JP2557201B2 - 回転装置の検査装置及び回転装置の検査方法 - Google Patents

回転装置の検査装置及び回転装置の検査方法

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JP2557201B2
JP2557201B2 JP6214054A JP21405494A JP2557201B2 JP 2557201 B2 JP2557201 B2 JP 2557201B2 JP 6214054 A JP6214054 A JP 6214054A JP 21405494 A JP21405494 A JP 21405494A JP 2557201 B2 JP2557201 B2 JP 2557201B2
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    • G01MEASURING; TESTING
    • G01HMEASUREMENT OF MECHANICAL VIBRATIONS OR ULTRASONIC, SONIC OR INFRASONIC WAVES
    • G01H3/00Measuring characteristics of vibrations by using a detector in a fluid

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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転装置の検査装置及
び回転装置の検査方法に係り、より詳しくは、ディジタ
ル変換された回転装置の駆動音の振幅の時系列データを
所定時間間隔の複数のフレームで分割して得られるフレ
ーム毎の時系列データを周波数変換して得られるパワー
スペクトルに基づいて回転装置を分類して検査する回転
装置の検査装置及び回転装置の検査方法、該パワースペ
クトルに基づいて回転装置の駆動音に所定の純音が存在
するか否か検出する回転装置の検査装置及び回転装置の
検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び解決しようとする課題】従来の回転装
置、例えば、ハードディスク装置の検査装置では、ハー
ドディスク装置を駆動した際発生する駆動音のレベルの
みを検出し、検出された駆動音のレベルがある閥値より
大きいか否かにより、ハードディスク装置を良品、不良
品とに分類している。
【0003】しかしながら、近年のハードディスク装置
の開発の進歩に伴い、駆動音レベルが低く抑えられ、以
前は駆動音に埋もれていた純音、うなり等が目立つよう
になった。このように、駆動音レベルが低く抑えらて、
駆動音に純音、うなり等が目立つようになると、これが
聞きざわりとなりユーザに不快感を与えることになる。
【0004】よって、純音、うなり等によりユーザに不
快感を与えるか否かによってハードディスク装置を良
品、不良品とに分類するためには、ハードディスク装置
の駆動音の種類に応じてハードディスク装置を分類する
必要があるが、前述したハードディスク装置の検査装置
では、駆動音のレベルのみを検出しているので、駆動音
の種類に応じてハードディスク装置を分類することがで
きない。
【0005】ところで、例えば、ユーザに不快感を与え
る純音が駆動音に存在するか否かによりハードディスク
装置を分類するためには、高価な周波数分析器を使用し
てハードディスク装置の駆動音のスペクトルを求め、人
がそのスペクトルから純音の存在する周波数を調べて、
その周波数成分についてユーザに不快感を与える駆動音
になるかどうかを判断しなければならない。よって、多
大な労力と時間が必要となり、大量生産されるハードデ
ィスク装置を短時間で分類することができない。
【0006】本発明は、上記事実に鑑み成されたもの
で、回転装置をその駆動音の種類毎に分類することの可
能な回転装置の検査装置及び回転装置の検査方法、大量
生産される回転装置の駆動音に所定の純音が存在するか
を短時間で検出することの可能な回転装置の検査装置及
び回転装置の検査方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため請求
項1記載の発明は、回転装置の駆動音の振幅の時系列デ
ータを検出する検出手段と、前記検出された時系列デー
タをディジタルデータに変換するディジタル変換手段
と、前記ディジタルデータに変換された時系列データを
所定時間間隔の複数のフレームで分割して得られるフレ
ーム毎の時系列データを周波数変換によりパワースペク
トルに変換するパワースペクトル変換手段と、前記各々
のフレーム毎に駆動音の周期の開始点の候補となる候補
点を決定し、複数の前記フレーム毎の前記候補点から前
記周期の開始点を特定することによって前記駆動音の周
期を特定する周期特定手段と、前記特定された周期及び
前記変換されたパワースペクトルに基づく該回転装置の
駆動音の1周期分のパワースペクトルに基づいて該回転
装置を分類する回転装置分類手段と、を備えている。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記候補点を自己相関によって特定するよ
うにしている。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記周期の開始点を自己相関によって特定
するようにしている。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記周期特定手段は、先頭フレームと該先
頭フレーム以外の他のフレームの各々とにおいて自己相
関の最も高い最高点を駆動音の1周期を定める候補点と
して選択し、前記先頭フレームにおける先頭時系列デー
タと前記候補点とを始点とした自己相関の最も高い点を
検出し、前記検出された自己相関の最も高い点における
前記候補点のフレームと前記先頭フレームとに基づいて
駆動音の周期を特定するようにしている。
【0011】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発
明において、前記最高点を、前記先頭フレームと該先頭
フレーム以外の他のフレームの各々との組合せ毎に前記
先頭フレームにおける先頭時系列データと該先頭フレー
ム以外の他のフレームにおける先頭時系列データとを始
点とした自己相関の最も高い点を検出することにより求
めるようにしている。
【0012】請求項6記載の発明は、請求項1ないし請
求項5のいずれか1項に記載の発明において、回転装置
の駆動音の1周期分のパワースペクトルのサンプルを回
転装置の種類毎に予め記憶したサンプル記憶手段を更に
備え、回転装置分類手段は、前記サンプル記憶手段に記
憶されたサンプルから前記回転装置の駆動音の周期と略
同じ周期のサンプルを選択し、選択されたサンプルと前
記回転装置の1周期分のパワースペクトルとにおける相
互相関の最も高いサンプルを検出することにより該回転
装置を分類するようにしている。
【0013】請求項7記載の発明は、回転装置の駆動音
の振幅の時系列データを検出する検出手段と、前記検出
された時系列データをディジタルデータに変換するディ
ジタル変換手段と、前記ディジタルデータに変換された
時系列データを所定時間間隔の複数のフレームで分割し
て得られるフレーム毎の時系列データを周波数変換によ
りパワースペクトルに変換するパワースペクトル変換手
段と、前記変換されたパワースペクトルのピーク点に対
応する周波数に基づいて前記ピーク点に対応する周波数
を中心として狭帯域に含まれる駆動音のパワーであるト
ーンパワーと前記ピーク周波数を中心とした臨界帯域幅
の駆動音のパワーであるノイズパワーを検出するパワー
検出手段と、前記検出されたトーンパワーとノイズパワ
ーとに基づいて該回転装置の駆動音に所定の純音が存在
するか否か検出する純音検出手段と、を備えている。
【0014】請求項8記載の発明は、駆動音の振幅の時
系列データを検出し、前記検出されたデータをディジタ
ルデータに変換し、前記ディジタルデータを所定時間間
隔の複数のフレームで分割し、前記フレーム毎の時系列
データを周波数変換によりパワースペクトルに変換し、
前記変換されたパワースペクトルとパワースペクトルの
形式で予め記憶された駆動音のデータとを比較すること
によって、前記駆動音を分類して回転装置を検査する回
転装置の検査方法であって、前記駆動音の周期を特定
し、前記特定された周期と略同一の周期を有している前
記予め記憶された駆動音のデータのみを前記比較の対象
とするようにしている。
【0015】請求項9記載の発明は、請求項8記載の発
明において、前記駆動音の周期を、各フレーム毎に前記
駆動音の周期の開始点の候補となる候補点を決定する第
1のステップと、複数の前記フレーム毎の前記候補点か
ら前記周期の開始点を特定する第2のステップとにより
特定するようにしている。
【0016】請求項10記載の発明は、請求項8又は請
求項9記載の発明において、前記駆動音の周期を、自己
相関によって特定するようにしている。
【0017】請求項11記載の発明は、請求項8記載の
発明において、前記駆動音の周期を、先頭フレームと該
先頭フレーム以外の他のフレームの各々とにおいて自己
相関の最も高い最高点を駆動音の1周期を定める候補点
として選択し、前記先頭フレームにおける先頭時系列デ
ータと前記候補点とを始点とした自己相関の最も高い点
を検出し、前記検出された自己相関の最も高い点におけ
る前記候補点のフレームと前記先頭フレームとに基づい
て特定するようにしている。
【0018】請求項12記載の発明は、請求項11記載
の発明において、前記最高点を、前記先頭フレームと該
先頭フレーム以外の他のフレームの各々との組合せ毎に
前記先頭フレームにおける先頭時系列データと該先頭フ
