JP3440778B2 - 電解式脱リン装置 - Google Patents
電解式脱リン装置Info
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、排水の浄化槽など
に用いられる電解式脱リン装置に関するものである。
に用いられる電解式脱リン装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】環境問題の一つに家庭用排水があり、中
でも家庭用排水に含まれる窒素やリンは河川や湖の富栄
養化の原因になっている。下水処理設備を有する地域で
は、主に生物学的方法によってこれらの成分を除去して
いるが、下水処理設備のない地域においては各家庭でこ
れらの成分を除去する必要がある。
でも家庭用排水に含まれる窒素やリンは河川や湖の富栄
養化の原因になっている。下水処理設備を有する地域で
は、主に生物学的方法によってこれらの成分を除去して
いるが、下水処理設備のない地域においては各家庭でこ
れらの成分を除去する必要がある。
【０００３】そこで近年、各家庭単位でこれらの窒素や
リンを浄化することができる技術の開発が行なわれてお
り、リンに関しては、排水中のリン成分を電気分解法で
除去する方法（特開昭６０−４４０９０号公報等参照）
が提供されている。この電気分解法は、リン酸イオンと
結合して水に難溶性の金属リン酸塩を生成させる金属か
らなる電極を陽極として、リン成分を含有する排水に陽
極と陰極を浸漬し、陽極と陰極の間に通電して電気分解
を行なうようにした方法であり、陽極から上記の金属が
イオン化して溶出し、排水中のリン酸イオンと結合して
水に難溶性の金属リン酸塩となって析出するので、これ
を沈澱させたり、濾過したりすることによって、リン成
分を除去することができるものである。
リンを浄化することができる技術の開発が行なわれてお
り、リンに関しては、排水中のリン成分を電気分解法で
除去する方法（特開昭６０−４４０９０号公報等参照）
が提供されている。この電気分解法は、リン酸イオンと
結合して水に難溶性の金属リン酸塩を生成させる金属か
らなる電極を陽極として、リン成分を含有する排水に陽
極と陰極を浸漬し、陽極と陰極の間に通電して電気分解
を行なうようにした方法であり、陽極から上記の金属が
イオン化して溶出し、排水中のリン酸イオンと結合して
水に難溶性の金属リン酸塩となって析出するので、これ
を沈澱させたり、濾過したりすることによって、リン成
分を除去することができるものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしこのように陽極
と陰極に通電して電気分解を行なうと、電気分解で生じ
る水酸化物イオンと陽極から溶出する金属イオンとが反
応して水に難溶の金属水酸化物が生成され、この金属水
酸化物は陰極側へ引き寄せられて陰極の表面に付着し、
電気絶縁性のこの金属水酸化物で陰極の表面が覆われ、
電圧が上昇して電解性能が低下し、やがて電解が行なわ
れなくなるという問題があった。すなわち家庭用の脱リ
ン装置では、維持管理がし易く、寿命が長いことなどが
必要とされ、電極の交換は少なくとも半年以上で且つそ
れまではメンテナンスフリーで安定した脱リン性能が得
られなければならないが、このような要求を満たすこと
ができないものであった。
と陰極に通電して電気分解を行なうと、電気分解で生じ
る水酸化物イオンと陽極から溶出する金属イオンとが反
応して水に難溶の金属水酸化物が生成され、この金属水
酸化物は陰極側へ引き寄せられて陰極の表面に付着し、
電気絶縁性のこの金属水酸化物で陰極の表面が覆われ、
電圧が上昇して電解性能が低下し、やがて電解が行なわ
れなくなるという問題があった。すなわち家庭用の脱リ
ン装置では、維持管理がし易く、寿命が長いことなどが
必要とされ、電極の交換は少なくとも半年以上で且つそ
れまではメンテナンスフリーで安定した脱リン性能が得
られなければならないが、このような要求を満たすこと
ができないものであった。
【０００５】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、長期に亘って安定した脱リン性能で排水中のリン
成分を除去することができる電解式脱リン装置を提供す
ることを目的とするものである。
あり、長期に亘って安定した脱リン性能で排水中のリン
成分を除去することができる電解式脱リン装置を提供す
