JP3437124B2 - 導電性高分子ゲルならびにそれを用いたゲルパッドおよび生体用電極 - Google Patents

導電性高分子ゲルならびにそれを用いたゲルパッドおよび生体用電極

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、局部的な生体電
気信号の測定および電気治療などに使用される生体用電
極に好適に利用できる導電性高分子ゲル、そのゲルを用
いたゲルパッド、そのゲルパッドを用いた生体用電極、
ならびにその生体用電極を生体に貼付して使用した後、
水洗してゲルの粘着力を回復させる方法に関するもので
ある。さらに詳しくは、この発明は、水洗しても粘着力
が低下しないばかりか、むしろ水洗することによって粘
着力が回復する導電性高分子ゲル、それを用いたケ゛ルハ゜ッ
ト゛および生体用電極、ならびにかかる生体用電極を生体
に貼付して使用したのち水洗してゲルの粘着力を回復さ
せる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】生体
用電極に用いられている導電性高分子ゲルは、一旦生体
表面に貼付して使用すると、皮膚表面の皮脂や角質がゲ
ル表面に付着して粘着力が低下するため、使い捨てにさ
れるのが普通であった。そこで、1回だけの使用で捨て
るのは不経済であるというので、繰り返し使用できる生
体用電極の開発を目指して検討が重ねられた。その結
果、生体構造と親和性のよい樹脂をポリマーマトリック
スに使用することにより、粘着力の低下をある程度抑制
できて、再使用可能な生体用電極が開発されたが(特開
平8−182659号公報参照)、それでも使用のたび
に粘着力が低下するのは否めず、なお満足できるもので
はなかった。
【0003】粘着性導電性高分子ゲルを用いた生体用電
極や治療器用パッドは、生体に貼付して使用されるのが
普通である。一度生体表面に貼付して使用すると、その
粘着力のために皮膚の皮脂や角質などの汚れがゲルの表
面に付着し、使用の都度ゲルの粘着力が徐々に低下して
再使用できる回数に限りがあった。このような場合、ゲ
ルの表面を水洗して汚れを取り除けば、粘着力が回復し
て再使用できるはずである。ところが、使用済みの生体
用電極のゲルを水洗いすると、ゲルが短時間に水を吸収
して膨潤してしまい、ゲル強度が著しく低下してゲル破
壊が生じ、粘着力がほとんど消失するのが現実であっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、繰
り返し水洗いしても粘着力の低下がきわめて少ない導電
性高分子ゲルの開発を目指して鋭意研究した結果、架橋
された合成高分子18〜30重量%、水12〜30重量
%、多価アルコール25〜65重量%および電解質塩1
〜13重量%を含むゲルであって、ゲル中に12〜30
%含まれる水がゲルの飽和吸水量の3〜50%に相当す
るものであれば、ゲルを20℃の水に10分間浸漬し、
23℃、相対湿度60%の雰囲気下に10分間放置した
ときの粘着力低下を浸漬前の粘着力の50%以下に抑制
でき、したがってそのようなゲルを生体表面に貼付して
使用したのち水洗すると粘着力を回復できて、再使用で
きることを見出し、この発明を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】この発明の導電性高分子ゲルは、
架橋された合成高分子18〜30重量%、水12〜30
重量%、多価アルコール25〜65重量%および電解質
塩1〜13重量%を含み、ゲル中に12〜30重量%含
まれる水がゲルの飽和吸水量の3〜50%に相当し、ゲ
ルを20℃の水に10分間浸漬したときの粘着力低下が
浸漬前の粘着力の50%以下であることを特徴とするも
のである。
【0006】架橋された合成高分子を構成する重合性単
量体としては、式: CH2=CR1−CONR23 [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2およびR3
は水素原子または低級アルキル基をそれぞれ意味する]
で表されるアクリルアミドもしくはメタクリルアミド系
化合物、および式: CH2=CR1−COOR2 [式中、R1およびR2はそれぞれ前記と同じ意味を有す
る]で表されるアクリル酸エステルもしくはメタクリル
酸エステル系化合物、ならびにビニルピロリドンが挙げ
られる。ここで、R2およびR3の低級アルキル基として
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の、直鎖状または
分枝鎖状の低級アルキル基が挙げられる。
【0007】そのほかに、(メタ)アクリル酸、ビニル
カルボン酸、アリルアミン、ビニルスルホン酸、アリル
スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビ
ニルピリジン、tert−ブチルアクリルアミドスルホ
ン酸、メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムク
ロライドまたはジメチルアミノプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、ヘキサメチレンジイソシアネートのような多
官能イソシアン酸エステル、エチレンオキシド、プロピ
レンオキシド等のアルキレンオキシド、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール等のポリオールな
どのイオン性の重合性単量体も使用できる。イオン性単
量体を使用する場合には、凝集体の生成を防ぐために非
イオン性の単量体を併用するのが好ましい。
【0008】重合性単量体とともに用いられる架橋性単
量体としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミ
ド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,
N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレ
ンビスメタクリルアミド、1,2−ジアクリルアミドエ
チレングリコール、ジ(トリまたはポリ)アクリレー
ト、ジ(トリまたはポリ)メタクリレートなどが挙げら
れる。本発明の架橋された合成高分子を得るのに適した
架橋性単量体の使用割合は、重合性単量体および架橋性
単量体の種類にもよるが、通常、重合性単量体に対して
0.1〜3.5重量%であり、より好ましくは0.15
〜2.0重量%である。本発明における架橋密度は、重
合性単量体に対する架橋性単量体の使用割合でもって表
されている。導電性高分子ゲル中に含まれる架橋された
合成高分子の組成割合は、18〜30重量%が好まし
く、より好ましいのは18〜25重量%である。
【0009】架橋された合成高分子の割合が18重量%
より少ないと、そのような合成高分子を用いてゲルを作
成した場合、ゲル中に占める高分子主鎖の割合が低すぎ
るため、腰強度の充分なゲルが得られず、ゲル体の網目
構造中に封入された電解液を安定な状態に維持し難い。
一方、架橋された合成高分子の割合が30重量%より多
いと、ゲル強度が高くて腰強度の大きなゲルが得られは
するものの、ゲル体の網目構造が密になりすぎて、網目
中に封入できる電解液の絶対量が少なくなるため、目的
とするインピーダンスの導電性高分子ゲルが得られ難
い。
【0010】導電性高分子ゲル中に含まれる水分は、ゲ
ル全体に対して12〜30重量%であり、より好ましく
は16〜30重量%である。ゲルの水分含量が12%よ
り少ないと、良好な導電性が得られず、好適なインピー
ダンスのゲルとならないので、好ましくない。ゲルの水
分含量が30%より多いと、水が網目中で安定に存在し
難くなって乾燥しやすくなる。その結果、ゲルのインピ
ーダンスが徐々に増加して、長時間使用中に測定精度の
低下を招くので、好ましくない。
【0011】この発明の導電性高分子ゲルでは、ゲルの
総重量に対して12〜30重量%の水分が含まれると
き、その水分の量がゲルの飽和吸水量の3〜50%に相
当するのが特徴である。ゲルに含まれる12〜30重量
%の水分が飽和吸水量の3%未満となるようなゲルで
は、ゲルが水に接触したときに速やかに吸水して膨潤す
るとともに高分子網目構造が緩み、多価アルコール等の
内包成分が溶出してしまう。その結果、ゲルの組成が変
化し、ゲルの強度や粘着力が低下するため、水洗後の再
使用に耐えられなくなる。また、ゲルに含まれる12〜
30重量%の水分が飽和吸水量の50%を超えるような
ゲルでは、ゲル自体の強度は高いが、粘着性に劣り、脆
さが増して、引っ張りや圧縮による破断や破壊が起こり
やすくなり、好ましくない。
【0012】ゲル中に含まれる多価アルコールとして
は、ソルビトール、グリコール、グリセリン等が挙げら
れる。これらの多価アルコールは、ゲル中に25〜65
重量%含まれるのが好ましく、より好ましいのは35〜
60重量%である。ゲルに含まれる多価アルコールの含
量が25%より少ないと、充分な粘着力が得られないた
め好ましくない。一方、多価アルコールの含量が65%
を超えると、多価アルコールがゲルの表面にブリードし
て、粘着力の低下を招くので、好ましくない。
【0013】ゲル中に含まれる電解質塩としては、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムのように
分子量が小さくて、皮膚刺激性のないものが好ましい。
これらの電解質塩は、ゲル中に1〜13重量%含まれる
のが好ましく、より好ましいのは2〜6重量%である。
ゲル中の電解質塩の含量が1重量%より少ないと、好適
なインピーダンスの生体用電極が得られない。また逆
に、電解質塩の含量が13重量%より多いと、水の含量
との関係で電離限界を超えて無駄となるため好ましくな
い。
【0014】本発明の導電性高分子ゲルを製造するに
は、まず重合性単量体と、架橋性単量体と、多価アルコ
ールと、電解質塩とをそれぞれ計量し、これらの混合物
に所定量の水を加えて攪拌し、均一なモノマー配合液と
する。これに重合開始剤を適宜加え、常法により重合反
応させて、導電性高分子ゲルを得ることができる。この
ようにして得られるゲルの粘着力は200g〜1000
gの範囲にあり、インピーダンスは比抵抗20Ω〜1k
Ωの範囲にあって、局部的な生体電気信号や電気治療な
どに使用される生体用電極のゲルパッドとして用いるの
に適している。なお、本発明の導電性高分子ゲルには、
所望により、防腐剤、殺菌剤、安定化剤、香料、界面活
性剤、着色剤等を適宜添加してもよい。
【0015】この発明によれば、上記のようにしてなる
導電性高分子ゲルを用いて得られるゲルパッドおよびか
かるゲルパッドを用いて得られる生体用電極も提供され
る。これらのゲルパッドおよび生体用電極は、上記のよ
うにしてなる導電性高分子ゲルを用いて、例えば特開平
5−200007号公報、特開平8−182659号公
報に記載のように、それ自体公知の方法により製造する
ことができる。さらに、この発明によれば、生体に貼付
して使用したあとの導電性高分子ゲルの粘着力を回復さ
せる方法も提供される。その方法としては、生体から剥
離された導電性高分子ゲルの表面を水につけて指先で軽
く洗うとか、水に浸した布で軽く拭くなど、特に限定さ
れるものではなく、水にはエタノール等の親水性溶媒が
含まれていてもよい。以下、この発明を実施例により説
明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでは
ない。
【0016】
【実施例】実施例1 まず、重合性単量体としてのアクリルアミド(M1重量
%)と、架橋性単量体としてのN,N−メチレンビスア
クリルアミド(M2重量%)と、電解質塩としての塩化
ナトリウム(2重量%)と、多価アルコールとしてのグ
リセリンとポリエチレングリコール#400(重合度4
00)の重量比70:30の混合体(G重量%)、およ
び溶媒としての水を残りの重量%(W重量%)からなる
混合物を攪拌溶解して、モノマー配合溶液を得た。この
モノマー配合溶液100重量部に対して、光開始剤とし
て1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(商
品名イルガキュア184、チバ・スペシャリティ−ケミ
カルズ社製)0.3部を加え、さらに攪拌して溶解し
た。表1にモノマー配合溶液を構成する各成分の配合量
(水を含む配合溶液総量に対する重量%であり、残部は
水である。以下同じ)を示す。得られたモノマー配合溶
液は、初期温度を4℃に調整した後、ポリエチレンテレ
フタレートフィルム上に薄く展開した。次いで、このモ
ノマー配合溶液に50ミリワット/cm2の強度の紫外
線を60秒間照射し、重合架橋反応を行った。初期水分
量の飽和吸水量に対する重量%(H%)も表1に示す。
【0017】実施例2 グリセリンとポリエチレングリコール#400(重合度
400)の重量比70:30の混合体に代えて、ポリエ
チレングリコール#400を使用した以外は、実施例1
と同様に処理した。なお、実施例2では飽和吸水量の
4.0重量%に相当する水分を含んでいる。
【0018】比較例1 合成高分子ゲルとして、市販の架橋ポリアクリル酸ナト
リウムゲルを使用した。このゲルは飽和吸水量の0.5
重量%に相当する水分を含んでいる。 比較例2 M2%を変化させて、飽和吸水量の3重量%より少ない
水分を含んでいるほかは、実施例1と同様に処理した。
詳細は表1に示す。 比較例3 M2%を変化させて、飽和吸水量の50重量%より多い
水分を含んでいるほかは、実施例1と同様に処理した。
詳細は表1に示す。 比較例4 M1%を減少させたほかは、実施例1と同様に処理し
た。詳細は表1に示す。 比較例5 M1%を増加させ、G%を減少させたほかは、実施例1
と同様に処理した。詳細は表1に示す。 比較例6 G%を増加させ、W%を減少させたほかは、実施例1と
同様に処理した。詳細は表1に示す。 比較例7 G%を減少させて、W%を増加させたほかは、実施例1