レーム以外の他のフレームにおける先頭時系列データと
を始点とした自己相関を求めることにより求めるように
している。
【0019】請求項13記載の発明は、駆動音の振幅の
時系列データを検出し、前記検出された時系列データを
ディジタルデータに変換し、前記ディジタルデータを特
定の時間長を有するフレームに分割し、前記フレーム毎
の時系列データを周波数変換によりパワースペクトルに
変換し、前記変換されたパワースペクトルに基づいて該
回転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否か検出す
るようにしている。
【0020】請求項14記載の発明は、請求項13記載
の発明において、前記変換されたパワースペクトルのピ
ーク点に対応する周波数に基づいて前記ピーク点に対応
する周波数を中心として狭帯域に含まれる駆動音のパワ
ーであるトーンパワーと前記ピーク周波数を中心とした
臨界帯域幅の駆動音のパワーであるノイズパワーとを検
出し、検出されたトーンパワーとノイズパワーとに基づ
いて該回転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否か
検出するようにしている。
【0021】請求項15記載の発明は、請求項14記載
の発明において、前記変換されたパワースペクトルに基
づいて駆動音の周波数と該周波数の駆動音のエネルギー
との2次以上の関数を求め、かつ、求めた関数の微分係
数を求めることにより前記ピーク点を求めるようにして
いる。
【0022】請求項16記載の発明は、請求項13記載
の発明において、前記変換されたフレーム毎の複数のパ
ワースペクトルを各周波数毎に平均した平均パワースペ
クトルを演算し、得られた平均パワースペクトルのピー
ク点に対応する周波数に基づいて前記トーンパワーと前
記ノイズパワーとを検出し、検出されたトーンパワーと
ノイズパワーとに基づいて該回転装置の駆動音に所定の
純音が存在するか否か検出するようにしている。
【0023】請求項17記載の発明は、請求項16記載
の発明において、前記平均パワースペクトルに基づいて
駆動音の周波数と該周波数の駆動音のエネルギーとの2
次以上の関数を求め、かつ、求めた関数の微分係数を求
めることにより前記ピーク点を求めるようにしている。
【0024】請求項18記載の発明は、回転体の駆動音
の時系列データを検出し、前記時系列データから前記駆
動音の周期を特定し、特定された1周期の時系列データ
と前記周期と略同一の周期を有している予め記憶された
駆動音のデータとを比較して回転装置を分類することに
より回転装置を検査するようにしている。
【0025】
【作用】請求項1記載の発明では、検出手段は、回転装
置の駆動音の振幅の時系列データを検出し、ディジタル
変換手段は、検出手段により検出された時系列データを
ディジタルデータに変換する。
【0026】パワースペクトル変換手段は、ディジタル
変換手段によりディジタルデータに変換された時系列デ
ータを所定時間間隔の複数のフレームで分割して得られ
るフレーム毎の時系列データを周波数変換によりパワー
スペクトルに変換する。
【0027】周期特定手段は、前記各々のフレーム毎に
駆動音の周期の開始点の候補となる候補点を決定し、複
数の前記フレーム毎の前記候補点から前記周期の開始点
を特定することによって前記駆動音の周期を特定する。
【0028】ここで、回転装置の駆動音の周期は、次の
ように特定することができる。例えば、請求項2記載の
発明のように、前記候補点を自己相関によって特定す
る。また、請求項3記載の発明のように、前記周期の開
始点を自己相関によって特定する。
【0029】さらに、請求項4記載の発明のように、先
頭フレームと該先頭フレーム以外の他のフレームの各々
とにおいて自己相関の最も高い最高点を駆動音の1周期
を定める候補点として選択し、前記先頭フレームにおけ
る先頭時系列データと前記候補点とを始点とした自己相
関の最も高い点を検出し、前記検出された自己相関の最
も高い点における前記候補点のフレームと前記先頭フレ
ームとに基づいて駆動音の周期を特定する。なお、最高
点は、請求項5記載の発明のように、前記先頭フレーム
と該先頭フレーム以外の他のフレームの各々との組合せ
毎に前記先頭フレームにおける先頭時系列データと該先
頭フレーム以外の他のフレームにおける先頭時系列デー
タとを始点とした自己相関を求め、求めた自己相関の最
も高い点を前記組合せ毎に検出することにより求めるよ
うにしてもよい。
【0030】以上説明した請求項2ないし請求項5記載
の発明のように、各々のフレーム毎に駆動音の周期の開
始点の候補となる候補点を決定し、複数の前記フレーム
毎の前記候補点から駆動音の周期の開始点を特定するこ
とによって回転装置の駆動音の周期を特定するようにす
れば、駆動音の周期を計算するための計算量を減少させ
ることができ、処理速度を向上させることができる。
【0031】そして、回転装置分類手段は、周期特定手
段により特定された周期及びパワースペクトル変換手段
により変換されたパワースペクトルに基づく該回転装置
の駆動音の1周期分のパワースペクトルに基づいて該回
転装置を分類する。
【0032】以上説明したように請求項1記載の発明
は、回転装置は良品、不良品また不具合の種類毎にその
駆動音の周波数に応じて特色があるので回転装置は駆動
音の種類に応じて分類でき、パワースペクトルはディジ
タル変換された駆動音の振幅の時系列データを周波数変
換したものであり、駆動音のレベルでなくパワースペク
トルに基づいて回転装置を分類していることから、駆動
音の種類に応じて回転装置を分類することができる。
【0033】請求項6記載の発明では、請求項1ないし
請求項5記載のいずれか1項に記載の発明において更に
備えたサンプル記憶手段には、回転装置の駆動音の1周
期分のパワースペクトルのサンプルを回転装置の種類毎
に予め記憶しいてる。
【0034】そして、回転装置分類手段は、サンプル記
憶手段に記憶されたサンプルから前記回転装置の駆動音
の周期と略同じ周期のサンプルを選択し、選択されたサ
ンプルと前記回転装置の1周期分の駆動音スペクトルと
における相互相関の最も高いサンプルを検出することに
より該回転装置を分類する。
【0035】このように、回転装置の駆動音の周期と略
同じ周期のサンプルを選択することから、不要なサンプ
ルを除外でき、該選択されたサンプルと回転装置の1周
期分の駆動音スペクトルとにおける相互相関の最も高い
サンプルを検出することにより該回転装置を分類するこ
とから、処理時間を短縮でき、さらに、少ないデータ量
で回転装置をその駆動音の種類に応じて分類することが
できる。
【0036】請求項7記載の発明では、検出手段は、回
転装置の駆動音の振幅の時系列データを検出し、ディジ
タル変換手段は、検出手段により検出された時系列デー
タをディジタルデータに変換する。
【0037】パワースペクトル変換手段は、ディジタル
変換手段によりディジタルデータに変換された時系列デ
ータを所定時間間隔の複数のフレームで分割して得られ
るフレーム毎の時系列データを周波数変換によりパワー
スペクトルに変換する。
【0038】パワー検出手段は、パワースペクトル変換
手段より変換されたパワースペクトルのピーク点に対応
する周波数に基づいて該ピーク点に対応する周波数を中
心とした狭帯域に含まれる駆動音のパワーであるトーン
パワーと前記ピーク周波数を中心とした臨界帯域幅の駆
動音のパワーであるノイズパワーを検出する。
【0039】純音検出手段は、パワー検出手段により検
出されたトーンパワーとノイズパワーとに基づいて該回
転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否か検出す
る。
【0040】このように、純音はそのトーンパワーとノ
イズパワーとに応じて種類が分かれるためトーンパワー
とノイズパワーとに基づいて所定の純音が特定でき、ト
ーンパワーとノイズパワーとに基づいて該回転装置の駆
動音に所定の純音が存在するか否か検出するため、多大
な労力と時間をかけずとも、大量生産される回転装置に
所定の純音が存在するか否かを短時間で検出することが
できる。
【0041】請求項8記載の発明は、駆動音の振幅の時
系列データを検出し、前記検出されたデータをディジタ
ルデータに変換し、前記ディジタルデータを特定の時間
長を有するフレームに分割し、前記フレーム毎の時系列
データを周波数変換によりパワースペクトルに変換し、
前記変換されたパワースペクトルとパワースペクトルの
形式で予め記憶された駆動音のデータとを比較すること
によって、前記駆動音を分類して回転装置を検査する
際、前記駆動音の周期を特定する。
【0042】ここで、回転装置の駆動音の周期の特定
は、次のように行うことができる。例えば、請求項9記
載の発明のように、前記駆動音の周期を、各フレーム毎
に前記駆動音の周期開始点の候補となる候補点を決定す
る第1のステップと、複数の前記フレーム毎の前記候補
点から前記周期の開始点を特定する第2のステップとに
より特定する。また、請求項10記載の発明のように、
前記駆動音の周期を、自己相関によって特定する。さら
に、請求項11記載の発明のように、前記駆動音の周期
を、先頭フレームと該先頭フレーム以外の他のフレーム
の各々とにおいて自己相関の最も高い最高点を駆動音の
1周期を定める候補点として選択し、前記先頭フレーム
における先頭時系列データと前記候補点とを始点とした
自己相関の最も高い点を検出し、前記検出された自己相
関の最も高い点における前記候補点のフレームと前記先
頭フレームとに基づいて特定する。なお、前記最高点
は、請求項12記載の発明のように、前記先頭フレーム
と該先頭フレーム以外の他のフレームの各々との組合せ
毎に前記先頭フレームにおける先頭時系列データと該先
頭フレーム以外の他のフレームにおける先頭時系列デー
