JP3450407B2 - ゲルを用いた反応晶析方法 - Google Patents

ゲルを用いた反応晶析方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機化学品、無機化学
品、磁気材料、セラミックス、医薬品、食品等の幅広い
分野において、粗粒でかつ品質の良い結晶を生産するた
めの反応晶析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまでに、上記した多くの分野におい
て、大量の製品結晶が生産されており、ある範囲の品質
を得るための生産技術は確立されていると言われる。難
溶性均一微粒子を生成する方法にダブル・ジェット(別
名:インピンジング・ジェット)反応晶析法があり、す
でに公知の技術としてハロゲン化銀の均一微粒子の生産
に用いられているが、凝集を抑制したりするための操作
やイオンの供給方法が非常に複雑であった。また、反応
晶析方法においては結晶懸濁密度を高めて操作したり、
結晶粒径を大きく成長させようとすると、二次核発生が
起こり、結晶数の増大や粒径の減少を始め、核の付着や
破砕により結晶表面の状態が荒れるなど、純度低下をき
たす場合が多々存在した。さらに、このような結晶同士
の相互作用を避けるために結晶群を静止状態で成長させ
る方法も公知であるが、このような方法では生産性が悪
く、結晶と接触した固体面方向の成長は充分でなかっ
た。
【0003】一方、医薬品、食品等の分野において、徐
放効果や化学的安定性を付与する目的から、製品を高分
子ゲルでコーティングする操作は公知の技術として従来
より広く用いられている。しかしながら、この操作はあ
くまで出来上がった最終製品に限ってゲルコーティング
を施すものであり、製品の調製過程から成長や粒径制御
を図りながら実施しようとするものはこれまで一切存在
しなかった。然るに、この操作方法においては、製品を
得るために必然的に上記のようなデメリットに直面せざ
るを得なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、複数のイオン
または分子からなる成分を反応させ結晶を析出させるに
当たり、製品結晶が高純度なものであり、その粒子形状
が大きくかつ粒径分布の範囲が狭く、粒子の成長や粒径
の制御が容易であり、しかも生産性の高い方法の解明が
求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに本発明者らは鋭意研究の結果、高分子のゲル内に保
持した成分と、溶液内の成分とを反応させるにあたり、
後者の成分を高分子のゲルを通して拡散させて前者の成
分と接触させることにより、高分子のゲル内において所
望の結晶を安定的かつ高純度に成長させうることを見出
して本発明を完成したのである。すなわち、本発明は、
複数のイオンまたは分子からなる各々の成分を互いに反
応させて結晶を析出させるに当たり、この複数のイオン
または分子からなる成分のうちの少なくとも一種類の成
分を含有する溶液を高分子ゲル内に包含させた粒子を形
成させ、この粒子を他の複数のイオンまたは分子からな
る成分を溶解した溶液と接触させ、粒子内で反応を進行
させて結晶を析出させることを特徴とする反応晶析方法
に関する。
【0006】更に本発明は、複数のイオンまたは分子か
らなる成分のうちの少なくとも一種類の成分を含有する
溶液を高分子ゲル内に包含させた粒子を形成させるにあ
たり、この粒子内に対象結晶の種晶を少なくとも一個存
在させ、粒子内で反応を進行させて結晶を析出させるこ
とを特徴とする反応晶析方法にも関する。更にまた本発
明は、複数のイオンまたは分子からなる成分のうちの少
なくとも一種類の成分を含有する溶液を高分子ゲル内に
包含させた粒子を、撹拌流動状態下で、他の複数のイオ
ンまたは分子からなる成分を溶解した溶液と接触させる
ことを特徴とする反応晶析方法にも関する。本発明の複
数のイオンまたは分子からなる成分のうちの少なくとも
一種類の成分を含有する溶液を包含させるための高分子
ゲルを構成する高分子には、対象結晶の性質ないしは反
応成分の性質により、合成高分子、天然高分子のいずれ
をも用いることができる。
【0007】例えば所望の結晶が医薬品を対象とする場
合、高分子ゲルを構成する高分子としては天然高分子が
安全性の面でも好ましく、多糖類系のアルギン酸ナトリ
