JP3439975B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電気通信分
野における携帯電話やセルラ電話等の移動体用通信機器
に高周波素子として好適に使用されるフリップチップ実
装型の弾性表面波フィルタ等の弾性表面波装置に関す
る。 【0002】 【従来の技術】従来のフリップチップ実装法を用いた弾
性表面波フィルタの構造例を図7〜9に断面図にて示
す。 【0003】図7に示す弾性表面波フィルタJ1は、圧
電基板1a上に櫛歯状電極や反射器電極等から成る駆動
電極1bを形成した弾性表面波素子(チップ)1をフリ
ップチップ実装によりパッケージ5内に設けたものであ
る。 【0004】ここで、パッケージ5は基体5a、チップ
1の周縁外周部を載置する環状の積層部材5b、これよ
り広い空間を形成する環状の積層部材5c、及びこの上
部に接合部材10を介して設けられる蓋体4等から構成
され、パッケージ5の外側に電極が形成されている。 【0005】また、チップ1の下面に形成された信号用
電極2は、このようなパッケージ5内に形成された信号
用電極7及びフリップチップ接合用電極9にバンプ3を
介して接続されている。なお、図中6はバンプ接合用導
電性接着材である。 【0006】図8に示す弾性表面波フィルタJ2は、図
7の弾性表面波フィルタJ1における積層部材5c,接
合部材10の代わりに、溶接用金属環状体5eでもって
金属製の蓋体4を接合したものであり、さらに、積層部
材5bのパッケージ5内における占有面積を小さくして
チップ1の周縁部外周を載置させないようにしたもので
ある。 【0007】図9に示す弾性表面波フィルタJ3は、図
7の弾性表面波フィルタJ1における積層部材5c,接
合部材10の代わりに、溶接用金属環状体5eでもって
蓋体4を接合したものである。 【0008】このように、従来のフリップチップ実装型
の弾性表面波フィルタは、チップに形成された入出力パ
ッド部に、ワイヤーボンドを施してパッケージとの電気
的接続を取る代りに、入出力パッド部にAuまたはCu
等の金属製のバンプを形成し、バンプを導電性接着剤も
しくははんだ等とすることによりチップをパッケージ内
に接続する構造を有している。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
でのフリップチップ実装の主な課題は、チップの下面側
に構成した弾性表面波素子の金属膜電極を半田もしくは
導電性接着剤等で汚染・短絡させないことであり、パッ
ケージ内の気密構造や外来雑音の防止構造についてはほ
とんど考慮されることがなく、また適正になされてこな
かった。しかも、従来のフリップチップ実装は、専ら低
面積化手段としてが用いられてきたにすぎず、パッケー
ジの低背化や装置全体の低コスト化を向上させるもので
もなかった。 【0010】なお、外来雑音(特に外来の電磁波)の遮
蔽を必要としない弾性表面波装置において、低背構造を
目的として樹脂による埋め込み構造を持たせた装置が提
案されているものの、樹脂を気密構造材とした場合に耐
湿性に問題があった。なおまた、疎水性樹脂を使用した
充填構造も提案されているが、このような樹脂構造だけ
では耐湿性は不十分であった。 【0011】そこで、本発明では外来の電磁波を極力遮
蔽することができ、従来のように金属製カバーを不要と
し、低背化及び低コスト化が可能でしかも従来よりさら
に耐湿性を向上させ信頼性の非常に優れた弾性表面波装
置を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の弾性表面波装置は、圧電基板の下面に弾性
表面波を発生させる励振電極を設けて成る弾性表面波素
子をパッケージ内に収容した弾性表面波装置であって、
前記圧電基板の上面側に所定周波数以下の電磁波を遮断
する導電性樹脂層を形成するとともに、該導電性樹脂層
を前記パッケージに形成した接地用導体パターンに接続
させ、かつ前記圧電基板と前記導電性樹脂層との間、及
び前記導電性樹脂層の上面側に、疎水性樹脂層を配した
ことを特徴とする。これにより耐湿性を向上させるとと
もに低背化を向上させることができる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る弾性表面波
装置の一実施形態について図面に基づいて詳細に説明す
る。まず、図1及び図2に本発明に係る弾性表面波フィ
ルタの基本構造を断面図にて示す。 【0014】図1に示す弾性表面波フィルタS1は、ニ
オブ酸リチウム(LiNbO3 )、タンタル酸リチウム
(LiTaO3 )、四ホウ酸リチウム(Li24
7 )、または、La3 Ga5.5 Nb0.514等のランガ
サイト型単結晶などから成る圧電基板1aの下面に、櫛
歯状の励振電極やその両側に設けた反射器電極等から成
る駆動電極の複数を格子型やラダー型回路に接続した電
極パターン1bを設けた弾性表面波素子(チップ)1
を、フリップチップ実装によりパッケージ5内に収容し
