JP3459760B2 - 楽音生成装置及び楽音発生方法 - Google Patents

楽音生成装置及び楽音発生方法

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JP3459760B2 JP28454797A JP28454797A JP3459760B2 JP 3459760 B2 JP3459760 B2 JP 3459760B2 JP 28454797 A JP28454797 A JP 28454797A JP 28454797 A JP28454797 A JP 28454797A JP 3459760 B2 JP3459760 B2 JP 3459760B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、楽音生成装置に関
し、特にインパルス応答信号を使って楽音信号を生成さ
せる装置などに関する。
【0002】
【従来技術】従来、楽音生成装置の分野では、インパル
ス応答波形信号に関する制御を行うような装置はほとん
どなかった。ただ、インパルス応答波形信号そのものを
サンプリング記憶し、これを繰り返して読み出し、この
繰り返し周期を指定音高に応じたものとするものはあっ
た。この場合、指定された音高が高ければ読み出しの繰
り返し周期は短くなり、指定された音高が低ければ読み
出しの繰り返し周期は長くなる。また、このインパルス
応答波形信号そのものの読み出し速度は一定であり、音
高が高くても低くてもインパルス応答波形信号そのもの
の読み出し速度は変化しなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな装置では、単にインパルス応答波形信号を読み出し
て楽音に応用するだけであり、楽音の音色などの内容を
いろいろ変化させることはできなかった。通常楽音の音
色などを変化させるにはフィルタなどを使って楽音の周
波数成分(特性)を変化させる。
【0004】ところが、楽音の周波数特性(スペクトル
エンベロープ)は上記インパルス応答波形信号そのもの
の読み出し速度(発生速度)を変化させるだけで達成で
きる。インパルス応答波形信号の発生速度を変化させれ
ば、周波数特性が周波数軸上で伸びたり縮んだりして周
波数特性が変化し、この結果音色も変化する。この場
合、インパルス応答波形信号そのものの読み出し速度が
上記読み出しの繰り返し周期と連動していては、独自に
音色の決定を行うことはできず、音高に応じた音色の決
定となり、音高に従属した音色となってしまう。
【0005】本発明は上述した課題を解決するためにな
され、本発明の第1の目的は音高に従属しない独立の音
色の決定を行うことにあり、第2の目的はインパルス応
答波形信号を使って斬新な楽音信号を生成することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、発生すべき楽音信号の周波数特性に対
応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生し、
この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰り返し
の周期を、音高決定因子に応じて変化させ、上記音高決
定因子とは異なる音色決定因子に応じて、上記発生され
るインパルス応答信号そのものの発生速度を、上記繰り
返し周期とは独立に変化させた。
【0007】これにより、インパルス応答信号から生成
される楽音信号の音色が音高とは独立に変化され、音色
は音高に従属せず、自由に音色を変化させることができ
る。また、インパルス応答信号の繰り返し発生によって
所望の楽音信号が発生され斬新な楽音を生成できる。
【0008】また本発明では、発生された音楽的因子に
応じて、繰り返し発生されるインパルス応答信号の波形
形状を切り換えた。これにより、インパルス応答信号の
波形形状そのものの変化を音高変化に連動させたり、音
色変化に連動させたりすることができる。
【0009】1.本願発明の原理 図7及び図8は本願発明の原理を示す。図7ではインパ
ルス応答信号ISj(t)の繰り返し周期がT1または
T2のとき、このインパルス応答信号ISj(t)の出
力によって合成かつ生成される楽音の周波数特性(スペ
クトルエンベロープ(包絡)、周波数スペクトル成分特
性、フォルマント特性)を示す。この繰り返し周期Tは
生成される楽音の音高を決定する。したがって、この繰
り返し周期Tは音高情報によって決定され、周期係数f
として取り込まれる。
【0010】このインパルス応答信号ISj(t)の繰
り返し周期Tが短くなり、音高が高くなると、図7(B
1)(B2)に示すように周波数特性はあまり又は全く
変化せず、各周波数成分の密度が低くなり、フォルマン
トの幅は変わらない。したがって、繰り返し周期Tが変
化すると、音高は変化するが、音色(周波数成分、フォ
ルマント特性)そのものは変化しない。
【0011】このインパルス応答信号ISj(t)は図
1のインパルス信号発生部50の中のインパルス信号記
憶部51(図2)の中に各音楽的ファクタ毎に記憶され
ている。この記憶されているインパルス応答信号ISj
(t)は、図7(A1)または(A1)の2つのインパ
ルス応答信号ISj(t)のうちの片方であり、同図は
繰り返し読み出しの状態を示す。
【0012】図8ではインパルス応答信号ISj(t)
の繰り返し周期が同じで、インパルス応答信号ISj
(t)の読み出し速度が異なるとき、このインパルス応
答信号ISj(t)の出力によって合成かつ生成される
楽音の周波数特性(スペクトルエンベロープ(包絡)、
