酸ナトリウム溶液をスプレーして、
レジスト層を除去して、プリント配線板を得た。このプ
リント配線板の銅配線パターンは40±1μmで、途中
断線、非回路部への残存等の欠陥は確認されなかった。
また、貫通孔内部の銅も完全に保護されていた。
【0129】比較例3貫通孔の作製と光導電層の作製 実施例7と同様に、0.4mmφ、0.6mmφの貫通
孔を形成し、銅めっき層を形成した銅張積層板を、表1
1に示した塗布液を用いて塗布液に浸漬し、90℃で2
0分間乾燥して、光導電層を作製した。得られた光導電
層は銅層への接着性は良好で、膜厚は5.5±3.5μ
mであった。この光導電層の静電特性を川口電機(株)
製静電場測定器SP−428で測定したところ、コロナ
電圧−6.0kV印加の下で、初期電位V0(帯電時の
表面電位) −280V、電荷保持率CR(暗中10秒
間の電荷保持率) 97.0%、感度E1/2(2lxの
タングステン光を当てた後、表面電位が半分になるまで
の露光量) 3.12lx・sec.、残留電位(露光
後7秒後の表面電位)Vr −10Vと、良好であっ
た。顕微鏡で観察したところ、0.6mmφの貫通孔に
は光導電層が付着していたが、一部の0.4mmφの貫
通孔にはホールの中央部に帯状の塗布不良部が観られ
た。
【0130】
【表11】
【0131】トナー画像の作製 上記光導電層の表面を暗中で一様に接触帯電方式で−2
80Vに帯電させた後、フラッドベッドプロッター(波
長780nm)で線幅40μmの画像の非回路部に相当
する部分を露光し、静電潜像を得た。この後、正電荷ト
ナー(三菱製紙(株)「LOM−EDIII」)を用いてト
ナー層を作製し、70℃で5分間乾燥させ、トナー層を
熱定着させた。得られたトナー層は線幅40±3μm、
厚さ約2μmであった。貫通孔内部を顕微鏡で観察した
ところ、0.6mmφの貫通孔にはトナー層が満遍なく
形成されていたが、0.4mmφの貫通孔では、光導電
層の内部分へのトナー層の付着が観られなかった。
【0132】アルカリ溶出および導電層のエッチング 上記トナー層を形成した後、該トナー層をレジストとし
て比較例1でドライフィルムフォトレジスト、銅箔を除
去したのと同じ方法で処理し、回路部以外の光導電層、
銅箔および銅めっき層を除去した。続いて実施例7と同
様に35℃に加熱した2%炭酸ナトリウム溶液で処理し
た(スプレー圧 2.0kg/cm2、40秒)が、残
存する光導電層とトナー層を除去することはできず、さ
らに強アルカリ性である50℃の3.0%水酸化ナトリ
ウム溶液を用いることで(スプレー圧 2.0kg/c
2、45秒)、完全に除去することができた。得られ
た銅配線パターン(線幅40μm)は3μm程度のサイ
ドエッチングが確認された。また、貫通孔の断面を顕微
鏡で観察したところ、トナー層が形成されていない貫通
孔の銅めっき層がエッチング除去されていた。
【0133】実施例8非貫通孔を有する多層プリント配線板における第1層の
作製 基板への光吸収層の形成 紙基材エポキシ樹脂板の両面に銅層を設けたプリント配
線板用銅張積層板(三菱瓦斯化学(株)製;200×3
00×0.8mm、銅層厚18μm)の両面銅層上にニ
ッケル層を無電解ニッケルめっき処理により形成した。
この両面のニッケル層上に、表8の組成を有する塗布液
を用いてロールコート法により光吸収層を形成した。9
0℃で20分間乾燥させたところ、厚さ4.1μmの光
吸収層を形成することができた。
【0134】転写層の形成 上記光吸収層の片面に、表9の組成を有する塗布液を用
いて厚さ1μmの離型剤層を塗布した片面にPETフィ
ルム(住友スリーエム(株)製、厚さ0.6mm)を、
離型剤層を塗布した面を光吸収層に向けて設置した後、
1kg/cm2のロール圧で光吸収層と転写層を圧着し
た。
【0135】レーザーによるエッチングレジスト層の形
