JP3452714B2 - 静電アクチュエータ - Google Patents

静電アクチュエータ

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JP3452714B2
JP3452714B2 JP04503196A JP4503196A JP3452714B2 JP 3452714 B2 JP3452714 B2 JP 3452714B2 JP 04503196 A JP04503196 A JP 04503196A JP 4503196 A JP4503196 A JP 4503196A JP 3452714 B2 JP3452714 B2 JP 3452714B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のサンバイザ
ー、ムーンルーフ、リアウインド等に取付ける遮光装
置、鉄道、航空機、船舶等の遮光装置あるいは複写機の
紙送り装置等の駆動源として好適に使用される静電アク
チュエータに関するものである。詳しくは、それぞれ絶
縁層に櫛歯状に複数の電極を設けた固定子と移動子を備
え、固定子の電極と移動子の電極の間に発生する静電気
による吸引力、反発力により移動子を駆動する静電アク
チュエータにおいて、移動子の駆動時及び停止時におけ
る、移動子及び固定子の帯電防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の静電アクチュエータとし
て、本出願人は先に実開平7−16599号公報におい
て図18に示す静電アクチュエータを提案した。移動子
1には、絶縁層2に電極3a,3b,3c・・・3a,
3b,3c・・・を櫛歯状に配設し、これらの電極3
a,3b,3cを2つ置きに位置する電極毎に相互に接
続して3相(a相,b相,c相)とし、さらにa相の電
極3aとb相の電極3bを相互に接続して2相としてい
る。一方、固定子4には、絶縁層5に電極6a,6b,
6c・・・6a,6b,6c・・・を櫛歯状に設け、こ
れらの電極6a,6b,6cのうち2つ置きに位置する
電極6a,6b,6cを相互に接続して3相(U相,V
相,W相)としている。
【0003】移動子1を駆動する際には、図19に示す
ように、上記移動子1のa相及びb相の電極3a,3b
に対して負(以下、“−”と表記する。)の高電圧を、
c相の電極に対しては正(以下、“+”と表記する。)
の高電圧をそれぞれ固定的に印加する。一方、固定子4
には、矩形状の波形で“+”と“−”の2種類の極性の
高電圧を周期的に切り替えて印加する。すなわち、等時
間間隔αの連続する3つのステップS1,S2,S3か
らなる周期Cを繰り返し、かつ、各相の周期Cを1ステ
ップ分づつ位相をずらして固定子4の電極6a,6b,
6cに対して電圧を印加する。
【0004】まず、U相の電極6aに対しては、第1ス
テップS1は“+”、第2ステップS2は“−”、第3
ステップS3は“+”というパターンで高電圧を印加す
る。また、V相の電極6b、W相の電極6cに対して
は、それぞれ上記U相の電極6aよりも1ステップ、2
ステップ分だけ位相を進めて電圧を印加する。このよう
に高電圧を印加すると、移動子1の電極3a〜3cと固
定子4の電極6a〜6cとの間に静電気力による吸引
力、反発力が作用し、第1ステップS1から第3ステッ
プS3の各ステップ毎に、移動子1は、上記電極3a〜
3c,6a〜6cの間隔(電極間ピッチP)分だけ図1
8中左側に移動する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この静電アク
チュエータでは、固定子4の各相の電極6a〜6cに対
して“−”の極性の電圧を印加した次のステップには、
逆の極性の電圧、すなわち“+”の極性の電圧が印加さ
れるが、“+”の極性の電圧を印加するステップが2ス
テップ連続しており、電圧の極性の切替が不均衡であ
る。
【0006】また、1回の周期Cについて、“+”の電
圧を印加しているのは2ステップ分の時間(2α)であ
り、“−”の電圧を印加しているのは1ステップ分の時
間(α)であり、1回の周期Cにつき、“+”の電圧が
印加される時間のほうが、“−”の電圧が印加される時
間よりも1ステップ分長い。
【0007】このように、電圧極性の切替に不均衡であ
ったり、1周期の間に印加する電圧の極性が“+”また
は“−”に偏りがあると、固定子4の絶縁層5が“−”
または“+”の電荷を帯電するおそれがある。絶縁層5
が帯電してしまうと、高電圧を印加したときに固定子4
の電極6a〜6cや移動子1の電極3a〜3cに生じる
静電気力が、絶縁層5が帯電した電荷により減殺されて
しまうため、移動子1に対する駆動力が低下したり、移
動子1の作動の円滑性が低下するという問題がある。
【0008】一方、上記図18に示したような従来の静
電アクチュエータでは、移動子1の停止時には、移動子
1及び固定子4の電極3a〜3c,6a〜6cに対して
印加する電圧を“0”にすると共に、外部保持機構(図
示せず)を移動子1に押し付けることにより、移動子1
を固定子4に固定保持するのが一般的であった。
【0009】しかし、この場合、外部保持機構を押し付
けた移動子1が変形するおそれがある。また、上記外部
保持機構の作動時に騒音が発生する。さらに、静電アク
チュエータと外部保持機構の作動を同期させるのは必ず
しも容易でない。さらにまた、外部保持機構を配置する
ための空間が必要となり、その分他の機器等を配置する
ために使用できない空間(デッドスペース)が増大する
と共に、静電アクチュエータの制御回路が大型化、複雑
化するという問題もある。
【0010】これに対して、移動子1の停止時に、移動
子1及び固定子4の電極3a〜3c,6a〜6cに極性
を固定して電圧を印加し、移動子1の電極3a〜3cと
固定子4の電極6a〜6cとの間に生じる静電気による
吸引力によって、移動子1を固定子4に吸着して固定保
持する方法が考えられる。この場合、上記外部保持機構
により固定保持する場合と比較して、移動子1に対する
保持力はやや低下するものの、外部保持機構が不要とな
るため、上記した作動音、デッドスペース及び制御回路
の複雑化等の問題が解消される。また、この場合、静電
アクチュエータを各種の遮光装置等に応用して製品化し
た時に、装置全体が簡素化及び小型化される。
【0011】しかしながら、移動子1及び固定子4の電
極3a〜3c,6a〜6cに極性を固定して電圧を印加
した状態で放置すると、移動子1及び固定子4の電極3
a〜3c,6a〜6cの電極電荷が絶縁層2,5に飽和
・帯電する現象が生じる。このように移動子1や固定子
4の絶縁層2,5が帯電したままの状態では、駆動再開
時に、この絶縁層2,5に帯電した電荷による吸着力に
より移動子1の駆動が妨げられるため、正常に移動子1
を作動させることができず、絶縁層2,5が強く帯電し
ている場合には、移動子1を移動させることができなく
なる。
【0012】本発明は、上記従来の静電アクチュエータ
における問題を解決し、移動子に対する駆動力を低下さ
せることがなく、かつ、複雑な制御を行うことなく、固
定子の帯電を防止することを目的としてなされたもので
ある。また、本発明は、移動子の停止時における固定子
及び移動子の帯電を防止し、再駆動時に移動子が円滑に
移動できるようにすることを目的としてなされたもので
ある。
【0013】
【0014】
【0015】
【課題を解決するための手段】 請求項は、絶縁層に複
数の電極を配設した固定子と、絶縁層に複数の電極を配
設し、固定子に対して移動可能に配置した移動子とを備
え、上記固定子の電極と移動子の電極に電圧を印加し
て、移動子の電極と固定子の電極の間に生じる吸引力と
反発力により移動子を駆動する静電アクチュエータであ
って、上記移動子の停止時に、互いに対向する移動子の
電極と固定子の電極に異なる極性の電圧を印加し、か
つ、移動子及び固定子の各電極に正負を交互に切り替え
て電圧を印加するように、移動子及び固定子の電極に複
数のステップからなる周期で極性を切り替えて電圧を印
し、かつ上記移動子及び固定子の各電極に印加する電
圧の極性を切り替える前に、その電極をグランドに接続
するステップを設けたことを特徴とする静電アクチュエ
ータを提供するものである。
【0016】請求項のように、移動子の停止時に、互
いに対向する移動子の電極と固定子の電極には異なる極
性の電圧が印加され、かつ、移動子及び固定子の各電極
には正負を交互に切り替えて電圧が印加する構成とした
場合には、移動子の電極と固定子の電極の間に生じる吸
引力により、移動子が保持される。また、移動子及び固
