JP3436612B2 - 金属帯の圧延設備および圧延方法 - Google Patents

金属帯の圧延設備および圧延方法

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JP3436612B2
JP3436612B2 JP14925295A JP14925295A JP3436612B2 JP 3436612 B2 JP3436612 B2 JP 3436612B2 JP 14925295 A JP14925295 A JP 14925295A JP 14925295 A JP14925295 A JP 14925295A JP 3436612 B2 JP3436612 B2 JP 3436612B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属帯の形状を検出す
る形状検出器とそれを保護するプロテクタロールとを備
えた冷間圧延設備および冷間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、冷間圧延された金属帯の形状に対
する需要家の要求精度は、ますます厳しくなってきてい
る。この厳しい要求に対応して、優れた形状を有する製
品を安定して製造するには、冷間圧延中の金属帯の形状
を定量的に把握するとともに、それに基づいて形状制御
を行うことが必要不可欠である。このため冷間圧延機に
は、形状検出器の設置や自動形状制御の導入が盛んに行
われている。形状検出器(以後、形状検出ロールと表現
する)を備えた冷間圧延設備における冷間圧延は、たと
えばレバース式20段ゼンジミアミルにおいては、次の
ようにして行われる。
【0003】図10は、従来からのレバース式20段ゼ
ンジミアミルの簡略化された構成を示す系統図である。
金属帯、たとえばステンレス鋼帯10は、供給リール1
から払出され、デフレクタロール2,4、右形状検出ロ
ール5a、ミル本体6、左形状検出ロール5b、デフレ
クタロール8を経て、左巻取りリール9までスレッディ
ングされる。スレッディング中、ミル本体6の上下ワー
クロール間は開放されており、冷間圧延は行われない。
またステンレス鋼帯10は、右巻取りリール3の上方を
間隔をあけてスレッディングされる。スレッディング
後、金属帯10は、先端部を左巻取りリール9にグリッ
プされ、ミル本体6の1パス目の圧下設定後、左巻取り
リール9に巻取られる。ミル本体6の圧下量は、冷間圧
延の1パス目のパススケジュールに基づいて設定され
る。1パス目の冷間圧延は、左巻取りリール9の巻取り
開始と同時に開始され、それに伴いステンレス鋼帯10
には張力が付与されるので、左形状検出ロール5bによ
ってステンレス鋼帯10の形状が測定される。
【0004】自動形状制御は、巻取り側の左形状検出ロ
ール5bの形状出力が予め定める形状目標範囲を満たす
ように、ミル本体6に設けられている形状制御手段の制
御量を自動的に制御することによって行われる。1パス
目の冷間圧延は、ステンレス鋼帯10の尾端が供給リー
ル1から離れ、デフレクタロール2を経て、右巻取りリ
ール3近辺に到達するまで継続される。1パス目の冷間
圧延終了後、ミル本体6の上下ワークロール間を開放し
た状態で、ステンレス鋼帯10は尾端部を右巻取りリー
ル3にグリップされ、ミル本体6の2パス目の圧下設定
後、右巻取りリール3に巻取られる。2パス目の冷間圧
延は、右巻取りリール3の巻取り開始と同時に1パス目
とは逆方向に開始され、それに伴いステンレス鋼帯10
には張力が付与されるので、右形状検出ロール5aによ
ってステンレス鋼帯10の形状が測定され、前述と同様
に自動形状制御が行われる。3パス目の冷間圧延も同様
にして、2パス目とは逆方向に行われる。このレバース
圧延は、ステンレス鋼帯10の板厚が、予め定める値に
達するまで繰返して行われる。この間、自動形状制御
は、右および左形状検出ロール5a,5b(以後、形状
検出ロール5と総称することがある)を交互に使用し
て、前述と同様に行われる。なお形状検出ロール5およ
びデフレクタロール4,8の前後面には、異物除去ブレ
ード11が設けられている。異物除去ブレード11は、
形状検出ロール5およびデフレクタロール4,8に接触
しており、圧延時の形状測定中に、形状検出ロール5お