周波数スペクトル成分特性、フォルマント特性)を示
す。このインパルス応答信号ISj(t)自身の読み出
し速度は生成される楽音の音色(周波数成分、フォルマ
ント特性)を決定する。したがって、この読み出し速度
は音高に関係のない音楽的ファクタ情報、例えば音色情
報によって決定され、包絡係数rとして取り込まれる。
【0013】このインパルス応答信号ISj(t)の読
み出し速度が速くなり、インパルス応答信号ISj
(t)の時間長が短くなると、図8(B1)(B2)に
示すように各周波数成分の密度はあまり又は全く変化せ
ず、周波数特性(周波数スペクトル成分特性、フォルマ
ント特性)が変化し、フォルマントの幅が広がる。した
がって、信号の読み出し速度が変化すると、音色(周波
数成分、フォルマント特性)は変化するが、音高そのも
のは変化しない。
【0014】このインパルス応答信号ISj(t)は、
生成したい楽音信号の所定長さに対して、線形予測法、
ケプストラム法などの演算手法を施して生成され記憶さ
れる。例えば、ケプストラム法では、この所定長さの楽
音信号がフーリエ変換器で高速フーリエ変換され、周波
数パワースペクトルに変化される。
【0015】この変換されたパワースペクトルは、対数
変換器で対数変換され、さらに逆フーリエ変換器で高速
フーリエ逆変換され、時間域(ケフレンジ)のケプスト
ラムに変換される。このケプストラムは乗算器及び窓関
数発生器からの因果性の窓がかけられ複素ケプストラム
に変換される。この複素ケプストラムは再び上記フーリ
エ変換器で高速フーリエ変換され周波数域に戻され、ス
ペクトルエンベロープが求められる。
【0016】このスペクトルエンベロープの例は図7
(B1)(B2)及び図8(B1)(B2)に示され
る。このスペクトルエンベロープは指数変換器で指数変
換され、上記逆フーリエ変換器で高速フーリエ逆変換さ
れ時間域に戻される。これにより、最小位相のインパル
ス応答信号のサンプリングデータが生成され、これが上
記インパルス応答信号ISj(t)としてインパルス信
号記憶部51に記憶される。
【0017】2.全体回路 図1は楽音生成装置の全体回路を示す。演奏情報発生部
10からは演奏情報(楽音発生情報)が発生される。こ
の演奏情報(楽音発生情報)は、楽音を発生させるため
の情報である。この演奏情報発生部10は、マニュアル
操作によって演奏される発音指示装置、自動演奏装置、
種々のスイッチまたはインターフェイスである。
【0018】上記演奏情報(楽音発生情報)は、音楽的
ファクタ(因子)情報であり、音高(音域)情報(音高
決定因子)、発音時間情報、演奏分野情報などである。
発音時間情報は楽音の発音開始からの経過時間を示す。
演奏分野情報は、演奏パート情報、楽音パート情報、楽
器パート情報等を示し、例えばメロディ、伴奏、コー
ド、ベース、リズム等、または上鍵盤、下鍵盤、足鍵盤
等に対応している。
【0019】上記音高情報はキーナンバデータとして取
り込まれる。このキーナンバデータはオクターブデータ
(音域データ)と音名データとからなる。演奏分野情報
は、パートナンバとして取り込まれ、このパートナンバ
は各演奏エリアを識別するデータであって、発音操作さ
れた楽音がどの演奏エリアからのものかによって設定さ
れる。発音時間情報は、トーンタイムデータとして取り
込まれ、キーオンイベントからのタイムカウントデータ
に基づいたり、またはエンベロープフェーズで代用され
る。この発音時間情報は特願平6−219324号明細
書及び図面に発音開始からの経過時間情報として詳しく
示される。
【0020】発音指示装置は、キーボード楽器、弦楽
器、吹奏楽器、打楽器、コンピュータのキーボード等で
ある。自動演奏装置は、記憶された演奏情報を自動的に
再生するものである。インターフェイスは、MIDI
(ミュージカルインスツルメントデジタルインターフェ
イス)等、接続された装置からの演奏情報を受け取った
り、送り出したりする装置である。
【0021】さらに、この演奏情報発生部10には各種
スイッチが設けられ、この各種スイッチは音色タブレッ
ト、エフェクトスイッチ、リズムスイッチ、ペダル、ホ
イール、レバー、ダイヤル、ハンドル、タッチスイッチ
等であって楽器用のものである。この各種スイッチよ
り、楽音制御情報が発生され、この楽音制御情報は発生
された楽音を制御する情報であって音楽的ファクタ(因
子)情報であり、音色情報(音色決定因子)、タッチ情
報(発音指示操作の速さ/強さ)、エフェクト情報、リ
ズム情報、音像(ステレオ)情報、クオンタイズ情報、
変調情報、テンポ情報、音量情報、エンベロープ情報等
である。
【0022】これら音楽的ファクタ情報も上記演奏情報
(楽音情報)に合体され、上記各種スイッチより入力さ
れるほか、上記自動演奏情報に合体されたり、上記イン
ターフェイスで送受される演奏情報に合体される。な
お、上記タッチスイッチは上記発音指示装置の1つ1つ
に対応して設けられており、タッチの速さと強さを示す
イニシャルタッチデータとアフタタッチデータとが発生
される。
【0023】上記音色情報は、鍵盤楽器(ピアノ等)、
管楽器(フルート等)、弦楽器(バイオリン等)、打楽
器(ドラム等)の楽器(発音媒体/発音手段)の種類等
に対応しており、トーンナンバデータとして取り込まれ
る。上記エンベロープ情報は、エンベロープレベル、エ
ンベロープスピード、エンベロープフェーズなどであ
る。
【0024】このような音楽的ファクタ情報は、コント
ローラ20へ送られ、後述の各種信号、データ、パラメ
ータの切り換えが行われ、楽音の内容が決定される。上
記演奏情報(楽音発生情報)及び楽音制御情報はコント
