JP3450488B2 - ホウ素を含有する金属酸化物超伝導線材 - Google Patents

ホウ素を含有する金属酸化物超伝導線材

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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホウ素を含有する金属
酸化物超伝導材に関する。本発明により提供されるホ
ウ素を含有する金属酸化物超伝導線材は、磁場中におい
ても高い臨界電流密度(Jc)を有し、マグネット、送
電線、エネルギー機器等、各種分野で利用可能である。
【0002】
【従来の技術】近年相次いで発見された銅を含む酸化物
超伝導体は、従来知られていたニオブ系等の超伝導体の
臨界温度(Tc)を大きく上回るTcを持つ為に、多く
の分野で応用研究が進められている。この様な銅を含む
酸化物超伝導体の中で、Y系と呼ばれるYBa2Cu3
yや、Bi系と呼ばれるBi2Sr2CanCu1 n
y(n=0、1、2)や、Tl系と呼ばれるTl2Ba2
CanCu1 ny(n=0、1、2)が特によく知られ
ている。
【0003】更に、ホウ素を含む銅酸化物超伝導体とし
ては、Physica C,Vol.205(1993),P.118〜122
において、YSr0.8 Ba1.2 Cu2.50.57 の組
成で、Tcが51Kの材料が紹介されている。これら銅
酸化物超伝導体を活用する技術として、線材化すること
により利用可能となる超伝導ケーブルや超伝導コイル等
が提案されている。又、線材の作成方法としては、銀等
の金属テープ上に酸化物超伝導材料を塗布する方法や、
銀等の金属管の中に超伝導体の原料を充填して圧延する
方法(パウダーインチューブ法)等が広く知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】上述した金属酸化
物の超伝導体のうち、Y系やTl系の材料を超伝導線材
として応用しようとする場合、これら材料は、材料固有
の特質として、各々の結晶粒界が弱結合と呼ばれる結合
の弱いものになり易く、その結果、臨界電流密度を大き
く出来ないと云う問題点があった。かかる従来の問題点
については、SCIENCEVol.259(1993),P.306〜30
8や工業材料 Vol.41(1993.3),P.18〜25等に記
載されている。
【0005】Y系の材料においては、特開平5−129
41号公報に、結晶粒界の弱結合を少なくする目的で、
超伝導原料としてYb1-xCaxBa2Cu37-xを使用
して、溶融或は部分溶融処理を施す超伝導線材の製造方
法が開示されているが、この場合、超伝導材料の共晶温
度以上にシース線を加熱する必要がある。Y系材料は一
致溶融しない為に、溶融或は半溶融状態から超伝導結晶
を生成する場合に超伝導結晶の内部には包晶物が、又、
結晶粒界部分には共晶温度以上の領域で分解された非超
伝導体が析出し易い。これらをコントロールして、特性
の均一な電気良導体としての超伝導線材とすることは非
常に困難である。
【0006】又、上述した金属酸化物の超伝導体のう
ち、Bi系については、Y系やTl系とは異なり、線材
にした際に結晶粒界が弱結合になりにくく、結晶の二次
元性が大きい為に加工がし易いと云う特徴を有する反
面、磁場中で臨界電流密度が大幅に減少するという欠点
があった。これは特に1テスラ以上の磁場中、及び30
K以上の温度において顕著となり、超伝導マグネット等
の重要な応用への障害になっていた。Bi系におけるこ
の様な従来の問題点についても、SCIENCE Vol.259(199
3),P.306〜308や工業材料 Vol.41(1993.3),
P.18〜25、及びP.26〜31等に詳しく記載さ
れている。
【0007】又、上述した金属酸化物超伝導体のうち、
Physica C,Vol.205(1993),P.118〜122に開示
されているYSr0.8Ba1.2Cu2.50.57の組成に
ついては、Tcが51Kと低いこともあり、線材に関す
る報告はない。これらの現状を考慮すると、弱結合の出
来にくいY系の材料を使用して線材化することが、マグ
ネット等の応用には重要であることがわかる。そこで本
発明の目的は、とりわけY系の材料でありながら弱結合
