JP3446153B2 - 建築物の施工方法 - Google Patents
建築物の施工方法Info
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Description
鉄塔等の塔体が立設されてなる建築物を構築するときに
用いて好適な建築物の施工方法に関するものである。
ナ用の鉄塔等の塔体を備えた建築物を構築するに際して
は、建屋を最上階まで構築した後に、ジブクレーン,超
大型移動式クレーン,タワークレーン等の各種クレーン
を用い、建屋上に塔体をその頂部まで組み上げている。
たような従来の建築物の施工方法には、以下のような問
題が存在する。まず、建屋を最上階まで構築した後に、
建屋上で塔体の組み上げ作業を行うので、この作業が高
所作業となる。このため、作業用の仮設足場や安全養生
を設ける必要があり、その組立・解体に手間がかかると
いう問題がある。また、高所作業では、安全管理や組み
立てる塔体の品質管理が難しい。その上、塔体の組み上
げ作業は当然のことながら屋外での作業となるため天候
の影響を受けるうえ、特に塔体の高さが高いほど風によ
って塔体が揺れやすく、作業の進捗にも影響を受ける。
に、超大型移動式クレーンを用いる場合には、これを地
上に位置させて作業を行うが、クレーンのブームの長さ
に限界があるため、例えば200メートル以上といった
高い塔体の組立には対応することができない。また、こ
のような超大型のクレーンを設置するためには、地上
に、地盤改良を施した広いヤード(作業場)を確保しな
ければならない。一方、ジブクレーンやタワークレーン
を用いる場合には、これを建屋や塔体に設置し、施工の
進捗に伴って上方に盛り替えるために、建屋や塔体に補
強を施さなければならない。
れたもので、塔体を備えた建築物の構築作業を容易かつ
安全に行い、高い品質の維持と大幅な工期短縮を可能と
することのできる建築物の施工方法を提供することを目
的とする。
建屋上に、上方に向けて延びる塔体が立設されてなる建
築物の施工方法であって、前記建屋の、前記塔体の下方
に位置する内周部を除いた外周部を先行施工するととも
に、該建屋の外周部の内方で前記塔体の頂部を組み上げ
た後、該塔体の頂部を、前記建屋の外周部に備えたプッ
シュアップ手段で該建屋に反力を得てプッシュアップさ
せる工程と、プッシュアップした前記塔体の下方に、該
塔体の下部の一定長部分を構成する塔体ユニットを搬入
し、これを前記塔体の下側に接合する工程とを繰り返す
ことによって、前記塔体を上方から下方に向けて組み立
てていき、該塔体の全長の組立が完了した後には、該塔
体を前記プッシュアップ手段でさらにプッシュアップさ
せる工程と、その下方に前記建屋の内周部を組みつける
工程とを繰り返して、該建屋の内周部を上方から下方に
向けて組み立てていき、しかる後に、該建屋の内周部と
外周部とを接合することとし、前記建屋の外周部と、そ
の内側で組み立てられる前記塔体との間に、水平方向に
伸縮自在な複数の水平ジャッキを設けておき、施工中に
おける地震や風等に起因する前記塔体の水平方向の揺れ
に抗するよう、これら水平ジャッキを伸縮駆動させ、前
記塔体ユニットまたは前記建屋の内周部を、プッシュア
ップした前記塔体の下側に接合するときに、接合すべき
塔体ユニットまたは建屋の内周部の内方に配置されてい
る柱の軸力を軸力調整ジャッキによって調整することを
特徴としている。
建築物の施工方法において、前記塔体にその水平方向の
振動を抑さえる制振手段を備えておき、施工の進捗に伴
って、組立の完了した部分の塔体の高さに対応させて、
前記制振手段の抑さえる固有振動数を変化させていくこ
とを特徴としている。
方法の実施の形態の一例を、図1ないし図12を参照し
て説明する。
物の施工方法を適用して構築する建築物について説明す
る。図1に示すように、構築すべき建築物1は、例えば
鉄骨造で10階建ての建屋2と、建屋2上に立設され
た、例えば160m程度の高さを有する鉄塔(塔体)3
とから概略構成されている。
する2方向に沿って、それぞれ所定間隔毎に柱4,4,
…が立設され、各階においてこれら柱4間に梁5,5,
…が格子状に架設された、いわゆるラーメン構造となっ
ている。
れてそれぞれ略鉛直方向に延在する柱材6,6,…と、
