JP3462344B2 - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

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JP3462344B2
JP3462344B2 JP13221196A JP13221196A JP3462344B2 JP 3462344 B2 JP3462344 B2 JP 3462344B2 JP 13221196 A JP13221196 A JP 13221196A JP 13221196 A JP13221196 A JP 13221196A JP 3462344 B2 JP3462344 B2 JP 3462344B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流動性、難燃性、
衝撃強度のバランスのとれたポリカーボネート系樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは機械的強度(特に耐
衝撃性)、電気特性、透明性等にすぐれ、代表的なエン
ジニアリングプラスチックとして、OA機器、電気・電
子機器、自動車分野等様々な分野において、幅広く利用
されている。そして、これらの利用分野の中には、OA
機器、電気・電子機器分野を中心として、難燃性が要求
される分野がある。
【0003】ポリカーボネートは各種熱可塑性樹脂の中
でも酸素指数が高く、一般的には自消性を有する樹脂と
いわれている。しかしながら、OA機器、電気・電子機
器分野で要求される難燃性のレベルは一般的にUL94
規格でV−0レベルと高く、難燃性を付与するには、通
常、難燃剤や難燃助剤を添加することによって行われて
いる。
【0004】更に、近年、これら電気・電子機器製品は
薄肉・軽量化しており、成形材料としては高流動性が要
求される。その具体的解決策として、ポリカーボネート
とABS樹脂をブレンドする方法が特開平7−1334
17号公報、特開平7−179673号公報等で提案さ
れている。
【0005】しかし、この方法ではポリカーボネートが
本来有する優れた耐候性、耐熱安定性、良離型性を犠牲
にして、ABS樹脂の有する耐溶剤性の欠如から工業的
に重要な一部用途で使用不能という問題点を有してい
る。このようなABS樹脂等の他樹脂をブレンドせず、
流動性を向上させるには、ポリカーボネート樹脂の分子
量を20,000以下にする方法があるが、分子量を下
げることにより衝撃強度が著しく低下してしまい、これ
を防止するためにはエラストマーを添加する方法もある
が、エラストマー添加量が多いと難燃性が低下してしま
う。
【0006】一方、良流動性を有し、耐溶剤性にも優れ
たポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体
をポリカーボネートとのブレンド物に用いた樹脂組成物
は現在までに、種々提案されてきているが(特開昭63
−28059号公報、特開平1−210462号公報、
特開平4−202465号公報、特開平6−27967
0号公報、特開平6−313103号公報)、流動性・
難燃性・衝撃強度の物性バランスは充分なものではな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は流動性がQ値
で12×10-2ml/s以上、難燃性がt=1.0m
m、V−0レベル、アイゾット衝撃強度が−10℃で6
0%以上延性破壊を示す、流動性・難燃性・衝撃強度の
物性バランスのとれた優れた難燃性ポリカーボネート樹
脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、ポリカーボネートに
ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体、
特別の複合ゴム系グラフト共重合体、ハロゲン系化合物
及びポリテトラフルオロエチレンを得定量配合すること
により、樹脂組成物全体として、流動性・難燃性・衝撃
強度の物性バランスのとれたものが得られることを見い
だし、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明の要旨は以下の通りであ
る。 (1)(A)ポリカーボネート0〜95重量%と(B)
ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体で
あって、ポリオルガノシロキサン部の割合が(A)ポリ
カーボネートおよび(B)ポリカーボネート−ポリオル
ガノシロキサン共重合体の合計量に対し、0.1〜5重
量%であるもの5〜100重量%に更に、(A)成分と
(B)成分の合計量を100重量部として、(C)複合
ゴム系グラフト共重合体であって、ポリオルガノシロキ
サンゴム成分1〜99重量%とポリアルキルアクリレー
トゴム成分99〜1重量%とが相互に絡み合った構造を
有し、且つ平均粒径が0.01から0.6μmである複
合ゴムに1種又は2種以上のビニル系単量体がグラフト
重合されてなるもの0.1〜8重量部と(D)全組成物
中のハロゲン含有率が0.1〜6重量%に相当する量の
ハロゲン系化合物と(E)ポリテトラフルオロエチレン
0.05〜1.0重量部とを配合してなる樹脂組成物。 (2)(D)ハロゲン系化合物が臭素化ポリスチレンで
ある上記(1)記載の樹脂組成物。 (3)(A)成分及び(B)成分からなる樹脂組成物の
粘度平均分子量が10,000から30,000である
上記(1)記載の樹脂組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の難燃ポリカーボネート樹脂組成物を構成
する各成分について、順に説明する。 (A)成分のポリカーボネート (A)成分のポリカーボネートとしては慣用された製造
方法、すなわち、通常、二価フェノールとホスゲンまた
