JP3446356B2 - 薄膜の製造方法及び製造装置 - Google Patents

薄膜の製造方法及び製造装置

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JP3446356B2
JP3446356B2 JP32027394A JP32027394A JP3446356B2 JP 3446356 B2 JP3446356 B2 JP 3446356B2 JP 32027394 A JP32027394 A JP 32027394A JP 32027394 A JP32027394 A JP 32027394A JP 3446356 B2 JP3446356 B2 JP 3446356B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜の製造方法及び製造
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現代社会に於て薄膜の果たす役割は非常
に広範囲であり、日常生活の様々な部分において薄膜が
利用されている。これらの中でも包装紙、磁気テ−プ、
コンデンサ等の用途においては、高速大量生産に有利な
連続巻取り真空蒸着が行われている。即ち(図2)のよ
うに長尺の基板が円筒状キャンの周面に沿って走行中に
電子ビーム蒸着を行うことによってテ−プ状薄膜の量産
が出来る。蒸発材料と基板材料を形成する薄膜の目的に
合わせて選ぶと同時に、必要に応じて真空槽内に反応ガ
スを導入することや、基板に電位を設けた状態で薄膜を
形成することによってによって所望の特性を持った薄膜
を形成することが出来る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、連続巻
取り蒸着は薄膜の量産に適した方法ではあるが、安定し
た特性の薄膜を長尺にわたって得るために解決すべき問
題がある。即ち蒸着時間の経過に伴い、蒸発源の内壁に
蒸着物が堆積し、この堆積物が時折再溶融して蒸発源内
に逆流する。この逆流現象が起きると、瞬間的に蒸発源
溶湯面の温度が低下し、蒸発量が急落する。これによっ
て長尺の蒸着中に時折、膜厚の薄い部分が発生してしま
うので対策が必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
本発明は、真空中で移動する長尺の基板上に電子ビーム
蒸着法によって薄膜を形成する薄膜の製造方法におい
て、蒸発源に照射する電子ビームを前記蒸発源の蒸発面
上で前記基板の幅方向に平行に第1の走査をするととも
に、前記電子ビームを前記蒸発面上で前記第1の走査の
方向に直交する第2の方向にも走査することによって、
前記蒸発面上における主な蒸発領域の中心を前記基板の
幅方向に平行な2本の線分上とせしめ、かつ前記基板の
幅方向に平行な前記第1の走査幅を前記基板上への前記
薄膜の形成幅よりも大きくし、前記第1の走査幅と前記
基板上への前記薄膜の形成幅の差の1/2が前記2本の
線分の間隔よりも大きいことを特徴とするもの及び、真
空中で移動する長尺の基板上に電子ビーム蒸着法によっ
て薄膜を形成する薄膜の製造方法において、蒸発源に照
射する電子ビームを前記蒸発源の蒸発面上で前記基板の
幅方向に平行に第1の走査をするとともに、前記電子ビ
ームを前記蒸発面上で前記第1の走査の両側で前記第1
の走査に平行かつ分離した位置でも走査することによっ
て、前記蒸発面上における主な蒸発領域の中心を前記基
板の幅方向に平行な3本の線分上とせしめ、かつ前記蒸
発領域の中心である前記3本の線分の内、中央の線分を
中心とする蒸発領域からの蒸発量が他の2本の線分を中
心とする蒸発領域からの蒸発量のいずれよりも多い事を
特徴とするもの及び、真空中で移動する長尺の基板上に
電子ビーム蒸着法によって薄膜を形成する薄膜の製造方
法において、蒸発源の蒸発面に照射する電子ビームの走
査軌跡が閉じた軌跡を描き、かつ前記薄膜の形成幅方向
に走査する前記電子ビームの走査幅を前記薄膜の形成幅
より大きくすることを特徴とするもの及び、真空中で移
動する長尺の基板上に電子ビーム蒸着法によって薄膜を
形成する薄膜の製造装置において、蒸発源に照射する電
子ビームを前記蒸発源の蒸発面上で走査する回路として
前記基板の幅方向に平行な第1の走査をする為の、第1
の走査回路と、前記電子ビームを前記蒸発面上で前記第
