JP3452383B2 - 顆粒状歯科用セメントの調製方法 - Google Patents

顆粒状歯科用セメントの調製方法

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JP3452383B2 JP22247993A JP22247993A JP3452383B2 JP 3452383 B2 JP3452383 B2 JP 3452383B2 JP 22247993 A JP22247993 A JP 22247993A JP 22247993 A JP22247993 A JP 22247993A JP 3452383 B2 JP3452383 B2 JP 3452383B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科セメント用組成物
及びその使用方法に関するものである。さらに詳細に
は、本発明は、リン酸カルシウムを含み、所定の平均粒
径を有する一次粒子の凝集体であって、良好な流動性及
び練和性を有する顆粒状歯科セメント用組成物及びその
使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯の修復用充填材、インレー又は歯冠の
接合材、矯正歯の接合材、裏層材等として、歯科用セメ
ントが広く使用されており、この歯科用セメントに用い
る組成物には、生体に対する親和性が極めて良好で、歯
質接着性があり、硬化体が半透明で審美性に優れるなど
歯科用セメントとして優れた特性を有する材料を選択し
て用いている。例えば、特公昭50-26573号に開示されて
いる、ZnO 及び MgOを含む歯科用ポリカルボキシレート
セメント用粉末、特開昭62-72363号に開示されているリ
ン酸四カルシウム(Ca4P2O9)粉末を含む歯科用セメント
組成物、及び特開昭63-153070 号に開示されているα−
リン酸三カルシウム粉末を含む歯科用セメント組成物で
ある。しかし、これらの出願に開示されている歯科用セ
メント粉末組成物は、水に溶け難い材料を、焼成し、粉
砕することにより製造された微粒子であって、液体と混
ぜようとしても、この難溶性微粒子に働く水の表面張力
により、微粒子間の空気が除去され難く、ダマを形成し
たりするので、均一なペースト状にするのが難しいとい
う欠点があった。このため歯科用セメントとして使用す
る場合に、前記歯科用セメント粉末組成物と硬化剤水溶
液とを、短時間で練和するのは難しく、均一なセメント
硬化物が得難いうえに、練和に高度の熟練を必要とし、
さらに練和に時間がかかるので作業中に粘度増加が始ま
り、治療を急がなければならないという問題があった。
さらに、これまでの歯科用セメント粉末組成物は、細か
い微粒子であるため、容器から容易に流れ出ないので計
量時には、計量スプーンですくい取り、板などで擦りき
る操作が必要になり、面倒なうえに、計量誤差が大きい
という問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題を
解決し、歯科用セメントとして優れた特性を有するとと
もに、硬化剤の水溶液との練和性に優れ、同時に流動性
があって取扱いが容易な顆粒状歯科セメント用組成物を
提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために研究を行った結果、細かい微粒子であ
る歯科用セメント粉末組成物(以下、一次粒子とい
う。)を、所定の平均粒径を有する顆粒状粒子(以下、
二次粒子という。)に成形すると、毛管現象により水分
を速やかに取り込み、容易かつ均一に練和することがで
きるので、練和に高度の熟練を必要とせず、また練和時
間が短くて済むので、歯科用セメントによる歯の修復、
インレー又は歯冠の接合などに時間的余裕が得られると
いう知見を得た。さらに、この顆粒状に成形した歯科セ