よびデフレクタロール4,8に付着した異物を連続的に
かき取る。
【0005】前記レバース圧延方法から明らかなよう
に、ステンレス鋼帯10の頭尾部では、冷間圧延が行わ
れない。この未圧延領域の長さは、ほぼミル本体6から
右および左巻取りリール3,9までの距離に相当するの
で、ステンレス鋼帯10の製造歩留りが大幅に低下す
る。このためステンレス鋼帯10の頭尾部に、予めサー
ビステールと呼ばれる金属帯を溶接によって接合してお
いて、ステンレス鋼帯10の未圧延領域を解消させ、ス
テンレス鋼帯10の製造歩留りを向上させる方法が採用
されることもある。サービステールは繰返し使用され、
その長さはほぼ未圧延領域の長さに等しい。
【0006】前記冷間圧延においては、形状検出ロール
5に関して次のような問題がある。 ステンレス鋼帯10のスレッディング時、その先端が
形状検出ロール5に衝突して、傷を付けることがある。
この傷は冷間圧延中、金属帯の表面に転写され、ステン
レス鋼帯10に表面疵を発生させる。 形状検出ロール5に異物が焼付および圧着と呼ばれる
状態で強固に付着することがある。強固に付着した異物
は、前記異物除去ブレード11で除去することが困難で
あり、次第に堆積して大きく成長し、接触するステンレ
ス鋼帯10に押込疵を発生させる。またこの異物除去に
は、付着初期に油砥石による除去作業が必要であるの
で、多大な労力および手間がかかる。
【0007】このような問題を解消するために従来から
形状検出ロール5の外周面にタングステン炭化物(W
C)系溶射材料を溶射して耐傷付性、耐異物付着性およ
び耐摩耗性の優れた溶射被覆層を形成する方法が採用さ
れている。この溶射被覆層は、回転砥石や回転砥粒ベル
トによって所定の表面粗さに研磨された後、使用に供さ
れる。タングステン炭化物(WC)系溶射材料の成分
は、たとえば85WC−15Coである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記タ
ングステン炭化物(WC)系溶射被覆層の形成された形
状検出ロール5においても、スレッディング時に板厚の
厚いステンレス鋼帯10が衝突した場合には、衝撃力が
強いので、形状検出ロール5に傷が発生するという問題
があり、さらに冷間圧延時の張力が高い場合や、前記サ
ービステールを溶接して冷間圧延を行う場合などのよう
に異物発生量が多く、かつ異物が強固に付着しやすい悪
条件下では、異物の付着を防止することが困難であると
いう問題がある。
【0009】形状検出ロール5に付着する異物は主とし
て鉄粉であり、冷間圧延張力が高い場合には、形状検出
ロール5に異物として強固に付着しやすい。またサービ
ステールを溶接して冷間圧延を行う場合には、サービス
テール自体やサービステールとステンレス鋼帯10との
溶接部から鉄粉が生じるので、形状検出ロール5に異物
として付着しやすい。このうち、前者はサービステール
の表面が繰返し使用によって粗面化していることに起因
して発生する鉄粉であり、後者は凸状の溶接部を回転砥
石やグラインダで研削して平坦化する際に発生する研削
鉄粉である。
【0010】このように従来技術による形状検出ロール
5においては、悪条件下で形状検出ロール5の表面に傷
が発生したり、異物が付着したりする問題がある。この
ため従来の溶射材料よりもさらに耐傷付性や耐異物付着
性の優れた溶射材料の開発が強く要望されるとともに、
その他の技術思想、たとえばプロテクタロールなどによ
る形状検出ロール5の保護対策が強く要望されている。
【0011】本発明の目的は、形状検出ロール表面の傷
発生や異物付着を悪条件下においても確実に防止するこ
とのできる金属帯の圧延設備および圧延方法を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属帯を供給
する供給リールと、圧延された金属帯を巻取る巻取りリ
ールと、供給リールと巻取りリールとの間に設けられ、
供給リールから供給された金属帯を所定の板厚に圧延す
る圧延機と、圧延機と巻取りリールとの間に設けられ、
金属帯を巻掛けて巻取りリールに導くデフレクタロール
と、圧延機とデフレクタロールとの間に設けられ、ほぼ
水平に通板される金属帯の下面に接触して、その金属帯
の形状を検出する形状検出ロールと、圧延機と形状検出