たものである。 【0015】ここで、パッケージ5はガラスセラッミク
スまたはアルミナ(Al23 )等のセラミックスから
成る基体5a、これと同様な部材で構成されチップ1の
周縁外周部を載置する環状の積層部材5b、同様な部材
で積層部材5bより広い空間を形成する環状の積層部材
5cから構成され、このパッケージ5の内側及び外側に
接地用の導体パターン8が平面状またはキャスタレーシ
ョン状に形成されている。また、パッケージ5の内側、
すなわち、基体5aの上面の所定領域にも信号用電極7
及びフリップチップ接合用電極9が形成されている。 【0016】また、チップ1の下面には電極パターン1
bに接続された信号用電極2が形成され、この信号用電
極はパッケージ5側の信号用電極及びフリップチップ接
合用電極9にバンプ3を介して接続されている。 【0017】さらに、チップ1の裏面側(圧電基板1a
の上面側)には、圧電基板1aの上面及び側面を完全に
覆う導電性樹脂層11が滴下または射出による形成法に
より形成されている。この導電性樹脂層11は、厚さが
1mm以下程度で10Ω・cm以下の抵抗値を有するもので
あり、例えばエポキシ系、ウレタン系、シリコン系、又
はポリイミド系等の樹脂中に所定のアスペクト比及び分
布を成す導電性フィラーが分散されており、導電性樹脂
層11の厚みや導電性フィラーのアスペクト比等により
決定される所定周波数以下(所定波長以上:λ/3以
上、なお、λは弾性表面波の波長)の電磁波を遮断する
役割を果たす。ここで、導電性フィラーとしては、A
u、またはAg、またはAg−Pd合金、またはNi等
の例えばフレーク状フィラーを使用するとよい。このフ
レーク状フィラーの粒径を適宜設定することにより所定
周波数以下の電磁波を遮断させることが可能となる。 【0018】この弾性表面波フィルタS1によれば、導
電性樹脂層をパッケージの内外に形成した接地用導体パ
ターンに接続するようにしたので、チップ1の裏面より
飛び込んで来る所定周波数以下の電磁波を遮断すること
ができ、外来雑音の影響のない良好なフィルタ特性を有
する弾性表面波フィルタを提供することができる。 【0019】図2に示す弾性表面波フィルタS2は、図
1に示す弾性表面波フィルタS1とチップ1の保持構造
を変えたものであり、積層部材5bの空間形成領域を広
くとり、その空間内にチップ1を納めることにより、バ
ンプ形成精度が十分に取れない場合に有効な構成とする
ことができる。 【0020】図3に示す弾性表面波フィルタS3は、図
2に示す弾性表面波フィルタS2のチップ1の裏面側の
構成をさらに発展させたものであり、導電性樹脂層11
の上面を金属薄膜やウレタン系樹脂やシリコーン樹脂等
の疎水性樹脂層12を介在させることにより、耐湿性を
向上させたものである。この構成によれば、特に硬化後
にポーラスとなりやすい導電性樹脂層11の上面を疎水
性の層でオーバーコートすることにより、導電性樹脂層
11を通じて入ってくる水分を極力遮断することがで
き、信頼性の優れた弾性表面波フィルタを提供すること
ができる。 【0021】図4に示す弾性表面波フィルタS4は、図
1に示す弾性表面波フィルタS1の構成に図3に示す弾
性表面波フィルタS3のチップ1の裏面側の積層構造を
適用させたものであり、耐湿性については弾性表面波フ
ィルタS3と同様な作用効果を奏する。 【0022】図5に示す弾性表面波フィルタS5は、図
1に示す弾性表面波フィルタS1のチップ1の裏面側の
構成を発展させたものであり、圧電基板1aの上面及び
側面を完全に覆う疎水性樹脂層12を厚さ50〜100
μm 程度に設け、さらにこの疎水性樹脂層12上に外来
雑音を遮断する導電性樹脂層11を設け、この導電性樹
脂層11上に疎水性樹脂層12を厚さ150〜500μ
m 度に設けることにより、チップ1の裏面側に直接、導
電性樹脂層11を設けることを防止し、これによりチッ
プ1の主面への導電性樹脂の汚染をより効果的に防止で
きる。なお、チップ1の裏面側における応力緩和のため
には、疎水性樹脂層12にウレタン系の樹脂を使用する
とよい。 【0023】図6に示す弾性表面波フィルタS6は、図
5に示す弾性表面波フィルタS5のチップ1の裏面側を
改良したものであり、導電性樹脂層11と疎水性樹脂層
12との間にアルミニウム等の金属薄膜13を成膜する
ことにより、樹脂の透湿性による水分の浸入をさらに良
好に防止させることができる。 【0024】なお、本発明の弾性表面波装置は、上記構
成の弾性表面波フィルタに限定されるものではなく、弾
性表面波共振器等にも適用でき、また、圧電基板と導電
性樹脂層との間、及び導電性樹脂層の上面側に、疎水性
樹脂層を配していればよく、特に構成部材の種類及びチ
ップの裏面(上面)側の層構成について、本発明の要旨
を逸脱しない範囲で適宜変更実施が可能である。 【0025】 【実施例】図3に示す弾性表面波フィルタS3におい
て、基板として42°回転YカットX方向伝搬のリチウ
ムタンタレート(LiTaO3 )単結晶からなる圧電基
板上に、櫛歯状電極から成る励振電極及びその両側に設
