JP3445571B2 - 高周波デバイス - Google Patents

高周波デバイス

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JP3445571B2
JP3445571B2 JP2000333071A JP2000333071A JP3445571B2 JP 3445571 B2 JP3445571 B2 JP 3445571B2 JP 2000333071 A JP2000333071 A JP 2000333071A JP 2000333071 A JP2000333071 A JP 2000333071A JP 3445571 B2 JP3445571 B2 JP 3445571B2
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substrate
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史彦 相賀
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  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波デバイス、
特にマイクロ波フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】大電流を流してもロスがほとんど無く、
また高周波電流に対する電気抵抗が非常に小さいなどの
理由により、高周波フィルタの構成材料として酸化物超
伝導体が有望視されている。この超伝導体膜を、CV
D、真空蒸着、スパッタリング、レーザーアブレーショ
ンなどの方法によって基板上に成膜し、成膜された超伝
導体膜をリソグラフィーでパターン加工することで、所
望の周波数のみを共振させて通過させることができる。
しかしながら、基板の誘電率或いは温度が変動すると、
共振周波数及び帯域幅などの通過特性が変動するという
不具合がある。
【0003】このような問題に対し、超伝導体膜からな
る共振素子が形成された基板上に、櫛形電極が形成され
た誘電体膜を設け、それに直流電圧を印加することで誘
電体膜の誘電率を変化させ、共振周波数を変化させる方
法が提案されている。しかしながら、印加電圧によって
誘電率が変化する誘電体は誘電損失(tanδ)が大き
く、このような誘電体膜が超伝導体膜上に積層されてい
ると、Q値が低下するという不具合が生じる。
【0004】また、特開平5−199024号公報に
は、超伝導体膜を用いた共振素子に誘電体からなるネジ
を近づけて周波数を調整する技術が開示されている。し
かしながら、共振素子単体の場合にはこのような方法も
有効であるが、複数の共振素子によって構成されたフィ
ルタでは、共振周波数を可変にするためには、共振素子
の端部のみならず、共振素子間にも誘電体ネジを近づけ
なくてはならない。また、各共振素子間で誘電体ネジを
ほぼ均等に近づけなければ、通過帯域内にリップルが発
生するなどの不具合が生じる。さらに、通過特性の立ち
上がり立ち下りを急峻にするためには、共振素子の数を
増やさなくてはならず、共振素子間の距離が短くなり適
用が困難である。
【0005】また、文献(IEEE Trans. Microwave Theo
ry and Techniques, Vol.47, No9,p1656, (1999))に
は、フィルタをパッケージに収納して周波数調整用のネ
ジを共振素子上及び共振素子間ギャップ上等に多数設置
し、このネジの抜き差しによって周波数をチューニング
するものが記載されている。しかしながら、各ネジがフ
ィルタ特性に及ぼす影響がそれぞれ異なるため、各ネジ
の制御を個別に厳格に行う必要がある。また、フィルタ
のパターンに応じて各ネジの最適位置を異ならせる必要
もある。このような理由により、本方式では、制御パラ
メータが多く、調整が困難で、構造が複雑になるといっ
た問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、超
伝導体によって構成された共振素子を用いたフィルタが
提案されており、またこのようなフィルタ素子の周波数
をチューニングするための方式も提案されている。しか
しながら、従来の方式では、急峻なスカート特性(シャ
ープスカート特性)や所望の通過特性を有するフィルタ
が得られない、通過周波数の調整に際して精度のよい調
整が困難である等の問題があった。
【0007】本発明は上記従来の課題に対してなされた
ものであり、所望の優れた特性を有するフィルタを実現
することができ、通過特性を精度よく容易に調整するこ
