JP3453130B2 - 雑音源判別装置及び方法 - Google Patents

雑音源判別装置及び方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信機器における
雑音故障の雑音源の判別に用いる雑音源判別装置及び方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インターネットの普及に伴い、家
庭内に高性能な電子機器が増加している。これらの電子
機器の高性能化による利便性の向上は著しく、高性能に
なればなるほど外来ノイズによる影響を受けやすくなる
傾向がある。これと平行し、近年の省エネルギー化の進
展により、インバータを組み込んだ家庭内電化製品が急
激に普及しつつあるが、これらインバータ内蔵製品由来
の外来ノイズによる可聴雑音の発生(いわゆる雑音故
障)が問題とされるようになってきている。
【0003】(1)従来より可聴雑音源の判別は、専門
家が故障の現場で直に可聴雑音を聞き、個人的な経験か
ら可聴雑音源(インバータ内蔵製品等)を推定すること
によって行われている。また、(2)システム内の故障
等に伴う雑音源からの音源データを周波数スペクトラム
データに変換し、システムの正常時における音源データ
の周波数スペクトラムデータ、あるいは、異常時におけ
る音源データの周波数スペクトラムデータのうち少なく
とも一方を記憶し、雑音源からの音源データの周波数ス
ペクトラムデータとシステムの正常時、あるいは、異常
時における周波数スペクトラムデータとの差異を算出し
雑音源を判定する方法が提案されている(特開平6−341
892号公報 参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の
(1)による雑音源の判別には、専門家の雑音による手
探りの調査が不可欠であり、システマティックな技術は
存在せず、不便であり、従来の(2)による雑音源の判
定においては、周波数スペクトラムがきわめてフラット
な雑音源に対しては、パワースペクトラムにおける周波
数軸上でのパワーの分布構造によって特徴づけようとす
る手法である従来の周波数解析によっては、特徴づけが
困難であった(図4(d),(e)参照)。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明による雑音源判別装置は、雑音源の特定にホ
ルマント解析を用いることを主要な特徴とする。すなわ
ち、本発明は、雑音源を判別する雑音源判別装置におい
て、可聴雑音を含む雑音源信号を受信する雑音受信部
と、雑音受信部からの信号をホルマント解析するホルマ
ント解析部と、雑音源のホルマント周波数分布統計情報
を記録したホルマント周波数分布統計データベース部
と、ホルマント解析部から出力されるホルマント情報と
ホルマント周波数統計データベース部のホルマント周波
数分布統計情報とのマッチングを行うデータマッチング
部と、を有することを特徴とする。本発明は上記の構成
を備えることにより、専門家でなくとも高い精度で雑音
源を判別することが可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1は、本発明の実
施例1である雑音源判別装置の構成図であって、1は可
聴雑音を含む雑音源信号を受信する雑音受信部、2はA
/D変換部、3はホルマント解析部、4はホルマント周
波数分布統計計算部、5Aは雑音源ホルマント周波数分
布統計データベース部、6はデータマッチング部、7は
表示部である。図1の5Aにおいて、例えば、ノイズ源
Aはインバータ類、Bはテレビ電波、Cはデジタル信号
線、・・・を示し、f1(Hz),f2(Hz),・・・は各ノイズ源
のホルマント周波数、w1(Hz),w2(Hz),・・・はその帯域
幅を示す。
【0007】マイクによる電気信号もしくはプローブに
よる電圧変化として雑音受信部1で受信した雑音信号
(図4(a))を、A/D変換部2において、サンプリ
ング周波数を例えば150kHz以下の妨害波を伴う雑音
源については4kHz〜400kHzとしてデジタル化し、ホ
ルマント解析部3において解析次数を2〜16としてホ
ルマント解析を行う。ホルマント解析は、例えば、デジ
タル化された雑音源信号に時間窓がかけられフレームに
切り出された後、LPC(Linear Predictive Cordin
g)分析によって得られる予測係数anを用いて与えられる
