JP3455667B2 - 樹脂封止型半導体装置の製造方法および樹脂封止型半導体装置 - Google Patents

樹脂封止型半導体装置の製造方法および樹脂封止型半導体装置

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JP3455667B2
JP3455667B2 JP02214398A JP2214398A JP3455667B2 JP 3455667 B2 JP3455667 B2 JP 3455667B2 JP 02214398 A JP02214398 A JP 02214398A JP 2214398 A JP2214398 A JP 2214398A JP 3455667 B2 JP3455667 B2 JP 3455667B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂封止型半導体
装置の製造方法および樹脂封止型半導体装置に係り、特
に半導体素子がフェイスダウンで基板に実装された樹脂
封止型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、樹脂封止型半導体装置のパッケー
ジは、大型化、多ピン化の傾向を強めており、この傾向
はますます強まると考えられている。一方で、電子機器
の小型化による高密度実装化のため、半導体パッケージ
は小型化薄型化が求められている。
【0003】しかしながら、多ピン化を行なった場合に
は、半導体素子の大きさが同じでもパッケージが大きく
なってしまい、高密度実装化が困難となるため、多ピン
化してもパッケージが大きくならないBGA(Ball
Grid Array)パッケージが普及しつつあ
る。このBGAパッケージは、両面プリント配線基板の
表面にベアチップが搭載され、基板の裏側には半田ボー
ルが2次元のアレイ状に並んでいる。BGAにおける端
子ピッチは同じピン数のQFP(Quad Flat
Package)よりも著しく広くなっているので、B
GAを用いることで多ピンパッケージ実装の信頼性を向
上することができる。
【0004】またBGAと同様に、両面基板上にベアチ
ップを搭載して、チップとほぼ同じ大きさの超小型パッ
ケージにするCSP(Chip Size Packa
ge)も、ピン数がBGAより少ない領域において要求
が非常に高まっている。さらに、ガラス基板上にベアチ
ップを接続するCOG(Chip On Glass)
や、配線基板上にベアチップを搭載するCOB(Chi
p On Board)等が実装面積が小さいなどの理
由で普及している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したようなパッケ
ージは、ベアチップをフェイスダウンで両面配線基板上
にバンプなどを介して接続した後、ベアチップと基板と
の間の隙間を液状樹脂で封止することにより作製され
る。基板とベアチップとの間の隙間は通常非常に狭く数
十μm程度であるので、粒径の細かいフィラーを用いる
と樹脂粘度が上昇して充填しずらくなる。なお現在で
は、10mm□のサイズのチップを封止する場合でも、
用いる樹脂におけるフィラーの含有量は60%程度が限
界であり、さらに大型のチップになると樹脂充填がより
いっそう困難になると考えられている。フィラー割合が
低い封止樹脂は水分を多く吸収するので、このような樹
脂で半導体素子を封止した場合には、リフロー時にクラ
ックが発生するおそれがある。また、液状樹脂が半導体
素子と基板との間の隙間に充填するのは表面張力による
毛細管現象のためであり、素子の4辺のうちの1辺に樹
脂を滴下してから、十分に樹脂が充填するまでに長時間
を要してしまう。さらに、かかる方法で用いられる樹脂
は、常温で液状にするために硬化剤として酸無水物が配
合されており、信頼性が低いという問題もある。
【0006】上述したような樹脂を用いて、いわゆるポ
ッティング法により半導体素子と基板との間の隙間に樹
脂が充填された半導体装置は、樹脂でパッケージの全面
を覆うトランスファ成形法で得られた半導体装置とは異
なって、素子の裏側や側面が露出した構造である。この
ため、ポッティング法で樹脂が充填された半導体装置
は、樹脂と基板や素子との界面から水分が流入しやす
く、反りが発生する等の問題も伴なう。
【0007】しかしながら、樹脂で素子の裏面や側面を
覆うトランスファ成形法で封止する場合にも、種々の問
題がある。従来のトランスファ成形法によるフリップチ
ップの封止は、図13に示すように半導体素子35がバ
ンプ39を介して実装された基板38を上側金型34と
下側金型33との間に配置し、素子の周囲に封止樹脂3
7を注入することによって行なわれる。ポットで圧力を
かけられランナーを流れた樹脂37は、圧力がかけられ
たままキャビティ内に流し込まれ、素子35と基板38
との隙間および金型34と素子35との隙間を埋める。
この狭い隙間に樹脂を流し込むためには、通常のトラン
スファ成形法の場合よりも高い圧力が必要とされる。し
かしながら、高い圧力をかけても、ランナーやキャビテ
ィのゲート41で樹脂の流れが制限されるため十分に圧
力が伝わらず、未充填が発生するという問題がある。ま
た、キャビティの一方向の側面ゲートから樹脂を流し込
むので、樹脂は隙間の一方の端から他方の端まで流れな
ければならず、流動距離が長くなる。これによって成形
時間も長くなり、場合によっては、樹脂の流れが途中で
停止することもある。また、トランスファ成形法では、
ポットからランナーを通して樹脂を流すという複雑な構
造であり、しかも金型サイズが大きいので、COGやC
OBのような実装基板に素子を直接封止することは非常
に困難である。このため、超小型パッケージを製造する
には、小型でシンプルな構造の金型が必要とされる。
【0008】また、樹脂で完全に素子を覆うトランスフ
ァ成形法により封止しても、素子の裏面に樹脂層が存在
しない場合や、薄い樹脂層の場合には、外部からの衝撃
を受けた際に素子にダメージを与えることが予想され
る。素子裏面に厚い樹脂層を設ければ、そのようなダメ
ージを回避することができるものの、素子裏面の樹脂層
が過剰に厚い場合には、この樹脂層が悪影響を及ぼす。
すなわち、厚い樹脂層の硬化収縮あるいは樹脂層と素子
との熱膨張率の差に起因して、パッケージに反りが発生
するという問題が生じる。したがって、パッケージの強
度を高め、かつ反りを防止するためには、樹脂層の厚さ
の微妙な制御が必要とされるが、従来の樹脂組成物では
狭い隙間への充填性が悪いという問題があった。また、
トランスファ成形法を用いた場合には、素子と基板との
間の隙間への樹脂を充填するのが困難である。
【0009】そこで本発明は、基板上にフェイスダウン
で実装された半導体素子の周囲に、未充填やボイドの存
在しない樹脂層を容易に形成することができる樹脂封止
型半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】また、本発明は、外部からの衝撃に対して
十分な耐性を有するとともに反りが発生せず、しかも信
頼性の高い樹脂封止型半導体装置を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、配線回路を有し、貫通穴が設けられた
板上に半導体素子を、その主面を基板に対向させてフェ
イスダウンで実装する工程と、前記基板の下側に封止樹
脂を配置する工程と、前記半導体素子を、前記基板と上
側金型とで画定された領域内に密閉する工程と、前記封
止樹脂に圧力を加えることで、前記基板の下方から前記
貫通穴をとおして樹脂を注入して、前記封止樹脂を前記
半導体素子と基板との隙間、半導体素子の側面および半
導体素子の裏面に配置して樹脂封止する工程とを具備す
る樹脂封止型半導体装置の製造方法を提供する。
【0012】また本発明は、配線回路を有し、貫通穴が
設けられた基板上に半導体素子を、その主面を基板に対
向させてフェイスダウンで実装する工程と、前記基板
下側に枠状金型を配置する工程と、前記枠状金型で囲ま
れた領域内に封止樹脂を配置する工程と、前記半導体素
子を、前記基板と金型とで画定された領域内に密閉する