メント用組成物は、流動性が高いので容易に容器から取
り出すことができ、練和紙に所定の大きさの領域を仕切
りその上に載せることにより簡単に定量することができ
るという知見を得た。したがって、本発明は、リン酸カ
ルシウムを含み、平均粒径約 0.1〜 30 μmの一次粒子
から構成されている、平均粒径約 100〜1000μm の顆粒
状歯科セメント用組成物を提供する。さらに、本発明
は、前記顆粒状歯科セメント用組成物を、1.0 〜4.0 mm
の直径を有する排出口を備えた容器に充填し、その排出
口から該組成物を、練和用紙上の所定の大きさに仕切ら
れた領域に載せることによって定量することを特徴とす
る歯科用セメントの調製方法を提供するものである。最
初に、顆粒状歯科セメント用組成物にかかる本発明を詳
細に説明する。
【0005】本発明で用いる一次粒子は、平均粒径約
0.1〜30μm 、好ましくは平均粒径約0.5 〜10μm の歯
科用セメント粉末組成物である。一次粒子の平均粒径を
このように制限するのは、30μm よりも高いと圧縮強度
が低くなり、硬化時間も長くなるからであり、 0.1μm
よりも低いと硬化時間が短くなり過ぎ操作余裕時間がな
くなるとともに圧縮強度も低下するからである。また、
本発明の二次粒子は、一次粒子を造粒することにより形
成した平均粒径約 100〜1000μm 、好ましくは 100〜50
0 μm の顆粒状粒子である。この二次粒子の平均粒径を
制限するのは、1000μm よりも高いと粉体容器のノズル
径の大きいものが必要となり計量誤差が大きくなるから
であり、100 μm よりも低いと粉体の流動性が悪くな
り、自由に粉体を容器から出すことができないからであ
る。なお、本発明の二次粒子は、嵩比重を0.35〜1.00g/
cm3 、好ましくは、0.45〜0.90g/cm3 とするのが適当で
ある。
【0006】まず、本発明で使用する、リン酸カルシウ
ムを含む一次粒子について説明する。本発明で用いるリ
ン酸カルシウムとして、α−リン酸三カルシウム、リン
酸四カルシウム、β−リン酸三カルシウム、リン酸八カ
ルシウムを挙げることができ、特にリン酸四カルシウム
及びα−リン酸三カルシウムが好ましい。該リン酸四カ
ルシウムは、次の方法で製造する。すなわち、γ−ピロ
リン酸カルシウム1モルと炭酸カルシウム2モルの割合
で均一に混合し、十分に乾燥させた後、1000〜15
00℃、好ましくは1400℃前後で約1時間焼成し、
その生成物を微粉砕して粒径30μm以下の粉末とする
方法である。また、他の方法としては、リン酸水素カル
シウム二水和物と炭酸カルシウムを1対1のモル比で均
一に混合した後、前記と同一条件で焼成する方法でも製
造することができる。なお、上記方法で得たリン酸四カ
ルシウムを、ラバープレス法等により加圧圧縮した後、
再度1200〜1500℃、好ましくは1300〜14
00℃で2時間以上焼成し、同様に微粉化処理して粒径
0.5〜20μm程度の粉末とすることもできる。上記加
圧圧縮処理における圧力は、500kg/cm3 〜1200kg/
cm3 とすることが好ましい。
【0007】このように2度に亘り焼成、微粉化処理を
施すのは、まず第1回目の処理でリン酸四カルシウムを
形成し、次の第2回目の操作により密度の向上を図るこ
とができるからであり、それによって耐圧強度を高める
ことを意図するものである。ただし、第1回目の焼成、
微粉化により得られる生成物でも、歯科用セメント組成
物として十分な効果を有することはいうまでもない。前
記α−リン酸三カルシウムは次の方法で製造する。すな
わち、γ−ピロリン酸カルシウムと炭酸カルシウムとを
等モル量で均一に混合し、十分に乾燥させた後1000
〜1400℃、好ましくは1300℃前後で約1〜2時
間焼成し、その生成物を微粉砕して粒径30μm以下の
微粉末とする方法である。なお、α−リン酸三カルシウ