タとを始点とした自己相関を求め、求めた自己相関の最
も高い点を前記組合せ毎に検出することにより求めるよ
うにする。
【0043】以上説明した請求項9ないし請求項12記
載の発明のように、各々のフレーム毎に駆動音の周期の
開始点の候補となる候補点を決定し、複数の前記フレー
ム毎の前記候補点から駆動音の周期の開始点を特定する
ことによって回転装置の駆動音の周期を特定するように
すれば、駆動音の周期を計算するための計算量を減少さ
せることができ、処理速度を向上させることができる。
【0044】そして、前記特定された周期と略同一の周
期を有している前記予め記憶された駆動音のデータのみ
を前記変換されたパワースペクトルと比較して、駆動音
を分類して回転装置を検査する。
【0045】以上説明したように請求項8記載の発明
は、特定された周期と略同一の周期を有している予め記
憶された駆動音のデータのみを変換されたパワースペク
トルと比較して、駆動音を分類して回転装置を検査する
ことから、少ないデータ量で回転装置をその駆動音の種
類毎に応じて分類することができる。
【0046】請求項13記載の発明では、駆動音の振幅
の時系列データを検出し、前記検出された時系列データ
をディジタルデータに変換し、前記ディジタルデータを
特定の時間長を有するフレームに分割し、前記フレーム
毎の時系列データを周波数変換によりパワースペクトル
に変換し、前記変換されたパワースペクトルに基づいて
該回転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否か検出
する。
【0047】ここで、パワースペクトルに基づいて該回
転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否かは、次の
ように検出することができる。
【0048】例えば、請求項14記載の発明のように、
前記変換されたパワースペクトルのピーク点に対応する
周波数に基づいて前記ピーク点に対応する周波数を中心
として狭帯域に含まれる駆動音のパワーであるトーンパ
ワーと前記ピーク周波数を中心とした臨界帯域幅の駆動
音のパワーであるノイズパワーとを検出し、検出された
トーンパワーとノイズパワーとに基づいて該回転装置の
駆動音に所定の純音が存在するか否か検出する。このよ
うに、トーンパワーとノイズパワーとに基づいて該回転
装置の駆動音に所定の純音が存在するか否か検出すれ
ば、多大な労力と時間をかけずとも、大量生産される回
転装置に所定の純音が存在するか否かを短時間で検出す
ることができる。
【0049】なお、前記ピーク点は、請求項15記載の
発明のように、前記変換されたパワースペクトルに基づ
いて駆動音の周波数と該周波数の駆動音のエネルギーと
の2次以上の関数を求め、かつ、求めた関数の微分係数
を求めることにより求めることができる。このように、
変換されたパワースペクトルに基づいて駆動音の周波数
と該周波数の駆動音のエネルギーとの2次以上の関数の
微分係数を求めることにより前記ピーク点を求めるよう
にすれば、トーンパワーを検出するための該ピーク点を
短時間に求めることができる。
【0050】また、請求項16記載の発明のように、前
記変換されたフレーム毎の複数のパワースペクトルを各
周波数毎に平均した平均パワースペクトルを演算し、得
られた平均パワースペクトルのピーク点に対応する周波
数に基づいて前記トーンパワーと前記ノイズパワーとを
検出し、検出されたトーンパワーとノイズパワーとに基
づいて該回転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否
か検出する。このように、変換されたフレーム毎の複数
のパワースペクトルの平均パワースペクトルに基づい
て、トーンパワーとノイズパワーとを検出し、検出され
たトーンパワーとノイズパワーとに基づいて該回転装置
の駆動音に所定の純音が存在するか否か検出するように
すれば、多大な労力と時間をかけずとも、大量生産され
る回転装置に所定の純音が存在するか否かを短時間で正
確に検出することができる。
【0051】なお、前記ピーク点は、請求項17記載の
発明のように、前記平均パワースペクトルに基づいて駆
動音の周波数と該周波数の駆動音の強度との2次以上の
関数を求め、かつ、求めた関数の微分係数を求めること
により前記ピーク点を求める。このように、平均パワー
スペクトルに基づいて駆動音の周波数と該周波数の駆動
音のエネルギーとの2次以上の関数の微分係数を求める
ことにより前記ピーク点を求めるようすれば、トーンパ
ワーを検出するための該ピーク点を短時間に正確に求め
ることができる。
【0052】以上説明したように請求項13記載の発明
では、変換されたパワースペクトルに基づいて該回転装
置の駆動音に所定の純音が存在するか否か検出するた
め、大量生産される回転装置に所定の純音が存在するか
否かを短時間で検出することができる。
【0053】請求項18記載の発明では、回転体の駆動
音の時系列データを検出し、前記時系列データから前記
駆動音の周期を特定し、特定された1周期の時系列デー
タと前記周期と略同一の周期を有している予め記憶され
た駆動音のデータとを比較して回転装置を分類すること
により回転装置を検査する。
【0054】このように、回転体の駆動音の時系列デー
タから前記駆動音の周期を特定し、特定された1周期の
時系列データと前記周期と略同一の周期を有している予
め記憶された駆動音のデータとを比較して回転装置を分
類することから、少ないデータで回転装置を分類するこ
とができる。
【0055】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例を図面を参照し
て詳細に説明する。本実施例の回転装置の検査装置は、
回転装置、例えば、ハードディスク装置の駆動音の音色
に基づいて該装置を分類する。この回転装置の検査装置
は、図1に示すように、外部音を遮断する防音箱10を
備えている。該防音箱10には、分類の対象となるハー
ドディスク装置〔以下、HDD(Hard Disk Drive )と
いう〕12及びHDD12を駆動させて発生した駆動音
の振幅の時系列データ(アナログ値)を検出するマイク
ロフォン14を備えている。
【0056】マイクロフォン14には、増幅器(AM
P)16が接続され、増幅器16には、アナログ/ディ
ジタル(A/D)変換器18が接続されている。
【0057】A/D変換器18は、図示しないA/D変
換部と、メモリ部とを備えている。なお、メモリ部は、
リングバッファで構成されている。該A/D変換部で
は、例えば、0〔Hz〕〜5〔kHz〕までの範囲のH
DD12の駆動音を検出すると共に所定のサンプリング
周期でHDD12の駆動音の振幅の時系列データをサン
プリングして、サンプリングした時系列データ(アナロ
グ値)をディジタル変換して、リングバッファに格納す
る。このように、メモリ部をリングバッファで構成して
いるので、例えば、10〔kHz〕のサンプリング周期
で2〔sec〕間のデータ(1データを2バイトと仮定
する)を扱う時に、リングバッファを用いないと400
00バイトのメモリ量が必要になる場合でも、はるかに
少ないメモリ量で処理することができる。なお、A/D
変換器18は0〔Hz〕〜5〔kHz〕までの範囲のH
DD12の駆動音を検出しているが、これは1例であ
り、他の範囲のHDD12の駆動音を検出するようにし
てもよい。
【0058】A/D変換器18には、フレーム分割器2
0と周期演算器24とが接続されており、フレーム分割
器20には、周波数分析器22が接続されている。フレ
ーム分割器20は、図示しないフレーム生成部と、メモ
リ部とを備えている。なお、メモリ部は、ダブルバッフ
ァで構成されている。該フレーム生成部において、波形
データをt0(本実施例では、25.6〔mS〕)で分
割することによって、複数(本実施例では、40個)の
フレームを生成して、生成したフレームをダブルバッフ
ァに記憶する。なお、周期演算器24は、DSP(Digi
tal Signal Processor)で構成されている。
【0059】周波数分析器22及び周期演算器24は、
1周期パワースペクトル出力器26に接続されており、
1周期パワースペクトル出力器26には、テンプレート
マッチングを行うサンプル比較器28が接続されてい
る。サンプル比較器28には、記憶装置30及び判定装
置32が接続されている。
【0060】次に、本実施例の作用を説明する。外部音
が遮断された防音箱10の中でHDD12を駆動させ、
これにより発生した駆動音の振幅の時系列データを検出
したマイクロフォン14は、検出した時系列データ(以
下、アナログ波形データという)を増幅器16に出力す
る。増幅器16では、入力した駆動音のアナログ波形デ
ータを増幅して、A/D変換器18に出力する。
【0061】A/D変換器18のA/D変換部は、入力
した駆動音のアナログ波形データを2・T0(本実施例
では、2〔sec〕)分所定のサンプリング周期でサン
プリングしてディジタル値に変換する。これにより、H
DD12の駆動音のアナログ波形データは、図2に示す
ように、ディジタル波形データWに変換される。変換さ
れたディジタル波形データWは、A/D変換器18のメ
モリ部のリングバッファに格納される。
【0062】A/D変換器18のリングバッファに格納
されたディジタル波形データWは、フレーム分割器20
に出力され、フレーム分割器20では、ディジタル波形
データWをt0(本実施例では、25.6〔mS〕)の
時間間隔でフレーム0(0〜t0のディジタル波形デー
タW0)、フレーム1(t0〜2・t0のディジタル波
形データW1)、フレーム2(2・t0〜3・t0のデ
ィジタル波形データW2)・・・フレーム39(39・
t0〜40・t0のディジタル波形データW39)に分
割する。分割されたフレーム0、1、2・・・39のデ