と同様に処理した。詳細は表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】試験例1 上記で得られたゲルについて、ゲル中の水分含量が飽和
吸水量の3重量%以上に相当することと、ポリマーマト
リックスを非電解質系とすることで、吸水速度が遅くな
ることを以下に示す。まず、実施例1で得られたゲルに
ついてその重量を測定した。次いで、20℃のイオン交
換水にゲルを浸漬し、このゲルを10秒後、30秒後、
1分後、5分後、30分後、24時間後に取り出し、軽
く水を切ってから重量を測定し、吸水倍率を次式により
算出した。 吸水倍率=(吸水後の重量)/(初期の重量) 実施例2および比較例1のゲルについても、同様にして
吸水倍率を算出した。結果を表2および図1に示す。
【0021】
【表2】
【0022】実施例1および実施例2のゲルは、浸漬初
期段階の吸水量が少なく、10秒間浸漬後の吸水倍率は
1.1倍であった。これに対して、比較例1のゲルは初
期吸水速度が大きく、大量の水を急速に取り込み、10
秒間で約1.2倍の吸水倍率を示した。その上、比較例
1のゲルでは、ゲルの表面が急速に膨潤して、波打ち現
象が生じ、粘着力が著しく低下したが、実施例1および
実施例2のゲルでは10秒間浸漬後でもゲルの表面が滑
らかで、充分な粘着力(垂直引っ張り試験法で、ともに
約200〜250gf/12mmφ)があった。
【0023】試験例2 実施例1および実施例2ならびに比較例1〜7のゲルに
ついて、皮膚貼付試験、粘着力測定およびインピーダン
スの測定を行った。皮膚貼付試験は、エタノールで脱脂
した上腕部皮膚にゲルを貼付してから10分後にゆっく
り剥がして、皮膚への貼り付きを目視および触感により
判断した。粘着力はゲルのサンプル片を用いて、垂直引
っ張り試験法(治具先端12mmφ円柱、材質SUS3
04)による粘着力(I)gf/12mmφを測定し
た。また、インピーダンス(R)Ω・cmを測定した。
さらに、20℃のイオン交換水で10秒間指先でゲルの
表面を洗浄し、軽く水を切り、60℃のオーブン中で1
0分間乾燥した後、23℃、60%RHで2時間放置し
て、ゲルを平衡にした。この一連の操作を1サイクルと
して、30サイクル後に、再び皮膚貼付試験、粘着力測
定およびインピーダンスの測定を行った。結果を表3に
示す。
【0024】
【表3】
【0025】比較例1、3、4および6のゲルは、水洗
により内包していた多価アルコールなどが流失したた
め、ゲルの表面がヌルヌルし、乾燥すると固くなって、
サイクルを重ねるごとに粘着力が顕著に低下した。特
に、比較例6のゲルでは、水分量が少なすぎたため、イ
ンピーダンスが非常に高かった。また、比較例2、5お
よび7のゲルでは、試験当初から粘着力が乏しく、貼付
してもすぐにゲルの試験片が落下した。その上、これら
のゲルはもろくて、ゲルの崩壊も一部観察された。
【0026】試験例3 実施例1および2ならびに比較例1のゲルについて、水
洗によるゲルの粘着力低下を調べた。まず、ゲルの初期
の粘着力(L)gf/12mmφを測定し、次いで皮膚
に貼り付けた後で剥がす行為を50回繰り返して、ゲル
の表面を汚したのち、粘着力(N)gf/12mmφを
再び測定した。さらに、このゲルの表面を20℃のイオ
ン交換水で10秒間指先で洗浄し、軽く水を切って、6
0℃のオーブン中で10分間乾燥した後、28℃、60
%RH環境下に2時間放置した。ゲルが平衡になった
後、粘着力(P)gf/12mmφを測定した。各ゲル
の初期の粘着力を100%として、粘着力の変化を表4
に示す。
【0027】
【表4】
【0028】実施例1および2のゲルは、水洗してもゲ
ルの劣化は少なく、しかも汚れが除去されて粘着力が回
復した。比較例1のゲルは水洗しても粘着力は回復しな
かった。上記の試験における20℃のイオン交換水での
10秒間洗浄に代えて、50℃の温湯中での10分間洗
浄を実施例1のゲルについて行ったところ、内包物の流
失により、洗浄後の粘着力が著しくに低下して198g
となった。同様に、実施例1のゲルについて、20℃の
イオン交換水での30分間洗浄を行ったところ、やはり
粘着力が著しく低下して、162gとなった。
【0029】試験例4 水洗後に粘着力が回復するといっても、その回復に長時
間を要するようでは、実用上、水洗による繰り返し使用
が可能であるとは言えない。そこで、水洗後の粘着力回
復性を経時的に測定した。まず、実施例1および2のゲ
ルの初期の粘着力(Q)gf/12mmφを測定した。
次いで、このゲルの表面を20℃のイオン交換水で10
秒間指先で洗浄し、軽く水を切って、1分後に粘着力を
測定した。その後、ゲルの表面を上側にして、23℃、
60%RHの環境下に放置し、5分後、10分後、30
分後にそれぞれ粘着力を測定した。同様の試験を比較例