これら柱材6間に架設されて水平方向に延在する梁材
7,7,…と、これら柱材6と梁材7との間に設けられ
たブレース材8,8,…とから構成されている。
連続し、かつ下端が建屋2の柱4に連続する4本の内柱
(柱)9,9,…と、これら内柱9,9,…の外側に配
置された8本の外柱10,10,…と、これら内柱9,
外柱10間に架設された梁材11,11,…と、ブレー
ス材12,12,…とから構成されている。前記各外柱
10は、互いに隣接する内柱9,9を結ぶ線の延長線上
でかつこれら内柱9,9の一定寸法外側に配置されてお
り、その下端が、建屋2の柱4に連続するよう接合され
ている。このような鉄塔3の下部3Bは、ユニット化さ
れており、上下方向に一定長を有した塔体ユニット1
3,13,…が上下に複数連結された構造とされてい
る。
Bの下端部との間には斜め柱14,14,…が接続され
ている。
法について説明する。 [先行施工工程]まず、図2に示すように、地上にタワ
ークレーン15,15を設置し、これを用いて建屋2の
外周部2Aを先行施工する。ここで、建屋2の外周部2
Aとは、図1において、鉄塔3の鉛直下方に位置する内
周部2Bを除いた、平面視ロ字状の部分を示している。
なお、このとき、建屋2の外周部2Aには、この後の工
程において、建屋2の外周部2Aの内方に、組み立てる
部材等を搬入するため、その内外に連通する搬入口17
を形成しておく。
行して、タワークレーン15,15で、鉄塔3の上部3
Aと、下部3Bの一部を、下方から上方に向けて積み上
げ構築する。
に、建屋2の外周部2Aに、その内方に位置する鉄塔3
をプッシュアップするためのジャッキ設備(プッシュア
ップ手段)20を設置する。
備20は、建屋2の外周部2A上に仮設された構台21
と、建屋2の外周部2Aの内側でかつ鉄塔3の各外柱1
0と対向する柱4aに梁端部22を介して固定されて、
上下方向に一定長を有するガイドレール23と、鉄塔3
の下部3Bの各外柱10に取り付けられて、上下方向に
一定長を有するジャッキ吊芯24と、構台21に設けら
れ、ジャッキ吊芯24をチャックして鉄塔3を上方にプ
ッシュアップさせる油圧駆動の鉛直ジャッキ25とから
概略構成されている。
外柱10には、これと対向するガイドレール23に向け
て延出するボックス断面形状からなるブラケット26が
設けられている。図6に示すように、各ブラケット26
の先端部には、その両側から延出して、ガイドレール2
3を挟み込んだ形態で、これに沿ってスライド自在とさ
れたスライド部材27,27が設けられている。
端にテフロン板等の摩擦低減材を備え、かつ水平方向に
伸縮駆動される水平ジャッキ28が、スライド部材2
7,27間に収納された形態で備えられている。
8,28,…には、リリーフバルブ29a,アキュムレ
ータ29bが備えられ、これら水平ジャッキ28は、油
圧回路30によって互いに接続されている。このような
構成により、各水平ジャッキ28に予め設定した荷重よ
りも大きな水平力が作用したときには、ジャッキストロ
ークが縮み、スライド部材27,27(図6参照)が引
張に抵抗するような構成とされている。また、各水平ジ
ャッキ28には、それぞれを伸縮駆動させるための駆動
ユニット31が接続されている。この駆動ユニット31
においては、鉄塔3の所定位置に配置された図示しない
建方精度測定器からのデータに基づいて、各水平ジャッ
キ28を伸縮操作することによって建方精度の調整がで
きるようになっている。
入口17には、塔体ユニット13等を搬入するため、建
屋2の外周部2Aの外方から内方に向けて延在する搬送
レール35を敷設する。
部には、スロッシングタンク(制振手段)36,36,
…を設置する。これらスロッシングタンク36は、容器
内に例えば水等の液体が注入されたもので、鉄塔3が振
動したときに、液体が鉄塔3の振動と位相して揺動する
ことによって、前記振動の水平方向成分に対する制振効
果を得るものである。各スロッシングタンク36は、注
入する液体の量が任意に変更できるようになっている。
ッキ設備20、搬送レール35、スロッシングタンク3
6を設置した後、以下のようにして鉄塔3を組み立てて
いく。
の完了した部分の鉄塔3の下端部と地表部との縁を切
る。続いて、ジャッキ装置20で、既に組立の完了した