定子の電極に印加される電圧に偏りがないため、移動子
及び固定子の絶縁層の帯電を防止することができる。
【0017】また、上記移動子の停止時において、上記
移動子及び固定子の各電極に印加する電圧の極性を切り
替える前に、その電極をグランドに接続するステップを
設けている。このようにグランドに接続するステップを
設けたことにより、誤作動の原因となるいわゆるリプル
ノイズの発生を防止することができる。
【0018】本発明に係る静電アクチュエータは、移動
子の電極を二つ置きに配設した電極毎に相互に接続して
3相とすると共に、固定子の電極を二つ置きに配設した
電極毎に相互に接続して3相としたものであってもよく
(請求項)、また、移動子の電極を一つ置きに配設し
た電極毎に相互に接続して2相とすると共に、固定子の
電極を一つ置きに配設した電極毎に相互に接続して2相
としたものであってもよい(請求項)。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、図面に示す実施の形態に基
づいて本発明について詳細に説明する。図1及び図2
は、本発明の第1実施形態に係る静電アクチュエータを
示している。この静電アクチュエータは、移動子21、
固定子22、制御手段23、操作スイッチ24及び高電
圧源25を備えている。
【0020】移動子21は、固定子22に対して平行移
動可能に保持されており、図2(A)に示すように、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)等の誘電体からな
る板状の絶縁層26の一方の面に、導電性を有する金属
からなる細長い長方形状の複数の電極27a,27b,
27c・・・27a,27b,27c・・・を櫛歯状に
設けている。これらの電極27a〜27cは、2つ置き
に位置する電極27a〜27c毎に互いに接続してい
る。このうち電極27aは、絶縁層26の電極27a〜
27cを設けたほうの面の一方の側部に設けた給電部2
8Aに接続しており、a相を構成している。また、電極
27bは、絶縁層26の電極27a〜27cを設けたほ
うの面の他方の側部に設けた給電部28Bに接続してお
り、b相を構成している。さらに、電極27cは、絶縁
層26の電極27a〜27cを設けた面と反対側の面に
設けた給電部28Cに、絶縁層26に設けた貫通孔(ス
ルホール26a)に配置した導電部材29を介して接続
しており、c相を形成している。
【0021】上記移動子21の各相の電極27a〜27
cは、その幅d1を等しく設定している。また、電極2
7a〜27c相互間の間の間隔(電極ピッチP1)も等
しく設定している。
【0022】上記移動子21の電極27a〜27cのう
ち、a相の電極27aは、給電部28AからリレーR1
を介して高電圧源25の“+”側と接続すると共に、リ
レーR4を介して高電圧源25の“−”側と接続し、さ
らに、リレーR7を介してグランド35(電位が“0”
である。)に接続している。同様に、移動子21のb相
の電極27bは、給電部28Bから、リレーR2,R
5,R8を介してそれぞれ高電圧源25の“+”側、
“−”側及びグランド35に接続している。また、上記
移動子21のc相の電極27cも、給電部28Cから、
リレーR3,R6,R9を介してそれぞれ高電圧源25
の“+”側、“−”側及びグランド35に接続してい
る。これらのリレーR1〜R9は、制御手段23の指令
に応じて開閉し、移動子21の電極27a〜27cと、
上記高電圧源25の“−”側、“+”側あるいはグラン
ド35の間を連通、遮断する。
【0023】固定子22は、図2(B)に示すように、
PET等の誘電体からなる板状の絶縁層30の一方の面
に、導電性を有する金属からなる細長い長方形状の複数
の電極31a,31b,31c・・・31a,31b,
31c・・・を設けている。これらの電極31a〜31
cは2つ置きに位置する電極31a〜31c毎に互いに
接続している。このうち電極31aは、絶縁層30の電
極31a〜31cを設けたほうの面の一方の側部に設け
た給電部32Aに接続しており、U相を構成している。
また、電極31bは、絶縁層30の電極31a〜31c
を設けたほうの面の他方の側部に設けた給電部32Bに
接続しており、V相を構成している。さらに、電極31
cは、絶縁層30の電極31a〜31cを設けた面と反
対側の面に設けた給電部32Cに、絶縁層30に設けた
スルホール30aに配置した導電部材33を介して接続
しており、W相を形成している。
【0024】上記固定子22の各相の電極31a〜31
cは、その幅d2を等しく設定しており、この幅d2
は、上記移動子21の各相の電極27a〜27cの幅d
1と等しい。また、各電極31a〜31c間の電極ピッ
チP2も均一であり、この電極ピッチP2は、上記移動
子21の電極ピッチP1と等しい。
【0025】上記固定子22の電極31a〜31cのう
ち、U相の電極31aは、給電部32AからリレーR1
1を介して高電圧源25の“+”側と接続すると共に、
リレーR14を介して高電圧源25の“−”側と接続
し、さらに、リレーR17を介してグランド35に接続
している。同様に、上記固定子22のV相の電極31b
は、給電部32Bから、リレーR12,R15,R18
を介してそれぞれ高電圧源25の“+”側、“−”側及
びグランド35に接続している。また、上記固定子22
のW相の電極31cは、給電部32Cから、リレーR1
3、リレーR16,リレーR19を介してそれぞれ高電
圧源25の“+”、“−”側及びグランド35に接続し
ている。リレーR11〜R19は、制御手段23の指令
に応じて、固定子22の電極31a〜31cと、高電圧
源25の“−”側、“+”側あるいはグランド35との
間を連通、遮断する。
【0026】制御手段23は、上記リレーR1〜R19
を以下のように切り替えて、上記移動子21及び固定子
22の電極27a〜27c,31a〜31cに印加する
電圧の極性を変化させる。
【0027】まず、移動子21の電極27a〜27cに
“+”の高電圧を印加するときには、制御手段23がリ
レーR1〜R3を連通させると共に、リレーR4〜R9
を遮断する。また、移動子21の電極27a〜27cに
“−”の高電圧を印加するときには、制御手段23はリ
レーR4〜R6を連通させると共に、リレーR1〜R3
及びリレーR7〜R9を遮断する。さらに、移動子21
の電極27a〜27cの電位を“0”にする場合は、リ
レーR7〜R9を連通させると共に、リレーR1〜R6
を遮断する。
【0028】同様に、固定子22の電極31a〜31c
に“+”の高電圧を印加するときには、制御手段23が
リレーR11〜R13を連通させると共に、リレーR1
4〜R19を遮断する。また、固定子22の電極31a
〜31cに“−”の高電圧を印加するときには、制御手
段23はリレーR14〜R16を連通させると共に、リ
レーR11〜R13及びリレーR17〜R19を遮断す
る。さらに、固定子22の電極31a〜31cの電位を
“0”にする場合は、リレーR17〜R19を連通させ
ると共に、リレーR11〜R16を遮断する。
【0029】次に、第1実施形態の作動について説明す
る。この静電アクチュエータでは、制御手段23が操作
スイッチ24の設定に応じて、上記リレーR1〜R19
を開閉することにより、移動子21及び固定子22の電
極27a〜27c,31a〜31cに極性を切り替えて
高電圧を印加する。
【0030】図3中、時刻t6まで及び時刻t13以降
は、操作スイッチ24が“停止”に設定されている。な
お、本実施形態では、移動子21の停止時には、図4
(A)〜(C)に示すように、a相の電極27aとV相
の電極31b、b相の電極27bとW相の電極31c、
さらにc相の電極27cとU相の電極31aとがそれぞ
れ対向している。
【0031】この移動子21の停止期間中は、電極27
a〜27c,31a〜31cに電圧を印加し、移動子2
1の電極27a〜27cと固定子22の電極31a〜3
1cとの間の静電気による吸引力により、移動子21を
固定子22に吸着させて停止状態で固定保持するが、こ
の電極27a〜27c,31a〜31cに対する電圧の
印加は、移動子21及び固定子22の絶縁層26,30
が帯電しないように行っている。
【0032】具体的には、上記移動子21の停止期間中
は、微小時間の周期C’を繰り返して移動子21及び固
定子22の電極27a〜27c,31a〜31cに対し
て電圧を印加する。この周期C’は、第1の吸着ステッ
プS1’、第1のグランド接続ステップS2’、第2の
吸着ステップS3’及び第2のグランド接続ステップS
