JP2002141705A - 高周波デバイス - Google Patents

高周波デバイス

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JP2002141705A
JP2002141705A JP2000330615A JP2000330615A JP2002141705A JP 2002141705 A JP2002141705 A JP 2002141705A JP 2000330615 A JP2000330615 A JP 2000330615A JP 2000330615 A JP2000330615 A JP 2000330615A JP 2002141705 A JP2002141705 A JP 2002141705A
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filter
substrate
dielectric
dielectric plate
resonance
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Application number
JP2000330615A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Terajima
喜昭 寺島
Mutsuki Yamazaki
六月 山崎
Hiroyuki Fukuya
浩之 福家
Fumihiko Aiga
史彦 相賀
Riichi Kato
理一 加藤
Hiroyuki Kayano
博幸 加屋野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Priority to DE60135078T priority patent/DE60135078D1/de
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特性に優れたフィルタを実現することができ
るとともに、スカート特性やリップル特性の変動なしに
フィルタの通過周波数を精度よく容易に調整することが
可能な高周波デバイスを提供する。 【解決手段】 基板11上に形成された超伝導体膜によ
って構成された複数の共振素子12からなるフィルタ素
子と、超伝導体膜が形成された基板11表面に略平行に
対向し、かつ複数の共振素子12及び共振素子12間の
間隙を覆うように配置された誘電体板16と、誘電体板
16の基板11との対向面と基板11表面との間隔を制
御するための間隔制御手段17とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波デバイス、
特にマイクロ波フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】無線又は有線で情報通信を行う通信機器
は、アンプ、ミキサ、フィルタなどの各種のデバイスか
ら構成されており、共振特性を利用したデバイスが多く
含まれている。例えば、フィルタは、共振素子を複数個
並べて特定の周波数帯のみを通過させる機能を有する。
このようなフィルタには、挿入損失が小さく、しかも所
望帯域以外を通過させない特性が要求され、そのために
は無負荷Q値の高い共振素子が必要となる。
【0003】無負荷Q値の高い共振素子を実現する一つ
の方法として、共振素子を構成する導体に超伝導体を用
い、基板にAl2 3 、MgO、LaAlO3 などの誘
電損失が非常に小さい材料を用いる方法がある。しか
し、この場合には、無負荷Q値が10000以上とな
り、共振特性が非常に鋭くなるため、設計の段階で共振
特性を高精度に調整しなければ所望の特性が得られな
い。
【0004】このような問題を克服するために、共振周
波数の調整機能を有する共振器及びフィルタが提案され
ている。共振器或いはフィルタの周波数をチューニング
する方法としては、誘電率が印加電界に依存する誘電体
を共振素子近傍に設置して誘電体に電圧を印加する方
法、透磁率が印加磁界に従って変化する磁性体を共振素
子近傍に設置して磁性体に磁界を印加する方法等があ
る。
【0005】例えば、文献1(Appl. Phys. lett., Vo
l.66, p.3674, (1995))には、誘電率が印加電界に依存
する誘電体SrTiO3 膜で表面を覆ったLaAlO3
基板上に酸化物超伝導体膜からなるコプレーナ形共振器