ローラ20で処理され、各種データがインパルス信号発
生部50へ送られ、インパルス応答信号ISj(t)が
発生される。コントローラ20はCPU等からなってい
る。コントローラ20はCPU、ROM及びRAMなど
からなっている。
【0025】プログラム/データ記憶部30(内部記憶
媒体/手段)はROMまたは書き込み可能なRAM、フ
ラッシュメモリまたはEEPROM等の記憶装置からな
り、光ディスクまたは磁気ディスク等の情報記憶部41
(外部記憶媒体/手段)に記憶されるコンピュータのプ
ログラムが書き写され記憶される(インストール/転送
される)。またプログラム/データ記憶部30には外部
の電子楽器またはコンピュータから上記MIDI装置ま
たは送受信装置を介して送信されるプログラムも記憶さ
れる(インストール/転送される)。このプログラムの
記憶媒体は通信媒体も含む。
【0026】このインストール(転送/複写)は、情報
記憶部41が本楽音生成装置にセットされたとき、また
は本楽音生成装置の電源が投入されたとき自動的に実行
され、または操作者による操作によってインストールさ
れる。上記プログラムは、コントローラ20が各種処理
を行うための後述するフローチャートに応じたプログラ
ムである。
【0027】なお、本装置に予め別のオペレーティング
システム、システムプログラム(OS)、その他のプロ
グラムが記憶され、上記プログラムはこれらのOS、そ
の他のプログラムとともに実行されてもよい。このプロ
グラムは本装置(コンピュータ本体)にインストールさ
れ実行されたときに、別のプログラムとともにまたは単
独で請求項(クレーム)に記載された処理・機能を実行
させることができればよい。
【0028】また、このプログラムの一部又は全部が本
装置以外の1つ以上の別装置に記憶されて実行され、本
装置と別装置との間には通信手段を介して、これから処
理するデータ/既に処理されたデータ/プログラムが送
受され、本装置及び別装置全体として、本発明が実行さ
れてもよい。
【0029】このプログラム/データ記憶部30には、
上述した音楽的ファクタ情報、上述した各種データ及び
その他の各種データも記憶される。この各種データには
時分割処理に必要なデータや時分割チャンネルへの割当
のためデータ等も含まれる。
【0030】インパルス信号発生部50では、所定長の
インパルス応答信号ISj(t)が繰り返し発生され音
響出力部60から発音出力される。この繰り返し発生さ
れるインパルス応答信号ISj(t)の繰り返しの周期
は、上記音高情報に応じて変化され、またこの音高情報
とは異なる上記音色情報または音高に関係ない音楽的フ
ァクタ情報に応じて、この発生されるインパルス応答信
号ISj(t)そのものの読み出し速度(発生速度)が
変化され、これら繰り返し周期と読み出し速度とは互い
に独立に変化される。
【0031】このインパルス応答信号ISj(t)は発
生すべき楽音信号のスペクトルエンベロープに対応して
いて所定の有限の長さを持つ。このインパルス信号発生
部50は時分割処理によって複数の楽音信号が同時に生
成されポリフォニックに発音される。
【0032】タイミング発生部30からは、楽音生成装
置の全回路の同期を取るためのタイミングコントロール
信号が各回路に出力される。このタイミングコントロー
ル信号は、各周期のクロック信号のほか、これらのクロ
ック信号を論理積または論理和した信号、時分割処理の
チャンネル分割時間の周期を持つ信号、チャンネルナン
バデータjなどを含む。
【0033】3.インパルス信号発生部50 図2は上記インパルス信号発生部50を示す。インパル
ス信号記憶部51には、図10に示すように、種々のイ
ンパルス応答信号ISj(t)が記憶されている。これ
らのインパルス応答信号ISj(t)の波形形状は異な
っており、楽音信号に合成出力されたときの音色も異な
っている。これらのインパルス応答信号ISj(t)
は、上記各音楽的ファクタ情報に対応しており、上記音
色、タッチ、音高(音域)または発音時間、演奏分野、
エンベロープフェーズなどごとに多重に記憶されてい
る。
【0034】例えば、インパルス応答信号ISj(t)
は各音色ごとに異なって記憶され、このうち1種類の音
色のインパルス応答信号ISj(t)は各タッチごとに
異なって記憶され、このうち1種類のタッチのインパル
ス応答信号ISj(t)は各発音時間ごとに異なって記
憶され、・・・音高ごとに異なって記憶され、・・・演
奏分野ごとに異なって記憶され、・・・エンベロープフ
ェーズ毎に異なって記憶される。
【0035】上記音楽的ファクタ情報はコントローラ2
0でこのような種々のインパルス応答信号ISj(t)
を指定する上位読み出しアドレスデータに変換され、こ
の上記読み出しアドレスデータはインパルス信号選択部
52にストアされてインパルス信号記憶部51に供給さ
れインパルス応答信号ISj(t)が選択される。ま
た、上記音楽的ファクタ情報が各楽音ごとまたは発音中
に変化すれば、この上位読み出しアドレスデータは切り
換えられ、読み出されるインパルス応答信号ISj
(t)も切り換えられる。
【0036】この音楽的ファクタ情報が音高に関連する
ものであれば、インパルス応答信号の波形形状そのもの
の変化を音高変化に連動させたり、合成出力される楽音
信号の音色も音高変化に連動させることができる。ま
た、この音楽的ファクタ情報が音高以外の情報に関連す
るものであれば、インパルス応答信号の波形形状そのも
のの変化を音色、タッチ、発音時間、演奏分野の変化に
連動させたり、合成出力される楽音信号の音色も音色、
タッチ、発音時間、演奏分野の変化に連動させることが