とが可能な高周波デバイスを提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高周波デバ
イスは、基板上に形成された超伝導体膜によって構成さ
れた複数の共振素子からなるフィルタ素子と、前記超伝
導体膜が形成された基板表面に略平行に対向し、かつ前
記複数の共振素子及び共振素子間の間隙を覆うように配
置された誘電体板と、前記誘電体板を移動させること
で、前記誘電体板の前記基板との対向面と前記超伝導体
膜が形成された基板表面との間隔を調整する間隔調整用
部材とを備え、前記間隔調整用部材と前記共振素子との
最小距離は、前記共振素子を構成する超伝導体膜のパタ
ーン幅の少なくとも3倍以上であることを特徴とする。
【0009】また、本発明に係る高周波デバイスは、基
板上に形成された超伝導体膜によって構成された複数の
共振素子からなるフィルタ素子と、前記超伝導体膜が形
成された基板表面に略平行に対向し、かつ前記複数の共
振素子及び共振素子間の間隙を覆うように配置された誘
電体板と、誘電体材料によって構成され、前記誘電体板
を移動させることで、前記誘電体板の前記基板との対向
面と前記超伝導体膜が形成された基板表面との間隔を調
整する間隔調整用部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】なお、各共振素子及び各共振素子間の間隙
は誘電体板によって完全に覆われていることが好ましい
が、各共振素子及び各共振素子間の間隙の一定以上の領
域、好ましくは半分以上の領域が誘電体板によって覆わ
れていてもよい。この場合、各領域が誘電体板によって
同様に覆われている、すなわち共振素子と誘電体板との
オーバーラップする領域が各共振素子について同等(同
じ形状及び面積)であり、共振素子間の間隙と誘電体板
とのオーバーラップする領域が各共振素子間の間隙につ
いて同等(同じ形状及び面積)であることが好ましい。
【0011】フィルタの各種特性は、共振素子周囲の媒
体の実効誘電率の影響を受ける。本発明では、各共振素
子及び各共振素子間の間隙は誘電体板によって同様に覆
われており、各共振素子と誘電体板との関係、各共振素
子間の間隙と誘電体板との関係は、それぞれ同等になっ
ている。そのため、誘電体板を基板表面に対して垂直方
向に移動させ、誘電体板の対向面と基板表面との間隔を
両者の平行状態を維持した状態で変化させることによ
り、実効誘電率を各領域で一様に変化させることができ
る。したがって、実効誘電率の各共振素子に対する影響
度並びに各共振素子間の結合に対する影響度をいずれも
同等にすることができ、フィルタの各種特性を維持した
状態で、フィルタの通過周波数域を精度良く容易にシフ
トさせることができる。従来技術で述べた共振素子上及
び共振素子間ギャップ上に周波数調整用のネジを多数設
けたフィルタでは、各ネジの調整を個別にかつ厳格に行
う必要があり、またフィルタのパターンに応じて各ネジ
の位置を変える必要もあるため、フィルタ特性を精度よ
く容易に制御することが極めて困難であるが、本発明で
はフィルタのパターンによらず、フィルタ特性を精度よ
く容易に制御することが可能となる。
【0012】また、間隔調整用部材と共振素子との最小
距離を、共振素子を構成する超伝導体膜のパターン幅の
少なくとも3倍以上とすることで、フィルタに対する間
隔調整用部材の影響を低減することができ、所望の優れ
た特性を有するフィルタを得ることができる。
【0013】また、間隔調整用部材を誘電体材料によっ
て構成することでも、フィルタに対する間隔調整用部材
の影響を低減することができ、所望の優れた特性を有す
るフィルタを得ることができる。この場合、誘電体板に
共振素子の所定部分に対向する貫通口を形成し、貫通口
内を上下に移動することで共振素子の所定部分との間隔
を変更可能な誘電体材料からなる貫通部材を設けること
により、通過特性の微調整が可能となり、フィルタの特
性をより向上させることができる。
【0014】また、本発明に係る高周波デバイスは、第
1主面及び該第1主面の反対側の第2主面を有し、複数
の共振素子からなるフィルタ素子を構成する超伝導体膜
が該第1主面上に形成された第1の誘電体基板と、第1
主面及び該第1主面の反対側の第2主面を有し、超伝導
体膜からなる接地用電極が該第1主面上に形成された第
2の誘電体基板とを備え、前記第1の誘電体基板の第1
主面と前記第2の誘電体基板の第2主面とが略平行に対
向し、かつ前記複数の共振素子及び共振素子間の間隙を
覆うように前記第2の誘電体基板が配置されたことを特
徴とする。
【0015】第1の誘電体基板の第1主面と第2の誘電
体基板の第2主面との間隔は調整可能であることが好ま
