JP3463045B2 - 防食処理原液 - Google Patents
防食処理原液Info
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Description
属を含有する合金が露出した半導体基板の防食処理液に
関し、より詳細には、この防食処理液の輸送・保管中の
変質を防止した防食処理原液に関する。
ム合金、銅及び銅を含有する合金は電気導電性であるこ
とから各種の電気配線に使用されている。
上に設けられる配線パターンの微細化が進行し、配線幅
の微細化、配線断面積の減少に伴い回路応答速度の低
下、発熱量や電流密度等の増加によるエレクトロマイグ
レーション(EM)の進行による配線寿命の低下等が懸
念されている。
ウム系配線材料よりも電気導電性、耐熱性、耐エレクト
ロマイグレーション性に優れる銅又は銅合金を用いた配
線が使用されるようになっている。
形成され、この絶縁層表面に配線用の溝や下層の金属配
線との接続のための接続孔が形成された後、銅又は銅合
金などからなる金属膜が形成される。
ミカルメカニカルポリッシング;化学的機械研磨方法)
処理が施されて、溝や接続孔を除く部分の金属膜が除去
されることで配線やプラグが形成される。このとき、半
導体基板の表面は、銅又は銅合金が露出した状態とな
る。
基板表面は、通常、洗浄装置を用いて薬液洗浄され、付
着した研磨剤や研磨屑が除去されて、清浄化された表面
を有する半導体基板が得られる。
配線上に絶縁膜(又は保護膜)を形成させるか、また
は、この絶縁膜形成工程前に、大気下に保管(放置)さ
れるのが一般的である。ここで、洗浄や保管などに使用
する薬液を防食処理液と称す。
食等が進行しやすい金属であり、しかも、このようにC
MP処理で研磨された生地面は、極めて活性化されてい
て、洗浄処理中や、上述した一時的大気下の保管中に
も、その表面が洗浄液等の溶存酸素や、溶存イオンや、
大気中の酸素等により、酸化膜や、その他の汚染被膜で
劣化される傾向がある。
あって、配線として半導体基板上に、銅金属及びその合
金をダマシン法等でパターン配線形成したとしても、C
MP処理等の平坦化の研磨処理、その研磨処理後の洗浄
処理、又は、研磨−洗浄処理後の一時的な大気保管等の
如く、この銅金属の研磨された生地表面(フレッシュ金
属面)は、常に酸化被膜形成等による劣化を避けられな
い状態にあるのが実状である。
ルミニウム金属系に代替させて使用されるにたる優れた
諸特性を有している反面、極めて酸化劣化や、腐食劣化
等を発生しやすい金属である。
た生地表面の配線表面は、CMP処理で平坦化されて、
その後の絶縁膜(又は保護膜)形成等を容易にさせるも
のの、その生地表面は、極めて活性化されていて、上述
したような洗浄処理中や、大気保管中における酸化被膜
の形成や、腐食等を進行させる反応性が極めて高い表面
である。特に、明確に結晶粒界が生地表面に現れている
部分で顕著である。
洗浄処理に、ベンゾトリアゾール等の防錆剤を含有させ
て処理することが検討されている。例えば、特開平5−
315331号公報(以下、従来例1と称す)には、半
導体装置基板に配線パターンや電極として設けた銅又は
銅合金の洗浄処理に、ベンゾトリアゾール(BTA)を
0.04〜1%含有する水溶性洗浄液を用いることで、
銅配線上に銅とBTAとが反応して、不溶性のCu−B
TAなる被膜(保護膜)による銅配線の腐食を抑制させ
ることが記載されている。
要なBTA濃度に応じて、薬液メーカーから供給される
防食処理原液をそのまま処理槽に入れて使用されたり、
防食処理原液を水で希釈して使用されたりする。
めた方が、輸送コストを低減できる。例えば、洗浄工程
で、0.001%濃度のBTA水溶液を1000m3使
用する場合、防食処理原液を0.001%濃度で輸送す
ると、1000m3も輸送しなければならないが、1%
濃度であれば、1m3だけ輸送すればよくなり、輸送コ
ストを大幅(1000分の1)に低減できる。従って、
可能な限りBTAの濃度を高めた防食処理原液とするこ
とが望ましい。
ール系化合物及びその誘導体化合物は、一般的に水への
溶解が低く、例えば、BTAを例に説明すると、水に対
する溶解度は、通常、20℃の水に、約1.9質量%
(以下、%濃度表示は質量%を示す)程度しか溶解しな
い。
や、保管をするとき、温度環境が、20℃より低下する
とBTA水溶液の過飽和水溶液となり、外部からの衝撃
や、更なるその環境の温度低下により、水溶液として安
定に存在しきれなくなり結晶が析出する。
〜80℃での溶解度が図示されている。例えば、その溶
解濃度は、80℃で約8%、30℃で約4%、20℃で
約1.9%、更に10℃で約1%である。