できる。
【0037】このインパルス信号選択部52は上記時分
割チャンネル数に対応したメモリエリアを有し、各チャ
ンネルに割り当てられた楽音の音楽的ファクタに応じた
上位読み出しアドレスデータがそれぞれのメモリエリア
にストアされ、上記タイミング発生部からのチャンネル
ナンバデータjによって読み出されインパルス信号記憶
部51に供給される。
【0038】上記インパルス信号記憶部51の各インパ
ルス応答信号ISj(t)はインパルス信号読み出し部
53からの下位読み出しアドレスデータR1、R2によ
って読み出される。この下位読み出しアドレスデータR
1、R2は上記音高情報以外の上記音楽的ファクタ情報
に応じた速度でインクリメントされる。したがって、イ
ンパルス応答信号ISj(t)の読み出し速度は音高情
報によっては決定されない。また、このインパルス応答
信号ISj(t)は繰り返し読み出され、この繰り返し
の周期は、上記音高情報に応じて変化され、これら繰り
返し周期と読み出し速度とは互いに独立に決定される。
【0039】上記インパルス信号記憶部51から読み出
された各インパルス応答信号ISj(t)はインパルス
累算部54で各チャンネルごとに個別に累算かつ合成さ
れ、乗算器55でエンベロープジェネレータ56からの
エンベロープ信号が各チャンネルごとに乗算かつ合成さ
れ、楽音累算部57で全チャンネルの楽音信号について
累算かつ合成され、上記音響出力部60から発音出力さ
れる。
【0040】エンベロープジェネレータ56には上記音
楽的ファクタ情報(エンベロープ情報)がコントローラ
20によって送られて各チャンネルごとに記憶され、こ
の音楽的ファクタ情報(エンベロープ情報)に基づい
て、各チャンネルのエンベロープの各フェーズのスピー
ド及びレベルが設定され、各エンベロープの形状が決定
される。このエンベロープ信号は各チャンネルごとに時
分割に発生され上記乗算器55へ送られる。
【0041】4.インパルス信号読み出し部53 図3は上記インパルス信号発生部50の中のインパルス
信号読み出し部53を示す。上記コントローラ(CP
U)20からの周期係数f、包絡係数r、波形先頭アド
レスSa及び波形末尾アドレスEaは各時分割チャンネ
ルごとにパラメータRAM501にストアされる。場合
によって周期末尾値Fmaxも各時分割チャンネルごと
にパラメータRAM501にストアされる。このパラメ
ータRAM501には時分割チャンネル数に応じたメモ
リエリアが形成され、各チャンネルに割り当てられた楽
音に応じた上記係数f、r、アドレスSa、Eaが対応
するメモリエリアにストアされる。
【0042】上記周期係数f及び周期末尾値Fmax
は、上記インパルス応答信号ISj(t)の繰り返し周
期の長さを決定し、生成される楽音の音高を決定し、周
期係数fが順次繰り返し累算され、周期末尾値Fmax
に達するごとに、インパルス応答信号ISj(t)が繰
り返し読み出される。この周期係数fの累算値は周期カ
ウント値Fとなる。この周期係数f及び周期末尾値Fm
axは、上記音高情報(キーナンバデータ)によって決
定され、キーナンバデータから変換される。この繰り返
し周期の長さが発生される楽音信号の音高を決定する。
【0043】この周期係数f及び周期末尾値Fmaxの
いずれかは固定されてもよい。この図3の実施例では周
期末尾値Fmaxは周期カウント値Fが取り得る最大値
(「1111…11」又は「111…1100…0」)
に設定され、この周期末尾値Fmaxはストアされな
い。
【0044】上記包絡係数rは、上記インパルス応答信
号ISj(t)の読み出し(発生)速度を決定し、この
インパルス応答信号ISj(t)の周波数特性(フォル
マント形状)を決定し、生成される楽音の音色を決定
し、上記波形先頭アドレスSaから波形末尾アドレスE
aまで包絡係数rが繰り返し累算され、上記インパルス
信号記憶部51に下位読み出しアドレスデータR1、R
2として供給される。この下位読み出しアドレスデータ
R1、R2が波形末尾アドレスEaまで達すると、上記
周期カウント値Fが次に上記周期末尾値Fmax達する
まで、インパルス応答信号ISj(t)の読み出しが待
機される。
【0045】この包絡係数rは、上記音高に関係ない音
楽的ファクタ情報によって決定され、例えば上記音色情
報(トーンナンバデータ)、タッチ情報(タッチデー
タ)、発音時間情報(トーンタイムデータ)、演奏分野
情報(パートナンバデータ)から変換される。
【0046】上記パラメータRAM501からの上記包
絡係数rまたは周期計数fはBレジスタを経て、FLX
503を経てまたは経ないで、セレクタ504を介し
て、加算器505でそれまでの下位読み出しアドレスデ
ータR1、R2または周期カウント値Fに累算され、累
算レジスタ506を経て、セレクタ507を介して演算
RAM508にストアされる。この演算RAM508に
は時分割チャンネル数に応じたメモリエリアが形成さ
れ、各チャンネルに割り当てられた楽音に応じた上記デ
ータR1、R2、Fが対応するメモリエリアにストアさ
れる。上記FLX503は浮動小数点によるデータを固
定小数点によるデータに変換する。
【0047】このデータR1、R2、Fは演算RAM5
08からAレジスタ509を経て、セレクタ510を介
して上記加算器505に送られる。また、このデータR
1、R2はR1レジスタ511、R2レジスタ512を
経て上記インパルス信号記憶部51に送られる。上記累
算レジスタ506からの周期カウント値Fのうち下位の
小数データFr又はデータ「0」は、上記セレクタ51
0を介して上記加算器505に供給される。
