JP3443260B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP3443260B2
JP3443260B2 JP33382796A JP33382796A JP3443260B2 JP 3443260 B2 JP3443260 B2 JP 3443260B2 JP 33382796 A JP33382796 A JP 33382796A JP 33382796 A JP33382796 A JP 33382796A JP 3443260 B2 JP3443260 B2 JP 3443260B2
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弘樹 江藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体装置に関し、
特にパワー部と制御部とが同一半導体基板上に形成され
たパワー半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来の一般的な制御部とパワー
部とを有したパワーMOSFETの断面図である。N+
型半導体基板1には、その表面にN-型のエピタキシャ
ル層2を有しており、上記したパワー部のドレイン領域
の一部を構成する。パワー部のドレイン領域2には多数
の規則的に配列されたP型のボディ領域5を備えてお
り、そのボディ領域5内には、リング状のN+型のソー
ス領域4が形成されている。チャネル領域3となるボデ
ィー領域5上には絶縁層を介して、多結晶シリコンから
なるゲート電極7が形成され、さらに、ゲート絶縁膜を
介してアルミニウム等の金属が蒸着されソース領域4を
共通接続するソース電極8が形成される。
【0003】一方、制御部となるN-型のエピタキシャ
ル層2はP型の拡散層で電気的に分離され、その分離領
域PW内にはMOSトランジスタ等の複数の素子が形成
され、上記パワー部を制御する所定の制御回路が形成さ
れる。この制御部には、パワー部に形成されたパワーM
OSFETが主に異常時に発生する過電流、過電圧保護
のための保護回路が内蔵されており、異常時にパワーM
OSFETが破壊するのを抑制している。
【0004】上記制御部に形成される過電流保護回路
は、例えば、図5に示すように、パワーMOSFETに
流れる異常電流を検出する電流検出抵抗Rと、定電流源
M1、M2と、定電流源M1、M2によって形成された
基準電圧Vrefと検出抵抗Rによって検出された検出電圧
とを比較する比較器9と、比較器9から出力される出力
信号で制御されパワーMOSFETをON/OFFする
MOSFETとから構成され、過電流がパワーMOSF
ETに流れた時には、比較器から所定の出力信号が出力
されMOSFETをONさせパワーMOSFETのゲー
トに供給される所定の信号を遮断しパワーMOSFET
をOFFさせ過電流によるパワーMOSFETの破壊を
阻止する。上記した同様の技術は、例えば、特開平7−
231090号公報に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記過電流保護回路
は、図4に示した制御部に形成される。定電流源として
NchデプリションMOSFET、そのデプリションM
OSFETに直列にNchデプリションMOSFETの
ドレイン、ゲートが短絡するように接続形成され、所定
の基準電圧Vrefを形成し制御部内に形成された比較器に
供給している。
【0006】定電流源をNchデプリションMOSFE
Tで形成した場合、以下のような不具合がある。制御部
のPウェル領域にNchデプリションMOSFETを形
成する場合、NchMOSFETのチャネルとなる領域
には、ゲート電極を形成する前にN型の不純物(As、
P等)が注入・拡散される。しかし、その後、パワー部
に形成されるパワーMOSFETの製造工程では、P又
はN型チャネル領域(P又はN型ボディ領域)及びP又
はN型高濃度領域を拡散形成するための高温の熱処理工
程があるために、先に拡散してあるNchデプリション
MOSFETのチャネル領域となるN型不純物拡散領域
がさらに拡散されるPウェル領域が浅い場合には、N型
不純物拡散領域がPウェル領域を突き抜ける恐れがあ
り、Pウェル領域の深さを十分深く形成していた。
【0007】NchデプリションMOSFETのチャネ
ル領域の不純物拡散濃度は、これらの高温熱処理工程に