しい。
【0016】なお、各共振素子及び各共振素子間の間隙
は第2の誘電体基板によって完全に覆われていることが
好ましいが、各共振素子及び各共振素子間の間隙の一定
以上の領域、好ましくは半分以上の領域が第2の誘電体
基板によって覆われていてもよい。この場合、各領域が
第2の誘電体基板によって同様に覆われている、すなわ
ち共振素子と第2の誘電体基板とのオーバーラップする
領域が各共振素子について同等(同じ形状及び面積)で
あり、共振素子間の間隙と第2の誘電体基板とのオーバ
ーラップする領域が各共振素子間の間隙について同等
(同じ形状及び面積)であることが好ましい。
【0017】本発明においても、先に述べた発明と同
様、実効誘電率の各共振素子に対する影響度並びに各共
振素子間の結合に対する影響度をいずれも同等にするこ
とができ、先に述べた発明と同様、フィルタの通過特性
を精度よく容易に制御することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。
【0019】(実施形態1)図1は、本発明の第1の実
施形態に係るマイクロ波用の高周波デバイスについて、
その断面構成を示したものである。
【0020】本実施形態において、バンドパスフィルタ
はマイクロストリップライン構造であり、誘電体基板1
1の表面上に複数の共振素子12が形成され、誘電体基
板11の裏面上に接地電極13が形成されている。誘電
体基板11は、誘電損失(tanδ)の小さい誘電体材
料を用いて形成されており、例えばAl2 3 (サファ
イア)、MgO、LaAlO3 などを用いることができ
る。また、共振素子12及び接地電極13は、超伝導体
材料を用いて形成されており、超伝導体材料には、Re
1 Ba2 Cu3 x (Reは、Y,Ho,Ybなどの希
土類元素)、Bi系、Tl系などの酸化物超伝導体を用
いることができる。共振素子12及び接地電極13は、
CVD、真空蒸着、スパッタリング、レーザーアブレー
ションなどの方法により、誘電体基板11の表面及び裏
面上に超伝導体膜を成膜した後、所望の共振周波数にな
るように誘電体基板11表面上に成膜した超伝導体膜を
リソグラフィーによって加工することで得られる。
【0021】誘電体基板11の上方には、誘電損失の小
さい誘電体材料(Al2 3 (サファイア)、MgO、
LaAlO3 など)を用いた誘電体板15が、誘電体基
板11表面に略平行に対向して配置されている。
【0022】図2は、誘電体板15と共振素子12等の
位置関係の一例を示した平面図である。図2の例では、
誘電体板15は、電力入出力端子14と共振素子12と
の接続領域を除いて、誘電体基板11表面のほぼ全域に
対向している。すなわち、誘電体板15は、複数の共振
素子12及び各共振素子12間の間隙の全ての領域を完
全に覆うように配置されている。また、誘電体板15の
入出力端子14からの距離d2は、水平方向において、
共振素子12の線幅d1の少なくとも3倍以上、好まし
くは10倍以上離れているようにする。この距離が近い
場合は高周波電力の通過特性に悪影響を及ぼす。
【0023】誘電体板15と共振素子12等の位置関係
は図2の例に限るものではなく、図3に示すように、必
ずしも共振素子12全体を誘電体板15によって完全に
覆わなくてもよい。すなわち、各共振素子12及び各共
振素子12間の間隙の半分以上の領域を覆うように誘電
体板15を配置するようにしてもよい。
【0024】なお、本実施形態以外の他の実施形態にお
いても、誘電体板15と共振素子12等との基本的な位
置関係は、図2或いは図3のようにすることが好まし
い。
【0025】誘電体板15上には、誘電体基板11の表
面と誘電体板15の対向面との間隔を調整するための間
隔調整用部材として、柱状部材16が設けられている。
また、誘電体基板11を載置するホルダ18と誘電体板
15との間には、バネ等の弾性部材からなるスペーサ1
7が配置されている。柱状部材16によって誘電体板1
5を上下させることで、誘電体板15と誘電体基板11
との平行状態を保ったまま、誘電体板15を誘電体基板
11表面に対して垂直方向に移動させることが可能であ
る。柱状部材16及びスペーサ17と共振素子12との
距離Lは、水平方向において、共振素子12の線幅d1
の少なくとも3倍以上、好ましくは10倍以上離れてい
るようにする。この距離が近すぎると、フィルタの通過
特性に不要な共振が現れるなどの乱れが生じるおそれが
ある。
【0026】図4は、柱状部材16等と共振素子12と
の水平方向の距離Lを変えた場合の通過特性(リップル
の深さ)を示したものである。この図から、共振素子1
2の線路幅d1に対し、3d1≦L、好ましくは10d