ウム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ペクチン
酸などの電解質型、デンプン、ガラクトマンナン、デキ
ストラン、キチンなどの非電解質型の高分子を用いるこ
とができる。結晶形成がイオン反応に基づく場合は電解
質型高分子の使用が望ましい。また、タンパク質などの
結晶の等電点晶析、塩析などの反応晶析に適用する場合
は、タンパク系ゲルのゼラチン、アクチン、卵白アルブ
ミン、ポリグルタミン、コラーゲンなどが好ましい例で
ある。上記天然高分子の他に、高分子ゲルを構成する高
分子としては、半合成高分子および合成高分子を用いる
こともできる。半合成高分子としては、セルロース誘導
体例えば、カルボキシメチルセルロース、ブチルセルロ
ース、アセチルセルロースなどが、また合成高分子とし
ては部分加水分解ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸メチル、ポリ
アクリル酸エチル、ポリスチレン、これら重合体を構成
する単量体の二種またはそれ以上からなる共重合体また
はブロック共重合体などが挙げられる。
【0008】本発明方法で用いる、複数のイオンまたは
分子からなる成分のうちの少なくとも一種類の成分を含
有する溶液を高分子ゲル内に包含させた粒子は、種々の
方法で製造することができるが、その具体例としてはマ
イクロカプセル化技術と呼ばれる液滴を高分子ゲル内に
包含させる方法がある。これらの方法には、同心円状の
ノズルのある回転式押出ヘッドを用いて芯となる液体の
ジェット流と外殻となる高分子溶液とを押出し、ジェッ
ト流が真空中を飛ぶ間にRayleigh不安定によって外殻溶
液で被覆された芯液体の液滴をうる遠心押出し法に基づ
く方法、芯となる液体を高分子溶液に溶解または懸濁さ
せ、これを噴霧乾燥させ、芯となる液体を粒子内部に閉
じこめて微小粒子をうる噴霧乾燥法に基づく方法、芯と
なる液体を高分子溶液に溶解または懸濁させ、この高分
子に対して貧溶解性の物質を加えたり、温度を下げて高
分子の溶解度を下げたり、またはこの高分子溶液の溶媒
に対してより溶解度の高い別種の高分子を加えたりする
ことにより相分離を起こさせて液体を内部に閉じこめた
微小粒子を得る方法などがある。このようにして得られ
た複数のイオンまたは分子からなる成分のうちの少なく
とも一種類の成分を含有する溶液を高分子ゲル内に包含
させた粒子を、他の複数のイオンまたは分子からなる成
分を溶解した溶液と接触させ、粒子内で反応を進行させ
て所望の結晶を析出させることになる。このようにして
高純度で粒径分布がシャープで結晶形状が良好な結晶が
得られる。
【0009】本発明の方法において、粒径が更に大きい
結晶が所望される場合、或いは粒径分布が更に狭い範囲
にある結晶を所望する場合に複数のイオンまたは分子か
らなる成分のうちの少なくとも一種類の成分を含有する
溶液を高分子ゲル内に包含させた粒子を形成させるにあ
たり、この粒子内に対象結晶の種晶を少なくとも一個存
在させ、粒子内で反応を進行させて結晶を析出させるこ
ともできる。上記した本願方法によって、ナプロキセン
カリウム塩水溶液と塩酸水溶液とからナプロキセンの結
晶の生成、安息香酸ナトリウム水溶液と塩酸水溶液とか
ら安息香酸の結晶の生成、ジメチルピリミジノール硫酸
塩水溶液とメナジオン亜硫酸水素ナトリウム水溶液とか
らのメナジオン亜硫酸水素ジメチルピリミジノールの結
晶の生成などを行うことができる。
【0010】次に本発明方法の操作を具体例に則して説
明することにする。図1は本発明の実施態様の一例とし
て、成分Aと成分Bが反応し、結晶Cが反応晶析する場
合を示している。はじめに成分Bを含む溶液に高分子物
質、例えばアルギン酸ナトリウムを添加溶存させ、これ
を塩化カルシウム溶液に滴下することにより球状ゲル化
させ、ゲル〔1〕を得る。ゲルの粒径は滴下速度、塩化
カルシウム溶液の撹拌流動状態により制御できるため、
製品として得たい結晶粒径に基づいて決めることができ
る。このようにして調製したゲル〔1〕群を晶析槽
〔2〕内の成分Aを含まない溶液に添加懸濁させる。懸
濁をより良好にさせるためにバッフル〔3〕を設置して
おくと良い。通常の晶析装置においては、懸濁密度を高
く維持する目的から混合効果の上がるバッフルを挿入す
るが、結晶のみを懸濁させる場合、バッフルの存在は二
次核発生の増加をまねき、悪影響を及ぼすことが非常に
