JP3457016B2 - 消臭剤の製造方法 - Google Patents

消臭剤の製造方法

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JP3457016B2
JP3457016B2 JP17852592A JP17852592A JP3457016B2 JP 3457016 B2 JP3457016 B2 JP 3457016B2 JP 17852592 A JP17852592 A JP 17852592A JP 17852592 A JP17852592 A JP 17852592A JP 3457016 B2 JP3457016 B2 JP 3457016B2
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良一 築山
裕 薦田
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旭食研株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は消臭剤の製造方法および
該方法により得られた消臭剤に関する。より詳しくは、
食料品、化粧品、医薬部外品、家庭用品、あるいは家畜
やその飼料などの消臭に利用される消臭剤の製造方法お
よび該方法により得られた消臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】古くから消臭効果を有するものとして、
醤油、酒、みりん、みそ、ワインなどの醸造物や、セー
ジ、ローズマリー、タイムなどの多くの香辛料がよく知
られている。しかしながら、これらは比較的消臭効果が
弱く、かつ独特の強い匂いを持っているために、消臭剤
としての利用範囲は限定されている。
【0003】一方、糸状菌や放線菌などの微生物の中に
は強い消臭効果を有する物が多く存在する。これらの一
部は、麹漬けのごとく食品そのものの消臭に利用され、
あるいは廃棄物の消臭を兼ねた処理にも利用されてい
る。しかし、これらの微生物を消臭剤として利用した場
合、被消臭物の本質を大きく変えることがある。さら
に、微生物由来の酵素を消臭剤として用いる方法も知ら
れている。しかし、これらの酵素の被消臭物内部への浸
透力が弱いため、固形物を脱臭するのが困難であり、か
つ、消臭力が現れるまでに長時間を要する。さらに、微
生物や酵素の保存性、あるいは使用条件を厳しく限定す
る必要がある。その結果、消臭剤として広範囲に利用す
ることが困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を解決しようとするもので、その目的は、消臭効果、保
存性あるいは熱に対する安定性に優れ、消臭剤自体の匂
い、被消臭物への作用が少なく、固形物にも広く適用し
得る消臭剤、およびそれを短時間で簡便に製造する方法
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の消臭剤の製造方
法は、糸状菌を該糸状菌が利用し得る基質を含む培地を
用いて培養し、培養物を得る工程と、該培養物を有機溶
媒で抽出する工程と、を包含する消臭剤の製造方法であ
って、該基質は、食用植物性種子原料および該食用植物
性種子原料の油脂抽出残渣でなる群より選択される少な
くとも一種、またはそれに糖質物を加えた混合物であ
り、該培養の期間が1〜7日であり、そのことにより上
記目的が達成される。
【0006】好適な実施態様においては、前記糸状菌
は、アスペルギルス(Aspergillus)属またはリゾープ
ス(Rhizopus)属の糸状菌である。
【0007】本発明の消臭剤は、上記製造方法によって
得られた消臭剤であり、そのことにより上記目的が達成
される。
【0008】以下に本発明を詳しく述べる。
【0009】本発明で用いられる糸状菌は、醸造工業や
発酵工業において通常用いられている、アスペルギルス
属またはリゾープス属の菌であり、好ましくは、アスペ
ルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae、IFO 4075お
