JP3453650B2 - 射出成形機における樹脂圧力の制御方法 - Google Patents

射出成形機における樹脂圧力の制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、加圧手段で加圧さ
れる加熱筒内の樹脂圧力をフィードバック制御する射出
成形機における樹脂圧力の制御方法に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】射出成形機においては、加圧手段で加圧
される加熱筒の射出樹脂の圧力を圧力センサで検出し、
そのフィードバック信号に基づいて加圧手段の加圧圧力
を制御装置で制御するようにしている。上記のフィード
バック信号ラインには、何等かの原因で外来ノイズが発
生してフィードバック信号を微小ながら変動させること
が多い。この結果、フィードバック信号の検出精度が低
下し、圧力制御に悪影響が出る。この点は、高応答の制
御ほど外来ノイズに敏感に感応するため被害は大きい。 【0003】ところで、信号レベルが高い高圧制御中
は、その信号レベルに対する外来ノイズによるフィード
バック信号の変動幅が小さいため、制御安定性に余り大
きい影響を与えることはない。しかし、信号レベルが低
い制御においては、その信号レベルに対するフィードバ
ック信号の変動幅の割合が大きくなるため、制御安定性
が大きく損なわれる。 【0004】そこで、従来においては、ハード部品であ
るフィルタを設けてフィードバック信号のレベルを安定
させ、外来ノイズによる弊害を防止している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、ハードフィ
ルタは高圧制御部に悪影響を及ぼして制御安定性を損な
う上、構造が複雑になるという問題点がある。 【0006】本発明の課題は、上記した従来の問題点を
解消することであり、高圧制御に影響を及ぼすことな
く、低圧制御の外来ノイズの弊害を低減することができ
る射出成形機における樹脂圧力の制御方法を提供するこ
とを目的とする。本発明の他の目的は、構造の複雑化を
避けることができる射出成形機における樹脂圧力の制御
方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の少なくとも1つの
目的を達成するために、請求項1記載の発明は、加熱筒
の樹脂を加圧する加圧手段の加圧圧力を、加熱筒の樹脂
圧力を検出する樹脂圧センサのフィードバック信号に基
づいて制御装置で制御する射出成形機において、上記加
圧手段の加圧圧力が予め定められた一定レベル以下であ
る場合に、上記樹脂圧センサの所定時間のフィードバッ
ク信号をソフトウェアによる平均化フィルタで平均化処
理し、その処理結果に基づいて加圧手段の加圧圧力を制
御する構成とした。 【0008】上記の手段では、ソフトウェアによる平均
化フィルタにより、加圧手段の加圧圧力が予め定められ
た一定レベル以下である場合に、樹脂圧センサの所定時
間のフィードバック信号を平均化処理するので、外来ノ
イズが発生しても実質的に除去されることとなり、樹脂
の圧力制御に対する外来ノイズの影響が緩和されて制御
の安定性が向上する。平均化フィルタは、一定レベルよ
り高い高圧制御には全く関与しないので、高圧制御に影
響が出ることはない。また、平均化フィルタはソウトウ
ェアで構成され、ハード部品ではないので、構造が複雑
化することがない。 【0009】 【発明の実施の形態】発明の実施の形態を添付図面を参
照して説明する。図1において符号Sは射出成形機(射
出ユニット)である。この射出成形機Sは、可塑化装置
を構成する可塑化用加熱筒1及びスクリュ2と、充填装
置を構成する充填用加熱筒3及び充填プランジャ4と、
溶融樹脂加圧減圧装置を構成する加減圧用加熱筒5及び
押込みプランジャ6とを備え、ホッパ(図示せず)から
可塑化用加熱筒1に供給されてスクリュ2の回転で可塑
化された溶融樹脂を、加減圧用加熱筒5の押込みプラン
ジャ6で適時に圧力制御して充填用加熱筒3の充填プラ
ンジャ4の作動によりノズル3aから金型の成形キャビ
ティに射出することができるようになっている。なお、
この射出成形機Sは本発明の出願人が開発したものであ
る(特願平9−330704号)。 【0010】スクリュ2はモータ8で回転させられ、ま
た両プランジャ4,6は油圧シリンダ9,10によって
それぞれ進退移動させられるようになっている。油圧シ
リンダ10は加圧手段を構成しており、その油圧回路に
電磁油圧サーボ弁11が設けられている。サーボ弁11
は、制御装置(CPU)12にD/A変換ユニット14
とサーボ弁ドライバ15を介して接続されている。ま
た、充填用加熱筒3の樹脂溜り部3bには樹脂圧センサ
17が設けられ、制御装置12にA/D変換ユニット1
8を介して接続されている。 【0011】制御装置12は、サーボ弁11を作動させ
る制御プログラム12aと、油圧シリンダ10の加圧圧
力が予め定められた一定レベル以下である場合に、樹脂
圧センサ17の所定時間のフィードバック信号を平均化
処理するソフトウェアによる平均化フィルタ12bとを
有し、樹脂圧センサ17のフィードバック信号に基づい
て油圧シリンダ10の加圧圧力をサーボ弁11を介して
制御するようになっている。 【0012】ここで、サーボ弁ドライバ15の制御電圧
と、樹脂圧センサ17の検出圧力及び出力電圧と、平均
化フィルタ12bがフィードバック信号の平均化処理を
開始する油圧シリンダ10の加圧圧力(樹脂溜り部3b
の樹脂圧力)及び平均化する時間の一例を具体的に説明
すると、次のとおりである。 サーボ弁ドライバ15の制御電圧;0〜10V 樹脂圧センサ17の検出圧力;0〜400.0MPa 樹脂圧センサ17の出力電圧;0〜10V 平均化フィルタ12bが作用する油圧シリンダ10の加