ロールとの間に形状検出ロールに近接して設けられ、形
状検出ロールの上端よりも上方の上限位置と前記形状検
出ロールの上端よりも下方の下限位置との間で昇降可能
に支持されるプロテクタロールと、プロテクタロールを
前記上限位置と下限位置とにわたって昇降駆動する昇降
駆動手段と、圧延機とプロテクタロールとの間にプロテ
クタロールに近接して設けられるガイド板であって、ガ
イド板の頂部は形状検出ロールの上端よりも下方に設け
られるガイド板とを含み、金属帯のスレッディング開始
時には、プロテクタロールの中心がガイド板の頂部より
も下方であって、かつプロテクタロールの上端が形状検
出ロールの上端よりも上方であるようにプロテクタロー
ルの位置が設定され、金属帯の先端がプロテクタロール
を越えてスレッディングされた後には、プロテクタロー
ルの中心がガイド板の頂部よりも上方に位置するように
プロテクタロールの位置が上限位置に設定されることを
特徴とする金属帯の圧延設備である。また本発明は、前
記圧延機は、クラスタ型冷間圧延機であることを特徴と
する。また本発明の前記昇降駆動手段は、プロテクタロ
ールを上限位置から下限位置にわたって昇降駆動させる
複動流体圧シリンダと、複動流体圧シリンダの作動流体
の経路を複動流体圧シリンダの昇降および保持動作に応
じて切換える経路切換手段と、プロテクタロールを緩や
かに下降させる緩衝手段とを含むことを特徴とする。ま
た本発明は、金属帯を供給する供給リールと、圧延され
た金属帯を巻取る巻取りリールと、供給リールと巻取り
リールとの間に設けられ、供給リールから供給された金
属帯を所定の板厚に圧延する圧延機と、圧延機と巻取り
リールとの間に設けられ、金属帯を巻掛けて巻取りリー
ルに導くデフレクタロールと、圧延機とデフレクタロー
ルとの間に設けられ、ほぼ水平に通板される金属帯の下
面に接触して、その金属帯の形状を検出する形状検出ロ
ールと、圧延機と形状検出ロールとの間に形状検出ロー
ルに近接して設けられ、形状検出ロールの上端よりも上
方の上限位置と前記形状検出ロールの上端よりも下方の
下限位置との間で昇降可能に支持されるプロテクタロー
ルと、プロテクタロールを前記上限位置と下限位置とに
わたって昇降駆動する昇降駆動手段と、圧延機とプロテ
クタロールとの間にプロテクタロールに近接して設けら
れ、形状検出ロールの上端よりも下方に位置するガイド
板とを含む金属帯の圧延設備を使用して、金属帯のスレ
ッディング開始時には、プロテクタロールの中心がガイ
ド板の頂部よりも下方であって、かつプロテクタロール
の上端が形状検出ロールの上端よりも上方であるように
プロテクタロールの位置を設定し、金属帯の先端がプロ
テクタロールを越えてスレッディングされた後には、プ
ロテクタロールの中心がガイド板の頂部よりも上方に位
置するようにプロテクタロールの位置を上限位置に設定
し、金属帯の先端が巻取りリールに巻取られ、張力が金
属帯に付与されるときには、緩衝手段を介してプロテク
タロールを緩やかに下降し、金属帯の圧延中には、プロ
テクタロールの上端が形状検出ロールの上端よりも下方
に位置するようにプロテクタロールの位置を下限位置に
設定することを特徴とする金属帯の圧延方法である。さ
らにまた本発明は、金属帯の圧延中の全張力が8〜60
トンであることを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明に従えば、金属帯の圧延設備は供給リー
ルと巻取りリールとの間に設けられる圧延機と、圧延機
と巻取りリールとの間に設けられるデフレクタロール
と、圧延機とデフレクタロールとの間に設けられる形状
検出ロールと、圧延機と形状検出ロールとの間に形状検
出ロールに近接して設けられるプロテクタロールと、プ
ロテクタロールに設けられる昇降駆動手段とを含む。形
状検出ロールは、ほぼ水平に通板される金属帯の下面に
接触して、金属帯の形状を検出する。プロテクタロール
は、昇降駆動手段によって形状検出ロールの上端よりも
上方の上限位置と、形状検出ロールの上端よりも下方の
下限位置とにわたって昇降駆動される。プロテクタロー
ルは昇降することによって、金属帯のパスラインを上下
させることができるので、形状検出ロールの傷や異物付
着の発生が生じやすい金属帯のスレッディング時にプロ