よる温度影響を考慮して設計し、所定の特性を得るよう
にしているが、実際には、NchデプリションMOSF
ETのチャネル領域の拡散濃度にはバラツキが生じ、そ
のバラツキは、図6に示すように、Nchデプレション
MOSFETのI−V特性のバラツキを生じさせる原因
の大きな要素となっていた。上記の問題は、パワーMO
SFETのON抵抗の低減化及びアバランシェ耐量の向
上化を行うために、チャネル領域とそのチャネル領域内
に形成される高濃度領域とをほぼ同一面にする場合に
は、拡散工程による高温熱処理時間が長時間となり、N
chデプレションMOSFETのI−V特性のバラツキ
が顕著に現れやすくなる。
【0008】上記した図5の過電流保護回路の定電流源
のNchデプレションMOSFETM1、M2が、図6
に示したような特性バラツキがある場合には、図7に示
すように、NchデプレションMOSFET M1、M
2とで形成される基準電圧Vrefは、Nchデプリション
MOSFET M2のゲート、ドレインがMOSFET
M1と短絡接続されるためにMOSFET M1のバラ
ツキに依存してバラツキを生じることになる。
【0009】例えば、過電流検出値を2A、基準電圧Vre
fを1.5Vとして設計した場合、Nchデプリション
MOSFET M1の電流バラツキにより、M1、M2
によって形成される基準電圧Vrefが、図7に示すような
バラツキが生じた場合には、設計過電流検出値の±10
%以内の範囲の基準電圧Vrefを良品としたとき、この範
囲以外でバラツキが生じた半導体装置は設計外として不
良品扱いされ歩留率を大きく低下させる要因となってい
た。
【0010】上述したNchデプレションMOSFET
の特性バラツキは、制御回路機能付パワーMOSFET
を形成した場合、単一のウエハー当たりで良品となる領
域と不良品となる領域に区別され、定電流源であるNc
hデプレションMOSFETの特性バラツキが歩留率に
大きく影響し、安定供給することが困難であった。本発
明は、上記した事情に鑑みて成されたものであり、定電
流源として用いるNchデプレションMOSFETの特
性バラツキにより、許容範囲以上に基準電圧Vrefがばら
ついたとしても不良品として取り扱うことなく再生し、
歩留率を著しく向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、以下の構成を採用した。即ち、本発明の
半導体装置は、同一半導体基板上に多数のパワーMOS
FETからなるパワー部と、前記パワー部を制御する制
御回路からなる制御部とが形成され、前記制御回路は、
少なくとも所定の基準電圧を発生させる基準電圧発生回
路と、前記パワーMOSFETに流れる過電流を検出す
る検出手段と、前記基準電圧と前記検出手段によって発
生した所定の検出電圧とを比較し前記パワーMOSFE
Tを制御するための出力信号を供給する比較部とが形成
された半導体装置であって、前記基準電圧発生回路はデ
プリション型MOSからなる定電流源に、並列接続され
複数の基準電圧調整用デプリション型MOSFET
続され、前記調整用デプリションMOSFETの基準
パターンとなる調整用デプリションMOSFETのチャ
ネル(n)は、少なくとも2つの湾曲部を有し、他の前記
調整用デプリションMOSFETのチャネル(n1)(n
2)...は、前記基準パターンとなる前記チャネル(n)
を基準に、それぞれ略同一パターンの倍々となるように
形成する。
【0012】ここで、前記各調整用デプリションMOS
FETのドレインとソースは、相対向するように配置し
たことを特徴としている。また、前記パワー部に形成さ
れる前記多数のパワーMOSFETは、チャネル不純物
領域と、前記チャネル不純物領域内に形成され、前記チ
ャネル不純物領域よりも高濃度で前記チャネル不純物領
域の底面と略同一面まで拡散された高濃度不純物領域と
が形成されることを特徴としている。
【0013】上述したように、基準電圧発生回路を構成
する定電流源のデプリション型MOSFETに、並列接
続された複数の基準電圧調整用デプリションMOSFE
を接続し、その調整用デプリションMOSFETの基
準パターンとなる調整用デプリションMOSFETのチ
ャネル(n)は、少なくとも2つの湾曲部を有し、且つド
レインとソースとが相対向するように配置され、他の前
記調整用デプリションMOSFETのチャネル(n1)(n
2)...は、前記基準パターンとなる前記チャネル(n)
を基準に、それぞれ略同一パターンの倍々となるように