が少なく、その結果、臨界電流密度の高い、安定な超伝
導線材とその製造方法を提供することにある。又、本発
明の他の目的は、磁場中においても臨界電流密度の減少
が小さい超伝導線材とその製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明に
よって達成される。即ち、本発明は、下記組成式(I)
で表され、構成元素にホウ素を含有する金属酸化物超伝
導体と、前記金属酸化物超伝導体より融点が高く且つ銀
を主体とした銀合金の、テープ基材或いはシースのチュ
ーブ材とからなり、線状に加工してなることを特徴とす
る金属酸化物超伝導材である。 (Ln1-aCaa)(Sr2-bBab)(Cu1-cc)Cu2d …(I) (但し、LnはY、Gd、Dy、Ho又はErのいずれ
かであり、0.2≦a≦0.4、1.0≦b≦1.4、
0.2≦c≦0.4、且つ6.5≦d≦7.5であ
る。)
【0009】
【作用】銅を含む酸化物超伝導体のうち、Y系123構
造(YBa2Cu3y)では、夫々結晶学的に異なる環
境にある銅のサイトが存在する。その一つのサイトは超
伝電導と密接に関係し、且つ超伝導に大きな役割を担っ
ている「CuO2面」内のCuであり、このCuO2面は
銅を含む酸化物超伝導体においては必要不可欠な構成単
位である。一方、もう一つのCuの占めるサイトは、
「Cu-Oチェーン層」と呼ばれる一次元鎖状に銅と酸
素が交互に配列した構成単位中に存在する。このCu-
Oチェーン層内のCuは、CuO2面内のCuが酸素を
介して二次元ネットワークを形成しているのと対照的で
ある。
【0010】上記の二種類の銅の占めるサイトが酸素と
共にほぼ同一面内に存在していながら、一方が二次元ネ
ットワーク状に、もう一方が一次元鎖状になっている差
異については、それが、各々の層の上下に存在するY及
びBa元素により構成されるY層とBa-O層との位置
関係により理解される。つまり、CuO2面はY層とB
a-O層とに挟まれ、Cu-Oチェーン層はBa-O層と
Ba-O層とに挟まれている。ここで注意しなければな
らないことは、この構造においてはCu-Oチェーン層
の酸素が欠損し易いことである。この酸素の欠損が引き
金になって超伝導を担うキャリア濃度が減少し、その結
果超伝導転移温度が減少したり、結晶の軸長が変化した
りする。
【0011】更に、Y系にはこのCu-Oチェーン層が
二重になった124構造(YBa2Cu48)と呼ばれ
る別の超伝導相や、更には一つおきに二重になった24
7構造(Y2Ba4Cu715)と呼ばれる別の超伝導相
がかなり安定に存在しており、各々123構造とは別の
超伝導特性や結晶構造を有している。つまり、このCu
-Oチェーン層の為に123構造が不安定なものになっ
ていると類推することが出来る。この不安定性の為に、
結晶粒界において酸素が抜け易くなったり、又、別の結
晶構造のものが析出し易くなり、結果的に弱結合と呼ば
れる臨界電流密度を下げる要因を作り出していると考え
られる。
【0012】本発明者らは、この不安定なCu-Oチェ
ーン層を、超伝導体の構成層としての役割を担わせたま
ま安定化させた超伝導体を原料として使用し、適切な材
質のテープ基材或はシースのチューブ材等を使用するこ
とにより、結晶粒界での弱結合の少ない、即ち、臨界電
流密度が高く安定で、且つ磁場中においても臨界電流密
度の減少が小さい超伝導線材の製造を可能にした。
【0013】上記線材を構成する超伝導体として、Cu
-Oチェーン層のCuの一部を、Cu-Oの結合より安定
と思われるB-Oの結合をランダムに、或は周期的に置
換し、尚、且つBaの一部をそれよりイオン半径の小さ
な同じアルカリ土類金属であるSrで置き換えると同時
に、Lnサイト(Y)の一部を、それより価数の小さな
Caで部分的に置き換えた材料を使用し、尚、且つテー
プ基材或はシースのチュ−ブ材等として、前記超伝導体
より融点の高い銀を主体とした銀合金を使用することに
より、本発明の目的を達成している。即ち、本発明は、
使用する超伝導材料の特質としての結晶粒界での弱結合
の少なさを最大限に生かした、超伝導線材とその製造方
法を提供するものである。
【0014】尚、本発明に使用するホウ素を含む前記超
伝導体は、前述したPhysica C,Vol.205(1993),P.1