%濃度の水溶液においては、その温度環境が10℃に低
下した場合には、溶解性が低く、溶液として不安定であ
るBTAは、過飽和溶液を経て、当初溶解していたBT
A分のうち、約50%分が析出し、溶液中に溶解してい
るBTA濃度が約1%濃度に低下する。その結果、防食
処理原液は、BTA濃度が低下し、BTA結晶物が析出
混在し、当初の防食性能が変質した防食処理原液にな
る。
用する場合には、通常、防食処理液は、結晶物等が析出
しない濃度で使用され、その製造工程も、当初の溶解濃
度が低下しないように温度管理されているので、BTA
が析出することはほとんどない(従来例1の欄6の2行
〜12行の記載を参照)。
理原液は、どのような温度環境に曝されるか保証できな
い。
入れて数時間撹拌し、3%のBTA水溶液(防食処理原
液)を製造したとする。この防食処理原液を寒冷地に輸
送するとき、または寒冷地の倉庫に保管して、外気の温
度が例えば5℃に低下すると、溶解度を超える量のBT
Aが析出してしまう。容器入り防食処理原液を輸送した
場合に、析出したBTA粒子は、その容器内壁及び底部
等に緻密な硬い付着層を形成してしまう。
30℃に上げても溶解させることが困難であり、再度、
撹拌装置を用いて数時間撹拌しなければならない。この
ため、作業現場でのハンドリング性を著しく損ねて、生
産性を低下させることになる。また、析出した状態の防
食処理原液を規定の希釈率で希釈すると、所定の濃度よ
り薄くなってしまうので、防食処理原液として当初の性
能を十分に発揮できなくなる。
粒子という)が析出した状況下での半導体基板表面を洗
浄すると、BTA粒子が半導体基板表面に付着して汚染
させることになる。その結果、付着したBTA粒子のた
めにレジストパターンが不連続になって配線が断線した
り、接続孔にBTA粒子が付着して接続抵抗を増加させ
るなど、半導体装置の不良を増加させる要因になってい
る。
金属表面が露出した半導体基板の防食処理に使用する防
食処理原液であって、BTAが高濃度に調整されても、
保管・輸送中の温度環境において、析出することがない
防食処理原液を提供することである。
原液を希釈又はそのまま半導体基板の防食処理に使用し
ても、従来のBTA水溶液と同等の処理性能が得られる
防食処理原液を提供することである。
課題に鑑みて、その課題を解決すべく鋭意検討を行った
結果、ベンゾトリアゾール(BTA)の水溶液にある種
の化合物(析出防止剤)を共存させることにより、水溶
液中におけるBTAの溶解度が向上し、高濃度に調整し
た水溶液を保管、輸送した際の温度環境が変化しても析
出しないことを見出して、本発明を完成させるに至っ
た。
板を防食処理する防食処理液の原液であって、防食剤と
してトリアゾール系化合物及び/又はその誘導体系化合
物と、前記防食剤の析出防止剤とを含有することを特徴
とする防食処理原液が提供される。すなわち本発明によ
れば、金属が露出した半導体基板を防食処理する水溶液
の防食処理液であって、その処理原液を、例えば、通常
の温度環境で、水溶液として安定に保管・輸送・使用で
き、しかも、例えば、半導体基板に露出している銅金属
又はその合金の表面研磨された生地表面を劣化させるこ
となく、しかも、処理時における処理原液のハンドリン
グ性に優れた防食処理原液が提供される。防食処理液
は、防食処理液の原液と同一濃度または低濃度とするこ
とができる。
の析出防止剤とを含有し、その防食剤が、トリアゾール
系化合物及び/又はその誘導体系化合物であり、析出防
止剤によって、防食剤が処理原液中に微細な粒子として
懸濁(又は白濁)及び/又は凝集・結晶化物(以下、こ
れらを析出粒子と称す)として析出することを効果的に
防止し、この両者が防食処理原液中に完全に溶解してい
ることが特徴である。
合物及び/又はその誘導体系化合物からなる防食剤とそ
の析出防止剤とを含有している防食処理原液を、この防
食剤が析出する温度以上に保持し、輸送する輸送方法を
提供する。
ル系化合物及び/又はその誘導体系化合物からなる防食
剤とその析出防止剤とを含有している防食処理原液を、
この防食剤が析出する温度以上に保持して保管する防食
処理原液の保管方法を提供する。
わせた防食処理原液において、極めて溶解の温度依存性
の高い防食剤が、完全に溶解し、処理原液中に析出粒子
を発生させないで、防食処理原液を製造メーカーから、
供給地に輸送又は保管できることから、防食処理原液の
安定供給を可能にさせる。
は、防食剤等の濃度を変質・低下させないことから、そ
のまま大希釈させて、例えば、半導体基板表面の銅又は
銅合金等の金属配線の洗浄に使用しても、例えその金属
配線の表面が、明確に結晶粒界を現わす程に、化学的且
