JP3454207B2 - ボンディングペーストの塗布装置および塗布方法 - Google Patents

ボンディングペーストの塗布装置および塗布方法

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JP3454207B2
JP3454207B2 JP32402499A JP32402499A JP3454207B2 JP 3454207 B2 JP3454207 B2 JP 3454207B2 JP 32402499 A JP32402499 A JP 32402499A JP 32402499 A JP32402499 A JP 32402499A JP 3454207 B2 JP3454207 B2 JP 3454207B2
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    • H01L24/741Apparatus for manufacturing means for bonding, e.g. connectors
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板にチップボン
ディング用のボンディングペーストを塗布するボンディ
ングペーストの塗布装置および塗布方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】半導体装置製造のダイボンディング工程
では、リードフレームなどの基板に半導体チップを接着
するためのボンディングペースト(以下、単に「ペース
ト」と略称する。)が塗布される。このペーストの塗布
は、ディスペンサから吐出されるペーストを塗布ノズル
に導き基板の塗布エリア内に塗布することにより行われ
る。この塗布方法の一つとして、塗布ノズルを塗布エリ
ア内で移動させながらペーストを吐出することにより塗
布を行う描画塗布が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この描画塗布において
は、接着対象のチップの形状やサイズによって所要のペ
ースト塗布パターンが異なるため、描画時の描画パター
ンや塗布ノズルを移動させる際の速度パターンなどの塗
布条件を接着対象に応じて設定する必要がある。ところ
が従来のペースト塗布装置では、上述のような描画塗布
を行う際の塗布条件の設定に、その都度複雑なデータ入
力などの手間を必要として操作性が悪いとともに、適切
な設定が行われない場合には良好な塗布品質が得られな
いという問題点があった。
【0004】そこで本発明は、操作性に優れ良好な塗布
品質を得ることができるペースト塗布装置およびペース
ト塗布方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のボンディ
ングペーストの塗布装置は、基板のチップ搭載位置にお
いて塗布ノズルからボンディングペーストを吐出しなが
ら塗布ノズルを移動させることにより所定塗布量のボン
ディングペーストを描画塗布するボンディングペースト
の塗布装置であって、ボンディングペーストを吐出しな
がら移動する塗布ノズルが前記塗布量分のボンディング
ペーストを吐出してしまうまでの間に移動可能な最大距
離を仮想描画距離として求める仮想描画距離算出部と、
前記仮想描画距離に基づいて描画パターンを設定する描
画パターン設定部と、設定された描画パターンに基づい
て前記移動手段を制御する制御手段とを備えた。
【0006】請求項2記載のボンディングペーストの塗
布装置は、請求項1記載のボンディングペーストの塗布
装置であって、前記仮想描画距離は、塗布量と単位時間
当りの吐出量と塗布ノズルの移動速度より算出する。
【0007】請求項3記載のボンディングペーストの塗
布装置は、請求項1記載のボンディングペーストの塗布
装置であって、前記描画パターン設定部は、複数の描画
パターンごとに定めた境界値と前記仮想描画距離を比較
して描画パターンを設定する。
【0008】請求項4記載のボンディングペーストの塗
布装置は、請求項3記載のボンディングペーストの塗布
装置であって、前記境界値は、各描画パターンを描画す
るために必要な塗布ノズルの移動距離である。
【0009】請求項5記載のボンディングペーストの塗
布装置は、請求項3記載のボンディングペーストの塗布
装置であって、前記境界値は、チップの寸法を所定の計