転写層を形成した後、エキシマレーザー(LAMMBD
A PHYSIK LASERTECHNIK LPX
100)を非回路部に照射した。次いで転写層ととも
に、不要光吸収層を除去した。非回路部に光吸収層の残
渣は確認されなかった。残存する光吸収層で形成された
エッチングレジスト層は、線幅約40μmで、サイドエ
ッチング等は確認されず、高い解像性を有していた。
【0136】エッチングおよびエッチングレジスト層剥
レジスト層を作製した後、45℃に加熱した市販の塩化
第二鉄溶液を60秒間スプレーし(スプレー圧 3.0
kg/cm2)、露出しているニッケル層とその下の銅
層を除去した。続いて、35℃に加熱した2.0%炭酸
ナトリウム溶液を、スプレー圧2.0kg/cm2で3
0秒間スプレーし、エッチングレジスト層を除去して、
一面に銅層とニッケル層からなる配線パターンを有し、
もう一面全面には銅層とニッケル層が完全に残存する絶
縁性基板を得た。
【0137】非貫通孔を有する多層プリント配線板の第
2層の作製 絶縁層の作製と非貫通孔の作製 上記の片面に銅層およびニッケル層からなる配線パター
ンを有する絶縁性基板の該配線パターン上に、表12の
組成からなる絶縁性感光樹脂塗布液をカーテンコート法
で塗布し、厚さ18μmの絶縁性感光光吸収層を形成し
た。この光吸収層に0.4mmφの径を有する孔のフォ
トマスクを介して紫外光を露光して絶縁性感光光吸収層
を硬化した後、14.8℃の1,1,1−トリクロロエ
タンで現像して、非貫通孔に相当する部分の未硬化絶縁
性感光光吸収層を除去して、非貫通孔を200個形成し
た。次いで、感光性光吸収層の光反応性を完全に消滅さ
せるために、200℃で20分間処理して絶縁性感光光
吸収層の後硬化を行った。
【0138】次いで、銅めっき処理を行うために、まず
絶縁性感光層の表面粗化を行った。無水クロム酸40重
量部、濃硫酸20重量部、イオン交換水80重量部から
なる表面処理液に上記の基板を浸漬した後、さらに塩
酸、水酸化ナトリウム溶液に浸漬して、絶縁性感光光吸
収層の表面を粗化した。続いて、表面処理液によって第
1層の銅配線が浸食されないように保護していたニッケ
ル層をニッケル用エッチング液(メルテックス(株)
製)で処理して除去した。さらに、無電解銅めっき−電
解銅めっき処理(奥野製薬(株)製、OPCシステム
M)を行って、基板の表面に絶縁性感光光吸収層および
非貫通孔内に厚さ18μmの銅めっき層を形成した。
【0139】
【表12】
【0140】アルカリ可溶層および光吸収層の形成 上記基板の両面の銅めっき層上に、電着法により表5の
組成を有する塗布液を用いてアルカリ可溶層を形成し
た。120℃で15分間乾燥させたところ、膜厚3.5
μmのアルカリ可溶層を得た。電着法では、対極(負
極)として基板と同面積の銅板(厚さ2mm)を用い、
室温(25℃)で100mA/dm2の直流電圧を45
秒間印加した。次いで、電着法により表13の組成を有
する塗布液を用いて光吸収層を形成した。90℃で10
分間乾燥させたところ、厚さ5.3μmの光吸収層を形
成することができた。電着法では、対極(正極)として
基板と同面積の銅板(厚さ2mm)を用い、室温(25
℃)で200Vの直流電圧を45秒間印加した。
【0141】
【表13】
【0142】転写層の形成 PETフィルム(住友スリーエム(株)製、厚さ0.6
mm)からなる転写層を基板の非貫通孔を有する側に設
置して、1kg/cm2で圧着させた。
【0143】レーザーによる光吸収層の除去とアルカリ
可溶層の除去 転写層を形成した後、半導体レーザー(780nm)を
非回路部に照射して、不要の光吸収層を転写層に転写し
て、転写層を共に剥離した。得られたエッチングレジス
ト層は線幅40μmで、サイドエッチング現象は確認さ
れず、高い解像性を有していた。次いで、2.0%炭酸