ィジタル波形データの各々は、順に、フレーム分割器2
0のメモリ部のダブルバッファの片方のバッファに格納
される。なお、ディジタル波形データWを分割する時間
間隔t0は、周期演算器24の分解能に応じた時間であ
り、詳細は後述する。
【0063】フレーム分割器20には、2フレーム分の
バッファが備えられ、該フレーム分割器20は、A/D
変換器18のリングバッファから定期的に各フレームの
ディジタル波形データを読み込み、ダブルバッファの片
方に格納する。1フレーム分のディジタル波形データを
格納することにより片方のバッファ(第1のバッファ)
が一杯になった場合には、データが一杯になったことを
周波数分析器22に知らせる。
【0064】周波数分析器22は、第1のバッファに記
憶されてている1フレーム分のディジタル波形データを
読み込み、該データに対して高速フーリェ変換〔周波数
変換(Fast Fourier Transform)〕を実行して、周波数
毎の駆動音のエネルギー分布であるパワースペクトルに
変換する。この間、フレーム分割器20は、もう片方の
バッファ(第2のバッファ)に定期的にA/D変換器1
8から次のフレームのディジタル波形データを読み込ん
でいる。第2のバッファが一杯になる前に周波数分析器
22は、第1のバッファから読み込んだ1フレーム分の
ディジタル波形データをパワースペクトルに変換する処
理を終了するようにしている。そして、第2のバッファ
が一杯になった場合には、そのことを周波数分析器22
に知らせる。周波数分析器22は、第2のバッファの1
フレーム分のディジタル波形データを読み込み、該デー
タをパワースペクトルに変換する。そして、フレーム分
割器20は、前述した第1のバッファにさらに次のフレ
ームのディジタル波形データを記憶する。このような処
理手順により、フレーム0〜フレーム39の各々のディ
ジタル波形が、パワースペクトルPS0、PS1、PS
2、・・・PS39に変換される。
【0065】また、A/D変換器18のリングバッファ
に格納されたディジタル波形データWは、周期演算器2
4にも出力され、周期演算器24では、ディジタル波形
データWに基づいてHDD12の駆動音の周期を検出す
る。ここで、周期演算器24は、1フレームを256ポ
イントとして、HDD12の駆動音の周期を検出するよ
うにしている。このため、ディジタル波形データWを分
割してフレームを生成するための時間間隔t0は、2
5.6〔mS〕(=256×100〔μS〕)となる。
この時間間隔t0は、フレーム分割器20においても記
憶され、この時間間隔t0でディジタル波形データWを
フレーム0〜39に分割している。
【0066】次に、周期演算器24の処理を、図3ない
し図5に示したフローチャートを参照して説明する。
【0067】まず、A/D変換器18のリングバッファ
に格納されたディジタル波形データWの取り込みを開始
すると(ステップ100(図3参照))、ステップ20
0で、フレーム0の駆動音の先頭ディジタル波形データ
とフレーム1、2、・・・39の各々の駆動音の先頭デ
ィジタル波形データとを始点とした自己相関を求めるこ
とによりHDD12の駆動音の周期の候補点を複数(本
実施例では、39個)検出する周期候補点検出処理を行
う。そして、ステップ300で、フレーム0の駆動音の
先頭ディジタル波形データと、ステップ200で検出さ
た候補点の各々のとを始点とした自己相関を求めること
によりHDD12の駆動音の周期を検出する周期検出処
理を行う。
【0068】次に、ステップ200の周期候補点検出処
理の詳細を、該処理のサブルーチンを示したフローチャ
ート(図4)を参照して説明する。
【0069】周期演算器24では、ディジタル波形デー
タを10〔kHz〕の周期で取り込む。従って、フレー
ム1個分のディジタル波形データの全てを取り込むのに
は時間t0必要であり、ステップ202で、2・t0時
間経過した否か判断し、2・t0時間経過するまで待
ち、経過した場合には、ステップ204に進む。2・t
0時間経過すると、周期演算器24は、フレーム0及び
フレーム1のディジタル波形データを取り込んだことに
なる。ステップ204で、フレームを識別する変数fを
0に初期化し、ステップ206で、フレームfのディジ
タル波形データを取り込む。なお、現段階では、フレー
ム0のディジタル波形データW0を取り込んでいる。ス
テップ208で、変数fを1インクリメントして、ステ
ップ210で、フレームfのディジタル波形データを取
り込む。なお、現段階では、フレーム=1のディジタル
波形データW1を取り込んでいる。
【0070】ステップ212で、次式(1)に基づい
て、フレーム0と、フレームfとの自己相関値R(τ)
を求める。 ここで、x(j)は、フレーム0のディジタル波形デー
タW0の1個のポイントの値を示し、x(j+τ+25
6×f)は、フレームf(j+τ≧256の場合は、フ
レームf+1にまたがる)のj+τ番目のポイントの値
を示している。
【0071】そして、τを0〜255まで変化させて、
各々の自己相関値R(τ)を求める。なお、前述したス
テップ100(図3参照)では、A/D変換器18のリ
ングバッファに格納されたディジタル波形データの取り
込みを行っており、フレーム0と、フレームfとの自己
相関値R(τ)が求められた時、次のフレームのディジ
タル波形データの取り込みが終了している。
【0072】ステップ214で、256個の自己相関値
R(τ)の中の最大値に対応するポイントを記憶する。
該最大値に対応するポイントは、フレーム0のディジタ
ル波形データが繰り返される可能性の高い点であり、H
DD12の駆動音の周期の候補点に相当する。
【0073】ステップ216で、変数fが全てのフレー
ム数f0以上であるか否か判断する。なお、本実施例で
は、ディジタル波形データWを、フレーム0〜フレーム
39に分割しているので、全てのフレーム数f0は、3
9フレームである。変数fがフレーム数f0以上でない
場合には、いまだフレーム0との自己相関が行われてい
ないフレームがあるので、ステップ208に戻って、以
上の処理(ステップ208〜ステップ216)を繰り返
す。一方、変数fがフレーム数f0以上の場合には、フ
レーム0との自己相関がフレーム0以外の他のフレーム
について行われたので、周期候補点検出処理を終了す
る。
【0074】このように、フレーム0との自己相関がフ
レーム0以外の他のフレームについて行い、HDD12
の駆動音の周期の候補点がf0個(本実施例では、39
個)検出される。
【0075】このように、A/D変換器18でサンプリ
ングされかつディジタル変換されたディジタル波形デー
タWを複数のフレームに分割し、先頭フレーム(フレー
ム0)と該フレーム以外のフレームとの自己相関値を求
めているので、HDD12の駆動音の周期の候補点を得
ることができる。
【0076】次に、ステップ300のステップ200で
検出さた候補点に基づいてHDD12の駆動音の周期を
検出する周期検出処理を、該処理のサブルーチン示した
フローチャート(図5)を参照して説明する。
【0077】ステップ302で、ステップ200で求め
られた複数(本実施例では、39個)の周期候補点を識
別するための変数rを0に初期化し、ステップ304
で、変数rを1インクリメントする。
【0078】ステップ306で、フレーム0の駆動音の
ディジタル波形データW0の先頭ディジタル波形データ
と、変数rで識別される候補点とを始点とした自己相関
値を、次式(2)に基づいて求める。 ここで、x(j)は、フレーム0のディジタル波形デー
タW0の1つのポイントの値を示し、x(j+k)は、
変数rで識別される候補点の値を示している。kは、変
数rで識別される候補点の配列xにおける位置を示して
いる。なお、Nは、10000−1である。
【0079】ステップ308で、ステップ306で求め
られた自己相関値及び該相関値に対応するポイントを記
憶する。
【0080】ステップ310で、変数rが全ての周期候
補点の数r0以上であるか否か判断し、数r0以上でな
い場合には、周期候補点の各々に基づいた自己相関値が
求められていないため、ステップ304に戻って、以上
の処理(ステップ304〜ステップ310)を行う。一
方、変数rが数r0以上である場合には、周期候補点の
各々に基づいた自己相関値が求められているため、ステ
ップ312で、r0個の自己相関値R(k)の中の最大
値に対応するポイントのフレーム番号を記憶する。
【0081】以上説明したように、周期候補点検出処理
によりHDD12の駆動音の周期の候補となる値が求め
られ、周期候補点に基づいた周期検出処理によりHDD
12の駆動音の周期が求められる。すなわち、r0個の
最大値の中の最大値に対応するポイントのフレーム数が
HDD12の周期に相当する。
【0082】このように、A/D変換器18でサンプリ
ングされかつディジタル変換されたディジタル波形デー
タWを複数のフレームに分割し、先頭フレーム(フレー
ム0)と該フレーム以外のフレームとの自己相関値を求
め、周期候補点に基づいた周期検出処理によりHDD1
2の駆動音の周期を求めているため、ディジタル波形デ
ータWの全てについての自己相関を求めることなく周期
を得られるので、計算量を著しく削減でき、処理時間を
著しく短縮することができる。
【0083】1周期パワースペクトル出力器26は、周
波数分析器22からパワースペクトルPS0、PS1、
PS2、・・・を取り込むと共に、周期演算器24から
HDD12の周期情報(前述した最大値の中の最大値に
対応するポイントのフレーム数)を取り込む。そして、
1周期パワースペクトル出力器26は、周期情報に基づ
いてHDD12の1周期分のパワースペクトルPS0、
PS1、PS2、・・・PS39を出力する。
【0084】次に、サンプル比較器28の処理を図6に
示したフローチャートを参照して説明する。