【0048】この下位読み出しアドレスデータR1の初
期値は「0」、下位読み出しアドレスデータR2の初期
値は波形末尾アドレスEa、周期カウント値Fの初期値
は「0」であり、これらの初期値はコントローラ20に
よって上記セレクタ507を介して上記演算RAM50
8にストアされる。
【0049】上記パラメータRAM501からの上記波
形末尾アドレス値Ea(周期末尾値Fmax)はEaレ
ジスタ及びアンドゲート群514を介してコンパレータ
516に供給される。このコンパレータ516には上記
加算器505からの下位読み出しアドレスデータR1、
R2または周期カウント値Fも供給され、下位読み出し
アドレスデータR1、R2が波形末尾アドレス値Eaに
達したとき、または周期カウント値Fが最大値「111
…11」又は最大近似値「111…1100…0」(周
期末尾値Fmax)に達したとき、検出信号がフリップ
フロップ517にセットされ、コントローラ(CPU)
20へ送られる。
【0050】上記加算器505からのキャリーアウト信
号Coutは上記コンパレータ516の上位ビット群と
して供給され、また上記アンドゲート群514のゲート
信号はインバータ515で反転され、上記コンパレータ
516の上位ビット群として供給され、ビット数が整合
される。
【0051】上記波形先頭アドレスSa及び波形末尾ア
ドレスEaも、上記音楽的ファクタ情報によって決定さ
れ、例えば上記音高情報(キーナンバデータ)、音色情
報(トーンナンバデータ)、タッチ情報(タッチデー
タ)、発音時間情報(トーンタイムデータ)、演奏分野
情報(パートナンバデータ)から変換され、パラメータ
RAM501の対応チャンネルメモリエリアにストアさ
れる。この波形先頭アドレスSa及び波形末尾アドレス
Eaは、上記種々のインパルス応答信号ISj(t)の
1つを選択する。この場合、上記インパルス信号選択部
52は省略可能である。
【0052】5.処理全体 図4はコントローラ(CPU)20によって実行される
処理全体のフローチャートを示す。この処理全体は本楽
音生成装置の電源オンによって開始され、電源オフまで
繰り返し実行される。
【0053】まず、プログラム/データ記憶部40の初
期化など種々のイニシャライズ処理が行われ(ステップ
01)、上記演奏情報発生部10の発音指示装置または
自動演奏装置での手動演奏または自動演奏に基づく発音
処理が行われる(ステップ02)。
【0054】この発音処理では、サーチされた空きチャ
ンネルにキーオンイベントに係る楽音が割り当てられ
る。この楽音の内容は、上記演奏情報発生部10からの
上記演奏情報(楽音発生情報)、楽音制御情報の音楽的
ファクタ情報及びこのときプログラム/データ記憶部4
0に既に記憶されている音楽的ファクタ情報によって決
定される。
【0055】次いで、上記演奏情報発生部10の発音指
示装置または自動演奏装置での手動演奏または自動演奏
に基づく消音(減衰)処理が行われる(ステップ0
3)。この消音(減衰)処理では、キーオフイベントに
係る楽音が割り当てられているチャンネルがサーチされ
当該楽音が減衰され消音される。この場合、キーオフイ
ベントに係る楽音のエンベロープフェーズがリリースと
なり、エンベロープレベルが次第に「0」になる。
【0056】さらに、上記演奏情報発生部10の各種ス
イッチの操作があれば、このスイッチに対応する音楽的
ファクタ情報が取り込まれ、プログラム/データ記憶部
40に記憶され、音楽的ファクタ情報が変更される(ス
テップ04)。この後、その他の処理が実行され(ステ
ップ05)、上記ステップ02からこのステップ05ま
での処理が繰り返される。
【0057】6.インパルス応答信号ISj(t)発生
処理 図5はコントローラ(CPU)20によって実行される
上記ステップ02の発音処理のフローチャートを示し、
この処理ではインパルス応答信号ISj(t)が発生さ
れる。この図5のフローチャートは全時分割チャンネル
について行われる。
【0058】まず、上記演奏情報発生部10の発音指示
装置または自動演奏装置からコントローラ20に手動演
奏または自動演奏に基づくキーオンイベント(発音イベ
ント)が送られれば(ステップ11)、「0」の上記下
位読み出しアドレスデータR1、波形末尾アドレスEa
に設定された下位読み出しアドレスデータR2、「0」
の周期カウント値Fが上記演算RAM508の対応チャ
ンネルメモリエリアにストアされ、重ね合わせチャンネ
ルカウンタ(プログラム/データ記憶部40)の対応チ
ャンネルエリアが「0」にリセットされる(ステップ1
2)。
【0059】次に、周期係数f及び周期末尾値Fmax
はキーナンバデータ(音高情報)から変換され、パラメ
ータRAM501の対応チャンネルメモリエリアにスト
アされ、包絡係数rは、トーンナンバ(音色情報)、タ
ッチデータ(タッチ情報)、トーンタイムデータ(発音
時間情報)またはパートナンバデータ(演奏分野情報)
から変換され、パラメータRAM501の対応チャンネ
ルメモリエリアにストアされ(ステップ13)、その他
の処理が実行される(ステップ14)。
【0060】また、波形先頭アドレスSa及び波形末尾
アドレスEaは、キーナンバデータ(音高情報)、トー
ンナンバ(音色情報)、タッチデータ(タッチ情報)、
トーンタイムデータ(発音時間情報)またはパートナン
バデータ(演奏分野情報)から変換され、パラメータR
AM501の対応チャンネルメモリエリアにストアされ
る(ステップ13)。この波形先頭アドレスSa及び波
形末尾アドレスEaは、上記種々のインパルス応答信号
ISj(t)の1つを選択する。この場合、上記インパ
ルス信号選択部52は省略可能である。