は炭酸エステル化合物等のポリカーボネート前駆体とを
反応させることにより、製造することが出来る。具体的
には例えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、公知
の酸受容体や分子量調節剤の存在下、更に、必要により
分岐剤を添加し、二価フェノールとホスゲンのようなカ
ーボネート前駆体との反応により、あるいは二価フェノ
ールとジフェニールカーボネートのようなカーボネート
前駆体とのエステル交換反応などによって製造される。
【0011】二価フェノールとしては、様々なものがあ
るが、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。ビ
スフェノールA以外のビスフェノールとしては、例え
ば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)オクタン;2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン;ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン;1,1
−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニ
ル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−テトラメチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン;2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラクロロフェニ
ル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−テトラブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキ
シアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロ
ヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカ
ン類、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル;4,
4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエー
テル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4’−ジヒド
ロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等の
ジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホキシド;4,4’−ジヒドロ
キシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等の
ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン;4,4’−ジヒドロキ
シ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒド
ロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒロキシジ
フェニルなどのジヒドロキシジフェニル類などが挙げら
れる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用い
てもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0012】また、炭酸エステル化合物としては、ジフ
ェニールカーボネート等のジアリールカーボネートやジ
メチルカーボネート、ジエチルカーボ等のジアルキルカ
ーボネート等が挙げられる。そして分子量調整剤として
は通常、ポリカーボネートの重合に用いられるものでよ
く、各種のものを用いることができる。具体的には、一
価フェノールとして、例えば、フェノール,o−n−ブ
チルフェノール,m−n−ブチルフェノール,p−n−
ブチルフェノール,o−イソブチルフェノール,m−イ
ソブチルフェノール,p−イソブチルフェノール,o−
t−ブチルフェノール,m−t−ブチルフェノール,p
−t−ブチルフェノール,o−n−ペンチルフェノー
ル,m−n−ペンチルフェノール,p−n−ペンチルフ
ェノール,o−n−ヘキシルフェノール,m−n−ヘキ
シルフェノール,p−n−ヘキシルフェノール,p−t
−オクチルフェノール,o−シクロヘキシルフェノー
ル,m−シクロヘキシルフェノール,p−シクロヘキシ
ルフェノール,o−フェニルフェノール,m−フェニル
フェノール,p−フェニルフェノール,o−n−ノニル
フェノール,m−ノニルフェノール,p−n−ノニルフ
ェノール,o−クミルフェノール,m−クミルフェノー
ル,p−クミルフェノール,o−ナフチルフェノール,
m−ナフチルフェノール,p−ナフチルフェノール;
2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−
ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノー
ル;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフ
ェノール;p−クレゾール,ブロモフェノール,トリブ
ロモフェノールなどが挙げられる。これらの一価フェノ
ールのなかでは、p−t−ブチルフェノール,p−クミ
ルフェノール,p−フェニルフェノールなどが好ましく
用いられる。
【0013】その他、分岐剤として、例えば、1,1,
