JP3454201B2 - 高周波分岐/結合装置 - Google Patents

高周波分岐/結合装置

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JP3454201B2 JP27895699A JP27895699A JP3454201B2 JP 3454201 B2 JP3454201 B2 JP 3454201B2 JP 27895699 A JP27895699 A JP 27895699A JP 27895699 A JP27895699 A JP 27895699A JP 3454201 B2 JP3454201 B2 JP 3454201B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、形状的に、高周波
信号を伝搬する中心導体が複数の経路に分岐している場
合の分岐点における構造に関する。詳しくは、少なくと
も1つ以上の経路から入力された高周波信号を任意に選
択された少なくとも1つ以上の経路に通過させる高周波
分岐/結合装置に関する。特に、基板上に形成されたコ
プレーナ線路を利用した低損失な高周波分岐/結合装置
に関する。本発明は、入力された高周波を低損失で分岐
する高周波分岐素子、高周波スイッチ素子等に適用でき
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、コプレーナ線路を用いた高周
波分岐/結合装置がある。コプレーナ線路は図12
(a)に示すように、基板5の同一平面上に中心導体1
0と接地導体20が所定の離間距離を有して形成された
ものである。それを高周波分岐装置に適用した場合は、
接地導体20は経路を形成する複数の中心導体11,1
2によって複数に分割される(図12(b))。尚、以
下の説明においては分岐点に接続される経路数がnの
時、n分岐装置と言う。しかしながら、上記のような接
地導体20が分割された高周波分岐装置では,各接地導
体20間の電位は不均一となる。そのため、コプレーナ
線路の中心導体11,12から接地導体20への電界は
中心導体11,12に対して非対称となり、伝送モード
に乱れが生じる。これは、高周波分岐装置の伝達量の低
下、反射量増大の一因となる。そして、例えばポート1
から高周波信号を入力して各ポート2,3,4に分岐し
ても、各ポートによりその伝達量が異なる場合があっ
た。
【0003】上記問題を回避するため、様々な提案があ
る。例えば図13(a)に示すような各接地導体20を
配線25で接続する例がある。尚、ここでは4分岐装置
で説明するが、分岐数が3以上であれば同様に考えるこ
とができる。図13(a)はその上面図であり、図13
(b)は図中AA’間の断面図である。図示されるよう
に、中心導体10は配線25を跨ぐ様に、例えばエアブ
リッジ構造により形成されている。このように各接地導
体20間を配線25でさらに接続すれば、各接地導体間
を等電位化できる。しかしこの構成では、中心導体10
と接地導体間を接続する配線25との対向面積が大きい
ため従来より配線間容量が大きくなる。そのため、線路
インピーダンスに不整合が生じ、その結果、高周波信号
の一部がここで反射されることになる。これは、高周波
分岐/結合装置に適用した場合、伝達量の低下を意味す
る。
【0004】そこで更に、1997 IEEE MTT-S Digestの10
47〜1050頁に示されているように,図13(a)の分岐
点Pに対向して配線25を配置せずに、分割された接地
導体20を環状に接続する例がある。その例を図14に
示す。尚、ここでも同じく、図14(a)はその上面図
であり、図14(b)は図中AA’の断面図である。図
から分かるように、中心導体10は環状配線26を跨ぐ
様に、同様にエアブリッジ構造で形成されている。この
様に各接地導体20間を環状配線26で接続すれば等電
位化できる。更にこの例では,A−A’断面における中
心導体10と環状配線26との対向部分が2箇所に増加