【0085】まず、ステップ402で、1周期パワース
ペクトル出力器26から入力した1周期分のパワースペ
クトルPS0、PS1、PS2、・・・PS39から周
期情報を取り込み、ステップ404で、取り込んだ周期
情報に基づいて、記憶装置30に記憶されたサンプルか
ら該周期に略等しい長さの周期を持つサンプルを取り込
む。
【0086】ここで、記憶装置30には、図7に示すよ
うに、ハードディスク装置の種類毎の駆動音の1周期分
のフレームのパワースペクトルのサンプル(テンプレー
ト0〜m)が予め記憶されている。すなわち、テンプレ
ート0は、フレーム0及びフレーム1からなる2・t0
の周期を持つ駆動音の1周期分のフレームのパワースペ
クトルのサンプル0であり、テンプレートnは、フレー
ム0〜iからなるi・t0の周期を持つサンプルnであ
り、テンプレートn+1は、フレーム0〜jからなるj
・t0[=(i+1)・t0]の周期を持つサンプルn
+1であり、テンプレートn+2は、フレーム0〜kか
らなるk・t0[=(j+1)・t0]の周期を持つサ
ンプルn+2である。このように、ハードディスク装置
は、その駆動音の音色(周波数)に応じて様々な種類に
分類され、この音色とハードディスク装置の状態(良
品、不良品また不具合の種類)に相関が確認される。ま
た、サンプルの中には、同じ長さの周期を持つものも存
在する。そこで、本実施例では、記憶装置30に、駆動
音の音色及び周期に応じて様々な種類に分類されるハー
ドディスク装置の種類毎の駆動音の1周期分のフレーム
のパワースペクトルのサンプル(テンプレート0〜m)
を予め記憶するようにしている。
【0087】また、記憶装置30からHDD12の駆動
音の周期に略等しい長さの周期を持つサンプルを取り込
むとしたのは、サンプル比較器28では、後述するよう
に1周期パワースペクトル出力器26から入力した1周
期分のパワースペクトルPS0、PS1、PS2、・・
・PS39とサンプルとの相互相関値を求めるようにし
ているが、全てのサンプルとの相互相関値を求めると処
理時間が長くかかること、及び、ハードディスク装置の
駆動音の周期は種類毎に略等しいことに鑑みたからであ
る。
【0088】そして、今、HDD12の駆動音の1周期
の長さがj・t0であるとすると、サンプル比較器28
は、1周期の長さがj・t0であるサンプルの他に、1
周期の長さがj・t0から1フレーム分の時間t0短い
サンプル及び1周期の長さがj・t0から1フレーム分
の時間t0長いサンプルを取り込む。すなわち、サンプ
ルn、サンプルn+1及びサンプルn+2を取り込む。
このように、HDD12の駆動音の1周期の長さより1
フレーム分の時間t0短いサンプル及び1フレーム分の
時間t0長いサンプルを取り込むとしているのは、不良
品のハードディスク装置の周期は、多数の実験データか
ら、本来の周期より略1フレーム分の時間t0の誤差が
あるという結果が得られ、このような不良品のハードデ
ィスク装置に対しても対処することができるようにする
ためである。なお、本実施例では、該ハードディスク装
置の検査装置を実施した環境やそのときのハードディス
ク装置の状態と略同じ状態で行われた実験データに基づ
いて本来の周期より略1フレーム分の時間t0の誤差が
あるとしているが、環境やそのときのハードディスク装
置の状態により該誤差も変動する。よって、具体的に前
後何フレームの誤差を認めるかは、該ハードディスク装
置の検査装置を実施する環境やそのときのハードディス
ク装置の状態と同じ状態行われた実験データに基づいて
決定する。
【0089】ステップ406で、サンプルを識別する変
数iを0に初期化し、ステップ408で、変数iを1イ
ンクリメントする。ステップ410で、周期を調整す
る。これは、記憶装置30から取り込んだサンプルの周
期は、前述したように、HDD12の駆動音の周期より
1フレーム分の時間t0短いサンプルの場合や1フレー
ム分の時間t0長いサンプルの場合があるからである。
【0090】ここで、周期の調整は、i番目のサンプル
の周期がHDD12の駆動音の1周期の長さより1フレ
ーム分の時間t0短い場合には、HDD12の駆動音の
最後のフレームを削除し、また、i番目のサンプルの周
期がHDD12の駆動音の1周期の長さより1フレーム
分の時間t0長い場合には、i番目のサンプルの駆動音
の最後のフレームを削除する。なお、i番目のサンプル
の周期がHDD12の駆動音の1周期の長さと同じ場合
には、フレームを削除する調整は不要となる。
【0091】ステップ412で、i番目のサンプルとH
DD12の駆動音の1周期分のパワースペクトルとの相
互相関値を、次式(3)に基づいて求める。 ここで、x(h,f)は、HDD12の駆動音の1周期
分のパワースペクトルを表し、yi(f+τ,h)は、
i番目のサンプルのパワースペクトルを表している。な
お、fは、フレームを識別する変数であり、hは、周波
数成分を識別する変数であり、Fはフレーム数、Hは周
波数成分の数であり、τはラグを示す変数であり1から
F−1まで変化させる。また、i番目のサンプルのパワ
ースペクトルyi(f+τ,h)は、周期的に繰り返す
ものとして計算を行う。つまり、yi(F,h)=yi
(0,h),yi(F+1,h)=yi(1,h),y
i(F+2,h)=yi(2,h)のように、データを
使用するこの式(3)を計算するとF個の相互相関Ri
(τ)が求められる。ステップ414で、サンプルiの
相互相関値の最大値を記憶する。この値がHDD12の
駆動音とサンプルiの駆動音との類似度を表す。
【0092】ステップ416で、変数iが、取り込んだ
全てのサンプル数i0以上か否か判断し、変数iがサン
プル数i0以上でない場合には、HDD12の駆動音の
1周期分のパワースペクトルと全てのサンプルとの相互
相関値が求められていないため、ステップ408に戻っ
て、以上の処理(ステップ408〜ステップ416)を
行う。一方、変数iが、全てのサンプル数i0以上であ
る場合には、HDD12の駆動音の1周期分のパワース
ペクトルと取り込んだ全てのサンプルとの相互相関値が
求められているため、本処理を終了する。
【0093】判定装置32は、サンプル比較器28で求
められたHDD12の駆動音の1周期分のパワースペク
トルと取り込んだ全てのサンプルとの相互相関値の最大
値の最大値を検出し、検出された最大値の最大値に基づ
いてHDD12を分類する。すなわち、検査の対象とな
ったHDD12の種類を、検出された最大値の最大値に
よって特定できるサンプルの種類に特定することによ
り、HDD12を分類する。
【0094】以上説明したように、HDD12の駆動音
の1周期分のパワースペクトルとサンプルとの相互相関
値を求めることにより、ハードディスク装置を分類で
き、騒音レベルとしては静かであるが、装置内で共振を
起こすものを分類したり、所望の音色を持つハードディ
スク装置のみを選別することが可能になる。
【0095】前述した実施例では、ハードディスク装置
の駆動音の1周期分のパワースペクトルとサンプルとの
相互相関の最大値を求めるようにしているが、これに限
定するものでなく、ハードディスク装置の駆動音の1周
期分のパワースペクトルとサンプルとの周波数に応じた
残差を求め、求めた残差を加算し、順次加算した加算値
が急激に増大する場合には、該サンプルを除外し他のサ
ンプルについて同様に行って、残差の加算値が最小とな
るサンプルを特定し(残差逐次検定法)、特定されたサ
ンプルの種類によりハードディスク装置を分類するよう
にしてもよい。
【0096】また、別の方法として、HDD12のパワ
ースペクトルとサンプルのパワースペクトルの距離計算
を行う方法がある。すなわち、式(4)及び(5)に示
すように、HDD12のあるフレームのパワースペクト
ルとサンプルのあるフレームのパワースペクトルをベク
トルEu(X(f),Y(f+τ))とみて、その間の
ユークリッド距離Di(τ)を求める。この処理を1周
期分行い、結果の和をとると最も似ているサンプルの距
離計算の結果が最小になる。なお、この場合も、位相の
差を考慮して、フレームをずらしながら計算を繰り返す
必要がある。そして、この中で最小のものLiを選択し
て、該サンプルの種類によりハードディスク装置を分類
するようにしてもよい。 Li=Min(Di(τ):τ=0〜F−1)・・・(5) また、前述した実施例では、フレーム分割器は、ディジ
タル波形データを25.6〔mS〕の時間間隔で分割す
ることによって複数のフレームのディジタル波形データ
群を生成しているが、これに限定するものでない。すな
わち、周期演算器は、駆動音の周期を求めるためにディ
ジタル波形データをより細かくサンプリングしてもよ
く、よって、これに応じてフレーム分割器のディジタル
波形データを分割する時間間隔も長くなる。なお、この
場合、A/D変換器でディジタル変換して得られるディ
ジタル波形データ数を同一とするのならば、フレーム分
割器によるフレーム数は、少なくなる。従って、A/D
変換器でディジタル変換して得られるディジタル波形デ
ータ数を増やしてもよい。また、周波数分析器で周波数
分解能をあげるには、1フレームの時間が長くなる。こ
のとき、周波数演算器の周波数分解能は低下する。な
お、この逆の場合もある。従って、このバランスを考慮
してフレームの長さを決定する。
【0097】次に本発明の第2の実施例について図面を
参照して詳細に説明する。本実施例の回転装置の検査装
置は、回転装置、例えば、ハードディスク装置の駆動音
に純音が存在するか否かを検出する。このハードディス
ク装置の検査装置は、第1の実施例と同様の構成部分を
備えているので、同一の部分について同一の符号を付し
て説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0098】図8に示すように、周波数分析器22に