ムも、2度の焼成、微粉化処理を施すのが好ましい。前
記リン酸カルシウムを用いて歯科用セメント組成物を調
製する場合、該リン酸カルシウムの一次粒子とともに、
通常、歯科用セメント組成物に使用されている公知の充
填材、顔料などを特に制限なく利用でき、その使用量
は、リン酸カルシウム粉末90〜 100重量部、充填材0〜
10重量部、顔料0〜1重量部の範囲とすることが好まし
い。充填材として代表的なものは、例えば、石英、コロ
イダルシリカ、カオリン、チタニア、硫酸バリウムであ
り、顔料として代表的なものは、例えば、黄酸化鉄、カ
ーボンなどである。特に、α−リン酸三カルシウムに、
硫酸バリウムを添加混合することが好ましい。この硫酸
バリウムは、市販品を支障なく使用でき、その使用量
は、α−リン酸三カルシウム微粉末に対して5重量%〜
30重量%、特に10〜20重量%の範囲で使用するの
が好ましい。前記硫酸バリウムの添加量が30重量%を
こえると、歯科用セメントの硬化物の圧縮強度が低下す
る傾向があるので好ましくない。
【0008】本発明の顆粒状二次粒子の形成方法は、特
に制限する必要はなく、従来の方法を使用することがで
きる。例えば、特開昭57-190643 号公報に開示されてい
る、一次粒子に平面方向ならびに垂直方向の旋回運動を
与えつつ、上方から結合剤を噴霧し、該液滴に一次粒子
を凝集させる方法や、特開昭63-141932 号公報に開示さ
れている、一次粒子を加圧して板状にした後、粉砕して
一定の大きさに整粒することにより、造粒する方法など
がある。さらに、簡便な方法として、水、無機塩水溶液
又は有機高分子水溶液を、一次粒子に3〜15重量%混合
して湿らせた後、20〜50メッシュの篩を通して得られた
粒子を、乾燥する方法がある。この方法で用いる無機塩
水溶液には、例えば、Al, Ca, Mg, Laの強酸塩水溶液及
び K2O・nSiO2, Na2O ・nSiO2 のケイ酸塩水溶液があ
り、有機高分子水溶液には、歯科用セメントの硬化液を
10〜1000倍に薄めた溶液、例えば、ポリエチレングリコ
ール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドンなどの0.01〜11.0重量%水溶液があ
る。
【0009】なお、本発明の顆粒状組成物で歯科用セメ
ントを調製する場合、公知の歯科セメント用練和液(硬
化剤)を特に限定することなく使用できる。具体的に例
を挙げると次のものがあり、単独で、又は組合わせて使
用することができる。(i)食塩水、硫酸ナトリウム等
の電解質水溶液、(ii) グリコール酸、乳酸、リンゴ
酸、クエン酸、酒石酸、テトラヒドロフランテトラカル
ボン酸等の一価または多価カルボン酸の水溶液、(iii)
アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不
飽和有機酸の単独重合体又は2種以上の組み合わせによ
る共重合体あるいは他のモノマーとの共重合体の水溶液
等である。特に好ましいのは、多価カルボン酸の水溶
液、ポリアクリル酸又はアクリル酸の共重合体の水溶液
である。
【0010】前記アクリル酸の共重合体としてはアクリ
ル酸と少量のイタコン酸、マレイン酸、フマル酸等との
共重合体あるいは場合により歯科用セメント組成物等に
おいて知られているメタクリル酸、アコニット酸、シト
ラコン酸、グルタコン酸、メサコン酸、チグリン酸等の
不飽和酸もしくはその低級アルキルエステル又はアクリ
ル酸の低級アルキルエステルとの共重合体も使用でき
る。これらは単独でもしくは2種以上の混合物として使
用できる。また、練和液として有機酸水溶液を使用する
場合は、一般に10〜60重量%の溶液とする。特に、
クエン酸を使用する場合は、濃度を30〜55重量%に
することが好ましい。クエン酸水溶液の濃度が30重量
%に満たない場合には、硬化物の圧縮強度が低く(20