形成することにより、高温熱処理工程で定電流源である
デプリションMOSFETの特性にバラツキが生じ、そ
のバラツキにより基準電圧Vrefが許容範囲以上にバラツ
キが生じた時であっても、並列接続された複数の上記基
準電圧調整用デプリションMOSFETに接続されたM
OSFETを選択的にON/OFFさせて調整用デプリ
ションMOSFETのチャネル長、即ち、抵抗値を調整
することで許容範囲以上にバラツキを生じた基準電圧Vr
efを許容範囲内に調整することができる。
【0014】また、上記各調整用デプリションMOSF
ETのチャネルは、基準パターンとなるチャネル(n)を
基準とし、倍々で形成することにより、各調整用デプリ
ションMOSFETのチャネル領域特性のバラツキを均
一化することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の半導体装置の実
施形態について図面を参照し説明する。図1は、本発明
の実施形態の制御回路機能付パワーMOSFETの断面
図である。N+型半導体基板11の一主面には、N-型の
エピタキシャル層12が形成され、パワー部PのMOS
FETのドレイン領域13の一部を構成する。パワー部
Pのドレイン領域13には、チャネルを形成するP型の
チャネル不純物領域14が規則的に配列形成される。そ
のチャネル不純物領域14内には、チャネル不純物領域
14よりも濃度が高い高濃度不純物領域15が形成され
る。チャネル不純物領域14内に形成された高濃度不純
物領域15の底面部は、チャネル不純物領域14の底面
部と略同一面となるように形成されている。
【0016】さらにチャネル不純物領域14にはリング
状のN+型のソース領域16が形成され、チャネル不純
物領域14のチャネルとなる領域上に絶縁層17を介し
てゲート電極18が形成される。ソース領域16とチャ
ネル不純物領域14とは、アルミ蒸着膜からなる金属電
極であるソース電極19に接続され、半導体基板11の
裏面には金属電極であるドレイン電極20が形成されて
いる。
【0017】一方、パワー部Pに隣接する制御部Cの上
記エピタキシャル層12内には、チャネル不純物領域1
4の不純物濃度より濃度の低いP型の不純物が拡散され
たウェル領域21が形成される。このウェル領域21内
に、パワー部Pを制御するための過電流保護回路が形成
される。本発明の特徴とするところは、制御部に形成す
る過電流保護回路にある。過電流保護回路は、図2に示
すように、少なくともNchデプリション型MOS31
からなる定電流源にチャネル長がそれぞれ異なり、並列
接続された複数の基準電圧調整用Nchデプリション型
MOSFET32,33...及びそのデプリションM
OSFET32,33...の各ソースに接続されたス
イッチ用NchエンハンスメントMOSFET40,4
1...とからなり調整可能な所定の基準電圧を発生さ
せる基準電圧発生回路30と、基準電圧発生回路30に
よって形成された形成される基準電圧を測定する測定パ
ッド50と、パワーMOSFETに流れる過電流を検出
する検出手段37と、基準電圧と検出手段37によって
発生した所定の検出電圧とを比較しパワーMOSFET
を制御するための出力信号を供給する比較部38とをか
ら構成される。
【0018】さらに述べると、チャネル長が異なる各調
整用デプリションMOSFET32,33...は、基
準パターンとなる第1の調整用デプリションMOSFE
T32のチャネル(n)を基準に形成される。第1の調整
用デプリションMOSFET32のチャネル(n)は、2
つの湾曲部を有しドレイン32Dとソース32Sとが相
対向するように配置形成される。この第1の調整用デプ
リションMOSFET32のチャネル(n)パターンを基
準にして、他の調整用デプリションMOSFET33,
34..のチャネル(n1)(n2)...がそれぞれ略同一
パターンの倍々となるように形成される。
【0019】この基準電圧発生回路30では、並列接続
された上記複数の調整用NchデプレションMOSFE
T32,33...及びMOSFET40,41...
が配置形成されているために、定電流源Nchデプレシ
ョンMOSFET31のチャネル領域の拡散層のバラツ
キにより、定電流源デプレションMOSFET31のI
DSがばらついた場合、そのIDSのバラツキにより基準電
圧発生回路30で形成される基準電圧Vrefも依存して
バラツキを生じるが、MOSFET40,41...