算式に代入して演算して求める。
【0010】請求項6記載のボンディングペーストの塗
布装置は、請求項1記載のボンディングペーストの塗布
装置であって、描画パターン設定部は、前記仮想描画距
離とチップの寸法の比率により描画パターンを設定す
る。
【0011】請求項7記載のボンディングペーストの塗
布装置は、請求項1記載のボンディングペーストの塗布
装置であって、前記塗布量をチップの寸法とチップを基
板に搭載したときのチップと基板の間の隙間寸法より求
める。
【0012】請求項8記載のボンディングペーストの塗
布方法は、基板のチップ搭載位置において塗布ノズルか
らボンディングペーストを吐出しながら塗布ノズルを移
動させることにより所定の塗布量分のボンディングペー
ストを描画塗布するボンディングペーストの塗布方法で
あって、ボンディングペーストを吐出する塗布ノズルが
前記塗布量のボンディングペーストを塗布するまでの間
に移動可能な塗布ノズルの最大移動距離を仮想描画距離
として求める工程と、前記仮想描画距離に基づいて描画
パターンを設定する描画パターン設定工程とを含み、設
定された描画パターンに基づいて塗布ノズルを移動させ
ながらボンディングぺーストの描画塗布を行うようにし
た。
【0013】請求項9記載のボンディングペーストの塗
布方法は、請求項8記載のボンディングペーストの塗布
方法であって、前記仮想描画距離は、塗布量と単位時間
当りの吐出量と塗布ノズルの移動速度より算出するよう
にした。
【0014】請求項10記載のボンディングペーストの
塗布方法は、請求項8記載のボンディングペーストの塗
布方法であって、前記描画パターン設定工程において、
複数の描画パターンごとに定めた境界値と前記仮想描画
距離を比較して描画パターンを設定するようにした。
【0015】請求項11記載のボンディングペーストの
塗布方法は、請求項10記載のボンディングペーストの
塗布方法であって、前記境界値は、各描画パターンを描
画するために必要な塗布ノズルの移動距離である。
【0016】請求項12記載のボンディングペーストの
塗布方法は、請求項10記載のボンディングペーストの
塗布方法であって、前記境界値は、チップの寸法を所定
の計算式に代入して演算して求める。
【0017】請求項13記載のボンディングペーストの
塗布方法は、請求項8記載のボンディングペーストの塗
布方法であって、描画パターン設定工程において、前記
仮想描画距離とチップの寸法の比率により描画パターン
を設定する。
【0018】請求項14記載のボンディングペーストの
塗布方法は、請求項8記載のボンディングペーストの塗
布方法であって、塗布量をチップの寸法とチップを基板
に搭載したときのチップと基板の間の隙間寸法より求め
る。
【0019】本発明によれば、ボンディングペーストを
吐出するノズルが前記塗布量のボンディングペーストを
塗布するまでの間に移動可能なノズルの移動距離を仮想
描画距離として求め、この仮想描画距離に基づいて描画
パターンを設定することにより、描画パターンを対象チ
ップに応じて適切に操作性よく設定することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のダイ
ボンディング装置の斜視図、図2は同ダイボンディング
装置の制御系の構成を示すブロック図、図3は同ダイボ
ンディング装置のペースト塗布処理の処理機能を表す機
能ブロック図、図4は同基準描画パターンの説明図、図
5、図6、図7、図8、図9、図10、図11は同描画
パターンの説明図、図12は同ペースト塗布の速度パタ
ーン算出処理のフロー図、図13、図14は同ペースト
塗布の描画パターン設定処理のフロー図、図15は同チ
ップの斜視図である。
【0021】まず図1を参照してダイボンディング装置
の構造を説明する。図1においてチップ供給部1にはウ
ェハシート2が図示しない保持テーブルによって保持さ
れている。ウェハシート2には多数の半導体素子である
チップ3が貼着されている。チップ供給部1の側方には
搬送路5が配設されており、搬送路5は基板であるリー
ドフレーム6を搬送し、ペースト塗布位置およびボンデ
ィング位置にリードフレーム6を位置決めする。チップ
供給部1の上方にはボンディングヘッド4が配設されて
おり、ボンディングヘッド4は図示しない移動機構によ
り水平移動および上下動する。
【0022】搬送路5の側方にはペースト塗布部9が配
設されている。ペースト塗布部9は移動テーブル10に