部分の鉄塔3をチャック保持する。
鉛直ジャッキ25,25,…を一斉に作動させて、鉄塔
3に取り付けたジャッキ吊芯24,24,…をジャッキ
アップすることによって、鉄塔3を所定ストロークだけ
プッシュアップさせる。このとき、図6に示した鉄塔3
側のスライド部材27,27と、建屋2側のガイドレー
ル23との間には、例えば20mm程度のクリアランス
を確保しておく。また、水平ジャッキ28は、その先端
とガイドレール23とのクリアランスがほぼゼロとなる
ように伸ばした状態としておき、鉄塔3のプッシュアッ
プ時には各水平ジャッキ28の先端の摩擦低減材がガイ
ドレール23に沿って摺動するようにする。このように
して、図8(b)に示すように、鉄塔3を所定ストロー
クだけプッシュアップさせた後、鉄塔3を建屋2側に仮
固定する。
ト13を搬入レール35上に載置し、これを搬入口17
から建屋2の内方に搬入し、プッシュアップしている鉄
塔3の鉛直下方に位置させる。このとき、塔体ユニット
13のブレース材12は剛接合せずに仮止めするに留め
ておく。そして、図9(a)に示すように、この塔体ユ
ニット13の柱上端と、プッシュアップした鉄塔3の柱
下端とを、溶接等の接合手段によって接合する。これに
より、塔体ユニット13がプッシュアップされた鉄塔3
に接合される。
設備20の各鉛直ジャッキ25(図4参照)による保持
を開放させる。この状態で、鉄塔3はその荷重が地表に
支持された形態となる。
13の内柱9,9,…の下端と、地表との間に、軸力調
整ジャッキ37,37,…を介装させる。そして、これ
ら軸力調整ジャッキ37を伸長させて内柱9,9,…の
みを押し上げることによって、鉄塔3の各部材の軸力調
整を行い、接合部より上方のブレース材12に作用して
いる軸力、および鉄塔3をプッシュアップしたときに生
じていた応力を解除する。次いで、この状態で、接合し
た塔体ユニット13の各ブレース材12の接合部の高張
力ボルトの本締め作業を行う。
キ設備20の各部を下方に盛り替える。
設備20による鉄塔3のプッシュアップ、プッシュア
ップした鉄塔3の下側への新たな塔体ユニット13の搬
入および接合、鉄塔3の荷重の地表への盛り替え、
軸力調整ジャッキ37,37,…による軸力調整、塔
体ユニット13のブレース材12の本締め、の各工程を
繰り返していき、鉄塔3を上方から下方に向けて延長組
立していく。
3の全長が組み立てられた後には、建屋2の組立を行
う。
して、まず、図10(a)に示すように、ジャッキ設備
20で鉄塔3をプッシュアップさせる。
下方に、予め先組した建屋ユニット38を搬送レール3
5(図4参照)に載置して搬入する。この建屋ユニット
38は、建屋2の内周部2Bをユニット化したもので、
例えば2階分の高さを有する柱4,4,…と、梁5,
5,…とから構成されている。次いで、搬入した建屋ユ
ニット38の柱4,4,…の上端を、プッシュアップさ
れている鉄塔3の下端に、溶接等の接合手段で接合す
る。
合された建屋ユニット38のプッシュアップ作業と、新
たな建屋ユニット38の搬入および接合作業とを繰り返
して、建屋2の内周部2Bを上方から下方に向けて組み
立てていく。
ット38を接合した後には、まず、プッシュアップして
いる鉄塔3および建屋2の内周部2Bのジャッキ設備2
0による支持を開放し、その荷重を地表に盛り替える。
去した後、図11(a)に示すように、搬入口17の部
分に建屋2の外周部2Aの柱4,梁5を取り付ける。こ
のときには、まず柱4の上端部のみを既設の建屋2の外
周部2Aに接合し、次いで軸力調整ジャッキ(図示な
し)で柱4の軸力調整を行った後に、柱4の下端を接合
するようにする。
部2Aとの間に斜め柱14,14,…を取り付ける。こ
れには、まず、鉄塔3と建屋2の内周部2Bとを、ジャ
ッキ設備20で、その下端が地切りされる程度プッシュ
アップする。そして、この状態のまま、各斜め柱14の
上端を、鉄塔3の下部3Bの所定の柱材10に溶接して
接合する。続いて、図11(b)に示すように、プッシ
ュアップした建屋2の内周部2Bの各内柱9の下方と、
各斜め柱14の下方とに、それぞれ軸力調整ジャッキ3
7をセットした後、ジャッキ設備20での支持を解除す
る。そして、これら軸力調整ジャッキ37によって、4