18〜122に開示されているYSr0.8Ba1.2Cu
2.50.57と比較すると、Lnサイト(Y)の一部を
それより価数の小さなCaで部分的に置き換えている点
で大きく異なり、YSr0.8Ba1.2Cu2.50.57
組成の超伝導臨界温度(Tc)が51Kであるのに対
し、最高で92KとYBa2Cu3yのTcに匹敵する
ものである。
【0015】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。本発明の金属酸化物線材
は、前記組成式(I)で表され、構成元素にホウ素を含
有する金属酸化物超伝導体と、これより融点が高く且つ
銀を主体とした銀合金とからなり、線状に加工してなる
ことを特徴としている。上記本発明の超伝導線材の製造
方法としては、前記組成式(I)で表される金属酸化物
を超伝導体として使用して、これより融点の高い銀を主
体とした銀合金を、テープ基材或はシースのチューブ材
等の材料として使用する限りいずれの方法でもよいが、
特に好ましい上記銀合金としては5重量%以上20重量
%以下のパラジウムを含有する銀合金である。5重量%
のパラジウムを含有する銀合金は、融点が約1010℃
であり、前記組成式(I)で表される金属酸化物超伝導
体の分解が開始する温度より10〜30℃程度高い。
【0016】尚、パラジウムの含有量が増加するに従っ
て銀合金の融点は上昇する。パラジウムの含有量が20
重量%を超えても超伝導線材の製造は可能であるが、超
伝導線材の特性、例えば、臨界電流密度(Jc)は向上
しない。これは主として、パラジウムの含有量が増加す
るに連れて、高温での酸素の透過率が減少することによ
るものと考えられる。即ち、上記金属酸化物超伝導体の
構成元素である酸素が適性化しにくくなる為であると理
解される。又、パラジウムの含有量が5%未満であると
熱処理時に軟化又は溶融が見られ、線材の製造が著しく
困難になったり、線材が製造出来なくなったりする。故
に、銀とパラジウムの合金としては、パラジウムの含有
量が5重量%以上20重量%以下であることが特に好ま
しい。
【0017】本発明で使用する銀合金としては、パラジ
ウム以外にも前記組成式(I)で表される金属酸化物超
伝導体と反応しない金や白金、イリジウム、ロジウムと
いった貴金属も利用可能であるが、これらはパラジウム
に比べて高価であり、パラジウムを使用した線材と比較
しても同程度以下の特性しか示さない。よって、何らか
の制約が加わらない限り、銀を除く貴金属の中でも比較
的安価なパラジウムを利用することが好ましい。
【0018】尚、パラジウムと前記組成式(I)で表さ
れる金属酸化物超伝導体との反応性をX線回折法で調べ
たが、X線回折法で調べる限り、新しくパラジウム化合
物は生成していなかった。しかしながら、本発明の線材
の製造方法において、X線回折法では判断不能な微小領
域で、ピニングセンターとして有効に作用する物質がパ
ラジウムの存在をきっかけとして生成して、上記金属酸
化物超伝導体の材料としてのポテンシャルに加えて、線
材としての臨界電流密度等の性能を高めている可能性は
存在する。以上の理由により、実用性の点においては、
パラジウムを5〜20重量%使用することが最も好適で
ある。
【0019】又、超伝導体を線材に加工する方法として
は、超伝導体原料を上記銀合金のチューブに充填し細線
化した後に熱処理を行うパウダーインチューブ法が特に
好適である。10重量%のパラジウムを含有する銀合金
を使用して、ホウ素を含有する超伝導体のシース線材を
パウダーインチューブ法で製造する場合、40Kでの超
伝導臨界電流密度(Jc)は、ゼロ磁場において、YB
2Cu3yを使用した場合の約2.6倍であり、1テ
スラの磁場中においてもゼロ磁場の場合に比べて2/5
程度にしか減少しない。これは主に、結晶粒界での弱結
合が少ない材料の特質を反映するものであり、材料のポ
テンシャルを十分に引き出した結果であると考えられ
る。
【0020】尚、ホウ素を含む前記組成式(I)で示さ
れる金属酸化物超伝導体の製造方法としては、ホウ素の
原料としてB23等を用いて、所謂セラミック材料で一
般に使われている様な原料粉末からの加熱による反応及
び焼結法が行われる。この様な製造方法の例は、Materi