多い。一方、本晶析方法はゲルの内部で結晶化を進行さ
せるので、バッフルは何ら悪影響を及ぼさない。
【0011】ここで、成分Aを含む溶液を撹拌翼〔4〕
の近傍上部に供給管〔5〕より注入すると、次第に晶析
槽〔2〕内の成分Aの濃度が上昇し、成分Aはゲル
〔1〕の網目構造を介して拡散する。これにより、ゲル
内部において核(微結晶〔6〕)生成が起こり、供給原
料成分Aはその後、微結晶〔6〕の成長に消費される。
上記の如く結晶が育成できると、従来より問題となって
いた結晶成長過程の核生成や結晶同士の衝突による破砕
が抑制され、これらに基づく品質の低下が抑制でき、高
品質の結晶を得ることができる。本操作では、結晶の成
長速度は時間の経過とともに低下するが、これを一定に
保ちたい場合は、原料中の成分Aの濃度を適宜上昇させ
るか、濃度を一定にして原料供給速度を高めることが好
ましい。所定時間反応後、ゲルを含む結晶を取り出し、
そのまま水溶液剤として製品にしても、水切り後ゲルご
と乾燥してハードカプセルなどの製品にしても良い。ま
た、ゲル自体が不要な場合は、薬液でゲルを剥離・溶解
させ、結晶のみを得ることもできる。晶析装置内の撹拌
流動状態は、ゲルが破壊されない程度のかなり激しい条
件にしても問題は無いが、経済的には結晶の成長に伴っ
て、撹拌速度を徐々に上げていくことが好ましい。
【0012】本発明の一態様として示される結晶の生成
状況は図2のようなものであるが、本発明の他の実施態
様において、ゲルを生成させる際、図3に示すように成
分Bとともに種結晶〔6〕を内在させておくと、結晶個
数、結晶粒径の制御性がより良好となる。また、本態様
ではAとBを反応させる場合を代表例で示したが、Aと
B、CあるいはAとB、C、Dなどの多成分を反応晶析
させる場合も好ましい適用例で、少なくとも1成分をゲ
ル化し、他の成分とゲルを介して反応させるようにすれ
ば良い。反応の物質としては、ゲル材との反応性を持た
ず、かつ一方の反応物質がゲルのマトリックスを通過で
きるゲル材を適宜選定すれば、理論的に如何なる物質で
も適用可能である。
【0013】以上、本発明によれば、懸濁結晶を成長さ
せ製品を得る場合、装置内の核発生、破砕、凝集、付着
に基づく製品の品質低下を回避することができる。この
ように、本発明はゲル内の反応を有効に利用することに
より、品質の良い結晶を得ることを可能としたものであ
る。これにより、晶析後、固液分離時の濾過性の問題や
輸送時の結晶破損の問題も回避できる。また、均一粒径
の製品を得る場合、これまでは製品結晶の分級操作が必
要であり、操作の煩雑さや収率の低下が不可避となって
いた。これに対して、本発明によれば余剰結晶の発生を
防止できるため、分級操作なしで全量の均一粒径製品を
得ることができる。さらに、ゲルの網目サイズやゲルの
厚さを適宜調整すれば、反応物質のゲル層内での拡散透
過速度を制御でき、これよりゲル内での反応速度を制御
できる。その結果、結晶粒径の制御のみならず、結晶の
晶系、形状、密度など結晶構造も制御できるといった効
果も期待できる。以下に実施例によって本発明を説明す
る。
【0014】
【実施例】
〔実施例1〕ナプロキセン・カリウム塩水溶液1.12m
ol/リットルにアルギン酸ナトリウムを重量で3%添加
し、よく混合した。この溶液を塩化カルシウム20%水
溶液に滴下し、平均600μmの生成ゲルを得た。この
ゲルを円筒型晶析槽(2000ml)に容積%で40%投
入し、純水500mlをさらに添加後、回転数350rpm
で撹拌した。そこへ、塩酸水溶液1.12mol/リットル
を流量3.0ml/minで連続的に添加した。この過程にお
いてゲル内でナプロキセンの微結晶の生成が見られ、こ
れらの成長の様子が顕微鏡で観察された。得られたナプ
ロキセンの結晶の粒径分布を調査したところ、図4
(A)の分布を示した。
【0015】同様のナプロキセン結晶の生成をナプロキ
センの微結晶を種晶として反応前にゲル内に存在させた
ものを用いて行った。すなわち、ナプロキセン・カリウ
ム塩水溶液1.12mol/リットルにアルギン酸ナトリウ
ムを重量で3%添加し、よく混合し、これにナプロキセ
ンの微結晶を加え、得られた混合物を塩化カルシウム2
0%水溶液に滴下し、平均粒径70μmのナプロキセン
結晶を種晶として含む平均600μmの生成ゲルを得
た。このゲルを上記と同様に円筒型晶析槽(2000m
l)に容積%で40%投入し、純水500mlをさらに添
