JP3464070B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子および電子写真感光体素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子および電子写真感光体素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機エレクトロルミネ
ッセンス素子、電子写真感光体素子に適応可能な新規ジ
スチルベン化合物並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス素子(EL素
子)は、自己発光のため視認性が高く、また完全固体素
子であり、耐衝撃性に優れるという特徴を有しているこ
とから、現在、無機および有機化合物を用いた種々の素
子が提案され、かつ実用化が試みられている。これらの
うち、特に、有機EL素子は印加電圧を大幅に低下させ
ることができるので、各種材料、素子の開発が進められ
ている。
【0003】有機EL素子の構成は、陽極/発光層/陰
極を基本構成として、発光性能を向上させるために正孔
注入層、電子注入層または正孔障壁層等を必要に応じて
設けることが知られている。これらのうち、発光層と陰
極との間に正孔障壁層を形成する場合には、正孔障壁層
のエネルギーレベルが、発光層のエネルギーレベルと異
なるような材料を用いなければならない。例えば、特開
平2−195683号公報には、発光層と陰極との間
に、発光層の第一酸化電位より0.1V以上大きな第一
酸化電位を有する正孔阻止層(正孔障壁層)を設ける技
術が記載されている。また、特開平2−195683号
公報および特開平2−255788号公報には、正孔障
壁層として8−ヒドロキシキノリン誘導体を用いること
が記載されている。
【0004】しかし、正孔障壁層として8−ヒドロキシ
キノリン誘導体を用いた場合でも、青系統の発光につい
ては、発光効率が0.3(1m・W-1)と低い。一方、
特願平2−242669号公報および特願平2−279
304号公報に記載されている材料を発光層に用いた場
合には、青系統における高輝度の発光を得ることができ
るため、今後、フラットパネルディスプレイ等のフルカ
ラー化に向けて有効に利用することが期待されている。
しかし、これらの材料を用いて陽極/発光層/陰極/ま
たは陽極/正孔注入層/発光層/陰極といった構成を有
する素子を形成した場合、発光むらや無発光領域を生じ
ることがあるとともに、素子の寿命、微細加工等の実用
化への問題点は、未だ解決されていない。
【0005】電子写真感光体素子については、感光体を
形成する材料がすでにSe、ZnO、CdS等の無機系
材料から各種の有機系顔料および染料等の有機系材料に
とってかわりつつあり、その要因しては、次のような理
由が考えられる。つまり、有機系材料は、(1)化合物
の多様性より種々の用途に応じた材料が得やすい。
(2)蒸着をしなくても塗布方式で容易に感光体を作製
できる。(3)安全上の問題が少ない。(4)環境持性
が良い(特に高温高湿時での劣化が少ない)。(5)耐
久持性においても問題がない。(6)高耐刷性が得られ
ている。
【0006】また、有機系材料を利用するようになった
初期の段階で、特に問題とされていた感度上の問題は、
導電性支持体上に、順次電荷発生層および電荷輸送層を
積層して構成される感光体を用いることにより、いまや
完全に解消しており、特に近年は、小径化でコピー速度
の速い感光体や、高コピー速度で耐コピー毎数の大きな
感光体が求められてきている。
【0007】機能分離型の電子写真感光体は、製造上好
ましい材料を広い範囲から選択できるばかりでなく、光
感度および耐久性を向上させることが可能な材料の選択
の幅が広いという利点をも有している。例えば、具体的
な有機系材料としては、アゾ顔料、ベリレン顔料、多環
キノン顔料およびインジゴイド顔料(特開昭54−13
9540号、同55−88064号、同56−4148
号、同56−14240号、同56−119131号、
同63−935455号、同63−63046号、特願
平1−109352号、USP4952472号、DE
−2237680、同2734288号)等、さらにピ
ロロピロール化合物(USP4632893号)が挙げ
られる。
【0008】感光体を構成する電荷輸送性物質として
は、トルエン、ジクロルエタンまたは塩化メチレン等に
可溶なオキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、
トリフェニルアミン化合物、スチリル化合物、ヒドラゾ
ン化合物およびエナミン化合物(特開平1−23628
0号公報、特開平1-226859号公報、特公平3−3
0133号公報、特公昭60−34099号公報、特開
平1−261648号公報、特開平2−272571号
公報、特開昭58−131954号公報、特開平4−1
01153号公報および特開平4−149446号公
報)が挙げられるが、これらのうちのほとんどが皮膜形
成能に乏しいために、通常バインダー樹脂が加えられ
る。これら樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリ
アリレート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリサルフォ
ン樹脂が挙げられ、電荷輸送性物質とほぼ同量もしくは
10%程度多く使用されており、機械的劣化が少なく、
かつ輸送効率の高い(膜厚が厚くしても著しい感度低下
現象が起こりにくい。)バインダー樹脂、電荷輸送性物
質が強く求められてきている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機EL
素子および電子写真感光体素子のそれぞれの課題に対応
する有機材料を合成・評価した結果、新規の構造を有す
るジスチルベン化合物が有効であることを見出した。す
なわち、本発明によれば、基体上に少なくとも陽極、発
光層、接着層および陰極がこの順に積層されてなり、前
記発光層が式(I)
【0010】
【化5】
【0011】(式中、Arはメチレン基または置換され
ていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基、Ar1
置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基、
1は置換されていてもよい低級アルキル基、5員環も
しくは6員環を形成する複素環基、置換されていてもよ
いアラルキル基または置換されていてもよい炭素数6〜
14のアリール基、R2およびR3は水素原子、低級アル
キル基または置換されていてもよい炭素数6〜14のア
リール基を表わす。)で示されるジスチルベン化合物を
含有する有機エレクトロルミネッセンス素子が提供され
る。
【0012】また、別の観点から本発明によれば、導電
性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層とをこの順で積
層してなる感光層を有し、前記電荷輸送層が上記式
(I)で示されるジスチルベン化合物を含有する電子写
真感光体が提供される。本発明の有機EL素子における
基体としては、特に限定されるものではなく、例えば、
ガラス、セラミックス、硬質プラスチックス等の種々の
材質のものを使用することができ、好ましくは透明な基
板が挙げられる。
【0013】また、陽極を形成する電極材料としては、
仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導
性化合物およびこれらの混合物を用いることが好まし
い。このような電極材料の具体例としては、Au等の金
属、CuI、ITO、SnO2またはZnO等の誘電性
透明材料が挙げられる。これら電極材料の膜厚は、特に
限定されるものではないが、10nm〜1μm、好まし
くは10〜200nmの範囲で適宜選択することが好ま
しい。陽極を形成する場合には、上記電極材料を蒸着、
スパッタリング等の公知の方法により作製することがで
きる。陽極としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下とな
るように設定することが好ましい。また、この電極より
発光を取り出す場合には、透過率が10%より大きくな
るような材料を用いて作製することが好ましい。
【0014】本発明の有機EL素子における発光層とし
ては、上記式(I)の化合物を含有して形成され、通常
の発光層と同様、注入機能(電圧印加時に、陽極また
は正孔注入層より正孔を注入可能であり、かつ陰極また
は電子注入層より電子を注入可能である。)、輸送機
能(正孔および電子を電界の力により移動させることが
可能である。)、発光機能(正孔と電子の再結合の場
を提供し、発光させることが可能である。)を有すると
ともに、上記の機能を発光につなげる発光機能等を有す
るものである。なお、正孔の注入されやすさと、電子の
注入されやすさには違いがあっても構わない。また、正
孔と電子の移動度で表される輸送機能に大小があっても
よいが、どちらか一方を移動することが好ましい。発光
層の膜厚は、特に限定されるものではないが、好ましく
は1nm〜10μm、特に好ましくは、5nm〜5μm
である。発光層を形成する方法としては、例えば、蒸着
法、スピンコート法、キャスト法ままたはLB法等の公
知の方法により形成でき、特に分子堆積膜であることが
好ましい。ここで分子堆積膜とは、物質の気相状態から
沈着されて形成した薄膜や、溶液状態または液相状態か
ら固体化された膜を意味し、LB法により形成されたい
わゆる分子累積膜とは、凝集構造、高次構造の相異や、
それに起因する機能的な相異により区分することができ
る。また、この発光層は、特開昭59−194393号
公報等に開示されているように、樹脂等の結着剤を、上
記式(I)の化合物とともに溶剤に溶かした液を、スピ
ンコート法等により薄膜化して形成することができる。
【0015】式(I)のArにおける「置換されていて
もよい炭素数6〜20のアリーレン基」とは、P−フェ
ニレン基、m−フェニレン基、4,4−ビフェニレン
基,1,4−ナフチレン基、ターフェニレン基または
【0016】
【化6】
【0017】が挙げられる。Ar1 における「置換され
ていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基」とは、P
−フェニレン基、m−フェニレン基、4,4−ビフェニ
レン基,1,4−ナフチレン基、ターフェニレン基また
はこれらの基に1つまたは2つのメチル基、エチル基等
の低級アルキル基が置換されているものが挙げられる。
なかでも、材料の入手および合成上の観点からはArお
よびAr1 はいずれもP−フェニレン基であることが好
ましい。
【0018】R1における「置換されていてもよい低級
アルキル基」としては、例えば、ハロゲン原子等で置換
されていてもよい直鎖または分枝の炭素数1〜5のアル
キル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、t−ブチル
基、ペンチル基、クロルメチル基、クロルエチル基等が
挙げられる。「5員環または6員環の複素環基」とは、
フリル基、ピリジル基、インドリル基、インダゾリル
基、ピラゾリジル基、ピラジニル基、キノリル基、ピラ
ゾリル基等が挙げられる。「置換されていてもよいアラ
ルキル基」とは、ベンジル基、P−メチルベンジル基、
P−クロルベンジル基、ベンズヒドリル基、2−ナフタ
レンメチレン基、9−アントラセンメチレン基等が挙げ
られる。「置換されていてもよい炭素数6〜14のアリ
ール基」としては、フェニル基、4−ビフェニル基、ナ
フチル基、2−アントリル基、P−メチレンフェニル
基、P−メトキシフェニル基、m−メチルフェニル基、
1,2−メチレンジオキシフェニル基、1−ナフチル
基、2−ナフチル基等が挙げられる。なかでも、フェニ
ル基またはメトキシ基、メチル基若しくはエチル基等の
電子供与性で置換されたフェニル基が好ましい。
【0019】R2 およびR3 における「低級アルキル
基」としては、炭素数1〜5の直鎖または分枝のアルキ
ル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、iso−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、