al Research Bulletin 第8巻777頁(1973年)、 Solid Sta
te Communication 第17巻27頁(1975年)、 Zeitschrift f
ur Physik B 第64巻188頁(1986年)、 Physical Review L
etters 第58巻第9号908頁(1987年)等に示されており、
これらの方法は、現在では定性的には極めて一般的な方
法として知られている。
【0021】とりわけ、本発明の線材の製造方法に関し
ては、前記組成式(I)で示されている金属酸化物超伝
導体の製造方法としては、ホウ素の原料にH3BO3を用
い、Ln、Ca、Sr、Ba、Cuの原料と共に適当な
組成比にて混合した後、ゆっくりと昇温し、仮焼きした
後に、酸素中で本焼成を行うことが特に好ましい。又、
本発明の線材の製造方法において、パウダーインチュー
ブ法を適用する場合、上記酸化物超伝導体は結晶構造に
影響を与えない程度に、ボールミル等で可能な限り細か
く微粒化されていることが好ましい。例えば、平均粒径
が1μm程度であることが望ましい。
【0022】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明
する。 実施例1〜3、比較例1〜3 原料として、Y23、CaCO3、SrCO3、BaCO
3、CuO、H3BO3を用い、超伝導体としてY0.7Ca
0.3Sr0.8Ba1.2Cu2.60.4dの組成になる様に各
々の原料を秤量して乾式混合した。これらの混合物をア
ルミナ製の坩堝に入れて、酸素雰囲気中、毎分10℃で
850℃まで昇温し、2時間保持後室温まで降温した。
この仮焼き原料を粉砕して再度乾式混合して、酸素中9
80℃で20時間熱処理して本焼成した。この本焼成後
の超伝導体原料の一部を、粉末X線回折測定により評価
したところ、Y0.7Ca0.3Sr0.8Ba1.2Cu2.60.4
dの単一な構造になっていることが確認された。この
様に作成した超伝導体原料を乾式粉砕後、少量のエタノ
ールを加えてメノウ製ボールミルで微粒化した。
【0023】次に、得られた超伝導体微粉を300℃で
乾燥して、線材製造用の超伝導体粉末原料とした。この
粉末の平均粒径は約1μmであった。次に、銀−8%P
d、銀−8%Pt、銀−8%Rhの銀を主体とした合金
製及び銀製と銅−60%Pd合金製の外径6mm、内径
4.5mm、長さ50mmの一方を閉じたチューブに、
上記超伝導体粉末原料を夫々充填して、減面率8.5%
で伸線加工を行い、最終的に直径0.6mmのシース線
を5種類作成した。
【0024】尚、この伸線加工の行程中、5回の減面処
理おきに、400℃でのアニール処理を施した。これら
の5種類のシース線を長さ35mmに各々カットして、
プレス機により50トン/cm2でテープ状に成形し、
実施例1〜3に対応する銀−8%Pd、銀−8%Pt、
銀−8%Rhの銀を主体とした合金製のシース線及び、
比較例1に対応する銀シース線と比較例2に対応する銅
−60%Pd合金シース線を準備した。次にこれら5種
類のシース線を、酸素中978℃で20時間熱処理を
し、室温まで毎分3℃の割合で降温して取り出した。そ
して各々の外観の観察を行った。
【0025】比較例1に対応する銀シース線では、銀の
融点が約962℃と本熱処理温度より低い為に、銀の溶
融の形跡が確認された。それ故に比較例1に対応する銀
シース線については、以後の行程を実施することは出来
なかった。このことから理解される様に、上記超伝導材
料と比べて融点の高い材料を用いる必要があることがわ
かる。
【0026】比較例2に対応する銅−60%Pd合金シ
ース線では、融点は十分に高いものの、合金中の銅が上
記酸化物超伝導体と共通の構成元素を含有する為に、反
応性があり、このことを示す反応の形跡が変形及び変色
等で確認された。それ故に比較例2に対応する銅−60
%Pd合金シース線については、以後の行程を実施する
ことは出来なかった。このことから理解される様に、銀
を主体とした、上記超伝導体と反応しない合金を用いる
必要があることがわかる。尚、実施例1〜3に対応する
銀−8%Pd、銀−8%Pt、銀−8%Rhの銀を主体
とした合金製のシース線では特に異常は見られなかっ
た。
【0027】実施例1〜3に対応する銀−8%Pd、銀