ることを目的とするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電解式脱リ
ン装置は、リン成分を含有する水に陽極１と陰極２を浸
漬し、陽極１と陰極２の間に通電して電気分解すること
によってリン成分を水に難溶化して析出させるようにし
た電解式脱リン装置において、陽極１と陰極２を略平行
に対向させて配置すると共に略平行な軸を中心にして陽
極１と陰極２のうち少なくとも陰極２を自転させて成る
ことを特徴とするものである。
ン装置は、リン成分を含有する水に陽極１と陰極２を浸
漬し、陽極１と陰極２の間に通電して電気分解すること
によってリン成分を水に難溶化して析出させるようにし
た電解式脱リン装置において、陽極１と陰極２を略平行
に対向させて配置すると共に略平行な軸を中心にして陽
極１と陰極２のうち少なくとも陰極２を自転させて成る
ことを特徴とするものである。
【０００７】また請求項２の発明は、複数の陽極１と複
数の陰極２を対向配置して設けて成ることを特徴とする
ものである。また請求項３の発明は、陽極１と陰極２を
それぞれ柱状に形成し、所定時間毎に陽極１と陰極２の
うち少なくとも陰極２を自転させて成ることを特徴とす
るものである。
数の陰極２を対向配置して設けて成ることを特徴とする
ものである。また請求項３の発明は、陽極１と陰極２を
それぞれ柱状に形成し、所定時間毎に陽極１と陰極２の
うち少なくとも陰極２を自転させて成ることを特徴とす
るものである。
【０００８】また請求項４の発明は、陽極１と陰極２は
鉄あるいはアルミニウムで形成されて成ることを特徴と
するものである。
鉄あるいはアルミニウムで形成されて成ることを特徴と
するものである。
【０００９】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。電解槽５は活性汚泥で満たしてあり、排水６が給
水管７から給水されるようにしてある。また電解槽５で
電解処理された排水６は排水管８から排水されるように
してある。排水管８には限外濾過膜や中空糸膜などの多
孔質膜で形成されるフィルター９が設けてあり、電解処
理された排水６はフィルター９を通して排水管８から排
出されるものである。そしてこの電解槽５には排水６に
浸漬して陽極１と陰極２が設けてあり、陽極１と陰極２
に直流電源１１が接続してある。この陽極１や陰極２の
材質は、鉄あるいはアルミニウムが好ましく、特に陽極
１はリン酸イオンと結合して水に難溶性の金属リン酸塩
を生成させる金属からなるものであることが必要であ
り、鉄あるいはアルミニウムであることが望ましい。
する。電解槽５は活性汚泥で満たしてあり、排水６が給
水管７から給水されるようにしてある。また電解槽５で
電解処理された排水６は排水管８から排水されるように
してある。排水管８には限外濾過膜や中空糸膜などの多
孔質膜で形成されるフィルター９が設けてあり、電解処
理された排水６はフィルター９を通して排水管８から排
出されるものである。そしてこの電解槽５には排水６に
浸漬して陽極１と陰極２が設けてあり、陽極１と陰極２
に直流電源１１が接続してある。この陽極１や陰極２の
材質は、鉄あるいはアルミニウムが好ましく、特に陽極
１はリン酸イオンと結合して水に難溶性の金属リン酸塩
を生成させる金属からなるものであることが必要であ
り、鉄あるいはアルミニウムであることが望ましい。
【００１０】図１は電解式脱リン装置の構造の一例を示
すものである。陽極１や陰極２は正四角柱や円柱など柱
状の金属で形成してあり、その上端と下端の中央に金属
の軸１２，１３が突設してある。電解槽５は電気絶縁性
材料で形成してあり、その底面に一対の軸受け１４，１
４が設けてある。この軸受け１４，１４の直上位置にお
いて電解槽５の上方には一対の導電性の通電軸受け１
５，１５が配置して設けてある。陽極１や陰極２はその
下端の軸１３をそれぞれ軸受け１４に枢支させると共に
上端の軸１２を通電軸受け１５に枢支することによっ
て、電解槽５に取り付けるようにしてある。この通電軸
受け１５に直流電源１１が接続してあり、通電軸受け１
５及び軸１２を介して陽極１や陰極２に通電することが
できるようにしてある。また陽極１や陰極２の上端の軸
１２にはそれぞれ樹脂製など電気絶縁性の歯車１６が取
着してあり、電解槽５の上方に配置して設けたモータ１
７の原動歯車１８が各歯車１６に噛合してある。このよ
うに陽極１と陰極２は平行に配置されるものであり、ま
た相互に平行な軸によって回転自在になっている。そし