するがその合計面積が上記例より小さく形成されてい
る。従って配線間容量が小さくなり、その結果上記伝達
率が向上されるとしていた。
【0005】
【発明が解決しようする課題】しかしながら、上記構造
によっても中心導体10と環状配線26との交差部に図
15(b)に示すように配線間容量10aが存在する。
この容量のためにコプレーナ線路のインピーダンスが変
化し、高周波信号が分岐部を通過する際には、その一部
が反射される。上記構成では、高周波信号はこの容量発
生源である交差部を2度通過しなければならず、多重反
射の影響もありその反射量は少なくない。又、設計段階
での解析も複雑となる。
【0006】又、コプレーナ線路の伝送モードの乱れを
抑制するため有効な手段である環状配線による接地導体
の等電位化も、厳密には極わずかではあるが、配線自体
に抵抗成分や誘導成分が存在し、その長さも有限なため
完全な等電位化が実現するものではない。その際、重要
となるのは基準電位の一元化であるが、環状配線分岐で
は4つの接地導体に共通な電位の基準点は一義的に決定
しない。即ち、図15(a)に示すように仮に接地導体
20aの電位を電位基準点とした時、接地導体20bと
20cは等距離にあり上記環状配線を同じ材質、膜厚、
線幅で形成すれば接地導体20aから見た電位は等価と
見なし得る。しかし、接地導体20dにはさらにもう一
つの配線26db及び26cdを介して接続されてお
り、接地導体20aから見て接地導体20b、20cと
等価とは言えない。これでは、より厳密な等電位化は望
めず、伝送モードの乱れに起因する各ポート間の伝達量
の差異を低減できるものではなかった。
【0007】さらに、高周波分岐/結合装置は、様々な
素子と併用されて使用される。例えば、分岐後の経路に
直流バイアスによってインピーダンスが変化するスイッ
チング素子を接続する場合、他の経路のスイッチング素
子との干渉を阻止するためにコプレーナ線路の分岐部に
おいて,図16のように直流カット用の容量素子C0
中心導体10に対して直列に挿入する場合がある。反射
整合を最適化するためには、図16の分岐点から容量ま
での距離L1,L2,L3を小さくすることが有利な場
合がある。しかしながら、図15(b)に示すように、
分岐点P近傍には既に中心導体10と環状配線26との
交差部10aが存在するため、容量素子C0 の作製領域
は環状配線26の外側に限定される。これは、環状配線
26の内側には図中sで示す間隙しかなく、ここには容
量素子C0 を配置することができないためである。即
ち、上記距離L1,L2,L3が小さくできず、反射量
が増大するという問題があった。
【0008】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、その目的は、接地導体パターン
と中心導体パターンの対向部を点で構成し、配線間容量
を最小化して、それによるインピーダンス不整合を防止
することで反射量をより低減させることである。又、接
地導体を等電位化するため放射状配線を配置し、その起
点を電位の基準点に定めることにより伝送モードに乱れ
を生じさせない構造とし、その乱れによる伝送損失を回
避することである。又、上記パターンにより中心導体と
放射状配線の対向している面積を最小にして、他の素子
の分岐点近傍への形成を容易にし、利便性の高い高周波
分岐/結合装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
請求項1に記載の高周波分岐/結合装置は、基板上に形
成された中心導体とその中心導体の両側に所定の離間距
離を有して形成された複数の接地導体からなるコプレー
ナ線路であって、少なくとも1つ以上の経路から入力さ
れた高周波信号を1つ以上の経路に分岐する高周波分岐
/結合装置であって、複数の接地導体は所定点を起点と
した放射状に拡がった放射状配線で接続され、その所定
点は経路の分岐点と上下に重なり合うことをことを特徴
とする。尚、分岐/結合は、形状の上では、1つの線路
が所定点において、複数の方向に分岐していることを意