L型のブラケット15を介して塗布ノズル18を装着し
て構成されている。塗布ノズル18は、不動のプレート
21上に固定配置されたペースト吐出手段であるディス
ペンサ16と可撓性の管部材であるチューブ17によっ
て連結されており、更にエアチューブ20を介して吐出
制御バルブ19と接続されている。
【0023】図2に示すようにディスペンサ16は、マ
ニホールドブロック25の上面に装着されたシリンジ2
6内のペースト7をモータ31によって往復駆動される
ピストン32によって吐出させるものである。ペースト
7のシリンジ26からの吸入、ピストン32による吐出
は、往復駆動機構28によって駆動される第1のバルブ
27、往復駆動機構29によって駆動される第2のバル
ブ30によって制御される。
【0024】シリンジ26内はバルブ34を介してエア
源33から供給されるエアによって加圧されており、デ
ィスペンサ16を駆動することにより、ペースト7がチ
ューブ17を介して塗布ノズル18へ圧送される。そし
て塗布ノズル18の下端部に設けられた塗布口より吐出
されてリードフレーム6の塗布エリア6aに塗布され
る。塗布ノズル18からのペースト吐出の断続は、吐出
制御バルブ19によって制御される。
【0025】移動テーブル10は、Y軸テーブル11上
にX軸テーブル12を段積みし、さらにその上にL型の
ブラケット13を介してZ軸テーブル14を垂直方向に
結合して構成されている。Y軸テーブル11、X軸テー
ブル12、Z軸テーブル14は、それぞれY軸モータ1
1a、X軸モータ12a、Z軸モータ14aを備えてい
る。X軸モータ12a、Y軸モータ11aおよびZ軸モ
ータ14aを駆動することにより、塗布ノズル18はリ
ードフレーム6上で水平方向および上下方向に移動す
る。したがって、移動テーブル10は塗布ノズル18を
リードフレーム6に対して相対的に移動させる移動手段
となっている。
【0026】リードフレーム6上面のチップ3の搭載位
置は、ペースト7が塗布される塗布エリア6aとなって
いる。塗布ノズル18を塗布エリア6a内に位置させ、
塗布ノズル18からペースト7を吐出させながら塗布ノ
ズル18を移動させることにより、塗布エリア6a内に
は所定の描画パターンでチップボンディング用のペース
ト7が描画塗布される。
【0027】このペースト塗布後、リードフレーム6は
搬送路5上をボンディング位置8に送られ、位置決めさ
れる。そして塗布エリア6a内に塗布されたペースト7
上に、ボンディングヘッド4のノズル4aによってチッ
プ供給部1からピックアップされたチップ3がボンディ
ングされる。
【0028】次に図2を参照してダイボンディング装置
の制御系の構成を説明する。図2において、ディスペン
サ駆動部40は、ピストン32を駆動するモータ31、
第1のバルブ27および第2のバルブ30をそれぞれ往
復動させる往復動機構28,29を駆動して、ディスペ
ンサ16によるペースト7の吐出を制御する。吐出制御
バルブ駆動部41は、吐出制御バルブ19の開閉を駆動
することにより塗布ノズル18に供給される制御エアを
制御し、塗布ノズル18の開閉を行う。
【0029】Z軸モータ駆動部42、Y軸モータ駆動部
43、X軸モータ駆動部44は、移動テーブル10のZ
軸モータ14a、Y軸モータ11a、X軸モータ12a
をそれぞれ駆動する。ボンディングヘッド駆動部45
は、チップ3をボンディングするボンディングヘッド4
を駆動する。記憶部46は、各部の動作や処理に必要な
プログラムや塗布パターンのデータを記憶する。制御部
47は、記憶部46に記憶されたプログラムに基づいて
各部の動作を制御する。操作・入力部48は、キーボー
ドやマウスなどの入力手段であり制御コマンドの入力や
データ入力を行う。表示部49はディスプレイ装置であ
り、操作入力時の画面を表示する。
【0030】次に図3を参照して、ダイボンディング装
置のペースト塗布処理の処理機能について説明する。図
3において枠46で囲まれた各部は図2に示す記憶部4
6に記憶されるデータの内容を示すものである。図3に
示す各要素のうち、入力処理部50、表示処理部51、
塗布量算出部56、仮想描画距離算出部57、描画パタ
ーン設定部58、速度パターン算出部59、描画処理部
60は、図2に示す制御部47による処理を示してい
る。
【0031】まず記憶部46を構成する各部について説
明する。チップサイズ記憶部52は、ボンディング対象