ペンチル基等が挙げられる。「置換されていてもよい炭
素数6〜14のアリール基」としては、R1 におけるも
のと同様のものを使用することができる。なかでも、R
2 およびR3 のいずれもがP−メトキシフェニル基もし
くはR2 がメチル基かつR3 がフェニル基であることが
好ましい。
【0020】本発明における式(I)の化合物のうち、
好ましくは下記式(II)の化合物が挙げられる。
【0021】
【化7】
【0022】(式中、R4 は水素原子、ハロゲン原子、
低級アルキル基または低級アルコキシ基、nは1または
2の整数である。) 上記式(II)において、R4 の「低級アルキル基」とし
ては、上記R2 と同様の低級アルキル基、「低級アルコ
キシ基」としては、炭素数1〜5のアルコキシ基を意味
し、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基、ペントキシ基が挙げられ、なかでも、メトキシ基お
よびエトキシ基が好ましい。
【0023】具体的には、下記で示されるジスチルベン
化合物が好ましく、特に、式(II)の化合物である例示
化合物1、6、9、12、17、18、32がより好ま
しい。
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】
【化12】
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
【0032】本発明における有機EL素子の接着層は、
発光層および陰極に対し付着性の高い材料を用いて形成
することが好ましい。接着層の材料としては、8−ヒド
ロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体を挙げるこ
とができる。具体的には、8−キノリノールまたは8−
ヒドロキシキノリン等のオキシンのキレートを含む金属
キレートオキシノイド化合物である。この際の接着層の
膜厚は、発光色を青系統に維持するために上記発光層の
厚さより薄いことが必要であり、好ましくは1〜50n
m、特に好ましくは5〜30nmである。この接着層
は、例えば、スピンコート法、キャスト法、蒸着法等の
公知の方法により形成することができるが、なかでも、
発光層および正孔注入層と同様、蒸着法が好ましい。
【0033】さらに、本発明における有機EL素子の陰
極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合
金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物等の電極材
料を用いて形成することが好ましい。このような電極材
料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウ
ム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混
合物、Al/(Al23 )、インジウム等が挙げられ
る。これら電極材料の膜厚は、特に限定されるものでは
ないが、10nm〜1μm、好ましくは50〜200n
mの範囲で適宜選択することが好ましい。陰極を形成す
る場合には、上記電極材料を蒸着、スパッタリング等の
公知の方法により作製することができる。また、陰極と
してのシート抵抗は、数百Ω/□以下となるように設定
することが好ましい。なお、このEL素子においては、
発光を透過させることができるように、陽極または陰極
のいずれか一方が透明または半透明であることが好まし
い。
【0034】本発明の有機EL素子においては、必ずし
も必要ではないが、発光性能の向上のため、陽極と発光
層との間に正孔注入層を設けることが好ましい。この正
孔注入層を形成する材料としては、より低い電界で正孔
を発光層に輸送する材料が好ましく、正孔の移動度が1
1〜106ボルト/cmの電場で少なくとも10-6cm
2ボルト・秒であることがより好ましい。
【0035】正孔注入層を形成する材料としては、例え
ば、従来から光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送
材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層
に使用される公知のものの中から任意のものを選択して
用いることができる。具体的には、前者の例として、シ
ラザン誘導体(米国特許第4950950号明細書)、
ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニ
リン系共重合体(特開平2−282263号公報)、ま
た特願平1−211399号明細書で示された導電性高
分子オリゴマー、チオフェンオリゴマー等が挙げられ、
後者の例としては、トリアゾール誘導体(米国特許第3,
112,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体
(米国特許第3,189,447号明細書等参照)、イミダゾー
ル誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、ポ
リアリールアルカン誘導体(米国特許第3,615,402号明
細書、同3,820,989号明細書、同3,542,544号明細書、特
公昭45−555号公報、同51−10983号公報、
特開昭51−93224号公報、同55−17105号
公報、同56−4148号公報、同55−108667
号公報、同55−156953号公報、同56−366
56号公報等参照)、ピラゾリン誘導体およびピラゾロ
ン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同4,278,746
号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−8
8065号公報、同49−105537号公報、同55
−51086号公報、同56−80051号公報、同5
6−88141号公報、同57−45545号公報、同
54−112637号公報、同55−74546号公報
等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,61