工程と、前記枠状金型に嵌合して枠状金型内を可動でき
るプレス金型を配置する工程と、前記基板、枠状金型お
よびプレス金型で画定された領域内に配置された封止樹
脂に前記プレス金型で圧力を加えることにより、前記基
板の下方から前記貫通穴をとおして樹脂を注入して、
記封止樹脂を前記半導体素子と基板との隙間、半導体素
子の側面および半導体素子の裏面に配置して樹脂封止す
る工程とを具備する樹脂封止型半導体装置の製造方法を
提供する。
【0013】さらに本発明は、配線回路を有する基板
前記基板上にその主面を基板に対向させてフェイスダウ
ンで実装された半導体素子、および前記半導体素子と基
板との隙間、半導体素子の側面、半導体素子の裏面に配
置された封止樹脂層を具備し、前記半導体素子の寸法と
前記封止樹脂層の厚さとの間に、下記数式(2)で表わ
される関係が成立し、前記封止樹脂層は、少なくともエ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、触媒および球状フィラー
を含有し、樹脂組成物全体に対するフィラーの割合が5
0wt%以上であり、前記フィラーの最大粒径Rは、下
記数式(1)で表わされる関係を満たすことを特徴とす
る樹脂封止型半導体装置を提供する。
【0014】 30<atc u /tm <800 (2) (上記数式(2)中、aは半導体素子の面積(mm2
であり、tc は半導体素子の厚さ(mm)であり、tu
は半導体素子裏面の樹脂層の厚さ(mm)であり、tm
は半導体素子と基板との隙間の樹脂層の厚さ(mm)で
ある。) R<0.95L (1) (上記数式(1)中、Lは、配線回路を有する基板と半
導体素子との隙間の距離である。)以下、本発明を詳細
に説明する。
【0015】まず図1に、本発明の半導体装置の製造方
法の一例を説明する断面図を示す。図1(a)に示すよ
うに、両面配線基板8上にバンプ9を介して、その主面
を基板表面に向けて半導体素子5をフェイスダウンで実
装し、素子裏面上には封止樹脂6を配置する。ここで使
用する封止樹脂の形態としては、例えば、固形シート
状、固形塊状、顆粒状、および高粘度液状樹脂などが挙
げられる。これらの樹脂を半導体素子の裏面上へ供給す
るに当たっては、固形樹脂の場合は予め所定の大きさ厚
さに成形されたものを配置し、顆粒状樹脂の場合には、
所定の体積となるような個数の顆粒を配置する。また、
高粘度液状樹脂の場合は、ディスペンサー等で一定量を
供給する。高粘度液状樹脂の供給を容易にするために、
熱をかけて一時的に粘度を下げることが好ましい。
【0016】封止樹脂6を素子裏面に配置した後、両面
配線基板8を下側金型3の上に設置する。さらに、封止
樹脂6が配置された半導体素子5の裏面の上方には、枠
状金型1とこの枠状金型内を可動するプレス金型2とを
配置する。なお、この段階で金型全体を真空にすると、
半導体素子5と両面基板8との間の空気が排除され、樹
脂層におけるボイドや未充填の発生を大幅に低減するこ
とができる。
【0017】次に、図1(b)に示すように枠状金型1
を下に移動させて両面配線基板8を押さえる。この段階
で封止樹脂6および半導体素子5は、両面配線基板8、
枠状金型1およびプレス金型2で画定された領域内に完
全に密閉された状態となる。さらに図1(c)に示すよ
うに、プレス金型2を下方に移動させて樹脂6に直接圧
力をかける。金型は予め加熱されており、この金型内で
樹脂6は溶融して流動可能な状態となる。圧力を加えら
れた溶融樹脂は、半導体素子5の4つの側面と枠状金型
1の側面との間をとおって、半導体素子5と両面基板8
との間の隙間の中心に向かって流れ込む。4側面から同
時に樹脂が流れ込むことで樹脂の流動距離が短くなるの
で、成形に要する時間も短縮される。このとき図1
(a)の段階で真空にしておけば、前記素子と基板との
間の隙間の中央部に空気が残留するおそれはない。ま
た、枠状金型1が両面配線基板8を押さえているので溶
融樹脂が金型外に流れ出すことはなく、そのため十分な
圧力を樹脂に対して加えることができる。圧力はプレス
金型2で直接樹脂に伝えられるので、高い圧力を保った
まま半導体素子5と両面配線基板8との隙間に樹脂を充
填することが可能となる。
【0018】熱硬化性樹脂の場合には、この高温状態を
保持することで樹脂が架橋し硬化する。最後に、図1
(d)に示すようにプレス金型2を開けることで成形し
たパッケージを取り出すことができる。その結果、図2
に示したような両面配線基板8にフェイスダウンで半導
体素子5が実装され、その半導体素子の周囲全てが樹脂
層7で覆われたパッケージが得られる。
【0019】なお、薄い素子を用いた場合には、このよ
うにして素子の周囲を樹脂層で完全に覆ったパッケージ
でも、裏面の樹脂層と薄いと外部から衝撃を受けた際
に、素子にダメージを与えることが予測される。したが
って、素子裏面の樹脂層の厚さをある程度厚くする必要
がある。具体的には、素子裏面の樹脂層は、半導体素子
と配線基板との間の樹脂層の厚さよりも厚いことが求め
られる。素子裏面の樹脂層の厚さは、素子と基板との隙
間に配置された樹脂層の厚さの1.1倍以上であること
が望ましい。特に、0.3mm以下と非常に薄い素子の
場合には、素子裏面の樹脂層の厚さは、素子と基板との
隙間に配置された樹脂層の厚さの1.5倍以上であるこ
とが好ましい。
【0020】一方、大型の素子を用いた場合には、素子
裏面の樹脂層が厚すぎると、この厚い樹脂層の硬化収
縮、あるいは樹脂層と素子との熱膨張率の差に起因して
反りが発生するおそれがある。したがって、15mm□
以上の大型素子の場合には、素子裏面の樹脂層の厚さを
ある程度薄くする必要があり、半導体素子と配線基板と
の間の樹脂層の厚さよりも薄いことが求められる。素子
と基板との隙間の樹脂層の厚さは、素子の裏面に配置さ
れた樹脂層厚さの1.1倍以上であることが好ましい。
特に、15mm□以上と非常に大きい素子の場合には、
素子と基板との隙間の樹脂層の厚さは、素子裏面に配置
された樹脂層厚さの1.5以上であることが望まれる。
【0021】図3には、本発明の樹脂封止型半導体装置
の製造方法の他の例を表わす断面図を示す。図3(a)
に示すように、その主面を向けてフェイスダウンで半導
体素子5を接続した基板11の中央近傍には、1個の貫
通穴12が設けられている。なお、この貫通穴は2個以
上設けてもよい。このように貫通穴12が設けられた基
板11を用いる以外は、図1に示した場合と同様にして
図3(b)に示すように枠状金型1を下方に移動させて
基板11を押さえる。その後、プレス金型2を下方に移
動させて、図3(c)に示すように封止樹脂6に圧力を
直接加える。この場合には、基板11に貫通穴12が設
けられているので、金型を真空にしなくても残留した空
気を排出することができ、ボイドや未充填の発生を防ぐ
ことができる。
【0022】また、図3(d)に示すように、この貫通
穴12から余剰の封止樹脂を排出させることで成形後の
パッケージの厚さを一定にすることができ、さらにバリ
の発生も少なくなる。加えて、この基板を貫通した穴に
封止樹脂が流入することで、基板と樹脂との接着が良好
となって信頼性が増す。
【0023】なお、樹脂と基板との接着性の向上を図る
ためには、基板の貫通穴は多い方が好ましいが、エアベ
ントとしての利用を考えると、多すぎた場合にかかる圧
力が低下して樹脂の未充填が起こることが予測される。
したがって、信頼性の高い半導体素子を得るためには、
貫通穴の数は1個程度が望ましい。貫通穴の数と同様
に、貫通穴の大きさが大きすぎる場合も、樹脂にかかる
圧力の低下を招くおそれがある。このため、貫通穴の大
きさは、1mmφ以下であることが望ましく、特に素子
が5mm□以下と小さい場合には、0.5mmφ以下で
あることが求められる。
【0024】なお、エアベントとしての貫通穴は、基板
のみならず枠状金型の1〜3の側面の底側に設けること
もできる。このような枠状金型の一例を表わす斜視図
を、図4に示す。図示する枠状金型13においては、側
面の2つにエアベント14が設けられている。エアベン
トの大きさは、幅0.1〜2mm、高さ10μm〜0.