1の走査の方向に直交する第2の方向にも走査する為の
第2の走査回路を有し、かつ前記第1の走査回路が矩形
波以外の波形を発生すると共に前記第2の走査回路が略
矩形波を発生し、かつ前記蒸発源の蒸発面上での第1の
走査回路による走査振幅が、蒸着幅よりも、第2の走査
回路による走査振幅の2倍以上大きい事を特徴とするも
の及び、真空中で移動する長尺の基板上に電子ビーム蒸
着法によって薄膜を形成する薄膜の製造装置において、
蒸発源に照射する電子ビームを前記蒸発源の蒸発面上で
走査する回路として前記基板の幅方向に平行な第1の走
査をする為の第1の走査回路と、前記電子ビームを前記
蒸発面上で前記第1の走査の方向に直交する第2の方向
にも走査する為の第2の走査回路を有し、かつ前記第2
の走査回路が略3値の階段状波形を発生し、かつ前記3
値の階段状波形が、中央値を示す時間が他の2値を示す
時間のいずれよりも長いことを特徴とするもの及び、真
空中で移動する長尺の基板上に電子ビーム蒸着法によっ
て薄膜を形成する薄膜の製造装置において、蒸発源に照
射する電子ビームを前記蒸発源の蒸発面上で走査する回
路として前記基板の幅方向に平行な第1の走査をする為
の第1の走査回路と、前記電子ビームを前記蒸発面上で
前記第1の走査の方向に直交する第2の方向にも走査す
る為の第2の走査回路を有し、かつ前記第1、第2の走
査回路による走査波形の位相を、前記電子ビームが前記
蒸発源の蒸発面に照射する電子ビームの走査軌跡が閉じ
た軌跡を描き、かつ前記薄膜の形成幅方向に走査する前
記電子ビームの走査幅を前記薄膜の形成幅より大きくす
ように制御する事を特徴とするものである。
【0005】
【作用】蒸発源に電子ビームの主な照射領域を基板の幅
方向に平行な2本の線分がその中心となるように2分割
として照射すること及び、照射ビームの基板幅方向の走
査幅を、基板走行方向の分割幅に対して一定比以上とす
ることによって熱波動の影響が蒸着幅の範囲内に及ぶの
を防ぐことが出来る。また、同様の効果は、電子ビーム
の主な照射領域を基板の幅方向に平行な3本の線分がそ
の中心となるように3分割とすると共に、中央の照射領
域からの蒸発量が他の2本の線分を中心とする蒸発領域
からの蒸発量のいずれよりも多くする事によって、結晶
配向の乱れ等の、照射領域分割の影響を小さくして得る
ことが出来る。さらに、蒸発源に照射する電子ビーム
を、前記蒸発源の蒸発面上で開口部を有しかつ閉じた軌
跡となるように走査することによって基板の幅方向に平
行な走査幅が比較的小さな状態で、先の2方法と同様の
効果が得られる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
(図2)の排気系1によって真空排気された真空槽2の
中で巻き出しロール3から回転方向12に沿って巻出さ
れた長尺基板4は円筒状キャン5の表面に沿って走行中
に電子ビーム6を照射されている蒸発坩堝7より遮蔽板
9の開口部において蒸着を受けた後に、巻き取りロール
10に巻きとられる。その際、ガス導入ノズル8から反
応ガスを導入することによって反応蒸着を行うことが出
来る。また、高分子基板とキャンの密着性を高めるため
に、高分子基板をキャンにニップロール15によって押
し当てた後に、薄膜の形成に先立って密着用電子銃13
から密着用電子ビーム14を照射する事も出来る。さら
に、イオン源を用いて基板の表面処理等を行うことが出
来る。ニップロール、密着用電子銃、イオン源は必要の
ない場合には省略出来る。
【0007】薄膜磁気テープにおいて本発明を実施する
ために、高分子基板として30cm幅、10μm厚のポ
リエチレンテレフタレートを用い、酸素ガスを反応ガス
として用い、薄膜として層厚200nmのCoーO磁性
層を形成した。高分子基板への蒸気入射角は、第1層第
2層共に基板法線から90度から40度の範囲とした。
ガス導入ノズルの方向はノズルの延長線が蒸着終端部分
に向かうようにした。円筒状キャンはキャン内部を循環
する常温の冷却水によって冷却した。また、成膜中の蒸
着室の真空度は約5x10ー5torrである。
【0008】磁性層の膜厚は、ガイドロ−ラ間に設置し
た透過光式膜厚計を用いて蒸着を行いながら観測した。
透過光式膜厚計は可視光源とCDS素子を用いて構成し
た。磁性層膜厚のより正確な測定のために振動試料磁力
計を用いて単位面積当りの飽和磁化量も測定した。記録
再生特性の評価は、MIGヘッドを用い、記録波長0.