のチップサイズ、すなわちチップ3の幅や長さのデータ
を記憶する。描画条件記憶部53は塗布ノズル18のノ
ズル移動速度や塗布ノズル18から吐出されるペースト
の流量を示す吐出流量などのデータを記憶する。描画パ
ターン記憶部54は、描画塗布に使用される描画パター
ンを記憶する。速度パターン記憶部55は、速度パター
ン算出部59によって算出された速度パターンを記憶す
る。
【0032】塗布量算出部56は、チップサイズとペー
スト厚みデータに基づいてペーストの塗布量を算出す
る。仮想描画距離算出部57は、ペースト塗布量と描画
条件のデータ、すなわちノズル移動速度や吐出流量に基
づいて仮想描画距離を算出する。仮想描画距離とは、あ
る所定塗布量分のボンディングペーストを吐出してしま
うまでの間に塗布ノズルが移動可能な最大距離を示すも
のである。
【0033】描画パターン設定部58は、求められた仮
想描画距離に基づいて適切な描画パターンを設定する。
速度パターン算出部59は、設定された描画パターンに
基づいて塗布ノズルを移動させる速度パターンを算出す
る。描画処理部60は、速度パターンおよびペースト吐
出流量のデータに基づいてX軸モータ駆動部44、Y軸
モータ駆動部43、Z軸モータ駆動部42、吐出制御バ
ルブ駆動部41、ディスペンサ駆動部40を駆動して塗
布ノズル18を移動させ塗布ノズル18からペースト7
を吐出させることにより描画塗布を行うための処理を行
う。
【0034】入力処理部50は、操作・入力部48から
入力される操作入力信号を処理し、各部への制御コマン
ドを出力するとともに、記憶部46へのデータ書き込み
を行う。表示処理部51は、記憶部46に記憶されたデ
ータを処理して各種の案内画面を表示部49に表示させ
る。
【0035】次に図4を参照して基準描画パターンにつ
いて説明する。図4(a)は塗布エリア6a内にペース
トを描画塗布する際に用いられる描画パターンの基準と
なる基準描画パターンを示している。この基準描画パタ
ーンは、図4(b)に示すような個別の描画要素の組み
合わせによって構成されている。基準描画パターンを構
成する各塗布線に設定された点P0〜P16は、描画塗
布時に塗布ノズル18が通過するノズル通過点を示して
いる。
【0036】描画要素について説明する。図4(b)の
(イ)は、2本の塗布線を塗布エリア6aの対角方向に
交叉させた対角十字パターン、(ロ)は2本の塗布線を
塗布エリア6a内で上下左右方向に交叉させた十字パタ
ーン、(ハ)(ニ)はカギ型パターンであり、上下左右
方向の十字パターンの各塗布線の終端部に付加される4
つのカギ型の塗布線より成る。カギ型パターンの場合に
は、最小カギ型(ハ)と最大カギ型(ニ)の間で塗布量
に応じて増減するようになっている。
【0037】この基準描画パターンにおいて、各描画要
素を構成する塗布線の寸法や塗布エリア6a内での位置
は、全てチップサイズLX,LYに関連付けられてい
る。例えば、対角十字パターンの塗布線の寸法・位置
は、チップサイズLX,LYと塗布線の終端点から塗布
エリア6aの外形枠までの距離AX,AYが与えられる
ことにより決定される。
【0038】また、(数1)に示すように、図4(a)
の十字パターンを決定するBX,BYは、LX,LY,
AX,AYが与えられることにより、予め定められた係
数α1を用いて求められる。さらに、(数1)に示すよ
うに、カギ型パターンを決定するカギ型塗布線の両端点
間の距離CX1,CX2,CY1,CY2も同様に、L
X,LY,AX,AYが与えられることにより、係数α
2,α3を用いて求められる。
【0039】したがって、これらの塗布線におけるノズ
ル通過点P0〜P16の位置座標も、LX,LY,A
X,AYが与えられることにより、係数α1,α2,α
3を用いて計算により求められる。
【0040】
【数1】
【0041】ここで前述の仮想描画距離(本明細書の数
式および図面では符号Rで表現する。)について説明す
る。ボンディング対象のチップ種類が指定されるとこの
チップをボンディングするために必要なペーストの塗布
量が決定される。またこのペーストを塗布する際の描画
条件、すなわち塗布ノズルから吐出される吐出流量や、
塗布ノズルの移動速度は、通常は同一のペースト塗布装
置では固定条件として設定される場合が多い。したがっ
てボンディング対象のチップ種類のデータより与えられ
る所要の塗布量を固定値としての吐出流量で除すること