味し、その線路を通過する信号の向きは任意である。即
ち、例えば、1つの幹線を伝搬した信号が複数の分岐線
路の内の選択されたいずれか1つ以上の線路に伝搬する
場合(分岐)と、複数の線路を伝搬してきた信号のう
ち、任意に選択された1つの経路の信号を1つの幹線に
出力する場合(結合)等を意味する。複数の線路のうち
どの線路を幹線とし、分岐線路とするかは任意である。
さらに、一般的には、分岐の場合の幹線(入力線路)は
複数でも良く、結合の場合の幹線(出力線路)は複数で
も良い。又、分岐/結合装置の意味は、上記のようなコ
プレーナ線路の配線構造を全部又は一部に有した装置の
意味である。よって、本発明はこの配線構造だけであっ
ても良く、その配線構造を有した任意の高周波装置であ
っても良い。高周波装置の機能、用途は任意である。
【0010】又、請求項2に記載の高周波分岐/結合装
置は、中心導体及び放射状配線を伴った接地導体は、分
岐点を中心に略回転対称の位置に形成されることを特徴
とする。
【0011】又、請求項3に記載の高周波分岐/結合装
置は、所定点と分岐点間に誘電体膜を有していることを
特徴とする。
【0012】又、請求項4の高周波分岐/結合装置は、
高周波分岐/結合装置は素子を有し、その素子の全部又
は一部は所定点近傍の中心導体上に形成されることを特
徴とする。
【0013】又、請求項5の高周波分岐/結合装置は、
素子は、放射状配線を構成する隣接する2つの配線を2
辺とし、所定点を頂角とする三角形の内部、又は、その
三角形の頂角の対辺に近接して形成されることを特徴と
する。又、請求項6の高周波分岐/結合装置は、中心導
体の分岐点から信号波長の約1/4長の位置において、
接地導体と接続されたスイッチング素子が形成されてい
ることを特徴とする。
【0014】
【作用および効果】請求項1に記載の高周波分岐/結合
装置によれば、複数の接地導体は所定点を起点として放
射状配線で接続されている。そして、その所定点は経路
の分岐点と上下に重なり合って形成されている。この構
成によれば、放射状配線の所定点が電位の基準点とな
り、各接地導体までの電気的距離をほぼ等しくできるた
め、各接地導体はより厳密に等電位化される。よって、
各中心導体から接地導体への電界は中心導体に対する対
称性がより確保される。従って、コプレーナ線路の伝送
モードに乱れを生じさせない。よって、例えばこの高周
波分岐/結合装置を1入力多数分岐装置、又は多入力1
結合装置としても、入力された高周波信号は伝送モード
の不均一によって伝達率が低下されることはない。
【0015】又、放射状配線の起点である所定点は、経
路の分岐点と上下に重なっている。よって、点と点の重
なりであるので中心導体と接地導体間の容量は最小化さ
れる。従って、その容量による高周波信号の反射量が低
減される。この両者の損失回避により、更に伝達効率の
高い高周波分岐/結合装置となる。又、上記所定点は上
記経路の分岐点と上下に重なり合って形成されている。
換言すれば、分岐点以外の中心導体は接地導体及び放射
状配線と重なりを持たない。従って、より分岐点近傍に
他の様々な素子を、その中心導体上又は中心導体下に或
いは中心導体と放射状配線の間に形成することができ
る。よって、利便性の高い高周波分岐/結合装置とな
る。尚、上記点は位置を示す幾何学的な点ではなく、線
幅の2乗のオーダーの面積を有する交差点を意味する。
又、上記上下の重なりは、所定点と分岐点の上下関係を
規定するものではない。所定点は、分岐点の上部にあっ
ても良いし、下部にあってもよい。更に、分岐/結合装
置の分岐数は3以上であればいくつでもよい。
【0016】又、請求項2に記載の高周波分岐/結合装
置によれば、中心導体と放射状配線を伴った接地導体
は、分岐点を中心に略回転対称の位置に形成される。略
回転対称であれば、放射状配線の所定点から各接地導体
までの距離は等しく、何れの中心導体についてもその両
側の接地導体及び放射状配線の形状及び配置は同等であ
るので、コプレーナ線路の伝送モードの不均一性は、更