加後、回転数350rpmで撹拌した。そこへ、塩酸水溶
液1.12mol/リットルを流量3.0ml/minで連続的に
添加した。このようにして得られたナプロキセンの結晶
の粒径分布を調査したところ、図4(B)の分布を示し
た。
【0016】〔比較例1〕比較例として、500mlのナ
プロキセン・カリウム塩水溶液(実施例1のゲル内に包
含させたナプロキセン・カリウム塩水溶液とほぼ同量)
に塩酸水溶液1.12mol/リットルを流量3.0ml/min
で連続的に供給し、同様の実験を行った。この結果を実
施例1のそれと合わせて表1および図4(C)に示す。
生産速度はどちらも同様であったが、実施例1で得られ
た結晶はいずれも粒径分布がシャープで、結晶形状が良
好な凝集の少ない粗粒のものであった。一方、比較例1
で得られた結晶は粒径分布がフラットで粒径が広範囲に
分散しており、また結晶形状が凝集体状で、固液分離は
し難いものであった。
【0017】
【表1】
【0018】〔実施例2〕安息香酸ナトリウム水溶液
0.35mol/リットルにアルギン酸ナトリウムを重量で
1.5%添加し、よく混合した。この溶液を塩化カルシ
ウム1.5%水溶液に滴下し、アルギン酸カルシウムの
ビーズを作製した。次に、このビーズをポリリジン0.
05W/V%水溶液中に分散させ、さらにアルギン酸ナト
リウム0.03%水溶液中に浸漬させ、平均800μm
のアルギン酸−ポリリジン−アルギン酸の三層構造より
成るゲルを得た。このゲルを円筒型晶析槽(1500m
l)に容積%で40%投入し、純水400mlをさらに添
加後、回転数300rpmで撹拌した。そこへ、塩酸水溶
液1.4mol/リットルを流量1.9ml/minで連続的に添
加した。この過程においてゲル内で安息香酸の結晶の生
成が見られ、これらの成長の様子が顕微鏡で観察され
た。得られた安息香酸の結晶の粒径分布を調査したとこ
ろ、図5(A)の分布を示した。
【0019】同様の安息香酸の結晶の生成を安息香酸の
微結晶を種晶として反応前にゲル内に存在させたものを
用いて行った。すなわち、安息香酸ナトリウム水溶液
0.35mol/リットルにアルギン酸ナトリウムを重量で
1.5%添加し、よく混合し、これに安息香酸の微結晶
を加え、得られた混合物を塩化カルシウム1.5%水溶
液に滴下し、アルギン酸カルシウムのビーズを作製し
た。次に、このビーズをポリリジン0.05W/V%水溶
液中に分散させ、さらにアルギン酸ナトリウム0.03
%水溶液中に浸漬させて、平均800μmのアルギン酸
−ポリリジン−アルギン酸の三層構造より成り、芯のア
ルギン酸ゲル中に平均粒径80μmの安息香酸結晶を種
晶として含むゲルを得た。このゲルを円筒型晶析槽(1
500ml)に容積%で40%投入し、純水400mlをさ
らに添加後、回転数300rpmで撹拌した。そこへ、塩
酸水溶液1.4mol/リットルを流量1.9ml/minで連続
的に添加した。このようにして得られた安息香酸の結晶
の粒径分布を調査したところ、図5(B)の分布を示し
た。
【0020】〔比較例2〕実施例2の比較例として、4
00mlの安息香酸ナトリウム水溶液(ゲル内に包含させ
た安息香酸ナトリウム水溶液とほぼ同量)に塩酸水溶液
1.4mol/リットルを流量1.9ml/minで連続的に供給
し、同様の実験を行った。この結果を実施例2のそれと
合わせて表2および図5(C)に示す。生産速度はどち
らも同様であったが、実施例2で得られた結晶はいずれ
も粒径分布がシャープで、結晶形状が良好な凝集の少な
い粗粒のものであった。一方、比較例2で得られた結晶
は粒径分布がフラットで粒径が広範囲に分散しており、
また結晶形状が凝集体状で、固液分離はし難いものであ
った。
【0021】
【表2】
【0022】〔実施例3〕低温ゲル化アガロース20W
/V%水溶液(予め前処理として酢酸による加水分解処
理を施したもの)にジメチルピリミジノール硫酸塩水溶
液520g/リットルを重量で14%添加し、よく混合
した。この混合溶液に流動パラフィンを約6倍量添加し
た後撹拌し、混合溶液が所定の大きさ(平均粒径500
μm)のビーズになるように調製した。次に、これを0
℃に冷却してアガロースをゲル化させた後、ほぼ同量の
ハンクス液を加え、遠心分離した。遠心分離後、下層の
ゲル層と上層の流動パラフィン層とハンクス液層を分別
し、これを数回繰り返すことによってアガロースゲルを
得た。このゲルを円筒型晶析槽(2000ml)に容積%