1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;α,
α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,
3,5−トリイソプロピルベンゼン;1−〔α−メチル
−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−
〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチ
ル〕ベンゼン;フロログリシン,トリメリト酸,イサチ
ンビス(o−クレゾール)等の官能基を3つ以上有する
化合物を用いることもできる。本発明において用いられ
るポリカーボネートは通常、粘度平均分子量が10,0
00〜100,000のものが好ましく、より好ましく
は15,000〜40,000である。
【0014】(B)ポリカーボネート−ポリオルガノシ
ロキサン共重合体 (B)成分のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサ
ン共重合体であって、ポリオルガノシロキサン部の割合
が(A)ポリカーボネートおよび(B)ポリカーボネー
ト−ポリオルガノシロキサン共重合体の合計量に対し、
0.1〜5重量%であるものである。この(B)成分の
共重合体は、様々なものがあるが、好ましくは一般式
(1)
【0015】
【化1】
【0016】〔Xa、Xbはそれぞれハロゲン原子(塩素
原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子)又は炭素数1
〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、n−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソ
アミル基、ヘキシル基など)であり、それぞれ同じであ
っても異なってもよい。a、bは0〜4である。Yは単
結合、炭素数1〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8の
アルキリデン基(例えばメチレン基、エチレン基、プロ
ピレン基、ブチレン基、ペンテリレン基、ヘキシレン
基、エチリデン基、イソプロピリデン基など)、炭素数
5〜15のシクロアルキレン基又はシクロアルキリデン
基(例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、
シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基など)、
アルキレンエステル基、アルキレンカルボニル基、−O
−,−S−,−SO2 −,又は−CO−結合で表される
結合を示す。〕で表される構造の繰り返し単位を有する
ポリカーボネート部と一般式(2)
【0017】
【化2】
【0018】〔R1〜R3はそれぞれ水素原子、炭素数1
〜5のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基など)又はフェニル
基であり、それぞれ同じであっても異なるものであって
もよい。また、p及びqはそれぞれ0または1以上の整
数である。〕で表される構造の繰り返し単位を有するポ
リオルガノシロキサン部からなるものである。
【0019】ここで、ポリカーボネート部の重合度は3
〜100が好ましく、また、ポリオルガノシロキサン部
の重合度は2〜500が好ましい。上記のポリカーボネ
ート−ポリオルガノシロキサン共重合体は上記一般式
(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリカーボネ
ート部と上記一般式(2)で表わされる繰り返し単位を
有するポリオルガノシロキサン部とからなるブロック共
重合体であって、粘度平均分子量が10,000〜4
0,000、好ましくは12,000〜35,000の
ものである。
【0020】このような共重合体は、例えば予め製造さ
れたポリカーボネート部を構成するポリカーボネートオ
リゴマー(PCオリゴマー)と末端に反応性基を有する
ポリオルガノシロキサン(例えばポリジメチルシロキサ
ン、ポリジエチルシロキサン等のポリジアルキルシロキ
サンあるいはポリメチルフェニルシロキサン等)とを塩
化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等の溶媒に
溶解させ、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液
を加え、触媒として、トリエチルアミンやトリメチルベ
ンジルアンモニウムクロライド等を用い、界面重縮合反
応することにより、製造することができる。
【0021】以上により(B)成分のポリカーボネート
−ポリオルガノシロキサン共重合体であって、ポリオル
ガノシロキサン部の割合が(A)ポリカーボネートおよ
び(B)ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共
重合体の合計量に対し、0.1〜5重量%であるものが
好適に用いることができる。このポリオルガノシロキサ
ン部の割合が0.1重量%未満では衝撃強度が不充分で
あり、5重量%を超えると経済的に不利となるばかり、
耐熱性が低下し好ましくない。
【0022】従って、(A)成分及び(B)成分の配合
比は(A)成分0〜95重量%、(B)成分100〜5
重量%である。また、(A)成分及び(B)成分の全体
の粘度平均分子量が通常、15,000〜40,000
であり、より好ましくは組成物の良流動性を向上させる
ため、15,000〜20,000が好適である。
【0023】(C)複合ゴム系グラフト共重合体 (C)成分の複合ゴム系グラフト共重合体であって、ポ
リオルガノシロキサンゴム成分1〜99重量%とポリア