は、平均パワースペクトル生成器42が接続され、平均
パワースペクトル生成器42には、ピーク検出器44が
接続されている。また、ピーク検出器44には、レベル
計算器46が接続され、レベル計算器46には、純音検
出装置50が接続され、純音検出装置50には、記憶装
置48が接続されている。
【0099】次に、本実施例の作用を説明する。前述し
たように、外部音が遮断された防音箱10の中でHDD
12を駆動させ、前述したようにマイクロフォン14
は、検出した駆動音の振幅のアナログ波形データを増幅
器16に出力する。増幅器16では、入力した駆動音の
アナログ波形データを増幅して、A/D変換器18に出
力する。
【0100】A/D変換器18のA/D変換部は、入力
した駆動音のアナログ波形データをT1(本実施例で
は、10〔sec〕)分所定のサンプリング周期でサン
プリングしてディジタル値に変換する。これにより、H
DD12の駆動音のアナログ波形データは、図9に示す
ように、ディジタル波形データWに変換される。変換さ
れたディジタル波形データWは、A/D変換器18のメ
モリ部のリングバッファに格納される。
【0101】A/D変換器18のリングバッファに格納
されたディジタル波形データWは、フレーム分割器20
に出力され、フレーム分割器20では、ディジタル波形
データWをt1(本実施例では、1〔sec〕)の時間
間隔でフレーム0、フレーム1、フレーム2・・・フレ
ーム14に分割する。分割されたフレーム0、1、2・
・・14は、20のメモリ部のダブルバッファに格納さ
れる。
【0102】前述したように、フレーム分割器20のダ
ブルバッファに格納されたフレーム0、1、2・・・1
4の各々は、周波数分析器22に出力され、周波数分析
器22は、入力したフレーム0、1、2・・・14の各
々を、高速フーリェ変換を実行して、図9に示すよう
に、周波数毎の駆動音の強度であるパワースペクトルP
S0、PS1、PS2、・・・PS14に変換する。
【0103】平均パワースペクトル生成器42では、パ
ワースペクトルPS0、PS1、PS2、・・・PS1
4を各周波数毎に平均した平均パワースペクトルPSA
を算出する。
【0104】この処理を図10に示したフローチャート
を参照して説明する。まず、ステップ502で、フレー
ムを識別するための変数fを0に初期化すると同時に作
業用バッファを初期化する。ステップ504で、フレー
ムfのパワースペクトルを取り込む。
【0105】ステップ506で、フレームfのパワース
ペクトルを各周波数成分毎に作業用バッファに加える。
ステップ508で、変数fが、全てのパワースペクトル
数f0−1(本実施例では、15−1)以上であるか否
か判断し、変数fが全てのパワースペクトル数f0−1
以上でない場合には、ステップ510で、変数fを1イ
ンクリメントし、ステップ504に戻って以上処理(ス
テップ506〜ステップ510)を行う。一方、変数f
が全てのパワースペクトル数f0−1以上である場合に
は、ステップ512で、バッファの要素をf0で割るこ
とにより各周波数成分毎の平均値を求めて、平均パワー
スペクトルPSAを算出し、ステップ516で、平均パ
ワースペクトルPSAをテーブルに記憶して、本処理を
終了する。これにより、フレーム0〜フレーム14の平
均パワースペクトルPSAが記憶される。
【0106】ピーク検出器44では、平均パワースペク
トル生成器42で求められた平均パワースペクトルPS
Aからピークのある周波数を検出する。この処理を、図
11に示したフローチャートを参照して説明する。
【0107】まず、ステップ602で、平均パワースペ
クトルPSAを取り込み、ステップ604で、平均パワ
ースペクトルPSAから畳み込み演算によりピークのあ
る周波数を検出する。すなわち、平均パワースペクトル
PSAの低周波数側から数ポイント毎に2次以上の関数
(本実施例では2次関数)で近似することにより平滑化
し、同時にその2次関数の微分係数を求める。求められ
た微分係数が正の値から負の値に変化するポイントを求
める。この微分係数が正の値から負の値に変化するポイ
ントが、ピークのある周波数となり、純音に相当する。
これにより、図9に示した例では、ピーク(Peak)
1、ピーク(Peak)2が検出されている。
【0108】そして、ステップ606で、平均パワース
ペクトルPSA及びピーク周波数を対応して記憶するテ
ーブルに、それぞれ記憶する。これにより、すなわち、
図9に示した例では、平均パワースペクトルPSAと、
ピーク1における周波数f1及びピーク2における周波
数f2が記憶される。
【0109】レベル計算器46では、ピーク周波数の音
(純音)が周囲の雑音に埋もれず人の耳に聞こえるかど
うかを検出するための白色雑音によるマスキング効果の
レベルを計算する。すなわち、純音は、後述するTone P
owerと臨界帯域に存在するNoise Power が等しいか又は
Noise Power のほうが大きい時にマスクされて聞こえな
くなるという公知の事実を利用している。
【0110】この処理を、図12に示したフローチャー
トを参照して説明する。まず、ステップ702で、平均
パワースペクトルPSA及びピーク周波数を取り込む。
ステップ704で、ピーク周波数を識別するための変数
pを0に初期化し、ステップ706で、変数pを1イン
クリメントし、ステップ708で、マスキング効果のレ
ベルを計算する。すなわち、図9に示すように、変数p
で識別されるピーク周波数(以下、Toneという)に基づ
いて、該Toneを中心とした狭帯域に含まれる駆動音のパ
ワー(以下、TP(Tone Power)という)を計算する。
現段階では、変数pで識別されるToneは、周波数f1で
あり、このTPを計算する。この計算は、Tone(周波数
f1)を中心にして、低周波数側と高周波数側にパワー
スペクトルの波形にそって、パワーが小さくなる限り幅
を広げていく。このとき、Toneに十分近い(例えば、To
neの10〔Hz〕前後の範囲)ところで、波形に突起が
ある場合があり、不要な突起を無視して該幅を広げるた
めには、その突起を通り過ぎる必要がある。従って、To
ne Powerの幅の最小値を決めてこれを下回らないように
している。また、本実施例では、Tone Powerの幅の最大
値を決めてこれを上回らないようにしている。すなわ
ち、本実施例では、Tone Powerの幅の最小値を後述する
臨界帯域幅の例えば、3%に、また、Tone Powerの幅の
最大値を臨界帯域幅の例えば、15%に設定している。
【0111】次に、Toneを中心にもつ臨界帯域幅を計算
し、その範囲にある音のパワー(以下、NP(Noise Po
wer )という)を計算する。ただし、Toneのパワーは加
えず、Toneの範囲には、臨界帯域に存在するTone以外の
音の平均が存在するものとして計算する。ここで、臨界
帯域幅fcは、Toneをf〔Hz〕とすると、公知である
次式(6)により求めることができる。 fc=25.0+75.0・〔1.0+1.4・(f/1000)2 0.69・・ ・(6) ステップ710で、平均パワースペクトル、ピーク周波
数、TP及びNPが対応したテーブルに、それぞれ記憶
する。ステップ712で、変数pが平均パワースペクト
ルにおけるピーク周波数の全ての数p0以上であるか否
か判断し、変数pが数p0以上でない場合には、平均パ
ワースペクトルにおけるピーク周波数の全てについてT
P及びNPを計算していないので、ステップ706に戻
って、以上の処理(ステップ706〜ステップ712)
行う。一方、変数pが数p0以上である場合には、平均
パワースペクトルにおけるピーク周波数の全てについて
TP及びNPを計算しているので、本処理を終了する。
【0112】これにより、テーブルに、TP及びNP
が、平均パワースペクトル及びピーク周波数に対応して
記憶される。
【0113】純音検出装置50では、純音検出処理を行
う。この処理を図13及び図14に示したフローチャー
トを参照して説明する。
【0114】まず、ステップ802で、ピーク周波数を
識別する変数pを0に初期化し、ステップ804で、変
数pを1インクリメントする。
【0115】ステップ806で、変数pに基づいてTP
及びNPを取り込む。すなわち、平均パワースペクトル
における変数pで識別されるピーク周波数におけるTP
及びNPを取り込む。ステップ808で、TPのNPに
対する比M(=TP/NP)を求めて、ステップ810
で、変数p及び比Mとを対応して記憶するテーブルに、
それぞれ記憶する。
【0116】ステップ812で、変数pが、全てのピー
ク周波数の数p0以上でない場合には、平均パワースペ
クトルにおける全てのピーク周波数について比Mを求め
ていないので、ステップ804に戻って、以上の処理
(ステップ804〜ステップ812)を行う。一方、変
数pが、全てのピーク周波数の数p0以上である場合に
は、平均パワースペクトルにおける全てのピーク周波数
について比Mを求めているので、ステップ814(図1
4参照)に進む。
【0117】ここで、記憶装置48には、ユーザに不快
感を与えることになる全ての純音におけるTPのNPに
対する比のサンプルが記憶さている。そこで、ステップ
814で、記憶装置48からサンプルを取り込む。
【0118】ここで、比Mは、ピーク周波数を識別する
ための変数pと対応して記憶されているので、ステップ
816で、変数pを0に初期化し、ステップ818で、
変数pを1インクリメントする。ステップ820で、変
数pで識別されるピーク周波数における比Mとサンプル
とを比較して、サンプルの比以上の比Mがあるか検出す
る。ステップ822で、ステップ820の比較結果を、
ステップ810で説明したテーブルに記憶する。このテ
ーブルは、変数p及び比Mとを対応して記憶するテーブ
ルであり、該テーブルは、さらに、該比較結果を記憶す
る領域が存在する。