5μmにおけるC/Nを、市販のビデオ用蒸着テープ
(MEテープ)と相対比較することによって行った。
【0009】蒸発源にMgO坩堝を用い、電子ビームを
(図1)の様に坩堝表面でX方向、Y方向の両方に走査
した。(図1)で、X方向が基板の走行方向で、これに
直交する方向がY方向である。X方向に矩形波または矩
形波に準ずる信号で電子ビームを走査すると共に、Y方
向に三角波、鋸歯状波、正弦波、台形波等で電子ビーム
を走査することによって、(図1)に図示したようにビ
ームの主な照射領域を基板走行方向に略垂直な2本の線
分とすることが出来る。X方向、Y方向の走査周波数は
両方で極端な干渉が起きない範囲で任意に設定できる。
【0010】Y方向の走査幅を基板上への薄膜の形成幅
よりも大きくし、Y方向の走査幅と基板上への前記薄膜
の形成幅の差の1/2(以後これを走査マージンと呼
ぶ)と、2本の線分の間隔(分離間隔)の関係を変えて
蒸着を行い、基板長手方向の膜厚変動を調べた。走査マ
ージンは基板幅の両側で同じとなるようにした。なお、
(図1)中、dは分離間隔、mは走査マージン、Lは蒸
着幅を示している。
【0011】膜厚変動は(図3)で示されるような、透
過光式膜厚形による測定信号を基に、膜厚の変動率で調
べた。受光素子として用いたCDS素子の有効直径は1
0mmであり、蒸着幅の端部と中央部の2ケ所にCDS
素子を設置することによって蒸着端部と中央部での膜厚
変動を調べた。なお、予め基板の走行速度を変えて作成
した膜の膜厚を電子顕微鏡で膜破断面観察することによ
って測定し、透過光式膜厚計信号との校正を求め、校正
値を用いて膜厚変動を評価した。また、膜厚変動率は1
時間にわたって連続蒸着を行った際の、最も大きな膜厚
の急変動から3つを選び、その平均値で評価した。
【0012】電子ビームの分離間隔を3cm及び6cm
とし、走査マージンを変えて膜厚変動率を調べた。その
結果を(図4)に示す。(図4)には、電子ビームを分
離しない、従来の方法で走査マージンを変えて膜厚変動
率を調べた結果も併せて示している(電子ビームの分離
間隔0cmの場合)。電子ビームの分離間隔と走査マー
ジンは予め蒸発坩堝上にAlの薄板を載せて電子ビーム
を実際に照射することによって加熱痕の中心部から求め
た結果を基に設定した。(図4)から分かるように、電
子ビームを分離間隔3cm及び6cmに分離することに
よって、基板の幅方向中心では膜厚変動が小さく抑えら
れ、電子ビームを分離しない場合の12%に対して、5
%程度に変動率が低減出来る。この様に、中心部では走
査マージンに関係なく膜厚変動が低減できたが、蒸着端
部では走査マージンの無い場合には膜厚変動率は10%
となる。しかし、走査マージンを設ける事によって電子
ビーム分離の効果が顕著となり、膜厚変動率を小さくす
ることが出来る。走査マージンの増加に伴う変動率の低
下は、走査マージンが電子ビームの分離間隔と同程度と
なるまで続くので、電子ビーム分離による膜厚変動率の
低減効果を蒸着幅の端部まで得るには走査マージンを電
子ビームの分離幅と同等以上とすることが重要である。
走査マージンを電子ビームの分離幅と同等以上とするこ
とによる膜厚変動の低減の理由は十分明かではないが、
電子ビームの分離によって蒸発坩堝内における溶湯の対
流が、外乱に対して安定な状態となり、走査マージンを
広げることによって蒸発安定な領域が蒸着幅端部直下付
近にまで広がるものと思われる。
【0013】次に、本発明の別の実施例について説明す
る。蒸発源に照射する電子ビームを前記蒸発源の蒸発面
上でY方向に平行に第1の走査を行い第1の蒸発領域と
すると共に、第1の走査に平行かつ分離して第2、第3
の走査を行うことによって第2、第3の蒸発領域を設け