4’からなる。上記第1及び第2の吸着ステップS
1’,S3’の継続時間は等しく、また、第1及び第2
のグランド接続ステップS2’,S4’の継続時間も等
しい。
【0033】上記第1の吸着ステップS1’(図3中、
時刻t1から時刻t2)には、図4(A)に示すように、
移動子21のa相の電極27aに対して“−”の電圧を
印加し、このa相の電極27aと対向する固定子22の
V相の電極31bに対して“+”の極性の電圧を印加す
る。また、移動子21のb相の電極27bに対して
“+”の電圧を印加し、これと対向する固定子22のW
相の電極31cに対して“−”の電圧を印加する。さら
に、移動子21のc相の電極27a及びこれと対向する
固定子22のU相の電極31aをグランド35に接続し
て電位“0”とする。よって、第1の吸着ステップS
1’の間は、移動子21のa相の電極27aとV相の電
極31bとの間の静電気による吸引力と、移動子21の
b相の電極27bとW相の電極31cとの間の静電気に
よる吸引力とにより、移動子21が固定子22に吸着さ
れ、停止状態で固定保持される。
【0034】上記第1の吸着ステップS1’に続いて第
1のグランド接続ステップS2’(図3中時刻t2から
時刻t3)となり、この第1のグランド接続ステップS
2’は、図4(B)に示すように、移動子21のa相か
らc相の電極27a〜27c及び固定子22のU相から
W相の電極31a〜31cをすべてグランド35に接続
して電位“0”とする。
【0035】第1のグランド接続ステップS2’に続い
て第2の吸着ステップS3’(図3中時刻t3から時刻
4)となる。この第2の吸着ステップS3’は、上記
第1の吸着ステップS1’と逆の極性で移動子21及び
固定子22の電極27a〜27c,31a〜31cに対
して電圧を印加する。すなわち、図4(C)に示すよう
に、移動子21のa相の電極27aに“+”の電圧を印
加し、これと対向すV相の電極31bに“−”の電圧を
印加する。また、移動子21のb相の電極27bに
“−”の電圧を印加し、これと対向するW相の電極31
cに“+”の高電圧を印加する。さらに、c相の電極2
7c及びU相の電極31aをグランド35に接続する。
この第2の吸着ステップS3’には、上記第1の吸着ス
テップS1’と同様に、a相の電極27aとV相の電極
31bとの間及びb相の電極27bとW相の電極31c
との間に静電気による吸引力が発生し、この吸引力によ
り移動子21が固定子22に吸着されて停止状態で固定
保持される。
【0036】第2の吸着ステップS3’に続いて、第2
のグランド接続ステップS4’となり(図3中時刻t4
から時刻t5)、図4(D)に示すように、移動子21
及び固定子22の電極27a〜27c,31a〜31c
をすべてグランド35に接続して電位“0”とする。
【0037】このように第1実施形態では、各周期C’
の第1及び第2の吸着ステップS1’,S3’に、移動
子21のa相の電極27aと固定子22のV相の電極3
1bとの間に生じる吸引力及び移動子21のb相の電極
27bと固定子22のW相の電極31cとの間に生じる
吸引力により、移動子21を固定子22に吸着するた
め、移動子21を固定子22に対して停止した状態で固
定保持できる。そのため、第1実施形態の静電アクチュ
エータでは、上記した移動子を固定保持するための外部
保持機構を設ける必要がない。
【0038】また、上記のようにa相の電極27a、b
相の電極27b、V相の電極31b及びW相の電極31
cに印加する電圧は、それぞれ第1の吸着ステップS
1’と第2の吸着ステップS3’では極性を反転させる
設定としており、かつ、第1の吸着ステップS1’と第
2の吸着ステップS3’の継続時間が等しいため、1回
の周期C’内に移動子21及び固定子22に印加される
電圧の総和はそれぞれ“0”である。よって、第1実施
形態では、電極27a,27b,31b,31cに電圧
を印加することによる絶縁層26,30の帯電を防止す
ることができる。
【0039】さらに、第1実施形態では、移動子21の
a相、b相の電極27a,27b及び固定子22のV
相、W相の電極31b,31cに対して“+”または
“−”の極性の電圧を印加する第1の吸着ステップS
1’と第2の吸着ステップS3’との間に、第1のグラ
ンド接続ステップS2’または第2のグランド接続ステ
ップS4’が存在するため、上記a相、b相の電極27
a,27b及びV相、W相の電極31b,31cに印加
する電圧の極性を切り替える前に、電極27a,27
b,31a,31bはいったんグランド35に接続され
る。よって、これらの電極27a,27b,31a,3
1bに対して印加する電圧の切替が瞬間的かつ急激では
なく、誤作動の要因となるいわゆるリプルノイズの発生
を防止することができる。
【0040】さらにまた、すべての電極27a〜27
c,31a〜31cを電位“0”とする第1及び第2の
グランド接続ステップS2’,S4’を設けることによ
り、上記のように第1及び第2の吸着ステップS1’,
S3’の際に印加する電圧の極性を反転させることによ
るa相、b相の電極27a,27b及びV相、W相の電
極31b,31cの帯電除去の効率が向上する。
【0041】第1実施形態では、上記第1及び第2の吸
着ステップS1’,S3’の継続時間と、第1及び第2
のグランド接続ステップS2’,S2’の継続時間との
比率を5:1に設定している。上記第1及び第2の吸着
ステップS1’,S3’の継続時間と、第1及び第2の
グランド接続ステップS2’,S4’の比率は、上記電
極ピッチP1,P2が0.4〜0.6mm、電極の幅d
1,d2が0.2〜0.3mm、移動子21及び固定子
22の絶縁層26,30がポリエチレンテレフタレート
製でその幅が0.2〜0.3mm、移動子及び固定子の
電極に印加する電圧が±700V、上記周期C’が15
〜30Hz(0.03〜0.06s)の場合には、(第
1及び第2の吸着ステップS1’,S3’の継続時
間):(第1及び第2のグランド接続期間S2’,S
4’)=5:1に設定することが好ましく、上記のよう
に第1実施形態でもこの比率に設定している。ただし、
第1及び第2のグランド接続ステップS2’,S4’の
継続時間は、上記電極の幅d1,d2や電極ピッチP
1,P2等に応じて、第1及び第2の吸着ステップS
1’,S3’において電極に対して印加した電荷を十分
に除去できる程度に設定することが好ましい。
【0042】図3中、時刻t6から時刻t13までの間
は、操作スイッチ24が“左側に移動”に設定される。
この移動子21の駆動時には、上記移動子21の各相の
電極27a〜27c及び固定子22の各相の電極31a
〜31cに対して極性を周期的に切り替えて電圧を印加
する。この移動子21及び固定子22に対して印加する
電圧の極性の切替の周期Cは、時間間隔の等しい第1か
ら第3のステップS1,S2,S3からなる。
【0043】本実施形態では、上記1回の周期Cを構成
する第1から第3のステップS1〜S3を、等時間間隔
の前半期pと後半期qに分割して電圧を印加する。各ス
テップS1〜S3の前半期pに印加する電圧は、上記図
18及び図19に示した従来の静電アクチュエータと同
様の極性としており、後述するように、この前半期pに
印加される電圧により移動子21に駆動力が作用する。
後半期qに印加する電圧は絶縁層26,30の帯電を防
止するために印加されるものであり、前半期pに印加さ
れる電圧に対して極性を反転させて電圧を印加する。
【0044】移動子21のa相の電極27aには、第1
のステップS1の前半期pに“−”の極性の電圧を印加
し、第1のステップS1の後半期qには極性を反転させ
て“+”の極性の電圧を印加する。第2のステップS2
及び第3のステップS3も、上記第1のステップS1と
同様に、前半期pに“−”、後半期qに“+”の電圧を
印加する。また、移動子21のb相の電極27bには、
a相の電極27aと同一の波形で電圧を印加する。さら
に、移動子21のc相の電極27cには、第1から第3
のステップS1〜S3の前半期pには、“+”の極性の
電圧を印加すると共に、第1から第3のステップS1〜
S3の後半期qには極性を反転させて“−”の高電圧を
印加する。この移動子21のa相、b相及びc相の電極
27a〜27cに対する電圧の印加は、上記図18及び
図19に示す従来の静電アクチュエータの移動子に印加
する電圧波形において、各ステップS1〜S3の後半期
qで極性を反転させたものである。
【0045】第1実施形態では、このような波形で移動
子21に対して電圧を印加しているため、移動子21の
a相からc相の電極27a〜27cのいずれについて