5,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同4
6−3712号公報、同47−25336号公報、特開
昭54−53435号公報、同54−110536号公
報、同54−119925号公報等参照)、アリールア
ミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同3,180,7
03号明細書、同3,240,597号明細書、同3,658,520号明細
書、同4,232,103号明細書、同4,175,961号明細書、同4,
012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同
39−27577号公報、特開昭55−144250号
公報、同56−119132号公報、同56−2243
7号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、ア
ミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501明細書
等参照)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203
号明細書等に記載のもの)、スチリルアントラセン誘導
体(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレ
ノン誘導体(特開昭54−110837号公報参照)、
ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特
開昭54−59143号公報、同55−52063号公
報、同55−52064号公報、同55−46760号
公報、同55−85495号公報、同57−11350
号公報、同57−148749号公報、特開平2−31
1591号公報等参照)、スチルベン誘導体(特開昭6
1−210363号公報、同61−228451号公
報、同61−14642号公報、同61−72255号
公報、同62−47646号公報、同62−36674
号公報、同62−10652号公報、同62−3025
5号公報、同60−93445号公報、同60−944
62号公報、同60−174749号公報、同60−1
75052号公報等参照)等を挙げることができる。
【0036】正孔注入層は、上記化合物の1種による単
層、2種以上の組み合わせによる単層または2種以上に
よる複数の積層層として、例えば、真空蒸着法、スピン
コート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により成
膜することにより形成することができる。この際の正孔
注入層としての膜厚は、特に限定されるものではない
が、5nm〜5μmが好ましい。
【0037】次に、本発明における電子写真感光体につ
いて説明する。本発明の電子写真感光体における導電性
支持体としては、この上に電荷発生層と電荷輸送層とか
らなる感光層を形成し、感光層に電場をかけ、感光層の
光吸収によって精製されたキャリア(電子または正孔)
を移動させるためのものであって、ドラム、板状体、シ
ート等の形状の導電体を用いることができる。導電体に
使用される材料は、例えば銅、アルミニウム等の金属、
炭素、導電性加工を施した紙またはプラスチック等が挙
げられる。
【0038】本発明の電子写真感光体における導電性支
持体の上には、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光
層を形成されている。電荷発生層としては、クロロダイ
アンブルー等のビスアゾ系化合物、ジブロムアンサンス
ロン等の多環キノン系化合物、ペリレン系化合物、キナ
クリドン系化合物、フタロシアニン系化合物、アズレニ
ウム塩系化合物等の材料を1種または2種以上併用して
形成することができる。これらの材料を用いて電荷発生
層を形成する方法としては、真空蒸着で、直接化合物に
よる膜を形成する方法、熱可塑性の高分子バインダーを
用いて上記電荷発生層材料を分散し、塗布して成膜する
方法等がある。この際の電荷発生層の膜厚は、0.1〜
1.0μm程度が好ましい。
【0039】本発明の電子写真感光体における電荷輸送
層としては、上記式(I)のジスチルベン化合物を用い
ることが好ましい。つまり、一般に電荷輸送層に用いら
れる物質は、分子量が約200〜800の低分子量化合
物のうち、特に分子量が比較的大きく、かつ共有二重結
合を有する芳香族アミン化合物が安定性、感光体の感
度、オゾン等の酸化性ガスで酸化されにくく、一定の機
械的強度を有する等の性能の点で優れていることが知ら
れているからである。上記式(I)のジスチルベン化合
物は、単独では皮膜形成能に乏しいため、熱可塑性の高
分子バインダーをほぼ同量加えて、電荷輸送層を形成す
ることが好ましい。この際の熱可塑性の高分子バインダ
ーとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹
脂、ポリエステル樹脂等のエステル系樹脂を使用するこ
とができる。電荷輸送層の厚さは、特に限定されるもの
ではなく、適宜状況に応じて選ぶことができるが、好ま
しくは、5μm〜30μmである。この電荷輸送層に用
いられる式(I)のジスチルベン化合物のうち、式(II
I)
【0040】
【化16】
【0041】(式中、Ar2 はメチレン基またはフェニ
レン基、R5 は置換されていてもよい低級アルキル基、
置換されていてもよいアラルキル基または置換されてい
てもよい炭素数6〜14のアリール基を表わす。)で示
される化合物が好ましい。式(III)のR5 における「置
換されていてもよい低級アルキル基、置換されていても
よいアラルキル基または置換されていてもよい炭素数6
〜14のアリール基」は、上記式(I)のR1 で定義さ
れているものと同様のものが挙げられる。
【0042】また、式(I)のジスチルベン化合物を電
子写真感光体素子に用いる場合には、通常、これらジス
チルベン化合物を有機溶剤に溶解して用いる場合が多い
ため、溶解性の悪い、比較的高融点のジスチルベン化合
物は好ましくない。この際の有機溶媒としては、アセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢
酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
溶解性の良好な化合物としては、式(I)の化合物にお
いて、Arがメチレン基、m−フェニレン基、3,5−
ジメチル−P−フェニレン基等であり、R1 は低級アル
キル基、電子供与基で置換されたフェニル基、R2 およ
びR3 はいずれもフェニル基もしくはR2 およびR3
いずれか1つがメチル基、他方がフェニル基の化合物が
挙げられる。
【0043】具体的には、式(I)のジスチルベン化合
物として示した下記の化合物のうち、特に、式(III)の
化合物である例示化合物1、7、9、12、29および
30がより好ましい。本発明に利用される新規ジスチル
ベン化合物は、下記合成経路により容易に合成すること
ができる。
【0044】つまり、式(IV)
【0045】
【化17】
【0046】(式中、記号は式(I)と同義である。)
で示される化合物を、式(V)
【0047】
【化18】
【0048】(式中、記号は式(I)と同義である。)
で示される化合物と1:2から1:2.5のモル比でベ
ンゼン、モノクロルベンゼン、酢酸エチル、トルエンま
たはエタノール等の溶剤中において反応させ、さらにP
−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、塩酸ま
たは酢酸等を少量加え、加熱・生成した水を系外に除く
ことにより容易に合成することができる。
【0049】また、別の合成経路によっても新規ジスチ
ルベン化合物を合成することができる。すなわち式(V
I)
【0050】
【化19】
【0051】(式中、記号は式(I)と同義である。)
で示される化合物を、式(VII)
【0052】
【化20】
【0053】(式中、Rは上記と同義、他の記号は式
(I)と同義である。)で示される化合物と2:1から
2.5:1のモル比で、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホオキサイド、ジメチルアセトアミド、エタノー
ル等の溶剤中で反応させ、さらに、ナトリウムエトキサ
イド、カリウム−tert−ブトキサイド等を式(VII)
の化合物とほぼ等モル加え、室温下もしくは70〜10
0℃の昇温下で反応させることにより容易に合成するこ
とができる。
【0054】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。 合成例1(例示化合物1の合成) 1−a)1,1−ジフェニル−2−(ジフェニルアミ
ノ)エチレンの合成 ジフェニルアミン32g及びジフェニルアセトアルデヒ
ド36.0gをベンゼン約400mlに溶解する。これに
20mgのp−トルエンスルホン酸を加え、加熱し、反応
により生ずる水を系外に除く。ベンゼン等を除去した
後、析晶した白色粉末を酢酸エチルより再結晶化し、白
色結晶56gを得る。融点は149.0〜150.0℃
であった。 1−b)1,1−ジフェニル−2−(ジフェニルアミ
ノ)エチレンのモノアルデヒド体の合成 1−a)で合成したエナミン化合物10gをジクロロエ
タン20mlに溶解し、これをオキシ塩化リン8.9g
(5.4ml)とジメチルホルムアミド5.6gにより調
合したビルスマイヤー試薬中に徐々に氷冷下加えた後、
氷冷下、室温下、加熱下(内温80〜85℃)と徐々に
反応温度を上げて反応を行なう。本反応液を5N−Na
OH水中に加え、反応液を弱アルカリ性にした後、ジク
ロロエタン中に溶解した目的物を取り出し、黄白色の粉
末状結晶9.1gを得る。融点は145.0〜145.
5℃であった。
【0055】また、本化合物のIRを測定(KBr錠剤
法)した結果、1730cm-1付近にアルデヒド基の吸
収が認められた。 1−c)p−フェニレン基含有リン化合物の合成 α,α’−ジクロル−p−キシレン4.5gと亜リン酸
トリエチル11gを窒素気流下、オイルバス中(温度1
30℃)で6時間加熱撹拌を行なった。次に過剰の亜リ
ン酸トリエリル及び副生成した塩化エチルを減圧留去し
た。これをエーテル中で放置すると白色粉末7.2gを
得る。融点は68.5〜70.0gであった。 1−d)例示化合物1の合成 1−c)で得たWittig化合物1.3gと1−b)で得た
アルデヒド化合物5.0gとをジメチルホルムアミド5
0mlに溶解し、これに室温下、tert−ブトキシポタ
シウム1.5gを徐々にスパチラより加え、2時間撹拌
を行なった。析出した強い蛍光を有する黄色粉末を取り
出し、次いで熱アセトンで十分洗浄を行ない、2.3g
のN,N’−ジエナミン基含有ジスチルベン化合物を得
る。融点は248.5〜250.5℃であった。
【0056】本化合物のIRを測定(KBr錠剤法)し
た結果、1520cm-1、1620cm-1にメチリディ
ンに基づく吸収が認められた。 合成例2(例示化合物6の合成) 2−a)1−フェニル−1−(4’−メトキシフェニ
ル)−2−(ジフェニルアミノ)エチレンの合成 フェニル−(4−メトキシフェニル)アミン20g及び
ジフェニルアセトアルデヒド21gをベンゼン300ml
に溶解させる。これに15mgのp−トルエンスルホン酸
を加えて加熱し、反応により生ずる水を系外に除く。ベ
ンゼン等を除去後メタノール100ml中で加熱還流を行
なうと白色粉末が析出する。この粉末を酢酸エチル:メ
タノールより再結晶化を行ない、白色の結晶23.4g
を得る。融点は118〜120℃であった。 2−b)1−フェニル(4−メトキシフェニル)−2−
(ジフェニルアミノ)エチレンのモノアルデヒド体の合
成 2−a)で合成したエナミン化合物12gをジクロルエ
タン20mlに溶解し、これをオキシ塩化リン8.9g
(5.4ml)とジメチルホルムアミド6.5gにより調
合したビルスマイヤー試薬中に徐々に氷冷下加えた後、
氷冷下、次いで室温下、加熱下(内温80〜85℃)と
徐々に反応温度を上げて行き、反応を行なった。最後に
反応液を5N−NaOH水溶液中に加え、水層を弱アル
カリ性にした後、ジクロロエタン中に溶解した目的物を
取り出し、酢酸エチルより再結晶を行ない、白色の粉末
状結晶9.4gを得る。融点は112.5℃〜114.