テクタロールを上昇させて、形状検出ロールと金属帯と
の接触を回避させることができる。このためプロテクタ
ロールは形状検出ロールの傷や異物付着の発生を確実に
防止することができる。
【0014】また本発明に従えば、圧延機はクラスタ型
冷間圧延機であるので、金属帯は小径ワークロールによ
って、かつ大きな圧延張力の下で冷間圧延される。大張
力下での冷間圧延は形状検出ロールに異物を強固に付着
させるおそれがあるけれども、形状検出ロールに異物付
着が生じやすい金属帯のスレッディング時に、プロテク
タロールを上昇させて、形状検出ロールと金属帯との接
触を回避させることができるので、形状検出ロールへの
異物付着を確実に防止することができる。
【0015】また本発明に従えば、圧延機とプロテクタ
ロールとの間にガイド板が設けられ、金属帯のスレッデ
ィング開始時には、プロテクタロールの中心がガイド板
の頂部よりも下方であって、かつプロテクタロールの上
端が形状検出ロールの上端よりも上方であるようにプロ
テクタロールの位置が設定される。これによって金属帯
の先端のプロテクタロールに対する突っ掛かりが防止さ
れるので、金属帯の先端はプロテクタロールの上端を越
えて円滑にスレッディングされる。また金属帯の先端が
プロテクタロールを越えてスレッディングされた後に
は、プロテクタロールの中心がガイド板の頂部よりも上
方に位置するようにプロテクタロールの位置が上限位置
に設定される。これによって、金属帯は形状検出ロール
の上方を間隔をあけてスレッディングされるので、金属
帯と形状検出ロールとの衝突や接触が回避され、形状検
出ロールに対する傷や異物付着の発生が確実に防止され
る。
【0016】また本発明に従えば、昇降駆動手段は、複
動流体圧シリンダと、その作動流体の経路を切換える経
路切換手段と、緩衝手段とを含む。経路切換手段は、複
動流体圧シリンダの作動流体の経路を複動流体圧シリン
ダの昇降および保持動作に応じて切換えることができる
ので、複動流体圧シリンダはプロテクタロールを上限位
置から下限位置にわたって昇降駆動することができる。
このように昇降駆動手段の昇降駆動が構造の簡単な複動
流体圧シリンダによって行われるので、昇降駆動手段は
大幅な小型化を図ることができる。また緩衝手段は、プ
ロテクタロールを緩やかに下降させることができるの
で、プロテクタロールとともに下降する金属帯と形状検
出ロールとの接触がソフトに行われ、形状検出ロールに
対する大きな衝撃力の作用が回避される。
【0017】また本発明に従えば、金属帯の先端が巻取
りリールに巻取られ張力が金属帯に付与される冷間圧延
開始時には、プロテクタロールが緩衝手段を介して緩や
かに下降される。これによって、プロテクタロールとと
もに下降する金属帯と形状検出ロールとの接触がソフト
に行われるので、形状検出ロールの破損や傷発生が防止
される。また金属帯の冷間圧延中には、プロテクタロー
ルの上端が形状検出ロールの上端よりも下方に位置する
ようにプロテクタロールが下限位置に設定される。これ
によってプロテクタロールと金属帯との接触が回避され
るので、プロテクタロールに起因する金属帯の表面疵の
発生が防止される。
【0018】また本発明に従えば、圧延中の金属帯には
適正範囲の全張力が付与される。これによって、過大張
力に基づく形状検出ロールへの異物付着が防止されると
ともに、過小張力に基づく圧延荷重の増大が回避され
る。
【0019】
【実施例】図1は、本発明の一実施例である金属帯のレ
バース式冷間圧延設備の簡略化された構成を示す系統図
である。金属帯のレバース式冷間圧延設備19は、金属
帯、たとえばステンレス鋼帯20を供給する供給リール
21と、冷間圧延されたステンレス鋼帯20を巻取る右
および左巻取りリール22a,22b(以後、巻取りリ
ール22と総称することがある)と、供給リール21お
よび右巻取りリール22aと左巻取りリール22bとの
間に設けられ、ステンレス鋼帯20を所定の板厚に冷間
圧延するクラスタ型冷間圧延機23と、クラスタ型冷間
圧延機23と巻取りリール22との間に設けられ、ステ
ンレス鋼帯20を巻掛けて巻取りリール22に導くデフ
レクタロール24a,24bと、クラスタ型冷間圧延機
23とデフレクタロール24a,24bとの間に設けら
れ、ステンレス鋼帯20の形状を検出する右および左形