0kg/cm3 以下)なり、セメント材料としては好ましく
ないからであり、逆にクエン酸水溶液の濃度が60重量
%をこえると、クエン酸が析出し、使用が困難だからで
ある。また、上記クエン酸水溶液において、クエン酸の
10重量%以下を、酒石酸、タンニン酸、フィチン酸、
乳酸またはリン酸等の水溶性の酸で置き換えることもで
きる。
【0011】本発明の歯科セメント用組成物に、練和液
を加えて使用する場合、歯科セメント用組成物(P)
と、練和液(L)の重量混合割合(粉液比)、即ちP/
Lは0.5 〜2.5 、特にP/L=1.0 〜2.0 の範囲とする
のが好ましい。なお、リン酸四カルシウムを含む歯科セ
メント用組成物に、クエン酸水溶液練和液を加えて使用
する場合、該歯科セメント用組成物(P)と、クエン酸
水溶液(L)の重量混合割合(粉液比)、即ちP/Lは
1.3〜3、特にP/L=2〜2.5の範囲とするのが好ま
しい。この割合(P/L)が1.3より小さい場合は、粉
末量が少なく、水分量が過剰となるため硬化物の強度が
低くなり、逆にP/Lが3より大きくなる場合は、水分
が過少となり、練和が著しく困難となる。また、練和液
として不飽和カルボン酸の重合体の水溶液を使用する場
合、10〜60重量%濃度の水溶液等とし、該歯科セメ
ント用組成物(P)と重合体水溶液(L)の重量割合
(P/L)を1.0〜3.0の範囲内にするのが好ましい。
これはクエン酸水溶液の練和液を使用する場合と同じ理
由である。また、α−リン酸三カルシウム又はα−リン
酸三カルシウムと硫酸バリウムとを含む歯科セメント用
組成物を使用する場合、練和液として、クエン酸水溶
液、及び不飽和カルボン酸の単独重合体または共重合体
の水溶液を組合わせて使用するのが好ましい。
【0012】この場合、クエン酸水溶液の濃度は10〜
60重量%、特に30〜55重量%であることが好まし
い。クエン酸水溶液の濃度が10重量%に満たない場合
には、硬化物の圧縮強度が低くセメント材料としては好
ましくなく、逆に60重量%をこえると、クエン酸が析
出するため、好ましくないからである。もう一方の不飽
和カルボン酸の単独重合体または共重合体の水溶液の濃
度は10〜60重量%、特に30〜55重量%であるこ
とが好ましい。水溶液の濃度が10重量%に満たない場
合には、硬化物の圧縮強度が低くセメント材料としては
好ましくなく、また水溶液の濃度が60重量%をこえる
と溶解しにくくなる傾向にあり好ましくない。前記のク
エン酸水溶液と、不飽和カルボン酸の単独重合体または
共重合体水溶液との固形分混合割合は、重量比にして1
対9から9対1、特に3対7から7対3の範囲が好まし
い。その理由は、α−リン酸三カルシウムをクエン酸水
溶液のみで練和した硬化物の圧縮強度は非常に高くなり
好ましいが、崩壊率は悪くなるからであり、またα−リ
ン酸三カルシウムを不飽和カルボン酸の重合体または共
重合体水溶液のみで練和した硬化物の崩壊率は低く好ま
しいが、圧縮強度がやや低くなるかである。すなわち、
練和液を組合わせることにより、α−リン酸三カルシウ
ムを使用する場合のクエン酸水溶液と、不飽和カルボン
酸の単独重合体または共重合体水溶液との欠点を補うこ
とができるのである。
【0013】このα−リン酸三カルシウムを含む本発明
の組成物においては、該組成物(P)と、不飽和カルボ
ン酸の単独重合体又は共重合体とクエン酸の混合水溶液
(L)の重量混合割合(粉液比)、即ちP/Lは0.5〜
2.5、特にP/L=1〜2であることが好ましい。前記
重量混合割合P/Lが0.5より小さい場合には、粉末量
が少なく、水分量が過剰となるため硬化物の強度が低く
なり、逆にP/Lが2.5より大きくなると水分が過少と
なり、練和が著しく困難となるためいずれも好ましくな
い。次に、本発明の歯科用セメントの調製方法について
説明する。本発明の歯科用セメントの調製方法は、先に
述べたように、前記顆粒状歯科セメント用組成物を、1.