【0061】さらに、キーオン開始(発音開始)または
キーオン中(発音中)の楽音があれば(ステップ1
5)、上記周期カウント値Fに周期係数fが加算(累
算)され(ステップ16)、この加算値(累算値)が周
期末尾値Fmax(「1111…11」又は「111…
1100…0」)以上であれば(ステップ17)、周期
カウント値Fから周期末尾値Fmaxが減算され、周期
カウント値Fの端数が補正される(ステップ18)。
【0062】重ね合わせチャンネルを切り換えて(ステ
ップ18、21、22)、切り換えられた当該チャンネ
ルの波形先頭アドレスSaに周期カウント値Fのうち下
位の小数データFrが加算され(ステップ23)、下位
読み出しアドレスデータR1またはR2の初期値が補正
される。
【0063】この重ね合わせチャンネルでは、2つのイ
ンパルス応答信号ISj(t)が時分割に交互に読み出
され、1つの楽音として出力され、上述したように複数
の楽音がさらなる時分割チャンネルを通じてポリフォニ
ックに出力される。この重ね合わせチャンネルの値(c
h=0、1)によって、2つのインパルス応答信号IS
j(t)の読み出しが区別される。
【0064】1つのインパルス応答信号ISj(t)の
読み出しの時間的長さが、このインパルス応答信号IS
j(t)の繰り返し周期の時間的長さより長いと、先の
インパルス応答信号ISj(t)と次のインパルス応答
信号ISj(t)とが重なってしまう。したがって、上
記の2つのインパルス応答信号ISj(t)がチャンネ
ル分割によって個別に読み出されれば、この2つのイン
パルス応答信号ISj(t)が並行して読み出され重ね
合わされる。むろん、このチャンネル数は2を越えても
よい。
【0065】次いで、下位読み出しアドレスデータR1
に包絡係数rが波形末尾アドレスEaになるまで加算さ
れ(ステップ24、25、26)、下位読み出しアドレ
スデータR2に包絡係数rが波形末尾アドレスEaにな
るまで加算される(ステップ27、28、29)。この
2つの下位読み出しアドレスデータR1及びR2によ
り、上述したように2つのインパルス応答信号ISj
(t)がインパルス応答信号ISj(t)信号記憶部5
1から並行して読み出されインパルス累算部54で重ね
合わされる。以上のステップ15からステップ29まで
の処理が全時分割チャンネルにわたって繰り返され(ス
テップ30)、その他の処理が実行される(ステップ3
1)。
【0066】7.インパルス信号読み出し部53のタイ
ムチャート 図6は、上記インパルス信号読み出し部53の各部の動
作のタイムチャートを示す。上述したように、パラメー
タRAM501及び演算RAM508への書き込み/読
み出し、各セレクタ504、507、510の切り換
え、各レジスタ502、5096、509、511、5
12、513へのストア、フリップフロップ517への
ストア、アンドゲート群514の開成/閉成が切り換え
制御される。これらの切り換え制御信号は、上述したタ
イミング発生部からの種々のタイミング制御信号が使わ
れる。
【0067】上記周期末尾値FmaxがパラメータRA
M501にストアされるときは、当該周期末尾値Fma
xの書き込み/読み出しも行われる。このタイムチャー
トの波形のうちハイレベル/ローレベルが点線で示され
るものは、書き込みデータがあるとき/ないとき、コン
パレータ516が検出/非検出によって、ハイレベルに
なったりローレベルになったりする。
【0068】8.読み出し状態 図9はインパルス応答信号ISj(t)のインパルス信
号記憶部51からの読み出し状態を示す。発音開始(キ
ーオン)によって、1番目のインパルス応答信号ISj
(t)は下位読み出しアドレスデータR1によって読み
出し開始される(ステップ24)。この下位読み出しア
ドレスデータR1は包絡係数rの速度でインクリメント
開始される。
【0069】同時に、周期カウント値Fが周期係数fの
速度でインクリメント開始される(ステップ15、1
6)。周期カウント値Fが周期末尾値Fmaxに達する
と(ステップ17)、上記1番目のインパルス応答信号
ISj(t)がまだ読み出しの途中であっても、2番目
のインパルス応答信号ISj(t)が下位読み出しアド
レスデータR2によって読み出し開始される(ステップ
27)。この下位読み出しアドレスデータR2も包絡係
数rの速度でインクリメント開始される。
【0070】そして、発音開始から2番目の周期Tが経
過すると(ステップ17)、上記2番目のインパルス応
答信号ISj(t)がまだ読み出しの途中であっても、
3番目のインパルス応答信号ISj(t)が下位読み出
しアドレスデータR1によって読み出し開始される(ス
テップ24)。
【0071】さらに、発音開始から3番目の周期Tが経
過すると(ステップ17)、上記3番目のインパルス応
答信号ISj(t)がまだ読み出しの途中であっても、
4番目のインパルス応答信号ISj(t)が下位読み出
しアドレスデータR2によって読み出し開始される(ス
テップ27)。
【0072】このように、2つの下位読み出しアドレス
データR1及びR2によって、2つの同じインパルス応
答信号ISj(t)が交互に読み出される。したがっ
て、インパルス応答信号ISj(t)そのものの長さが
繰り返し発生の周期Tより長くても、各周期Tの終わり
で先のインパルス応答信号ISj(t)の発生を継続さ
せるとともに、次のインパルス応答信号ISj(t)を
重ねて発生させることができる。これらのインパルス応
答信号ISj(t)は1つの楽音信号として合成かつ出
力される。
【0073】なお、1つの楽音信号として時分割に読み