5mmの範囲であることが好ましく、幅0.5〜1m
m、高さ30μm〜0.2mmの範囲であることがより
好ましい。
【0025】エアベント14が設けられた枠状金型13
と、半導体素子5との配置の状態を表わす平面図を図5
に示す。図5(a)は1つの側面にエアベントを設けた
枠状金型を用いた例であり、図5(b)は2つの側面に
エアベントを設けた枠状金型を用いた例であり、図5
(c)は、3つの側面にエアベントを設けた枠状金型を
用いた例である。いずれの枠状金型を用いる場合も、エ
アベント14が設けられた側面に半導体素子5の側面が
接触するように、半導体素子5の周囲に枠状金型13を
配置する。
【0026】図6には、こうしたエアベントを有する枠
状金型13を用いた樹脂封止型半導体装置の製造工程を
表わす断面図を示す。
【0027】まず、図6(a)に示すように、枠状金型
13の側面のうち、エアベント14が設けられた側面が
半導体素子5の側面に接触するように、半導体素子5の
周囲に枠状金型13を配置する。半導体素子5の裏面上
には封止樹脂6を配置し、枠状金型13内を可動するよ
うにプレス金型2を設ける。次いで、図6(b)に示す
ように、プレス金型2を押し下げることによって、封止
樹脂6に圧力を直接加える。これによって、金型側面に
接触していない半導体素子の側面側から樹脂6が流入
し、内部の空気をエアベント14に向けて押し出しなが
ら樹脂を充填することができる。したがって、かかる方
法を用いれば、金型のキャビティ内を真空にしなくと
も、未充填やボイドの発生のない樹脂層を形成すること
ができる。
【0028】なお、得られる樹脂封止型半導体素子の強
度等を考慮すると、枠状金型に接触させる半導体素子の
側面の数は、なるべく少ない方が好ましい。すなわち、
樹脂を配置する側面が多い方が望ましので、図5(a)
に示したように、貫通穴を1つの側面に有する枠状金型
を用いることが特に有効である。
【0029】以上の説明では、両面配線基板上に実装さ
れた半導体素子の裏面上に樹脂を配置し、この樹脂に圧
力を加えて樹脂封止型半導体装置を製造したが、特定の
基板を用いれば基板の下側に樹脂を配置することもでき
る。この方法について、以下に詳細に説明する。
【0030】図7には、本発明に係る樹脂封止型半導体
装置の製造工程の他の例を示す断面図を示す。
【0031】図7(a)に示すように、その主面を基板
に向けてフェイスダウンで半導体素子5を接続した基板
11の中央近傍には、1個の貫通穴12が設けられてい
る。さらに、このように貫通穴12を有する基板11の
下側には、枠状金型1および封止樹脂6を配置し、さら
に枠状金型1内を可動できるようにプレス金型2を設け
る。一方、基板11の半導体素子5が実装された側は上
側金型4で覆われ、これによって半導体素子5は、基板
11と上側金型4とで画定された領域内に完全に密閉さ
れた状態となる。
【0032】次いで、図7(b)に示すようにプレス金
型2を押し上げることによって、封止樹脂6に圧力を直
接加え、基板11に設けられた貫通穴12をとおして、
基板11と上側金型4とで画定された領域内に樹脂6を
強制的に充填する。樹脂は、図7(c)に示すように、
半導体素子5と基板11との間隙、半導体素子の側面お
よび裏面に流入して半導体素子が封止される。この場合
には、基板11に貫通穴12が設けられているので、金
型内を真空にしなくても、残留した空気を排出すること
ができる。このため、樹脂層におけるボイドや未充填の
発生は防止され、樹脂を容易に充填することが可能とな
る。
【0033】本発明の製造方法においては、図8(a)
および図8(b)に示すように可動部分を円柱状を有す
る枠状金型15およびプレス金型16を用いることもで
きる。このような金型を用いた場合には、金型の可動部
分が角部を有していないことに起因した多くの利点が得
られる。なお、図9に示すような四角の可動部分を有す
る枠状金型17およびプレス金型18の場合には、金型
同士の隙間を精度よく加工することが容易ではない。
【0034】図8(a)および図8(b)に示した金型
を用いた場合には、例えば、図10(a)および図10
(b)に示すような形状のパッケージ19,20が成形
される。図示するように、パッケージの上面に円形の凹
部もしくは凸部が形成され、外観が良好ではないもの
の、金型同士の隙間の加工精度が向上し、また金型同士
での食い込みも起きなくなる。したがって、連続生産し
た際、金型の隙間のバリの発生等を考慮すると、図8
(a)および図8(b)に示したような可動部分が円柱
状を有する枠状金型15およびプレス金型16を用いる
ことが有利である。
【0035】上述したいずれの方法で成形した場合も、
成形後には、各種樹脂特性を向上するためにアフターキ
ュアを行なうことが望ましい。
【0036】次に、本発明の方法において使用する封止
樹脂について詳細に説明する。本発明において用いられ
る封止樹脂は、例えば熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成
物とすることができ、熱硬化性樹脂としては、例えば、
エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、シリ
コーン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、およ
びアクリル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独
で用いても組合わせてもよい。またさらに、これらの樹
脂の中に硬化剤、硬化促進剤、離型剤、難燃剤、着色
剤、充填材、および低応力添加剤等の各種添加剤を含有
したものでもよい。
【0037】本発明で使用され得るエポキシ樹脂として
は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであ
れば、任意の化合物を使用することができる。例えば、
ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エ
ポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナ
フトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、
グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹
脂、フェノールまたはアルキルフェノール類とヒドロキ
シベンズアルデヒド類との縮合物をエポキシ化して得ら
れるトリス(ヒドロキシフェニル)アルカンベースのエ
ポキシ樹脂、テトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンベ
ースのエポキシ樹脂、2,2´,4,4´−テトラヒド
ロキシベンゾフェノン、パラアミノフェノールのトリグ
リシジルエーテル、ポリアリルグリシジルエーテル、
1,3,5−トリグリシジルエーテル化ベンゼン、およ
び2,2’,4,4’−テトラグリシドキシベンゼンな
どが挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、2種
以上を組合わせて用いてもよい。
【0038】上述したようなエポキシ樹脂の配合量は、
通常、樹脂組成物全体に対して5〜25%程度である。
【0039】本発明で使用され得る硬化促進剤は、エポ
キシ樹脂と硬化剤との反応を促進するものであれば、任
意の化合物を使用することができ、例えば、各種のアミ
ン類、イミダゾール類、ジアザビシクロアルケン類、有
機ホスフィン類、ジルコニウムアルコラート類、および
ジルコニウムキレート類などが挙げられる。具体的に例
示すると、アミン類としては、N,N−ジメチルシクロ
ヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、
トリエチレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、
ジメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルア
ミン、およびトリスジメチルアミノメチルフェノール等
が挙げられ、イミダゾール類としては、例えば、2−メ
チルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ヘプタ
デシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、
2−エチルイミダゾール、および2−エチル−4−メチ
ルイミダゾール等が挙げられる。また、ジアザビシクロ
アルケン類としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、およびDB
Uのフェノール塩(例えば、U−CAT SA No.