つ吸着等の物理的に活性な面であっても、粒子付着等に
よる表面の劣化、汚染を効果的に防止して使用すること
ができる。
は、この防食処理液中の析出防止剤によって、結晶物等
の粒子として、防食剤が析出することを効果的に防止
し、防食剤が溶液として完全に溶解している。このた
め、半導体基板表面を溶液として覆うことができ、これ
によって、析出防止剤による表面エッチング等のダメー
ジも防止するように作用し、且つ金属表面が、この防食
剤により、保護被膜が形成され、大気中の酸素や、水溶
液中の溶存酸素や、溶存イオンによる金属表面の酸化膜
形成を防止させると考えられる。
その金属を含有する合金等の金属表面が露出した半導体
基板に用いる防食処理原液及びその製造、又はその用途
としての保管処理液、保護膜形成処理液及び洗浄処理液
(以後、これら含めて単に防食処理液と称す)の実施形
態を説明する。
導体装置の配線として、銅及びその合金をダマシン法で
パターン配線(ダマシン配線)される。
形成され、この絶縁層表面に配線用の溝や下層の金属配
線との接続のための接続孔が形成された後、銅又は銅合
金などからなる金属膜が形成される。
ミカルメカニカルポリッシング;化学的機械研磨方法)
処理が施されて、溝や接続孔を除く部分の金属膜が除去
されることで配線やプラグが形成される。このとき、半
導体基板の表面は、銅又は銅合金の金属表面が露出した
状態(フレッシュな生地表面)となる。
基板表面は、通常、洗浄工程で洗浄装置を用いて薬液洗
浄され、付着した研磨剤や研磨屑が除去されて、清浄化
された金属表面を有する半導体基板が得られる。
単に付着している異物を除去するだけではなく、洗浄溶
液中の溶存酸素や、溶存イオン等による腐食を防止する
必要がある。
ていることが好適である。また、このような水溶液タイ
プの防食処理原液は、処理液中に含有している防食剤が
析出粒子として析出混在し難いものである必要がある。
もし、析出粒子が混在する防食処理原液を、そのまま又
は希釈して使用しても、この析出粒子によって、半導体
基板表面を新たに汚染させることになる。特に、BTA
などの防食剤は、一旦析出すると処理液の温度が上昇し
ても再溶解し難く、また、微細な析出粒子が半導体基板
に付着すると洗浄しただけでは取れ難いという問題があ
る。
製造された後、供給地への輸送中、又は供給地での倉庫
に保管中に、析出粒子が析出してしまったら、処理液と
して以後の製造工程に使用することが、極めて困難とな
る。従って、防食処理原液として、輸送・保管中に、防
食剤が析出しないようにすることは、半導体基板の防食
処理原液として極めて重要であることが判る。
の防食処理原液を構成する防食剤は、窒素3個の複素化
合物のトリアゾール系化合物として、例えば、ベンゾト
リアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−
トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−ヒ
ドロキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾー
ル、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール(TT
A)、及びジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール等
を挙げることができる。また、2−メルカプトベンゾチ
アゾール(MBT)、2,5−ジメルカプトチアゾール
(DMTDA)、ベンズイミダゾール(BIA)、ベン
ズイミダゾールチオール(BIT)、ベンズオキサゾー
ルチオール(BOT)、4−メチルイミダゾール及び5
−ヒドロキシメチル−4−メチルイミダゾール等を挙げ
ることができる。
化合物及びその誘導体系化合物を、単独又はその2種以
上を組合せて好適に使用することができる。
に、濃度0.05〜20%の範囲で溶解されるが、好ま
しくは、0.1〜10%、更に好ましくは、0.4〜5
%で適宜溶解できる。この濃度が下限値以下であると、
防食性を低下させるし、一方、上限値を超えても、濃度
を高めた割りには防食性を高めるものではなく、また、
特に析出防止剤による粒子析出の防止を効果的に発揮さ
れなくなる。
析出させずに水溶液として完全に溶解させるための析出
防止剤は、好ましくは、分子内に金属原子を含まず、窒
素原子を1つ以上含む水溶性化合物が適宜好適に使用さ
れる。例えば、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチ
ルアンモニウム、アミン化合物及びアミド化合物等を挙
げることができる。