0 〜 4.0 mmの直径を有する排出口を備えた容器に充填
し、その排出口から該組成物を、練和用紙上の所定の大
きさに仕切られた領域に載せることによって定量するこ
とを特徴とする方法である。
【0014】顆粒状に成形され、流動性が著しく向上し
た歯科用セメント組成物は、傾けると簡単に容器内を移
動して排出口から流出し、また、微粒子と異なり練和紙
上の一定の領域に安定して存在する。したがって、所定
の密度に調製した顆粒を、容器を傾けて、練和紙上の所
定の面積の仕切り、例えば、円形の上に置くことによ
り、簡単に定量することができるのである。容器の排出
口の直径を、1.0 〜 4.0mm、好ましくは 1.5〜 3.0mmと
するのが適当である。このように直径を限定するのは、
本発明の顆粒状歯科セメント用組成物の平均粒径に対応
して、これらの組成物が定量するのに適当な速さで流出
させるためである。また、練和紙上の仕切られた領域の
形状は、特に制限する必要はないが、特に円形にするの
が好ましい。実用上、該円形の直径は 12 〜 18 mm程度
が適当である。また、該練和紙は、数段階の定量ができ
るように、面積の異なる複数の仕切られた領域を有する
のが好ましい。本発明で使用する容器の形状は、特に制
限する必要はないが、図1又は図2に記載したような先
端が狭くなったノズル部を有するものが好ましい。ま
た、容器の材質は、ガラス、硬質プラスチックなども使
用できるが、容器の側面を押して顆粒状組成物を出す場
合には、軟質の材料を使用するのが好ましい。本発明の
容器の材質として好ましいものを挙げると、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリ
ル樹脂、スチロール樹脂などがある。
【0015】
【発明の効果】本発明により、硬化剤の水溶液との練和
性に優れ、同時に流動性があって取扱いが容易な顆粒状
歯科セメント用組成物が得られる。さらに、本発明の歯
科用セメント調製方法により、容易に必要量の歯科用セ
メント組成物を定量することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に詳細に説
明する。なお、実施例中「部」、「%」は重量を基準と
して示す。 〔α−リン酸三カルシウムの製造〕リン酸水素カルシウ
ム・二水和物 CaHPO4 ・2H2O (2モル)を磁性るつぼに
入れ、500℃で5時間焼成し、γ−ピロリン酸カルシ
ウムγ− Ca2P207に転化したことを確認した。一方、炭
酸カルシウム CaCO3(1モル)を100℃で3時間乾燥
した。上記のγ−ピロリン酸カルシウムと乾燥した炭酸
カルシウムとを等モル量混合したものを均質になるまで
良く攪拌した後、1200℃で5時間焼成し、外気中に
取り出し急冷した。0.5〜50μmの粉粒体にして、X
線回折等によりα−リン酸三カルシウムと確認した。 〔リン酸四カルシウムの製造〕リン酸水素カルシウム・
二水和物 CaHPO4 ・2H2O (2モル)を磁性るつぼに入
れ、500℃で2時間焼成し、γ−ピロリン酸カルシウ
ムγ− Ca2P207に転化したことを確認した。次に炭酸カ
ルシウム CaCO3(1モル)を100℃で1時間乾燥し
た。上記のγ−ピロリン酸カルシウム1モル、乾燥炭酸
カルシウム2モルの割合で混合したものを均質になるよ
う十分攪拌した後、1400℃で2時間焼成し、外気中
に取り出し急冷した。0.5〜50μmの粉粒体にして、
X−線回折によりリン酸四カルシウムであることを確認
した。
【0017】〔実施例1〕上記α−リン酸三カルシウム
粉末を pH=7.5の水で湿潤させ、水圧プレスにより加
圧成型し、1300℃で5時間焼結した後、粉砕し、平
均粒径5.8μmの一次粒子50gを得た。この一次粒子
を、α−リン酸三カルシウムの硬化剤(大日本塗料株式
会社製、ビタセメンタイプII液剤)を200倍に希釈し
た溶液を10ml 加え、乳鉢でよく混合した。この混合
物を40メッシュの篩(SUS304製)を通し、得ら
れた凝集物を110℃で3時間乾燥し、平均粒径約32
0μmの顆粒状歯科セメント用組成物を得た。この組成
物を、ポリエチレン製の容器に充填し、直径3.0mmの細
孔を介して容器外へ排出させることにより、流動性を測
定したところ、1ml の顆粒状組成物を排出するのに6.