1)等が挙げられ、有機ホスフィン類としては、トリフ
ェニルホスフィン(TPP)、トリブチルホスフィン、
トリシクロヘキシルホスフィン、およびメチルジフェニ
ルホスフィンなどが挙げられる。これらの硬化促進剤の
うちでは、電気特性を考慮すると、トリフェニルホスフ
ィンやヘプタデシルイミダゾールが特に好ましい。
【0040】上述したような硬化促進剤の配合量は、通
常、エポキシ樹脂に対して70〜130%程度である。
【0041】本発明で使用し得る熱可塑性樹脂として
は、エンジアリングプラスチック(エンプラ)、スーパ
ーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)
から選択される任意のプラスチックが挙げられる。例え
ば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹
脂、DAP(ジアリルフタレート)樹脂、DATP(ジ
アリルテレフタレート)樹脂、EPE(テトラフルオロ
エチレンヘキサフルオロプロピレンパーフルオロビニル
エーテル)樹脂、ETFE(エチレン4フッ化エチレン
コポリマー)樹脂、EVOH(エチレンビニルアルコー
ルコポリマー)樹脂、FEP(テトラフルオロエチレン
ヘキサフルオロプロピレンコポリマー)樹脂、GPPS
(汎用ポリスチレン)樹脂、HDPE(ハイデンシティ
ポリスチレン)樹脂、HIPS(ハイインパクトポリス
チレン樹脂)、LCP(リキッドクリスタルポリマー)
樹脂、LDPS(ロウデンシティポリスチレン)樹脂、
PA(ポリアミド)樹脂、PAEK(ポリアリルエーテ
ルケトン)樹脂、PAN(ポリアクリロニトリル)樹
脂、PAR(ポリアクリレート)樹脂、PAS(ポリア
リレンサルファイド)樹脂、PASF(ポリアリルスル
ホン)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹
脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、PCT(ポリ1,
4シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)樹脂、P
E(ポリエチレン)樹脂、PEEK(ポリエーテルエー
テルケトン)樹脂、PEI(ポリエーテルイミド)樹
脂、PEK(ポリエーテルケトン)樹脂、PEN(ポリ
エチレンナフタレート)樹脂、PES(ポリエーテルサ
ルフォン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレー
ト)樹脂、PFA(パーフルオロアルコキシフルオロポ
リマー)樹脂、PKS(ポリケトンサルファイド)樹
脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂、PM
P(ポリメチルペンテン)樹脂、POM(ポリアセター
ル)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂、PPE(ポリ
フェニレンエーテル)樹脂、PPO(ポリフェニレンオ
キサイド)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、PSF(ポリサ
ルフォン)樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)樹脂、PUR(ポリウレタン)樹脂、PVA(ポリ
ビニルアルコール)樹脂、PVC(ポリビニルクロライ
ド)樹脂、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)樹
脂、およびPO(フェノキシ)樹脂が挙げられる。
【0042】これらのなかでは、熱変形温度が100〜
200℃程度の耐熱性に優れたエンプラ(PA,PO
M,PBT,PC,PPEなど)が、封止後のパッケー
ジの耐熱信頼性確保の点から好ましい。さらに耐熱性の
優れた熱変形温度が200℃以上のスーパーエンプラ
(PPS,LCP,PESなど)も好ましい。
【0043】本発明で使用され得る無機充填材料として
は、石英ガラス、結晶性シリカ、溶融シリカ、ガラス、
アルミナ、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、マグネシ
ア、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、
酸化マグネシウム、雲母、および金属等が挙げられる。
これらのなかでも、球状または亜球状のフィラーを配合
すると、樹脂組成物の粘度が低下するので好ましい。樹
脂組成物の強度を向上させるためには、一般には破砕状
シリカが好ましく用いられているものの、破砕状フィラ
ーを含有する樹脂組成物は、流動する際に素子の能動面
を傷つけるおそれがある。本発明の製造方法では、樹脂
組成物は、半導体素子と基板との間の狭い隙間を流動す
る必要があるので、球状フィラーもしくは亜球状フィラ
ーを用いることが最も好ましい。
【0044】なお、配合するフィラーの最大粒径にも適
切な範囲が存在する。例えば、半導体素子と基板との間
の隙間より大きな最大粒径を有するフィラーを配合した
樹脂組成物で封止を行なうと、途中で樹脂の流れがせき
止められるので、未充填なく樹脂封止することが困難と
なる。したがって、フィラーの最大粒径は、半導体素子
と基板との隙間より小さいことが望まれる。具体的に
は、フィラーの最大粒径は、前記隙間の95%以下であ
ることが必要であり、15mm□の大型パッケージを製
造する場合などのように樹脂の流動距離が長い場合に
は、フィラーの最大粒径が前記隙間の80%以下である
ことが好ましい。
【0045】本発明に用いられる樹脂組成物におけるフ
ィラーの配合量は、樹脂組成物全体に対して50wt%
以上であることが望まれ、特にリフローを行なう場合に
は、樹脂層の水分吸収量を減らすために70wt%以上
であることが求められる。さらに15mm□以上の大型
パッケージを封止する場合には、80wt%以上である
ことが好ましい。また、半導体素子と基板との間の狭い
隙間を樹脂が容易に流れるためには、フィラー全体にお
ける球状フィラーの割合が50wt%以上であることが
望まれる。さらに破砕状フィラーは、上述したように流
動の際に素子の能動面を傷つけるという問題を伴なうの
で、その割合は少ないことが望まれ、特に大型パッケー
ジのように樹脂の流動距離が長い場合には、フィラー全
体の70wt%以上が球状フィラーであることが好まし
い。
【0046】本発明で用いられる樹脂中に難燃剤を配合
する場合には、ハロゲン系、リン系、または無機系の難
燃剤が好ましい。なお、ハロゲン系難燃剤は、主に臭素
系と塩素系とに大別され、臭素系難燃剤は塩素系難燃剤
に比べて難燃効率が高く、三酸化アンチモンとの併用効
果が大きい。使用が好ましい塩素系難燃剤としては、塩
素化パラフィンが挙げられ、ハロゲン系難燃剤として特
に使用が好ましいのは、臭素化ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂である。
【0047】上述した成分を用いて液状樹脂を調製する
には、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、難
燃剤、充填剤、低応力添加剤、および着色材等の材料を
万能混合機中で混合するという方法が挙げられる。ま
た、固形状樹脂を得るには、エポキシ樹脂、硬化剤、硬
化促進剤、難燃剤、充填材、低応力添加剤、および着色
材等の材料をヘンシェル中で混合し、得られた混合物を
加熱したロールによって混練した後、粉砕すればよい。
【0048】樹脂の粘度は、成形温度において300P
a・s以下であることが望まれ、特に、樹脂の流動距離
の長い大型パッケージは、100Pa・s以下であるこ
とが求められる。樹脂の粘度がこれより大きい場合に
は、未充填やボイドが樹脂層に発生したり、半導体素子
と基板とを接続しているバンプの剥離が生じるおそれが
ある。
【0049】また成形温度は、約150℃〜185℃程
度であることが好ましい。これより低い場合は、成形時
間が長くなり、一方、高すぎると機械強度などの各種樹
脂特性が低下し、さらにゲルタイムが短くなるためにプ
レス金型で圧力を加える前に樹脂が硬化してしまうとい
う問題も発生する。
【0050】上述のようにして所定の粘度範囲で調製し
た樹脂は、例えば固形シート状、固形塊状、顆粒状また
は高粘度液状などの状態として半導体素子の裏面上に配
置することができる。樹脂シートは、樹脂をプレスまた
はロールなどを用いて所定の厚さに延ばしてほぼキャビ