を形成し、中央の伝送線路と両側のグランドとの間に電
圧を印加して共振周波数fをチューニングするものが記
載されている。この場合、チューニング幅Δf/fは4
%であるが、誘電率が電界強度に依存するSrTiO3
のような誘電体は誘電損失(tanδ)が大きいため、
無負荷Q値は200程度にまで減少する。そのため、導
体を非常に低損失な超伝導体にすることによる無負荷Q
値の増大という特徴が消失してしまうという問題があ
る。
【0006】同様に、文献2(Appl. Phys. lett., Vo
l.68, p.1651, (1996))には、前述した周波数チューニ
ングが可能なコプレーナ形共振器を複数並べたチューナ
ブルバンドパスフィルタが記載されている。この場合、
前述したようにフィルタを構成する個々の共振器単体の
無負荷Q値が小さいため、スカート特性と呼ばれる周波
数通過帯域の立ち上がり立ち下がりが緩く、周波数選択
性が悪くなる。また、電圧印加によって通過周波数帯域
を変化させた時、挿入損失、スカート特性、通過周波数
帯域内リップルが変化するという問題もある。
【0007】また、特開平9−307307号公報或い
は特開平10−51204号公報には、フィルタ素子上
に誘電率が電圧に依存する誘電体を設け、それに近接し
て電圧印加用の電極対を設置するものが開示されてい
る。この場合、電極の配置や印加電圧によって、局部的
に誘電率を変えること或いは誘電率に分布を持たせるこ
とが可能である。これにより、前述したような問題、す
なわちバンドパスフィルタの通過周波数帯のチューニン
グに付随した挿入損失、スカート特性、リップルの変化
といった問題はある程度軽減可能である。しかし、この
方法では、誘電率が印加電圧に従って変化する誘電体に
加えて電圧印加用電極が必要なため、電極による損失が
加わる。その結果、共振器単体の無負荷Q値は数百以下
と小さくなり、急峻なスカート特性を有するフィルタを
得ることはできない。また、電極対に電圧を印加するこ
とによって誘電体の誘電率を一様に変えて周波数のチュ
ーニングを行う場合には、誘電体による損失が大ききこ
とに加え、その損失が印加電圧によって変化するため、
チューニングに付随してフィルタを構成する共振素子の
Q値が変化し、フィルタの挿入損失や通過帯域内特性が
所望の特性からずれてしまうという問題がある。さらに
この方法では、誘電率や誘電損失に空間分布ができてし
まい、全面均一に変化させることができないという問題
がある。
【0008】別の方法として、例えば文献3(IEEE MTT
-S digest, p303, (1997))には、基板上に形成された
マイクロストリップ構造の共振器上に透磁率が印加磁界
に従って変化する磁性体Y3 Fe5 12(YIG)の板
を設置し、これに外部から直流磁界を印加することによ
って、共振周波数をチューニングするものが記載されて
いる。チューニング幅Δf/fは3%で前述した誘電体
制御方式と同程度であるが、無負荷Q値は誘電体制御方
式共振器の10倍程度に改善されている。しかし、この
ようなチューニング機能を有する共振器を複数個並べ
て、通過周波数帯域をチューニングできるバンドパスフ
ィルタを作製した場合、磁界印加によって通過周波数帯
域が変化するという本来の機能に付随して、共振素子相
互間及び共振素子と入出力線路との間の電磁的結合が変
化して、フィルタの挿入損失、スカート特性、リップル
特性が元の設計からずれてしまうという問題がある。ま
た、通過周波数帯が5GHz以下の場合には、磁気的損
失のために挿入損失が大きくなるという問題もある。
【0009】さらに別の方法として、特開平5−199
024号公報には、共振導体が1個の共振器において、
共振導体上に上下動可能な導体片、誘電体片又は磁性体
片を設置し、その位置を制御することよって共振周波数
を調整可能な超伝導共振器が開示されている。しかし、
この方法を共振素子が複数並んだフィルタに適用するた
めには、各共振素子上の各導体片等を精度良く同量移動
させる必要がある。また、周波数を変えることに伴っ
て、リップル、バンド幅といった帯域内特性が変化する
という問題もある。
【0010】文献4(IEEE Trans. Microwave Theory a
nd Techniques, Vol.47, No9, p1656, (1999))には、
フィルタをパッケージに収納してチューニング用のネジ
を共振素子上及び共振素子間ギャップ上等に多数設置