選択的にON/OFFさせて、上記調整用Nchデプレ
ションMOSFET32,33...のチャネル長を任
意に調整することでバラツキを生じた基準電圧Vrefを
設定値に補正する。
【0020】さらに、各調整用NchデプレションMO
SFET32,33...のチャネル(n)(n1)(n
2)...は、基準パターンとなるチャネル(n)を基準に
して略同一パターンの倍々で形成されるために、調整用
デプリションMOSFET32,33...の諸特性バ
ラツキが各MOSFET32,33...で均一化さ
れ、調整後の基準電圧のバラツキを最小限に抑制するこ
とができ、過電流検出の優れた半導体製品を提供するこ
とができる。
【0021】以下に、特に、図面を用いないが、制御回
路付パワーMOSFETの製造方法に基づき、本発明の
特徴をさらに説明する。N+型半導体基板11にN-型エ
ピタキシャル層12を成長させた基板を準備し、制御部
となる領域のエピタキシャル層12にP-型の不純物で
あるボロン(B)を注入・拡散し制御部CとなるPウェ
ル領域21を形成する。
【0022】ウェル領域21の拡散濃度を後述するチャ
ネル不純物領域14と高濃度不純物領域15よりも低く
し、長期間の熱拡散工程を行いウェル領域21を安定化
させ、以降に行われる熱拡散工程でウェル領域の拡散の
進行を抑制する。このウェル領域21は十分に拡散しな
いと、以降の拡散工程でウェル領域21の拡散が進行
し、エピタキシャル層12の膜厚を厚くしなければ成ら
ず、共通基板上に形成されるパワーMOSFET領域の
エピタキシャル層の厚みも厚くなり、オン抵抗の低減化
の妨げとなるために、長時間で十分に拡散することが重
要である。さらに、ウェル領域21の深さは、チャネル
不純物領域14と高濃度不純物領域15の底面部と略同
一面か、或いは若干浅く成るように形成する。
【0023】具体的には、例えば、打ち込みエネルギー
70KeVでドーズ量1×10 13 〜3.5×10 13 /c
m 2 のボロンを注入し、約1100℃〜1200℃で約
500分から800分間の熱拡散を行いウェル領域を形
成する。ウェル領域21のドーズ量は、上記した具体例
に限定されるものではなく、エピタキシャル層の濃度、
即ち、設定する耐圧値により適宜に選択し、ウェル領域
21に形成するNチャネルEMOSのVthをコントロ
ールする。
【0024】ウェル領域21を形成した後、ウェル領域
21内にNchデプリションMOSFETのチャネルと
なる領域に砒素(As)等のN型の不純物が注入・拡散
されNchデプリションMOSFETのチャネル領域2
2が形成される。この際、基準電圧調整用となる各調整
用NchデプリションMOSFETのチャネル領域は、
湾曲部を有し蛇腹状パターンで形成される。
【0025】NchデプリションMOSFETのチャネ
ル領域22形成後、絶縁層を介して選択的にゲート電極
18,18Aを形成する。即ち、パワー部P領域には、
パワーMOSFETのゲート電極18、制御部C領域に
は、NチャネルEMOS、NチャネルDMOS等の横型
MOSのゲート電極18Aが形成される。このNchデ
プリションMOSFETは、過電流保護回路の定電流
源、基準電圧調整用の素子として用いられる。各Nch
エンハンスメントMOSFET40,41...は、基
準電圧調整用デプリションMOSFETのチャネル長を
選択的に調整するスイッチとしてのみ用いられるため、
そのサイズは可能な限り小さく形成され且つ同一サイズ
となるようにゲート電極が形成される。
【0026】パワー部P領域には、ゲート電極18をマ
スクとして、P型不純物であるボロン(B)を所定のド
ーズ量でエピタキシャル層12表面に注入し、所定の温
度条件の第1の熱拡散処理を行いチャネル領域となる極
めて浅いチャネル不純物領域14が形成される。具体的
には、例えば、打ち込みエネルギー70KeVでドーズ
量3×10 13 〜5×10 13 /cm 2 のボロンを注入し、約
1100℃〜1200℃で約100から200分間の第
1の熱処理工程を行う。このチャネル不純物領域14を
形成する同一工程で必要に応じてウェル領域21内に
の不純物を拡散する場合もある。
【0027】チャネル不純物領域14表面に高濃度不純
物領域15となるチャネル不純物領域14の濃度よりも
濃度の高いP型のボロン(B)が注入される。具体的に
は、例えば、チャネル不純物領域14のボロン(B)の
ドーズ量が3×10 13 〜5×10 13 /cm 2 である場合、
打ち込みエネルギー80KeVでドーズ量8×10 14
1×10 15 /cm 2 のボロンを注入する。
【0028】高濃度不純物領域15となる高濃度の不純
物を注入した後、高濃度不純物の拡散する第2の熱拡散
処理を行う。この第2の拡散工程は、高濃度不純物領域
15の底面部と上記した第1の拡散工程で拡散したチャ
ネル不純物領域14の底面部とが略同一面になるように
行われる。一般的に不純物拡散は、不純物濃度、拡散温