【0119】ステップ824で、変数pが、全てのピー
ク周波数の数(全ての比Mの数に相当する)p0以上で
あるか否か判断し、変数pが、数p0以上でない場合に
は、全ての比Mについてサンプルと比していないので、
ステップ818に戻って、以上の処理(ステップ818
〜ステップ824)を行う。一方、変数pが、全てのピ
ーク周波数の数p0以上である場合には、全ての比Mに
ついてサンプルと比しているので、本処理を終了する。
【0120】以上説明したように本実施例では、検出さ
れた純音がユーザに不快感を与えることになる全ての純
音のサンプルと比較しているので、全ての純音を対象に
してハードディスク装置を分類(良品/不良品)するこ
とができる。これにより、多大な労力を不要とし、大量
生産されるHDDを短時間で分類することができる。
【0121】前述した実施例では、検出された純音がユ
ーザに不快感を与えることになる全ての純音のサンプル
と比較しているが、これに限定するものなく、所望の純
音に限定してもよい。
【0122】前述した実施例では、15個のパワースペ
クトルの周波数に応じて平均して平均パワースペクトル
を求めるようにしているが、これに限定するものでな
い。これ以下又はこれ以上の数のパワースペクトルの周
波数に応じて平均して平均パワースペクトルを算出する
ようにしてもよい。
【0123】以上説明した第1及び第2の実施例では、
ハードディスク装置を例にとり説明したが、これに限定
するものでなく、例えば、回転部が軸受けを介して固定
部に取り付けられてなる回転装置(例えば、VTRのテ
ープ案内ドラム)等に適用することができる。
【0124】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
では、回転装置は良品、不良品また不具合の種類毎にそ
の駆動音の周波数に応じて特色があるので回転装置は駆
動音の種類に応じて分類でき、パワースペクトルはディ
ジタル変換された駆動音の振幅の時系列データを周波数
変換したものであり、駆動音のレベルでなくパワースペ
クトルに基づいて回転装置を分類していることから、駆
動音の種類に応じて回転装置を分類することができる、
という効果を有する。
【0125】請求項2及び請求項3記載の発明では、各
々のフレーム毎に駆動音の周期の開始点の候補となる候
補点を決定し、複数の前記フレーム毎の前記候補点から
駆動音の周期の開始点を特定することによって回転装置
の駆動音の周期を特定していることから、駆動音の周期
を計算するための計算量を減少させることができ、処理
速度を向上させることができる、という効果を有する。
【0126】請求項4記載の発明では、先頭フレームと
該フレーム以外の他のフレームの各々とにおいて自己相
関の最も高い最高点を前記候補点として選択し、前記先
頭フレームにおける先頭時系列データと前記候補点とを
始点とした自己相関の最も高い点における前記候補点の
フレームと前記先頭フレームとに基づいて駆動音の周期
を特定することから、駆動音の周期を計算するための計
算量を減少させて処理速度を向上させることができると
共に駆動音の周期を正確に特定することができる、とい
う効果を有する。
【0127】請求項5記載の発明では、先頭フレームと
該先頭フレーム以外の他のフレームの各々との組合せ毎
に自己相関の最も高い最高点を検出していることから、
該自己相関の最も高い最高点を駆動音の周期の候補点と
して選択でき、駆動音の周期を計算するための計算量を
減少させることができ、駆動音の周期の計算の処理時間
を短縮することができる、という効果を有する。
【0128】請求項6記載の発明では、回転装置の駆動
音の周期と略同じ周期のサンプルを選択することから、
不要なサンプルを除外でき、該選択されたサンプルと回
転装置の1周期分の駆動音スペクトルとにおける相互相
関の最も高いサンプルを検出することにより該回転装置
を分類することから、処理時間を短縮でき、さらに、少
ないデータ量で回転装置をその駆動音の種類に応じて分
類することができる、という効果を有する。
【0129】請求項7記載の発明では、純音はそのトー
ンパワーとノイズパワーとに応じて種類が分かれるため
トーンパワーとノイズパワーとに基づいて所定の純音が
特定でき、トーンパワーとノイズパワーとに基づいて該
回転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否か検出す
るため、多大な労力と時間をかけずとも、大量生産され
る回転装置に所定の純音が存在するか否かを短時間で検
出することができる、という効果を有する。
【0130】請求項8記載の発明は、特定された周期と
略同一の周期を有している予め記憶された駆動音のデー
タのみを変換されたパワースペクトルと比較して、駆動
音を分類して回転装置を検査することから、少ないデー
タ量で回転装置をその駆動音の種類毎に応じて分類する
ことができる、という効果を有する。
【0131】請求項9及び請求項10記載の発明では、
各々のフレーム毎に駆動音の周期の開始点の候補となる
候補点を決定し、複数の前記フレーム毎の前記候補点か
ら駆動音の周期の開始点を特定することによって回転装
置の駆動音の周期を特定していることから、駆動音の周
期を計算するための計算量を減少させることができ、処
理速度を向上させることができる、という効果を有す
る。
【0132】請求項11記載の発明では、先頭フレーム
と該フレーム以外の他のフレームの各々とにおいて自己
相関の最も高い最高点を前記候補点として選択し、前記
先頭フレームにおける先頭時系列データと前記候補点と
を始点とした自己相関の最も高い点における前記候補点
のフレームと前記先頭フレームとに基づいて駆動音の周
期を特定することから、駆動音の周期を計算するための
計算量を減少させて処理速度を向上させることができる
と共に駆動音の周期を正確に特定することができる、と
いう効果を有する。
【0133】請求項12記載の発明では、先頭フレーム
と該先頭フレーム以外の他のフレームの各々との組合せ
毎に自己相関の最も高い最高点を検出していることか
ら、該自己相関の最も高い最高点を駆動音の周期の候補
点として選択でき、駆動音の周期を計算するための計算
量を減少させることができ、駆動音の周期の計算の処理
時間を短縮することができる、という効果を有する。
【0134】請求項13記載の発明では、パワースペク
トルに基づいて回転装置の駆動音に所定の純音が存在す
るか否か検出することかできることから、多大な労力と
時間をかけずとも、大量生産される回転装置に所定の純
音が存在するか否かを短時間で検出することができる、
という効果を有する。
【0135】請求項14記載の発明では、トーンパワー
とノイズパワーとに基づいて該回転装置の駆動音に所定
の純音が存在するか否か検出するため、多大な労力と時
間をかけずとも、大量生産される回転装置に所定の純音
が存在するか否かを短時間で検出することができる、と
いう効果を有する。
【0136】請求項15記載の発明のように、変換され
たパワースペクトルに基づいて駆動音の周波数と該周波
数の駆動音のエネルギーとの2次以上の関数の微分係数
を求めることにより前記ピーク点を求めるようにしてい
るため、トーンパワーを検出するための該ピーク点を短
時間に求めることができる、という効果を有する。
【0137】請求項16記載の発明のように、変換され
たフレーム毎の複数のパワースペクトルの平均パワース
ペクトルに基づいて、トーンパワーとノイズパワーとを
検出し、検出されたトーンパワーとノイズパワーとに基
づいて該回転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否
か検出するため、多大な労力と時間をかけずとも、大量
生産される回転装置に所定の純音が存在するか否かを短
時間で正確に検出することができる、という効果を有す
る。
【0138】請求項17記載の発明では、平均パワース
ペクトルに基づいて駆動音の周波数と該周波数の駆動音
のエネルギーとの2次以上の関数の微分係数を求めるこ
とにより前記ピーク点を求めるようにしているため、ト
ーンパワーを検出するための該ピーク点を短時間に正確
に求めることができる、という効果を有する。
【0139】請求項18記載の発明では、回転体の駆動
音の時系列データから前記駆動音の周期を特定し、特定
された1周期の時系列データと前記周期と略同一の周期
を有している予め記憶された駆動音のデータとを比較し
て回転装置を分類することから、少ないデータで回転装
置を分類することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例のブロック図である。
【図2】A/D変換されたディジタル波形データと、フ
レームと、パワースペクトルを示した図である。
【図3】周期検出処理のメインルーチンを示したフロー
チャートである。
【図4】周期候補点検出処理のサブルーチンを示したフ
ローチャートである。
【図5】周期検出処理のサブルーチンを示したフローチ
ャートである。
【図6】サンプルとハードディスク装置の駆動音の1周
期分のパワースペクトルとの相互相関値を算出する処理
ルーチンを示したフローチャートである。
【図7】サンプルの詳細を示した図である。
【図8】第2の実施例のブロック図である。
【図9】第2の実施例の各構成部のデータを示した図で
ある。
【図10】平均パワースペクトルの算出処理ルーチンを
示したフローチャートである。
【図11】ピーク周波数検出処理ルーチンを示したフロ
ーチャートである。
【図12】マスキング効果のレベルの計算処理ルーチン
を示したフローチャートである。
【図13】トーンパワーとノイズパワーとの比を求める
ための処理ルーチンの1部を示したフローチャートであ
る。
【図14】トーンパワーとノイズパワーとの比を求める
ための処理ルーチンの残りの部分を示したフローチャー