てモータ１７を作動させることによって、陽極１や陰極
２を水平方向に自転駆動させることができるようになっ
ている。
すものである。陽極１や陰極２は正四角柱や円柱など柱
状の金属で形成してあり、その上端と下端の中央に金属
の軸１２，１３が突設してある。電解槽５は電気絶縁性
材料で形成してあり、その底面に一対の軸受け１４，１
４が設けてある。この軸受け１４，１４の直上位置にお
いて電解槽５の上方には一対の導電性の通電軸受け１
５，１５が配置して設けてある。陽極１や陰極２はその
下端の軸１３をそれぞれ軸受け１４に枢支させると共に
上端の軸１２を通電軸受け１５に枢支することによっ
て、電解槽５に取り付けるようにしてある。この通電軸
受け１５に直流電源１１が接続してあり、通電軸受け１
５及び軸１２を介して陽極１や陰極２に通電することが
できるようにしてある。また陽極１や陰極２の上端の軸
１２にはそれぞれ樹脂製など電気絶縁性の歯車１６が取
着してあり、電解槽５の上方に配置して設けたモータ１
７の原動歯車１８が各歯車１６に噛合してある。このよ
うに陽極１と陰極２は平行に配置されるものであり、ま
た相互に平行な軸によって回転自在になっている。そし
てモータ１７を作動させることによって、陽極１や陰極
２を水平方向に自転駆動させることができるようになっ
ている。
【００１１】上記のように形成される電解式脱リン装置
にあって、リン成分が含有される排水６が給水管７を通
して電解槽５に流入される。そして陽極１と陰極２の間
に直流電流が通電されると、電気分解によって陽極１を
形成する金属から排水６中に金属イオンが溶出され、こ
の金属イオンが排水６中のリン成分と反応する。リン成
分は一般にリン酸イオンとして排水６に溶解しているの
で、陽極１から溶出された金属イオンはリン酸イオンと
反応して水に難溶性（不溶性）の金属リン酸塩が生成さ
れる。例えば、陽極１が鉄で作製されている場合には、
陽極１から鉄イオンが溶出し、この鉄イオンがリン酸イ
オンと反応して水に難溶性のリン酸鉄が生成される。ま
た陽極１がアルミニウムで形成されている場合には、陽
極１からアルミニウムイオンが溶出し、このアルミニウ
ムイオンがリン酸イオンと反応して水に難溶性のリン酸
アルミニウムが生成される。
にあって、リン成分が含有される排水６が給水管７を通
して電解槽５に流入される。そして陽極１と陰極２の間
に直流電流が通電されると、電気分解によって陽極１を
形成する金属から排水６中に金属イオンが溶出され、こ
の金属イオンが排水６中のリン成分と反応する。リン成
分は一般にリン酸イオンとして排水６に溶解しているの
で、陽極１から溶出された金属イオンはリン酸イオンと
反応して水に難溶性（不溶性）の金属リン酸塩が生成さ
れる。例えば、陽極１が鉄で作製されている場合には、
陽極１から鉄イオンが溶出し、この鉄イオンがリン酸イ
オンと反応して水に難溶性のリン酸鉄が生成される。ま
た陽極１がアルミニウムで形成されている場合には、陽
極１からアルミニウムイオンが溶出し、このアルミニウ
ムイオンがリン酸イオンと反応して水に難溶性のリン酸
アルミニウムが生成される。
【００１２】このように電気分解を行なうことによっ
て、排水６中のリン成分は水に難溶性（不溶性）の金属
リン酸塩として析出するので、電解槽５から排水６を排
水管８を通して排水する際にフィルター９で除去するこ
とができ、リン成分を除去した状態で排水６を排水管８
から排水することができるものである。また、このよう
に電気分解を行なう際に、陰極２側では水酸化物イオン
が排水６中に生成される。この水酸化物イオンは陽極１
側に引き寄せられ、陽極１の付近の水酸化物イオン濃度
が高くなり、上記の陽極１から溶出した金属イオンがこ
の水酸化物イオンと反応して水に難溶性（不溶性）の金
属水酸化物が生成して排水６中に析出される。例えば、
陽極１が鉄で作製されている場合には、陽極１から鉄イ
オンが溶出し、この鉄イオンが水酸化物イオンと反応し
て水に難溶性の水酸化鉄が生成される。また陽極１がア
ルミニウムで形成されている場合には、陽極１からアル
ミニウムイオンが溶出し、このアルミニウムイオンが水
酸化物イオンと反応して水に難溶性の水酸化アルミニウ
ムが生成される。排水６中に析出されたこの金属水酸化
物は陰極２に引き付けられ、陰極２の表面に金属水酸化
物が付着する。そして電気分解が進行するにつれて、陰
極２の表面がこの電気絶縁性の金属水酸化物で覆われ、
陽極１と陰極２との間の電圧が上昇し、電気分解が進ま
なくなる。陽極１と陰極２との間の電界密度は相互に対
