JP3445637B2 - フックドラグ用基布及びフックドラグ - Google Patents

フックドラグ用基布及びフックドラグ

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JP3445637B2 JP14281593A JP14281593A JP3445637B2 JP 3445637 B2 JP3445637 B2 JP 3445637B2 JP 14281593 A JP14281593 A JP 14281593A JP 14281593 A JP14281593 A JP 14281593A JP 3445637 B2 JP3445637 B2 JP 3445637B2
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卓 水口
健二 倉部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フックドラグ(hoo
ked rug)の製造に使用する基布、すなわち、フ
ックドラグ用基布、及びフックドラグに関する。
【0002】
【従来の技術】フックドラグ(hooked rug)
は、麻、綿、合成繊維等からなる通常の平織布の基布に
ハンドフックや自動フックミシンでパイル糸を刺し込ん
でパイルを形成し、続いて合成樹脂ラテックスなどの接
着剤を用いてパイル糸を固定して製造する。基布にパイ
ルを植設する際には、フックガンを基布に突き刺し、貫
通させる必要があるので、従来は、織り目が比較的粗
く、組織が脆弱な布地が基布として使用されていた。す
なわち、高密度で堅牢な布地を基布として使用するのは
一般に困難であった。しかし、これらの基布は布地とし
ての強度が低いためにパイル植設工程時に型崩れが起き
たり、布地が粗く低密度であるのでパイルの固定に使用
する接着剤量が多く必要になり、これに伴って乾燥時間
も長くかかるなどの欠点があった。
【0003】前記の欠点を解消する基布としては、例え
ば特公昭56−3457号公報に、パイル植設用の粗な
部分とパイルを植設しない密な部分とからなる基布が記
載されている。この基布では、パイル植設工程時に必要
な強度は或る程度改善されるが、パイルを植設すること
ができる箇所が制限されるため、模様が限られたものに
なるという欠点が新たに生じる。また、パイルを植設し
た部分は粗な構造であるため、パイル固定用の接着剤は
依然として多量に必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、パイル植設工程時に必要な強度を有し、パイル植設
部分に制限がなく、更にパイル固定用の接着剤も少量で
よい基布を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、本発明に
より、 (1)合成樹脂から形成されたフィルムをスリットして
得られ、幅が0.5〜2.0mmで、幅/厚さが8〜3
0の合成樹脂製テープ状ヤーンから製織されること、 (2)空隙率が0〜10%であること、及び (3)パイル植設用フックガンが接触する前記合成樹脂
製テープ状ヤーンが前記パイル植設用フックガンの侵入
方向にねじ曲げられて、前記パイル植設用フックガンが
前記合成樹脂製テープ状ヤーンの隙間を通って貫通可能
な構造を有すること を特徴とする、フックドラグ用基布
によって達成することができる。また、本発明は、前記
フックドラグ用基布とパイルとを含み、前記パイルが合
成樹脂製テープ状ヤーンの隙間で固定されていることを
特徴とする、フックドラグにも関する。
【0006】本発明の基布は、幅が0.5〜2.0mm
(好ましくは、0.7〜1.5mm)で、幅/厚さが8
〜30(好ましくは、10〜25)のテープ状のヤーン
から構成される。本発明の基布は、幅広で薄いテープ状
ヤーンからなり、そのテープ状ヤーンの幅広の表裏面が
そのまま布帛の表裏面となり、テープ状ヤーンの薄い厚
さ方向がそのまま布帛の厚さ方向となるように製織され
ている。更に、従来の粗い基布とは異なり、本発明の基
布は、前記のテープ状ヤーンによりほとんど隙間なく
(すなわち、空隙率0〜10%、好ましくは0〜5%