ナトリウム溶液(温度35℃)を2.0kg/cm2
スプレーし、露出したアルカリ可溶層を除去した。アル
カリ可溶層と光吸収層からなるエッチングレジスト層を
顕微鏡で観察したところ、片側約2μmのサイドエッチ
ングはあったものの、画像部の欠落、非画像部の汚れ等
の欠陥は確認されなかった。また、貫通孔内部を観察し
たところ、光吸収層が貫通孔壁面を覆っており、ピンホ
ール等の欠陥は確認されなかった。
【0144】エッチングおよびエッチングレジスト層剥
レジスト層を作製した後、実施例2と同様の方法で塩化
第二鉄溶液で、露出した銅めっき層をおよび銅箔を除去
した。続いて、2%炭酸ナトリウム溶液をスプレーし
て、エッチングレジスト層を除去し、プリント配線板を
得た。このプリント配線板の第2層の銅配線パターンの
線幅は40±1μmで、途中断線、非回路部への銅の残
存等の欠陥は確認されなかった。また、非貫通孔内部を
顕微鏡で確認したところ、完全に銅めっき層が残存して
いた。
【0145】実施例9基板への光吸収層の形成 紙基材エポキシ樹脂板の片面に銅箔を張り合わせた片面
銅張積層板(松下電工(株)製、200×300×1.
6mm、銅厚18μm)に、表14の組成を有する光吸
収層塗布液を用いて、バーコート法により光吸収層を形
成した。90℃で20分間乾燥させたところ、厚さ4.
0μmの光吸収層を形成することができた。
【0146】
【表14】
【0147】転写層の形成 実施例6と同様に表9の組成を有する離型剤塗布液を用
いて、厚さ1μmの離型剤層をロールコート法により片
面に塗布したPETフィルム(住友スリーエム(株)
製、厚さ0.6mm)の離型剤層を塗布した側を光吸収
層に向けて設置した後、1kg/cm2のロール圧で光
吸収層と転写層を圧着した。
【0148】レーザーによるエッチングレジスト層の作
転写層を形成した後、半導体レーザー(波長780n
m)を非回路部に照射した。次いで転写層とともに、不
要な光吸収層を除去した。銅張積層板の銅箔上におい
て、非回路部に光吸収層の残査は確認されなかった。残
存する光吸収層で形成されたエッチングレジスト層は、
線幅40μmで、サイドエッチング等は確認されず、高
い解像性を有していた。
【0149】エッチングおよびエッチングレジスト層剥
エッチングレジスト層を作製した後、45℃に加熱した
市販の塩化第二鉄溶液を60秒間スプレー(スプレー圧
3.0kg/cm2)し、露出している銅箔を除去し
た。続いて、2−プロピルアルコール/2−ブタノン
(重量組成比1/1)に浸漬し、エッチングレジスト層
を除去して、プリント配線板を得た。このプリント配線
板の銅配線パターンは30±1μmで、途中断線、非回
路部への銅の残存等の欠陥は確認されなかった。
【0150】実施例10アルカリ可溶層および光吸収層の作製 実施例1と同様の方法で作製した印刷版用基材(111
0×398mm)の表面処理面に表5の塗布液を用いて
電着法により塗布後、120℃で15分間乾燥させて、
アルカリ可溶層(膜厚2.0μm)を得た。電着法で
は、対極(負極)として基材と同面積のステンレス板
(厚さ2mm)を用い、室温25℃で100mA/dm
2の直流電圧を25秒間印加した。
【0151】さらに、アルカリ可溶層形成後の基材を表
4の組成を有する光吸収層用塗布液を用いて、電着法に
より塗布し、さらに120℃で25分間乾燥させて、ア
ルカリ可溶層上に厚さ4.0μmのアルカリ可溶型光吸
収層を形成した。電着法では、対極(負極)として基材
と同面積のステンレス板(厚さ2mm)を用い、室温
(25℃)で100mA/dm2の直流電流を45秒間
印加した。
【0152】転写層の形成 表9の組成を有する離型剤塗布液を用いて、厚さ1μm
の離型剤層をロールコート法により片面塗布したPET
フィルム(住友スリーエム(株)製、厚さ0.6mm)