度、拡散時間により、その不純物の拡散深さが決定され
る。チャネル不純物領域の不純物濃度と高濃度不純物領
域の不純物濃度とは、上記したように濃度差を有してい
ることから高濃度不純物領域の拡散の方がチャネル不純
物領域の拡散より高速である。
【0029】従って、高濃度不純物領域15に注入した
不純物の濃度と、チャネル不純物領域14に注入した不
純物の濃度とを予め設定すれば第2の熱拡散工程の温
度、時間の設定を行うことで、高濃度不純物領域15と
チャネル不純物領域14とが同時に拡散し、拡散進行方
向の高濃度不純物領域15の底面部とチャネル不純物領
域14の底面部とを略同一面に形成することができる。
【0030】この制御機能付パワーMOSFETでは、
上記したように、チャネル不純物領域14となる不純物
であるボロン(B)のドーズ量を3×10 13 〜5×10
13 /cm 2 とし約1100℃〜1200℃で100分〜2
00分の第1の予備熱処理工程を行った後、高濃度不純
物領域15となる不純物であるボロン(B)のドーズ量
を8×10 14 〜1×10 15 /cm 2 とし、約1100℃〜
1200℃で約30分〜90分間の第2の熱処理工程を
行うことにより、上記したように、高濃度不純物領域1
5の底面部とチャネル不純物領域14の底面部とを略同
一面に形成している。
【0031】パワー部P領域のチャネル不純物領域14
にソース領域16となるN+型の不純物を注入拡散して
ソース領域が形成され、制御部C領域のウェル領域21
にソース領域16A及びドレイン領域16BとなるN+
型の不純物を注入拡散してソース領域、ドレイン領域が
形成される。このソース領域、ドレイン領域となるN型
不純物はリン(P)、砒素(As)等を使用することが
でき、ここでは、打ち込みエネルギー100〜150K
eVでドーズ量5×10 15 〜1×10 16 /cm 2 の砒素
(As)を注入し、約900℃〜1100℃で約30分
〜60分の熱拡散処理を行いソース領域16、16A
ドレイン領域16Bを形成している。
【0032】ソース領域16、16A、ドレイン領域1
6B形成後、ゲート電極18,18Aの表面に常圧又は
減圧CVD法等によってSiO2等の絶縁層を堆積、ホト
エッチングしゲート電極18,18A表面を絶縁層17
で被覆する。そして、露出した表面にアルミ膜をスパッ
タリング又は蒸着により、パワー部P領域に形成したソ
ース領域16を共通接続するソース電極19を形成し、
制御部C領域に形成したMOSのドレイン、ソース電
23を形成する。さらに、半導体基板11の裏面にパワ
ーMOSFETのドレイン電極20となる金属層を形成
し、図1に示す制御回路機能付パワーMOSFETが完
成する。
【0033】本発明の特徴とするところは、上述したよ
うに、制御部に形成された過電流保護回路を構成する定
電流源となるNchデプリションMOSFET31の出
力に、第1の調整用デプリションMOSFET32のチ
ャネル(n)パターンを基準パターンとし、第2、第
3...の調整用デプリションMOSFET33,3
4..のチャネル(n1)(n2)が略同一パターンの倍々
なるように接続することにある。
【0034】基準パターンとなる調整用デプリションM
OSFET32のチャネル(n)のパターンは、図3に示
すように、2つの湾曲部を有し、その両端部にドレイン
32D、ソース32Sが配置形成される。即ち、チャネ
ル(n)を2カ所で湾曲し、ドレイン32Dとソース32
Sとを相対向配置することで、他の第2、第3の調整用
デプリションMOSFET33,34..のチャネル
(n1)(n2)を基準ゲート電極(n)パターンの倍々となる
ようにする。それぞれの調整用デプリションMOSFE
Tのドレイン32D、33D...及びゲート32G,
33G...は、図3に示すように、アルミ配線A等に
より、定電流源となるNchデプリションMOSFET
31のソース31Sに共通接続される。
【0035】一方、各調整用NchデプリションMOS
FETの各ソース32S,33S...は、限りなく小
さく且つ同一サイズに形成されたNchエンハンスメン
トMOSFET40,41...を介して異なるアルミ
配線Bで共通接続されている。即ち、各Nchエンハン
スメントMOSFET40,41...のドレイン40
D,41D...は、調整用デプリションMOSFET
のソース32S,33S...と共通に形成され、エン
ハンスメントMOSFET40,41...のソース4
0S,41S...をアルミ配線Bで共通接続すること
で、異なる2本のアルミ配線A,B間にNchエンハン
スメントMOSFET40,41...を介して複数の
調整用NchデプリションMOSFET32,3
3,...が並列接続配置されことになる。
【0036】第2、第3..の調整用Nchデプリショ
ンMOSFET3334,...のチャネル(n1)(n
2)..は、上記したように、基準パターンとなるチャネ