で)製織されている。ここで空隙率とは、基布を平面図
で見た場合において、一定の基布面積内に占める織物格
子構造間の空隙の総面積の割合を百分率で表したもので
ある。
【0007】本発明の基布を用いてパイルを植設する際
に、フックガンを基布に当てると、まずフックガンの先
端がテープ状ヤーンに接触する。この場合、フックガン
の先端がテープ状ヤーンに接触する位置は、ヤーンの長
さ方向の中心線からいずれかの端部側に外れ、中心線の
真上に当たる場合は殆どないので、フックガンを基布に
対して更に突き刺していくと、フックガンが触れた部分
を中心にして、ヤーンがフックガンの侵入方向に押し込
まれるようにしてねじ曲げられ、フックガンの侵入とと
もに更に回転又は変形して逃げるので、ヤーンを実質的
に損傷せずに、フックガンの侵入スペースが形成され、
フックガンがヤーンの隙間を通って基布を貫通すること
ができる。また、フックガンが抜けた後はテープ状ヤー
ンが元の状態に戻るので、パイルが固定される。
【0008】以上のように、テープ状ヤーンからなる基
布を用いることにより、空隙率が低くてもパイルを植設
することが可能となる。空隙率は、10%以内、好まし
くは5%以内であれば、低ければ低い程良い。これは、
パイル植設時の基布強度が高くなって形態安定性が高く
なり、ヤーンによるパイル固定力も高くなり、更に、ヤ
ーン間の空間が少なくなってパイル固定用接着剤の使用
量も少なくなるからである。空隙率が10%を越える
と、基布強度が低くなり、充分な形態安定性が得られ
ず、更に、接着剤の使用量も多くなる。
【0009】本発明の基布を構成するテープ状ヤーンの
幅/厚さが8未満であると、通常の糸を用いる場合と変
わらなくなって、高密度に織るとフックガンが貫通しな
くなり、フックガンが貫通するように低密度に織ると基
布の形態安定性がなくなり、パイルを植設するのに多く
の接着剤が必要となる。一方、幅/厚さが30を越える
と植設したパイルの保持力が小さくなり、基布の強度も
低くなる。また、幅が0.5mm未満であると、空隙率
が10%以内の密な基布にした場合、ヤーンの回転又は
変形を利用してフックガンを貫通させることが困難とな
り、2.0mmを越えるとフックガンを打ち込める間隔
が大きくなって細い柄にパイルを植設できなくなるうえ
に、ヤーンとフックガンとが衝突しやすくなって、ヤー
ンが破損しやすくなる。
【0010】本発明の基布を構成するテープ状ヤーンの
厚さは、好ましくは0.03〜0.3mm、更に好まし
くは0.05〜0.1mmである。厚さが0.03mm
未満であるとヤーンが薄くなるためパイル植設時にヤー
ンが切断され易くなり、0.3mmを越えると密な基布
にした場合にフックガンを貫通させるのが困難になる。
また、本発明の基布は、引張強度が40kgf/5cm
以上で、引張伸度が30%以下(両者共にJIS L1
096一般織物試験方法による)であるのが好ましい。
【0011】本発明による基布の織物組織は特に制限さ
れるものではなく、平織、綾織又は朱子織のいずれでも
よいが、経糸と緯糸との交錯点が多く、交錯間隔が短い
組織が好ましい。従って、平織又は綾織が好ましく、平
織が特に好ましい。これは、フックガンによってヤーン
が切断された場合に、交錯点間の間隔が短いと、切断の
影響が広い範囲に及ばないからである。
【0012】また、本発明の基布を構成するヤーンは、
任意の合成樹脂から製造することができるが、ポリエス
テル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプ
ロピレン樹脂)から製造するのが好ましい。これは、テ
ープ状ヤーンを製造する場合に、これらの樹脂が取り扱
いやすく、また得られるテープ状ヤーンが接着剤の乾燥
工程時に収縮を起こしにくいからである。テープ状ヤー
ンは、例えば、上記合成樹脂を用いて所定厚みのフィル
ムを形成した後、長手方向に所定幅にスリットすること
により得られる。この場合、フィルムは長手方向に延伸
されていることが望ましい。なお、ポリプロピレン製テ
ープ状ヤーンを使用する場合は、耐熱収縮性を付与する
ために、予めヤーンの製造工程において熱処理をするこ
とが望ましい。
【0013】本発明の基布は、前記の特定テープ状ヤー