し、このネジの抜き差しによって周波数をチューニング
するものが記載されている。この場合、チューニング機
能の付加に伴う損失の増加は、上述した誘電体電圧印加
方式や磁性体磁界印加方式に比較して小さくなる。しか
し、各ネジがフィルタ特性に及ぼす影響がそれぞれ異な
るため、各ネジの制御を個別に厳格に行う必要がある。
また、フィルタのパターンに応じて各ネジの最適位置を
異ならせる必要もある。このような理由により、本方式
では、制御パラメータが多く、調整が困難で、構造が複
雑になるといった問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように、超伝導体
によって構成された共振素子を用いたフィルタが提案さ
れており、またこのようなフィルタ素子の周波数をチュ
ーニングするための方式も提案されている。しかしなが
ら、従来の方式では、急峻なスカート特性(シャープス
カート特性)を有するフィルタが得られない、通過周波
数のチューニングに際してスカート特性やリップル特性
等が変化してしまう、チューニングに際して精度のよい
調整が困難である等の問題があった。
【0012】本発明は上記従来の課題に対してなされた
ものであり、特性に優れたフィルタを実現することがで
きるとともに、スカート特性やリップル特性等の変動な
しにフィルタの通過周波数域を精度よく容易に調整する
ことが可能な高周波デバイスを提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高周波デバ
イスは、基板上に形成された第1の超伝導体膜によって
構成された複数の共振素子からなるフィルタ素子と、前
記第1の超伝導体膜が形成された基板表面に略平行に対
向し、かつ前記複数の共振素子及び共振素子間の間隙を
覆うように配置された誘電体板と、前記誘電体板の前記
基板との対向面と前記基板表面との間隔を制御するため
の間隔制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】前記間隔制御手段は、前記誘電体板を移動
させることで前記間隔を随時調整可能な手段(例えば、
誘電体板を基板表面に対して垂直方向に移動させるため
の部材)であってもよいし、前記誘電体板を移動するこ
とによって予め調整された間隔を保持するための手段
(例えば、調整された間隔を維持するためのスペーサ等
の部材)であってもよい。
【0015】前記誘電体板には、誘電損失の小さな誘電
体材料、特にAl2 3 、MgO、LaAlO3 などを
用いることが好ましい。
【0016】なお、各共振素子及び各共振素子間の間隙
は誘電体板によって完全に覆われていることが好ましい
が、各共振素子及び各共振素子間の間隙の一定以上の領
域、好ましくは半分以上の領域が誘電体板によって覆わ
れていてもよい。この場合、各領域が誘電体板によって
同様に覆われている、すなわち共振素子と誘電体板との
オーバーラップする領域が各共振素子について同等(同
じ形状及び面積)であり、共振素子間の間隙と誘電体板
とのオーバーラップする領域が各共振素子間の間隙につ
いて同等(同じ形状及び面積)であることが好ましい。
【0017】フィルタの通過周波数(通過特性)、スカ
ート特性、リップル特性、挿入損失特性等は、共振素子
周囲の媒体の実効誘電率の影響を受ける。本発明では、
各共振素子及び各共振素子間の間隙は誘電体板によって
同様に覆われており、各共振素子と誘電体板との関係、
各共振素子間の間隙と誘電体板との関係は、それぞれ同
等になっている。そのため、誘電体板を基板表面に対し
て垂直方向に移動させ、誘電体板の対向面と基板表面と
の間隔を両者の平行状態を維持した状態で変化させるこ
とにより、実効誘電率を各領域で一様に変化させること
ができる。したがって、実効誘電率の各共振素子に対す
る影響度並びに各共振素子間の結合に対する影響度をい
ずれも同等にすることができ、フィルタのスカート特性
やリップル特性等を維持した状態で、フィルタの通過周
波数を精度良く容易にシフトさせることができる。従来
技術で述べた共振素子上及び共振素子間ギャップ上に周
波数調整用のネジを多数設けたフィルタでは、各ネジの
調整を個別にかつ厳格に行う必要があり、またフィルタ
のパターンに応じて各ネジの位置を変える必要もあるた
め、フィルタ特性を精度よく容易に制御することが極め
て困難であるが、本発明ではフィルタのパターンによら