ル(n)を基準とし倍々となるように、チャネル長がそれ
ぞれ異なるように形成され、各調整用Nchデプリショ
ンMOSFET32,33,...の抵抗値を上述した
ように異ならしめられる。さらに、各調整用デプリショ
ンMOSFETのドレイン32D,33D...及び
ンハンスメントMOSFETのソース40S41
S...は、一定間隔で形成されたアルミ配線A,Bに
接続するように形成される。
【0037】従って、定電流源NchデプリションMO
SFET31の電流特性にバラツキが生じ、そのバラツ
キにより基準電圧Vrefに大きなバラツキが生じたとして
も、並列接続された各調整用NchデプリションMOS
FET32,33,...の全体のチャネル長を調整す
ることで、基準電圧Vrefのバラツキを許容範囲内に補正
することができると共に、各調整用デプリションもMO
SFET32,33...の特性バラツキを均一化する
ことができ、基準電圧の調整を精度よく行える。
【0038】例えば、図3に示したように、第1の調整
用デプリションMOSFET32のチャネル(n)のパタ
ーンを2つの湾曲部を有した蛇腹状に形成し、その時の
チャネル長Lを50μm、チャネル幅Wを7μm、Rsを
5KΩとして設計したときの調整用デプリションMOS
FET32の抵抗値は35KΩとなる。この第1のデプ
リションMOSFET32のチャネル(n)のパターンは
基準パターンとする。過電流検出値を2Aとし、その過
電流検出値と比較される設計基準電圧を1.5Vとした
場合、定電流源NchデプリションMOSFETの定電
流IDSの設計値は42.8μAとなる。
【0039】ここで、第1の調整用Nchデプリション
MOSFET32のゲート電極(n)パターンは2つの湾
曲を有して蛇腹状に形成し、そのチャネル長は、上記条
件で50μmである。隣接配置形成される残りの第2、
第3、及び第4の調整用NchデプリションMOSFE
T33,34...のチャネル(n1)(n2)パターン
は、チャネル(n)パターンを基準にし、そのチャネル
(n)パターンと略同一パターンで倍々となるように形成
される。
【0040】即ち、第2、第3...の調整用デプリシ
ョンMOSFET33,34...のチャネル長は、そ
れぞれ100μm、200μm、400μmという具合に
倍々に長く形成される。従って、第2、第3、及び第4
の調整用NchデプリションMOSFET33,3
4...の抵抗値は、それぞれ70KΩ、140KΩ、
280KΩとなる。即ち、定電流源Nchデプリション
MOSFET31の出力に第1〜第4の調整用Nchデ
プリションMOSFET32,33,...が接続され
ることになる。
【0041】定電流源NchデプリションMOSFET
31の設計IDS値を上記した42.8μAとして形成し
た場合、「発明が解決しようとする課題」及び上述した
製造方法でも説明したように、定電流源Nchデプリシ
ョンMOSFET31のチャネル領域の不純物拡散層
は、パワーMOSFETのチャネル領域、及び高濃度領
域を形成する前に、即ち、NchデプリションMOSF
ETのゲート電極形成前に、先にされるために、パワー
MOSFETのチャネル拡散領域及び高濃度領域を形成
するための第1及び第2の拡散工程による高温熱処理工
程により、定電流源NchデプリションMOSFET3
1のチャネル領域の拡散層のバラツキによりIDSにもバ
ラツキが生じる(図6参照)。
【0042】定電流源NchデプリションMOSFET
31のIDSにバラツキが生じると設定基準電圧Vrefも
そのバラツキに依存してバラツキが生じ、許容範囲以上
に基準電圧Vrefがばらついたときは、不良品として取
り扱っていた。しかし、本発明では、仮に、定電流源N
chデプリションMOSFET31のチャネル拡散層の
バラツキにより、IDSが設計値より大きくバラツキ、そ
のバラツキにより基準電圧Vrefが許容範囲以上にばら
ついたとしても、その基準電圧Vrefをほぼ設定値に修
正することができる。
【0043】各調整用NchデプリションMOSFET
のソース32S,33S...は、スイッチ手段として
のNchエンハンスメントMOSFET40,4
1...を介してアルミ配線Bで共通接続されており、
この各エンハンスメントMOSFET40,41...
は、基準電圧調整前はON状態となるように回路構成が
なされ、各調整用デプリションMOSFET32,3
3,...はアルミ配線Bにより導通状態が保持されて
いる。即ち、制御機能付パワーMOSFETの完成する
前までは、各調整用NchデプリションMOSFET3
2,33,...は並列接続され、合成抵抗値を最小値
にしている。ここで、上記完成とは、各諸特性をチェッ
クし、ウエハーから個別に分離した状態をいう。
【0044】例えば、定電流源NchMOSFET31
の設計IDSを上記した42.8μAとし、半導体基板に
定電流源NchデプリションMOSFET31を形成し
た時、チャネル拡散のバラツキが無く、設定値の42.