ティと同じ大きさに切断することにより得られる。な
お、樹脂シートの厚さは、素子の大きさ、パッケージサ
イズ等により適宜決定することができるが、例えば、素
子が10mm□、パッケージが12mm□の場合には、
0.5mm程度である。シート状態で供給すると、樹脂
の流動距離が短くて済む点で有利である。ただし、薄い
ために割れ欠けなどが発生するので取り扱いに注意を払
うことが望まれる。
【0051】固形塊は、例えば厚めの樹脂シートを成形
した後、所定の寸法に切断する方法や、タブレットを作
製する要領で樹脂を圧縮して固める方法などによって作
製することができる。塊状態の樹脂は、前述の樹脂シー
トを用いる場合と比較して樹脂の流動距離が多少長くな
るものの、割れ欠けの発生は前述の場合より大幅に低減
される。
【0052】なお、パッケージ形状や大きさの変更に対
応するには、顆粒状の樹脂を用いることが有利である。
しかも、顆粒状の樹脂を用いた場合には、樹脂の細かい
粉も発生せず、顆粒状樹脂の個数で供給する樹脂量を規
定することができるという利点もある。
【0053】顆粒状樹脂の形状としては、例えば、球
状、亜球状、円柱状、および直方体状などが挙げられ
る。これらのなかでも円柱状は、従来のタブレット設備
を転用することができるので有効である。また、押し出
して切断する場合にも円柱状に容易に成形することがで
きる。一方、球状や亜球状の樹脂は、角を有していない
ために欠け等が発生しずらく、流動性も良好であるの
で、金型内への供給も容易に行なうことができる。
【0054】用いる顆粒状樹脂が細かすぎる場合には、
一定量を個数により測定するのは難しく、一方過剰に大
きい場合には、樹脂量が段階的になって様々な大きさの
パッケージに対応することができなくなる。そこで、1
mm3 から100mm3 の範囲であることが好ましい。
【0055】液状樹脂を用いると、樹脂の粉が飛び散る
こともなく、樹脂の欠けも発生しない。しかも、供給す
る樹脂量を無段階に調整できるため、大きさの異なるパ
ッケージを作製する場合に樹脂シートの寸法を変更する
必要がない。ただし、液状樹脂を用いる場合には、半導
体素子裏面上に供給した樹脂が、素子を金型に収容する
前にこぼれるのを避けるために、樹脂粘度をある程度高
くすることが望まれる。なお、金型内に入れる直前に樹
脂を供給する場合は、樹脂粘度をある程度低くしても問
題ないが、供給してから金型内に入れるまでに時間がか
かるときは粘度を高くする必要がある。好ましい樹脂粘
度は、具体的には、金型に収容する直前に供給する場合
は室温で100Pa・s以上であり、しばらくしてから
収容する場合は300Pa・s以上が好ましい。また、
液状状態で樹脂を供給すると、成形温度での粘度がさら
に低下するために、成形後の樹脂の充填性が良好となる
ことが考えられる。
【0056】供給する樹脂組成物の体積は、金型内部の
キャビティの体積から半導体素子の体積を差し引いた残
りの部分(キャビティ内部空間体積)よりもやや大きい
ことが望まれる。キャビティ内部空間体積と樹脂体積と
が全く同じであると、樹脂に十分に圧力がかからないの
で、半導体素子と基板との間の狭い隙間へ樹脂が流れ込
まず、ボイドや未充填が発生するおそれがある。具体的
には、樹脂量は、キャビティ内部空間体積よりも1〜5
%程度大きいことが求められる。
【0057】本発明に用いるパッケージとしては、半導
体素子をフェイスダウンで基板に接続したものであれば
任意のものを使用することができ、例えば、BGA(ボ
ールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケー
ジ)、COG(チップオンガラス)、およびCOB(チ
ップオンボード)等が挙げられる。これらのなかでも、
特に配線基板やガラス基板等の大型基板に半導体素子を
直接実装するCOGやCOBでは、構造が複雑で大きな
トランスファ成形金型を用いて封止するのが困難であ
る。これは、金型が基板の他の部品と接触するためであ
り、小型でシンプルな構造の金型による封止が要求され
る。したがって、COGやCOBの場合には本発明の効
果が特に発揮される。
【0058】上述したように、本発明の方法において
は、バンプを介してフェイスダウンで半導体素子が接続
された基板を、封止樹脂とともに金型内に配置し、金型
内でこの樹脂に直接圧力を加えているので、樹脂は半導
体素子と基板との間の狭い隙間に流れ込むことができ
る。しかも、本発明の方法の1つの態様においては、圧
力を加えられた樹脂は、半導体素子の4つの側面から同
時に隙間の中央部に向かって流れ込むため、成形時間を
短縮することができる。また、高粘度の樹脂を充填する
ことができることから耐リフロー性のフィラー充填率の
高い樹脂の使用が可能となり、本発明の方法を用いるこ
とにより信頼性の高いパッケージを製造することができ
る。加えて、半導体素子と基板との隙間の樹脂厚と素子
裏面の樹脂厚との比を適当な値とすることで、パッケー
ジ強度を高めたり、反りを低減することが可能である。
【0059】また、本発明の方法において、供給する樹
脂の状態を顆粒状や液状とすることによって、パッケー
ジの大きさの変更に容易に対応することができ、汎用性
を高めることが可能となった。さらに、エアベントを有
する枠状金型を用いた場合や、基板に貫通穴を設けて基
板の下側から樹脂を強制的に注入する場合には、金型内
を真空にしなくても、素子と基板との隙間に容易に樹脂
を充填することができた。またさらに、プレス金型の形
状を円柱状にした場合には、金型を精度よく加工できる
ため縦バリの少ないパッケージを得ることができ、金型
のクリーニングの必要回数を大幅に低減することが可能
となった。
【0060】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例および比較
例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
【0061】まず、原料として以下に示す各成分を用
い、下記表1および2に示す処方で樹脂組成物1〜13
を調製した。
【0062】第1のエポキシ樹脂:エピコート(EP)
807(油化シェルエポキシ社製、ビスフェノールF
型、エポキシ当量174、粘度3Pa・S) 第2のエポキシ樹脂:YX−4000H(油化シェルエ
ポキシ社製、4,4'- ビス-(2,3-プロポキシ)-3,3',5,5'-
テトラメチルビフェニル、エポキシ当量193) 難燃性エポキシ樹脂:AER−745(旭化成社製、臭
素化エポキシ樹脂、難燃点71℃、エポキシ当量40
2) 酸無水物:QH−200(日本ゼオン社製、メチルテト
ラヒドロ無水フタル酸当量80、粘度3〜6Pa・S) フェノール樹脂:XL−225L(三井東圧化学社製、
フェノールアラルキル樹脂軟化点84℃、水酸基当量1
80) シランカップリング剤:A−187(UCC社製) 着色剤:カーボンブラック(CB−30) 硬化促進剤:C17Z(四国化成製、ヘプタデシルイミ
ダゾール) 離型剤:エステルワックス 難燃剤:三酸化アンチモン 破砕状シリカ:USG−5A(平均粒径5μm、最大粒
径20μm) 球状シリカ:SC−O(平均粒径30μm、最大粒径1
80μm) 球状シリカ:FB−10S(平均粒径10μm、最大粒
径60μm) 球状シリカ:MK−06(平均粒径5μm、最大粒径2
4μm)
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】なお、表中の数値は、配合割合(g)を表
わす。
【0065】具体的には、上記表1および2に示した割
合で各成分を配合し、その後、樹脂1〜6は各成分を2
本ロールで混練、粉砕して樹脂組成物を得、樹脂7、8
は、万能混合機中で混練することにより液状組成物を得
た。
【0066】得られた各樹脂組成物を用いて、本発明の
方法または従来の方法で半導体素子のサイズや圧力条件
等を変化させてパッケージを作製した。本発明の方法に
よる封止の場合は、樹脂組成物を厚さ1mmの封止用樹
脂シートに成形し、図1に示した方法、あるいは図3に
示した方法でパッケージを成形した。トランスファ成形
の場合は、樹脂をタブレットにしてから図13に示した
金型を用いて樹脂をキャビティ内に流入させた。いずれ
の場合も、成形温度は180℃とした。また、ポッティ
ングの場合には、金型を用いず約60℃で素子の1側面
に液状樹脂を滴下して、液状樹脂の表面張力により素子
と両面基板との間の隙間に樹脂を流れ込ませた。なお、
基本的には、成形は常圧で行なった。成形後には、さら
に180℃で8時間アフターキュアを施してパッケージ