ず、フィルタ特性を精度よく容易に制御することが可能
となる。
【0018】なお、本発明の効果を有効に発揮させる観
点から、前記誘電体板の前記基板との対向面と前記複数
の共振素子を構成する第1の超伝導体膜表面との間隔の
最大値をL、最小値をSとしたとき、2×(L−S)/
(L+S)の値が0.3以下であることが好ましい。ま
た、前記誘電体板の前記基板との対向面と前記基板表面
とのなす角度は、1.0度以下であることが好ましい。
【0019】また、前記誘電体板の前記基板との対向面
と逆側の面上に第2の超伝導体膜を形成することによ
り、周波数シフト量を増大させることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。
【0021】図1は、本発明の実施形態に係るマイクロ
波用の高周波デバイスについて示したものであり、通過
周波数帯域を調整可能なバンドパスフィルタの断面図を
示したものである。
【0022】本実施形態に係るバンドパスフィルタはマ
イクロストリップライン構造であり、誘電体基板11の
表面上に複数の共振素子12、入力線路13及び出力線
路14が形成され、誘電体基板11の裏面上に接地電極
15が形成されている。誘電体基板11は、誘電損失の
小さい誘電体材料を用いて形成されており、例えばAl
2 3 (サファイア)、MgO、LaAlO3 などを用
いることができる。また、共振素子12、入力線路1
3、出力線路14及び接地電極15は、超伝導体材料を
用いて形成されており、超伝導体材料には、Re1 Ba
2 Cu3 x (Reは、Y,Ho,Ybなどの希土類元
素)、Bi系、Tl系などの酸化物超伝導体を用いるこ
とができる。
【0023】誘電体基板11の上方には、誘電損失の小
さい誘電体材料(Al2 3 (サファイア)、MgO、
LaAlO3 など)を用いた誘電体板16が、誘電体基
板11表面に略平行に対向して配置されている。また、
この誘電体板16は、複数の共振素子12、各共振素子
12相互間の間隙、共振素子12と入力線路13との間
隙及び共振素子12と出力線路14との間隙を覆うよう
に配置されている。
【0024】図2(a)及び図2(b)は、誘電体板1
6と共振素子12等の位置関係を示した平面図である。
図2(a)は、各共振素子12及び各共振素子12間の
間隙の全ての領域を完全に覆うように誘電体板16を配
置した例である。図2(b)は、各共振素子12及び各
共振素子12間の間隙の半分以上の領域を覆うように誘
電体板16を配置した例である。
【0025】誘電体板16には、誘電体基板11の表面
と誘電体板16の対向面との間隔を調整するための間隔
調整用部材17が取り付けられており、この間隔調整用
部材17をパッケージ18に形成された貫通口内を上下
させることで、誘電体板16と誘電体基板11との平行
状態を保ったまま、誘電体板16を誘電体基板11表面
に対して垂直方向に移動させることができるようになっ
ている。
【0026】バンドパスフィルタでは、個々の共振素子
の共振の重畳により、通過帯域が生じる。通過周波数を
決める要素は、共振素子の長さと共振素子を取り囲む媒
体の実効誘電率及び実効透磁率であり、スカート特性及
びリップルを規定する要素は、共振素子の無負荷Q値、
共振素子相互間の結合及び共振素子と入出力線路との結
合である。共振素子相互間の結合及び共振素子と入出力
線路との結合は、それらのギャップの長さと、それらを
取り囲む媒体の実効誘電率及び実効透磁率によって決ま
る。
【0027】図1に示したような構成のチューナブルバ
ンドパスフィルタにおいて、誘電体板16を上下に移動
させて誘電体板16と誘電体基板11との間隔を変化さ
せると、実効誘電率が全体的に変化して全ての共振素子
12の固有周波数が一様にシフトし、フィルタの通過特
性は周波数軸上をシフトする。この時、共振素子12相
互間の結合、共振素子12と入力線路13及び出力線路
14との電磁結合も同時に変化するため、フィルタのス
カート特性及びリップルも初期の特性とは変化したもの
になると、従来考えられてきた。ところが、図2(a)
及び図2(b)に示すように、全ての共振素子12、各
共振素子12相互間の間隙、共振素子12と入力線路1
3との間隙及び共振素子12と出力線路14との間隙を
覆うように誘電体板16を配置し、誘電体板16と誘電
体基板11との平行状態を保ったまま誘電体板16を動
かす、すなわち上記各領域と誘電体板16との位置関係