出されるインパルス応答信号ISj(t)の数は「2」
を越えていてもよい。これに応じて、下位読み出しアド
レスデータの数もR1、R2、R3、R4、・・・と増
加し、ステップ24〜26、27〜29の数も増える。
【0074】また、1つの楽音信号として時分割に読み
出されるインパルス応答信号ISj(t)の数は「1」
でもよい。この場合、インパルス応答信号ISj(t)
そのものの長さが繰り返し周期Tより短くなる。したが
って、インパルス応答信号ISj(t)そのものの長さ
が繰り返し周期Tより短いか否かが判断される。短けれ
ば、ステップ27〜29の処理は省略され、インパルス
応答信号ISj(t)の時分割読み出しシステムは1つ
になる。インパルス応答信号ISj(t)そのものの長
さは、波形末尾アドレスEaと波形先頭アドレスSaと
の差を包絡係数rで除算して求められる。同じく繰り返
し周期Tは、周期末尾値Fmaxを周期計数fで除算し
て求められる。
【0075】本発明は上記実施例に限定されず、本発明
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例え
ば、周期末尾値Fmaxの設定は省略されて、周期カウ
ント値Fが取りうる最大値に固定され得る。この場合周
期係数fだけによって、楽音信号の音高が決定される。
【0076】上記1つのインパルス応答信号ISj
(t)の前半と後半は同じ形状であったが、互いに異な
る形状でもよい。また、インパルス応答信号ISj
(t)の前半のみが記憶され、この前半が折り返し逆に
読み出されて、後半の信号が生成されてもよい。上記イ
ンパルス応答信号ISj(t)は、外部からの音をサン
プリング記憶して、上記ケプストラム法、線形予測法等
によって変換したものでもよいし、使用者が人工的に作
成したものでもよい。
【0077】(1) 発生すべき楽音信号の周波数特性
に対応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生
させ、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の
繰り返しの周期を、音高決定因子に応じて変化させ、
上記音高決定因子とは異なる音色決定因子に応じて、上
記発生されるインパルス応答信号そのものの発生速度
を、上記繰り返し周期とは独立に変化させることを少な
くともコンピュータに実行させる楽音生成のためのコン
ピュータプログラムを記憶した媒体/コンピュータプロ
グラムの通信方法/こと特徴とする楽音生成装置/方
法。
【0078】(2) 発生すべき楽音信号の周波数特性
に対応した所定長のインパルス応答信号を発生し、 こ
の発生されるインパルス応答信号を所定の周期で繰り返
し発生させるように制御し、 上記インパルス応答信号
そのものの長さが上記繰り返し発生の周期より長くて
も、当該周期の終わりで当該インパルス応答信号の発生
を継続させるとともに、次のインパルス応答信号を重ね
て発生させることを特徴とする楽音生成装置。
【0079】(3) 音高決定因子は上記楽音信号の音
高を決定する因子であり、 音色決定因子は上記楽音信
号の音色を決定する因子であり、 上記インパルス応答
信号は記憶手段に記憶され、上記音色決定因子に応じて
このインパルス応答信号の読み出し速度が決定され、上
記音高決定因子に応じてこのインパルス応答信号の繰り
返し読み出しの繰り返し周期が決定されることを特徴と
する請求項1または2記載の楽音生成装置。出願当初の
特許請求の範囲は以下の通りであった。 [A]発生すべき楽音信号の周波数特性に対応した所定
長のインパルス応答信号を繰り返し発生し、 この繰り
返し発生されるインパルス応答信号の繰り返しの周期
を、音高決定因子に応じて変化させ、 上記音高決定因
子とは異なる音色決定因子に応じて、上記発生されるイ
ンパルス応答信号そのものの発生速度を、上記繰り返し
周期とは独立に変化させ、 発生された音楽的因子に応
じて、上記繰り返し発生されるインパルス応答信号の波
形形状を切り換えることを特徴とする楽音生成装置。 [B]発生すべき楽音信号の周波数特性に対応した所定
長のインパルス応答信号を発生し、 この発生されるイ
ンパルス応答信号を所定の周期で繰り返し発生させるよ
うに制御し、 上記インパルス応答信号そのものの長さ
が上記繰り返し発生の周期より長くても、当該周期の終
わりで当該インパルス応答信号の発生を継続させるとと
もに、次のインパルス応答信号を重ねて発生させ、 発
生された音楽的因子に応じて、上記繰り返し発生される
インパルス応答信号の波形形状を切り換えることを特徴
とする楽音生成装置。 [C]発生すべき楽音信号の周波数特性に対応した所定
長のインパルス応答信号を繰り返し発生し、 この繰り
返し発生されるインパルス応答信号の繰り返しの周期
を、音高決定因子に応じて変化させ、 上記音高決定因
子とは異なる音色決定因子に応じて、上記発生されるイ
ンパルス応答信号そのものの発生速度を、上記繰り返し
周期とは独立に変化させ、 発生された音楽的因子に応
じて、上記繰り返し発生されるインパルス応答信号の波
形形状を切り換えることを特徴とする楽音生成方法。 [D]音高決定因子は上記楽音信号の音高を決定する因
子であり、 音色決定因子は上記楽音信号の音色を決定
する因子であり、 上記インパルス応答信号は記憶手段
に記憶され、上記音色決定因子に応じてこのインパルス
応答信号の読み出し速度が決定され、上記音高決定因子
に応じてこのインパルス応答信号の繰り返し読み出しの
繰り返し周期が決定され、 上記音楽的因子は上記楽音
信号の音高を決定する因子、または上記音高決定因子と