【0008】
【数1】 をzについて解き、その根としてホルマント周波数を検
出する。ここでNは解析次数である。LPC分析はもっ
ぱら音声認識分野で用いられているため、一般には可聴
周波数帯域のみに適用可能であると考えられている。し
かし、LPC分析は、一般的な時系列解析の手法を原理
として形成されている分析手法であることから、音声認
識に限らず、任意の周波数帯域の時系列に適用すること
ができる。上記予測係数anを用い、ホルマントと同時に
スペクトラム包絡を求めることもできる。スペクトラム
包絡は、従来の周波数解析に対応する(図4(d),
(e))。ホルマント解析により、解析次数に応じて1
〜8個のホルマント周波数の時系列、及び各ホルマント
周波数と組をなすホルマント帯域幅の時系列としてホル
マント情報(図4(b))が抽出される。
【0009】ホルマント周波数分布統計計算部4におい
て、ホルマント解析部3の出力であるホルマント周波数
の時系列、及び各ホルマント周波数と組をなすホルマン
ト帯域幅の時系列よりサンプリング周波数に応じて閾値
よりホルマント帯域幅の狭いホルマント周波数をピック
アップし、ホルマントの周波数分布の時間平均を計算
し、計算結果としてホルマント周波数分布統計(図4
(c))を出力する。図4(c)を参照すると雑音源は
4つの特徴周波数によって構成されていることが明らか
である。ここで、閾値を設けずに全てのホルマント周波
数をピックアップしてもよい。閾値は、例えば、Sをサ
ンプリング周波数、Nを解析次数、aを0<a<1の範
囲の値をとるパラメータとして、aS/Nとして与える
方法があげられる。データマッチング部6において、ホ
ルマント周波数分布統計計算部4の出力であるホルマン
ト周波数分布統計のピークピッキングを行い、ピーク周
波数を抽出し、これと雑音源ホルマント周波数分布統計
データベース部5Aに記録された各ノイズ源に対応する
ピーク周波数データとの比較を行い、マッチした雑音源
を表示部7に表示する。
【0010】ピークピッキングにおいては、閾値(例え
ば、最も強度の大きいピークの大きさの40%)を与
え、閾値よりも大きなピークのみをピックアップしても
よい。また、ピークピッキングによって得られた周波数
の数が、ホルマント周波数分布統計データベース部5A
で規定している周波数の数よりも少ない場合の処理例と
して、足りない分を、周波数の高い側に0Hzのホルマン
トがあるものとして(すなわち、空欄として)処理する
という方法がある。データのマッチングの方法として
は、例えば、g(x)を|x|>1に対して“0”、|x|<1に
対して“1”をとる関数、F_iをマッチングを行おうと
するi番目のピーク周波数、f_iとw_iとを雑音源ホルマ
ント周波数分布統計データベース部5Aに記録されたピ
ーク周波数データの、それぞれ周波数中心値と周波数幅
とし、Nを解析次数とし、b>0なるパラメータbを用
いて、1−g(2(b+Σg((f_i−F_i)/w_i))/N)
の値が1となるときにデータがマッチしたとみなす方法
がある。
【0011】(実施例2)図2は、本発明の実施例2で
ある雑音源判別装置の構成図であって、1は雑音受信
部、2はA/D変換部、3はホルマント解析部、5Bは
最低ピーク周波数と最高ピーク周波数を用いた雑音源ホ
ルマント周波数分布統計データベース部、6はデータマ
ッチング部、7は表示部、8はホルマントデータ記録部
である。マイクによる電気信号もしくはプローブによる
電圧変化として雑音受信部1で受信した雑音を、A/D
変換部2において、サンプリング周波数を例えば150
kHz以下の妨害波を伴う雑音源については4kHz〜400
kHzとしてデジタル化し、ホルマント解析部3において
解析次数を2〜16としてホルマント解析を行い、解析
次数に応じて1〜8個のホルマント周波数の時系列、及
び各ホルマント周波数と組をなすホルマント帯域幅の時
系列としてホルマント情報を抽出する。
【0012】データマッチング部6において、ホルマン
ト解析部3の出力であるホルマント周波数時系列より、
各時刻ごとに最も周波数の高いホルマント周波数max(F)
と最も低いホルマント周波数min(F)とを抽出し、雑音源
ホルマント周波数分布統計データベース部5Bに記録さ
れたホルマント周波数データへのマッピングを行い、各
時刻において、雑音源ホルマント周波数分布統計データ
ベース部5Bに記録された各ノイズ源に対応するいずれ
かの円の中にデータがマッピングされる場合、その円に