5秒間かかった。 〔実施例2〕平均粒径8.8μmのリン酸四カルシウムの
一次粒子50gに、グラスアイオノマータイプIの硬化
剤(而至歯科工業株式会社製、フジアイオノマーセメン
トタイプI液)を200倍に希釈した溶液を10ml 加
えて、乳鉢でよく混合した。この混合物を40メッシュ
の篩(SUS製304)を通し、得られた凝集物を11
0℃で3時間乾燥し、平均粒径約280μmの顆粒状歯
科セメント用組成物を得た。この組成物を、ポリエチレ
ン製の容器に充填し、直径3.5mmの細孔を介して容器外
へ排出させることにより、流動性を測定したところ、1
ml の顆粒状組成物を排出するのに7.0秒間かかった。
【0018】〔実施例3〕上記α−リン酸三カルシウム
粉末54gに対し、平均粒径5μmの硫酸バリウム粉末
6gの割合で混合したものを均一になるように充分攪拌
した後、#400メッシュを通過させた。この一次粒子
にα−リン酸三カルシウムの硬化剤(大日本塗料株式会
社製、ビタセメンタイプII液剤)を50倍に希釈した溶
液12ml加え、乳鉢で良く混合した。この混合物を3
0メッシュの篩(SUS304製)を通し、得られた凝
集物を100℃で4時間乾燥し、平均粒径400μmの
顆粒状歯科用組成物を得た。この組成物をポリエチレン
製の容器に充填し、直径3.0mmの細孔を介して容器外
へ排出させることにより、流動性を測定したところ、1
mlの顆粒状組成物を排出するのに4.5秒かかった。 〔実施例4〕上記α−リン酸三カルシウム粉末54gに
対し、平均粒径5μmの硫酸バリウム粉末6gの割合で
混合したものを均一になるように充分攪拌した後、#4
00メッシュを通過させる。この一次粒子にα−リン酸
三カルシウムの硬化剤(大日本塗料株式会社製、ビタセ
メンタイプII液剤)を100倍に希釈した溶液12ml
加え、乳鉢で良く混合した。この混合物を30メッシュ
の篩(SUS304製)を通し、得られた凝集物を11
0℃で3時間乾燥し、平均粒径380μmの顆粒状歯科
用組成物を得た。この組成物をポリエチレン製の容器に
充填し、直径3.0mmの細孔を介して容器外へ排出させ
ることにより、流動性を測定したところ、1mlの顆粒
状組成物を排出するのに4.0秒かかった。
【0019】〔実施例5〕上記α−リン酸三カルシウム
粉末43.2gに対し、リン酸四カルシウム粉末10.8g
を加え、均一になるまで充分に混合する。この粉末全量
に対し、平均粒径5μmの硫酸バリウム粉末6gの割合
で混合したものを均一になるように充分攪拌した後、#
400メッシュを通過させる。この一次粒子にα−リン
酸三カルシウムの硬化剤(大日本塗料株式会社製、ビタ
セメンタイプII液剤)を100倍に希釈した溶液10m
l加え、乳鉢で良く混合した。この混合物を30メッシ
ュの篩(SUS304製)を通し、得られた凝集物を1
00℃で4時間乾燥し、平均粒径350μmの顆粒状歯
科用組成物を得た。この組成物をポリエチレン製の容器
に充填し、直径3.0mmの細孔を介して容器外へ排出さ
せることにより、流動性を測定したところ、1mlの顆
粒状組成物を排出するのに3.5秒かかった。 〔実施例6〕上記α−リン酸三カルシウム粉末39.2g
に対し、リン酸四カルシウム粉末14.8gを加え、均一
になるまで充分に混合する。この粉末全量に対し、平均
粒径5μmの硫酸バリウム粉末6gの割合で混合したも
のを均一になるように充分攪拌した後、#400メッシ
ュを通過させる。この一次粒子にα−リン酸三カルシウ
ムの硬化剤(大日本塗料株式会社製、ビタセメンタイプ
II液剤)を50倍に希釈した溶液12ml加え、乳鉢で
良く混合した。この混合物を40メッシュの篩(SUS
304製)を通し、得られた凝集物を110℃で3時間
乾燥し、平均粒径370μmの顆粒状歯科用組成物を得
た。この組成物をポリエチレン製の容器に充填し、直径