が同等に変化するように誘電体板16を動かすことによ
り、上述したスカート特性及びリップルの変化を避ける
ことができることが本願発明者によって新たに発見され
た。
【0028】また、誘電体板16に誘電損失の小さい誘
電体材料を用いることにより、共振素子12の無負荷Q
値、フィルタの挿入損失及びスカート特性をほとんど悪
化させることなく、チューナブルバンドパスフィルタを
得ることができる。
【0029】以下、本発明の具体例について説明する。
【0030】図1に示したような基本構成を有するバン
ドパスフィルタの一例として、1.9GHz帯のマイク
ロストリップライン構造のフィルタを作製した。
【0031】誘電体基板11には、厚さ0.5mm、直
径30mmのLaAlO3 からなる基板を用いた。この
誘電体基板11の両面にY系超伝導体薄膜をスパッタリ
ング法で厚さ500nm成膜し、基板裏面側に成膜され
た超伝導体薄膜を接地電極15とした。さらに、基板表
面側に成膜された超伝導体薄膜をイオンミリング法を用
いて加工し、所望の共振周波数を有する5個の共振素子
12、入力線路13及び出力線路14を形成し、マイク
ロストリップライン構造のバンドパスフィルタを作製し
た。各共振素子12はいずれも、幅170μm、長さ2
0.2mmの同一形状であり、通過帯域中心周波数は
1.9GHzであった。
【0032】このようにして作製したフィルタに銅製の
カバー18を装着し、カバーの中央に形成された貫通口
に間隔調整用部材17となる銅製のネジを螺着した。ネ
ジの先端には厚さ0.5mm、直径28mmのAl2
3 (サファイア)からなる誘電体板16を設置した。ネ
ジを回転させることにより、フィルタ素子に対して誘電
体板16を近づけたり遠ざけたりすることができる。
【0033】フィルタ特性の評価は以下のようにして行
った。すなわち、上述したようにして作製された素子を
冷却可能な冷凍器中に設置して60Kまで冷却し、マイ
クロ波電力の通過特性及び反射特性をベクトルネットワ
ークアナライザにより測定した。
【0034】図3は、誘電体基板11上に形成されたフ
ィルタ素子と誘電体板16との距離と、通過帯域中心周
波数の変化量Δfとの関係を示したものである。図4
は、フィルタ素子と誘電体板との距離を変えたときの、
通過特性S21を測定した結果を示したものである。図
4のチューニング前の特性は距離が1mm以上離れてい
る場合、チューニング後の特性は距離が0.25mmの
場合である。距離を近づけることによって通過帯域は低
周波数側にシフトするが、挿入損失、バンド幅、リップ
ルといった帯域内特性に変化はなかった。
【0035】なお、上述した例では誘電体板16にAl
2 3 (サファイア)を用いたが、MgOの場合も同様
であった。また、誘電体板16にLaAlO3 を用いた
場合には、Al2 3 及びMgOの場合と比較して、通
過帯域のシフト量が約1.5倍であった。
【0036】このように本例では、共振素子の超伝導性
による損失の低減を犠牲にすることなく、かつ、リップ
ル、スカート特性及びバンド幅を変えることなく、通過
帯域の中心周波数だけを調整することが可能である。
【0037】比較例として、基本的構成は上記具体例と
同様であるが、誘電体板16の誘電体基板11との対向
面と共振素子12を構成する超伝導体膜表面との間隔の
最大値をL、最小値をSとしたとき、2×(L−S)/
(L+S)の値が0.3よりも大きくなるように、誘電
体板16を傾けて配置したものについて、同様に測定を
行った。この場合には、帯域内通過特性のリップルが増
大する、或いは対象性が損なわれるという問題が発生し
た。
【0038】上記具体例の変更例として、図5に示すよ
うな素子を作製した。基本的な構造は図1に示した構造
と同様であり、図1に示した構成要素に対応する構成要
素には同一の参照符号を付している。図5に示した例
は、図1に示した例に対し、誘電体板16のフィルタ素
子12に対向する面とは反対側の面上に超伝導体膜20
を形成している点が異なる。このような構造について、
上述した例と同様にマイクロ波通過特性を測定したとこ
ろ、図1に示した構造よりも大きな周波数可変幅を得る
ことができた。
【0039】なお、以上説明した実施形態では、誘電体
基板11と誘電体板16との間隔を制御するための手段
として、間隔調整用部材17を用い、この間隔調整用部
材17を上下に動かすことで誘電体基板11と誘電体板
16との間隔を随時調整できるようにしたが、誘電体板