も、各ステップS1,S2,S3毎に印加される電圧の
総和が“0”であり、また、1周期C内に印加される電
圧の総和も“0”である。よって、移動子21の電極2
7a〜27cに電圧を印加することにより絶縁層26が
帯電するのを防止することができる。
【0046】移動子21の移動期間中は、固定子22の
U相、V相及びW相の電極31a〜31cに対して同一
の波形で電圧を印加しており、V相に対して印加する電
圧はU相に対して1ステップ分(1/3・C)だけ位相
を進めており、W相に対して印加する電圧はU相に対し
て2ステップ分(2/3・C)だけ位相を進めている。
【0047】上記U相の電極31aに対しては、以下の
ように電圧を印加している。まず、第1のステップS1
の前半期pには“+”、第2のステップS2の前半期に
は“+”、第3のステップS3の前半期pには“−”の
電圧を印加する。これら各ステップS1〜S3の前半期
pに印加される電圧の極性は、上記図18及び図19に
示した従来の静電アクチュエータにおいて、固定子2の
電極に対して第1から第3のステップS1〜S3に印加
する電圧の極性と同様である。
【0048】一方、第1から第3のステップS1〜S3
の後半期qには、上記前半期pに印加する電圧と極性を
反転させた電圧を印加する。すなわち、U相の31aに
対しては、第1のステップS1の後半期qに“−”、第
2のステップS2の後半期qに“−”、第3のステップ
S3の後半期qに“+”の電圧を印加している。
【0049】上記V相の電極31bに対しては、上記の
ようにU相の電極31aに対して1ステップだけ位相を
進めて電圧を印加しており、第1から第3のステップS
1〜S3の前半期pには、それぞれ“+”,“−”,
“+”の電圧を印加し、第1から第3のステップS1〜
S3の後半期qには、電圧の極性を反転させてそれぞれ
“−”,“+”,“−”の電圧を印加している。
【0050】上記W相の電極31cに対しては、上記の
ようにU相の電極31aに対して2ステップだけ位相を
進めて電圧を印加しており、第1から第3のステップS
1〜S3の前半期pには、それぞれ“−”,“+”,
“+”の電圧を印加し、第1から第3ステップS1〜S
3の後半期qには、電圧の極性を反転させてそれぞれ
“+”,“−”,“−”の電圧を印加する。
【0051】このように第1実施形態では、固定子22
のU相からW相の電極31a〜31cには、第1から第
3のステップS1〜S3の前半期pに印加する電圧と逆
の極性の電圧を後半期qに印加するため、各ステップS
1〜S3毎にU相からW相の電極31a〜31cに印加
される電圧の総和は“0”である。よって、固定子22
の絶縁層30が各相の電極31a〜31cに対して印加
する電圧により帯電するのを防止することができる。
【0052】次に、図5(A)〜(E)及び図6(A)
〜(D)を参照して、上記1回の周期Cの移動子21の
移動について説明する。なお、上記したように、移動子
21が停止しているときは、a相の電極27aとV相の
電極31b、b相の電極27bとW相の電極31b、さ
らにc相の電極27cとU相の電極31aがそれぞれ対
向する状態にあるため、上記操作スイッチ24を“移
動”に設定した時点では、移動子21と固定子22の位
置関係は、この状態にあるものとする。
【0053】図5(A)に示すように、第1のステップ
S1の前半期p(図3の時刻t6から時刻t7)には、移
動子21のa相及びb相の電極27a,27bに
“−”、c相の電極27cに“+”の高電圧が印加され
る。また、固定子22のU相及びV相の電極31a,3
1bには“+”、W相の電極31cには“−”の電圧が
印加される。そのため、図5(A)中、矢印で示すよう
に、移動子21の電極27a〜27cと固定子22の電
極31a〜31cの間に静電気による吸引力、反発力が
作用し、移動子21を図中左側へ移動させる駆動力を生
じる。なお、図5及び図6において、電極27a〜27
c,31a〜31c間に示す矢印のうち、下向きの矢印
は移動子21を固定子22側に吸引する力(吸引力)を
示し、上向きの矢印は移動子2を固定子22から離反さ
せる力(反発力)を示している。
【0054】図5(B)は、上記第1のステップS1の
前半期pが終了した時点(図3の時刻t7)を示し、こ
の時点では上記電極27a〜27c,31a〜31c間
に生じる吸引力・反発力により、上記図5(A)に示す
状態から、移動子21がちょうど1ピッチ分だけ左側に
移動している。すなわち、移動子21のa相、b相及び
c相の電極27a,27b,27cがそれぞれ固定子2
2のU相、V相、W相の電極31a,31b,31cと
対向している。
【0055】図5(C)は、第1のステップS1の後半
期q(図3の時刻t7から時刻t8)を示している。この
後半期qには、電極27a〜27c,31a〜31cに
印加される電圧の極性が上記前半期pに印加する電圧の
極性が反転する。すなわち、移動子21のa相からc相
の電極27a〜27cには、それぞれ“+”,“+”,
“−”の電圧が印加され、固定子22のU相からW相の
電極31a〜31cには、それぞれ“−”“−”“+”
の電圧が印加される。この図5(C)に示すように、第
1のステップS1の後半期qには移動子21の電極27
a〜27cと固定子22の電極31a〜31cとの間に
作用する力は、互いに対向する電極27a〜27c,3
1a〜31c間に作用する吸引力が最も大きいため、移
動子21を左側に移動させる駆動力は殆ど作用しない。
【0056】このように前半期pに印加した電圧と反対
の極性の電圧を後半期qに移動子21及び固定子22の
電極27a〜27c,31a〜31cに印加することに
より、第1のステップS1の間に移動子21及び固定子
22の各電極27a〜27c,31a〜31cに印加さ
れる電圧の総和は“0”としているため、移動子21及
び固定子22の絶縁層26,30の帯電を防止すること
ができる。
【0057】図5(D)は、第2のステップS2の前半
期p(図3の時刻t8から時刻t9)を示している。この
第2のステップS2の前半期pには、移動子21のa相
からc相の電極27a〜27cにそれぞれ“−”,
“−”,“+”の高電圧が印加される。また、固定子2
2のU相からW相の電極31a〜31cには、“+”
“−”“+”の電圧が印加される。そのため、図5
(D)中、矢印で示すように、移動子21の電極27a
〜27cと固定子22の電極31a〜31cの間に静電
気による吸引力、反発力が作用し、移動子21を図中左
側へ移動させる駆動力が作用する。
【0058】図5(E)は、第1のステップS1の前半
期pが終了した時点(図3の時刻t9)を示し、移動子
21が1ピッチ分だけ左側に移動して、移動子21のa
相の電極27aと固定子22のW相の電極31cが対向
し、移動子21のb相の電極27bと固定子22のU相
の電極31aが対向しており、さらに、移動子21のc
相の電極27cと固定子22のV相の電極31bが対向
している。
【0059】図6(A)は、第2のステップS2の後半
期q(図3の時刻t9から時刻t10)を示している。こ
の後半期qに電極27a〜27c,31a〜31cに印
加される電圧の極性は、上記前半期pに印加する電圧に
対して反転しており、移動子21のa相からc相の電極
27a〜27cには、それぞれ“+”“+”“−”の電
圧が印加され、固定子22のU相からW相の電極31a
〜31cには、それぞれ“−”“+”“−”の電圧が印
加される。よって、第2のステップS2の間に各電極2
7a〜27c,31a〜31cに印加される電圧の総和
は“0”であり、移動子21及び固定子22の絶縁層2
6,30の帯電を防止することができる。
【0060】図6(B)は第3のステップS3の前半期
p(図3の時刻t10から時刻t11)を示し、移動子21
のa相からc相の電極27a〜27cには、それぞれ
“−”、“−”、“+”の高電圧が印加される。また、
固定子22のU相からW相の電極31a〜31cには、
それぞれ“−”、“+”、“+”の電圧が印加される。
よって、移動子21の電極27a〜27cと固定子22
の電極31a〜31cの間に静電気により、移動子21
に図中左側向きの駆動力が作用する。
【0061】図6(C)は、第3のステップS3の前半
期pが終了した時点(図3の時刻t11)を示している。
この時点では移動子21がさらに1ピッチ分だけ左側に
移動している。すなわち、移動子21のa相の電極27
aと固定子22のV相の電極31bが対向し、移動子2
1のb相の電極27bと固定子22のW相の電極31c
が対向しており、さらに、移動子21のc相の電極27
cと固定子22のU相の電極31aが対向している。
