JP3446556B2 - 調相設備自動制御装置における等頻度制御方法 - Google Patents

調相設備自動制御装置における等頻度制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複数の調相設備用
開閉器を等頻度に制御する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】調相設備には、重負荷時に進相電力を供
給する電力用コンデンサ、軽負荷時に遅相電力を供給す
る分路リアクトルなどがある。調相設備は、通常、変動
する負荷の状態に応じた容量を実現するために、開閉器
の操作により複数を組み合わせて使用される。 【0003】負荷の変動は一日の中でも頻繁に起こるの
で、調相設備の開閉器は、プログラム設定した容量分の
調相設備が「入」となるように自動的に制御される。調
相設備の開閉器は、一般の開閉器に比べると、その開閉
頻度が高いことが特徴となる。一方、開閉器は、できる
だけ特定の開閉器の操作回数が増えないように制御する
必要がある。この制御を等頻度制御という。 【0004】従来、等頻度制御を行うのに、「切」から
「入」に変化する開閉器の累積ON回数を、当該開閉器
数で割って平均値を求め、この平均値を最も小さくする
組合せパターンを採用していた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の方
法で等頻度制御を行った場合、開閉器の操作回数が多く
なる傾向がある。操作回数が多くなると、製品寿命の上
から不利となる。そこで、本発明は、開閉器の操作回数
の偏りがなく、かつ、操作回数が少なくて済む調相設備
自動制御装置における等頻度制御方法を実現することを
目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の調相設備自動制
御装置における等頻度制御方法は、所定の容量を実現す
る開閉器の組合せパターンをすべて求め、その中から任
意の2つのパターンを選択して、(1) 1つのパターンを
採用したときと、他のパターンを採用したときとで、同
じ変化をする開閉器を計算上無視し、(2) 1つのパター
ンを採用したとき変化する開閉器についての累積ON回
数をカウントして総和と平均値を求め、他のパターンに
ついても同様に総和と平均値を求め、(3) 総和同士、平
均値同士を比較し、総和の小さい方と平均値の小さい方
とが一致する場合に、当該小さな方のパターンを選択
し、(4) 総和の小さい方と平均値の小さい方とが一致し
ない場合には、平均値の小さい方のパターンを採用した
場合の開閉器操作後の累積ON回数を予測し、その予測
される累積ON回数の総和について平均値を求め、この
平均値と、他のパターンの平均値とのうち、平均値の小
さな方のパターンを選択し、他の2つのパターンについ
ても、前記(1) から(4) までの手順を行い、選択され最
後に残ったパターンを採用するものである。(請求項
1)。 【0007】前記の方法は、従来の方法と比べて、所定
の容量を実現する開閉器の組合せパターンの中から任意
の2つのパターンを選択して比較すること、1つのパタ
ーンを採用したときと、他のパターンを採用したときと
で、同じ変化をする開閉器を計算上無視すること、1つ
のパターンについて累積ON回数をカウントして総和と
平均値を求め、他のパターンについても同様に総和と平
均値を求めて、総和平均値の双方を比較の対象として
いること、等が異なっている。 【0008】これにより、複数あるパターンから、等頻
度に、さらにできるだけ操作回数が多くならないよう
に、特定のパターンを選択することができる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、電力系
統に設置された調相設備と開閉器を示す図である。調相
設備と開閉器の数はn個(n≧2)とし、調相設備をP
M1,PM2,‥‥,PMn、開閉器をCB1,CB
2,‥‥,CBnで表す。 【0010】図2は、調相設備自動制御装置の構成を示
すブロック図である。 調相設備自動制御装置1は、等
頻度制御演算を行う等頻度制御演算部2、等頻度制御演
算の結果に基づいて開閉器の切換信号を出力する開閉指
令部3、負荷容量変動プログラムがロードされ、当該プ
ログラムに基づいて系統電圧が一定になるように運転容
量を指定する運転容量指定部4、書き換え可能なメモリ
5を備えている。 【0011】等頻度制御演算部2は、等頻度制御演算を
行う場合に、前記容量指定部4により指定された運転容
量、調相設備の容量、累積ON回数、現在の開閉器の開
閉状態を基にして演算する。調相設備の容量、累積ON
回数、現在の開閉器の開閉状態は、すべて書き換え可能
なメモリ5に記憶されている。ここで「調相設備の容
量」とは、調相設備ごとの容量をいい、調相設備を設置
したときにオペレータが入力する。「累積ON回数」と
は、当該開閉器を開の状態から閉の状態に切り換えた回
数の累積をいう。「現在の開閉器の開閉状態」とは、各