により、当該塗布ノズルを用いた場合に必要とされる吐
出時間が求められる。そしてこの吐出時間に塗布ノズル
の移動速度を乗算することにより、塗布ノズルが移動す
る距離が計算上で求められる。
【0042】ここで実際に塗布ノズルからペーストを吐
出しながら描画塗布を行う場合には、必ずしも塗布ノズ
ルの移動速度は一定ではなく、立ち上がり時や停止時の
加減速によって移動速度は変動している。また描画時に
は一筆描き動作が行われるため同一塗布線上を2回以上
移動する場合がある。このため、塗布ノズルが実際に移
動する距離と前述の計算によって求められる移動距離と
は一般には一致しない。
【0043】チップサイズから定められる所要の塗布量
と描画条件データから計算によって求められる移動距離
は、塗布ノズルが常に同一移動速度で移動し1つの塗布
線上については1回のみ通過して描画するといういわば
仮想の条件で描画した場合の描画距離(仮想描画距離)
であり、実際の描画時の移動距離とは異なる。すなわち
このようにして定義される仮想描画距離は、塗布量分の
ペーストを吐出してしまうまでに塗布ノズルが移動可能
な最大距離を示すものである。また換言すれば、仮想描
画距離は、描画条件を介して塗布量と1対1対応した比
例関係にあり、塗布量を直感しやすい描画距離の形に換
算して表したものとなっている。そして描画条件によっ
てこの比例関係の比例定数が定められる。
【0044】次に、必要描画距離(以下、数式および図
中では符号Lで表す。付番が付されたLは、必要描画距
離Lの特定値を示す。)の具体例を説明する。図4
(b)の(イ)〜(ニ)に示す各描画要素には、要素必
要描画距離L1,L2,L3,L4が対応しており、こ
れらの要素必要描画距離L1,L2,L3,L4は、
(数2)に示す各計算式によって、前述のLX,LY,
AX,AY,CX1,CX2,CY1,CY2を用いて
求めたものである。なお、この(数2)は同一塗布線上
を2回移動する場合の要素必要描画距離を求める式であ
る。
【0045】
【数2】
【0046】これらの要素必要描画距離L1,L2,L
3,L4は、塗布量とは関係なくチップのサイズより幾
何学的に求められる。実際の描画においては、図4
(b)に示す描画要素を組み合わせて形成される描画パ
ターンが用いられ、塗布量が多くなるに従って図5から
図11に示す描画パターンのように複雑化していく。こ
れらの描画パターン毎に必要なノズルの移動距離、すな
わち必要描画距離も描画パターンが複雑化するに従って
長くなり、その値は描画要素が追加されて描画パターン
が複雑化するにしたがって、飛び飛びの離散値となる形
で増加する。
【0047】一方、実際にペーストを描画塗布する場合
には、前述の仮想描画距離に相当する量のペーストを塗
布しなければいけないので、この仮想描画距離を越え
ず、しかもこの仮想描画距離に最も近い必要描画距離と
なるような描画パターンを選択する必要がある。この選
択に際しては、各描画パターンの必要描画距離が描画パ
ターンを選択する境界値となり、この境界値を境目にし
て異なる描画パターンが設定される。すなわち、複数の
描画パターン毎に定めた境界値と、所要の塗布量を描画
距離に換算して求めた仮想描画距離とを比較することに
より、描画パターンが設定される。
【0048】前述の描画要素毎に求められる要素必要描
画距離L1,L2,L3,L4は、境界値を設定するた
めの要素データであり、要素必要描画距離L1,L2,
L3,L4の単独値またはこれらのいずれかを加え合わ
せた値(必要描画距離L)が、実際に描画パターンを設
定する際の境界値として用いられる。すなわちこれらの
境界値は、チップサイズ(チップの寸法)LX,LYを
所定の計算式(数1、数2参照)に代入して演算するこ
とにより求められる。
【0049】次に、このようにして定義される必要描画
距離Lと、実際の描画塗布に用いられる描画パターンと
の対応関係について図5〜図11を参照して説明する。
ここでは、所要の塗布量が少ないパターンから大きいパ
ターンの順序で、すなわち単純な描画パターンからより
複雑な描画パターンの順序にしたがって示している。
【0050】まず図5は、計算により求められた仮想描
画距離Rが、最小の境界値L1に等しい場合を示してい
る。この場合には、実際の描画パターンとして対角十字
パターンが設定される。次に図6は、求められた仮想描
画距離Rが、境界値L1よりは大きく、(L1+L2)