本の内柱8と8本の斜め柱14のそれぞれの軸力を調節
した後、これら内柱8,斜め柱14の下端を溶接して接
合する。続いて、図12に示すように、各斜め柱14
と、鉄塔3の柱材6との間にブレース39を取り付け
る。
や、その他の仮設材を撤去する。そして、この状態で
は、建屋2の外周部2Aと内周部2Bとが切り離されて
いるので、これらの間に本設の梁5を架設する。
部を施工することによって、図1に示した建築物1が完
成する。
して建築物1を施工するとき、建屋2の外周部2Aと内
周部2Bとの間に本設の梁5を仮設するまでの間は、鉄
塔3と、建屋2の外周部2Aとが切り離された状態とな
っている。このため、本施工方法においては、図4に示
した、鉄塔3と建屋2の外周部2Aとの間に介装した前
記水平ジャッキ28によって、風や地震等の外力で鉄塔
3が揺れて、設定値以上の荷重が水平ジャッキ28,2
8,…に作用したときには、リリーフバルブ29a,ア
キュムレータ29bおよび油圧回路30によって、水平
ジャッキ28,28,…が伸縮することによって、鉄塔
3の転倒を防止するとともに、鉄塔3の応力低減および
建屋2への入力荷重を分散するようになっている。
て、鉄塔3の建屋2上面からの突出寸法が大きくなって
いくにしたがい、図3に示したスロッシングタンク36
に注入する液体の量を調整することによって、施工途中
の鉄塔3の固有振動周期に合わせてスロッシングタンク
36をチューニングしていく。これにより、これらのス
ロッシングタンク36では、施工中、必要な時に、鉄塔
3の水平方向の振動に対する制振効果を発揮するように
なっている。このスロッシングタンク36は、建築物1
の完成後には、撤去してもよいし、また、そのまま残し
て本設としてもよい。
の外周部2Aと、鉄塔3の上部3Aおよび下部3Bの一
部を先行施工した後、ジャッキ設備20で鉄塔3を建屋
2の外周部2Aに反力をとってプッシュアップさせる工
程と、プッシュアップした鉄塔3の下側に塔体ユニット
13,建屋ユニット38を接合する工程とを繰り返して
鉄塔3および建屋2の内周部2Bを上方から下方に向け
て組み立てていき、しかる後に建屋2の外周部2Aと内
周部2Bとを接合することによって建築物1を構築する
構成となっている。このような施工方法を適用すること
によって、塔体ユニット13,建屋ユニット38の接合
作業が建屋2内での作業となるので、高所作業を従来よ
りも大幅に削減することができる。これにより、仮設足
場や安全養生の設置の手間を省くことができ、安全管理
や品質管理を確実に行って、高い品質で鉄塔3を構築す
ることができる。また、建屋2内で作業を行うことによ
って、風雨による影響が少なく、天候による作業の進捗
への影響を抑さえることができる。さらには、例えば養
生シートなどによって建屋2に仮設屋根を設置すること
も可能であり、施工現場を全天候型とすることも可能で
ある。このようにして、上述した施工方法を適用するこ
とによって、従来のクレーンを用いた施工方法では実現
するのが困難であった高い鉄塔3を備えた建築物1であ
っても構築することが可能となる。
組立作業が繰り返し作業となるので、作業効率を大幅に
高めることができ、工期の大幅な短縮化を図ることが可
能となる。しかも、予め先組された塔体ユニット13,
建屋ユニット38を用いることによって、上記の各効果
はさらに顕著なものとなっている。
施工中において、建屋2の外周部2Aと、鉄塔3との間
に、水平ジャッキ28,28,…を介装し、地震や風等
に起因する鉄塔3の水平方向の揺れに抗するようこれら
水平ジャッキ28を伸縮させる構成とした。これによ
り、施工中、建屋2の外周部2Aとは切り離されている
鉄塔3が、風や地震によって転倒するのを防止して、施
工時の安全性の向上を図ることができる。また、風や地
震による鉄塔3の応力を低減するとともに、ジャッキ設
備20および建屋2の外周部2Aへの入力荷重を分散す
ることができる。したがって、本来であればこれに対抗
するために必要であった建屋2の補強を軽減し、コスト
ダウンを図ることができる。
は、塔体ユニット13または建屋ユニット38をプッシ
ュアップした鉄塔3の下側に接合した後に、軸力調整ジ
ャッキ37で、塔体ユニット13または建屋ユニット3
8の内側に位置する内柱9または柱4の軸力を調整する