ば、その分子内にアルカリ金属やアルカリ土類金属等を
含む化合物を用いた場合には、これらの金属イオンが半
導体基板表面の銅又は銅合金の配線表面に化学的にも物
理的にも付着する傾向があり、この配線上に設ける絶縁
膜の絶縁性を劣化させたり、ウエハ裏面に付着した金属
イオンは、半導体基板中を熱拡散してトランジスタ素子
領域まで達すると素子特性を劣化させる等の問題を発生
させる。
ド化合物としては、水溶性に富む化合物が好ましく、例
えば、アミン化合物としては、モノエタノールアミン、
トリエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エ
タノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノー
ル、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−ジ(メチ
ルアミノ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノー
ル、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−
プロパノール、2−メチルアミノエタノール、2−アミ
ノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジエチルアミ
ノエタノール、コリン、モルホリン、ジエチレントリア
ミン、及びトリエチレンテトラミン等を挙げることがで
き、アミド化合物としては、アセトアミド、N−メチル
アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、2−ピロリドン、N−メチ
ルピロリドン、カプロラクタム等を挙げることができ
る。
の単独又はその2種以上を組合わせて適宜使用すること
ができ、中でも、本発明の析出防止剤として、モノエタ
ノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−メ
チルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノー
ル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリ
ドン、が好適に使用される。
液中の含有濃度として、濃度0.05〜20%範囲で適
宜使用されるが、好ましくは、0.1〜10%、更に好
ましくは、0.4〜5%で使用される。この濃度が、下
限値以下であると、通常に使用する温度環境(5℃以
上)において、既に上述した防食剤の粒子析出を効果的
に防止させることができない。一方、上限値を超えて含
有させても、その含有量の割りには粒子析出の防止効果
を高めるものではなく、単にコスト的に不利になるだけ
である。
て、防食剤と析出防止剤との両者の含有割合は、特に特
性されるものではないが、好ましくは、防食処理原液と
しての水溶液pHが、4以上で12以下、好ましくは、
4以上で10以下の範囲になるように防食剤と析出防止
剤の両者を組合わせて適宜好適に使用できる。
特に処理原液の20℃以下での安定性を低下させるし、
また、上限値を超えると、防食処理液として使用した場
合に配線基板をエッチングさせて、銅配線を腐食劣化さ
せて好ましくない。
液中において、防食剤は既に上述した濃度で溶解してい
る。一方、組合わせて用いられている析出防止剤の濃度
は、防食処理原液の水溶液pHが、既に上述した範囲に
ある限り特にその濃度が限定されるものではない。
食処理原液としての実施形態として、以上のようは特徴
を有する本発明の防食剤と析出防止剤とを含有している
水溶液タイプの防食処理原液は、以下のようにして製造
することができる。
及びその誘導体系化合物の多くは、既に上述する如く、
水への溶解が低い化合物である。
るに際して、特に防食剤の粒子形状には限定されない
が、水に溶けやすい観点から、例えば、微細な粉体又は
細片されたフレーク(薄片状)であることが好ましい。
また、図1のBTAの溶解度曲線(温度−溶解度)か明
らかなように、溶解速度を速めるため、防食剤を溶解す
る水を加温させて、好ましくは、所定の加温温度が40
℃以上で90℃以下の加温下で、且つ攪拌下で溶解させ
ることがよい。
体又はフレークを、徐々に添加させながら溶解させる。
場所で、防食処理液を製造すれば、上述のような輸送時
や保管時の問題は生じない。しかしながら、BTAなど
の防食剤原料は粉末であり、半導体装置の製造工程のよ
うに極めて清浄度の高いことが求められる場合でBTA
などの防食剤粉末を扱うことは好ましくなく、半導体装
置の製造ラインとは隔絶された場所で溶解処理が必要で