ルキルアクリレートゴム成分99〜1重量%とが分離で
きないように相互に絡み合った構造を有し、且つ平均粒
径が0.01から0.6μmである複合ゴムに1種又は
2種以上のビニル系単量体がグラフト重合されてなるも
のである。
【0024】このような複合ゴム系グラフト共重合体は
公知な方法、例えば特開昭64−79257号公報、特
開平1−190746号公報に開示された製造方法によ
って製造可能である。それはポリオルガノシロキサンゴ
ムのラテックスを調整し、次にアルキル(メタ)アクリ
レートゴムの合成用単量体をポリオルガノシロキサンゴ
ムラテックスのゴム粒子に含浸させてから、アルキル
(メタ)アクリレートゴムの合成用単量体を重合して製
造する方法である。
【0025】そのポリオルガノシロキサンゴムはジメチ
ルシロキサン等鎖状オルガノシロキサンと多官能シラン
系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、テトラエ
トキシシラン等を0.1〜30重量%配合して乳化重合
して得られる。また、このラテックスの製造は米国特許
第2891920号公報等に開示された方法を用いるこ
とができ、前記乳化重合に際し、重合開始剤でもあるア
ルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のス
ルホン酸系乳化剤の存在下で、例えばホモジナイザー等
を用いて水と混合する方法により製造することにより、
得られる。
【0026】このようにして得られたポリオルガノシロ
キサンゴムラテックスに水酸化ナトリウム等のアルカリ
水溶液を添加して中和し、アルキル(メタ)アクリレー
トとしてメチルアクリレート、n−ブチルアクリレート
等を、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレー
ト等を、グラフト反応促進剤としてアリルメタクリレー
ト等を添加して、ポリオルガノシロキサンゴム粒子に含
浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させて重
合する。重合反応の進行と共に、ポリオルガノシロキサ
ンゴムの架橋された網に、絡んでポリアルキル(メタ)
アクリレートゴムの架橋された網が形成され、実質上分
離できない複合ゴムのラテックスが得られる。
【0027】この複合ゴムにビニル系単量体として、ス
チレン等のアルケニル芳香族化合物、メチルメタクリレ
ート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート等
のアクリル酸エステル、アクリルニトリル等のシアン化
ビニル化合物等の各種ビニル系単量体を用いることがで
き、上記複合ゴムのラテックスに加え、ラジカル重合を
1段または多段で重合させる。更に、得られたラテック
スに塩化カルシウム等を投入して、塩析、凝固して分離
・回収する。
【0028】このようにして得られる(C)成分は前記
(A)成分と(B)成分の合計量を100重量部とし
て、通常、0.1〜8重量部が好ましい。更に、より好
ましくは3〜7重量部である。0.1重量部未満では衝
撃強度が不充分であり、8重量部を超えると難燃性が低
下して好ましくない。
【0029】(D)ハロゲン系化合物 本発明に用いるハロゲン系化合物難燃剤として用いるも
ので、具体的には例えば、ハロゲン化エポキシ化合物、
ペンタブロモベンジルアクリレート、ハロゲン化アミド
化合物、ポリ(ジブロモフェニレンオキシド)、ポリト
リブロモスチレン、ポリジブロモスチレンなどの臭素化
ポリスチレン、テトラブロモビスフェノールA、テトラ
ブロモ無水フタール酸、ヘキサブロモベンゼン、トリブ
ロモフェニルアリルエーテル、ペンタブロモトルエン、
ペンタブロモフェノール、トリブロモフェノール、2,
3−ジブロモプロピルエーテル、トリス(2,3−ジブ
ロモプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロ−3
−ブロモプロピル)ホスフェート、オクタブロモジフェ
ニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタ
ブロモビフェニル、ペンタクロロペンタシクロデカン、
ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサクロロベンゼン、
ペンタクロロトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカ
ブロモビフェニル、テトラブロモブタン、デカブロモビ
フェニルエーテル、ヘキサブロモビフェニルエーテル、
エチレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)、テト
ラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノー
ルA,テトラクロロビスフェールA、テトラブロモビス
フェールA,テトラクロロビスフェノールA又はテトラ
ブロモビスフェールAのオリゴマー、臭素化ポリカーボ
ネートオリゴマーなどのハロゲン化ポリカーボネートオ
リゴマー、ポリクロロスチレン、ビス(トリブロモフェ
ノキシ)エタンなどが挙げられる。
【0030】難燃剤としては、これらの中でも特に臭素
化ポリスチレンおよびポリ(ジブロモフェニレンオキシ
ド)が好適である。臭素化ポリスチレンはポリジブロモ
スチレン、ポリトリブロモスチレン又はそれらの共重合
体であってもよい。また、臭素化ポリスチレンはポリス
チレンを臭素化して製造してもよいし、臭素化スチレン
を重合したものでもよい。これらの難燃剤の臭素含有率
は50%以上であるのが好ましい。
【0031】(D)成分のハロゲン系化合物であって、
全組成物中のハロゲン含有率が通常、0.1〜6重量%
で用いられ、より好ましくは2〜4重量%である。0.