の離型剤層を塗布した側を光吸収層に向けて設置した
後、1kg/cm2のロール圧で光吸収層と転写層を圧
着した。
【0153】レーザーによる光吸収層の除去 転写層を形成した後、Nd:YAGレーザー(QUAN
TRONIX社製;MODEL 116)を非画像部に
照射して不要な光吸収層を除去した。次いで転写層とと
もに、不要な光吸収層を除去した。光吸収層の除去部の
断面を顕微鏡で観察したところ、サイドエッチング現象
等の解像性の低下は確認されなかった。
【0154】アルカリ可溶層の除去 非画像部の光吸収層を除去した後、2.0%炭酸ナトリ
ウム溶液(温度35℃)を2.0kg/cm2でスプレ
ーし、露出したアルカリ可溶層を除去した。アルカリ可
溶層と光吸収層からなる画像を顕微鏡で観察したとこ
ろ、片側約2μmのサイドエッチングが確認されたもの
の、画像部の欠落、非画像部の汚れ等の欠陥のない画像
を得ることができた。
【0155】印刷 上記方法で作製した、アルミ板上に画像を有する印刷版
を用いて、オフセット印刷機(ハマダスター 600 C
D)にて印刷を行なったところ、少なくとも8万枚まで
は印刷物に汚れの発生もなく良好な印刷物が得られた。
【0156】実施例11アルカリ可溶層および光吸収層の作製 実施例1と同様の方法で作製した印刷版用基材(111
0×398mm)の表面処理面に表5の塗布液を用いて
電着法により塗布後、120℃で15分間乾燥させて、
アルカリ可溶層(膜厚2.0μm)を得た。電着法で
は、対極(負極)として基材と同面積のステンレス板
(厚さ2mm)を用い、室温25℃で100mA/dm
2の直流電圧を25秒間印加した。
【0157】さらに、アルカリ可溶層形成後の基材を表
4の組成を有する光吸収層用塗布液を用いて、電着法に
より塗布し、さらに120℃で25分間乾燥させて、ア
ルカリ可溶層上に厚さ4.0μmのアルカリ可溶型光吸
収層を形成した。電着法では、対極(負極)として基材
と同面積のステンレス板(厚さ2mm)を用い、室温
(25℃)で100mA/dm2の直流電流を45秒間
印加した。
【0158】レーザー照射による光吸収層の除去 光吸収層を形成した後、Nd:YAGレーザー(QUA
NTRONIX社製;MODEL 116)を非画像部
に照射して不要な光吸収層を除去した。光吸収層の除去
部の断面を顕微鏡で観察したところ、サイドエッチング
現象等の解像性の低下は確認されなかった。
【0159】アルカリ可溶層の除去 非画像部の光吸収層を除去した後、2.0%炭酸ナトリ
ウム溶液(温度35℃)を2.0kg/cm2でスプレ
ーし、露出したアルカリ可溶層を除去した。アルカリ可
溶層と光吸収層からなる画像を顕微鏡で観察したとこ
ろ、片側約2μmのサイドエッチングが確認されたもの
の、画像部の欠落、非画像部の汚れ等の欠陥のない画像
を得ることができた。
【0160】印刷 上記方法で作製した、アルミ板上に画像を有する印刷版
を用いて、オフセット印刷機(ハマダスター 600 C
D)にて印刷を行なったところ、少なくとも8万枚まで
は印刷物に汚れの発生もなく良好な印刷物が得られた。
【0161】実施例12貫通孔の作製 紙基材エポキシ樹脂基板の両面に銅箔を張り合わせた両
面銅張積層板に、0.4mmφと0.6mmφの貫通孔
を100個ずつ開けた後、銅めっき処理(奥野製薬
(株)、OPCプロセスM)を行い、貫通孔内部および
銅箔表面に8μmの銅めっき層を設けた。
【0162】アルカリ可溶層と光吸収層の形成 上記貫通孔を作製した両面銅張積層板に、表5の組成を
有するアルカリ可溶層塗布液を用いて電着法により塗布
後、120℃で15分間乾燥させて、アルカリ可溶層
(膜厚3.5μm)を得た。電着法では、対極(負極)
として銅張積層板のと同面積の銅板(厚さ2mm)を用
い、室温(25℃)で100mA/dm2の直流電圧を
45秒間印加した。顕微鏡で貫通孔内部を観察したとこ