た。これによって主な蒸発領域はY方向の3本の線分上
から行われる。
【0014】3本の線分上の蒸発領域の分離は(図5)
に示すように、X方向の走査信号を3値とすることによ
って行える。3本の蒸発領域からの蒸発量の調整は(図
5)に示した走査信号の3値の割当時間によって変える
事が出来る。そこで、中央の蒸発領域に相当する走査信
号の割当時間t1に対する、両側の蒸発領域に相当する
走査信号の割当時間t2の比を変えて薄膜の作製を行っ
た。なお、両側の蒸発領域に相当する走査信号の割当時
間は同じとした。(図6)は、t2/t1を変えたとき
の膜厚変動率と結晶配向の分散を基板幅中央付近で調べ
た結果である。電子ビームの分離間隔は3cmである。
結晶配向の評価は基板の長さ方向を含む面内におけるX
線回折を用い、ロッキング曲線の半値幅を測定すること
によって行った。(図6)から分かるように、t2/t
1が10%未満では膜厚変動率が大きく、電子ビーム分
離の効果は小さい。一方、t2/t1を小さくすること
によってロッキング曲線の半値幅は小さくなり、薄膜の
結晶配向性が向上する。t2/t1が10%の場合に
は、半値幅の増加を、蒸発領域を分割しない従来例に対
して10%以内とすることが出来た。電子ビームの分離
間隔が6cmの場合においても、ほぼ同様の上述の結果
が得られた。また、蒸着幅端部においても、走査マージ
ンを分離間隔よりも大きくする事によって、同様の効果
が得られる。従って膜厚変動率を小さく保ち、かつ結晶
配向性の乱れを小さくする必要がある場合には、電子ビ
ームの主な照射領域を基板の幅方向に平行な3本の線分
がその中心となるように3分割とすると共に、中央の照
射領域からの蒸発量が他の2本の線分を中心とする蒸発
領域からの蒸発量のいずれよりも多くする事が有効であ
る。
【0015】これに対して3本の蒸発領域の内、片端の
蒸発領域に相当する走査信号の割当時間を0とすること
によって、(図7)の様な走査信号とし、(図6)の場
合と同様の方法で膜厚変動率と結晶配向の分散を調べ
た。この様にして割当時間を変えて蒸発領域を2分割し
たときの、膜厚変動率と結晶配向の分散を測定した結果
を(図8)に示す。(図8)から分かる様に、蒸発領域
を3分割した場合に比べて、2分割の場合には膜厚変動
率を小さくするためにt2/t1を40%以上とする必
要がある。一方、t2/t1を小さくすることによって
ロッキング曲線の半値幅は小さくなる。しかしながら、
膜厚変動率小さくする為に、t2/t1を40%以上
とすると、蒸発領域を分離しない場合に比べて半値幅は
1.3倍以上となってしまい、膜厚変動の低減と結晶配
向の両立には蒸発領域を3分割する方が有利である。
【0016】次に、本発明の別の実施例について説明す
る。蒸発源に照射する電子ビームを、蒸発源の蒸発面上
閉じた線で囲まれた走査軌跡形状となるように走査し
た。(図9)はその代表例を模式的に示したものであ
る。走査軌跡形状は、(図9)の様に長方形でもよい
が、楕円形あるいは長方形と楕円形を組み合わせた形
状でもよい。ここでは、(図9)に示した様な長方形を
描くように電子ビームを走査した場合について述べる。
基板上への薄膜の形成幅を20cmとすると共に、Y方
向の走査幅を基板上への薄膜の形成幅よりも大きくし、
Y方向の走査幅と基板上への前記薄膜の形成幅の差の1
/2(走査マージン)と、2本の線分の間隔(分離間
隔)の関係を変えて蒸着を行い、基板長手方向の膜厚変
動を調べた。走査マージンは基板幅の両側で同じとなる
ようにした。膜厚変動率は1時間にわたって連続蒸着を
行った際の、最も大きな膜厚の急変動から3つを選び、
その平均値で評価した。基板走行方向の電子ビームの分