3.5mmの細孔を介して容器外へ排出させることによ
り、流動性を測定したところ、1mlの顆粒状組成物を
排出するのに3.5秒かかった。 〔比較例1〕平均粒径5.8μmの実施例1で得た一次粒
子を、ポリエチレン製の容器に充填し、直径2.0mmの
細孔を介して容器外へ排出させることにより、流動性を
測定したところ、該α−リン酸三カルシウム粉末は極僅
かに流出しただけで、目詰りを起こした。
【0020】〔本発明の顆粒状歯科セメント用組成物の
性能試験〕実施例1〜6、及び比較例1で得られた顆粒
状組成物を用いて、練和を行い、作業の容易性を試験し
た。該顆粒状組成物1.6gに液剤としてビタセメンタイ
プII液剤を1.0g練和紙上に採取し、ステンレススパチ
ュラを使用し、練和完了までの時間を3回計り平均値を
求めたところ下記の通りとなった。
【0021】〔定量試験〕 〔比較用セメント組成物〕a.実施例1の一次粒子、
b.実施例2の一次粒子 c.実施例3の一次粒子 d.実施例5の一次粒子 本発明の歯科用セメント調製方法に従って、顆粒状歯科
セメント用組成物の定量を行い、その精度を測定した。
この試験において、実施例1で製造した顆粒状歯科セメ
ント用組成物、直径6、7、8及び10mmの円を描い
た練和紙、及び直径2.0mmの排出口を有する容器(図
1参照)を使用した。また、試験は、容器から練和紙上
の円いっぱいになるように、10回該組成物を取り出
し、これを計量すると同時に、標準偏差を求め、測定値
のバラツキを求めた。また、比較例として、本発明の一
次粒子として製造したa〜dを、スプーンを用いて計量
し、やはり標準偏差を求め、測定値のバラツキを求め
た。なお、比較例のスプーンによる計量は、スプーンを
一次粒子中に軽く差し込み、軽く山盛りにすくい上げ
て、45度方向に擦りきることにより測定した。測定結
果は、下記の表のとおりであった。
【0022】
【表1】 表1 本発明の歯科用セメント調製方法に基づく測定値 円の直径 No. 6mmφ 7mmφ 8mmφ 1 0.0200 0.0275 0.0433 2 0.0245 0.0283 0.0335 3 0.0200 0.0310 0.0427 4 0.0238 0.0233 0.0449 5 0.0210 0.0313 0.0368 6 0.0183 0.0258 0.0436 7 0.0177 0.0266 0.0461 8 0.0190 0.0290 0.0377 9 0.0178 0.0288 0.0370 10 0.0200 0.0269 0.0460 Σxi 0.2021 0.2785 0.4116 xi 0.02021 0.02785 0.04116 δn-1 0.002340 0.002397 0.004493
【0023】
【表2】 表2 本発明の歯科用セメント調製方法に基づく測定値(表1の続き) 円の直径 No. 10mmφ 12mmφ 14mmφ 1 0.0622 0.0997 0.1428 2 0.0616 0.1004 0.1627 3 0.0554 0.1035 0.1592 4 0.0608 0.0965 0.1507 5 0.0667 0.0895 0.1512 6 0.0618 0.0953 0.1435 7 0.0669 0.0921 0.1568 8 0.0690 0.0929 0.1623 9 0.0617 0.1048 0.1595 10 0.0643 0.0959 0.1502 Σxi 0.6304 0.9706 1.5389 xi 0.06304 0.09706 0.15389 δn-1 0.003872 0.004981 0.007291
【0024】