構成とした。ここで、鉄塔3をジャッキ設備20でプッ
シュアップするときには、ジャッキ吊芯24を介して外
柱10,10,…のみを吊り上げるため、本来外柱10
だけでなく内柱9によっても負担すべき軸力が全て外柱
10,10,…に入ってしまう。このため、もし、これ
をそのままにして鉄塔3を組み上げていくと、建築物1
の完成後に、前記軸力が残留応力となる。すると、この
ような残留応力は建築物1の設計条件における応力とは
異なるために、鉄塔3の構造体としての健全性に問題が
生じてしまう。これに対して、上記した施工方法を適用
して、軸力調整ジャッキ37で軸力を調整することによ
って、残留応力をゼロあるいは低減することができ、完
成後の建築物1の構造体としての健全性を確保すること
ができる。
法では、施工中に、鉄塔3の頂部にスロッシングタンク
36を備えておき、施工の進捗に伴い高くなっていく鉄
塔3に対応させて、スロッシングタンク36で抑さえる
固有振動数を変化させていく構成とした。これにより、
施工中、必要な時に、鉄塔3の水平方向の振動に対する
制振効果を発揮することができる。したがって、この点
からも風による影響を軽減することができ、鉄塔3の補
強を最小限とするとともに、またジャッキ設備20の小
型化が可能となり、コストダウンを図ることができる。
また、特に風による振動を低減することによって、作業
の遅れを抑さえることができる。さらに、振動を低減す
ることによって、溶接や各部材の建方作業を容易化する
ことができ、溶接精度や各部材の建方精度の向上を図る
ことも可能である。
3の形状、構造等については何ら限定するものではな
い。また、ジャッキ設備20についても、鉄塔3をプッ
シュアップすることができるのであれば、いかなる構造
のものを用いてもよい。さらに、鉄塔3の振動を抑さえ
る制振手段としてスロッシングタンク36を用いる構成
としたが、鉄塔3の高さの変化にともなって容易にチュ
ーニングを変更することができるのであれば、例えば電
気粘性流体を用いた制振装置等、他の制振手段を採用し
てもよい。
レーン15,15を用いて建屋2の外周部2Aおよび鉄
塔3の一部を先行施工する構成としたが、その施工方法
については限定するものではない。例えば建屋2が高層
である場合には、建屋2についても、鉄塔3と同様に、
プッシュアップ装置を用いて上方から下方に向けて組み
立てていく構成としてもよい。
築物の施工方法によれば、建屋の外周部を先行施工する
とともに、その内方で塔体の頂部を組み上げた後、塔体
の頂部をプッシュアップ手段でプッシュアップさせる工
程と、その下方に、予め先組された塔体ユニットを搬入
して接合する工程とを繰り返して、塔体を上方から下方
に向けて組み立てていき、この後、塔体をプッシュアッ
プ手段でさらにプッシュアップさせる工程と、その下方
に建屋の内周部を組みつける工程とを繰り返して、建屋
の内周部を上方から下方に向けて組み立てていき、しか
る後に、建屋の内周部と外周部とを接合する構成とし
た。このような施工方法を適用することによって、塔体
および建屋の内周部の組立作業が建屋内での作業となる
ので、高所作業を従来よりも大幅に削減することがで
き、建築物の施工の手間を省くとともに、安全管理を確
実に行うことができ、さらには高い品質で建築物を構築
することが可能となる。また、天候による作業の進捗へ
の影響を抑さえることができる。さらには、例えば養生
シートなどによって建屋に仮設屋根を設置することも可
能であり、これによって施工現場を全天候型とすること
も可能である。加えて、本施工方法を適用することによ
って、従来のクレーンを用いた施工方法では実現するの
が困難であった高い塔体を備えた建築物であっても構築
することが可能となる。
てられる塔体との間に複数の水平ジャッキを設けてお
き、塔体の水平方向の揺れに抗するようこれら水平ジャ
ッキを伸縮させる構成とした。これにより、施工中、建
屋の外周部とは切り離されている塔体が風や地震によっ
て転倒するのを防止して、施工時の安全性の向上を図る
ことができる。また、風や地震による塔体の応力を低減
するとともに、プッシュアップ手段や建屋の外周部への
入力荷重を分散することができるので、建屋の補強の軽
減およびプッシュアップ手段の小型化によりコストダウ