ろ、貫通孔壁面にも均一なアルカリ可溶層が形成されて
いることが確認された。
【0163】さらに、アルカリ可溶層形成後の銅張積層
板を表15の組成を有する光吸収層用塗布液を用いて、
電着法により塗布し、さらに120℃で25分間乾燥さ
せて、貫通孔内部を含む銅めっき層上に厚さ5.5μm
のアルカリ可溶型光吸収層を形成した。電着法では、対
極(正極)として上記銅張積層板と同面積の銅板を使
い、室温(25℃)で200Vの直流電流を45秒間印
加した。
【0164】
【表15】
【0165】転写層の作製 支持体(ガラス板;厚さ0.2mm)の片面に表10の
組成を有する塗液を用いてバーコート法により厚さ20
μmの転写層を作製した。この転写層を形成したガラス
板を、転写層を光吸収層に向けて転写層と光吸収層間距
離が0.1mmになるように設置した。
【0166】レーザーによるエッチングレジスト層の作
転写層を形成した後、Nd:YAGレーザー(QUAN
TRONIX社製、MODEL 116)を非回路部に
照射して、不要な光吸収層を転写層に転写し、転写層を
形成してあるガラス板を外して、除去した。得られたレ
ジスト層は、線幅40μmで、サイドエッチング現象は
確認されず、高い解像性を有していた。また、貫通孔内
部を顕微鏡で観察したところ、完全にレジスト層が残存
していた。
【0167】エッチングおよびエッチングレジスト層剥
レジスト層を作製した後、実施例2と同様の方法で塩化
第二鉄溶液で、露出した銅めっき層および銅箔を除去し
た。続いて、2%炭酸ナトリウム溶液をスプレーして、
レジスト層を除去して、プリント配線板を得た。このプ
リント配線板の銅配線パターンは40±1μmで、途中
断線、非回路部への残存等の欠陥は確認されなかった。
また、貫通孔内部の銅も完全に保護されていた。
【0168】実施例13絶縁性基板の調製 紙基材エポキシ樹脂板(200×300×1.6mm)
に0.4mmφおよび0.6mmφの貫通孔を100個
ずつ開けた後、脱脂、コンディショナー処理(奥野製薬
(株);OPC−380コンディクリーンM)を行い、
次いでプレディッピング、キャタライジング、アクセラ
レーティング工程(奥野製薬(株);OPC−SAL
M、OPC−80キャタリストM、OPC−555アク
セラレーターM)を行って、金属パラジウムを貫通孔を
含む両表面に析出させ、アディティブ法によるプリント
配線板製造用絶縁性基板とした。
【0169】アルカリ可溶層および光吸収層の形成 上記絶縁性基板の両面に表7の塗布液を用いて、カーテ
ンコート法により塗布後、90℃で10分間乾燥させ
て、アルカリ可溶層(膜厚5.0μm)を得た。さら
に、表2の塗布液を用いて、ロールコート法により塗布
後、90℃で10分間乾燥させて、光吸収層(膜厚15
μm)を得た。
【0170】転写層の形成 実施例6と同様に表9の組成を有する離型剤塗布液を用
いて、厚さ1μmの離型剤をロールコート法により片面
に塗布したPETフィルム(住友スリーエム(株)製、
厚さ0.6mm)の離型剤を塗布した側を光吸収層に向
けて設置した後、1kg/cm2のロール圧で光吸収層
を転写層を圧着した。
【0171】レーザー照射による光吸収層の除去 転写層を形成した後、半導体レーザー(波長780n
m)を回路部に相当する光吸収層に照射した。次いで転
写層とともに、不要な光吸収層を除去した。光吸収層の
除去部の断面を顕微鏡で観察したところ、サイドエッチ
ング現象等の解像性の低下は確認されなかった。
【0172】アルカリ可溶層の除去 回路部の光吸収層を除去した後、2.0%炭酸ナトリウ
ム溶液(温度35℃)を2.0kg/cm2でスプレー
し、 露出したアルカリ可溶層を除去した。アルカリ可
溶層と光吸収層からなる画像を顕微鏡で観察したとこ
ろ、片側約3.5μmのサイドエッチングが確認された