1≦Lなる関係を満たす場合に、実用に適した共振特性
と可変幅を持つフィルタが得られることがわかる。な
お、柱状部材16がフィルタ形成領域の直上にある場合
は、さらに距離を離す必要があり、図5に示した結果か
らわかるように、共振素子12の線路幅d1の20倍以
上、好ましくは50倍以上にすることが好ましい。
【0027】このように、本実施形態によれば、柱状部
材16等と共振素子12との距離を一定以上離すことに
より、スカート特性が急峻であり、且つスカート特性や
バンド幅等のフィルタ特性を維持したまま中心周波数が
可変のフィルタを得ることができる。
【0028】(実施形態2)図6は、本発明の第2の実
施形態に係るマイクロ波用の高周波デバイスについて、
その断面構成を示したものである。
【0029】本実施形態では、誘電体板15は、断面が
コの字型の保持治具21に固定部材22によって取り付
けられている。この保持治具21はケース23に支持さ
れた昇降用治具24に取り付けられており、昇降用治具
24によって保持治具21を昇降させることで、誘電体
基板11と誘電体板15との距離を変えることができ
る。また、少なくとも3本以上の調整ネジ25により、
誘電体基板11の表面と誘電体板15の対向面とが平行
になるように調整される。
【0030】本実施形態においても、第1の実施形態と
同様に、優れた特性を有するフィルタを得ることが可能
である。
【0031】(実施形態3)図7及び図8は、本発明の
第3の実施形態に係るマイクロ波用の高周波デバイスに
ついて、その断面構成を示したものである。
【0032】すでに説明した実施形態では、共振素子を
構成する超伝導体膜と接地電極を構成する超伝導体膜と
を同一の誘電体基板に形成したが、本実施形態では、接
地電極32が形成された誘電体基板31と、共振素子3
4が形成された誘電体基板33とを別々にしている。
【0033】図7に示した例では、図6に示した例と同
様にして(図1のような方法でもよい)、共振素子34
が形成された誘電体基板33を保持治具21に取り付
け、接地電極32が形成された誘電体基板31に対向さ
せている。図6に示した例と同様にして、保持治具21
に取り付けられた誘電体板33を昇降させることで、誘
電体板31及び33の平行状態を保ったまま、共振素子
34が形成された誘電体基板33を接地電極32が形成
された誘電体基板31に対して垂直方向に移動させるこ
とが可能である。
【0034】図8に示した例では、図7に示した例とは
逆に、接地電極32が形成された誘電体基板31を保持
治具21に取り付け、共振素子34が形成された誘電体
基板33に対向させ、保持治具21に取り付けられた誘
電体板31を図7に示した例と同様にして昇降させるよ
うにしている。このように、接地電極32が形成された
誘電体基板31或いは共振素子34が形成された誘電体
基板33のいずれを移動させるようにしてもよい。
【0035】なお、接地電極32と共振素子34との間
に挟まれる誘電体基板31と共振素子32との位置関係
は、図2或いは図3に示した誘電体板15と共振素子1
2の位置関係と同様である。すなわち、接地電極32と
共振素子34との間に挟まれた誘電体基板31は、複数
の共振素子34及び各共振素子34間の間隙の半分以上
の領域を同等に覆うように配置する。
【0036】本実施形態においても、第1の実施形態等
と同様に、優れた特性を有するフィルタを得ることが可
能である。
【0037】図9は、本実施形態の変更例を示した図で
ある。図7及び図8に示した例では、誘電体基板31或
いは33を随時昇降可能としたが、本例では、誘電体基
板31と誘電体基板33との間隔を調整して周波数調整
を行った後、スペーサ35を介して誘電体基板31と誘
電体基板33とを固定するようにしている。
【0038】(実施形態4)図10は、本発明の第4の
実施形態に係るマイクロ波用の高周波デバイスについ
て、その断面構成を示したものである。
【0039】基本的な構成は図1に示したものと同様で
あるが、本例では、誘電体基板11と誘電体板15との
間隔を調整するための間隔調整用部材として、誘電体板
15上に、誘電損失(tanδ)が小さい誘電体材料か
らなる柱状部材41を設けている。この誘電体材料とし
ては、MgO,Al2 3 (サファイア),LaAlO
3 などを用いることが可能であるが、特に機械的強度が
強いという点でサファイアが最適である。
【0040】このように、誘電損失(tanδ)が小さ
い誘電体材料からなる柱状部材41を用いることによ
り、超伝導体膜上に誘電体板15が接触しても、通過特
性に不要な共振が現れるなどの乱れが生じることがな
い。また、柱状部材41を複数配置してそれぞれを調整