【0062】図6(D)は、第3のステップの後半期q
(図3の時刻t11から時刻t12)を示し、この後半期q
には上記第3のステップS3の前半期pには、電極27
a〜27c,31a〜31cに印加する電圧の極性を反
転し、移動子21のa相、からc相の電極27a〜27
cにそれぞれ“+”“+”“−”の電圧を印加し、固定
子22のU相からW相の電極31a〜31cには、
“+”“−”“−”の電圧を印加する。よって、第3の
ステップS3の間には各電極27a〜27c,31a〜
31cに印加される電圧の総和は“0”となり、移動子
21及び固定子22の絶縁層26,30の帯電を防止す
ることができる。
【0063】このように、第1実施形態に係る静電アク
チュエータでは、駆動時中は、1周期Cの各ステップS
1〜S3を前半期pと後半期qとに分けて、前半期pに
は移動子21に対して駆動力が作用するように移動子2
1及び固定子22の電極27a〜27c,31a〜31
cに電圧を印加する一方、各ステップS1〜S3の後半
期qには、前半期pとは極性を反転させて電圧を印加し
ているため、移動子21及び固定子22の絶縁層26,
30の帯電を防止することができる。また、本実施形態
では、移動子21の電極27a〜27c及び固定子22
に対して1回の周期Cの間に印加する電圧の総和も
“0”であるため、これによっても移動子21及び固定
子22の絶縁層26,30の帯電を防止することができ
る。
【0064】このように第1実施形態では、移動子21
の駆動中に電極27a〜27c,31a〜31cに電圧
を印加することによる移動子21及び固定子22の絶縁
層26,30の帯電を防止することができるため、この
絶縁層26,30の帯電により移動子21の電極27a
〜27cと固定子22の電極31a〜31cの間に作用
する静電力が減殺されることによる移動子21の駆動力
の低下を防止することができる。
【0065】なお、操作スイッチ14が“右側に移動”
に設定された場合には、固定子22の電極31a,31
b,31cに対して同一パターンで、かつV相の電極3
1bとW相の電極31cに対して、U相の電極31aよ
りそれそれ2ステップ、4ステップだけ位相を遅らせ
て、極性を切り替えて電圧を印加すればよい。
【0066】図7及び図8は、本発明の第2実施形態を
示している。この第2実施形態は、上記移動子21、固
定子22等の構造及び移動子21の駆動時に電極27a
〜27c,31a〜31c印加する電圧の波形は、第1
実施形態と同様であるが、移動子21の停止時に移動子
21及び固定子22に対して印加する電圧を異ならせて
いる。
【0067】すなわち、第2実施形態では、図7に示す
ように、移動子21のa相及びb相の電極27a,27
b、固定子22のV相及びW相の電極31b,31cに
対しては、第1実施形態と同様の波形で電圧を印加し、
かつ、移動子21のc相の電極27c及び固定子22の
U相の電極31aに対しても電圧を印加する。各周期
C’の第1の吸着ステップS1’では、図8(A)に示
すように、c相の電極27cに対して“+”、U相の電
極31aに対して“−”の電圧を印加する。第1のグラ
ンド接続ステップS2’では、図8(B)に示すよう
に、c相の電極27c及びU相の電極31cに印加する
電位を“0”とする。第2の吸着ステップS2’では、
図8(C)に示すように、c相の電極27cに対して
“−”、U相の電極31aに対して“+”の電圧を印加
する。また、第2のグランド接続ステップS4’には、
図8(D)に示すように、c相の電極27c及びW相の
電極31cをグランド35に接続して電位“0”とす
る。
【0068】この第2実施形態では、各周期C’の第1
及び第2の吸着ステップS1’,S3’には、移動子2
1のa相からc相の全相の電極27a〜27cと固定子
22のU相からW相の全相の電極31a〜31cに間に
作用する吸引力により移動子21が固定保持されるた
め、上記第1実施形態の場合と比較して移動子21の保
持力が約1.5倍となる。
【0069】図9及び図10は、本発明の第3実施形態
を示している。この第3実施形態では、移動子21の電
極27a,27b・・・を2相とし、固定子22の電極
31a,31b・・・も2相としている。
【0070】移動子21は、図10(A)に示すよう
に、PET等の誘電体からなる板状の絶縁層26の一方
の面に、導電性を有する金属からなり、細長い長方形状
の複数の電極27a,27b,・・・27a,27b・
・・を設けている。これらの電極27a,27bは一つ
置きに位置する電極27a,27b毎に絶縁層26の両
側に設けた給電部28A,28Bに接続しており、一方
の給電部28Aに接続された電極27a,27a・・・
がa相を構成し、他方の給電部28Bに接続された電極
27b,27b・・・・がb相を構成している。
【0071】上記移動子21の各相の電極27a,27
bは、その幅d1及び電極ピッチP3を等しく設定して
おり、a相の電極27aのうちの任意の電極27aと、
この電極27aの図1中の右側に隣接するb相の電極2
7b間の間隔をL1、b相の電極27bのうちの任意の
電極27bと、この電極27bの図1中右側に隣接する
a相の電極27aの間隔をL2とすると、L1:L2は
1:1である。
【0072】上記移動子21のa相の電極27aは給電
部28AからリレーR31,R33,R35を介してそ
れぞれ高電圧源25の“+”側、“−”側及びグランド
35に接続している。また、移動子21のb相の電極2
7bは、給電部28BからリレーR32,R34,R3
6を介してそれぞれ高電圧源25の“+”側、“−”側
及びグランド35に接続している。
【0073】固定子22は、図10(B)に示すよう
に、PET等の誘電体からなる板状の絶縁層30の一方
の面に、導電性を有する金属からなり、細長い長方形状
の複数の電極31a,31b・・・31a,31b・・
・を設けている。これらの電極31a,31bは一つ置
きに位置する電極31a,31b毎に絶縁層30の両側
に設けた給電部32A,32Bに接続され、一方の給電
部32Aに接続された電極31a,31a・・・がU相
を構成し、他方の給電部32Bに接続された電極31
b,31b・・・がV相を構成している。
【0074】上記固定子22の各相の電極31a,31
bは、その幅d2を等しく設定しており、また、この幅
d2は、上記移動子21の各相の電極27a,27bの
幅d1と等しい。固定子22の電極ピッチは不均一とし
ている。すなわち、U相の電極31aのうち任意の電極
31aと、この電極31aの図9中右側に隣接するV相
の電極31bの距離をL3、V相の電極31bのうちの
任意の電極31bと、この電極31bの図9中右側に隣
接するU相の電極31aの距離をL4とすると、L3:
L4を1:3に設定している。
【0075】上記固定子22のU相の電極31aは給電
部32AからリレーR41,R43,R45を介してそ
れぞれ高電圧源25の“+”側“−”側及びグランド3
5に接続している。また、固定子22のV相の電極31
bは、給電部32BからリレーR42,R44,R46
を介してそれぞれ高電圧源25の“+”側“−”側及び
グランド35に接続している。
【0076】この第3実施形態の静電アクチュエータで
は、上記のように移動子21及び固定子22の電極27
a,27b,31a,31bをともに2相としているた
め、移動子21及び固定子22のいずれにもスルーホー
ルや導電部材を設ける必要がなく、また、上記リレーR
31〜R36,R41〜R46の個数を低減することが
できる。
【0077】制御手段23は、上記第1実施形態の場合
と同様に、制御スイッチ24の設定に応じて上記リレー
R31〜R36,R41〜R46の連通・遮断すること
により、上記移動子21及び固定子22の電極27a,
27b,31a,31bに印加する電圧を切り替える。
第3実施形態に係る静電アクチュエータのその他の構造
は、上記第1実施形態と同様であり、図9中、第1実施
形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0078】次に、第3実施形態の作動について説明す
る。図11中、時刻t6まで及び時刻t23以降は、操作
スイッチ24が“停止”に設定されている。なお、図1
2(A)〜(D)に示すように、移動子21の停止時の
移動子21と固定子22の位置関係は、移動子21のa
相の電極27aと固定子22のU相の電極31aが対向
し、移動子21のa相の電極27aとb相の電極27b
の中間位置にV相の電極31bが位置している。
【0079】この移動子21の停止時には、移動子21