1のゲルについても行った。それぞれのゲルの初期の粘
着力を100%として、試験結果を表5および図2に示
す。
【0030】
【表5】
【0031】実施例1および2のゲルは、水洗直後は粘
着力がやや低下するが、10分間放置すると、粘着力が
初期の粘着力とほぼ同程度にまで回復して、皮膚への貼
り付きも良好であった。一方、比較例1のゲルは、水洗
によりゲル表面が膨潤して粘着力が著しく低下し、30
分間経過後でも粘着力は回復せず、皮膚に貼り付けても
すぐに落下した。実施例1および2のゲルと比較例1の
ゲルとの水洗後の粘着力回復の違いは、ゲルの飽和吸水
量の相違に起因している。すなわち、実施例1および2
のゲルは非電解質系のポリマーマトリックスであって、
飽和吸水量の4.5重量%を初期の水分として含むのに
対して、比較例1のゲルは電解質系のポリマーマトリッ
クスであって、飽和吸水量の1重量%しか初期の水分と
して含んでいない。そのため、比較例1のゲルは初期の
吸水速度が大きく、ゲルが急速に膨潤してしまい、粘着
力が回復しなかった。
【0032】
【発明の効果】この発明の導電性高分子ゲルは、架橋さ
れた合成高分子18〜30重量%、水12〜30重量
%、多価アルコール25〜65重量%および電解質塩1
〜13重量%を含み、ゲル中に12〜30重量%含まれ
る水がゲルの飽和吸水量の3〜50%に相当するので、
ゲルを20℃の水に10分間浸漬したときの粘着力低下
が浸漬前の粘着力の50%以下である。したがって、本
発明の導電性高分子ゲルを用いて得られる生体用電極
は、生体表面に貼付して使用した後、ゲル表面を水洗し
て汚れを除去すれば、初期の粘着力を回復できるので、
何度も繰り返し使用することができ、極めて経済的であ
るとともに、省資源的でもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゲルの吸水倍率の経時的変化を示すグラフであ
る。
【図2】水洗後のゲルの粘着力の回復度を経時的に示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−182659(JP,A) 特開 平5−200007(JP,A) 特開 平6−181895(JP,A) 特開 平7−31598(JP,A) 実開 昭56−146902(JP,U) 実開 平6−58912(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/04 A61N 1/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋された合成高分子、水、多価アルコ
    ールおよび電解質塩を含む導電性高分子ゲルにおいて、
    架橋された合成高分子18〜25重量%、水12〜30
    重量%、多価アルコール25〜65重量%および電解質
    塩1〜13重量%を含み、ゲル中に12〜30重量%含
    まれる水がゲルの飽和吸水量の3〜50%に相当し、ゲ
    ルを20℃の水に10分間浸漬し、23℃、相対湿度6
    0%の雰囲気下に10分間放置した後の粘着力低下が浸
    漬前の粘着力の50%以下であることを特徴とする導電
    性高分子ゲル。
  2. 【請求項2】 架橋された合成高分子が0.1〜3.5
    %の架橋密度を有する請求項1に記載の導電性高分子ゲ
    ル。
  3. 【請求項3】 架橋された合成高分子がポリアクリルア
    ミド系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に
    記載の導電性高分子ゲル。
  4. 【請求項4】 架橋された合成高分子が、所定量の重合
    性単量体を架橋剤、水、多価アルコールおよび電解質塩
    の存在下に重合させて得られることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の導電性高分子ゲル。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の導電性
    高分子ゲルからなることを特徴とするゲルパッド。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のゲルパッドおよび電極
    素子からなることを特徴とする生体用電極。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の生体用電極を生体に貼
    付して使用した後、水洗してゲルの粘着力を回復させる
    方法。
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