8μAが実測で得られた場合には、第2〜第4の調整用
NchデプリションMOSFET33,34...のソ
ース33S,34S..に接続されたエンハンスメント
MOSFET41,42...がOFFとなるように、
専用パッドに所定の電力を供給し、ゲート41G,42
G...OFF信号を入力する。エンハンスメントMO
SFET40のみをONすることで第1の調整用Nch
デプリションMOSFET32のみが導通状態となり設
定基準電圧値である1.5Vを得ることができる。
【0045】この際、各調整用デプリションMOSFE
Tのドレイン32D,33D...を共通接続するアル
ミ配線Aから延在される先端部分に測定パッド50が設
けられているために、ウエハー状態で、その各測定パッ
ドに測定装置のプローブを接触させ、定電流源デプリシ
ョンMOSFET31及び、各調整用デプリションMO
SFET32,33..に設定過電流値と同じ電流を流
し、測定パッド50で基準電圧を測定しながら、基準電
圧発生回路で形成された基準電圧を初期設定値に調整す
ることができる。
【0046】次に、定電流源NchデプリションMOS
FET31のチャネル拡散層にバラツキが生じ、実測I
DSが仮に64.4μAとなった場合は、第3、第4の調
整用NchデプリションMOSFETのソース34S,
35Sに接続されたエンハンスメントMOSFET4
2,43がOFFとなるように、専用パッドに所定の電
力を供給し、ゲート42G,43GにOFF信号を入力
する。エンハンスメントMOSFET40、41のみを
ONすることで並列接続された第1及び第2の調整用N
chデプリションMOSFET32、33のみが導通状
態となり設定基準電圧値である1.5Vを得ることがで
きる。
【0047】この際、上述したように、測定パッド50
に測定装置のプローブを接触させ、定電流源デプリショ
ンMOSFET31及び、各調整用デプリションMOS
FET32,33..に設定過電流値と同じ電流を流
し、測定パッド50で基準電圧を測定しながら、基準電
圧発生回路30で形成された基準電圧を初期設定値に調
整することができる。
【0048】即ち、複数の各調整用Nchデプリション
MOSFET32,33,...を定電流源Nchデプ
リションMOSFET31の出力に接続し、且つ、各調
整用デプリションMOSFET32,33...のチャ
ネル長は、基準パターンとなる第1の調整用デプリショ
ンMOSFET32のチャネル(n)を基準とし、第2、
第3..の調整用デプリションMOSFET33,3
4..の各チャネル(n1)(n2)..をチャネル(n)と
略同一パターンで倍々となるように形成することによ
り、定電流源NchデプリションMOSFET31のチ
ャネル拡散層のバラツキによりIDSがバラツキ、基準電
圧Vrefが設定値よりばらついたとしても、測定パッド
50を用いてチャネル長の異なる各調整用デプリション
MOSFET32,33,...を選択し全体のチャネ
ル長を調整しながらバラツキの生じた基準電圧を初期設
定値に補正することができる。
【0049】また、各調整用NchデプレションMOS
FET32,33...のチャネル(n)(n1)(n
2)...は、基準パターンとなるチャネル(n)を基準に
して略同一パターンの倍々で形成され、且つ、各調整用
デプリションMOSFETのドレイン32D,33
D...及びエンハンスメントMOSFETのソース4
0S,41S...を共通接続するアルミ配線A,Bを一
定間隔で配置することで、調整用デプリションMOSF
ET32,33...の諸特性バラツキが各MOSFE
T32,33...で均一化され、調整後の基準電圧の
バラツキを最小限に抑制することができる。
【0050】本実施形態では、第1〜第4の調整用Nc
hデプリションMOSFET32,33,...を用い
ているために15段階の調整が可能である。上述したよ
うに、本発明によれば、調整用NchデプリションMO
SFET32,33...が配置される。基準電圧調整
前は、各調整用NchデプリションMOSFET32,
33...は全て並列接続された状態であり、バラツキ
の大きさに応じて、各調整用NchデプリションMOS
FET32,33...必要に応じて選択して、そのチ
ャネル長を可変調整し、基準電圧発生回路で形成される
基準電圧を設計値に近似させることができる。
【0051】さらに、各調整用デプリションMOSFE
T32,33...各チャネルは、第1のデプリション
MOSFET32のチャネル(n)を基準にして、その基
準パターンを基礎にして倍々に形成されるために、各調
整用デプリションMOSFETのチャネル領域における
特性バラツキを均一化することができ基準電圧調整を精
度良くすることが可能となる。
【0052】即ち、本発明では、基準電圧発生回路で形
成される基準電圧は、設計基準電圧値とすることができ
るため、過電流保護回路で検出する過電流を的確に検出
することができる。例えば、過電流検出を1〜2.5A
に設定することが可能となる。本来、制御回路機能付パ
ワーMOSFETの過電流破壊は、5〜10A以上に
証されているが、この制御回路付パワーMOSFETと
電気的接続される他の周辺回路素子に上記過電流が流れ
た場合には、セットによっては、パワーMOSFETは