のa相の電極27aと固定子22のU相の電極31aに
電圧を印加し、これらの電極27a,31a間に生じる
静電気による吸引力により、移動子21を固定子22に
吸着させて固定保持している。この電極27a,31a
に対する電圧の印加は、移動子21及び固定子22の絶
縁層26,30が帯電しないように行っている。
【0080】具体的には、上記移動子21の停止期間中
は、上記第1実施形態と同様に、第1の吸着ステップS
1’、第1のグランド接続ステップS2’、第2の吸着
ステップS3’及び第2のグランド接続ステップS4’
からなる微小時間の周期C’を繰り返して移動子21及
び固定子22の電極27a,27b,31a,31bに
対して電圧を印加する。上記第1及び第2の吸着ステッ
プS1’,S3’は継続時間が等しく、また、第1及び
第2のグランド接続ステップS2’,S4’は継続時間
も等しい。
【0081】上記第1の吸着ステップS1’(図11の
時刻t1から時刻t2)には、図12(A)に示すよう
に、移動子21のa相の電極27aに対して“−”の電
圧を印加し、このa相の電極27aと対向する固定子2
2のU相の電極31aに対して“+”の極性の電圧を印
加する。一方、移動子21のb相の電極27b及び固定
子22のV相の電極31bをグランド35に接続し、電
位“0”とする。よって、この第1の吸着ステップS
1’では、図12(A)中矢印で示すように、移動子2
1のa相の電極27aとU相の電極31aとの間に静電
気による吸引力が発生し、移動子21に固定子22が吸
着され、停止状態で固定保持される。
【0082】上記第1の吸着ステップS1’に続く第1
のグランド接続ステップS2’(図11の時刻t2から
時刻t3)には、図12(B)に示すように、移動子2
1及び固定子22の電極27a,27b,31a,31
bをすべてグランド35に接続し、電位“0”とする。
【0083】第1のグランド接続ステップS2’に続く
第2の吸着ステップS3’(図11の時刻t3から時刻
4)には、上記第1の吸着ステップS1’と逆の極性
で移動子21のa相の電極27a及び固定子22のU相
の電極31aに電圧を印加する。すなわち、図12
(C)に示すように、a相の電極27aに“+”の電圧
を印加し、これと対向するU相の電極31aに“−”の
電圧を印加する。また、b相の電極27b及びV相の電
極31bをグランド35に接続し、電位“0”とする。
【0084】この第2の吸着ステップS3’では、上記
第1の吸着ステップS1’と同様に、図12(C)に示
すうに、a相の電極27aとU相の電極31aとの間に
静電気による吸引力が発生し、移動子21は停止状態で
固定保持される。
【0085】第2の吸着ステップS3’に続いて、第2
のグランド接続ステップS4’(図11の時刻t4から
時刻t5)となり、図12(D)に示すように、移動子
21及び固定子22の電極27a,27b,31a,3
1bをすべてグランド35に接続して電位“0”とす
る。
【0086】このように第3実施形態では、第1及び第
2の吸着ステップS1’,S3’に移動子21のa相の
電極27aと固定子22のU相の電極31aとの間に生
じる吸引力により、停止状態の移動子21を固定子22
に固定保持するため、外部保持機構を設ける必要がな
い。
【0087】また、上記のようにa相の電極27a及び
U相の電極31aに印加する電圧の極性は、それぞれ第
1の吸着ステップS1’と第2の吸着ステップS3’と
で反転させており、かつ、第1の吸着ステップS1’と
第2の吸着ステップS3’の継続時間が等しいため、1
回の周期C’に移動子21及び固定子22に印加する電
圧の総和は“0”である。よって、第1実施形態では、
電極27a,27b,31a,31bに電圧を印加する
ことにより絶縁層26,30が帯電するのを防止するこ
とができる。
【0088】さらに、第3実施形態では、移動子21の
a相、b相の電極27a,27b及び固定子22のU
相、V相の電極31a,31bに対して“+”または
“−”の極性の電圧を印加する第1の吸着ステップS
1’と第2の吸着ステップS3’との間に、第1のグラ
ンド接続ステップS1’または第2のグランド接続ステ
ップS2を設け、上記a相、b相の電極27a,27b
及びU相、V相の電極31a,31bに印加する電圧の
極性を切り替える前に電極27a,27b,31a,3
1bの電位を“0”としている。よって、これらの電極
27a,27b,31a,31bに対して印加する電圧
の極性は、瞬間的かつ急激に切り替えられないため、誤
作動の要因となるいわゆるリプルノイズの発生を防止す
ることができる。
【0089】さらにまた、すべての電極27a,27
b,31a,31bを電位“0”とする第1及び第2の
グランド接続ステップS2’,S4’を設けることによ
り、上記のように第1及び第2の吸着ステップS1’,
S3’の際に印加する電圧の極性を反転させることによ
るa相、b相の電極27a,27b及びU相、V相の電
極31a,31bの帯電除去の効率が向上する。
【0090】図11中、時刻t6から時刻t23までの間
は、操作スイッチ24が“右側に移動”に設定される。
この移動子21の駆動時には、第1から第8のステップ
S1〜S8からなる周期Cを繰り返して電圧を印加し、
かつ、これら第1から第8のステップS1〜S8を等時
間間隔の前半期pと後半期qとに分割している。各ステ
ップS1〜S8の前半期pには、移動子21に駆動力が
作用するように電圧を印加し、後半期qには絶縁層2
6,30の帯電を防止するために前半期pと極性を反転
させて電圧を印加する。
【0091】移動子21のa相の電極27aには、第1
のステップS1の前半期pに“−”の極性の電圧を印加
し、第1のステップS1の後半期qには極性を反転させ
て“+”の極性の電圧を印加する。第2から第8のステ
ップS2〜S8も、上記第1のステップS1と同様に、
前半期pに“−”、後半期qに“+”の電圧を印加す
る。移動子21のb相の電極27bには、第1のステッ
プS1の前半期pに“+”の極性の電圧を印加し、第1
のステップS1の後半期qには極性を反転させて“−”
の極性の電圧を印加する。第2から第8のステップS2
〜S8も同様に、前半期pに“−”、後半期qに“+”
の電圧を印加する。
【0092】第3実施形態では、このような波形で電圧
を印加しているため、移動子21のa相及びb相の電極
27a,27bのいずれも、各ステップS1〜S8内に
印加される電圧の総和が“0”となり、また、1周期C
内に印加される電圧の総和も“0”である。よって、移
動子21の駆動時に、移動子21の電極27a,27b
に印加する電圧により絶縁層26が帯電するのを防止す
ることができる。
【0093】移動子21の移動期間中は、固定子22の
U相及びV相の電極31a,31bに対して同一の波形
で電圧を印加しており、V相の電極31aにはU相の電
極31bに対して6ステップ分(3/4・C)だけ位相
を進めて電圧を印加している。
【0094】上記U相の電極31aに対しては、第1〜
から第8のステップS1〜S8の前半期pには、移動子
21に駆動力を作用させるためにそれぞれ“+”,
“+”,“0”,“−”,“−”,“−”,“0”,
“+”の電圧を印加する。一方、第1から第8のステッ
プS1〜S8の後半期qには、これと極性を反転させて
それぞれ“−”“−”“0”“+”“+”“+”“0”
“−”の電圧を印加する。
【0095】次に、V相の電極31bには、第1から第
8のステップS1〜S8の前半期pに、移動子21に駆
動力を作用させるためにそれぞれ“0”,“+”,
“+”,“+”,“0”,“−”,“−”,“−”の電
圧を印加する。一方、第1から第8のステップS1〜S
8の後半期qには、これらと極性を反転させて“0”
“−”,“−”,“−”,“0”,“+”,“+”,
“+”の電圧を印加する。
【0096】このように第1実施形態では、固定子22
のU相、V相の電極31a,31bには、第1から第8
のステップS1〜S8の前半期pに印加する電圧と逆の
極性の電圧を後半期qに印加するため、各ステップS1
〜S8毎にU相及びV相の電極31a,31bに印加さ
れる電圧の総和は“0”であり、かつ、各周期C毎に固
定子22のU相及びV相の電極31a,31bに印加さ
れる電圧の総和も“0”である。よって、この第1実施
形態の静電アクチュエータでは、移動子21の駆動時に
固定子22の電極31a,31bに対して電圧を印加す
ることにより絶縁層30が帯電するのを防止することが
できる。
【0097】次に、図13から図17を参照して、1回
の周期Cの移動子21の移動について説明する。なお、
上記したように、移動子21が停止している状態では、