対応する雑音源を表示部7に表示する。また、ホルマン
トデータ記録部8において、ホルマント解析部3の出力
であるホルマント周波数の時系列を記録する。この記録
データを別に解析し、ホルマント周波数分布統計データ
ベース部5Bのアップデートに用いることができる。
【0013】(実施例3)図3は、本発明の実施例3で
ある雑音源判別装置の構成図であって、1は雑音受信
部、2はA/D変換部、3はホルマント解析部、4はホ
ルマント周波数分布統計計算部、7は表示部、9はデー
タ通信部、10は通信網、5Cはホルマント周波数分布
統計データベース部、6はデータマッチング部、12は
ピッチ情報検出部である。マイクによる電気信号もしく
はプローブによる電圧変化として雑音受信部1で受信し
た雑音を、A/D変換部2において、サンプリング周波
数を例えば、150kHz以下の妨害波を伴う雑音源につ
いては4kHz〜400kHzとしてデジタル化、ホルマント
解析部3において解析次数を2〜16としてホルマント
解析を行い、解析次数に応じて1〜8個のホルマント周
波数の時系列、及び各ホルマント周波数と組をなすホル
マント帯域幅の時系列としてホルマント情報を抽出す
る。
【0014】ホルマント周波数分布統計計算部4におい
て、ホルマント解析部3の出力であるホルマント周波数
の時系列よりホルマントの周波数分布の時間平均を計算
し、計算結果としてホルマント周波数分布統計を出力す
る。データ通信部9から通信網10を介してデータマッ
チング部6にホルマント周波数分布統計計算部4の出力
であるホルマント周波数分布統計を送信する。データマ
ッチング部6は、ホルマント周波数分布統計データベー
ス部5Cに記録された各ノイズ源のホルマント情報との
比較を行い、マッチした雑音源を通信網10を介してデ
ータ通信部9に送信し、データ通信部9はホルマント周
波数分布統計データベース部5Cから受信した雑音源を
表示部7に表示する。このように構成することによりホ
ルマント周波数分布統計データベース部5Cとデータマ
ッチング部6を共用することができる。また、ピッチ情
報検出部12において、A/D変換部2の出力よりピッ
チ情報を検出し、ピッチ情報の有無(有声/無声あるい
は雑音)を表示部7に表示する。ピッチ情報が検出され
た場合、漏話やラジオ等からの混信と判別することがで
きる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば雑
音源を高い精度で機械判別を可能とする雑音源判別装置
が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の雑音源判別装置の構成図。
【図2】本発明の実施例2の雑音源判別装置の構成図。
【図3】本発明の実施例3の雑音源判別装置の構成図。
【図4】本発明の実施例の雑音源判別装置の動作を説明
するための波形図。
【符号の説明】
1・・・雑音受信部、2・・・A/D変換部、3・・・
ホルマント解析部、4・・・ホルマント周波数分布統計
計算部、5A,5C・・・雑音源ホルマント周波数分布
統計データベース部、5B・・・最高ピーク周波数と最
低ピーク周波数を用いた雑音源ホルマント周波数分布統
計データベース部、6・・・データマッチング部、7・
・・表示部、12・・・ピッチ情報検出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−150000(JP,A) 特開 昭58−152300(JP,A) 特開 平2−22520(JP,A) 特開 平2−275999(JP,A) 特開 平4−230796(JP,A) 特開 平6−208395(JP,A) 特開 平6−274196(JP,A) 特開 平6−341892(JP,A) 特開 平10−107661(JP,A) 特開 平10−253440(JP,A) 特開2001−100799(JP,A) 特開2002−153434(JP,A) 特開2002−244691(JP,A) 特表 平8−506434(JP,A) 特表 平9−505701(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01H 3/00 - 3/14 G01H 17/00 G10L 11/00 - 11/06 G10L 15/00 - 15/28

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】雑音源を判別する雑音源判別装置におい