1重量%未満では難燃性が不充分であり、6重量%を超
えると、熱安定性が損なわれ、耐衝撃強度も低下するな
ど好ましくない。
【0032】(E)ポリテトラフルオロエチレン (E)成分であるポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)は溶融滴下防止効果を付与するもので、フィブリル
形成能を有するものを用いると、高い難燃性を付与する
ことができる。
【0033】フィブリル形成能を有するPTFEとして
は、特に制限はないが、例えばASTM規格によりタイ
プ3に分類されるものを用いることが出来る。このタイ
プ3に分類できるものとしては、具体的にはテフロン6
−J(商品名三井・デュポンフロロケミカル社製)、ポ
リフロンD−1,ポリフロンF103(商品名ダイキン
工業製)等が挙げられる。
【0034】これらのPTFEは2種以上組み合わせて
もよい。上記のようなフィブリル形成能を有するPTF
Eは例えば、テトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、
例えばナトリウム、カリウムあるいはアンモニウムパー
オキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧
力下で温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で
重合させることにより得ることが出来る。
【0035】前記(A)成分と(B)成分の合計量を1
00重量部として、(E)成分としては通常、0.05
〜1.0重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部
がよい。0.05重量部未満では充分な溶融滴下防止効
果が得られず、1.0重量部を超えると耐衝撃性および
成形外観に悪影響を及ぼすのみで好ましくはない。本発
明の樹脂組成物は前記各成分(A),(B),(C),
(D)および(E)の他に、必要に応じて(F)成分と
して各種の無機充填剤、添加剤、その他合成樹脂等を本
発明の目的を阻害しない範囲で配合することが出来る。
【0036】まず、ポリカーボネート樹脂組成物の機械
的強度、耐久性または増量を目的として配合される前記
無機質充填剤としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、
ガスビーズ、ガラスフレーク、カーボンフレーク、カー
ボンブラック、硫酸カルシウウム、炭酸カルシウム、ケ
イ酸カルシウム、参加チタン、アルミナ、シリカ、アス
ベスト、タルク、クレー、マイカ、石英粉等が挙げられ
る。また、前記添加剤としては、例えばヒンダードフェ
ノール系、リン系(亜燐酸エステル系、燐酸エステル系
等)、アミン系等の酸化防止剤、例えばベンゾトリアゾ
ール系、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、例えば脂肪
族カルボン酸エステル系、パラフィン系、シリコンオイ
ル、ポリエチレンワックス等の外部且つ剤、常用の難燃
剤、離形剤、帯電防止剤、着色剤等が挙げられる。
【0037】その他の合成樹脂としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS
樹脂、ポリメチルメタクリレート等の各樹脂を挙げるこ
とができる。該配合及び混練は通常、用いられる方法、
例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバ
リーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出
機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー
押出機等を用いる方法により行うことができる。混練に
際しての加熱温度は通常、240〜300℃の範囲で選
ばれる。
【0038】かくして得られたポリカーボネート樹脂組
成物は既知の種々の成形方法、例えば射出成形、中空成
形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等
を適用することができ、OA機器、電気・電子機器、移
動体通信機器分野の成形品を製造するのに供することが
出来る。
【0039】
【実施例】さらに、本発明を製造例、実施例及び比較例
により詳しく説明する。 製造例1−1 〔PCオリゴマーAの製造〕400リットルの5重量%
水酸化ナトリウム水溶液に60kgのビスフェノールA
を溶解し、ビスフェ ノールAの水酸化ナトリウム水溶
液を調整した。
【0040】次いで、室温に保持したこのビスフェノー
ルAの水酸化ナトリウム水溶液を138リットル/時間
の流量で、また塩化メチレンを69リットル/時間の流
量で、内径10mm、管長10mの管型反応器にオリフ