ものの、画像部の欠落、非画像部の汚れ等の欠陥のない
画像を得ることができた。また、貫通孔内にもアルカリ
可溶層および光吸収層の残存は確認できなかった。
【0173】プリント配線板の製造 不要なアルカリ可溶層を除去した後、奥野製薬(株)O
PC−750無電解銅めっき浴に25℃で1時間浸漬し
て、無電解銅めっきを行い、厚み約8μmの銅を基材の
露出面上に析出させた。この後、3.0%水酸化ナトリ
ウム溶液(40℃、スプレー圧1.0kg/cm2)を
スプレーして、 残存する光吸収層およびアルカリ可溶
層を剥離した。得られたプリント配線板の銅回路には途
中に欠落や、非回路部への銅の析出等の欠陥は確認され
なかった。
【0174】実施例14絶縁性基板の調製 紙基材エポキシ樹脂板(200×300×1.6mm)
に0.4mmφおよび0.6mmφの貫通孔を100個
ずつ開けた後、脱脂、コンディショナー処理(奥野製薬
(株);OPC−380コンディクリーンM)を行い、
次いでプレディッピング、キャタライジング、アクセラ
レーティング工程(奥野製薬(株);OPC−SAL
M、OPC−80キャタリストM、OPC−555アク
セラレーターM)を行って、金属パラジウムを貫通孔を
含む両表面に析出させ、アディティブ法によるプリント
配線板製造用絶縁性基板とした。
【0175】光吸収層の形成 上記絶縁性基板の両面に、表16の塗布液を用いて、ロ
ールコート法により塗布後、90℃で10分間乾燥させ
て、光吸収層(膜厚20μm)を得た。
【0176】
【表16】
【0177】転写層の形成 実施例6と同様に表9の組成を有する離型剤塗布液を用
いて、厚さ1μmの離型剤層をロールコート法により片
面に塗布したPETフィルム(住友スリーエム(株)
製、厚さ0.6mm)の離型剤層を塗布した側を光吸収
層に向けて設置した後、1kg/cm2のロール圧で光
吸収層を転写層を圧着した。
【0178】レーザー照射による光吸収層の除去 転写層を形成した後、半導体レーザー(波長780n
m)を回路部に相当する光吸収層に照射した。次いで転
写層とともに、不要な光吸収層を除去した。光吸収層の
除去部の断面を顕微鏡で観察したところ、サイドエッチ
ング現象等の解像性の低下は確認されなかった。また、
貫通孔内にも光吸収層の残存は確認されなかった。
【0179】プリント配線板の製造 不要なアルカリ可溶層を除去した後、奥野製薬(株)O
PC−750無電解銅めっき浴に25℃で1時間浸漬し
て、無電解銅めっきを行い、厚み約8μmの銅を基材の
露出面上に析出させた。この後、3.0%水酸化ナトリ
ウム溶液(40℃、スプレー圧1.0kg/cm2)を
スプレーして、 残存する光吸収層およびアルカリ可溶
層を剥離した。得られたプリント配線板の銅回路には途
中に欠落や、非回路部への銅の析出等の欠陥は確認され
なかった。
【0180】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明の画像形成
材料、画像形成方法およびプリント配線板の製造方法で
は、コンピューター・ツゥ・プレートに対応したレーザ
ー直接描画法に対応することができ、高い解像性を有す
る画像またはレジスト層を容易に形成することができ
る。したがって、ファインパターンを有する印刷版や電
子回路等を容易に製造することができる。特に、貫通孔
および/または非貫通孔を有する多層プリント配線板を
製造するにあたって、サブトラクティブ法ではエッチン
グ工程での孔内の導電層の保護を確実に行うことがで
き、アディティブ法では導電層形成工程で孔内に確実に
導電層を形成することができ、高密度化に対応したプリ
ント配線板を製造することができるという秀逸な効果を
もたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成材料の一例を表す概略図