で50%投入し、純水300mlをさらに添加後、回転数
300rpmで撹拌した。そこへ、メナジオン亜硫酸水素
ナトリウム水溶液500g/リットルを流量90ml/mi
nで連続的に添加した。この過程においてゲル内でメナ
ジオン亜硫酸水素ジメチルピリミジノール:MDHPの
微結晶の生成が見られ、これらの成長の様子が顕微鏡で
観察された。得られたMDHPの結晶の粒径分布を調査
したところ、図6(A)の分布を示した。同様のMDH
Pの結晶の生成をMDHPの微結晶を種晶として反応前
にゲル内に存在させたものを用いて行った。このMDH
Pの種晶の平均粒径は30μmであった。このようにし
て得られたMDHPの結晶の粒度分布を調査したとこ
ろ、図6(B)の分布を示した。
【0023】〔比較例3〕実施例3の比較例として、3
50mlのジメチルピリミジノール硫酸塩水溶液(ゲル内
に包含させたジメチルピリミジノール硫酸塩水溶液とほ
ぼ同量)にメナジオン亜硫酸水素ナトリウム水溶液50
0g/リットルを流量90ml/minで連続的に供給し、
同様の実験を行った。この結果を実施例3のそれと合わ
せて表3および図6(C)に示す。生産速度はどちらも
同様であったが、実施例3で得られた結晶はいずれも粒
径分布がシャープで、結晶形状が良好な凝集の少ない粗
粒のものであった。一方、比較例3で得られた結晶は粒
径分布がフラットで粒径が広範囲に分散しており、また
結晶形状が凝集体状で、固液分離はし難いものであっ
た。
【0024】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】供給管5からの成分Aとゲル1内に保持された
成分Bとをゲル内で反応させて結晶を析出させる本発明
の実施態様の一例を模式的に示す図。
【図2】ゲル1内における成分Aと成分Bとの反応によ
る結晶の生成状況を示す図。
【図3】ゲル1内において種結晶6を封入して本発明の
方法を実施する場合の物質移動の状況を模式的に示す
図。
【図4】(A)は種晶なしの実施例1の操作、(B)は
種晶ありの実施例1の操作、そして(C)は比較例1の
操作で得られるナプロキセンの結晶の粒径分布を示す
図。
【図5】(A)は種晶なしの実施例2の操作、(B)は
種晶ありの実施例2の操作、そして(C)は比較例2の
操作で得られる安息香酸の結晶の粒径分布を示す図。
【図6】(A)は種晶なしの実施例3の操作、(B)は
種晶ありの実施例3の操作、そして(C)は比較例3の
操作で得られるメナジオン亜硫酸水素ジメチルピリミジ
ノール(MDHP)の結晶の粒径分布を示す図。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のイオンまたは分子からなる各々の
    成分を互いに反応させて結晶を析出させるに当たり、こ
    の複数のイオンまたは分子からなる成分のうちの少なく
    とも一種類の成分を含有する溶液を高分子ゲル内に包含
    させた粒子を形成させ、この粒子を他の複数のイオンま
    たは分子からなる成分を溶解した溶液と接触させ、粒子
    内で反応を進行させて結晶を析出させることを特徴とす
    る反応晶析方法。
  2. 【請求項2】 複数のイオンまたは分子からなる成分の
    うちの少なくとも一種類の成分を含有する溶液を高分子
    ゲル内に包含させた粒子を形成させるにあたり、この粒
    子内に対象結晶の種晶を少なくとも一個存在させ、粒子
    内で反応を進行させて結晶を析出させることを特徴とす
    る請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 複数のイオンまたは分子からなる成分の
    うちの少なくとも一種類の成分を含有する溶液を高分子
    ゲル内に包含させた粒子を、撹拌流動状態下で他の複数
    のイオンまたは分子からなる成分を溶解した溶液と接触
    させることを特徴とする請求項1または2に記載の方
    法。
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CN114085768B (zh) * 2021-11-11 2023-07-25 河南飞天生物科技股份有限公司 一种用于生产阿洛酮糖的提纯装置及提纯方法

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