よびIFO 4079)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillu
s sojae、IFO 4239)、アスペルギルス・ニガー(Asper
gillus niger、IFO 6341およびIFO 26030)、リゾーブ
ス・オリゼー(Rhizopus oryzae、IFO 4705およびIFO 4
734)である。
【0010】本発明で糸状菌の培養に用いられる基質
は、食用植物性種子原料および該食用植物性種子原料の
油脂抽出残渣でなる群より選択される少なくとも一種、
またはそれに糖質物を加えた混合物から選ばれる。食用
植物性種子原料としては、一般に容易に入手できる任意
の食用植物性種子が挙げられる。それには例えば、米、
小麦、大豆、ゴマ、ひまわり、なたね、そら豆、大麦な
どの種子がある。食用植物性種子原料の油脂抽出残渣
は、食品用油脂および工業用油脂を得るために上記食用
植物性種子原料を加工したいわゆる油脂抽出残渣であ
り、脱脂大豆などが挙げられる。これらの原料は、単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。本発
明で用いられる糖質物は、バレイショのようなでんぷん
質物、その加工品のようなでんぷん質含有物、あるいは
ブドウ糖のような糖類を包含する。培地は、上記食用植
物性種子原料および食用植物性種子原料の油脂抽出残渣
でなる群より選択される少なくとも一種に、必要に応じ
て糖質物を加え、これに適量の水を加えて調製する。糖
質物は糸状菌の生育により有効に作用する。この糖質物
は基質中に、好ましくは20〜80重量%の割合で、よ
り好ましくは40〜60重量%の割合で含有される。培
地中には基質100重量部に対して水分が35〜70重
量%、好ましくは、50〜60重量%の割合で含有され
る。
【0011】これらの培地の原料は、蒸煮、ばい煎、膨
化などの加熱による加工処理を行って、あるいは、原料
を加熱せずにあらかじめ混合し、または成形して、培地
とする。
【0012】本発明方法により消臭剤を調製するには、
まず、上記のように培地の成分に水を加えて混合し、必
要に応じて加熱処理(蒸煮、膨化などの処理を含む)を
行い、培地を得る。この培地は完全滅菌されている必要
はないが、バチルス(Bacillus)属菌のような細菌類の
混入および増殖を抑制するため、上記のような加熱処理
あるいは薬剤(アルコール、次亜塩素酸塩など)を用い
た殺菌処理を行うことが望ましい。糸状菌の増殖を妨げ
るほどの細菌や酵母(雑菌)の混入は、目的とする消臭
剤の効果を低下させ得るので注意を要する。糸状菌の培
養は、上記の培地を用い、公知の発酵技術を用いて行わ
れ得る。培養温度は、好ましくは20℃〜35℃であ
り、より好ましくは25℃〜32℃である。
【0013】培養の期間は、1〜7日である。培養期間
が1日未満の場合、充分な消臭効果を有する消臭剤は得
られず、一方、7日間を超える長期間の培養は、消臭効
果の減少につながる。
【0014】次に、得られた培養物を有機溶媒で抽出す
る。本発明で用い得る有機溶媒は、特に限定されていな
いが、含水エタノール、エタノールあるいはジクロルメ
タンのように、食品工業で常用されている安全性の高い
有機溶媒が好ましい。さらには、酢酸エチル、アセト
ン、エチルエーテルなども用いられ得る。上記有機溶媒
を使用することにより、本発明の消臭剤が有効に抽出で
きる。用いた基質により、培養物を有効に抽出し得る溶
媒が異なる(例えば、脱脂大豆と小麦の等量混合物を基
質として用いるときはエチルアルコールが好適であ
る)。抽出方法としては、培養物を有機溶媒中に浸漬後
ろ別する方法が好適であるが、これに限定されない。得
られた抽出液は、そのまま、あるいは必要に応じて活性
炭などによる精製(脱色、脱臭など)を行い、消臭剤と
して用いられる。さらに必要に応じて濃縮乾燥を行うこ
とも可能である。
【0015】上記のようにして得られる消臭剤の消臭成
分、およびその生成機構については明らかにされていな
い。しかし、消臭成分の性質としては次のことが明らか
である。つまり、糸状菌を所定の期間培養することに
より生成する物質であること(7日間を超える培養では
消臭成分の量または働きは低下する)、加熱に対して