ある。このため、半導体装置の製造ラインとは離間した
場所で防食処理原液を製造し、半導体装置の製造ライン
まで輸送し、使用するまで保管しなければならない。
液タイプの防食処理原液及び希釈して使用できる防食処
理液を提供することは、極めて重要である。
つ沸点が低く揮発性であるものもあり、特に予め水に析
出防止剤を入れておくことには限定されないが、その沸
点が所定の加温溶解の温度範囲を超えるものであれば、
予めその所定量を水に入れておく方が、防食剤を完全に
溶解させ、且つその溶解速度を高めるという点から好ま
しい。次いで、常温に放冷後、規格の濃度になるよう
に、水を添加させて濃度調整をし、所定の濃度の防食処
理原液が得られ、その所定量を製品容器に入れた防食処
理原液(製品)が得られる。
は、出荷前に倉庫に保管されるか、また、供給地に輸送
される。
て、このような保管中又は供給先への輸送中、供給地で
の保管中における温度環境が、低くなる場合でも、例え
ば、10℃以下の低温環境でも、析出粒子のない完全に
溶解している水溶液として維持できる。既に上述した防
食剤の溶解性の温度依存性から、本発明による防食処理
原液を、その防食剤の粒子析出の温度より高めにする方
法・対策により、既に上述した同様の理由により、適宜
安定に輸送・保管することができる。特に、寒冷地への
防食処理原液の容器内輸送に際し、例えば、加温対策
や、発砲スチロール等の断熱梱包対策を施すことで、ま
たは保管中に析出温度以下になることが予想される場合
に析出粒子の発生を防止する。
処理原液は、既に上述した濃度のまま又は水等で数十〜
百倍に希釈して、各種の防食処理液(例えば、保管処理
液、保護膜形成処理液及び洗浄処理液)に使用される。
例えば、既に上述した如く、半導体基板にダマシン法で
形成された銅又は銅合金のCMP処理された金属表面
に、吹付け洗浄させて、洗浄処理液として使用される。
また、このように洗浄された半導体基板を大気下に放置
せずに、この防食処理液に浸漬させて一時保管させる保
管処理液として使用される。また、例えば、CMP等の
表面研磨によって得られる金属の生地表面に薄く塗布さ
せて、BTA等の極薄膜(膜厚、数nm)の保護膜を形
成させる保護膜形成処理液として使用される。
来の防錆剤のように、防食を要する金属面に防食剤を数
μm〜数10μmの膜厚で耐腐食の保護膜(不動態膜)
を形成させるような使用ではなく、半導体基板表面の配
線金属等の洗浄や、配線金属を設けた半導体基板の一時
保管液として、その面に一時的に接触させて、酸化皮膜
等の形成による劣化を防止させるものである。また、保
護膜形成処理液として使用しても、その膜厚は50nm
以下であって、このような被膜は、通常、絶縁膜を成膜
する真空・加熱下(200〜300℃)の工程で、脱離
飛散してしまうものである。
が、本発明は、これらにいささかも限定されるものでは
ない。
比較例を含めて防食処理原液を調整し、各温度で放置し
た時のその処理液の安定性(結晶の析出の有無)を調べ
て、その結果を表1(表中、○:析出粒子なし、×:結
晶析出)に示した。
を組合わせて調整した本発明による防食処理原液につい
て、通常に使用される温度環境である温度5〜20℃に
おいて、その防食処理原液が、析出物のない水溶液であ
ることを評価した。
れた防食処理原液の水溶液pHが、4.7〜9.6の範
囲にあって、その処理液の温度が、5〜20℃の範囲に
おいて全くBTAの結晶が析出することがなく、著しく
安定な防食処理原液であった。一方、BTAに本発明に
よる析出防止剤を含有していない従来のBTA水溶液
(比較例1)では、その水溶液pHが、6以下の4.7
で、その温度が20℃以下になるとBTAの結晶が析出
して、防食処理液として使用不可能になることがよく判
る。
濃度が、3%の防食処理原液を大気温度17℃の温度環
境で容器入り防食処理原液とした後、大気温度が、0〜
5℃の寒冷地に輸送し、その温度環境に3日間放置した
が、その容器内には全くBTAの微細な粒子の懸濁(又
は白濁)もなく、結晶が析出していなかった。
濃度が、3%の防食処理原液を水で希釈して、0.3%
と0.07%の洗浄処理液を調製した。
料として、銅ダマシン配線を設けた半導体基板にCMP
処理を施し、その銅配線面を表面研磨させて生地表面と
したウエハーを準備した。
る生地表面に対して、それぞれ、上記した洗浄処理液を
用いて、常法の吹付け洗浄を行った。次いで、その清浄
化された銅生地表面を金属顕微鏡で表面観察したが、そ
の表面は、極めて清浄であった。よって、本発明による
防食処理原液が、上記するようなウエハの洗浄処理液と
して有効に使用されることが判る。また、半導体基板表