−8%Pt、銀−8%Rhの銀を主体とした合金製のシ
ース線については、再度プレス機により50トン/cm
2 で加圧成形し、酸素中980℃で30時間の熱処理を
行い、室温まで毎分3℃の割合で降温して本発明の超伝
導線材とした。銀−8%Pdを使用したものを実施例
1、銀−8%Ptを使用したものを実施例2、銀−8%
Rhを使用したものを実施例3として、通常の直流4端
子法で40Kにおけるゼロ磁場中及び1テスラの磁場中
での臨界電流を測定した。
【0028】比較の為に比較例3として、YBa2Cu3
y超伝導体の直径0.6mmの銀シース線を作成し、
通常の直流4端子法で40Kにおけるゼロ磁場中及び1
テスラの磁場中での臨界電流を測定した。比較例3のY
Ba2Cu3y超伝導体の銀シース線でのゼロ磁場中で
の臨界電流値で規格化したものを臨界電流密度比α1、
1テスラの磁場中での臨界電流値で規格化したものを臨
界電流密度比α2として、実施例1〜3及び比較例3の
α1及びα2を表1に示す。尚、比較例3のYBa2
3y超伝導体の銀シース線では、1テスラの磁場中で
の臨界電流値はゼロ磁場中での臨界電流値の1/3程度
であった。
【0029】下記表1からわかる様に、本発明の線材
は、全てYBa2Cu3y超伝導体を使用した線材に比
べて、α1は2.0以上の高い値を示し、又、α2も
2.4以上と高い値を示す。とりわけα2が大きいこと
は、YBa2Cu3y超伝導体を使用した線材に比べ
て、磁場中での特性が優れていることを意味する。この
ことから、本発明の金属酸化物線材は、簡単な冷却機で
冷却可能な40K程度の温度において、優れた特性を発
揮することがわかる。
【0030】尚、本実施例では、Y0.7Ca0.3Sr0.8
Ba1.2Cu2.60.4dを超伝導体として使用したが、
それ以外にも組成式が(Ln1-aCaa)(Sr2-bBab)
(Cu1-cc)Cu2d(但し、LnはY、Gd、Dy、
Ho又はErのいずれかであり、0.2≦a≦0.4、
1.0≦b≦1.4、0.2≦c≦0.4、且つ6.5
≦d≦7.5である。)と表される超伝導体を利用して
も全く問題はない。
【0031】表1
【0032】実施例4〜7 原料として、Y23、CaCO3、SrCO3、BaCO
3、CuO、H3BO3を用い、超伝導体としてY0.7Ca
0.3Sr0.8Ba1.2Cu2.60.4dの組成になる様に各
々の原料を秤量して乾式混合した。これらの混合物をア
ルミナ製の坩堝に入れて、酸素雰囲気中、毎分10℃で
850℃まで昇温し、2時間保持後室温まで降温した。
この仮焼き原料を粉砕して再度乾式混合して、酸素中9
80℃で20時間熱処理して本焼成した。この本焼成後
の超伝導体原料の一部を粉末X線回折測定により評価し
たところ、Y0.7Ca0.3Sr0.8Ba1.2Cu2.60.4
dの単一な構造になっていることが確認された。この様
に作成した超伝導体原料を乾式粉砕後、少量のエタノー
ルを加えてメノウ製ボールミルで微粒化した。
【0033】次に、得られた超伝導体微粉を300℃で
乾燥して、線材製造用の超伝導体粉末原料とした。この
粉末の平均粒径は約1μmであった。次に、銀−5%P
d、銀−10%Pd、銀−20%Pd、銀−40%Pd
の銀を主体とした合金製の外径6mm、内径4.5m
m、長さ50mmの一方を閉じたチューブに、上記超伝
導体粉末原料を夫々充填して、減面率8.5%で伸線加
工を行い、最終的に直径0.6mmのシース線を4種類
作成した。
【0034】尚、この伸線加工の行程中、5回の減面処
理おきに、400℃でのアニール処理を施した。これら
4種類のシース線を長さ35mmに各々カットして、プ
レス機により50トン/cm2でテープ状に成形し、実
施例4〜7に対応する銀−5%Pd、銀−10%Pd、
銀−20%Pd、銀−40%Pdの銀を主体とした合金
製のシース線を準備した。次に、これら4種類のシース
線を、酸素中978℃で20時間熱処理をし、室温まで
毎分3℃の割合で降温して取り出した。
【0035】その後、再度プレス機により50トン/c
2で加圧成形し、酸素中980℃で30時間の熱処理
を行い、室温まで毎分3℃の割合で降温して、超伝導線
材とした。銀−5%Pdを使用したものを実施例4、銀
−10%Pdを使用したものを実施例5、銀−20%P