調相設備の開閉器が現在開状態であるか、閉状態である
かの状態をいう。「累積ON回数」と「現在の開閉器の
開閉状態」は、開閉指令部3からのフィードバックに基
づいて、自動的に更新される情報である。 【0012】等頻度制御演算の手順は次のとおりであ
る。 (A) 容量指定部4から調相設備の運転容量が指定され
る。 (B) 指定された運転容量を実現する調相設備の組合せパ
ターン(以下単に「パターン」という)を全部リストア
ップする。 (C) 任意の2つの調相設備のパターンA,Bを選び、次
の評価をする。 【0013】a.パターンAを採用したときと、パター
ンBを採用したときとで、同じ変化(変化とは、オンか
らオフ、オフからオン双方を含む。以下同じ)をする開
閉器を評価計算上無視する。 b.パターンAを採用したとき変化する開閉器について
の累積ON回数をカウントし、総和を求める。その総和
をσAと書く。パターンBについても同様に総和σBを
求める。 【0014】c.総和σAを変化する開閉器数で割って
平均値mAを求め、総和σBを変化する開閉器数で割っ
て平均値mBを求める。 d.σA<σBかつmA<mBのときは、パターンAを
選ぶ。σA>σBかつmA>mBのときは、パターンB
を選ぶ。 e.σA≦σBかつmA≧mB(双方等号を除く)のと
きは、パターンA,Bのうちいずれかを選ぶ。σA≧σ
BかつmA≦mB(双方等号を除く)のときは、パター
ンA,Bのうちいずれかを選ぶ。いずれを選ぶかは任意
であるが、例えば総和σA、σBの小さい方を選んでも
よく、平均値mA、mBの小さい方を選んでもよい。 【0015】f.σA=σBかつmA=mBのときは、
パターンA,Bのうちいずれかを選ぶ。なお、前記e.
を次の判定e−1.及びe−2.に代えることもでき
る。 e−1.σA≦σBかつmA≧mB(双方等号を除く)
のときは、パターンBを採用した場合の開閉器操作後の
累積ON回数を予測し、その予測される累積ON回数の
総和σ′Bを変化する開閉器数で割って平均値m′Bを
求める。すなわち、 σ′B=σB+変化する開閉器数 m′B=σ′B/変化する開閉器数=mB+1 そしてこの平均値m′Bを用いて、mA>m′Bのとき
パターンBを選ぶ。mA≦m′BのときパターンAを選
ぶ。 【0016】e−2.σA≧σBかつmA≦mB(双方
等号を除く)のときは、パターンAを採用した場合の開
閉器操作後の累積ON回数を予測し、その予測される累
積ON回数の総和σ′Aを変化する開閉器数で割って平
均値m′Aを求める。すなわち、 σ′A=σA+変化する開閉器数 m′A=σ′A/変化する開閉器数=mA+1 そしてこの平均値m′Aを用いて、m′A<mBのとき
パターンAを選ぶ。m′A≧mBのときパターンBを選
ぶ。 【0017】次に、等頻度制御演算の手順を具体例を使
って説明する。 【0018】 【表1】 【0019】表1は、書き換え可能なメモリ5に記憶さ
れている調相設備の容量、累積ON回数、現在の開閉器
の開閉状態のデータを示す。調相設備の数は5つあり、
調相設備PM1の容量は120MVA、調相設備PM2
の容量は30MVA、調相設備PM3〜PM5の容量は
それぞれ60MVAである。 【0020】調相設備PM1〜5の累積ON回数は、そ
れぞれ2,2,1,2,1となっている。現在の開閉器
の開閉状態は、調相設備PM1と4のみがONである。
したがって、運転容量は180MVAである。この状態
で、運転容量を150MVAに落とす場合を考える。 【0021】150MVAを実現する組合せパターン
は、表2に示すとおり、パターンAからパターンDまで
4とおりある。 【0022】 【表2】 【0023】まず、パターンA,Bを選び、同じ変化を
する調相設備PM2とPM4を計算の上で無視する。パ
ターンAを採用したとき変化する開閉器の累積ON回数
の総和σAは0であり、パターンBについて総和σBは
PM1,3,5の累積ON回数についての和だから2+
1+1=4である。平均値mAは0、平均値mB=4/
3=1.3である。したがって、σA<σBかつmA<
mBが成立するので、パターンAを選ぶ。 【0024】次に、パターンA ,Cを選び、同じ変化
をする調相設備PM2,PM5を計算の上で無視する。
パターンAを採用したとき変化する開閉器PM4の累積
ON回数の総和σAは2であり、パターンCについて変
化する開閉器PM1,3の累積ON回数の総和総和σC
は2+1=3である。平均値mAは2/1=2、平均値
mCは3/2=1.5である。したがって、σA<σC
かつmA>mCが成立する。 【0025】そこで、パターンCを採用した場合の開閉
器操作後の累積ON回数を予測し、その予測される累積
ON回数の総和σ′Cを求めると、 σ′C=σC+変化する開閉器数=3+2=5 平均値m′Cは、=σ′C/変化する開閉器数=2.5
となる。この平均値m′Cを用いれば、mA≦m′Cが
成立するのでパターンAを選ぶ。 【0026】次に、パターンA ,Dを選び、同じ変化
をする調相設備PM2,PM3を計算の上で無視する。
