JP3451389B2 - 金属蒸着ナイロンフィルムの製造方法 - Google Patents

金属蒸着ナイロンフィルムの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属蒸着ナイロンフ
ィルムの製造方法に関し、特に金属蒸着層の密着力の向
上により耐水性および耐熱水性を付与させたことを特徴
とする金属蒸着ナイロンフィルムの製造方法に関する
のである
【0002】
【従来の技術】ナイロンフィルム上に金属蒸着したナイ
ロンフィルムは包装材料として広く使用されている。し
かし、ナイロンフィルム上に金属蒸着しただけではナイ
ロンフィルムと金属蒸着層間の密着力が不十分であっ
た。この密着力を向上させる方法として、ナイロンフィ
ルム上に予め樹脂からなるアンカ−コ−ト層を設け、そ
の上に金属蒸着を行う方法がすでに知られている。しか
し、この方法で得られる金属蒸着ナイロンフィルムは、
これに粘着剤あるいは接着剤をコ−トするとき、溶剤が
樹脂アンカ−コ−ト層を溶解して白化したり、あるいは
加熱乾燥による熱劣化により干渉膜を生じるという欠点
があった。さらに熱水により樹脂アンカ−コ−ト層を劣
化させ金属蒸着層の密着力が得られないという欠点があ
った。
【0003】また、金属蒸着層の密着力向上の処理方法
として単なる核付処理(特公昭52−25868号公
報)及び単なるプラズマ処理(特公平1−294875
号公報)なども知られているが、いずれの方法も性能と
して不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は粘着剤あるい
は接着剤コ−ト後の白化、干渉膜の生じることなく、且
つ金属蒸着層の密着性に優れ、且つ熱水中で使用できる
金属蒸着ナイロンフィルムの製造方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らの鋭意検討の
結果、本発明の上記目的は下記の本発明により工業的に
有利に達成された。
【0006】[1]延伸ナイロンフィルム表面に、酸素
放電ガスを用いたプラズマ放電下において平均膜厚が
0.02〜1.0nmの銅核付金属蒸着層を形成し、そ
の上に金属蒸着層をそれぞれ形成せしめてなる金属蒸着
ナイロンフィルムの製造方法
【0007】[2]プラズマ放電の強度が1〜12kW
/mであることを特徴とする上記[1]記載の金属蒸着
ナイロンフィルムの製造方法
【0008】
【0009】
【0010】[]金属蒸着層の金属がアルミニウムで
あることを特徴とする上記[1]または]記載の金
属蒸着ナイロンフィルムの製造方法
【0011】
【0012】[]金属蒸着層の平均膜厚が10〜10
0nmであることを特徴とする上記[1]〜[のい
ずれかに記載の金属蒸着ナイロンフィルムの製造方法
【0013】[]延伸ナイロンフィルムの厚みが12
〜25μmであることを特徴とする上記[1]〜[
のいずれかに記載の金属蒸着ナイロンフィルムの製造方
【0014】本発明の最大の特徴は延伸ナイロンフィル
ム表面に、プラズマ放電下に核付金属蒸着層、好ましく
は平均膜厚0.02〜1.0nmの核付金属蒸着層を形
成せしめ、その上に形成される好ましくは平均膜厚10
〜100nmの金属蒸着層とナイロンフィルムとの間の
密着力を向上せしめた点にある。
【0015】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳しく説明する。
【0016】本発明において、ナイロンフィルムとして
は、特に制限はないが、6−ナイロンフィルム、6,6
−ナイロンフィルムが好ましい。その理由として、本発
明の目的は耐水性及び耐熱水性の付与にあり、この条件
に対応できるからであり、かつ安価に入手可能であるか
らである。本発明のナイロンフィルムの厚みは、包装材
料として使用する場合、12〜25μmの範囲であるこ
とが好ましい。また、ナイロンフィルムは、延伸されて
いることが必要である。
【0017】蒸着されるフィルムは、非蒸着面に公知の
表面処理例えばコロナ放電処理、火炎処理、サンドマッ
ト加工およびヘア−ライン加工等の粗面化処理、あるい
は印刷が施されていても良い。
【0018】本発明におけるプラズマ放電下の核付金属
蒸着は、通常次のように行われる。
【0019】すなわち、酸素ガス雰囲気で、好ましくは
0.1〜100Paの雰囲気で、高周波電源より供給さ
れた電流をマグネトロン電極のカソ−ド及びアノ−ド間
で放電される。その際カソ−ドに核付金属蒸着層を構成
する銅を用いる。カソ−ドにガス陽イオンが引き寄せら
れ、カソ−ド金属をスパッタする。そのスパッタされた
金属がナイロンフィルムに付着し核付金属蒸着層を形成
する。プラズマ放電の処理強度は1〜12kW/mであ
ることが好ましい。この際放電処理強度が1kW/mよ
り小さい場合、フィルム上に付着するスパッタ金属は
0.1nm未満であり、且つフィルムに対するプラズマ
放電処理の表面処理効果は少なくなるので、処理強度が
1kW/m以上である事が好ましい。また、12kW/
mを越えた場合、ナイロンフィルム上の核付金属蒸着層
の厚みが1nmを越えてしまい、その金属色が確認でき
るようになり、外観上好ましくない。
【0020】また、核付金属蒸着層上に蒸着する金属と
しては、特に制限はないが、スズ、クロム、銅及びアル
ミニウムが挙げられる。なかでも、色調及び蒸着適性か
らアルミニウムが最も好ましい。その蒸着方法は特に制
限されていないが、真空蒸着法、イオンプレ−ティング
法、スパッタリング法、イオンビ−ム法などが用いられ
る。この金属蒸着層の平均膜厚は通常10〜100nm
とする。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に詳細に説
明するが、本発明は、これらに限定されるものではな