dを使用したものを実施例6、銀−40%Pdを使用し
たものを実施例7として、通常の直流4端子法で、40
Kにおけるゼロ磁場中及び1テスラの磁場中での臨界電
流を測定した。
【0036】下記表2に、比較例3のYBa2Cu3y
超伝導体の銀シース線での、ゼロ磁場中での臨界電流値
で規格化したものを臨界電流密度比α1及び1テスラの
磁場中での臨界電流値で規格化したものを臨界電流密度
比α2として、実施例4〜7のα1及びα2を示す。表
2からわかる様に、銀−x%のパラジウム合金を使用す
ることにより、比較例3のYBa2Cu3y超伝導体と
比較して、ゼロ磁場中及び1テスラ中の両方において、
臨界電流密度が優れていることが分かる。特に、5≦x
≦20である場合に、α1は2.1以上となり、α2も
2.7以上と特に高い値を示すことが分かる。即ち、本
発明の金属酸化物線材として、銀−x%パラジウム合金
として5≦x≦20であることが特に好適である。
【0037】尚、実施例5については、磁場の大きさを
変化させた場合の臨界電流密度の変化についても測定を
行った。この結果を示すグラフを図1に示す。横軸は磁
場の大きさを示し、縦軸はゼロ磁場の値で規格化した臨
界電流密度比である。図1から、磁場の大きさが増大し
ても、臨界電流密度の減少は少ないことがよく理解され
る。
【0038】尚、本実施例では、Y0.7Ca0.3Sr0.8
Ba1.2Cu2.60.4dを超伝導体として使用したが、
それ以外にも組成式が(Ln1-aCaa)(Sr2-bBab)
(Cu1-cc)Cu2d(但し、LnはY、Gd、Dy、
Ho又はErのいずれかであり、0.2≦a≦0.4、
1.0≦b≦1.4、0.2≦c≦0.4、且つ6.5
≦d≦7.5である。)と表される超伝導体を利用して
も全く問題はない。
【0039】表2
【0040】
【効果】本発明により、以下の効果が得られる。 (1)簡単な冷却装置により利用可能な40K程度にお
ける臨界電流密度の高い超伝導線材の製造が可能とな
る。 (2)磁場中においても高い臨界電流密度を有する超伝
導線材の製造が可能となる。 (3)製造工程において、超伝導材料を溶融或は反溶融
状態にすることがなく、その為、結晶粒界に不純物等の
超伝導材料としてのポテンシャルを妨げる生成物が出来
にくい。その為、結晶粒界での弱結合が少なく、結果的
に優れた特性を有する超伝導線材の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5の磁場の大きさを変化させた場合の臨
界電流密度の変化を示すグラフである。横軸は磁場の大
きさを示し、縦軸はゼロ磁場の値で規格化した臨界電流
密度比である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−69626(JP,A) 特開 平1−122923(JP,A) 特開 平8−106825(JP,A) 特開 平3−95808(JP,A) 特開 昭63−264823(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 12/00 - 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記組成式(I)で表され、構成元素に
    ホウ素を含有する金属酸化物超伝導体と、前記金属酸化
    物超伝導体より融点が高く且つ銀を主体とした銀合金
    の、テープ基材或いはシースのチューブ材とからなり、
    線状に加工してなることを特徴とする金属酸化物超伝導
    線材。 (Ln1-aCaa)(Sr2-bBab)(Cu1-cc)Cu2d …(I) (但し、LnはY、Gd、Dy、Ho又はErのいずれ
    かであり、0.2≦a≦0.4、1.0≦b≦1.4、
    0.2≦c≦0.4、且つ6.5≦d≦7.5であ
    る。)
  2. 【請求項2】 前記銀合金が、銀−X%パラジウム合金
    (5≦x≦20)である請求項1に記載の金属酸化物
    伝導線材。
  3. 【請求項3】 前記ホウ素の原料がH3BO3である請求
    項1に記載の金属酸化物超伝導線材。
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