破壊せずに周辺回路素子が破壊される恐れがある。しか
し、制御回路機能付パワーMOSFETの過電流検出値
を1〜2.5Aに設定すれば、過電流による周辺回路素
子の破壊を防止することができる。
【0053】従って、小さい上記過電流検出値で確実に
検出するためには、基準電圧のバラツキが大きく影響す
るが、本発明では、上述したように、基準電圧にバラツ
キを生じたときでも、設計基準電圧値に補正することが
でき、過電流による周辺回路素子の破壊を防止すること
ができる。
【0054】
【発明の効果】上述したように、本発明の半導体装置に
よれば、基準電圧発生回路を構成する定電流源のデプリ
ション型MOSFETに複数のデプリションMOSFE
Tを並列接続し、その調整用デプリションMOSFET
の基準パターンとなる調整用デプリションMOSFET
のチャネル(n)は、少なくとも2つの湾曲部を有し、且
つドレインとソースとが相対向するように配置され、他
の前記調整用デプリションMOSFETのチャネル(n
1)(n2)...は、前記基準パターンとなる前記ゲート
電極(n)をベースに、それぞれ略倍々となるように形成
することにより、高温熱処理工程で定電流源であるデプ
リションMOSFETの特性にバラツキが生じ、そのバ
ラツキにより基準電圧Vrefが許容範囲以上にバラツキが
生じた時であっても、並列接続された複数の上記基準電
圧調整用デプリションMOSFETに接続されたMOS
FETを選択的にON/OFFさせて調整用デプリショ
ンMOSFETのチャネル長、即ち、抵抗値を調整する
ことで許容範囲以上にバラツキを生じた基準電圧Vrefを
許容範囲内に調整することができる。従って、製造工程
により特性バラツキが生じ不良品扱いとなったものでも
良品として調整することが可能となり歩留まりを著しく
向上することができる。
【0055】また、本発明によれば、各調整用デプリシ
ョンMOSFETの各チャネルは、基準パターンとなる
チャネル(n)を基準とし、倍々で形成されることによ
り、各調整用デプリションMOSFETのチャネル特性
のバラツキを均一化することができる。従って、調整さ
れる基準電圧が高精度で要請することが可能となり、過
電流保護機能の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置の断面図。
【図2】本発明の過電流保護回路。
【図3】本発明の基準電圧発生回路のパターン図。
【図4】従来の半導体装置の断面図。
【図5】従来の過電流保護回路。
【図6】従来の定電流源NchデプレションMOSFE
Tの特性図。
【図7】基準電圧のバラツキを示す特性図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 27/088 (56)参考文献 特開 平4−132266(JP,A) 特開 平1−122169(JP,A) 特開 平7−231090(JP,A) 特開 平8−204175(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/78 H01L 21/336

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一半導体基板上に多数のパワーMOS
    FETからなるパワー部と、前記パワー部を制御する制
    御回路からなる制御部とが形成され、前記制御回路は、
    少なくとも所定の基準電圧を発生させる基準電圧発生回
    路と、前記パワーMOSFETに流れる過電流を検出す
    る検出手段と、前記基準電圧と前記検出手段によって発
    生した所定の検出電圧とを比較し前記パワーMOSFE
    Tを制御するための出力信号を供給する比較部とが形成
    された半導体装置であって、前記基準電圧発生回路はデ
    プリション型MOSからなる定電流源に、並列接続され
    複数の基準電圧調整用デプリション型MOSFET
    続され 記調整用デプリションMOSFETの基準
    パターンとなる調整用デプリションMOSFETのチャ
    ネル(n)は、少なくとも2つの湾曲部を有し、他の前記
    調整用デプリションMOSFETのチャネル(n1)(n
    2)...は、前記基準パターンとなる前記チャネル(n)
    を基準に、それぞれ略同一パターンの倍々で形成したこ
    とを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記各調整用デプリションMOSFET
    のドレインとソースは、相対向するように配置されるこ
    とを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記パワー部に形成される前記多数のパ
    ワーMOSFETは、チャネル不純物領域と、前記チャ
    ネル不純物領域内に形成され、前記チャネル不純物領域
    よりも高濃度で前記チャネル不純物領域の底面と略同一
    面まで拡散された高濃度不純物領域とが形成されること
    を特徴とする請求項1記載の半導体装置。
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