けた反射器電極で構成された弾性表面波共振子の複数を
格子型回路に接続し、これら共振子の接続用共通電極及
びバンプ形成用共通電極を配してなるチップをガラスセ
ラミックスまたはAl23 のセラッミク製パッケージ
内にフリップチップボンディングで接続した。 【0026】ここで、チップは中心周波数が約900M
Hz帯であり、励振電極の電極指は60対、交差幅15
λ(λ:弾性表面波の波長)、電極の材質は蒸着によっ
て成膜したアルミニウムを用い、その厚みは410nm
とした。また、電極指幅及び電極指間距離はそれぞれ1
μm であった。また、バンプとしてAuを用いた。 【0027】なお、移動体通信端末機等に使用する目的
で、機械的強度に高い信頼性を求められる場合、前述の
アルミニウムの電極膜厚みをバンプ形成用の共通電極部
のみ約1μm 程度に厚く設計する場合もある。 【0028】なおまた、チップとパッケージとの間隔
は、使用する導電性樹脂の粘度によって許容範囲は異な
るが、フリップチップ実装時に使用するダイボンディン
グ装置の機械的位置精度が約300μm 程度である事を
考慮すると、使用する導電性樹脂の粘度は100cp以
上であれば問題が無いため、この実施例では厚さ0.2
mmのシリコーン樹脂を用いた。 【0029】また、導電性樹脂に分散させる導電性フィ
ラーはAuを用い、その平均粒径を約100μm 程度と
した。また、フィラー間の隙間は最大で100μm 程度
であると考えられ、樹脂の導電性が損なわれない限り、
フィラー間の距離から外来雑音の遮断周波数は、f=3
×108 /(1×10-4ラ3)=1000(GHz)
(電磁波の速度を3×108 m/秒、遮断周波数を1/
3波長とした)となり、1000GHz以下の周波数の
雑音を遮断することができ、十分に高周波まで遮断特性
を確保できた。 【0030】また、この導電性樹脂層上にアルミニウム
の金属薄膜を蒸着法により0.5μm 程度の厚みにオー
バーコートし、耐湿性を著しく向上させることができ
た。なお、この金属薄膜の厚みは最低0.1μm 程度あ
れば耐湿性を十分に向上させることができる。好適には
0.1〜0.8μm とする。 【0031】 【発明の効果】本発明の弾性表面波装置によれば、導電
性樹脂層をパッケージの内外に形成した接地用導体パタ
ーンに接続するようにしたので、チップの裏面より飛び
込んで来る所定波長以上の電磁波を遮断することがで
き、外来雑音の影響のない特性の良好な弾性表面波装置
を提供することができる。 【0032】また、圧電基板と導電性樹脂層の間、及び
導電性樹脂層の上面側に、疎水性樹脂層を設けたので、
特に硬化後にポーラスとなりやすい導電性樹脂層を通じ
て入ってくる水分を極力遮断することができ、耐湿性に
優れ信頼性の高い弾性表面波装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る弾性表面波装置の一実施形態を説
明する断面図である。 【図2】本発明に係る弾性表面波装置の他の実施形態を
説明する断面図である。 【図3】本発明に係る弾性表面波装置の他の実施形態を
説明する断面図である。 【図4】本発明に係る弾性表面波装置の他の実施形態を
説明する断面図である。 【図5】本発明に係る弾性表面波装置の他の実施形態を
説明する断面図である。 【図6】本発明に係る弾性表面波装置の他の実施形態を
説明する断面図である。 【図7】従来のフリップチップ実装が施された弾性表面
波装置の一例を説明する断面図である。 【図8】従来のフリップチップ実装が施された弾性表面
波装置の一例を説明する断面図である。 【図9】従来のフリップチップ実装が施された弾性表面
波装置の一例を説明する断面図である。 【符号の説明】 1:チップ(弾性表面波素子) 1a:圧電基板 1b:駆動電極 2:ボンディング用電極 3:バンプ 5:パッケージ 5a:基体 5b,5c:積層部材 6:バンプ接合用導電性接着剤 7:信号用電極 8:接地用電極(接地用導体パターン) 9:フリップチップ接合用電極 11:導電性樹脂層 12:疎水性樹脂層 13:金属薄膜 S1〜S6:弾性表面波装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/25

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 圧電基板の下面に弾性表面波を発生させ
    る励振電極を設けて成る弾性表面波素子をパッケージ内
    に収容した弾性表面波装置であって、前記圧電基板の上
    面側に所定周波数以下の電磁波を遮断する導電性樹脂層
    を形成するとともに、該導電性樹脂層を前記パッケージ
    に形成した接地用導体パターンに接続させ、かつ前記圧
    電基板と前記導電性樹脂層との間、及び前記導電性樹脂
    層の上面側に、疎水性樹脂層を配したことを特徴とする
    弾性表面波装置。
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