移動子21のa相の電極27aと固定子22のU相の電
極31aが対向し、移動子21のa相の電極27aとb
相の電極27bの中間位置にV相の電極31bが位置し
ているため、操作スイッチ24を“移動”に設定した時
点では、移動子21と固定子22の位置関係にあるもの
とする。
【0098】図13(A)に示すように、第1のステッ
プS1の前半期p(図11の時刻t6から時刻t7)に
は、移動子21のa相、b相の電極27aにそれぞれ
“−”,“+”の電圧が印加される。また、固定子22
のU相の電極31aに“+”の電圧が印加され、V相の
電極31bは電位“0”となる。
【0099】図13(B)に示すように、第1のステッ
プS1の後半期q(図11の時刻t7から時刻t8)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bにそ
れぞれ“+”,“−”の電圧が印加される。また、固定
子22のU相の電極31aに“−”の電圧が印加され、
V相の電極31bは電位“0”となる。
【0100】図13(C)に示すように、第2のステッ
プS2の前半期pの開始時点(図11の時刻t8)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bに印
加される電圧がそれぞれ“−”,“+”に切り替わる。
また、固定子22のU相、V相の電極31a,31bに
印加される電圧がともに“+”に切り替わる。
【0101】図13(D)に示すように、第2のステッ
プS2の前半期p(図11の時刻t8から時刻t9)の間
に、移動子21が固定子22に対して図中右側に移動
し、a相の電極27aはU相の電極31aとV相の電極
31bの中間位置に位置する。
【0102】図13(E)に示すように、第2のステッ
プS2の後半期q(図11の時刻t9から時刻t10)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bにそ
れぞれ“+”,“−”の電圧が印加される。また、固定
子22のU相、V相の電極31a,31bにはともに
“−”の電圧が印加される。
【0103】図14(A)に示すように、第3のステッ
プS3の前半期pの開始時点(図11の時刻t10)に移
動子21のa相、b相の電極27a,27bに印加され
る電圧の極性は、それぞれ“−”,“+”に切り替わ
る。また、固定子22のU相、V相の電極31a,31
bに印加される電圧はそれぞれ“0”,“+”に切り替
わる。
【0104】図14(B)に示すように、第3のステッ
プS3の前半期p(図11の時刻t10から時刻t11)の
間に、移動子21が図中右側に移動し、移動子21のa
相の電極27aが固定子22のV相の電極31bと対向
する状態となる。
【0105】図14(C)に示すように、第3のステッ
プS3の後半期q(図11の時刻t11から時刻t12)に
は、移動子21のa相の電極27a,27bにはそれぞ
れ“+”“−”の電圧が印加される。また、固定子22
のU相の電極31a,31bには、それぞれ“0”、
“−”の電圧が印加される。
【0106】図14(D)に示すように、第4のステッ
プS4の前半期pの開始時点(図11の時刻t12)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bに印
加される電圧の極性は、それぞれ“−”,“+”に切り
替わる。また、固定子22のU相、V相の電極31a,
31bに印加される電圧の極性は“−”,“+”に切り
替わる。
【0107】図14(E)に示すように、第4のステッ
プS4の前半期p(図11の時刻t12から時刻t13
に、移動子21が図中右側に移動し、移動子21のa相
の電極27aと固定子22のV相の電極31bが幅方向
に半分だけ重なり合った状態となる。
【0108】図15(A)に示すように、第4のステッ
プS4の後半期q(図11の時刻t 13から時刻t14)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bには
それぞれ“+”,“−”の電圧が印加される。また、固
定子22のU相、V相の電極31a,31bにはそれぞ
れ“+”,“−”の電圧が印加される。
【0109】図15(B)に示すように、第5のステッ
プS5の前半期pの開始時点(図11の時刻t14)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bに印
加される電圧の極性がそれぞれ“−”,“+”に切り替
わる。また、固定子22のU相、V相の電極31a,3
1bに印加される電圧の極性は、“−”,“0”に切り
替わる。
【0110】図15(C)に示すように、第5のステッ
プS5の前半期p(図11の時刻t14から時刻t15)に
は、移動子21が図中右方向に移動し、移動子21のb
相の電極27bと固定子22のU相の電極31aが互い
に対向する状態となる。
【0111】図15(D)に示すように、第5のステッ
プS5の後半期q(図11の時刻t15から時刻t16)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bに
は、それぞれ“+”,“−”の電圧が印加される。ま
た、固定子22のU相、V相の電極31a,31bには
“+”,“0”の電圧が印加される。
【0112】図15(E)に示すように、第6のステッ
プS6の前半期pの開始時点(図11の時刻t16)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bに印
加される電圧の極性は、それぞれ“−”、“+”に切り
替わる。また、固定子22のU相、V相の電極31a,
31bに印加される電圧はともに“−”に切り替わる。
【0113】図16(A)に示すように、第6のステッ
プS6の前半期p(図11の時刻t16から時刻t17)に
は、移動子21が図中右側に移動し、移動子21のa
相、b相の電極27a,27bが固定子22のU相、V
相の電極31a,31bの中間位置に位置する状態とな
る。
【0114】図16(B)に示すように、第6のステッ
プS6の後半期q(図11の時刻t17から時刻t18)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bには
“+”,“−”の電圧が印加される。また、固定子22
のU相、V相の電極31a,31bにはともに“+”の
電圧が印加される。
【0115】図16(C)に示すように、第7のステッ
プS7の前半期pの開始時点(図11の時刻t18)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bに印
加される電圧は、“−”,“+”に切り替わる。また、
固定子22のU相、V相の電極31a,31bに印加さ
れる電圧は“0”,“−”に切り替わる。
【0116】図16(D)に示すように、第7のステッ
プS7の前半期p(図11の時刻t18から時刻t19)に
は、移動子21は図中右側に移動し、移動子21のb相
の電極27bと固定子22のV相の電極31bが互いに
対向する状態となる。
【0117】図16(E)に示すように、第7のステッ
S7の後半期q(図11の時刻t19から時刻t20)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bには
それぞれ“+”,“−”の電圧が印加される。また、固
定子22のU相、V相の電極31a,31bに印加する
電圧は、それぞれ“0”,“+”となる。
【0118】図17(A)に示すように、第8のステッ
プS8の前半期pの開始時点(図11の時刻t20)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bに印
加する電圧は、それぞれ“−”,“+”に切り替わる。
また、固定子22のU相、V相の電極31aに印加する
電圧は、それぞれ“+”,“−”に切り替わる。
【0119】図17(B)に示すように、第8のステッ
プS8の前半期p(図11の時刻t20から時刻t21)に
は、移動子21が図中右側に移動し、移動子21のa
相、b相の電極27a,27bは、それぞれ固定子22
のU相、V相の電極31a,31bの電極と幅方向の半
分が重なり合う状態となる。
【0120】図17(C)に示すように、第8のステッ
プS8の後半期q(図11の時刻t21から時刻t22)に
は、移動子21のa相、b相の電極27a,27bには
それぞれ“+”,“−”の電圧が印加される。また、固
定子22のU相、V相の電極31a,31bにはそれぞ
れ“−”“+”の電圧が印加される。