向する面の間で高いので、金属水酸化物の付着は陰極２
の陽極１と対向する面に主として生じる。
て、排水６中のリン成分は水に難溶性（不溶性）の金属
リン酸塩として析出するので、電解槽５から排水６を排
水管８を通して排水する際にフィルター９で除去するこ
とができ、リン成分を除去した状態で排水６を排水管８
から排水することができるものである。また、このよう
に電気分解を行なう際に、陰極２側では水酸化物イオン
が排水６中に生成される。この水酸化物イオンは陽極１
側に引き寄せられ、陽極１の付近の水酸化物イオン濃度
が高くなり、上記の陽極１から溶出した金属イオンがこ
の水酸化物イオンと反応して水に難溶性（不溶性）の金
属水酸化物が生成して排水６中に析出される。例えば、
陽極１が鉄で作製されている場合には、陽極１から鉄イ
オンが溶出し、この鉄イオンが水酸化物イオンと反応し
て水に難溶性の水酸化鉄が生成される。また陽極１がア
ルミニウムで形成されている場合には、陽極１からアル
ミニウムイオンが溶出し、このアルミニウムイオンが水
酸化物イオンと反応して水に難溶性の水酸化アルミニウ
ムが生成される。排水６中に析出されたこの金属水酸化
物は陰極２に引き付けられ、陰極２の表面に金属水酸化
物が付着する。そして電気分解が進行するにつれて、陰
極２の表面がこの電気絶縁性の金属水酸化物で覆われ、
陽極１と陰極２との間の電圧が上昇し、電気分解が進ま
なくなる。陽極１と陰極２との間の電界密度は相互に対
向する面の間で高いので、金属水酸化物の付着は陰極２
の陽極１と対向する面に主として生じる。
【００１３】そこで本発明では、陰極２の陽極１と対向
する面に金属水酸化物が付着されると、モータ１７を作
動させて陽極１や陰極２を自転させることによって、陰
極２の金属水酸化物が付着されていない面を陽極１に対
向させるようにし、陽極１と陰極２との間の電圧が上昇
することを防いで、電気分解を良好に継続させるように
したものであり、長期に亘って安定した脱リン性能で排
水６中のリン成分を除去することができるものである。
する面に金属水酸化物が付着されると、モータ１７を作
動させて陽極１や陰極２を自転させることによって、陰
極２の金属水酸化物が付着されていない面を陽極１に対
向させるようにし、陽極１と陰極２との間の電圧が上昇
することを防いで、電気分解を良好に継続させるように
したものであり、長期に亘って安定した脱リン性能で排
水６中のリン成分を除去することができるものである。
【００１４】陽極１や陰極２が正四角柱形状や円柱状に
形成されている場合、陽極１や陰極２を水平方向に９０
°の角度で自転させることによって、陰極２の金属水酸
化物が付着されていない新しい面を陽極１に対向させる
ことができる。例えば、１ヵ月に一度、陽極１や陰極２
を水平方向に９０°の角度で自転させるようにして、１
ヵ月毎に陰極２の金属水酸化物が付着されていない新し
い面を陽極１に対向させるようにすることができる。こ
のように所定時間毎に陽極１や陰極２を自転させるよう
にする他に、電気分解を行なっている間、陽極１や陰極
２を常時自転させるようにしてもよい。尚、金属水酸化
物が付着するのは陰極２であるので、陰極２を自転させ
るようにすれば十分であり、陽極１は必ずしも自転させ
る必要はない。しかし、陽極１にもその陰極２に対向す
る面に電解槽５内の活性汚泥が付着することがあるの
で、陽極１も自転させるのが好ましい。また電気分解の
際に陽極１の陰極２に対向する表面から金属イオンが溶
出するので、陽極１の陰極２に対向する面は電気分解の
進行に伴って消費されて後退し、陽極１と陰極２との対
向面の間隔が長くなって電解効率が低下することになる
が、陽極１を自転させることによって陽極１の表面の後
退量を小さくすることができるものであり、この点から
も陽極１を自転させるのが好ましい。
形成されている場合、陽極１や陰極２を水平方向に９０
°の角度で自転させることによって、陰極２の金属水酸
化物が付着されていない新しい面を陽極１に対向させる
ことができる。例えば、１ヵ月に一度、陽極１や陰極２
を水平方向に９０°の角度で自転させるようにして、１
ヵ月毎に陰極２の金属水酸化物が付着されていない新し
い面を陽極１に対向させるようにすることができる。こ
のように所定時間毎に陽極１や陰極２を自転させるよう
にする他に、電気分解を行なっている間、陽極１や陰極
２を常時自転させるようにしてもよい。尚、金属水酸化
物が付着するのは陰極２であるので、陰極２を自転させ