面に析出粒子の付着は見られなかった。
化されたウエハを、実施例3で調製したBTA濃度が、
1%の防食処理液中に1日間浸漬させて保管させた。
取り出し、洗浄、乾燥後、その銅配線面を金属顕微鏡で
観察したが、全くその清浄さに変化なく、酸化被膜等の
表面劣化が観察されなかった。なお、比較のため、実施
例11で得られた清浄化されたウエハを洗浄後、乾燥
し、大気下に1日間放置したその表面には、薄い酸化劣
化膜が観察された。
のような銅生地表面の浸漬型の保管処理液として用いら
れることができる。
ダマシン配線を設けた半導体基板で、CMP処理を施す
ことで、その銅配線面を表面研磨させて生地表面とした
ウエハーであって、同じく実施例11で、BTA濃度
0.07%の洗浄処理液によって洗浄処理したウエハー
を用い、実施例3で得られた防食処理原液を、BTA濃度
が1%になるよう希釈した防食処理液を塗布した後静置
させ、その後水洗を行い真空乾燥させた。真空乾燥させ
ることで、析出防止剤の1−アミノ−2−プロパノール
は蒸発し、防食剤BTAによる薄膜が形成された。同時
に、比較評価のために、BTA濃度が1%の防食処理液を
塗布しないものを準備した。次いでこの両者を20℃の
大気下に7日間放置させた。その結果、前者の銅配線面
には全く異常がなかったが、後者においては、3日目に
酸化被膜の形成が目視された。
地表面に塗布した後、水洗、乾燥することにより、その
表面に極薄の酸化を防止する保護膜を形成させる保護膜
形成処理液として有効である。
0.3〜5重量%で、析出防止剤として1−アミノ−2
プロパノールを添加させて、その水溶液pHが、7.5
〜9.5の範囲にある防食処理原液を調製した。次い
で、これらの処理原液を5℃の温度環境に30分間、8
時間それぞれ放置して、その水溶液としての完全溶解の
可否を評価し(表中、○:析出粒子なし、△:微量白
濁、×:結晶析出)、その結果を30分間について表2
及び8時間について表3に示した。
(又はその添加によるアルカリ性の向上)等により、5
℃の低温でも水溶液として完全に溶解していることがが
よく判る。
で銅配線を施した後、CMP処理を行って、その銅配線
面を生地表面とし、次いで、本発明によるBTAと1−
アミノ−2プロパノールからなるpH9.5の安定化さ
れた防食処理液をBTA濃度0.05%に希釈させて洗
浄処理(処理法1)を行った。
にSi3N4の絶縁膜を形成させて、その絶縁膜の剥離性
を評価した。比較評価のため、従来法のBTA単独の洗
浄方法(処理法2)と、全くBTAを用いない洗浄方法
(処理法3)とについても同様にして、その絶縁膜の密
着性を下記の密着性試験によって評価して、その結果を
表5に示した。なお、絶縁膜の形成は、洗浄処理直後
面、洗浄処理後の1日大気下放置後の面及び3日大気下
放置後の面に対して形成させた。
3N4絶縁膜の密着性試験は、この絶縁膜面に1mmピッ
チの桝目状に切り傷ラインを入れ、その絶縁膜面の粘着
テープ剥離試験を行い、100個の桝目の剥離桝目の絶
縁膜の割合(%)を計った。
明による析出防止剤を添加した防食処理液を用いて吹付
け洗浄を行った処理法1による生地表面に対するその密
着性から、その析出防止剤を用いることによる悪影響
が、全くなく、ダマシン配線の信頼性(EM)を損ねる
ことのないことがよく判る。
は、BTA等の防食剤と1−アミノ−2−プロパノール
やN−メチルピロリドン等の析出防止剤とからなり、温
度環境において、そのpHが4〜12の範囲で、防食剤
の溶解濃度が、0.05〜20%濃度範囲の水溶液とし
て完全に溶解している銅又は銅合金の金属表面に対する
防食処理原液を提供できる。
を濃くすることができ、水溶液タイプの製品としての輸
送コストを低減できる。
は低減できるので、半導体基板に防食剤の粒子が付着さ
れなくなり、半導体装置の歩留まりを向上できる。
の析出を防止または低減できるので、防食処理液の濃度
が変化又は溶液として変質しないので、防食効果を安定
に発揮させられる。
できるので、半導体製造工程で使用する前に、再撹拌、
再溶解処理をする必用がなく、防食処理原液利用者の負
担を軽減できる。
を緩和できるので、その温度管理を緩やかにしても、防
食剤の析出粒子が析出しなくなり、製造装置を低価格に
できる。
止または析出量を低減できるので、従来に比べて高濃度
の製品を、供給地へ安定して輸送又は供給地で安定して
保管できる。
解度を表す図である。
Claims (14)
- 【請求項1】 金属が露出した半導体基板を防食処理す
る防食処理液の原液であって、 防食剤としてトリアゾール系化合物及び/又はその誘導
体系化合物と、前記防食剤の析出防止剤と水とからな
り、pH4〜10であることを特徴とする防食処理原