【表3】 表 3 従来の方法に基づく一次粒子の測定値 一次粒子a 一次粒子b 黄色スプーン 赤色スプーン 黄色スプーン 赤色スプーン 1 0.0547 0.1509 0.0439 0.1080 2 0.0482 0.1186 0.0338 0.1103 3 0.0322 0.1560 0.0447 0.1000 4 0.0568 0.1198 0.0400 0.1011 5 0.0322 0.1173 0.0405 0.0944 6 0.0297 0.1208 0.0483 0.0949 7 0.0378 0.1316 0.0468 0.1149 8 0.0505 0.1351 0.0460 0.0998 9 0.0330 0.1335 0.0387 0.118510 0.0502 0.1392 0.0338 0.1146 Σxi 0.4263 1.3228 0.4215 1.0565 xi 0.04263 0.13228 0.04215 0.10565δn-1 0.010423 0.013606 0.004522 0.008736
【0025】
【表4】 表4 従来の方法に基づく一次粒子の測定値(表3の続き) 一次粒子c 一次粒子d 黄色スプーン 赤色スプーン 黄色スプーン 赤色スプーン 1 0.0490 0.1738 0.0695 0.1839 2 0.0557 0.1909 0.0599 0.1910 3 0.0686 0.1728 0.0695 0.1930 4 0.0618 0.1558 0.0753 0.1921 5 0.0602 0.1506 0.0768 0.1891 6 0.0749 0.1604 0.0748 0.2041 7 0.0529 0.1893 0.0763 0.1906 8 0.0700 0.1975 0.0755 0.2016 9 0.0704 0.1708 0.0764 0.190810 0.0773 0.2094 0.0781 0.2135 Σxi 0.6408 1.7713 0.7321 1.9497 xi 0.06408 0.17713 0.07321 0.19497δn-1 0.009604 0.019156 0.005511 0.008769
δ
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の顆粒状歯科セメント用組成物を収容
し、定量を行うための容器を示す図である。
【図2】 本発明の顆粒状歯科セメント用組成物を収容
し、定量を行うための他の容器(1) 、そのノズル部分
(2) 及びノズル部分の透視図(3) である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−281953(JP,A) 特開 平2−207011(JP,A) 特開 平3−174349(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 6/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α−リン酸三カルシウム、リン酸四カル
    シウム、β−リン酸三カルシウム、リン酸八カルシウム
    からなる群から選ばれるリン酸カルシウムを含み、平均
    粒径約 0.1〜 30 μm の一次粒子から構成されている、
    平均粒径約 100〜1000μm の顆粒状歯科セメント用組成
    物を、1.0 〜 4.0mmの直径を有する排出口を備えた容器
    に充填し、その排出口から該組成物を、練和用紙上の所
    定の大きさに仕切られた領域に載せることによって定量
    することを特徴とする、顆粒状歯科用セメントの調製方
    法。
  2. 【請求項2】 一次粒子が、さらに硫酸バリウムを含む
    請求項1記載の顆粒状歯科セメント用組成物の調製方
    法。
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