を作製したところ、得られたパッケージの樹脂層の厚さ
は、基板面から測定して約0.5mmであった。
【0067】その後、各パッケージに対して以下に示し
た試験を行ない、得られた結果を下記表3ないし12に
まとめる。
【0068】(1)リフロー後の耐湿信頼性試験 各パッケージを85℃、相対湿度85%の雰囲気中で1
68時間放置して吸湿処理を行なった後、240℃の半
田浴に30秒間浸漬した。このパッケージをプレッシャ
ークッカー内で127℃飽和水蒸気中に200〜100
0時間放置した後、デバイスの動作をチェックして不良
発生率を調べた。
【0069】(2)リフロー後の冷熱サイクル試験 各パッケージを85℃、相対湿度85%の雰囲気中で1
68時間放置して吸湿処理を行なった後、240℃の半
田浴に30秒間浸漬した。このパッケージについて−6
5℃〜室温〜150℃を1サイクルとする冷熱サイクル
を200〜1000サイクル繰り返した後、デバイスの
動作をチェックして不良発生率を調べた。
【0070】(3)パッケージ厚ばらつき 各サンプル20個の厚さを測定し、その厚さのばらつき
の標準偏差の3倍の値を計算した。
【0071】(4)素子強度の測定方法 樹脂で被覆した半導体素子の裏面に、上方20cmから
鉄製の玉(直径8mm)を落下させて、半導体素子の割
れを目視により観察した。
【0072】(5)BGAパッケージの反りの測定方法 封止したBGAパッケージを平面板上に載置して、その
平面板とパッケージとが一番離れた部分の距離を測定し
た。
【0073】
【表3】
【0074】表3には、本発明の方法(図1)で得られ
たパッケージとトランスファ成形法で得られたパッケー
ジとの信頼性の結果を示した。なお、いずれの方法にお
いても成形は常圧で行なった。
【0075】表3に示されるように本発明の方法で成形
されたパッケージ(実施例1〜4)は、不良はほとんど
発生していないのに対し、トランスファ成形で得られた
パッケージ(比較例1〜4)では、成形後に樹脂の未充
填が発生している。そのため、リフロー後の冷熱サイク
ル試験やプレッシャークッカー試験に供した際もさらに
不良数が増えている。なお、フィラー割合を多くした高
粘度の樹脂を用いて封止したパッケージ(比較例3、
4)では、さらに不良数が多くなっている。実施例にお
いても、フィラー割合が70%に達しない樹脂を用いた
場合(実施例1、2)には、リフロー後の試験の後半で
わずかに不良が発生している。したがって、フィラー含
有量は、70%以上であることがより好ましいことがわ
かる。しかしながら、参考例(1、2)に示されるよう
に、フィラー含有量が50%未満の樹脂を用いた場合
は、本発明の方法で封止を行なっても、得られるパッケ
ージに不良が発生している。これらの結果から、フィラ
ーは50%以上含有させるのが好ましいことがわかる。
【0076】
【表4】
【0077】表4には、本発明の方法(図1)で得られ
たパッケージと、ポッティング法で樹脂を封止したパッ
ケージとの信頼性の結果を示した。表4に示されるよう
に、本発明の方法で得られたパッケージ(実施例5〜
8)では、樹脂の未充填および不良は全く発生しなかっ
たのに対して、ポッティング法で得られたパッケージ
(比較例5〜8)には不良が発生している。これらの比
較例のうち、信頼性の低い酸無水物を配合した樹脂を用
いた(比較例5、6)では、初期の充填性は良好である
ものの、リフロー後の冷熱サイクル試験やプレッシャー
クッカー試験において時間数やサイクル数が増えるにし
たがって樹脂特性が低下して不良数が増えている。ま
た、20mm□の大型の素子を用いた(比較例7、8)
においては、液状樹脂が素子と基板との隙間全体に流れ
込まず、未充填率が増えた。しかもこの場合には、リフ
ロー後の試験においても酸無水物を使った影響も加わっ
て不良数が大幅に増加している。
【0078】このように、図1に示した本発明の方法で
は、酸無水物を含有しない特性の優れた樹脂を使用でき
るので、得られるパッケージの耐熱性を高めることもで
きる。
【0079】
【表5】
【0080】表5には、用いる樹脂組成物に配合したフ
ィラーの最大粒径と、素子−基板間の隙間の大きさとの
関係を示した。各パッケージは、図1に示した方法で作
製した。
【0081】実施例(9〜11)では、フィラーの最大
粒径(R)が半導体素子と基板との隙間の距離(L)の
95%未満である樹脂を用いて封止しており、いずれも
成形後に未充填は発生せず、リフロー後の試験において
も不良はなかった。一方、フィラーの最大粒径(R)が
素子と基板との隙間の距離(L)の95%以上である樹
脂で封止したパッケージ(参考例3〜5)では、ほとん
ど樹脂が隙間に流れ込まず、樹脂未充填が生じて不良と
なった。
【0082】
【表6】
【0083】表6には、真空状態と常圧状態とでの成形
における不良の発生を示した。各パッケージは、図1に
示した方法で作製した。
【0084】真空で成形した場合(実施例12〜15)
には、チップサイズが40mm□と大きくなっても充填
性がよく、不良は全く発生してない。一方、常圧の場合
には、チップサイズが20mm□以下(参考例6、7)
では未充填は発生しなかったものの、30mm□以上で
は素子と両面基板との間に残留した空気の影響で未充填
が発生した。その結果、30mm□以上のチップを常圧
で成形した(参考例8、9)では、リフロー後の試験に
おいて不良が多く発生した。
【0085】ここに示した結果から、真空中で成形する
と大きな半導体素子を用いた場合でも、空気の残留なく
樹脂を充填できることがわかる。
【0086】
【表7】
【0087】表7には、常圧で成形する際に、エアベン
トを設けた基板と設けない基板とを用いて、得られたパ
ッケージの信頼性の結果を示した。すなわち、実施例1
6および17は、図3に示すような工程で製造した。な
お、実施例16では、直径0.02mmの貫通穴を中央
近傍に設けた基板を用い、実施例17では、直径0.0
2mmの貫通穴を中央近傍に設けた基板を用いた。
【0088】表7に示されるように、エアベントを設け
た基板を用いて製造されたパッケージ(実施例16、1
7)では、30mm□以上の大型の素子を用いた場合で
も未充填は発生していない。エアベントは余剰樹脂を逃
がすことができるので、パッケージ厚のばらつきも少な
く、しかもエアベントを設けることによって樹脂と基板
との接着性が上がり、リフロー後の試験においても不良
が発生しない。
【0089】これに対して、エアベントを設けない基板
を用いたパッケージ(参考例10、11)では、逃げ場
のない空気が残留することに起因して未充填やボイドが
発生しており、パッケージ厚のばらつきも実施例の場合
の3倍以上と大きくなっている。さらに、樹脂と基板と
の密着性も不十分であり、サイクルや時間を重ねるにつ
れて不良数が増加している。
【0090】
【表8】
【0091】表8には、薄型の半導体素子を用い、素子
裏面の樹脂層の厚さを変化させて作製したパッケージの
強度を示した。各パッケージは、図1に示した方法で作
製した。
【0092】素子裏面の樹脂層の厚さが、素子と基板と
の隙間の樹脂層より厚い場合(実施例18〜21)で
は、いずれも割れが発生しなかったのに対し、素子裏面
の樹脂厚が素子と基板との隙間の樹脂厚よりも薄い場合
(参考例12〜15)ではいずれも割れが発生し、特に
裏面樹脂厚が薄くなるにつれて割れの発生割合が高くな
った。
【0093】
【表9】
【0094】表9には、大型の素子を用いて、素子裏面
の樹脂層の厚さを変えて作製したBGAパッケージの反
りの測定結果を示した。各パッケージは、図1に示した
方法で作製した。
【0095】素子裏面樹脂厚が素子と基板との隙間の樹
脂厚よりも薄い場合(実施例22〜25)では、微少の
反りが発生しているにすぎない。なお、ここで用いた4
0mm□、厚さ0.5mmのチップを封止したBGAパ
ッケージでは、50μmまでの反りは許容範囲内であ
る。一方、素子裏面の樹脂厚が素子と基板との隙間の樹
脂厚よりも厚い場合(参考例16〜19)ではいずれも
反りが発生し、特に裏面樹脂厚が厚くなるにつれて、反
り量が大きくなった。
【0096】なお、ここで得られた強度結果および反り
の結果に基づいて、本発明者らは、素子のサイズと樹脂
層の厚さとに以下の関係を見出した。すなわち、半導体
素子の面積および厚さをそれぞれa(mm2 )およびt
c (mm)とし、素子裏面の樹脂層の厚さをtu (m
m)とし、素子と基板との隙間の樹脂層の厚さをt
m (mm)とすると、これらが下記数式(1)で表わさ