0℃であった。 2−c)例示化合物6の合成 1−c)で合成したp−フェニレン基含有リン化合物
2.1gと2−b)で合成したモノアルデヒド体9.0
gをジメチルホルムアミド100mlに溶解し、これに室
温下、tert−ブトキシポタシウム2.5gを徐々に
スパチラより加え、2時間撹拌を行なった。析出した強
い蛍光を有する黄色粉末を取り出し、次いでアセトンで
十分洗浄を行ない4.1gのN,N’−ジエナミン基含
有ジステルベン化合物を得る。融点は234.5〜23
6.5℃であった。
【0057】本化合物のIR測定でも、例示化合物1と
同様に1520cm-1及び1620cm-1付近にメチリ
ディン基に基づく吸収が認められた。 合成例3(例示化合物3の合成) 3−a)1,1−ジフェニル−2−ジ(p−メトキシフ
ェニル)アミノエチレンの合成 ジフェニルアミン32g及びジ(p−メトキシフェニ
ル)アセトアルデヒド42gをベンゼン約500mlに溶
解する。これに20mgのp−トルエンスルホン酸20mg
を加え、ディーンスターク管により反応の結果生ずる水
を系外に除く。ベンゼン等を除去した後、析晶した白色
粉末をメタノールで洗浄し、酢酸エチルより再結晶化し
て白色結晶389gを得る。 3−b)1,1−ジフェニル−2−ジ(p−メトキシフ
ェニル)アミノエチレンのモノアルデヒド体の合成 1−b)と同様の合成方法により、下記式に示す黄白色
の結晶を得る。融点は125.5〜127.0℃であっ
た。
【0058】
【化21】
【0059】3−c)例示化合物3の合成 1−d)と同様の合成方法により、強い蛍光を有する黄
橙色結晶を得る。ジメチルホルムアミドによる熱洗浄に
よって、目的物を精製した。融点は254.5〜25
7.0℃であった。本化合物のIR測定でも例示化合物
1と同様に1525cm-1及び1630cm-1付近にメ
チリディン基に基づく吸収が認められた。 合成例4(例示化合物12の合成) 4−a)ビフェニレン基含有リン化合物の合成 4,4’−ビス(クロルメチル)ビフェニル7.0gと
亜リン酸トリエチル1gとを、N2気流下、オイルバス
中、5時間加熱還流を行った。
【0060】過剰の亜リン酸トリエチル、副生成物の塩
化エチル等を減圧留去した後、析出した下記式の白色結
晶8.4gを得た。融点は98〜100.5℃であっ
た。
【0061】
【化22】
【0062】なお、この化合物は、バイルシュタインテ
ストにおいて負を示し、ハロゲンは含まれていないこと
が判った。 4−b)例示化合物12の合成 4−a)で得たWittig化合物4.2gと1−b)で得た
モノアルデヒド体7.5gをジメチルホルムアミド50
mlに溶解し、これにポタシウム−tert−ブトキサイ
ド2.4gを徐々に加え、室温下4時間撹拌した。析出
した強い蛍光を有する橙色粉末を取り出し、十分水洗
後、熱アセトンで十分洗浄を行ない橙色粉末6.5gを
得た。融点は287.5〜289.5℃であった。 合成例5(例示化合物14の合成) 4−a)で得たWittig化合物4.2gと3−b)で得た
モノアルデヒド体8.3gをジメチルホルムアミド50
mlに溶解し、これにポタシウムtert−ブトキサイド
2.4gを徐々に加え、室温下4時間撹拌した。析出し
た強い蛍光を有する橙色粉末を取り出し、十分水洗後、
熱アセトンで洗浄を行ない強い橙色の蛍光体6.7gを
得た。融点は293.5〜295.5℃であった。 合成例6(例示化合物29の合成) 6−a)メチレン基含有リン化合物の合成 1,3−ジブロモプロパン10gと亜リン酸トリエチル
20gを、N2気流下、オイルバス中で5時間加熱還流
した。過剰の亜リン酸トリエチル等を減圧留去し、更に
減圧精製することにより下記式の油状の無色透明物質7
gを得た。
【0063】
【化23】
【0064】6−b)例示化合物29の合成 6−a)で得たWittig化合物2.8gと1−b)で得た