るようにすれば十分であり、陽極１は必ずしも自転させ
る必要はない。しかし、陽極１にもその陰極２に対向す
る面に電解槽５内の活性汚泥が付着することがあるの
で、陽極１も自転させるのが好ましい。また電気分解の
際に陽極１の陰極２に対向する表面から金属イオンが溶
出するので、陽極１の陰極２に対向する面は電気分解の
進行に伴って消費されて後退し、陽極１と陰極２との対
向面の間隔が長くなって電解効率が低下することになる
が、陽極１を自転させることによって陽極１の表面の後
退量を小さくすることができるものであり、この点から
も陽極１を自転させるのが好ましい。
【００１５】ここで、陽極１と陰極２は電解槽５に図２
に示すように複数対を設けるのが好ましい。複数の陽極
１と陰極２はそれぞれ直流電源１１に直列に接続される
ものである。このように複数対の陽極１と陰極２を設け
ることによって、陽極１や陰極２の電解有効面積が大き
くなり、単位面積当たりでの陰極２への金属水酸化物の
付着が少なくなって、陰極２の寿命を長くすることがで
きるものである。
に示すように複数対を設けるのが好ましい。複数の陽極
１と陰極２はそれぞれ直流電源１１に直列に接続される
ものである。このように複数対の陽極１と陰極２を設け
ることによって、陽極１や陰極２の電解有効面積が大き
くなり、単位面積当たりでの陰極２への金属水酸化物の
付着が少なくなって、陰極２の寿命を長くすることがで
きるものである。
【００１６】また、上記のように陽極１や陰極２を鉄あ
るいはアルミニウムで形成する場合、電気分解の際に陽
極１から鉄イオンやアルミニウムイオンが溶出し、これ
らは水酸化物イオンと容易に反応して水に不溶性の水酸
化鉄や水酸化アルミニウムとなり、これらの水酸化鉄や
水酸化アルミニウムが陰極２が表面に析出して付着する
と電気分解が阻害されるが、陽極１や陰極２を自転させ
ることによって、陰極２の水酸化鉄や水酸化アルミニウ
ムが析出していない面を陽極１に対向させて電気分解を
行なうことができるので、陽極１や陰極２を鉄あるいは
アルミニウムで形成するようにしても、長期に亘って安
定した脱リン性能でリンを除去することができ、装置の
寿命を延ばすことができるものである。
るいはアルミニウムで形成する場合、電気分解の際に陽
極１から鉄イオンやアルミニウムイオンが溶出し、これ
らは水酸化物イオンと容易に反応して水に不溶性の水酸
化鉄や水酸化アルミニウムとなり、これらの水酸化鉄や
水酸化アルミニウムが陰極２が表面に析出して付着する
と電気分解が阻害されるが、陽極１や陰極２を自転させ
ることによって、陰極２の水酸化鉄や水酸化アルミニウ
ムが析出していない面を陽極１に対向させて電気分解を
行なうことができるので、陽極１や陰極２を鉄あるいは
アルミニウムで形成するようにしても、長期に亘って安
定した脱リン性能でリンを除去することができ、装置の
寿命を延ばすことができるものである。
【００１７】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
る。 （実施例） １ｃｍ角で長さ２２ｃｍの正四角柱形状のアルミニウム
棒で作製した陽極１と陰極２を６本ずつ図１や図２に示
すように電解槽５に設け、この電解槽５に食堂の排水を
処理する浄化槽の活性汚泥槽から活性汚泥を約２０リッ
トル採取した。また排水管８に孔径０．４ミクロンの微
細孔を有する中空糸膜から形成したフィルター９を設け
た。そして、この電解槽５に総リン濃度が３〜５ｐｐｍ
になるようにリン酸を添加した食堂排水を注入量が１３
リットル／日になるように間欠的に注ぎ込み、陽極１と
陰極２の間に１Ａの直流電流を通電して一日一回、４８
分間、電気分解を行なった。このとき、陽極１と陰極２
は１ヵ月に一度、９０°の角度で水平方向に自転させる
ようにした。
る。 （実施例） １ｃｍ角で長さ２２ｃｍの正四角柱形状のアルミニウム
棒で作製した陽極１と陰極２を６本ずつ図１や図２に示
すように電解槽５に設け、この電解槽５に食堂の排水を
処理する浄化槽の活性汚泥槽から活性汚泥を約２０リッ
トル採取した。また排水管８に孔径０．４ミクロンの微
細孔を有する中空糸膜から形成したフィルター９を設け
た。そして、この電解槽５に総リン濃度が３〜５ｐｐｍ
になるようにリン酸を添加した食堂排水を注入量が１３
リットル／日になるように間欠的に注ぎ込み、陽極１と
陰極２の間に１Ａの直流電流を通電して一日一回、４８
分間、電気分解を行なった。このとき、陽極１と陰極２