圧圧力;4.0MPa 平均化の時間(Δt);5msec 【0013】次に、本発明の射出成形機における樹脂圧
力の制御方法を図2に基づいて説明する。射出工程にお
いて、ノズル3aから金型の成形キャビティに射出され
る溶融樹脂の圧力は、制御プログラム12aにしたがい
サーボ弁11で油圧シリンダ10の加圧圧力を調整して
制御する。この際、樹脂圧センサ17は、油圧シリンダ
10による押込みプランジャ6の加圧圧力、すなわち、
樹脂溜り部3bの樹脂圧力を検出して検出信号(A/D
値)を出力する(ステップS1)。 【0014】次のステップS2では、樹脂圧センサ17
の検出信号(フィードバック信号)と、予め定められた
一定レベル(4.0MPa)との大小関係が判断され、
樹脂圧センサ17のA/D値が4.0MPa以下である
ときは(YES)、平均化フィルタ12bが作用して樹
脂圧センサ17のフィードバック信号をΔt秒(5mse
c)ごとに平均化処理する(ステップS3)。 【0015】このため、仮に樹脂圧センサ17の検出圧
力が4.0MPaで、出力電圧が外来ノイズの影響を受
け易い低電圧(この時の電圧は、0.1V=10V×4
/400)で、しかも外来ノイズが発生した場合でも、
平均化処理によって外来ノイズの影響が緩和される。平
均化処理されたフィードバック信号は制御プログラム1
2aに与えられ(ステップS4)、制御装置12は、そ
のフィードバック信号に基づいて油圧シリンダ10の加
圧圧力を制御する。 【0016】ステップS2で樹脂圧センサ17のフィー
ドバック信号が4.0MPaよりも大きいと判断された
場合は(No)ステップS4に移行し、樹脂圧センサ1
7のフィードバック信号は、ソフトウェアによる平均化
フィルタ12bで平均化処理されることなく、制御プロ
グラム12aに入力される。したがって、4.0MPa
より大きい高圧制御に、ソフトウェアによる平均化フィ
ルタ12bが影響を及ぼすことはない。 【0017】平均化フィルタ12bによる上記の平均化
処理は、Δt時間間隔での最も単純な平均化である。Δ
tを5msecとした理由は、平均化の時間間隔が3msecと
4msecでは短すぎて十分な平均化効果が得られず、5〜
25msecでは同じように良好な平均化効果が得られた実
験結果に基づく。 【0018】平均化処理方法は、上記の平均化に限らず
任意であり、例えば、複数の時間間隔を順次ラップさせ
て各時間間隔で平均化されたフィードバック信号を更に
平均化するなどの方法を採用することもできる。いずれ
にしても、平均化処理の一定レベルと平均化処理方法
は、外来ノイズの大きさと発生間隔等を考慮して決定す
る。 【0019】本発明は、3本の加熱筒1,3,5を持つ
図の射出成形機Sに限らず、周知のプリプラタイプの射
出成形機やインラインスクリュタイプの射出成形機等の
圧力制御にも適用することができる。プリプラタイプの
射出成形機の場合は、図の充填プランジャ4を駆動する
油圧シリンダ9が加圧手段となり、その加圧圧力を制御
装置12で制御することになる。またインラインスクリ
ュタイプの射出成形機の場合は、スクリュ2を進退移動
させる加圧手段(図示せず)の加圧圧力を制御すること
になる。図の射出成形機は油圧式となっているが、電動
式の射出成形機にも本発明を適用することができる。 【0020】また、図の樹脂圧センサ17は、加熱筒3
の樹脂溜り部3bに設けられ、射出樹脂の圧力を直接検
出するようになっているが、樹脂圧センサを加熱筒の樹
脂圧力を間接的に検出するロードセル等とすることもで
きる。 【0021】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高圧制御に影響を及ぼすことなく、低圧制御の外来ノイ
ズの弊害を軽減することができる。また、ハード部品の
追加を必要としないので、構造が複雑化することがな
い。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に係る射出成形機における樹脂圧力の
制御方法を実施する射出成形機の一例を示す図である。 【図2】 本発明に係る射出成形機における樹脂圧力の
制御方法の実施の形態を示す流れ図である。 【符号の説明】 S 射出成形機 3 充填用加熱筒 3a ノズル 5 加減圧用加熱筒 10 油圧シリンダ(加圧手段) 11 サーボ弁 12 制御装置(CPU) 12b ソフトウェ
アによる平均化フィルタ 17 樹脂圧センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 則夫 新潟県新潟市岡山1300番地 ニイガタ・ テクニカ株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−237900(JP,A) 特開 平11−156902(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/46 B29C 45/77

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 加熱筒の樹脂を加圧する加圧手段の加圧
    圧力を、加熱筒の樹脂圧力を検出する樹脂圧センサのフ
    ィードバック信号に基づいて制御装置で制御する射出成
    形機において、 上記加圧手段の加圧圧力が予め定められた一定レベル以
    下である場合に、上記樹脂圧センサの所定時間のフィー
    ドバック信号をソフトウェアによる平均化フィルタで平
    均化処理し、その処理結果に基づいて加圧手段の加圧圧
    力を制御することを特徴とする射出成形機における樹脂
    圧力の制御方法。
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