状検出ロール25a,25b(以後、形状検出ロール2
5と総称することがある)と、クラスタ型冷間圧延機2
3と形状検出ロール25との間に形状検出ロール25に
近接して設けられ、鉛直方向に昇降可能に支持される右
および左プロテクタロール26a,26b(以後、プロ
テクタロール26と総称することがある)と、プロテク
タロール26を昇降駆動する昇降駆動手段27とを含
む。
【0020】クラスタ型冷間圧延機23は、小径ワーク
ロールと、それを支持する多数の支持ロール群とを含ん
で構成される。多数の支持ロール群は複数段にわたって
扇状に配列される。クラスタ型冷間圧延機23は、小径
ワークロールを用いて大張力下で冷間圧延が行われるの
で、圧延荷重を大幅に低下させることが可能であり、ス
テンレス鋼帯20などの硬質金属帯の冷間圧延機として
好適に使用される。本実施例では、代表的なクラスタ型
冷間圧延機である20段ゼンジミア圧延機23が用いら
れている。
【0021】20段ゼンジミア圧延機23は、ステンレ
ス鋼帯20に当接するワークロール23aと、ワークロ
ール23aを支持する2本の第1中間ロール23bと、
第1中間ロール23bを支持する3本の第2中間ロール
23cと、第2中間ロール23cを支持する4本の分割
補強ロール23dとを含んで構成される。このロール配
列は、ステンレス鋼帯20を挟んで上下対称に配設され
ている。分割補強ロール23dは、いわゆるAs−Uロ
ールと呼ばれており、複数個の分割ロールはそれぞれ独
立してロール軸線方向と直角な方向に偏心機構によって
変位することができるので、冷間圧延中、分割補強ロー
ル23dのロールクラウンを変化させることができる。
また第1中間ロール23bの一端部には、テーパ部が設
けられており、この第1中間ロール23bを軸線方向に
移動させることによって、冷間圧延中、板幅端部のワー
クロールクラウンを変化させることができる。これらA
s−Uロールと移動可能なテーパ付第1中間ロールと
は、20段ゼンジミア圧延機の形状制御手段として用い
られ、ステンレス鋼帯20の形状制御を行うことができ
る。
【0022】形状検出ロール25は、軸線方向に隣接し
て配置された複数の分割ロールによって構成される。複
数の分割ロールは、ほぼ水平に通板されるステンレス鋼
帯20の下面に接触して、駆動モータによって一体的に
回転駆動される。各分割ロールは、ステンレス鋼帯20
の張力に対応して、変形し、その張力は分割ロール内部
に設けられたロードセルによって測定される。形状検出
ロール25は、分割ロールによって測定される各張力か
らステンレス鋼帯20の板幅方向の張力分布を検出する
ことができるので、それに基づいてステンレス鋼帯20
の形状を検出することが可能である。形状検出ロール2
5の外周面には、タングステン炭化物系溶射被覆層が形
成されており、溶射被覆層の表面は回転砥石によって平
滑に研磨されている。溶射被覆層の成分は、たとえば8
5WC−15Coである。また形状検出ロールの寸法お
よび構成は、たとえば直径313mm、分割ロールの胴
長52mm、分割ロール数32個、有効測定幅1664
mm、溶射被覆層厚さ50μm、溶射被覆層の表面粗さ
0.3μmRaである。
【0023】なお形状検出ロール25およびデフレクタ
ロール24a,24bの前後面には、異物除去ブレード
28が設けられている。異物除去ブレード28は、形状
検出ロール25およびデフレクタロール24a,24b
に接触しており、形状測定中、それらに付着した異物を
連続的にかき取ることができる。前記プロテクタロール
26および昇降駆動手段27の構成および動作ならびに
金属帯の冷間圧延方法については後述する。
【0024】図2は図1に示す左プロテクタロール近辺
の簡略化された構成を示す側面図であり、図3は図2に
示す左プロテクタロール近辺の簡略化された構成を示す
正面図であり、図4は図2に示す左プロテクタロール近
辺の簡略化された構成を示す平面図である。左プロテク
タロール26bは、第1左プロテクタロール26cと第
2左プロテクタロール26dとから成る。第1左プロテ
クタロール26cと第2左プロテクタロール26d(以
後、これらロールを左プロテクタロール26bと総称す
ることがある)とは共通の軸線を有しており、その共通
軸線に沿って間隔をあけて設けられている。またその共