離間隔を3cm及び6cmとし、走査マージンを変えて
膜厚変動率を調べた。その結果を(図10)に示す。
(図10)から分かるように、蒸発源に照射する電子ビ
ームを、蒸発源の蒸発面上で閉じた線で囲まれた走査軌
跡形状となるように走査することによって、蒸着幅の端
部での膜厚変動を抑えるための走査マージンを分離間隔
の1/2程度とすることが出来、主な蒸発領域を2本の
線分上とする場合よりも、蒸発坩堝幅を小さく設計する
ことが出来る他、Y方向の偏向コイル電流も小さくする
ことが出来る。
【0017】以上に述べたように、電子ビーム蒸着にお
いて蒸発源からの蒸発領域を分離すると共に、分離間隔
に対応する走査マージンを設定する事によって膜厚の安
定した蒸着を行うことが出来る。更に、蒸着領域を3分
割すると共に、中央の蒸発領域の蒸発速度を両端の蒸発
領域の蒸発速度より大きくすることによって、結晶配向
性の良い蒸着膜を膜厚安定に得ることが出来る。加え
て、蒸発源に照射する電子ビームを、蒸発源の蒸発面上
で開口部を有する閉じた軌跡となるように走査した場合
には分離間隔に対応する走査マージンを小さくしても膜
厚安定な蒸着を行うことが出来る事が分かった。
【0018】以上の実施例において基板としてポリエチ
レンテレフタレートを用いた場合についてのみ述べた
が、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリア
ミド、ポリイミドその他の高分子基板をはじめとする他
の種々の基板材料も用いることが出来る。さらに、実施
例としては薄膜としてCo−O磁性層を形成する場合に
ついてのみ述べたが、Co−Ni−O磁性層を形成する
場合にも同様の結果が得られており、磁性層としてCo
−NiーOをはじめとする他の酸化物薄膜を用いる場合
にも本発明は有効である。また、酸素以外のガスと金属
材料を用いる反応蒸着の場合、反応蒸着以外の電子ビー
ム蒸着による薄膜の形成、あるいは薄膜の形成に先立っ
て下地層を形成した後に薄膜を形成する場合についても
本発明が有効であることは言うまでもない。即ちSi等
の様々な材料と、酸素等の反応ガスとの反応蒸着や多元
元素と導入ガスの反応蒸着においても本発明を利用でき
る他、例えば液晶配向膜、透明電極膜、コンデンサの形
成などにおいて、本発明を適用することにより、従来の
電子ビーム蒸着では得られなかった特性の安定化が期待
される。
【0019】また、蒸着の入射角についても、(図2)
の様に高入射角から低入射角へ変化する連続蒸着の他、
低入射角から高入射角へ変化する場合や、垂直入射部分
を中心とした連続蒸着においても本発明は有効である。
更に、蒸発速度を安定に保つことが出来るという利点
は、基板の静止した蒸着や基板を回転させて行う蒸着な
ど、連続蒸着以外の蒸着においても有効である。
【0020】
【発明の効果】以上の様に本発明の薄膜の製造方法及び
製造装置によれば電子ビーム蒸着が蒸発速度安定に行わ
れるので、優れた特性の薄膜を膜厚安定に得ることが出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜の製造方法における電子ビームの
走査方法の一例を示す図
【図2】連続蒸着法による薄膜の製造方法の一例を示す
【図3】透過光式膜厚計の測定信号の一例を示す図
【図4】電子ビームの分離間隔と、走査マージンを変え
た時の膜厚変動率を示す図
【図5】蒸発領域を3分割するための走査信号の一例を
示す図
【図6】3分割した蒸発領域に相当する走査信号の割当
時間を変えたときの膜厚変動率と結晶配向の分散の関係
を示す図
【図7】2分割した蒸発領域に相当する走査信号の割当
時間を変える為の走査信号の一例を示す図