よりは小さい場合を示している。この場合には、境界値
L1と求められた仮想描画距離Rとの差分に相当するペ
ースト7cを中央点Oに点状に追加塗布することによ
り、所要の塗布量を得る。
【0051】図7は、求められた仮想描画距離Rが境界
値(L1+L2)に等しい場合を示しており、この場合
には対角十字要素と十字要素とを組み合わせた描画パタ
ーン(ダブル十字パターン)が用いられる。図8は、仮
想描画距離Rが境界値(L1+L2)よりは大きく、
(L1+L2+L3)よりは小さい場合を示している。
この場合には、図7に示す描画パターンに、境界値(L
1+L2+L3)と求められた仮想描画距離Rの差分に
相当するペースト7cを、中央点Oに点状に追加塗布す
るパターン(中央点付ダブル十字パターン)が用いられ
る。
【0052】求められた仮想描画距離Rが更に大きくな
り、境界値(L1+L2+L3)に等しい場合には、図
9に示すように、対角十字要素と十字要素との組み合わ
せに、さらに小さいカギ型要素を付加した描画パターン
(スノースターパターン)を用いる。図10は仮想描画
距離Rが更に大きく境界値(L1+L2+L4)に等し
い場合であり、この場合には小さいカギ型要素に替えて
大きいカギ型要素を用いる。
【0053】また図11は仮想描画距離Rが境界値(L
1+L2+L4)を超える場合を示している。この場合
には、中央点Oに境界値(L1+L2+L4)と求めら
れた仮想描画距離Lの差分に相当するペースト7cを追
加塗布するパターン(中央点付スノースターパターン)
が用いられる。
【0054】このペースト塗布装置は上記のように構成
されており、以下ペースト描画塗布に先立って行われる
速度パターン算出処理について図12を参照して説明す
る。まずチップサイズ記憶部52に記憶されているチッ
プサイズLX,LYおよびペースト厚さt(チップ3を
搭載したときのリードフレーム6とチップ3の間の隙間
寸法に等しい。図15参照)を読み取る(ST1)。そ
してLX,LY,tの積で求められる体積、すなわちチ
ップ3とチップを搭載したときの隙間の体積に所定の係
数kを乗じることにより、必要なペースト塗布量Vを求
める(ST2)。(V=k・LX・LY・t)次に、求
められたペースト塗布量Vに基づいて、仮想描画距離R
を算出する(ST3)。ここでは、R=V(mm3)/
吐出流量(mm3/sec)×ノズル移動速度(mm/
sec)によって求める。すなわち、仮想移動距離R
は、塗布量Vと単位時間当りの吐出量と、塗布ノズル1
8の移動速度より算出される。
【0055】次に、求められた仮想描画距離Rに基づい
て描画パターン設定処理が行われる(ST4)。そして
設定された描画パターンに基づいて、塗布ノズル18の
移動経路を計算する(ST5)。次いで速度パターンを
速度パターン算出部59により算出し、算出された速度
パターンは速度パターン記憶部55に記憶される(ST
6)。
【0056】この後、この速度パターンに基づいて描画
処理部60によって、X軸モータ駆動部44、Y軸モー
タ駆動部43、Z軸モータ駆動部42を制御して塗布ノ
ズル18を移動させ、吐出バルブ駆動部41、ディスペ
ンサ駆動部40を制御して塗布ノズル18からのペース
ト7の吐出を制御することにより塗布ノズル18による
描画塗布が行われる。
【0057】次に、上記(ST4)にて行われる描画パ
ターン設定処理について図13、図14を参照して説明
する。図13において、描画パターンの各描画要素毎
に、描画に必要なノズル移動距離(要素必要描画距離)
L1,L2,L3,L4を算出する(ST11)。これ
らの要素必要描画距離L1,L2,L3,L4は境界値
を設定するためのデータとして用いられる。
【0058】次に(ST3)で求められた仮想描画距離
Rを境界値L1と比較する(ST12)。ここで仮想描
画距離Rが境界値L1よりも小さい場合には、描画パタ
ーンとして中央点Oに点状に塗布するのみの中央点パタ
ーンを設定する(ST13)。
【0059】仮想描画距離RがL1よりも大きければ、
次に仮想描画距離RがL1と等しいか否かが判断され
(ST14)、等しい場合には対角十字パターン(図
5)が設定される(ST15)。
【0060】そして等しくない場合には、仮想描画距離
RがL1と(L1+L2)の間の値であるか否かが判断
され(ST16)、Yesであれば中央点付対角十字パ
ターンが設定される(ST17)。前記の間の値でない
場合には、仮想描画距離Rが(L1+L2)と等しいか