【0121】このように、第3実施形態に係る静電アク
チュエータでは、駆動期間中は、各ステップS1〜S8
を前半期pと後半期qとに分けて、前半期pには移動子
21に対して駆動力が作用するように移動子21及び固
定子22の電極27a,27b,31a,31bに電圧
を印加する一方、各ステップS1〜S9の後半期qに
は、前半期pとは極性を反転させて電圧を印加して、各
ステップS1〜S8毎に各電極27a〜31bに印加さ
れる電圧の総和を“0”としているため、移動子21及
び固定子22の絶縁層26,30の帯電を防止すること
ができる。また、本実施形態では、移動子21の電極2
7a〜27c及び固定子22に対して1回の周期Cの間
に印加する電圧の総和も“0”であるため、これによっ
ても移動子21及び固定子22の絶縁層26,30の帯
電を防止することができる。
【0122】このように、第3実施形態では、移動子2
1の駆動中に移動子21及び固定子22の電極27a〜
31bに電圧を印加することによる移動子21及び固定
子22の絶縁層26,30の帯電を防止することができ
るため、この絶縁層26,30の帯電により移動子21
の電極27a,27bと固定子22の電極31a,31
bの間に作用する静電力が減殺されることによる移動子
21の駆動力の低下を防ぐことができる。
【0123】なお、操作スイッチ14が“左側に移動”
に設定された場合には、固定子22の電極31a,31
bに対して同一パターンで、かつV相の電極31bをU
相の電極31aよりそれぞれ6ステップだけ位相を遅ら
せて、極性を切り替えて電圧を印加すればよい。
【0124】本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではなく、種々の変形が可能である。例えば、第1実施
形態の静電アクチュエータを鉛直方向に配置して移動子
21の電極が、上方からU相、V相、W相の順で配置さ
れるようにする場合には、移動子21の停止中は、移動
子21の電極27a〜27cに対して下記のようにサイ
クリックに極性を切り替えて電圧を印加してもよい。す
なわち、最初のステップのではU相の電極27a、V相
の電極27b、W相の電極27cに対してそれぞれ
“+”,“−”,“−”の電圧を印加し、次のステップ
では“−”,“−”,“+”の電圧を印加し、さらに次
のステップでは“−”,“+”,“−”に印加する。こ
のように固定子22の電極31a〜31cに対して電圧
を印加した場合、移動子21に対して作用する重力と反
対の方向に電圧を切り替えるため、電極31a〜31c
に発生する電圧の切替時間のずれにより上方向の弱い力
が発生する。この弱い力により落下を押さえられるた
め、保持力はさらに強くなる。
【0125】
【0126】
【発明の効果】 請求項のように、移動子の停止時に、
互いに対向する移動子の電極と固定子の電極には異なる
極性の電圧が印加され、かつ、移動子及び固定子の各電
極には正負を交互に切り替えて電圧が印加する構成とし
た場合には、移動子の電極と固定子の電極の間に生じる
吸引力により、移動子が保持される。また、移動子及び
固定子の電極に印加される電圧に偏りがないため、移動
子及び固定子の絶縁層の帯電を防止することができる。
【0127】また、上記移動子の停止時に、上記移動子
及び固定子の各電極に印加する電圧の極性を切り替える
前に、その電極をグランドに接続するステップを設けた
ことにより、誤作動の原因となるいわゆるリプルノイズ
の発生を防止することができる。
【0128】本発明に係る静電アクチュエータは、移動
子の電極を二つ置きに配設した電極毎に相互に接続して
3相とすると共に、固定子の電極を二つ置きに配設した
電極毎に相互に接続して3相としたものであってもよく
(請求項)、また、移動子の電極を一つ置きに配設し
た電極毎に相互に接続して2相とすると共に、固定子の
電極を一つ置きに配設した電極毎に相互に接続して2相
としたものであってもよい(請求項)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る静電アクチュエ
ータを示す概略回路図である。
【図2】 (A)は移動子を示す部分平面図、(B)は
固定子を示す部分平面図である。
【図3】 第1実施形態の静電アクチュエータの作動を
説明するための電圧波形図である。
【図4】 (A),(B),(C),(D)は移動子の
停止中に印加する電圧を示す部分概略図である。
【図5】 (A),(B),(C),(D),(E)
は、移動子の移動中の電圧の印加を示す部分概略図であ
る。
【図6】 (A),(B),(C),(D)は、移動子
の移動中の電圧の印加を示す部分概略図である。
【図7】 第2実施形態を示す電圧波形図である。
【図8】 (A),(B),(C),(D)は移動子の
停止中に印加する電圧を示す部分概略図である。
【図9】 本発明の第2実施形態に係る静電アクチュエ
ータを示す概略回路図である。
【図10】 (A)は移動子を示す部分平面図、(B)
は固定子を示す部分平面図である。
【図11】 第2実施形態の静電アクチュエータの作動
を説明するための電圧波形図である。
【図12】 (A),(B),(C),(D)は、移動
子の停止中の電圧の印加を示す部分概略図である。
【図13】 (A),(B),(C),(D),(E)
は、移動子の移動中の電圧の印加を示す部分概略図であ
る。
【図14】 (A),(B),(C),(D),(E)
は、移動子の移動中の電圧の印加を示す部分概略図であ
る。
【図15】 (A),(B),(C),(D),(E)
は、移動子の移動中の電圧の印加を示す部分概略図であ
る。
【図16】 (A),(B),(C),(D),(E)
は、移動子の移動中の電圧の印加を示す部分概略図であ
る。
【図17】 (A),(B),(C)は、移動子の移動
中の電圧の印加を示す部分概略図である。
【図18】 従来の静電アクチュエータの一例を示す部
分概略図である。
【図19】 図18の静電アクチュエータに印加する電
圧の波形を示す線図である。
【符号の説明】
21 移動子 22 固定子 23 制御手段 24 操作スイッチ 25 高電圧源 26,30 絶縁層 35 グランド 27a〜31c 電極 R1〜R46 リレー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−19270(JP,A) 特開 平6−78566(JP,A) 特開 平6−121549(JP,A) 特開 平4−275072(JP,A) 実開 平7−16599(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 1/00 H02N 11/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁層に複数の電極を配設した固定子
    と、絶縁層に複数の電極を配設し、固定子に対して移動
    可能に配置した移動子とを備え、 上記固定子の電極と移動子の電極に電圧を印加して、移
    動子の電極と固定子の電極の間に生じる吸引力と反発力
    により移動子を駆動する静電アクチュエータであって、 上記移動子の停止時に、互いに対向する移動子の電極と
    固定子の電極に異なる極性の電圧を印加し、かつ、移動
    子及び固定子の各電極に正負を交互に切り替えて電圧を
    印加するように、移動子及び固定子の電極に複数のステ
    ップからなる周期で極性を切り替えて電圧を印加し、か
    つ上記移動子及び固定子の各電極に印加する電圧の極性
    を切り替える前に、その電極をグランドに接続するステ
    ップを設けたことを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 移動子の電極を二つ置きに配設した電極
    毎に相互に接続して3相とすると共に、固定子の電極を
    二つ置きに配設した電極毎に相互に接続して3相として
    いることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエ
    ータ。
  3. 【請求項3】 移動子の電極を一つ置きに配設した電極
    毎に相互に接続して2相とすると共に、固定子の電極を
    一つ置きに配設した電極毎に相互に接続して2相として
    いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静
    電アクチュエータ。
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