することで、リップルの低減など通過特性の補正をする
ことも可能である。
【0041】図11は、本実施形態の変更例を示したも
のである。図11(a)は断面構成を、図11(b)平
面構成を示している。
【0042】基本的な構成は図10に示した例と同様で
あるが、本例では、誘電体板15に貫通口43を形成
し、この貫通口43内を上下に移動可能な貫通部材42
を設けている。この貫通部材42も柱状部材41と同
様、誘電損失が小さい誘電体材料を用いて形成される。
貫通部材42の設置位置は、図11(b)に示すよう
に、共振素子12を構成する超伝導体パターンの端部近
傍になるようにする。
【0043】フィルタを構成する複数の共振素子は全て
同じ共振周波数でなくてはならないが、基板面内で誘電
率や板厚に不均一性があるなどの理由により、一部の共
振素子の共振周波数が異なる場合もある。このような場
合には、通過帯域内にリップルが生じるなどの不具合が
生じる。そこで、本例では、共振周波数のずれた共振素
子12の端部に対応する貫通部材42を調整することに
より、実効的な共振素子長を変化させて、共振周波数を
微調整できるようにしている。これにより、フィルタの
通過特性の補正が可能になる。なお、フィルタの中心共
振周波数を変更する場合には、柱状部材41で貫通口4
3が形成されていない箇所を押し、図10の例と同様に
して誘電体基板11と誘電体板15との間隔を調整す
る。
【0044】(実施形態5)図12及び図13は、本発
明の第5の実施形態に係り、上述した各実施形態で示し
たようなフィルタを極低温下で動作させるための装置の
全体構成を示したものである。
【0045】超伝導体膜を用いたフィルタは、77K以
下の極低温で使用される。したがって、冷凍機と組み合
わせることが必要であるが、その場合には断熱を行う必
要がある。このような理由から、フィルタは真空中に置
くことが好ましく、真空ポンプで排気し続けるか、或い
は排気した後に封じ切る必要がある。このような環境下
でいかに誘電体板を動かすかが重要である。
【0046】図12に示した例では、上述した各実施形
態で示したような、誘電体基板、共振素子、接地電極、
誘電体板等からなる部材(以下、素子構成部材と呼ぶ)
51は、冷凍機54によって冷却されたコールドヘッド
55上に載置される。誘電体板を保持した治具を移動さ
せる支持治具52は、支持フランジ56に取り付けられ
ている。この支持治具52は、熱伝導率の低い金属、セ
ラミクス或いは樹脂などの材料で形成されているか、こ
れらの材料からなる部材を介して接続されることが、冷
凍機の電力消費量を少なくするために望ましい。フラン
ジ56は、ベローズ57を介して機密可能に真空容器5
3に取り付けてある。
【0047】素子構成部材51をこのような装置内にセ
ットし、図示しないポンプによって排気口58から真空
排気を行い封じ切る。誘電体板の移動は、図示しないモ
ーター或いはボルトなどを用いてフランジ56を上下さ
せて行う。なお、図には示されていないが、フランジ5
6及びベローズ57を複数設けることにより、誘電体板
の平行調整用治具の移動も同様に行うことができる。
【0048】本装置によれば、Oリングなどでシールし
た可動部分がないので、長期間にわたって高い機密性を
保つことができる。
【0049】図13に示した例では、誘電体板を保持し
た治具を移動させる支持治具52に磁石61が取り付け
られている。この磁石61には、真空容器53を隔てて
駆動用磁石62(永久磁石でも電磁石でもよい)が対向
している。誘電体板の保持治具には雌ねじが切ってあ
り、支持治具52は雌ねじに対応する雄ねじが切られた
ボルトによって構成されている。駆動用磁石62を手動
或いは図示しないモーターで回転させて磁石61ととも
に支持治具52を回転させることで、誘電体板の保持治
具を上下させることができる。
【0050】本例によれば、支持治具52が真空容器5
3と接続されていないので、熱の進入をより低減するこ
とができる。
【0051】(実施形態6)図14及び図15は、第6
の実施形態に係るマイクロ波用の高周波デバイスについ
て示したものであり、図14はその断面構成を、図15
はその平面構成を示したものである。
【0052】本例は、図14(a)に示すように、誘電
体板15の両端を端部支持治具71によって支持し、誘
電体板15の中央付近に誘電損失が小さい誘電体材料か
らなる柱状部材72を設け、図14(b)に示すよう
に、この柱状部材72を押すことで誘電体板15をたわ
ませるものである。なお、柱状部材72の代わりに、図
16に示すような板状部材73を設けてもよい。本例で
は、支持治具71が固定されているため、誘電体板15