通軸線は、左形状検出ロール25bの軸線と平行であ
る。
【0025】第1左プロテクタロール26cは、ロール
本体31aと固定軸32aと軸受33a,33bとを含
んで構成される。ロール本体31aは鋼製の中空円筒体
であり、その両端部内周面は固定軸32aの両端部寄り
に設けられている軸受33a,33bによって回転自在
に支持されている。固定軸32aの両端部は、ブラケッ
ト34a,34bに固定されており、ブラケット34
a,34bは横フレーム35の上面に垂直に立設されて
いる。第2左プロテクタロール26dの構成も第1左プ
ロテクタロール26cの構成と全く同一であり、固定軸
32bの両端部を固定しているブラケット34c,34
dが横フレーム35の上面に垂直に立設されている。な
お第1左プロテクタロール26cと第2左プロテクタロ
ール26dとの間には、板切れ検出ロール46が設けら
れている。
【0026】第1左プロテクタロール26cを支持して
いるブラケット34aの一端部(図3,図4において紙
面の右側)には、摺動突起36aが設けられており、摺
動突起36aにはライナ37aが着脱可能に取付けられ
ている。摺動突起36aは、垂直に立設されている竪フ
レーム38aの溝にライナ37aを介して鉛直方向に摺
動自在に嵌合されている。また第2左プロテクタロール
26dを支持しているブラケット34dの一端部(図
3、図4において紙面の左側)にも、同様に摺動突起3
6bが設けられており、摺動突起36bは垂直に立設さ
れている竪フレーム38bの溝にライナ37bを介して
鉛直方向に摺動自在に嵌合されている。横フレーム35
の下面には、複動流体圧シリンダである複動油圧シリン
ダ39が設けられており、横フレーム35と複動油圧シ
リンダ39とはピン40によってピン結合されている。
このため左プロテクタロール26bは、複動油圧シリン
ダ39の昇降駆動によって、左形状検出ロール25bの
上端よりも上方の上限位置と左形状検出ロール25bの
上端よりも下方の下限位置との間で昇降駆動される。図
2には、左プロテクタロール26bが上限位置に設定さ
れているステンレス鋼帯20のスレッディング時のパス
ライン位置PL1と、左プロテクタロール26bが下限
位置に設定されているステンレス鋼帯20の冷間圧延時
のパスライン位置PL2とがそれぞれ示されている。な
お右プロテクタロール26aの構成および動作は、左プ
ロテクタロール26bと全く同一である。
【0027】左プロテクタロール26bの前面側(図1
において紙面の右側)には、ガイド板41が設けられて
おり、その頂部は左形状検出ロール25bの上端よりも
下方に位置する。ガイド板41はリブ42を介してフレ
ーム43に溶接によって接合されている。またガイド板
41の前面側にはX線板厚計44が設けられており、そ
れにはガード板45が金属帯20のパスラインの上下に
それぞれ設けられている。ガード板45は、冷間圧延
中、ステンレス鋼帯20とX線板厚計44との接触を防
止する。なお左形状検出ロール25bとデフレクタロー
ル24bとの間には、ガイドテーブル47が設けられて
いる。
【0028】図5は、図1に示す昇降駆動手段の簡略化
された構成を示す系統図である。昇降駆動手段27は、
プロテクタロール26を昇降駆動させる前記複動油圧シ
リンダ39と、複動油圧シリンダ39の作動油の経路を
複動油圧シリンダ39の昇降および保持動作に応じて切
換える経路切換手段である電磁操作弁51と、プロテク
タロール26を上限位置から緩やかに下降させる緩衝手
段であるリリーフ弁(圧力制御弁)52とを含む。
【0029】電磁操作弁51は、油圧回路に接続される
切換位置として、複動油圧シリンダ39を上昇させてプ
ロテクタロール26を押上げる油圧回路を形成するU位
置と、プロテクタロール26を定位置に保持する中立回
路を形成するN位置と、複動油圧シリンダ39を押下げ
てプロテクタロール26を下降させる油圧回路を形成す
るD位置とを有している。切換位置U,N,Dの切換え
はソレノイド53a,53bによって行われる。
【0030】リリーフ弁は、作動油の圧力が予め定める
作動圧力を越えるとき、弁を開いて圧力を低下させるい
わゆる安全弁である。複動油圧シリンダ39は構造が極
めて簡単であり、複雑なリンク機構などを設ける必要が