【図8】2分割した蒸発領域に相当する走査信号の割当
時間を変えたときの膜厚変動率と結晶配向の分散の関係
を示す図
【図9】蒸発源に照射する電子ビームを、蒸発源の蒸発
面上で開口部を有しかつ閉じた軌跡となるように走査し
た場合の代表例を模式的に示した図
【図10】蒸発源に照射する電子ビームを、蒸発源の蒸
発面上で開口部を有しかつ閉じた軌跡となるように走査
し、電子ビームの分離間隔と、走査マージンを変えた時
の膜厚変動率を示す図
【符号の説明】
1 排気系 2 真空槽 3 巻き出しロール 4 長尺基板 5 キャン 6 電子ビーム 7 蒸発坩堝 8 ガス導入ノズル 9 遮蔽板 10 巻き取りロール 11 ガイドロール 12 回転方向 13 密着用電子銃 14 密着用電子ビーム 15 ニップロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−105330(JP,A) 特開 平4−128368(JP,A) 特開 平4−289170(JP,A) 特開 平5−106043(JP,A) 特公 平5−24616(JP,B2) 実公 平3−22900(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 G11B 5/85 H01B 13/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空中で移動する長尺の基板上に電子ビー
    ム蒸着法によって薄膜を形成する薄膜の製造方法におい
    て、蒸発源に照射する電子ビームを前記蒸発源の蒸発面
    上で前記基板の幅方向に平行に第1の走査をするととも
    に、前記電子ビームを前記蒸発面上で前記第1の走査の
    方向に直交する第2の方向にも走査することによって、
    前記蒸発面上における主な蒸発領域の中心を前記基板の
    幅方向に平行な2本の線分上とせしめ、かつ前記基板の
    幅方向に平行な前記第1の走査幅を前記基板上への前記
    薄膜の形成幅よりも大きくし、前記第1の走査幅と前記
    基板上への前記薄膜の形成幅の差の1/2が前記2本の
    線分の間隔よりも大きいことを特徴とする薄膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】2本の線分の間隔が3cm以上である事を
    特徴とする請求項1記載の薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】薄膜が少なくともCoとO、またはCoと
    NiとOを主成分として含む磁気記録媒体であることを
    特徴とする請求項1または2記載の薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】真空中で移動する長尺の基板上に電子ビー
    ム蒸着法によって薄膜を形成する薄膜の製造方法におい
    て、蒸発源に照射する電子ビームを前記蒸発源の蒸発面
    上で前記基板の幅方向に平行に第1の走査をするととも
    に、前記電子ビームを前記蒸発面上で前記第1の走査の
    両側で前記第1の走査に平行かつ分離した位置でも走査
    することによって、前記蒸発面上における主な蒸発領域
    の中心を前記基板の幅方向に平行な3本の線分上とせし
    め、かつ前記蒸発領域の中心である前記3本の線分の
    内、中央の線分を中心とする蒸発領域からの蒸発量が他
    の2本の線分を中心とする蒸発領域からの蒸発量のいず
    れよりも多い事を特徴とする薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】3本の線分の間隔が各々3cm以上である