16を移動させることで予め誘電体基板11と誘電体板
16との間隔を調整しておき、調整された間隔をスペー
サ等の部材によって固定しておくようにしてもよい。
【0040】また、以上説明した実施形態では、フィル
タ特性として帯域通過フィルタを例に説明したが、本発
明は他のフィルタ特性のものにも適用できることは明ら
かである。
【0041】以上、本発明の実施形態を説明したが、本
発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣
旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施するこ
とが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階
の発明が含まれており、開示された構成要件を適宜組み
合わせることによって種々の発明が抽出され得る。例え
ば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除
されても、所定の効果が得られるものであれば発明とし
て抽出され得る。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、フィルタが形成された
基板表面と略平行に且つ共振素子及び共振素子間の間隙
を覆うように誘電体板を配置し、この誘電体板とフィル
タが形成された基板との間隔を調整することにより、ス
カート特性やリップル特性等の変動なしにフィルタの通
過特性を精度よく容易に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の基本的な構成例を示した断
面図。
【図2】本発明の実施形態の主要部の位置関係を示した
平面図。
【図3】本発明の実施形態に係り、フィルタ素子と誘電
体板との距離に対する通過帯域中心周波数の変化量の関
係を示した図。
【図4】本発明の実施形態に係り、フィルタ素子と誘電
体板との距離を変えたときのフィルタの通過特性につい
て示した図。
【図5】図1に示した構造の変更例を示した図。
【符号の説明】
11…誘電体基板 12…共振素子 13…入力線路 14…出力線路 15…接地電極 16…誘電体板 17…間隔調整用部材 18…パッケージ 20…誘電体板上の超伝導体膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福家 浩之 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 相賀 史彦 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 加藤 理一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 加屋野 博幸 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 4M113 AC44 AD36 AD37 AD42 BA04 BC04 CA34 CA35 CA36 5J006 HB03 JA01 LA11 LA25 MA01 MB02 MB03 NA01 NE03 NE11 PA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された第1の超伝導体膜によ
    って構成された複数の共振素子からなるフィルタ素子
    と、 前記第1の超伝導体膜が形成された基板表面に略平行に
    対向し、かつ前記複数の共振素子及び共振素子間の間隙
    を覆うように配置された誘電体板と、 前記誘電体板の前記基板との対向面と前記基板表面との
    間隔を制御するための間隔制御手段と、 を備えたことを特徴とする高周波デバイス。
  2. 【請求項2】前記誘電体板の前記基板との対向面と前記
    複数の共振素子を構成する第1の超伝導体膜表面との間
    隔の最大値をL、最小値をSとしたとき、2×(L−
    S)/(L+S)の値が0.3以下であることを特徴と
    する請求項1に記載の高周波デバイス。
  3. 【請求項3】前記誘電体板の前記基板との対向面と逆側
    の面上に第2の超伝導体膜が形成されていることを特徴
    とする請求項1に記載の高周波デバイス。
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