と共振素子12を構成する超伝導体膜との距離及び平行
度を高精度に制御することができ、フィルタの中心周波
数を変化させるときの調整箇所が少なくてすむ。
【0053】なお、共振素子12を構成する超伝導体パ
ターンの長さLよりも誘電体板15の幅Wは長く、Wが
1.1×L以上、好ましくはWが1.5×L以上となる
ようにする。このような範囲よりも小さい場合には、誘
電体基板11と誘電体板15との平行度が許容範囲を超
えてしまい、周波数を変化させたときに通過帯域中にリ
ップルが生じるなどの不具合が生じるおそれがある。
【0054】以下、本発明の具体例について説明する。
【0055】(具体例1)図1及び図2に示すように、
直径50mm、厚さ1mmのLaAlO3 単結晶基板1
1の両面に、厚500nmのYBCO超伝導体膜をレー
ザーアブレーション法によって作製した後、片面の超伝
導体膜をリソグラフィー法で加工して共振素子12のパ
ターンを形成した。この基板11を接地したホルダ18
上に乗せ、図示しない治具で固定した。さらに、ホルダ
18上方に厚さ1mmのサファイア板15を複数のバネ
17を介して1mmの間隔をおいて設置した。このよう
にして作製したフィルタを77Kまで冷却しながら2G
Hz付近のマイクロ波通信用フィルタとして使用したと
ころ、Cuを用いたフィルタよりも減衰特性が急峻であ
り、かつ柱状部材16によって超伝導体膜とサファイア
板との距離を変えることで、2GHzの中心共振周波数
を20MHz変化させることが確認できた。
【0056】(具体例2)具体例1と同様に作製した部
材において、超伝導体膜とサファイア板の距離を変化さ
せる部材16をサファイアで作製し、超伝導体膜上にお
いてサファイア板を接触させて距離を変化させた。この
ようなフィルタを2GHz付近のマイクロ波通信用フィ
ルタとして使用したところ、Cuを用いたフィルタより
も減衰特性が急峻で、かつ2GHzの中心共振周波数を
20MHz変化させることができるともに、帯域内のリ
ップルをなくすなどの補正ができることを確認できた。
【0057】(具体例3)直線状の共振素子12を複
数、平行に並べたフィルタ上に共振素子の端部に対応し
て貫通口43を設けたサファイア板15(図11参照)
を、具体例2と同様に設置した。また、超伝導体膜とサ
ファイア板との距離を可変にするサファイアからなる柱
状部材41及びサファイアからなる貫通部材42を設け
た。このようにして作製したフィルタを2GHz付近の
マイクロ波通信用フィルタとして使用したところ、Cu
を用いたフィルタよりも減衰特性が急峻で、かつ20G
Hzの中心共振周波数を20MHz変化できるととも
に、サファイア板に設けた貫通口を通して貫通部材42
を任意の共振素子端に近接させることで、帯域内のリッ
プルをより精密に補正できることが確認できた。
【0058】以上、本発明の実施形態を説明したが、本
発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣
旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施するこ
とが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階
の発明が含まれており、開示された構成要件を適宜組み
合わせることによって種々の発明が抽出され得る。例え
ば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除
されても、所定の効果が得られるものであれば発明とし
て抽出され得る。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、共振素子が形成された
基板表面と略平行に且つ共振素子及び共振素子間の間隙
を覆うように誘電体板(又は誘電体基板)を配置し、誘
電体板(又は誘電体基板)と共振素子が形成された基板
との間隔を所定の手段で調整することにより、通過特性
を精度よく容易に調整することが可能な特性に優れたフ
ィルタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成例を示した図。
【図2】本発明の第1の実施形態における主要部の位置
関係の一例を示した図。
【図3】本発明の第1の実施形態における主要部の位置
関係の他の例を示した図。
【図4】本発明の第1の実施形態の効果を説明するため
の図。
【図5】本発明の第1の実施形態の効果を説明するため
の図。
【図6】本発明の第2の実施形態の構成例を示した図。
【図7】本発明の第3の実施形態の構成の一例を示した
図。
【図8】本発明の第3の実施形態の構成の他の例を示し