否かが判断され(ST18)、Yesであればダブル十
字パターン(図7)が描画パターンとして設定される。
【0061】等しくない場合には、仮想描画距離Rが
(L1+L2)と(L1+L2+L3)の間の値である
か否かが判断され(ST20)、Yesであれば、中央
点付ダブル十字パターン(図8)が描画パターンとして
設定される(ST21)。(ST20)にてNoであれ
ば、更に仮想描画距離Rが(L1+L2+L3)と(L
1+L2+L4)との間の値であるか否かが判断され
(ST22)、Yesであればスノースターパターンが
描画パターンとして設定され(ST23)、Noであれ
ば、中央点付スノースターパターンが描画パターンとし
て設定される(ST24)。このようにして求められた
仮想描画距離Rに基づいて描画パターンの設定を行っ
て、図12の(ST4)の描画パターン設定処理を終了
する。
【0062】上記説明したように、本発明はチップのボ
ンディングペーストの所要の塗布量を仮想描画距離とし
て表し、求められた仮想描画距離を描画パターン設定の
境目として予め設定されている境界値と比較することに
より、最適な描画パターンを設定するものである。この
ような設定方法を用いることにより、塗布量を描画条件
を介して仮想描画距離として直感しやすい形で表すこと
ができ、対象チップに応じた適切な描画パターンの設定
を容易にしかも精度よく行うことができる。したがっ
て、ボンディングペーストの塗布において良好な塗布品
質を確保することができる。
【0063】なお、本実施の形態では、仮想描画距離そ
のものを描画パターン設定のパラメータとして用いる例
を示しているが、求められた仮想描画距離をチップサイ
ズ(例えばチップ対角寸法)で除して得られる無欠元数
をパラメータとして用いてもよい。このパラメータと前
述の各描画パターンをより単純なパターン(中央点パタ
ーン)から最も複雑なパターン(中央点付スノースター
パターン)までの区分とを予め関連付けておくことによ
り、パラメータが求められると同時に描画パターン設定
を行うことができ、本実施の形態に示す例と同様な効果
を得ることができる。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、ボンディングペースト
を吐出するノズルが前記塗布量のボンディングペースト
を塗布するまでの間に移動可能なノズルの移動距離を仮
想描画距離として求め、この仮想描画距離に基づいて描
画パターンを設定するようにしたので、描画パターンを
対象チップに応じて適切に操作性よく設定することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置
の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置
の制御系の構成を示すブロック図
【図3】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置
のペースト塗布処理の処理機能を示す機能ブロック図
【図4】本発明の一実施の形態の基準描画パターンの説
明図
【図5】本発明の一実施の形態の描画パターンの説明図
【図6】本発明の一実施の形態の描画パターンの説明図
【図7】本発明の一実施の形態の描画パターンの説明図
【図8】本発明の一実施の形態の描画パターンの説明図
【図9】本発明の一実施の形態の描画パターンの説明図
【図10】本発明の一実施の形態の描画パターンの説明
【図11】本発明の一実施の形態の描画パターンの説明
【図12】本発明の一実施の形態のペースト塗布の速度
パターン算出処理のフロー図
【図13】本発明の一実施の形態のペースト塗布の描画
パターン設定処理のフロー図
【図14】本発明の一実施の形態のペースト塗布の描画
パターン設定処理のフロー図
【図15】本発明の一実施の形態のチップの斜視図
【符号の説明】
3 チップ 6 リードフレーム 6a 塗布エリア 7 ペースト 10 移動テーブル 16 ディスペンサ 18 塗布ノズル 52 チップサイズ記憶部 53 描画条件記憶部 54 描画パターン記憶部 56 塗布量算出部 57 仮想描画距離算出部 60 描画処理部

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板のチップ搭載位置において塗布ノズル
    からボンディングペーストを吐出しながら塗布ノズルを