ィス板を通して導入し、これにホスゲンを並流して1
0.7kg/時間の流量で吹き込み、3時間連続的に反
応させた。ここで用いた管型反応器は二重管となってお
り、ジャケット部分には冷却水を通して反応液の排出温
度を25℃に保った。また、排出液のpHは10〜11
を示すように調製した。
【0041】このようにして得られた反応液を静置する
ことにより、水相を分離、除去し、塩化メチレン相(2
20リットル)を採取して、これにさらに塩化メチレン
170リットルを加え、十分に撹拌したものをPCオリ
ゴマーA(濃度317g/リットル )とした。 ここ
で得られたPCオリゴマーの重合度は3〜4であった。
【0042】製造例2−1 〔反応性PDMS−Aの製造〕1,483gのオクタメ
チルシクロテトラシロキサン、96gの1,1,3,3-テトラ
メチルジシロキサン及び35gの86%硫酸を混ぜ、室
温で17時間攪拌した。その後オイル相を分離し、25
gの炭酸水素ナトリウムを加え1時間攪拌した。濾過し
た後、150℃、3torrで真空蒸留し、低沸点物を除き
オイルを得た。60gの2-アリルフェノールと0.00
14gの塩化白金−アルコラート錯体としてのプラチナ
との混合物に、上記で得られたオイル294gを90℃
の温度で添加した。この混合物を90〜115℃の温度
に保ちながら3時間攪拌した。生成物を塩化メチレンで
抽出し、80%の水性メタノールで3回洗浄し、過剰の
2-アリルフェノールを除いた。その生成物を無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、真空中で115℃の温度まで溶剤を
留去した。得られた末端フェノールPDMSはNMRの
測定により、ジメチルシラノオキシ単位の繰り返し数は
30であった。
【0043】製造例2−2 〔反応性PDMS−Bの製造〕製造例2−1において1,
1,3,3-テトラメチルジシロキサンの量を18.1gに変
えた以外は、製造例2−1と同様に実施した。得られた
末端フェノールPDMSは、NMRの測定により、ジメ
チルシラノオキシ単位の繰り返し数は150であった。
【0044】製造例3−1 〔PC−PDMS共重合体A1 の製造〕製造例2−1で
得られた反応性PDMS−A185gを塩化メチレン2
リットルに溶解し、製造例1で得られたPCオリゴマー
10リットルを混合した。そこへ、水酸化ナトリウム2
6gを水1リットルに溶解させたものと、トリエチルア
ミン5.7ccを加え、500rpmで室温にて1時間
攪拌、反応させた。
【0045】反応終了後、上記反応系に5.2重量%の
水酸化ナトリウム水溶液5リットルにビスフェノールA
600gを溶解させたもの、塩化メチレン8リットル及
び p-tert-ブチルフェノール81gを加え、500rp
mで室温にて1時間攪拌、反応させた。反応後、塩化メ
チレン5リットルを加えさらに、水5リットルで水洗、
0.01規定水酸化ナトリウム水溶液5リットルでアル
カリ洗浄、0.1規定塩酸5リットルで酸洗浄、及び5
リットルで水洗を順次行い、最後に塩化メチレンを除去
し、チップ状のPC−PDMS共重合体を得た。
【0046】製造例3−2 〔PC−PDMS共重合体A2 の製造〕製造例3−1に
おいて、 p-tert-ブチルフェノール81gを113gに
変えた他は、製造例3−1と同様にして、チップ状のP
C−PDMS共重合体を得た。
【0047】製造例3−3 〔PC−PDMS共重合体A3 の製造〕製造例3−1に
おいて、反応性PDMS−A185gを42gに変え、
p-tert-ブチルフェノール81gを96gに変えた他
は、製造例3−1と同様にして、チップ状のPC−PD
MS共重合体を得た。
【0048】製造例3−4 〔PC−PDMS共重合体A4 の製造〕製造例3−1に
おいて、反応性PDMS−Aを反応性PDMS−Bに変
え、p-tert-ブチルフェノール81gを113gに変え
た他は、製造例3−1と同様にして、チップ状のPC−
PDMS共重合体を得た。
【0049】製造例3−1〜4で得られたPC−PDM
S共重合体A1 〜A4 については、それぞれ120℃で
一昼夜乾燥後、280℃の押出機でペレット化した。そ
して、それぞれについて、その物性評価として、PDM
S鎖長、PDMS含有率及び粘度平均分子量を測定し
た。その結果を第1表に示す。
【0050】
【表1】
【0051】なお、PDMS鎖長、PDMS含有率及び
粘度平均分子量の測定は、次に従った。 1.PDMS鎖長(n:ジメチルシラノオキサン単位)1 HNMRで0.2ppmに見られるジメチルシロキサ
ンのメチル基のピークと、2.6ppmに見られるPC
−PDMS結合部のメチレン基のピークとの強度比から
求めた。
【0052】2.PDMS含有率1 HNMRで1.7ppmに見られるビスフェノールA
のイソプロピルのメチル基のピークと、0.2ppmに
見られるジメチルシロキサンのメチル基のピークの強度