は１ヵ月に一度、９０°の角度で水平方向に自転させる
ようにした。
【００１８】（比較例）
陽極１と陰極２を固定して自転させないようにした他
は、実施例と同様にして電気分解を行なった。上記の実
施例と比較例において、電気分解を行なう前と、電気分
解を行なった後１時間後の、フィルター９を通して排水
管８から排水された水の総リン濃度をＩＣＰ発光分析で
それぞれ測定し、電気分解前と後の総リン濃度の差から
リン除去率を求めた。そしてこの測定を１ヵ月毎に４ヵ
月間行ない、結果を表１に示した。
は、実施例と同様にして電気分解を行なった。上記の実
施例と比較例において、電気分解を行なう前と、電気分
解を行なった後１時間後の、フィルター９を通して排水
管８から排水された水の総リン濃度をＩＣＰ発光分析で
それぞれ測定し、電気分解前と後の総リン濃度の差から
リン除去率を求めた。そしてこの測定を１ヵ月毎に４ヵ
月間行ない、結果を表１に示した。
【００１９】
【表１】
【００２０】陽極１と陰極２を自転させない比較例のも
のでは、２ヵ月目には陰極２の陽極電極１側に対向する
表面が水酸化アルミニウムで覆われ、電気分解が殆ど行
なえなくなり、表１にみられるように脱リン効果も殆ど
認められなくなったが、陽極１と陰極２を自転させるよ
うにした実施例のものでは、表１にみられるように４ヵ
月経過後も８０％以上の脱リン効果が認められ、長期に
亘って安定した脱リン性能を示すものであった。
のでは、２ヵ月目には陰極２の陽極電極１側に対向する
表面が水酸化アルミニウムで覆われ、電気分解が殆ど行
なえなくなり、表１にみられるように脱リン効果も殆ど
認められなくなったが、陽極１と陰極２を自転させるよ
うにした実施例のものでは、表１にみられるように４ヵ
月経過後も８０％以上の脱リン効果が認められ、長期に
亘って安定した脱リン性能を示すものであった。
【００２１】
【発明の効果】上記のように本発明は、リン成分を含有
する水に陽極と陰極を浸漬し、陽極と陰極の間に通電し
て電気分解することによってリン成分を水に難溶化して
析出させるようにした電解式脱リン装置において、陽極
と陰極を略平行に対向させて配置すると共に略平行な軸
を中心にして陽極と陰極のうち少なくとも陰極を自転さ
せるようにしたので、陰極の陽極に対向する表面に金属
水酸化物が付着しても、陰極を自転させることによって
金属水酸化物が付着していない面を陽極に対向させるこ
とができ、電気分解を良好に継続させて長期に亘って安
定した脱リン性能で排水中のリン成分を除去することが
できるものである。
する水に陽極と陰極を浸漬し、陽極と陰極の間に通電し
て電気分解することによってリン成分を水に難溶化して
析出させるようにした電解式脱リン装置において、陽極
と陰極を略平行に対向させて配置すると共に略平行な軸
を中心にして陽極と陰極のうち少なくとも陰極を自転さ
せるようにしたので、陰極の陽極に対向する表面に金属
水酸化物が付着しても、陰極を自転させることによって
金属水酸化物が付着していない面を陽極に対向させるこ
とができ、電気分解を良好に継続させて長期に亘って安
定した脱リン性能で排水中のリン成分を除去することが
できるものである。
【００２２】また請求項２の発明は、複数の陽極と複数
の陰極を対向配置して設けるようにしたので、陽極や陰
極の電解有効面積が大きくなり、単位面積当たりでの陰
極への金属水酸化物の付着が少なくなって、陰極の寿命
を長くすることができるものである。また請求項３の発
明は、陽極と陰極をそれぞれ柱状に形成し、所定時間毎
に陽極と陰極のうち少なくとも陰極を自転させるように
したので、所定時間が経過して陰極の陽極に対向する表
面に金属水酸化物が付着してくると、陰極を自転させて
金属水酸化物が付着していない面を陽極に対向させるこ
とができ、電気分解を良好に継続させて長期に亘って安
定した脱リン性能で排水中のリン成分を除去することが
できるものである。
の陰極を対向配置して設けるようにしたので、陽極や陰
極の電解有効面積が大きくなり、単位面積当たりでの陰
極への金属水酸化物の付着が少なくなって、陰極の寿命
を長くすることができるものである。また請求項３の発
明は、陽極と陰極をそれぞれ柱状に形成し、所定時間毎
に陽極と陰極のうち少なくとも陰極を自転させるように
したので、所定時間が経過して陰極の陽極に対向する表
面に金属水酸化物が付着してくると、陰極を自転させて
金属水酸化物が付着していない面を陽極に対向させるこ
とができ、電気分解を良好に継続させて長期に亘って安