に低減できる。分岐数が4の場合は、元々回転対称の位
置を取りやすいが、例えば3分岐、5分岐等の複数分岐
とした場合も、各中心導体と接地導体を伝搬する高周波
信号の伝搬モードは乱されることはない。このような構
造にすれば、多数分岐する高周波分岐/結合装置が容易
に作製できる。
【0017】又、請求項3に記載の高周波分岐/結合装
置によれば、放射状配線の起点である所定点と上記分岐
点間に誘電体膜を有している。誘電体膜を有しているの
で、等価的にコンデンサが形成される。このコンデンサ
は、例えば線路インピーダンスの補償用に用いることが
できる。又、その誘電体即ち誘電率を選べば線路インピ
ーダンスを調整することができる。よって、例えば使用
する高周波信号の周波数に適応できる利便性の高い高周
波分岐/結合装置となる。
【0018】又、請求項4に記載の高周波分岐/結合装
置によれば、素子の全て又は一部が所定点近傍の中心導
体上に形成されている。この素子は、半導体製造技術等
の微細加工技術で製作される素子である。例えば、抵抗
成分、容量成分、誘導成分、半導体素子、静電力による
マイクロスイッチ等である。例えば、分岐後の経路に直
流バイアスによりインピーダンスの変化するスイッチン
グ素子を接続してスイッチを構成する場合、他の経路の
スイッチング素子に印加された直流バイアスの漏洩を阻
止するために、素子としてDCカット容量が中心導体に
直列に挿入される。この時、反射整合を最適化するため
には、分岐点からDCカット容量までの距離が小さい方
が有利である。本請求項の発明では、所定点と経路の分
岐点は上下に離間距離をもって形成されている。よっ
て、所定点近傍の中心導体上に上記素子の全部又は一部
を形成すれば、分岐点に最も近く素子を形成することが
できる。これにより、素子による反射量を最小とするこ
とができる。
【0019】又、請求項5に記載の高周波分岐/結合装
置によれば、素子は、放射状配線を構成する隣接する2
つの配線を2辺とし、所定点を頂角とする三角形の内
部、又は、その三角形の頂角の対辺に近接して形成され
る。従来の高周波分岐/結合装置では、分岐点を中心に
各接地導体を最短距離で環状に結ぶ方法が一般的であ
る。この場合、製造スペースの制約により素子はこの環
状配線の外側に形成される。本請求項では、放射状配線
を構成する隣接する2つの配線を2辺とし、所定点を頂
角とする三角形の内部、又は、その三角形の頂角の対辺
の近傍に素子が配設されていることから、従来例の配置
位置に比べて分岐点に近い位置に素子は配設されること
になる。よって、請求項4と同様な効果を奏する。
【0020】又、請求項6の発明によれば、中心導体の
分岐点から信号波長の約1/4長の位置において、接地
導体と接続されたスイッチング素子が形成されている。
よって、そのスイッチング素子に印加するDCバイアス
によりスイッチング素子を導通状態と非導通状態とで切
替れば高周波スイッチ装置が形成できる。例えば、全て
のスイッチング素子をオンして、その位置で配線を接地
すれば、分岐点位置から下流側を見たインピーダンスは
ほぼ無限大となる。この状態で、何れか1つのスイッチ
ング素子を非導通状態とし、他を導通状態とすれば、入
力された信号は非導通状態のスイッチング素子が接続さ
れた分岐路に伝搬する。従って、本発明の高周波分岐装
置を高周波スイッチ装置に適用すれば、従来より挿入損
失の少ない高周波スイッチ装置が実現できる。尚、スイ
ッチング素子は、PINダイオード、FET、PNダイ
オード、その他のトランジスタ等である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。尚、本発明は下記実施例に
限定されるものではない。 (第1実施例)図1に本発明の第1実施例を示す。本実
施例は、請求項1及び請求項2の応用例であり、コプレ
ーナ型の高周波4分岐装置である。図1(a)にその俯
瞰図、図1(b)にその上面図、図1(c)に断面図を
示す。本発明の高周波分岐/結合装置は、GaAs基板