安定であること、有機溶媒で効率よく抽出され、水で
は抽出されにくいことなどが明らかである。上記のよう
に、比較的短期間の培養により効果的に得られることか
ら、従来の醸造物(醤油、味噌、酒、みりんなど)に含
まれる物質のように、大量の水で長期間培養したときに
生成するような酵素類により形成される物質ではないこ
とがわかる。さらに、乳酸菌や酵母による発酵を必要と
せずに生成される物質である。
【0016】このようにして得られた本発明の消臭剤
は、消臭効果に優れ、保存性あるいは熱に対する安定性
が良好である。消臭剤自体の匂い、被消臭物への作用が
ほどんどなく、広範囲の分野において固形物の脱臭にも
広く適用し得る。この消臭剤は短時間で簡便に製造され
得る。
【0017】下記の実施例に本発明の消臭剤について詳
述しているが、基質、有機溶媒、抽出方法、あるいは用
途などに関しては、これらに限定されるものではない。
【0018】
【実施例】以下に実施例により得られる消臭剤の判定方
法を示す。
【0019】判定方法 消臭剤の判定は、5〜10名のパネラーによって、被消
臭物特有の臭みの強弱を比較し、これを採点することに
より行った。判定基準は、以下のように5段階評価と
し、消臭効果が非常に強い(被消臭物特有の臭みがな
い)場合を1点、その中間の評価を2〜4点とした。消
臭効果がない(対照と差がない)場合を5点とし、各パ
ネラーによる採点の平均点を算出した。対照としては、
消臭剤を溶解するために用いた溶媒のみを用いた。
【0020】(実験例1)各種糸状菌の培養により得られる消臭剤の効果 脱脂大豆に等量の水を散水して吸水させ、これを110
℃前後で約30分間蒸煮した。次に、この蒸煮殺菌した
脱脂大豆100重量部に、160℃で数分間加熱後割砕
した小麦70重量部を、べとつかない程度に混合して培
地を得た。得られた培地に、表1に示す糸状菌をそれぞ
れ接種し、28℃で3日間培養した。得られた培養物1
00gを採取し、90%エチルアルコール500mLを
加え、一夜浸漬後ろ別して抽出液を得た。これを20m
Lまで減圧濃縮して、本発明の消臭剤をそれぞれ得、こ
れを検体とした。対照検体は、上記基質に糸状菌を接種
せずに同様の操作を行って調製した。
【0021】消臭効果の判定は、マトンのミンチ50g
に対し、上記検体0.5mLを加え、充分に混合し、8
0℃で10分間加熱後、マトン臭の強弱を比較して行っ
た。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表からも明らかなように、いずれの糸状菌
を培養した場合にも、対照検体に比べて強い消臭効果が
見られた。
【0024】(実験例2)培養期間と消臭効果との関係 脱脂処理したごま粕に粉砕小麦を等量混合し、この混合
物100重量部に水を80重量部添加し、100℃で3
0分間蒸煮して培地を得た。これに、糸状菌(アスペル
ギルス・オリゼー、アスペルギルス・ニガー、アスペル
ギルス・ソーヤ、およびリゾーブス・オリゼー)をそれ
ぞれ接種し、30℃で10時間、1日(25時間)、2
日、5日、7日、および10日培養した。得られた培養
物をそれぞれ100gずつ採取し、エチルエーテル50
0mLで抽出後ろ別し、減圧下で濃縮乾固し、エチルア
ルコール20mLを加えて懸濁して、本発明の消臭剤を
それぞれ得、消臭効果判定用の検体とした。
【0025】消臭効果の判定は、実験例1と同様の方法
で行った。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】菌株の種類によって、消臭効果の発現の速
さが若干異なるものの、速い菌株では1日間の培養で消
臭効果が発現した。この消臭効果は、培養後7日間まで
続いたが、10日目では、すべての菌株で消臭効果が減
少した。
【0028】(実験例3)糸状菌培養物の、抽出操作の差による消臭効果の比較 本実験例は、本発明の消臭剤と、従来の醸造物で認めら
れている成分との消臭効果の差を調べるために、糸状菌
培養物を用いて比較した。
【0029】従来の醸造物中の消臭成分の抽出は、次の
ようにして行った。すなわち、得られた培養物100g
に、抽出溶液としてそれぞれ、20%食塩水、または3
0%エチルアルコールを200mL加え、30℃または