ンを特定の空隙率で製織して製造することを除けば、そ
の他の点では従来の基布と代わる点はなく、従来の基布
に適用されている材料や製造工程技術をそのまま適用す
ることができる。なお、パイル固定用のラテックスとし
ても、従来法と同様に、合成樹脂ラテックス、例えばス
チレンブタジエンゴム(SBR)系、アクリロニトリル
−ブタジエンゴム(NBR)系、又はエチレン−酢酸ビ
ニル(EVA)系ラテックスを使用することができる。
本発明の基布はテープ状ヤーンからなり、空隙率も小さ
いため、従来使用されていた基布と違って、ラテックス
が基布にはしみ込みにくく、植設したパイルにとられる
程度なので、ラテックスの使用量が非常に少なくてす
む。このため、必然的に乾燥時間も短縮できる。また、
パイル植設後に基布を張り代える場合でも、従来の基布
と異なり、基布がしっかりとしているので、ほとんど型
崩れすることがない。
【0014】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1 幅約1mm×厚さ約0.05mmのテープ状ポリプロピ
レンヤーンからなる平織布帛〔目付=130g/m2
厚み=約0.4mm;空隙率=0%;引張強度(JIS
L1096)=45kgf/5cm;引張伸度20%
(JIS L1096)〕を基布として使用した。この
基布を、ゆがみがないように木枠(1m×0.7m)に
張った。木枠に固定した基布に絵柄を模写し、フックガ
ンでパイル5本を1束として絵柄に沿って打ち込んだ。
この際、パイルを一ケ所に集中して打ち込むと基布が破
れてしまうので一定間隔をおいて打ち込んだ。パイルの
打ち込みが終了した後、基布を木枠に固定したままでS
BRラテックスを約500g/m2 (乾燥時)の量で塗
布し、乾燥器にて乾燥した。ラテックス塗布量は、従来
のフィラメント糸平織基布を用いる場合と比較して約半
分の量に相当し、乾燥時間も約半分に短縮することがで
きた。乾燥終了後基布を枠からはずし、表面のパイルを
シャーリング加工で仕上げた。
【0015】
【発明の効果】本発明による基布は、パイル植設工程時
に必要な充分な強度を有し、パイルを植設する基布上の
領域に制限がなく、更にパイル固定用の接着剤使用量も
少量でよく、乾燥時間も短縮される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−30974(JP,A) 特開 平4−312842(JP,A) 特開 平11−279927(JP,A) 実開 昭58−110083(JP,U) 実開 昭54−69967(JP,U) 実開 昭49−99970(JP,U) 実開 昭49−63263(JP,U) 特公 昭56−3457(JP,B1) 実公 昭62−11998(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D05C 17/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)合成樹脂から形成されたフィルム
    をスリットして得られ、幅が0.5〜2.0mmで、幅
    /厚さが8〜30の合成樹脂製テープ状ヤーンから製織
    されること、 (2)空隙率が0〜10%であること、及び (3)パイル植設用フックガンが接触する前記合成樹脂
    製テープ状ヤーンが前記パイル植設用フックガンの侵入
    方向にねじ曲げられて、前記パイル植設用フックガンが
    前記合成樹脂製テープ状ヤーンの隙間を通って貫通可能
    な構造を有すること を特徴とする、フックドラグ用基
    布。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のフックドラグ用基布と
    パイルとを含み、前記パイルが合成樹脂製テープ状ヤー
    ンの隙間で固定されていることを特徴とする、フックド
    ラグ。
JP14281593A 1993-05-21 1993-05-21 フックドラグ用基布及びフックドラグ Expired - Lifetime JP3445637B2 (ja)

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