45、その表面の同一平面上に形成された中心導体5
0、中心導体50によって4分割された接地導体60、
そして各接地導体60を接続し、1点の電位基準点を有
する放射状配線61から構成される。そして、中心導体
50とそれに所定の離間距離sを有して形成された接地
導体60とで伝送路が形成される。その離間距離sは約
42μmであり、中心導体50の線幅w0 は約56μ
m、放射状配線61の線幅w1 は約20μmである(図
1(b))。尚、本実施例では1つの線路から入力され
た信号を選択された1つの線路に出力する高周波分岐装
置である。しかし、選択された1つの線路から入力され
た信号を1つの線路へ出力するように信号を伝送の向き
逆にして使用すれば、高周波結合装置となる。同時に分
岐する線路は2つ以上でもよい。又、結合装置におい
て、同時に出力する線路は2つ以上であっても良い。
【0022】図から分かるように中心導体50は分岐点
Xで4分岐され、例えばポート1から入力された高周波
信号はその点で分岐され、それぞれポート2,3,4に
分岐される。そして、4つに分割された接地導体60は
放射状配線61によって、上記分岐点Xの下部で集中さ
れて接続されている。図1(c)にその分岐点Xで示す
中心部の詳細断面図を示す。図は、図1(b)中AA’
間断面である。中心導体50は、図示するように橋架構
造となっており、上記放射状配線61をその起点x’で
跨いでいる。即ち、中心導体50の分岐点Xとこの起点
x’は上下に重ねられて形成されている。本実施例の高
周波分岐装置は、このような構造となっている。
【0023】本実施例における高周波分岐装置では、中
心導体50と接地導体60が共に基板のxy軸に対して
対称的に配置されている。又、接地導体60及び放射状
配線61は均質な金属膜を使用しており,その大きさ及
び線幅は等しく設計されている。従って、放射状配線6
1の起点x’から各接地導体60に至る配線は、形状、
配置、材質等の全てにおいて対称となる。これは、コプ
レーナ型線路の伝送モードに乱れを生じさせないことを
意味する。従って、この構造により先ず伝送モードの不
均一に起因する損失が回避される。
【0024】次に,このコプレーナ線路の分岐部におけ
る反射量を説明する。高周波分岐装置の反射量は、主に
中心導体と放射状配線との対向面積によって決定され
る。本実施例では対向している部分は、分岐点Xと上記
起点x’との対向部分のみである。中心導体50の線幅
0 は約56μm、放射状配線61の線幅w1 は約20
μmである。よって、その対向面積は約3160μm2 とな
り最小に抑えられる。又、対向個数も最小の1個であ
る。これにより、後述する従来の高周波分岐装置より配
線間容量が抑えられ、それによる反射量が最小に抑えら
れる。
【0025】図2に従来の高周波分岐装置と本実施例に
よる高周波分岐装置との反射量の比較を示す。従来の高
周波分岐装置は、図14で示した環状配線26で各接地
導体20を接続した例である。尚、反射量測定では,高
周波分岐装置のポート1とポート3に高周波プローブを
接続し,ポート2とポート4は,ともに分岐点Xより約
400μmの位置で接地させた。測定は、入力ポート1
から76.5GHzの高周波信号を入力させ、入力ポー
ト1での反射量を測定した。本実施例における反射量
は、約−18dBであった。この時、橋架高さHは約5
μmである。一方、図14に示した従来例による反射量
は約−16dBであり、本発明の装置よりも約2dB大
きかった。本発明の分岐部の反射量は、従来素子の反射
量より低減できることがわかる。これにより、本実施例
の高周波分岐装置は従来例のそれより伝送効率が高いこ
とが実証された。尚、公正な比較のため図14に示した
従来のコプレーナ型の高周波分岐装置においても、中心
導体幅、接地導体との離間距離、架橋高さ,環状配線幅
は本実施例のそれらと同等に作製した。この場合の中心
導体と環状配線との対向面積は4480μm2 である。
【0026】(第2実施例)図3に本発明の第2実施例
を示す。図3(a)にその上面図を図3(b)にAA’