比から求めた。 3.粘度平均分子量(Mv) ウベローデ型粘度管にて、20℃における塩化メチレン
溶液の粘度を測定し、これより極限粘度〔η〕を求めた
後、次式にて算出した。 〔η〕=1.23×10-5×Mv0.83
【0053】実施例1〜7及び比較例1〜5 製造例3−1〜4で得られたPC−PDMS共重合体A
1 〜A4 及び市販のポリカーボネート、複合ゴム系グラ
フト共重合体、ハロゲン系化合物及びPTFEを第2表
に示す配合割合で配合し、ベント付き二軸押出機〔東芝
機械(株)製、TEM−35B〕によって温度280で混
練し、ペレット化した。得られたペレットのPC/PC
−PDMS中のPDMS含有率、組成物中のBr含有率
及びPC/PC−PDMS共重合体の粘度平均分子量(M
v)を第3表に示す。
【0054】得られたペレットは、それぞれ120℃で
5時間熱風乾燥した後、射出成形機〔東芝機械(株)製、
IS100EN〕を用いて、280℃の成形温度、80
℃の金型温度でキャビティー内に射出成形して、試験片
を作製した。なお、実施例及び比較例において用いた各
原料は、次の通りである。 〔ポリカーボネート樹脂〕 B1 : タフロン A2200 〔出光石油化学(株)製
Mv=21,000〕 B2 : タフロン A150
0 〔出光石油化学(株)製 Mv=15,000〕 〔複合ゴム系グラフト共重合体〕 C1 : メタブレン S−2001 〔三菱レイヨン
(株)製〕 〔ハロゲン系化合物〕 D1 : パイロチェック 68PB〔日産フェロ有機化
学(株)製;ポリトリブロモスチレン(臭素含有率68重
量%)〕 D2 : ファイヤーガード FG−7500〔帝人化成
(株)製;テトラブロモビスフェノールAオリゴマー(臭
素含有率52重量%)〕 〔PTFE〕 E1 : アルゴフロンF5 〔モンテフルオス社製;フ
ィブリル形成能有り〕〔ポリジメチルシロキサン〕 F1 : SH200 〔東レダウコーニングシリコーン
(株)製、PDMS鎖長n=130〕 得られたペレット及び試験片の性能評価として、アイゾ
ット衝撃強度、難燃性、Br含有率及び流れ値を測定し
た。
【0055】1)アイゾット衝撃強度試験:JIS K
7110に準拠し、測定温度−10℃で測定した。測定
本数10本のうち、脆性破壊せず、延性破壊する本数を
求め、その100分率(%)を算出した。 2)難燃性:UL94規格1.0mm(厚さ)アンダー
ライターズラボラトリー・サブジェクト94に従って垂
直燃焼試験を行なった。
【0056】3)Br含有率:蛍光X線分析法を用い
て、測定した。 4)流れ値:JIS K7210に準拠し、測定温度2
80℃,荷重160kgで測定した。 以上の性能評価の結果を第4表に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、流動性、難燃性及び衝
撃強度のいずれにも優れた、ポリカーボネート樹脂組成
物を提供することができる。従って、本発明によって得
られる樹脂組成物は、例えば、OA機器、電気・電子機
器、移動体通信機器分野等に好適に用いられる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリカーボネート0〜95重量%と
    (B)ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重
    合体であって、ポリオルガノシロキサン部の割合が
    (A)ポリカーボネートおよび(B)ポリカーボネート
    −ポリオルガノシロキサン共重合体の合計量に対し、
    0.1〜5重量%であるもの5〜100重量%に更に、
    (A)成分と(B)成分の合計量を100重量部とし
    て、(C)複合ゴム系グラフト共重合体であって、ポリ
    オルガノシロキサンゴム成分1〜99重量%とポリアル
    キルアクリレートゴム成分99〜1重量%とが相互に絡
    み合った構造を有し、且つ平均粒径が0.01から0.
    6μmである複合ゴムに1種又は2種以上のビニル系単
    量体がグラフト重合されてなるもの0.1〜8重量部と
    (D)全組成物中のハロゲン含有率が0.1〜6重量%
    に相当する量のハロゲン系化合物と(E)ポリテトラフ
    ルオロエチレン0.05〜1.0重量部とを配合してな
    る樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(D)ハロゲン系化合物が臭素化ポリスチ
    レンである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)成分及び(B)成分からなる樹脂組
    成物の粘度平均分子量が10,000から30,000
    である請求項1記載の樹脂組成物。
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