パターンAを採用したとき変化する開閉器PM4の累積
ON回数の総和σAは2であり、パターンDについて変
化する開閉器PM1,5の累積ON回数の総和σDは2
+1=3である。平均値mAは2/1=2、平均値mD
=3/2=1.5である。したがって、σA<σDかつ
mA>mDが成立する。 【0027】そこで、パターンDを採用した場合の開閉
器操作後の累積ON回数を予測し、その予測される累積
ON回数の総和σ′Dを求めると、 σ′D=σD+変化する開閉器数=3+2=5 平均値m′Dは、=σ′D/変化する開閉器数=2.5
となる。この平均値m′Dを用いれば、mA≦m′Dが
成立するのでパターンAを選ぶ。以上のことから、パタ
ーンAが残る。 【0028】ここで、従来の方法を採用すればどうなる
かを説明する。パターンAを選ぶと、「切」から「入」
に変化する開閉器はPM2であり、累積ON回数の平均
値は、2/1=2である。 パターンBを選ぶと「切」
から「入」に変化する開閉器はPM2,PM3,PM5
であり、累積ON回数の平均値は、2+1+1/3=
1.3である。 パターンCを選ぶと「切」から「入」
に変化する開閉器はPM2,PM3であり、累積ON回
数の平均値は、2+1/2=1.5である。 パターン
Dを選ぶと「切」から「入」に変化する開閉器はPM
2,PM5であり、累積ON回数の平均値は、2+1/
2=1.5である。 【0029】以上のことから、パターンBが選択される
が、このパターンBは、開閉器の操作回数が最も多いパ
ターンとなってしまう。 【0030】 【発明の効果】以上のように本発明の調相設備自動制御
装置における等頻度制御方法によれば、調相設備の運転
容量が所定の容量となるように、複数の調相設備用開閉
器を制御する場合に、できるだけ操作回数が多くならな
いように、複数あるパターンから特定のパターンを選択
することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】 【図1】電力系統に設置された調相設備と開閉器を示す
図である。 【図2】調相設備自動制御装置1の構成を示すブロック
図である。 【符号の説明】 2 等頻度制御演算部 3 開閉指令部 4 運転容量指定部 5 書き換え可能なメモリ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−108178(JP,A) 特開 昭59−53032(JP,A) 特開 平5−108177(JP,A) 特開 昭58−218831(JP,A) 実開 昭57−203636(JP,U) 池本欽哉、他,力率管理へのアプロー チ コンデンサ容量と開閉制御の実際, 電器と管理,日本,株式会社電気書院, 1981年,Vol.22 No.9,p.96 −103 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02J 3/00 - 5/00 G05F 1/70 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】調相設備の運転容量が所定の容量となるよ
    うに、複数の調相設備用開閉器を等頻度に制御する方法
    であって、 所定の容量を実現する開閉器の組合せパターンをすべて
    求め、その中から任意の2つのパターンを選択して、 (1) 1つのパターンを採用したときと、他のパターンを
    採用したときとで、同じ変化をする開閉器を計算上無視
    し、 (2) 1つのパターンを採用したとき変化する開閉器につ
    いての累積ON回数をカウントして総和と平均値を求
    め、他のパターンについても同様に総和と平均値を求
    め、 (3) 総和同士、平均値同士を比較し、総和の小さい方と
    平均値の小さい方とが一致する場合に、当該小さな方の
    パターンを選択し、 (4) 総和の小さい方と平均値の小さい方とが一致しない
    場合には、平均値の小さい方のパターンを採用した場合
    の開閉器操作後の累積ON回数を予測し、その予測され
    る累積ON回数の総和について平均値を求め、この平均
    値と、他のパターンの平均値とのうち、平均値の小さな
    のパターンを選択し、 他の2つのパターンについても、前記(1) から(4) まで
    の手順を行い、 選択され最後に残ったパターンを採用することを特徴と
    する調相設備自動制御装置における等頻度制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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池本欽哉、他,力率管理へのアプローチ コンデンサ容量と開閉制御の実際,電器と管理,日本,株式会社電気書院,1981年,Vol.22 No.9,p.96−103

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