断面図を示す。第2実施例の特徴は、第1実施例の高周
波分岐装置を高周波スイッチ装置に応用するため、中心
導体50上に直流カット用で且つインピーダンス調整用
のMIM(Metal-Insulator-Metal )容量55を形成し
たことである。これにより、従来例に比して分岐点と直
流カット容量との距離を小さくできるため、反射量の低
減された高周波スイッチ装置が実現できる。このMIM
容量55は、例えば中心導体50、接地導体60、放射
状配線61の形成過程で同時に作製される。例えば、放
射状配線61の作製時に、同時にMIM容量55の一方
の金属膜56を作製する。次に、プラズマCVD技術等
により所定の誘電体膜57を成膜する。そして、メッキ
法等により中心導体50とそれに直流的に分離されたM
IM容量55の他方の金属膜58を形成する。MIM容
量55は、このように形成される。尚、中心導体幅、接
地導体との離間距離、架橋高さは、第1実施例のそれと
同等である。尚、便宜上、放射状配線を利用した本発明
の高周波分岐装置を放射状配線型分岐装置、従来の環状
配線を用いた高周波分岐装置を環状配線型分岐装置と記
す。
【0027】又、図4にMIM容量55を配置した従来
の環状配線型分岐装置を示す。図4(a)が上面図、図
4(b)がAA’断面図である。尚、同じ部位には同じ
番号が記してある。図3における放射状配線61、図4
における環状配線26からMIM容量55までの距離
は、製造プロセス上適切な長さが必要である。その値は
図3、図4に示す間隔a+b+cであり、約25μmであ
る。本実施例と従来例において共通とする。本実施例で
は,図3に示すようにMIM容量55を分岐点Xから最
小距離La(La=w1 /21/2 +a+b+c=49μm )で配置
できる。一方,図4に示す従来の環状配線型分岐路で
は,その最小距離LbはLb=w 0 /2+S+W1 +a+b+c =
115 μm である。即ちLa<Lbとなる。このように,
本発明によれば,分岐点XよりMIM容量55までの距
離を短縮できる。
【0028】次に、この実施例で使用する高周波スイッ
チ回路を示す。このスイッチ回路は、ポート1から入力
された高周波信号をポート2〜4の何れか1つのポート
に伝搬させる。図5において、それぞれの制御端子8
b、8c、8dからそれぞれのスイッチング素子(例え
ば、PINダイオード)7b、7c,7dにDCバイア
スを供給することにより、それぞれの素子を導通と非導
通状態とで切り替えてスイッチ動作させる。ポート2〜
4の何れか1つのポートに接続されたスイッチング素子
を非導通、残りの2つのポートに接続されたスイッチン
グ素子を導通にすれば、入力された信号は非導通にした
スイッチング素子の接続されたポートに伝搬する。
【0029】ここで、他の経路に印加される直流バイア
スが分岐装置を介して他ポートへ漏洩しないように、直
流カット用のMIM容量55が中心導体に対して直列に
挿入されている。これと共に、この容量は入力反射整合
を最適化するためにも利用できる。この容量が分岐点X
に接近して配設されるほど、即ち、線路9b、9c、9
dの長さが短い程、反射特性が向上する。
【0030】この計算結果を図6に示す。この計算で
は、スイッチング素子7b,7c,7dとして特性が図
7の等価回路で表せられるPINダイオードを使用し、
分岐点XからPINダイオードまでの距離を400μm
(76.5GHzの1/4波長)とした。又、MIM容量
55の大きさは、180fFとした。MIM容量55の
分岐点Xからの距離が短い程、入力反射量は低減できる
ことが分かる。
【0031】放射状配線型分岐装置を用いたスイッチ装
置では、図3おいてLa=49μmであり、76.5G
Hzにおける入力反射量は約−22dBである。一方、環
状配線型分岐装置を用いたスイッチ装置では、Lb=1
19μmであり、入力反射量は約−18dBである。本
発明の方が、反射量を4dB低減できる。更に、両者の
スイッチ装置を作製し測定を実施した。測定結果を図8