【図2】本発明の画像形成材料の他の例を表す概略図
【図3】本発明の画像形成方法の一例を表す概略図
【図4】本発明の画像形成方法の他の例を表す概略図
【図5】本発明のプリント配線板の製造方法に係わるエ
ッチングレジスト層形成方法の一例を表す概略図
【図6】本発明のプリント配線板の製造方法に係わるエ
ッチングレジスト層形成方法の他の例を表す概略図
【図7】本発明のプリント配線板の製造方法に係わるめ
っきレジスト層形成方法の一例を表す概略図
【図8】本発明のプリント配線板の製造方法に係わるめ
っきレジスト層形成方法の他の例を表す概略図
【図9】本発明のプリント配線板の製造方法に係わるエ
ッチングレジスト層形成方法の一例を表す概略図
【図10】サブトラクティブ法によるプリント配線板の
製造方法を表す概略図
【図11】アディティブ法によるプリント配線板の製造
方法を表す概略図
【符号の説明】
1 基材 2 アルカリ可溶層 3 光吸収層 4 転写層 1R、2R、1R’ エッチングレジスト層 3R、4R めっきレジスト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H05K 3/00 H05K 3/06 G 3/06 H L 3/18 D 3/18 B41M 5/26 S (56)参考文献 特開 平1−116539(JP,A) 特開 平3−81771(JP,A) 特開 平5−273743(JP,A) 特開 平4−37854(JP,A) 特開 平5−21305(JP,A) 特開 平4−209517(JP,A) 特開 平6−219052(JP,A) 特開 平7−297100(JP,A) 特開 平8−29986(JP,A) 特開 昭52−139507(JP,A) 特開 昭52−18320(JP,A) 特開 昭59−184334(JP,A) 特表 平5−508941(JP,A) 国際公開94/003838(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 7/00 - 7/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上にアルカリ可溶層と光吸収層を順
    に設けた画像形成材料の該光吸収層における不要部分を
    マスクを介することなく直接レーザーを照射することに
    より除去し、次いで露出したアルカリ可溶層をアルカリ
    液にて除去することを特徴とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 基材上にアルカリ可溶層と光吸収層を順
    に設け、かつ該光吸収層に対向して近接する転写層を設
    けた画像形成材料に、転写層方向よりマスクを介するこ
    となく直接レーザーを照射して不要部分の光吸収層を転
    写層に転写させた後、転写層とともに剥離除去し、次い
    で露出したアルカリ可溶層をアルカリ液にて除去するこ
    とを特徴とする画像形成方法。
  3. 【請求項3】 絶縁性基板の少なくとも片面に導電層を
    設けた基板の該導電層上に回路部に相当するエッチング
    レジスト層を形成した後、該エッチングレジスト層で被
    覆されていない導電層をエッチング除去し、かつ場合に
    応じて残存するエッチングレジスト層を除去するプリン
    ト配線板の製造方法において、導電層上にアルカリ可溶
    層と光吸収層を順に設け非回路部に相当する光吸収層を
    マスクを介することなく直接レーザーを照射することに
    より除去し、次いで露出したアルカリ可溶層をアルカリ
    液にて除去してエッチングレジスト層を形成することを
    特徴とするプリント配線板の製造方法。
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