れる関係を満たす場合に、十分な強度を有し、反りも少
ない良好なパッケージが得られる。
【0097】 30<atc u /tm <800 (2) 前述の表8に示した(参考例12〜15)は、素子の大
きさaおよび厚さtcが小さいわりに素子裏面の樹脂層
の厚さtu が小さい。また、表9に示した(参考例16
〜19)は、素子の大きさaおよび厚さtc が大きいわ
りに素子裏面の樹脂層の厚さtu が大きい。いずれも上
記式(2)で表わされる関係を満たしていないので、素
子の割れや反りが多く、信頼性の十分に高いパッケージ
を作製することができなかった。
【0098】
【表10】
【0099】表10には、封止樹脂に配合されたフィラ
ーがパッケージの信頼性に及ぼす影響を示した。各パッ
ケージは、図1に示した方法で作製した。
【0100】実施例26は、球状フィラーのみを配合し
た樹脂組成物(樹脂3)で封止したパッケージであり、
実施例27は、全フィラーに対して35%程度、破砕状
フィラーを配合した樹脂組成物(樹脂11)で封止した
パッケージである。これらのように、破砕状フィラーよ
りも球状フィラーの割合が多い樹脂組成物を用いた場合
には、いずれも充填性は良好でリフロー後の試験でも不
良が発生しない。
【0101】一方、球状フィラーの割合が50%未満の
樹脂(樹脂9、10)を用いた場合(参考例20、2
1)では、樹脂の流動性が悪いために未充填が発生し、
その結果、リフロー後の試験でも不良が多く発生してい
る。
【0102】
【表11】
【0103】表11には、図3に示した方法において、
エアベントとして基板に設けられた貫通穴の大きさが樹
脂の未充填に及ぼす影響を示した。実施例28のように
貫通穴の大きさが非常に小さい場合には、空気や樹脂を
排出することが効果が十分でないので、わずかに未充填
が発生している。貫通穴の直径を大きくしても、素子と
基板との隙間に配置された樹脂層の厚さより小さい範囲
にとどめている限りは、(実施例29〜31)に示され
るように未充填は発生しない。一方、より大きな貫通穴
を設けた参考例の場合には、穴の大きさが大きくなるに
したがって樹脂の未充填が多くなる。これは、穴から樹
脂が逃げて十分に圧力がかからないためである。
【0104】したがって、貫通穴の大きさは、素子と基
板との隙間に配置された樹脂層の厚さに依存して適切な
範囲があることがわかる。
【0105】
【表12】
【0106】表12には、図3に示した方法において、
基板に設ける貫通穴の位置と樹脂の未充填の発生との関
係を示した。実施例(32〜35)のように、貫通穴の
位置が半導体素子の中央付近であると未充填が発生しな
い。しかしながら、貫通穴の位置が中心からずれると、
樹脂の流れによって充填の早期の段階でこの穴がふさが
れてしまうので中央部に空気が残留する。そのため、
(参考例26〜29)の結果に表わされるように、貫通
穴の位置が素子の中心からずれるほど、樹脂の未充填の
発生率が高くなる。
【0107】次に、顆粒状または液状の樹脂を用い、図
1に示した方法により実施例(36〜41)のパッケー
ジを製造して、得られたパッケージの特性を調べた。
【0108】まず、上述のようにして得られた樹脂1、
樹脂2および樹脂3を所定の大きさの顆粒状に成形し
た。こうして成形した5種類の顆粒状の樹脂、および液
状樹脂である樹脂7を用いて、金型内を真空にして18
0℃で成形した。成形後には、さらに180℃で8時間
のアフターキュアを施してパッケージを完成させた。得
られたパッケージにおける樹脂層の厚さは、基板面から
測定して約0.5mmであった。
【0109】その後、各パッケージについて前述と同様
の冷熱サイクル試験およびプレッシャークッカー試験を
行なって、得られた結果を未充填パッケージの割合等と
ともに下記表13にまとめる。
【0110】
【表13】
【0111】表13に示されるように、樹脂を顆粒状あ
るいは樹脂状で供給した場合も、シート状で供給した場
合と同様に、ボイドや未充填の発生もないので、その後
の信頼性の結果も良好なパッケージを成形することがで
きた。特に、顆粒状としたことにより、細かい樹脂粉に
よる汚れなども低減することができ、また顆粒の個数を
制御することによって所定量の樹脂を供給することが可
能である。したがって、種々の大きさのパッケージにも
一種類の顆粒状樹脂で対応することができることとな
る。
【0112】次に、エアベントとしての貫通穴が設けら
れた枠状金型を用いて、図5(a)、図5(b)または
図5(c)に示した方法で、実施例(42〜46)のパ
ッケージを製造して、得られたパッケージの特性を調べ
た。ここで用いた枠状金型の1ないし3の側面の底側に
は、幅約1mm、高さ約100μmの貫通穴がエアベン
トとして設けられている。また、樹脂1、樹脂2および
樹脂3は、厚さ1mmの封止用樹脂シートに成形して用
いた。いずれの場合も、金型内を常圧にして180℃で
成形し、成形後には、さらに180℃で8時間のアフタ
ーキュアを施してパッケージを完成させた。得られたパ
ッケージにおける樹脂層の厚さは、基板面から測定して
約0.5mmであった。
【0113】各パッケージについて前述と同様の冷熱サ
イクル試験およびプレッシャークッカー試験を行なっ
て、得られた結果を未充填パッケージの割合等とともに
下記表14にまとめる。
【0114】
【表14】
【0115】表14に示されるように、実施例(42〜
46)は、いずれも常圧で封止したにもかかわらず、素
子と基板との間に配置された樹脂の未充填は発生してい
ない。このため、その後の信頼性試験でも不良は全く発
生せず、高い信頼性を有するパッケージを作製すること
ができた。このように、エアベントを設けた枠状金型を
用い、図5(a)〜図5(c)に示したように半導体素
子をその金型のエアベントが設けられた側面に接触させ
て封止すると、常圧でも信頼性の高いパッケージを作製
できることがわかる。
【0116】さらに、図7(a)〜図7(c)に示した
方法で、実施例(47〜50)のパッケージを作製し
て、得られたパッケージの特性を調べた。ここで用いた
基板は、その中央近傍に直径約0.5mmの貫通穴がエ
アベントとして設けられている。半導体素子としては、
10mm□、20mm□、30mm□および40mm□
の4種類のサイズのものを用いた。また、樹脂3は、厚
さ1mmの封止用樹脂シートに成形して、枠状金型とと
もに基板の下側に配置した。いずれの場合も、金型内を
常圧にして180℃で成形し、成形後には、さらに18
0℃で8時間のアフターキュアを施してパッケージを完
成させた。得られたパッケージにおける樹脂層の厚さ
は、基板面から測定して約0.5mmであった。
【0117】各パッケージについて前述と同様の冷熱サ
イクル試験およびプレッシャークッカー試験を行なっ
て、得られた結果を未充填パッケージの割合等とともに
下記表15にまとめる。
【0118】
【表15】
【0119】表15に示されるように、実施例(47〜
50)は、いずれも常圧で封止したにもかかわらず、素
子と基板との間に配置された樹脂の未充填は発生してい
ない。このため、リフロー後の信頼性試験でも不良は全
く発生せず、高い信頼性を有するパッケージを作製する
ことができた。このように、エアベントを設けた基板の
下側から樹脂を注入することにより樹脂充填を行なうこ
とで、常圧でも信頼性の高いパッケージを作製できるこ
とがわかる。
【0120】さらにまた、図8(a)および図8(b)
に示したような可動部分が円柱状のプレス金型を用い
て、実施例51および52のパッケージを作製し、図9
に示した可動部分が角型のプレス金型を用いて、参考例
30のパッケージを作製した。樹脂3は、厚さ1mmの
封止用樹脂シートに成形して用いた。いずれの場合も、
金型内を真空にして180℃で成形し、成形後には、さ
らに180℃で8時間のアフターキュアを施してパッケ
ージを完成させた。得られたパッケージにおける樹脂層
の厚さは、基板面から測定して約0.5mmであった。
【0121】各パッケージについて、縦バリを測定する
とともに、金型クリーニング必要回数を調べ、得られた
結果を下記表16にまとめる。
【0122】
【表16】
【0123】表16に示されるように、実施例(51〜
52)で作製されたパッケージは、いずれも縦バリの長
さは1mmと短い。このため金型クリーニングは、モー
ルド50回につき1回行なえばよい。図8(a)〜図8
(b)に示したようなプレス金型を用いると、金型同士
の可動部分が円柱状で加工精度が高いために、金型同士
の隙間を狭く加工することができたことに起因する。
【0124】一方、参考例30のように角形のプレス金