に示す。この時、放射状配線型分岐装置を用いたスイッ
チ装置の76.5GHzにおける入力反射量は−25d
B、環状配線型分岐装置を用いたそれが−21dBであ
り、計算と同様、本発明の優位性が確認できた。
【0032】(第3実施例)本実施例は、第1実施例、
第2実施例に用いた高周波4分岐装置は、元々回転対称
となり易い。なぜなら、経路パターンを配置する際、経
路の分岐部や曲折部は、一般に直角でレイアウトするこ
とが多いからである。高周波3分岐装置の場合、図9
(a)の様な配置となることが多い。この時、放射状配
線61の起点より、各接地導体60までの距離が等しく
できるので、各接地導体60は等電位となる。しかし、
分岐点近傍での中心導体50より接地導体60への電界
の向きは中心導体50に対して非対称である。この様子
を図9(b)に示す(放射状配線61は省略してあ
る)。従って、伝送モードの乱れの抑圧は完全ではな
い。
【0033】高周波3分岐装置において、中心導体を回
転対称とした場合を図9(c)に示す。この場合は、中
心導体50より放射状配線61への電界の向きが、中心
導体50に対して対称である。これを図9(d)に示す
(但し、放射状配線61は省略)。回転対称とすること
で、伝送モードの乱れは抑圧できる。
【0034】図9(e)に高周波4分岐装置の中心導体
を回転対称とした場合を示す。今後、電波を利用したレ
ーダにおいては方位分解能の向上、電波を利用した通信
では、セクタ数の増大などスイッチの切り替え数は増加
していく傾向である。よって、本実施例の中心導体の分
岐数を多くして回転対称とする高周波分岐装置は、これ
らの応用に有益である。尚、上記回転対称の概念はn分
岐の高周波分岐/結合装置に拡張することができる。即
ち、中心導体50と接地導体60及び放射状配線61を
n回回転対象とすれば、反射量の低減されたn分岐の高
周波分岐/結合装置が実現できる。
【0035】(変形例)以上、本発明の一実施例を示し
たが、他に様々な変形例が考えられる。例えば、第1実
施例ではGaAs基板45上で、中心導体50が橋架構
造をとり、放射状配線61の放射状配線の起点x’を跨
ぐ様に形成されていたが、この位置関係を逆にしてもよ
い。図10に放射状配線61を橋架構造として、中心導
体50の分岐点Xを跨ぐ例を示す。図10(a)が上面
図、図10(b)がAA’断面図、図10(c)がB
B’断面図である。このような構造としても、伝送特性
は変わらず反射量は低減される。
【0036】又、第2実施例においてはMIM容量55
を分岐点X近傍に形成したが、この構成の他に、図11
(a)、(b)に示すように分岐点X直下に誘電体膜5
9を形成し、上部の中心導体50と下部の放射状配線6
1とで、金属/ 誘電体膜/ 金属の構成のインピーダンス
調整用のMIM容量55を形成してもよい。これによ
り、図11(c)の回路構成が実現可能となる。この容
量の大きさは、中心導体50と放射状配線61間の誘電
体膜59の厚さと誘電率で調整可能であり、例えば伝送
路としての特性インピーダンスを調整することができ、
信号通過時における分岐点におけるインピーダンス整合
を実現することができる。
【0037】又、上記実施例では、基板にGaAs基板
を用いたが,他の半導体基板(InP基板,Si基板)やアル
ミナ基板、ガラス基板等を用いてもよい。上記実施例と
同等の効果を得ることができる。
【0038】又、上記実施例では、伝送線路にコプレー
ナ線路を用いたが,基板裏面に接地導体を有したコプレ
ーナ線路を用いてもよい。又、中心導体及び接地導体が
基板に埋め込まれたコプレーナ線路を用いても良い。
【0039】又、上記実施例では伝送線路において信号
を分岐する場合について説明してきたが,分岐構造を有
する他のバイアス回路やスタブ等の回路にも適用するこ
ともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係わる高周波分岐/結合
装置の構成図。
【図2】本発明の第1実施例に係わる高周波分岐/結合
装置と従来のそれとの特性比較図。