定した脱リン性能で排水中のリン成分を除去することが
できるものである。
【図１】本発明の実施の形態の一例の正面断面図であ
る。
る。
【図２】同上の平面図である。
１ 陽極
２ 陰極
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭52−109757（ＪＰ，Ａ)
特開 平７−284792（ＪＰ，Ａ)
特公 昭51−14823（ＪＰ，Ｂ１)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
C02F 1/461
C02F 1/463
C02F 1/58
Claims (4)
- 【請求項１】 リン成分を含有する水に陽極と陰極を浸
漬し、陽極と陰極の間に通電して電気分解することによ
ってリン成分を水に難溶化して析出させるようにした電
解式脱リン装置において、陽極と陰極を略平行に対向さ
せて配置すると共に略平行な軸を中心にして陽極と陰極
のうち少なくとも陰極を自転させて成ることを特徴とす
る電解式脱リン装置。 - 【請求項２】 複数の陽極と複数の陰極を対向配置して
設けて成ることを特徴とする請求項１に記載の電解式脱
リン装置。 - 【請求項３】 陽極と陰極をそれぞれ柱状に形成し、所
定時間毎に陽極と陰極のうち少なくとも陰極を自転させ
て成ることを特徴とする請求項１又は２に記載の電解式
脱リン装置。 - 【請求項４】 陽極と陰極は鉄あるいはアルミニウムで
形成されて成ることを特徴とする請求項１乃至３のいず
れかに記載の電解式脱リン装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28055997A JP3440778B2 (ja) | 1997-10-14 | 1997-10-14 | 電解式脱リン装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28055997A JP3440778B2 (ja) | 1997-10-14 | 1997-10-14 | 電解式脱リン装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11114574A JPH11114574A (ja) | 1999-04-27 |
| JP3440778B2 true JP3440778B2 (ja) | 2003-08-25 |
Family
ID=17626732
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP28055997A Expired - Fee Related JP3440778B2 (ja) | 1997-10-14 | 1997-10-14 | 電解式脱リン装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3440778B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP3536092B2 (ja) * | 2001-06-11 | 2004-06-07 | 群馬大学長 | 電場を用いた被処理水からのリンの除去方法 |
| KR101219792B1 (ko) | 2010-05-25 | 2013-01-10 | 비앤이테크(주) | 회전 전극을 이용한 총인 제거용 전기분해장치 |
| CN109809534A (zh) * | 2019-04-04 | 2019-05-28 | 杭州海拓环境工程有限公司 | 一种新型电芬顿反应器 |
| CN118324256A (zh) * | 2023-05-10 | 2024-07-12 | 南通成亮再生资源有限公司 | 用于污水处理的高效电解装置 |
-
1997
- 1997-10-14 JP JP28055997A patent/JP3440778B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH11114574A (ja) | 1999-04-27 |
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|---|---|---|---|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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