液。 - 【請求項2】 前記防食処理液が、前記防食処理原液と
同一濃度または低濃度であることを特徴とする請求項1
に記載の防食処理原液。 - 【請求項3】 前記金属が、銅又は銅合金であることを
特徴とする請求項1又は2に記載の防食処理原液。 - 【請求項4】 前記防食剤のトリアゾール系化合物が、
ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,
2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾー
ル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾ
トリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾー
ル、及びジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾールの群
から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請
求項1〜3のいずれかに記載の防食処理原液。 - 【請求項5】 前記防食剤が、濃度0.05〜20質量
%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
かに記載の防食処理原液。 - 【請求項6】 前記析出防止剤が、分子内に金属原子を
含まず、窒素原子を1つ以上含む水溶性化合物であるこ
とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防食処
理原液。 - 【請求項7】 前記析出防止剤が、水溶性アルカリ化合
物である水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアン
モニウム、アミン化合物、アミド化合物の少なくとも1
種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
載の防食処理原液。 - 【請求項8】 前記アミン化合物が、モノエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2
−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミ
ノエチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)
エタノール、2−ジ(メチルアミノ)エタノール、1−
アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノ
ール、3−アミノ−1−プロパノール、2−メチルアミ
ノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノ
ール、2−ジエチルアミノエタノール、コリン、モルホ
リン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラ
ミンの群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴
とする請求項7に記載の防食処理原液。 - 【請求項9】 前記アミド化合物が、アセトアミド、N
−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ピロリド
ン、N−メチルピロリドン、カプロラクタムの群から選
ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項7
に記載の防食処理原液。 - 【請求項10】 前記析出防止剤が、濃度0.05〜2
0質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜9の
いずれかに記載の防食処理原液。 - 【請求項11】 pHが、4.7〜9.6の範囲にある
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の防
食処理原液。 - 【請求項12】 5〜20℃で使用することを特徴とす
る請求項1〜11のいずれかに記載の防食処理原液。 - 【請求項13】 請求項1〜12のいずれかに記載する
防食処理原液を5〜20℃に保持して輸送することを特
徴とする防食処理原液の輸送方法。 - 【請求項14】 請求項1〜12のいずれかに記載する
防食処理原液を5〜20℃に保持して保管することを特
徴とする防食処理原液の保管方法。
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