た図。
【図9】本発明の第3の実施形態の変更例を示した図。
【図10】本発明の第4の実施形態の構成例を示した
図。
【図11】本発明の第4の実施形態の変更例を示した
図。
【図12】本発明の第5の実施形態の構成の一例を示し
た図。
【図13】本発明の第5の実施形態の構成の他の例を示
した図。
【図14】本発明の第6の実施形態の断面構成例を示し
た図。
【図15】本発明の第6の実施形態の平面構成例を示し
た図。
【図16】本発明の第6の実施形態の変更例を示した
図。
【符号の説明】
11、31、33…誘電体基板 12、34…共振素子 13、32…接地電極 14…入出力端子 15…誘電体板 16…柱状部材 17…バネ 18…ホルダ 21…保持治具 22…固定部材 23…ケース 24…昇降用治具 25…調整ネジ 35…スペーサ 41…柱状部材 42…貫通部材 43…貫通口 51…素子構成部材 52…支持治具 53…真空容器 54…冷凍機 55…コールドヘッド 56…フランジ 57…ベローズ 58…排気口 61…磁石 62…駆動用磁石 71…端部支持治具 72…柱状部材 73…板状部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相賀 史彦 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 加藤 理一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 加屋野 博幸 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開2002−141705(JP,A) 特開2001−77604(JP,A) 特開 平4−368006(JP,A) 実開 昭63−81402(JP,U) 国際公開95/035584(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 1/203 ZAA

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された超伝導体膜によって構
    成された複数の共振素子からなるフィルタ素子と、 前記超伝導体膜が形成された基板表面に略平行に対向
    し、かつ前記複数の共振素子及び共振素子間の間隙を覆
    うように配置された誘電体板と、 前記誘電体板を移動させることで、前記誘電体板の前記
    基板との対向面と前記超伝導体膜が形成された基板表面
    との間隔を調整する間隔調整用部材とを備え、 前記間隔調整用部材と前記共振素子との最小距離は、前
    記共振素子を構成する超伝導体膜のパターン幅の少なく
    とも3倍以上であることを特徴とする高周波デバイス。
  2. 【請求項2】基板上に形成された超伝導体膜によって構
    成された複数の共振素子からなるフィルタ素子と、 前記超伝導体膜が形成された基板表面に略平行に対向
    し、かつ前記複数の共振素子及び共振素子間の間隙を覆
    うように配置されたものであって、前記共振素子の端部
    近傍の部分に対向する貫通口を有する誘電体板と、 誘電体材料によって構成され、前記誘電体板を移動させ
    ることで、前記誘電体板の前記基板との対向面と前記超
    伝導体膜が形成された基板表面との間隔を調整する間隔
    調整用部材と、誘電体材料からなり、前記貫通口内を上下に移動するこ
    とで前記共振素子との間隔を変更可能な貫通部材と、 を備えたことを特徴とする高周波デバイス。
  3. 【請求項3】第1主面及び該第1主面の反対側の第2主
    面を有し、複数の共振素子からなるフィルタ素子を構成
    する超伝導体膜が該第1主面上に形成された第1の誘電
    体基板と、 第1主面及び該第1主面の反対側の第2主面を有する
    2の誘電体基板とを備え、 前記第1の誘電体基板の第1主面と前記第2の誘電体基
    板の第2主面とが略平行に対向し、かつ前記複数の共振
    素子及び共振素子間の間隙を覆うように前記第2の誘電
    体基板が配置され、 超伝導体膜からなる接地用電極が、前記第2の誘電体基
    板の第1の主面上にのみ形成されている ことを特徴とす
    る高周波デバイス。
  4. 【請求項4】前記第1の誘電体基板の第1主面と前記第
    2の誘電体基板の第2主面との間隔は調整可能であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の高周波デバイス。
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