【図3】本発明の第2実施例に係わる高周波分岐/結合
装置の構成図。
【図4】容量素子を配置した従来の高周波分岐/結合装
置の構成図。
【図5】第2実施例に係る高周波分岐/結合装置を用い
た高周波スイッチ装置の回路図。
【図6】第2実施例に係る高周波スイッチの容量位置と
反射特性の関係図。
【図7】第2実施例に係るPINダイオードの等価回路
図。
【図8】第2実施例に係る高周波分岐/結合装置と従来
のそれを高周波スイッチ装置に適用した場合の特性比較
図。
【図9】第3実施例に係る高周波分岐/結合装置の構成
図。
【図10】第1実施例の変形例に係る高周波分岐/結合
装置を示す構成図。
【図11】第2実施例の変形例に係る高周波分岐/結合
装置の断面図。
【図12】従来のコプレーナ線路を利用した高周波分岐
装置の俯瞰図。
【図13】従来のコプレーナ線路を用いた高周波分岐装
置の1例を示す構成図。
【図14】従来のコプレーナ線路を用いた高周波分岐装
置の1例を示す構成図。
【図15】従来のコプレーナ線路を用いた高周波分岐装
置の1例を示す上面図。
【図16】高周波分岐/結合装置を用いた応用回路図。
【符号の説明】
1,2,3,4 ポート 45 GaAs基板 50 中心導体 55 MIM容量 56,58 金属膜 57,59 誘電体膜 59 金属膜 60 接地導体 61 放射状配線 X 分岐点 x’ 起点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−117402(JP,A) 特開 平10−209721(JP,A) 特開 平6−318829(JP,A) 特開 昭64−84902(JP,A) 実開 昭60−32806(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 5/12 H01P 1/15 H01P 3/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された中心導体と該中心導体
    の両側に所定の離間距離を有して形成された複数の接地
    導体からなるコプレーナ線路であって、少なくとも1つ
    以上の経路から入力された高周波信号を1つ以上の経路
    に分岐/結合する高周波分岐/結合装置において、 前記複数の接地導体は所定点を起点とした放射状に拡が
    った放射状配線で接続され、前記所定点は前記経路の分
    岐点と上下に重なり合うことを特徴とする高周波分岐/
    結合装置。
  2. 【請求項2】前記中心導体および前記放射状配線を伴っ
    た前記接地導体は、前記分岐点を中心に略回転対称の位
    置に形成されることを特徴とする請求項1に記載の高周
    波分岐/結合装置。
  3. 【請求項3】前記所定点と前記分岐点間には、誘電体膜
    が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の高周波分岐/結合装置。
  4. 【請求項4】前記高周波分岐/結合装置は素子を有し、
    該素子の全部又は1部は、前記所定点近傍の中心導体上
    に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    何れか1項に記載の高周波分岐/結合装置。
  5. 【請求項5】前記素子は、前記放射状配線を構成する隣
    接する2つの配線を2辺とし、前記所定点を頂角とする
    三角形の内部、又は、その三角形の頂角の対辺に近接し
    て形成されることを特徴とする請求項4に記載の高周波
    分岐/結合装置。
  6. 【請求項6】前記中心導体の分岐点から信号波長の約1
    /4長の位置において、前記接地導体と接続されたスイ
    ッチング素子が形成されていることを特徴とする請求項
    1乃至請求項5のいずれか1項に記載の高周波分岐/結
    合装置。
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