型を用いた場合には、金型同士の隙間が広いために樹脂
が流入し、4mmと長い縦バリが発生した。これに起因
して、モールド10回につき1回の金型クリーニングが
必要とされる。
【0125】以上の例では、1つの半導体素子を封止し
てパッケージを作製したが、本発明(図1)の方法を用
いて、不規則に配置された複数の半導体素子を封止する
こともできる。図11に示すように、200×250×
1mmの配線基板21に、高さ30μmのバンプを介し
て20×20×0.45mmの半導体素子22を不規則
に10個並べて、図1に示した金型で樹脂封止を行なっ
た。用いた金型は、枠状金型とプレス金型とから構成さ
れ、プレス金型の大きさは素子より一回り大きく25×
25mmとし、枠状金型の内側の寸法は、プレス金型と
嵌合するので25×25mm、外側の寸法は30×30
mmとした。したがって、枠状金型の厚さは2.5mm
である。また配線基板の裏側には、上側の金型の圧力を
受け止めるために板状金型を配置した。
【0126】かかる構成の金型を用いて、成形温度18
0℃、成形圧力60kg/cm2 の条件で成形を行なっ
たところ、図12に示すような0.8mmの厚さを有す
るパッケージ23を成形することができた。
【0127】本発明の方法では、用いる金型が小型なた
めに、基板上に不規則に配置された複数の半導体素子に
対しても金型もしくは基板を任意に移動して素子を封止
することができる。
【0128】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
基板上にフェイスダウンで実装された半導体素子の周囲
に、未充填やボイドの存在しない樹脂層を容易に形成す
ることができる樹脂封止型半導体装置の製造方法が提供
される。かかる方法を用いることによって、外部からの
衝撃に対して十分な耐性を有するとともに反りが発生せ
ず、しかも高い信頼性を有する樹脂封止型半導体装置を
容易に製造することができ、その工業的価値は大なるも
のがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂封止型半導体装置の製造工程
の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係る樹脂封止型半導体装置の一例を示
す断面図。
【図3】本発明に係る樹脂封止型半導体装置の製造工程
の他の例を示す断面図。
【図4】本発明に用いられる枠状金型の一例を示す斜視
図。
【図5】本発明に係る樹脂封止型半導体装置の製造工程
の他の例を示す平面図。
【図6】本発明に係る樹脂封止型半導体装置の製造工程
の他の例を示す断面図。
【図7】本発明に係る樹脂封止型半導体装置の製造工程
の他の例を示す断面図。
【図8】本発明に係る樹脂封止型半導体装置の製造工程
の他の例を示す斜視図。
【図9】本発明に係る樹脂封止型半導体装置の製造工程
の他の例を示す斜視図。
【図10】本発明に係る樹脂封止型半導体装置の他の例
を表わす斜視図。
【図11】本発明の方法で封止される、基板に実装され
た半導体素子を表わす斜視図。
【図12】本発明の方法で作製されたパッケージを表わ
す斜視図。
【図13】従来のトランスファ成形法の概略を示す断面
図。
【符号の説明】
1…枠状金型 2…プレス金型 3…下側金型 5…半導体素子 6…封止樹脂 7…樹脂層 8…両面配線基板 9,10…バンプ 11…基板 12…貫通穴 13,15,17…枠状金型 14…エアベント 16,18…プレス金型 19,20…パッケージ 21…基板 22…半導体素子 23…樹脂層 33…下側金型 34…上側金型 35…半導体素子 37…封止樹脂 38…両面配線基板 39,40…バンプ 41…ゲート
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−246768(JP,A) 特開 平7−226414(JP,A) 特開 平5−343458(JP,A) 特開 平7−66329(JP,A) 特開 平8−111465(JP,A) 特開 平5−229293(JP,A) 特開 平7−201900(JP,A) 特開 平7−221132(JP,A) 特開 平8−162573(JP,A) 特開 平9−17911(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/56 H01L 21/60 311

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配線回路を有し、貫通穴が設けられた
    板上に半導体素子を、その主面を基板に対向させてフェ
    イスダウンで実装する工程と、前記基板の下側に封止樹脂を配置する工程と、 前記半導体素子を、前記基板と上側金型とで画定された
    領域内に密閉する工程と、 前記封止樹脂に圧力を加えることで、前記基板の下方か
    ら前記貫通穴をとおして樹脂を注入して、前記封止樹脂
    を前記半導体素子と基板との隙間、半導体素子の側面お
    よび半導体素子の裏面に配置して樹脂封止する工程とを
    具備する樹脂封止型半導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 配線回路を有し、貫通穴が設けられた基
    板上に半導体素子を、その主面を基板に対向させてフェ
    イスダウンで実装する工程と、 前記基板の下側に枠状金型を配置する工程と、 前記枠状金型で囲まれた領域内に封止樹脂を配置する工
    程と、 前記半導体素子を、前記基板と金型とで画定された領域
    内に密閉する工程と、 前記枠状金型に嵌合して枠状金型内を可動できるプレス
    金型を配置する工程と、 前記基板、枠状金型およびプレス金型で画定された領域
    内に配置された封止樹脂に前記プレス金型で圧力を加え
    ることにより、前記基板の下方から前記貫通穴をとおし
    て樹脂を注入して、前記封止樹脂を前記半導体素子と基
    板との隙間、半導体素子の側面および半導体素子の裏面
    に配置して樹脂封止する工程とを具備する 樹脂封止型半
    導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記封止樹脂は、エポキシ樹脂、フェノ
    ール樹脂、触媒および球状フィラーを含むフィラーを含
    有し、 樹脂組成物全体に対するフィラーの割合が50wt%以
    上であり、また全フィラー中における球状フィラーの割
    合が50wt%以上であって、 前記フィラーの最大粒径Rは、下記数式(1)で表わさ
    れる関係を満たす 請求項1または2に記載の樹脂封止型
    半導体装置の製造方法。R<0.95L (1) (上記数式(1)中、Lは半導体素子と基板との間の隙
    間の距離である。)
  4. 【請求項4】 前記半導体素子の裏面に配置される封止
    樹脂は、シート状、顆粒状および液状のいずれか1つの
    状態である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    脂封止型半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 配線回路を有する基板、 前記基板上にその主面を基板に対向させてフェイスダウ
    ンで実装された半導体素子、および前記半導体素子と基
    板との隙間、半導体素子の側面、半導体素子の裏面に配
    置された封止樹脂層を具備し、 前記半導体素子の寸法と前記封止樹脂層の厚さとの間
    に、下記数式(2)で表わされる関係が成立し、 前記封止樹脂層は、少なくともエポキシ樹脂、フェノー
    ル樹脂、触媒および球状フィラーを含有し、樹脂組成物
    全体に対するフィラーの割合が50wt%以上であり、
    前記フィラーの最大粒径Rは、下記数式(1)で表わさ
    れる関係を満たすことを特徴とする樹脂封止型半導体装
    置。 30<at c u /t m <800 (2) (上記数式(2)中、aは半導体素子の面積(mm 2
    であり、t c は半導体素子の厚さ(mm)であり、t u
    は半導体素子裏面の樹脂層の厚さ(mm)であり、t m
    は半導体素子と基板との隙間の樹脂層の厚さ(mm)で
    ある。) R<0.95L (1) (上記数式(1)中、Lは、配線回路を有する基板と半
    導体素子との隙間の距離である。)
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