モノアルデヒド体8.0gをジメチルホルムアミド20
mlに溶解し、これにナトリウムエチラートのアルコール
溶液を徐々に加え、室温下4時間撹拌を行なった。後一
夜放置後、反応液中に水100mlを加え、析出したアメ
状体物を酢酸エチル50mlより抽出し、十分脱水した。
その後、酢酸エチルを留去して残留物をメタノール50
ml中で加熱還流すると、徐々に黄白色粉末が生成する。
生成した粉末を取り出し、ベンゼン:n−ヘキサンによ
りカラム分離することにより未反応のモノアルデヒド体
と分離を行なう。
【0065】メタノールで熱洗後、3.6gの蛍光性を
有する黄色味の強い粉末を得た。融点は145.5〜1
47.0℃であった。 合成例7(例示化合物1の別法による合成) 7−a)ジフェニルアミンのモノアルデヒド体の合成 N−アリルジフェニルアミンのアルデヒド40gを酢酸
エチル400mlに溶解し、これに1N−塩酸水溶液10
0mlを加え、室温下激しく2時間撹拌する。加水分解に
伴ない酢酸エチル層は黄色溶液から緑色溶液に変化す
る。次いで、酢酸エチル層を無水硫酸ソーダより脱水し
た後、酢酸エチルを留去して残留物をエーテルより再結
晶し、下記式の緑白色の粉末26gを得る。融点は5
2.0〜54.5℃であった。
【0066】
【化24】
【0067】7−b)例示化合物1の合成 7−a)のモノアルデヒド体4.0gと1−c)で合成
した含有リン化合物2.1gを2−c)と同様にしてジ
スチルベン化合物4.2gを得る。このジスチルベン化
合物に2.2倍モルのジフェニルアセトアルデヒドを加
え、ジクロルベンゼン中少量の無水酢酸を加えて、加熱
脱水化することにより例示化合物1を得る。
【0068】合成例1の化合物と合成例7の化合物を少
量づつ混ぜ合わせて毛細管につめ、融点の低下現象を観
察したが、まったく低下現象は認められなかった。ま
た、IR測定を行なったが、スペクトルはまったく同一
であった。 実施例1〜5 有機エレクトロルミネッセンス素子 図1に示したように、厚さ1.1mmのガラス基板11上
にITO12を0.1μの厚さで蒸着したものを、透明
支持基板として用いた。この透明支持基板をイソプロピ
ルアルコール中、次いで純水中で超音波洗浄し、最後の
UVオゾン洗浄を行なった。
【0069】このガラス基板11を蒸着装置(日本真空
技術(株)製)のホルダーに固定し、モリブデン製の抵
抗加熱ボートにN,N′−ビス(3−メチルフェニル)
−N,N′−ジフェニル〔1,1′−ビフェニル〕(T
PD)(イオン化エネルギー:5.85eV)を200
mgを入れ、さらに別のモリブデン製ボードに、表1に
示した例示化合物1、3、6、12及び22を200m
g入れ、次いで、真空槽を1×10-4Paまで減圧し
た。その後、TPD入りの前記ボードを215〜220
℃まで加熱し、TPDを蒸着速度1〜0.3nm/se
cでITO12上に蒸着して、膜厚0.06μの正孔注
入層13を形成した。
【0070】続いて、得られたガラス基板11を真空槽
より取り出すことなく、正孔注入層13の上に、表1に
示した例示化合物1、3、6、12及び22が入ったボ
ートから、0.04μmの膜厚を有する発光層14を積
層蒸着によって形成した。蒸着条件は、ボート温度が3
30℃、蒸着速度は0.1〜0.3nm/sec、基板
温度は室温であった。
【0071】次いで、得られたガラス基板11を真空槽
より取り出し、発光層14の上にステンレススチール製
のマスクを設置し、再び基板ホルダーに固定した。次に
モリブデン製ボードにトリス(8−キノリノール)アル
ミニウム(Alq3)を200mg入れて真空槽に載置
した。また、別のモリブデン製のボートにマグネシウム
リボン1gを入れ、さらに別のタングステン製バスケッ
トに銀ワイヤーを500mg入れた。その後、真空槽を
1×10-4Paまで減圧してから、Alq3の入ったボ
ートを230℃まで加熱し、Alq3を0.01〜0.