10℃で15日間放置した。あるいは、抽出液として水
200mLを加え(対照)、0〜2℃で15日間放置し
た。抽出液の全容量を減圧下で1/3程度に濃縮した
後、エチルエーテル1Lで5時間、攪拌しながら抽出を
2回行った。得られたエチルエーテル抽出液を無水芒硝
で脱水後、減圧濃縮により溶媒を除去し、この溶液にエ
チルアルコール20mLを加えて懸濁液を得た。この懸
濁液を、醸造物中の消臭成分を含有する消臭剤とした。
【0030】本実験例の糸状菌(アスペルギルス・オリ
ゼー)培養物の調製は、実験例1に準じて行った。但
し、培養物に30%エチルアルコール200mLを添加
後、放置せずに直ちに上記と同様に濃縮、抽出して処理
し、これを本発明の消臭剤とした。
【0031】イワシのミンチ100gに対し、上記検体
を0.5mLまたは1mL添加し、90℃前後で10分
間加温した後、消臭効果の判定を行い、イワシの臭みを
比較した。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】表に示すように、本発明の消臭剤(従来の
醸造物のように長時間の放置を行っていない)で最も強
い消臭効果が見られたが、20%食塩水、30%エチル
アルコールおよび水の抽出処理による従来の醸造物中の
消臭成分にはいずれも強い消臭効果は見られなかった。
【0034】(実験例4)各種基質を用いた場合の消臭効果の比較 糸状菌としてアスペルギルス・ニガー(IFO 6341)を用
い、表4に示す各種原料を基質とした場合に得られる消
臭剤の消臭効果を比較した。表中、食用植物性種子原料
とブドウ糖との重量比はいずれも8:2とした。基質1
00gに水分が約60%になるように水を加え、100
℃前後で約30分間蒸煮した後冷却した。これに、アス
ペルギルス・ニガーの胞子を接種し、28℃で3日間培
養した。培養物に95%エチルアルコール500mLを
加えて、一夜浸漬抽出し、固相と液相に分離後、抽出液
を減圧濃縮した。この溶液に90%エチルアルコール2
0mLを添加し、加温溶解または分散させて、消臭剤を
得た。油糧植物性種子原料(大豆、ごま、なたね、およ
びひまわり)においては、その抽出物を低温下にしばら
く放置した後、分離した油分の大半を除去し、濃縮後9
0%エチルアルコール20mLを添加して消臭剤とし
た。対照検体は、結晶性セルロースとブドウ糖を基質と
して培養を行い、同様に処理したものを消臭剤として用
いた。
【0035】消臭効果の判定は、サバのミンチ50g
に、上記検体を0.5mL添加し、混合後、80℃10
分間保温後、サバの生臭さの強弱を判定した。結果を表
4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】表4から、試験に供した全ての食用植物性
種子原料由来の消臭剤において、消臭効果が得られた
が、対照の結晶セルロース由来の消臭剤では消臭効果が
得られなかったことがわかる。
【0038】(実験例5)抽出溶媒の選択 この実験例は、糸状菌を培養することによって基質中に
蓄積された消臭物質を、有効に抽出するための溶媒を選
択する目的で行った。
【0039】糸状菌は、アスペルギルス・オリゼー(IF
O 4079)を用いた。基質として、脱脂ゴマと粉砕米の等
量混合物、および脱脂大豆と粉砕小麦の6:4の混合物
を用いて、これに水分含量が60%となるように散水
し、100℃で30分間蒸煮した。これに、上記糸状菌
を接種し、30℃で3日間培養した。得られた培養物を
100gずつ採取し、酵素を失活させるために90℃で
約20分間加熱し、表5に示す溶媒をそれぞれに500
mLずつ加えてしばらく攪拌した後、一夜浸漬抽出し
て、ろ別した。この抽出物を、減圧濃縮した後、90%
エチルアルコール20mLを加え、溶解または懸濁させ
て、消臭剤を得た。
【0040】消臭効果の判定は、ペースト状にした鶏の
肝臓を用いて、実験例1と同様に行って肝臓特有の臭み
の強弱を判定した。結果を表5に示す。
【0041】
【表5】
【0042】表からわかるように、用いた原料によって
抽出の程度が若干異なるが、全般的に、メチルアルコー
ル、酢酸エチル、濃度の高いエチルアルコールのような
有機溶媒で抽出すると消臭効果が強く発現するが、水や