    移動させることにより所定塗布量のボンディングペース
    トを描画塗布するボンディングペーストの塗布装置であ
    って、ボンディングペーストを吐出しながら移動する塗
    布ノズルが前記塗布量分のボンディングペーストを吐出
    してしまうまでの間に移動可能な最大距離を仮想描画距
    離として求める仮想描画距離算出部と、前記仮想描画距
    離に基づいて描画パターンを設定する描画パターン設定
    部と、設定された描画パターンに基づいて前記移動手段
    を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするボンデ
    ィングペーストの塗布装置。
  2. 【請求項2】前記仮想描画距離は、塗布量と単位時間当
    りの吐出量と塗布ノズルの移動速度より算出することを
    特徴とする請求項1記載のボンディングペーストの塗布
    装置。
  3. 【請求項3】前記描画パターン設定部は、複数の描画パ
    ターンごとに定めた境界値と前記仮想描画距離とを比較
    して描画パターンを設定することを特徴とする請求項1
    記載のボンディングペーストの塗布装置。
  4. 【請求項4】前記境界値は、各描画パターンを描画する
    ために必要な塗布ノズルの移動距離であることを特徴と
    する請求項3記載のボンディングペーストの塗布装置。
  5. 【請求項5】前記境界値は、チップの寸法を所定の計算
    式に代入して演算して求めることを特徴とする請求項3
    記載のボンディングペーストの塗布装置。
  6. 【請求項6】前記描画パターン設定部は、前記仮想描画
    距離とチップの寸法の比率により設定することを特徴と
    する請求項1記載のボンディングペーストの塗布装置。
  7. 【請求項7】前記塗布量をチップの寸法とチップを基板
    に搭載したときのチップと基板の間の隙間寸法より求め
    ることを特徴とする請求項1記載のボンディングペース
    トの塗布装置。
  8. 【請求項8】基板のチップ搭載位置において塗布ノズル
    からボンディングペーストを吐出しながら塗布ノズルを
    移動させることにより所定の塗布量分のボンディングペ
    ーストを描画塗布するボンディングペーストの塗布方法
    であって、ボンディングペーストを吐出する塗布ノズル
    が前記塗布量のボンディングペーストを塗布するまでの
    間に移動可能な塗布ノズルの最大移動距離を仮想描画距
    離として求める工程と、前記仮想描画距離に基づいて描
    画パターンを設定する描画パターン設定工程とを含み、
    設定された描画パターンに基づいて塗布ノズルを移動さ
    せながらボンディングぺーストの描画塗布を行うことを
    特徴とするボンディングペーストの塗布方法。
  9. 【請求項9】前記仮想描画距離は、塗布量と単位時間当
    りの吐出量と塗布ノズルの移動速度より算出することを
    特徴とする請求項8記載のボンディングペーストの塗布
    方法。
  10. 【請求項10】前記描画パターン設定工程において、複
    数の描画パターンごとに定めた境界値と前記仮想描画距
    離を比較して描画パターンを設定することを特徴とする
    請求項8記載のボンディングペーストの塗布方法。
  11. 【請求項11】前記境界値は、各描画パターンを描画す
    るために必要な塗布ノズルの移動距離であることを特徴
    とする請求項10記載のボンディングペーストの塗布方
    法。
  12. 【請求項12】前記境界値は、チップの寸法を所定の計
    算式に代入して演算して求めることを特徴とする請求項
    10記載のボンディングペーストの塗布方法。
  13. 【請求項13】前記描画パターン設定工程において、前
    記仮想描画距離とチップの寸法の比率により描画パター
    ンを設定することを特徴とする請求項8記載のボンディ
    ングペーストの塗布方法。
  14. 【請求項14】前記塗布量をチップの寸法とチップを基
    板に搭載したときのチップと基板の間の隙間寸法より求
    めることを特徴とする請求項8記載のボンディングペー
    ストの塗布方法。
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