は異なる音色決定因子であることを特徴とする請求項A
またはB記載の楽音生成装置。
【0080】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、発生
すべき楽音信号のスペクトルエンベロープに対応した所
定長のインパルス応答信号を繰り返し発生し、この繰り
返し発生されるインパルス応答信号の繰り返しの周期
を、音高決定因子に応じて変化させ、上記音高決定因子
とは異なる音色決定因子に応じて、上記発生されるイン
パルス応答信号そのものの発生速度を、上記繰り返し周
期とは独立に変化させた。したがって、インパルス応答
信号から生成される楽音信号の音色が音高とは独立に変
化され、音色は音高に従属せず、自由に音色を変化させ
ることができる。また、インパルス応答信号の繰り返し
発生によって所望の楽音信号が発生され斬新な楽音を生
成できる。さらに、発生された音楽的因子に応じて、繰
り返し発生されるインパルス応答信号の波形形状を切り
換えた。したがって、インパルス応答信号の波形形状そ
のものの変化を音高変化に連動させたり、音色変化に連
動させたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】楽音生成装置の全体回路を示す。
【図2】インパルス信号発生部50を示す。
【図3】インパルス信号発生部50の中のインパルス信
号読み出し部53を示す。
【図4】処理全体のフローチャートを示す。
【図5】上記ステップ02の発音処理のフローチャート
を示す。
【図6】インパルス信号読み出し部53の各部の動作の
タイムチャートを示す。
【図7】本願発明の原理を示す。
【図8】本願発明の原理を示す。
【図9】インパルス応答信号ISj(t)のインパルス
信号記憶部51からの読み出し状態を示す。
【図10】インパルス信号記憶部51に記憶されている
種々のインパルス応答信号ISj(t)を示す。
【符号の説明】
10…演奏情報発生部、20…コントローラ(CP
U)、30…タイム発生部、40…迂路/データ記憶
部、41…情報記憶部、50…インパルス信号発生部、
60…音響出力部、51…インパルス信号記憶部、52
…インパルス信号選択部、53…インパルス信号読み出
し部、54…インパルス累算部、501…パラメータR
AM、508…演算RAM、505…加算器。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発生すべき楽音信号の周波数特性に対応
    した所定長のインパルス応答信号であって、信号の前半
    と後半とが線対称のインパルス応答信号を繰り返し発生
    する手段と、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰り返し
    の周期を、上記楽音信号の音高を決定する音高決定因子
    だけに応じて変化させる手段と、 上記インパルス応答信号そのものの長さが上記繰り返し
    発生の周期より長くても、次のインパルス応答信号を発
    生させる手段と、 上記音高決定因子とは異なり、上記楽音信号の音色を決
    定する音色決定因子だけに応じて、上記発生されるイン
    パルス応答信号の波形そのものの発生速度を変化させる
    手段と、 発生された音楽的因子であって、上記音高決定因子及び
    上記音色決定因子を含む音楽的因子に応じて、上記繰り
    返し発生されるインパルス応答信号の波形形状そのもの
    を切り換えることを特徴とする楽音生成装置。
  2. 【請求項2】 発生すべき楽音信号の周波数特性に対応
    した所定長のインパルス応答信号であって、信号の前半
    と後半とが線対称のインパルス応答信号を繰り返し発生
    し、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰り返し
    の周期を、上記楽音信号の音高を決定する音高決定因子
    だけに応じて変化させ、 上記インパルス応答信号そのものの長さが上記繰り返し
    発生の周期より長くても、次のインパルス応答信号を発
    生させ、 上記音高決定因子とは異なり、上記楽音信号の音色を決
    定する音色決定因子だけに応じて、上記発生されるイン
    パルス応答信号の波形そのものの発生速度を変化させ、 発生された音楽的因子であって、上記音高決定因子及び
    上記音色決定因子を含む音楽的因子に応じて、上記繰り
    返し発生されるインパルス応答信号の波形形状そのもの
    を切り換えることを特徴とする楽音生成方法。
  3. 【請求項3】 上記インパルス応答信号そのものの長さ
    が上記繰り返し発生の周期より長くても、当該周期の先
    頭と終わりとで当該インパルス応答信号と次の インパル
    ス応答信号とを重ねて発生させることを特徴とする請求
    項1記載の楽音生成装置。
  4. 【請求項4】 上記インパルス応答信号は記憶手段に記
    憶され、上記音色決定因子に応じてこのインパルス応答
    信号の読み出し速度が決定され、上記音高決定因子に応
    じてこのインパルス応答信号の繰り返し読み出しの繰り
    返し周期が決定され、 音高決定因子は上記楽音信号の音高を決定する因子であ
    り、 音色決定因子は上記楽音信号の音色を決定する因子であ
    り、 上記音楽的因子は上記音高決定因子または上記音色決定
    因子であることを特徴とする請求項1または3記載の楽
    音生成装置。
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