03nm/sの蒸着速度で発光層14上に0.02μ蒸
着するとともに、同時に銀を0.1nm/sの蒸着速度
で抵抗加熱法により、さらに別のモリブデン製ボートか
らマグネシウムを1.4nm/sの蒸着速度で蒸着し
た。上記条件でマグネシウムと銀の混合金属電極を発光
層の上に1.5μm積層蒸着し、陰極15を形成した。
【0072】このようにして作製した有機エレクトロル
ミネッセンス素子の陽極12と陰極15との間に15V
の電圧を印加した時の最大発光輝度および最大発光輝度
の半減時間を測定した。その結果を表1に示した。な
お、表1のデータは、資料を真空中に置いて測定したも
のである。
【0073】
【表1】
【0074】実施例6〜10 電子写真感光体素子 導電性支持体23として、75μmの膜厚のポリエステ
ルフィルム21上に、膜厚10μmのアルミニウム膜2
2を蒸着した。また、オキシチタニウムフタロシアニン
5gをジメトキシエタン100gに加え、サンドグライ
ンド処理した後、ポリビニルブチラール樹脂(電気化学
工業(株)製、商品名:電化ブチラール♯6000C)
3gをジメトキシエタン50gに溶解した溶液に加え、
分散液を得た。この液を上記導電性支持体23上に、乾
燥後の膜厚が0.4μmになるように塗布し、電荷発生
層24を形成した。
【0075】電荷輸送性物質として表2の例示化合物
1、2、9、24および29を各10g、ポリカーポネ
ート樹脂(三菱ガス化学,Z−400)10gおよびビ
タミンE0.2gをジオキサン100mlに溶解した溶
液を調製し、この溶液を、電荷発生層24上に、乾燥後
の膜厚が23μmとなるように塗布し、電荷輸送層25
を形成してサンプルを作成した。
【0076】このようにして作成されたサンプルの電子
写真特性を静電複写紙試験装置(川口電気製、SP−4
28)を用いて評価した。その結果を表2に示す。表2
の帯電圧は、コロナ電流が22μAになるように電圧を
印加することにより負帯電した場合の電位であり、感度
は1.0ルクスの白色光を照射した際の表面電圧が−5
00Vから−250Vに半減するに要した除電露光量で
あり、残留電位は露光から10秒後の電位である。ま
た、1万回後の電子写真特性は、同装置を用いて1万回
の空エージング試験を行いった場合の帯電圧および残留
電位である(露光量:20ルックス×1秒)。
【0077】
【表2】
【0078】
【発明の効果】本発明の有機エレクトロルミネッセンス
素子の発光層および電子写真感光体素子の電荷輸送層
に、特定の新規な構造を有するジスチルベン化合物を用
いた場合には、優れた性能を示す。つまり、有機エレク
トロルミネッセンス素子として用いた場合には、高輝
度、高効率等の高機能性と熱的安定性および高非晶性に
よる長寿命の発光体を提供することができる。
【0079】また、電子写真感光体素子として用いた場
合には、優れたホール輸送効率(〜10-4cm2/V)
を有し、光劣化、熱的劣化および機械的劣化の少ない高
感度、高耐刷用感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の
実施例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の実施例を示す概略断
面図である。
【符号の説明】
11 ガラス基板 12 ITO(陽極) 13 正孔注入層 14 発光層 15 金属電極層 21 ポリエステルフィルム 22 アルミニウム膜 23 電荷発生層 24 電荷輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−283707(JP,A) 特開 平8−239655(JP,A) 特開 平7−216351(JP,A) 特開 平6−200242(JP,A) 特開 平6−1973(JP,A) 特開 平5−194943(JP,A) 特開 平4−178487(JP,A) 特開 平6−348046(JP,A) 特開 平6−248045(JP,A) 特開 平6−332205(JP,A) 特開 平8−202056(JP,A) 特開 平8−82941(JP,A) 特開 平6−222590(JP,A) 特開 平6−202355(JP,A) 特開 平6−194851(JP,A) 特開 平1−195455(JP,A) 特開 平6−271848(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/14 G03G 5/06 C09K 11/06 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に少なくとも陽極、発光層、接着
    層および陰極がこの順に積層されてなり、前記発光層が
    式(I) 【化1】 (式中、Arはメチレン基または置換されていてもよい
    炭素数6〜20のアリーレン基、Ar1は置換されてい
    てもよい炭素数6〜20のアリーレン基、R1は置換さ
    れていてもよい低級アルキル基、5員環もしくは6員環
    を形成する複素環基、置換されていてもよいアラルキル
    基または置換されていてもよい炭素数6〜14のアリー
    ル基、R2およびR3は水素原子、低級アルキル基または
    置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基を表
    わす。)で示されるジスチルベン化合物を含有すること
    を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 式(I)のジスチルベン化合物が、式
    (II) 【化2】 (式中、R4は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル
    基または低級アルコキシ基、nは1または2の整数であ
    る。)で示される化合物である請求項1記載の有機エレ
    クトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 陽極と発光層との間に、さらに正孔注入
    層が形成されている請求項1記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸
    送層とをこの順で積層してなる感光層を有し、前記電荷
    輸送層が式(I) 【化3】 (式中、Arはメチレン基または置換されていてもよい
    炭素数6〜20のアリーレン基、Ar1は置換されてい
    てもよい炭素数6〜20のアリーレン基、R1は置換さ
    れていてもよい低級アルキル基、5員環もしくは6員環
    を形成する複素環基、置換されていてもよいアラルキル
    基または置換されていてもよい炭素数6〜14のアリー
    ル基、R2およびR3は水素原子、低級アルキル基または
    置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基を表
    わす。)で示されるジスチルベン化合物を含有すること
    を特徴とする電子写真感光体素子。
  5. 【請求項5】 式(I)のジスチルベン化合物が、式
    (III) 【化4】 (式中、Ar2 はメチレン基またはフェニレン基、R5
    は置換されていてもよい低級アルキル基、置換されてい
    てもよいアラルキル基または置換されていてもよい炭素
    数6〜14のアリール基を表わす。)で示される化合物
    である請求項4記載の電子写真感光体素子。
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