い。
【0022】なお、実施例及び比較例中の物性は次によ
うにして測定した。
【0023】(1)酸素透過率 ASTM D−3985に準じて、酸素透過率測定装置
(モダンコントロ−ル社製OX−TRAN100)を用
いて20℃、0%RHの条件で測定した。
【0024】(2)ラミネ−ト強度 蒸着面にウレタン系2液型接着剤をドライで2μm相当
をコ−トし、60μmの未延伸PPフィルムとラミネ−
トし、18時間、40℃雰囲気でエ−ジングする。その
後、15mm幅×200mm長に切り取り、オリエンテ
ック社製テンシロン万能試験機を用いて引張速度200
mm/min.で90°剥離時の未チャック強度として
評価した。(ドライラミネート強度)また、90°剥離
時剥離界面に蒸留水を2〜3滴滴下して、同様に密着強
度を評価した。(ウェットラミネ−ト強度)蒸着フィル
ムサンプルの調整方法は次の通りである。
【0025】(1)ボイル処理 蒸着フィルムの蒸着面にウレタン2液型接着剤を固型分
2μm厚相当をコ−トし、60μmの未延伸PPフィル
ムとラミネ−トし、40℃で72時間エージングする。
エ−ジング後ラミネ−トフィルムを12cm角にカット
する。60μmの未延伸PPフィルムを内側になるよう
に2枚重ね、三方シ−ルする。袋状になったところに蒸
留水を100ml入れ、さらに空気が入らないようにし
て開放部分をシ−ルし、密封状態にする。このサンプル
を95℃の沸騰水中に30分間放置し、その後取り出し
てシ−ル部をカットし、水蒸気透過率、酸素透過率の測
定用サンプルとした。
【0026】[実施例1]〜[実施例4]、[比較例
1]〜[比較例6] プラスチックフィルムとして厚さ15μm、1000m
m幅の二軸延伸ナイロンフィルムを用いて通常のロ−ル
・ツ−・ロ−ル型の蒸着機で1×10-3mmHgの真空
下でマグネトロン電極のカソ−ドに純度99.9%の銅
材を用いて酸素0.5l/min.を放電雰囲気で供給
する。更に、マグネトロン電極に電圧をかけ放電電流の
プラズマ放電雰囲気でナイロンフィルム上にそれぞれ次
に示す平均厚みの核付金属蒸着層を形成した。引き続き
1×10-4mmHgの真空下でアルミ蒸着層を40nm
形成させた。
【0027】 実施例1:0.01nm 実施例2:0.1nm 実施例3:1.0nm 実施例4:2.0nm 一方、比較例1は核付金属蒸着層を形成することなく4
0nmのアルミニウム蒸着層を形成させた。また、比較
例2ではコロナ放電処理面に同様の蒸着層を形成させ
た。比較例3は核付蒸着層を形成させずナイロンフィル
ムをプラズマ放電雰囲気中に通し、引き続き40nmの
アルミニウム蒸着層を形成させた。比較例4では抵抗加
熱方式で銅を1.0nmの厚みで核付金属蒸着層を形成
し、引き続いて40nmのアルミニウム蒸着層を形成さ
せた。比較例5では放電ガスである酸素ガスの代わりに
窒素ガスを用いて1.0nmの核付金属蒸着層を形成さ
せ、引き続いて40nmのアルミニウム蒸着層を形成さ
せた。また、比較例6では放電ガスである酸素ガスの代
わりにアルゴンガスを用いて1.0nmの核付金属蒸着
層を形成させ、引き続いて40nmのアルミニウム蒸着
層を形成させた。
【0028】表1に実施例1〜4と比較例1〜6の特性
の測定結果をまとめた。
【0029】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜4により得られた
金属蒸着フィルムは、ガスバリア−性(未処理、ボイル
処理)がいずれの処理を比較しても比較例1〜6よりレ
ベルアップし且つラミネ−ト強度(耐水密着性)につい
ても同様の結果が得られた。
【0030】
【発明の効果】本発明では、プラスチックフィルム上に
特定の核付金属蒸着層及び金属蒸着層を順次形成するこ
とにより、金属蒸着層のグレインサイズが核付蒸着層の
ないものに比べて小さく且つ蒸着層の脱落が改良された
ナイロンフィルムとなる。したがって、本発明はラミネ
−ト強度の必要な食品包装用蒸着フィルムに特に有効で
ある。
フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭52−25868(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 16/58 B32B 1/00 - 35/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延伸ナイロンフィルム表面に、酸素放電
    ガスを用いたプラズマ放電下に おいて平均膜厚が
    0.02〜1.0nmの銅核付金属蒸着層を形成し、そ
    の上に金属蒸着層をそれぞれ形成せしめてなる金属蒸着
    ナイロンフィルムの製造方法
  2. 【請求項2】 プラズマ放電の強度が1〜12kW/m
    であることを特徴とする請求項1記載の金属蒸着ナイロ
    ンフィルムの製造方法
  3. 【請求項3】 金属蒸着層の金属がアルミニウムである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の金属蒸着ナイ
    ロンフィルムの製造方法
  4. 【請求項4】 金属蒸着層の平均膜厚が10〜100n
    mであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記
    載の金属蒸着ナイロンフィルムの製造方法
  5. 【請求項5】 延伸ナイロンフィルムの厚みが12〜2
    5μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか
    に記載の金属蒸着ナイロンフィルムの製造方法
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