    事を特徴とする請求項4記載の薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】薄膜が少なくともCoとO、またはCoと
    NiとOを主成分として含む磁気記録媒体であることを
    特徴とする請求項4または5記載の薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】真空中で移動する長尺の基板上に電子ビー
    ム蒸着法によって薄膜を形成する薄膜の製造方法におい
    て、蒸発源の蒸発面に照射する電子ビームの走査軌跡が
    閉じた軌跡を描き、かつ前記薄膜の形成幅方向に走査す
    る前記電子ビームの走査幅を前記薄膜の形成幅より大き
    くすることを特徴とする薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】基板の移動方向における開口幅が3cm以
    上である請求項7に記載の薄膜の製造方法。
  9. 【請求項9】薄膜が少なくともCoとO、またはCoと
    NiとOを主成分として含む磁気記録媒体であることを
    特徴とする請求項7または8記載の薄膜の製造方法。
  10. 【請求項10】真空中で移動する長尺の基板上に電子ビ
    ーム蒸着法によって薄膜を形成する薄膜の製造装置にお
    いて、蒸発源に照射する電子ビームを前記蒸発源の蒸発
    面上で走査する回路として前記基板の幅方向に平行な第
    1の走査をする為の、第1の走査回路と、前記電子ビー
    ムを前記蒸発面上で前記第1の走査の方向に直交する第
    2の方向にも走査する為の第2の走査回路を有し、かつ
    前記第1の走査回路が矩形波以外の波形を発生すると共
    に前記第2の走査回路が略矩形波着幅よりも、第2の走
    査回路による走査振幅の2倍以上大きい事を特徴とする
    薄膜の製造装置。
  11. 【請求項11】真空中で移動する長尺の基板上に電子ビ
    ーム蒸着法によって薄膜を形成する薄膜の製造装置にお
    いて、蒸発源に照射する電子ビームを前記蒸発源の蒸発
    面上で走査する回路として前記基板の幅方向に平行な第
    1の走査をする為の第1の走査回路と、前記電子ビーム
    を前記蒸発面上で前記第1の走査の方向に直交する第2
    の方向にも走査する為の第2の走査回路を有し、かつ前
    記第2の走査回路が略3値の階段状波形を発生し、かつ
    前記3値の階段状波形が、中央値を示す時間が他の2値
    を示す時間のいずれよりも長いことを特徴とする薄膜の
    製造装置。
  12. 【請求項12】真空中で移動する長尺の基板上に電子ビ
    ーム蒸着法によって薄膜を形成する薄膜の製造装置にお
    いて、蒸発源の蒸発面に照射する電子ビームを前記蒸発
    源の蒸発面上で走査する回路として前記基板の幅方向に
    平行な第1の走査をする為の第1の走査回路と、前記電
    子ビームを前記蒸発面上で前記第1の走査の方向に直交
    する第2の方向にも走査する為の第2の走査回路を有
    し、かつ前記第1、第2の走査回路による走査波形の位
    相を、前記電子ビームが前記蒸発源の蒸発面に照射する
    電子ビームの走査軌跡が閉じた軌跡を描き、かつ前記薄
    膜の形成幅方向に走査する前記電子ビームの走査幅を前
    記薄膜の形成幅より大きくするように制御する事を特徴
    とする薄膜の製造装置。
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