    て、 可聴雑音を含む雑音源信号を受信する雑音受信部と、雑
    音受信部からの信号をホルマント解析するホルマント解
    析部と、雑音源のホルマント周波数分布統計情報を記録
    したホルマント周波数分布統計データベース部と、ホル
    マント解析部から出力されるホルマント情報とホルマン
    ト周波数統計データベース部のホルマント周波数分布統
    計情報とのマッチングを行うデータマッチング部と、を
    有することを特徴とする雑音源判別装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の雑音源判別装置におい
    て、 ホルマント解析部で解析したホルマントデータを記録す
    るホルマントデータ記録部を有することを特徴とする雑
    音源判別装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の雑音源判別装置
    において、 可聴雑音を含む雑音源信号のピッチ情報を検出するピッ
    チ情報検出部を有することを特徴とする雑音源判別装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか1項に記載の雑
    音源判別装置において、 ホルマント解析部からのホルマント周波数の時系列より
    ホルマントの周波数分布の時間平均を計算し、ホルマン
    ト周波数分布統計をデータマッチング部に出力するホル
    マント周波数分布統計計算部を有することを特徴とする
    雑音源判別装置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1項に記載の雑
    音源判別装置において、 ホルマント周波数分布統計データベース部とデータマッ
    チング部は通信網を介して接続することを特徴とする雑
    音源判別装置。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれか1項に記載の雑
    音源判別装置において、 データマッチング部は、ホルマント解析情報中の予め設
    定された閾値よりも強度の大きいホルマント周波数のう
    ち、最も周波数の低いホルマント周波数と最も周波数の
    高いホルマント周波数との組を用いてデータマッチング
    を行うことを特徴とする雑音源判別装置。
  7. 【請求項7】請求項1乃至5のいずれか1項に記載の雑
    音源判別装置において、 データマッチング部は、ホルマント解析情報中の最も強
    度の大きいホルマント周波数から順に数個のホルマント
    周波数を抽出し、それらのホルマント周波数の組を用い
    てデータマッチングを行うことを特徴とする雑音源判別
    装置。
  8. 【請求項8】雑音源を判別する雑音源判別方法におい
    て、 可聴雑音を含む雑音源信号を受信してホルマント解析
    し、解析したホルマント情報と予め記録した雑音源のホ
    ルマント周波数分布統計情報とのデータマッチングを行
    い、雑音源の判別を行うことを特徴とする雑音源判別方
    法。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の雑音源判別方法におい
    て、 データマッチングは、ホルマント解析したホルマント周
    波数の時系列よりホルマントの周波数分布の時間平均を
    計算し、ホルマント周波数分布統計を用いて行うことを
    特徴とする雑音源判別方法。
  10. 【請求項10】請求項8に記載の雑音源判別方法におい
    て、 データマッチングは、ホルマント解析情報中の予め設定
    された閾値よりも強度の大きいホルマント周波数のう
    ち、最も周波数の低いホルマント周波数と最も周波数の
    高いホルマント周波数との組を用いて行うことを特徴と
    する雑音源判別方法。
  11. 【請求項11】請求項8に記載の雑音源判別方法におい
    て、 データマッチングは、ホルマント解析情報中の最も強度
    の大きいホルマント周波数から順に数個のホルマント周
    波数を抽出し、それらのホルマント周波数の組を用いて
    行うことを特徴とする雑音源判別方法。
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