食塩水では消臭効果が見られず、消臭成分が抽出されな
いことがわかった。
【0043】(実験例6)消臭剤の安定性 本発明の消臭剤の熱および保存に対する安定性を調べ
た。
【0044】実験例5に準じて調製した培養物を酢酸エ
チルで抽出し、その抽出液を減圧濃縮し、乾固した。そ
の10gに、プロピレングリコール90gを加えて消臭
剤の懸濁液を調製して、本発明の消臭剤を得た。これ
を、18mm×150mmの試験管に詰め、アルミ箔で
蓋をし、表6に示す条件で保存した。
【0045】消臭効果の判定を同時に行うために、30
℃で1ヶ月、55℃で1ヶ月、100℃で10時間およ
び100℃で20時間保存したサンプルは、所定の期間
が経過した後、消臭効果の試験を行うまで−20℃で保
存した。対照のサンプルとしては、−20℃で3ヶ月保
存したサンプル、および判定の前日に上記と同様の方法
で調製したサンプルを用いた。消臭効果は、イワシのミ
ンチ50gに上記検体を0.5g加えて充分混合した
後、80℃で10分間保温後、イワシの生臭みの強弱を
判定した。結果を表6に示す。
【0046】
【表6】
【0047】表からわかるように、100℃で20時間
保存した消臭剤の消臭効果がわずかに低下していたが、
その他の処理区の消臭効果はいずれも対照との差は認め
られなかったため、本発明の消臭剤は極めて安定である
ことがわかった。
【0048】(実験例7)シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより得
られた抽出液の消臭効果 実験例2と同様に調製した培地に、アスペルギルス・ニ
ガー(IFO 6341)を接種し、28℃で、3日間培養し
た。その培養物をエチルエーテルで抽出、ろ別、および
濃縮してペースト状の物質を得た。その2gをカラムク
ロマト用シリカゲル10gと混合した。この混合物を、
あらかじめn−ヘキサンを用いて充填したシリカゲルカ
ラムの上に載せた。次いで、n−ヘキサン、n−ヘキサ
ンと酢酸エチルとの混合液(混合比は表7に示すように
9:1から1:9の9種類のうちの1種)、酢酸エチ
ル、エチルアルコールで順次溶出させた。この溶出液を
濃縮後、20mLのエチルアルコールに溶解または分散
させ、実験例1と同様に消臭試験を行って消臭効果を判
定した。その結果を表7に示す。
【0049】
【表7】
【0050】表7に見られるように、n−ヘキサンと酢
酸エチルとの混合比が、5:5および2:8の混合液で
溶出された画分において、非常に強い消臭効果が、認め
られた。
【0051】(実施例)種々の臭気に対する消臭剤の効果 本実験例では、糸状菌として、アスペルギルス・ニガー
(IFO 6341)を用いた。基質として、脱脂ゴマと割砕し
た大麦とをそれぞれ10kgずつ混合し、これに水15
Lを散水した後、100℃で約20分間蒸煮後放冷した
ものを用いた。この基質35kgに、上記糸状菌の胞子
約5gを接種して充分混合後、下方に約30メッシュの
網を張ったステンレス箱に厚さ7cm程度に盛り、下方
よりゆるやかに通風した状態で、約28℃で45時間培
養した。この培養物の水分は約30%であり、一般細菌
数は1.2×107/gであった。これを、直径約15
cmのガラス製カラムに入れ、エチルアルコール60L
に15時間循環させて抽出し、約55Lの抽出液を得
た。これを、約50℃で減圧濃縮して得られた約700
gの粘性物を、約2kgのカラムクロマト用シリカゲル
と混合した後、n−ヘキサン約10Lで洗浄し、次いで
20Lのエチルアルコールを加えて、溶出した区分を減
圧濃縮し、約400gの淡褐色の消臭剤Aを得た。この
一部に、10%濃度になるように90%エチルアルコー
ルに加えて分散させ、消臭効果判定用の検体とした。
【0052】消臭効果の判定は、マトンのミンチ、イワ
シのミンチを各50g、およびおろしにんにくの5%水
溶液50mLを用い、各々に上記検体0.1gおよび
0.25gを加え、混合した後80℃で10分間保温後
行った。結果を表8に示す。
【0053】
【表8】
【0054】表の結果から、消臭剤Aはマトン臭および
イワシの生臭みに対して顕著な効果を示し、にんにくの
臭みに対しても有効であることがわかった。
【0055】さらに、上記消臭剤Aを用いて表9に示す