ンを図ることができる。
をプッシュアップした塔体の下側に接合するときに、軸
力調整ジャッキによってその内方に配置されている柱の
軸力を調整する構成とした。これにより、塔体をプッシ
ュアップしたときに生じる軸力による残留応力をゼロあ
るいは低減することができ、完成後の建築物の構造体と
しての健全性を確保することができる。
ば、塔体の頂部に制振手段を備えておき、施工の進捗に
伴って、塔体の高さに対応させて制振手段で抑さえる固
有振動数を変化させる構成とした。これにより、施工
中、常に、塔体の水平方向の振動に対する制振効果を発
揮して、風による影響を軽減することができる。したが
って、鉄塔の補強を最小限とするとともに、プッシュア
ップ手段の小型化によるコストダウンを図ることができ
る。また、特に風による振動を低減することによって、
作業の遅れを抑さえることができる。さらに、振動を低
減することによって、溶接や各部材の建方作業の容易
化、建方精度の向上を図ることも可能である。
すべき建築物の一例を示す立面図である。
と塔体の頂部を先行施工している状態を示す立面図であ
る。
プしている状態を示す立断面図である。
る。
面図および立面図である。
である。
地切りした状態、(b)塔体をプッシュアップした状態
を示す立断面図である。
体ユニットを挿入した状態、(b)塔体の軸力調整を行
っている状態を示す立断面図である。
アップした状態、(b)建屋ユニットを挿入し接合した
状態を示す立断面図である。
した状態、(b)斜め材と、塔体および建屋との軸力調
整を行っている状態を示す立断面図である。
を示す立面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 建屋上に、上方に向けて延びる塔体が立
設されてなる建築物の施工方法であって、 前記建屋の、前記塔体の下方に位置する内周部を除いた
外周部を先行施工するとともに、該建屋の外周部の内方
で前記塔体の頂部を組み上げた後、 該塔体の頂部を、前記建屋の外周部に備えたプッシュア
ップ手段で該建屋に反力を得てプッシュアップさせる工
程と、プッシュアップした前記塔体の下方に、該塔体の
下部の一定長部分を構成する塔体ユニットを搬入し、こ
れを前記塔体の下側に接合する工程とを繰り返すことに
よって、前記塔体を上方から下方に向けて組み立ててい
き、 該塔体の全長の組立が完了した後には、該塔体を前記プ
ッシュアップ手段でさらにプッシュアップさせる工程
と、その下方に前記建屋の内周部を組みつける工程とを
繰り返して、該建屋の内周部を上方から下方に向けて組
み立てていき、 しかる後に、該建屋の内周部と外周部とを接合すること
とし、 前記建屋の外周部と、その内側で組み立てられる前記塔
体との間に、水平方向に伸縮自在な複数の水平ジャッキ
を設けておき、施工中における地震や風等に起因する前
記塔体の水平方向の揺れに抗するよう、これら水平ジャ
ッキを伸縮駆動させ、 前記塔体ユニットまたは前記建屋の内周部を、プッシュ
アップした前記塔体の下側に接合するときに、接合すべ
き塔体ユニットまたは建屋の内周部の内方に配置されて
いる柱の軸力を軸力調整ジャッキによって調整する こと
を特徴とする建築物の施工方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の建築物の施工方法にお
いて、前記塔体にその水平方向の振動を抑さえる制振手
段を備えておき、施工の進捗に伴って、組立の完了した
部分の塔体の高さに対応させて、前記制振手段の抑さえ
る固有振動数を変化させていくことを特徴とする建築物
の施工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18751295A JP3446153B2 (ja) | 1995-07-24 | 1995-07-24 | 建築物の施工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18751295A JP3446153B2 (ja) | 1995-07-24 | 1995-07-24 | 建築物の施工方法 |
Publications (2)
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