トである。
【符号の説明】
10 防音箱 12 ハードディスク装置 14 マイクロフォン 16 増幅器 18 A/D変換器 20 フレーム分割器 22 周波数分析器 24 周期演算器 26 1周期パワースペクトル出力器 28 サンプル比較器 30 記憶装置 32 判定装置 W、W1、W2 ディジタル波形データ PS0、PS1、PS2 平均パワースペクトル 42 平均パワースペクトル生成器 44 ピーク検出器 46 レベル計算器 48 記憶装置 50 純音検出装置

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転装置の駆動音の振幅の時系列データ
    を検出する検出手段と、 前記検出された時系列データをディジタルデータに変換
    するディジタル変換手段と、 前記ディジタルデータに変換された時系列データを所定
    時間間隔の複数のフレームで分割して得られるフレーム
    毎の時系列データを周波数変換によりパワースペクトル
    に変換するパワースペクトル変換手段と、 前記各々のフレーム毎に駆動音の周期の開始点の候補と
    なる候補点を決定し、複数の前記フレーム毎の前記候補
    点から前記周期の開始点を特定することによって前記駆
    動音の周期を特定する周期特定手段と、 前記特定された周期及び前記変換されたパワースペクト
    ルに基づく該回転装置の駆動音の1周期分のパワースペ
    クトルに基づいて該回転装置を分類する回転装置分類手
    段と、 を備えた回転装置の検査装置。
  2. 【請求項2】 前記候補点を自己相関によって特定する
    ことを特徴とする請求項1記載の回転装置の検査装置。
  3. 【請求項3】 前記周期の開始点を自己相関によって特
    定することを特徴とする請求項1記載の回転装置の検査
    装置。
  4. 【請求項4】 前記周期特定手段は、先頭フレームと該
    先頭フレーム以外の他のフレームの各々とにおいて自己
    相関の最も高い最高点を駆動音の1周期を定める候補点
    として選択し、前記先頭フレームにおける先頭時系列デ
    ータと前記候補点とを始点とした自己相関の最も高い点
    を検出し、前記検出された自己相関の最も高い点におけ
    る前記候補点のフレームと前記先頭フレームとに基づい
    て駆動音の周期を特定することを特徴とする請求項1記
    載の回転装置の検査装置。
  5. 【請求項5】 前記最高点を、前記先頭フレームと該先
    頭フレーム以外の他のフレームの各々との組合せ毎に前
    記先頭フレームにおける先頭時系列データと該先頭フレ
    ーム以外の他のフレームにおける先頭時系列データとを
    始点とした自己相関の最も高い点を検出することにより
    求めることを特徴とする請求項4記載の回転装置の検査
    装置。
  6. 【請求項6】 回転装置の駆動音の1周期分のパワース
    ペクトルのサンプルを回転装置の種類毎に予め記憶した
    サンプル記憶手段を更に備え、 回転装置分類手段は、 前記サンプル記憶手段に記憶されたサンプルから前記回
    転装置の駆動音の周期と略同じ周期のサンプルを選択
    し、選択されたサンプルと前記回転装置の1周期分のパ
    ワースペクトルとにおける相互相関の最も高いサンプル
    を検出することにより該回転装置を分類することを特徴
    とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の
    回転装置の検査装置。
  7. 【請求項7】 回転装置の駆動音の振幅の時系列データ
    を検出する検出手段と、 前記検出された時系列データをディジタルデータに変換
    するディジタル変換手段と、 前記ディジタルデータに変換された時系列データを所定
    時間間隔の複数のフレームで分割して得られるフレーム
    毎の時系列データを周波数変換によりパワースペクトル
    に変換するパワースペクトル変換手段と、 前記変換されたパワースペクトルのピーク点に対応する
    周波数に基づいて前記ピーク点に対応する周波数を中心
    として狭帯域に含まれる駆動音のパワーであるトーンパ
    ワーと前記ピーク周波数を中心とした臨界帯域幅の駆動
    音のパワーであるノイズパワーを検出するパワー検出手
    段と、 前記検出されたトーンパワーとノイズパワーとに基づい
    て該回転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否か検
    出する純音検出手段と、 を備えた回転装置の検査装置。
  8. 【請求項8】 駆動音の振幅の時系列データを検出し、 前記検出されたデータをディジタルデータに変換し、 前記ディジタルデータを所定間間隔で複数のフレームで
    分割し、 前記フレーム毎の時系列データを周波数変換によりパワ
    ースペクトルに変換し、 前記変換されたパワースペクトルとパワースペクトルの
    形式で予め記憶された駆動音のデータとを比較すること
    によって、前記駆動音を分類して回転装置を検査する回
    転装置の検査方法であって、 前記駆動音の周期を特定し、 前記特定された周期と略同一の周期を有している前記予
    め記憶された駆動音のデータのみを前記比較の対象とす
    る、 ことを特徴とする回転装置の検査方法。
  9. 【請求項9】 前記駆動音の周期を、各フレーム毎に前
    記駆動音の周期の開始点の候補となる候補点を決定する
    第1のステップと、複数の前記フレーム毎の前記候補点
    から前記周期の開始点を特定する第2のステップとによ
    り特定することを特徴とする請求項8記載の回転装置の
    検査方法。
  10. 【請求項10】 前記駆動音の周期を、自己相関によっ
    て特定することを特徴とする請求項8又は請求項9記載
    の回転装置の検査方法。
  11. 【請求項11】 前記駆動音の周期を、先頭フレームと
    該先頭フレーム以外の他のフレームの各々とにおいて自
    己相関の最も高い最高点を駆動音の1周期を定める候補
    点として選択し、前記先頭フレームにおける先頭時系列
    データと前記候補点とを始点とした自己相関の最も高い
    点を検出し、前記検出された自己相関の最も高い点にお
    ける前記候補点のフレームと前記先頭フレームとに基づ
    いて特定することを特徴とする請求項8記載の回転装置
    の検査方法。
  12. 【請求項12】 前記最高点を、前記先頭フレームと該
    先頭フレーム以外の他のフレームの各々との組合せ毎に
    前記先頭フレームにおける先頭時系列データと該先頭フ
    レーム以外の他のフレームにおける先頭時系列データと
    を始点とした自己相関を求め、求めた自己相関の最も高
    い点を前記組合せ毎に検出することにより求めることを
    特徴とする請求項11記載の回転装置の検査方法。
  13. 【請求項13】 駆動音の振幅の時系列データを検出
    し、 前記検出された時系列データをディジタルデータに変換
    し、 前記ディジタルデータを特定の時間長を有するフレーム
    に分割し、 前記フレーム毎の時系列データを周波数変換によりパワ
    ースペクトルに変換し、 前記変換されたパワースペクトルに基づいて該回転装置
    の駆動音に所定の純音が存在するか否か検出する、 回転装置の検査方法。
  14. 【請求項14】 前記変換されたパワースペクトルのピ
    ーク点に対応する周波数に基づいて前記ピーク点に対応
    する周波数を中心として狭帯域に含まれる駆動音のパワ
    ーであるトーンパワーと前記ピーク周波数を中心とした
    臨界帯域幅の駆動音のパワーであるノイズパワーとを検
    出し、検出されたトーンパワーとノイズパワーとに基づ
    いて該回転装置の駆動音に所定の純音が存在するか否か
    検出することを特徴とする請求項13記載の回転装置の
    検査方法。
  15. 【請求項15】 前記変換されたパワースペクトルに基
    づいて駆動音の周波数と該周波数の駆動音のエネルギー
    との2次以上の関数を求め、かつ、求めた関数の微分係
    数を求めることにより前記ピーク点を求めることを特徴
    とする請求項14記載の回転装置の検査方法。
  16. 【請求項16】 前記変換されたフレーム毎の複数のパ
    ワースペクトルを各周波数毎に平均した平均パワースペ
    クトルを演算し、得られた平均パワースペクトルのピー
    ク点に対応する周波数に基づいて前記トーンパワーと前
    記ノイズパワーとを検出し、検出されたトーンパワーと
    ノイズパワーとに基づいて該回転装置の駆動音に所定の
    純音が存在するか否か検出することを特徴とする請求項
    13記載の回転装置の検査方法。
  17. 【請求項17】 前記平均パワースペクトルに基づいて
    駆動音の周波数と該周波数の駆動音のエネルギーとの2
    次以上の関数を求め、かつ、求めた関数の微分係数を求
    めることにより前記ピーク点を求めることを特徴とする
    請求項16記載の回転装置の検査方法。
  18. 【請求項18】 回転体の駆動音の時系列データを検出
    し、前記時系列データから前記駆動音の周期を特定し、
    特定された1周期の時系列データと前記周期と略同一の
    周期を有している予め記憶された駆動音のデータとを比
    較して回転装置を分類することにより回転装置を検査す
    ることを特徴とする回転装置の検査方法。
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