組成の洗剤を作成したところ、本洗剤は、まな板、ふき
んなどの調理器具や、手に付着した畜肉臭あるいは魚の
臭みを有効に除去する効果を有することがわかった。
【0056】
【表9】
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、従来の醸造物由来の消
臭剤に比べて、消臭効果、保存性あるいは熱に対する安
定性に優れ、しかも、消臭剤自体の匂いおよび被消臭物
への作用が少ない消臭剤、およびそれを短時間で簡便に
製造する方法が提供される。この消臭剤は安全性も高い
ことから、食料品、化粧品、医薬部外品、家庭用品ある
いは家畜やその飼料などの消臭に広く適用し得る。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 米、小麦、大豆、ゴマ、ひまわり、なた
    ね、そら豆、および大麦からなる群より選択される食用
    植物性種子または該食用植物性種子の油脂抽出物残渣を
    少なくとも1つ含む培地中で糸状菌を1日〜7日間培養
    して、消臭成分を含む培養物を得る工程であって、該糸
    状菌がアスペルギルス属(Aspergillus)ま
    たはリゾープス属(Rhizopus)である、工程
    および該培養物から該消臭成分を有機溶媒で抽出する工
    程、を包含する、消臭成分の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記培地が、さらに糖質物を包含する、
    請求項に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記糸状菌が、アスペルギルス・オリゼ
    ー、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ニガ
    ー、またはリゾープス・オリゼーのいずれか1つであ
    る、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方
    法により製造される、消臭成分
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の消臭成分であって、1
    00℃で10時間保存したときに消臭効果に実質的な減
    少が生じない、消臭成分。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の消臭成分を含
    む、消臭剤。
  7. 【請求項7】 食料品、化粧品、医薬部外品、家庭用品
    または畜産用品である、請求項6に記載の消臭剤。
  8. 【請求項8】 請求項4もしくは5に記載の消臭成分、
    または請求項6もしくは7に記載の消臭剤を用いる工程
    を包含する、消臭方法。
  9. 【請求項9】 米、小麦、大豆、ゴマ、ひまわり、なた
    ね、そら豆、および大麦からなる群より選択される食用
    植物性種子または該食用植物性種子の油脂抽出物残渣を
    少なくとも1つ含む培地中で糸状菌を1〜7日間培養し
    て、消臭成分を含む培養物を得る工程であって、該糸状
    菌がアスペルギルス属(Aspergillus)また
    はリゾープス属(Rhizopus)である、工程、該
    培養物から該消臭成分を有機溶媒で抽出する工程、およ
    び該消臭成分を消臭剤に含有させる工程を包含する、消
    臭剤の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記培地が、さらに糖質物を包含す
    る、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記糸状菌が、前記糸状菌が、アスペ
    ルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ソーヤ、アスペ
    ルギルス・ニガー、またはリゾープス・オリゼーのいず
    れか1つである、請求項9または10に記載の方法。
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