なく、かつ大きな力を発生させることができる。このた
め複動油圧シリンダ39を用いることによって昇降駆動
手段27は大幅な小型化を図ることができる。
【0031】昇降駆動手段27によるプロテクタロール
26の昇降駆動動作は次のようにして行われる。プロテ
クタロール26を上昇させる場合には、電磁操作弁51
の切換位置がU位置に切換えられる。油圧ポンプ54か
ら送油された作動油は、減圧弁55、電磁操作弁51、
パイロット逆止弁57、逆止弁付絞り弁58、リリーフ
弁52をこの順序で経由して複動油圧シリンダ39を押
上げる。また複動油圧シリンダ39から排出される作動
油は、逆止弁付絞り弁58、電磁操作弁51を経由して
油タンク59に排出される。なお作動油の圧力が減圧弁
55の下流側で圧力計56によって測定される。
【0032】プロテクタロール26を定位置に保持する
場合には、電磁操作弁51の切換位置がN位置に切換え
られる。N位置では、作動油の供給および排出がともに
停止され、複動油圧シリンダ39が定位置に保持され
る。しかしながらこの状態でプロテクタロール26に大
きな力が作用して、油圧が上昇し、その圧力がリリーフ
弁52の作動圧力を越える場合には、リリーフ弁52が
作動して弁が開き、圧力制御が行われるので、プロテク
タロール26は緩やかに下降する。
【0033】プロテクタロール26を下降させる場合に
は、電磁操作弁51の切換位置がD位置に切換えられ
る。油圧ポンプ54から送油された作動油は減圧弁5
5、電磁操作弁51、逆止弁付絞り弁58をこの順序で
経由して複動油圧シリンダ39を押下げる。複動油圧シ
リンダ39から排出される作動油は、リリーフ弁52、
逆止弁付絞り弁58、パイロット逆止弁57、電磁操作
弁51を経由して油タンク59に排出される。なおパイ
ロット逆止弁57においては、作動油の流れ方向が逆止
弁を閉じる方向であるけれども、パイロット操作によっ
て弁を開き、作動油を通過させることができる。
【0034】図6は、ステンレス鋼帯のスレッディング
時におけるプロテクタロールの昇降方向設定位置を示す
模式図である。ステンレス鋼帯20のスレッディング開
始時においては、図6(1)に示すように、プロテクタ
ロール26の昇降方向初期設定位置は、プロテクタロー
ル26の中心Pがガイド板41の頂部Qよりも下方であ
って、かつプロテクタロール26の上端が形状検出ロー
ル25の上端よりも上方であるように設定される。プロ
テクタロール26の上端と形状検出ロール25の上端と
の距離d1は、たとえば20mmである。このようにプ
ロテクタロール26の中心Pの昇降方向設定位置がガイ
ド板41の頂部Qよりも下方に設定されるので、ステン
レス鋼帯20がガイド板41を介してスレッディングさ
れる際、ステンレス鋼帯20の先端がプロテクタロール
26に突っ掛かることがなくなり、ステンレス鋼帯20
の先端はプロテクタロール26の上端を越えて円滑にス
レッディングされる。
【0035】またステンレス鋼帯20の先端がプロテク
タロール26を越えてスレッディングされた後には、図
6(2)に示すようにプロテクタロール26の中心Pの
昇降方向設定位置がガイド板41の頂部Qよりも上方に
位置するように、プロテクタロール26の位置が上限位
置に設定される。プロテクタロール26の上限位置にお
けるプロテクタロール26の上端と形状検出ロール25
の上端との距離d2は、たとえば50mmである。この
ようにプロテクタロール26が上限位置に設定されるの
で、異物付着の多い前記サービステールが溶接されてい
るステンレス鋼帯20の先端は形状検出ロール25の上
方を間隔をあけてスレッディングされ、ステンレス鋼帯
20と形状検出ロール25との衝突や接触が回避され
る。このため形状検出ロール25に対する傷や異物付着
の発生が確実に防止され、後続する冷間圧延時における
ステンレス鋼帯20の転写疵や押込み疵の発生が確実に
防止される。
【0036】本実施例におけるステンレス鋼帯の冷間圧
延は次のようにして行われる。図7は、ステンレス鋼帯
の冷間圧延における1パス目の先端スレッディング方法
をプロテクタロールの動作を主体として説明するための
フローチャートである。ステップs1では、ステンレス
鋼帯20の1パス目の先端スレッディングに際して、右
プロテクタロール26aが下限位置まで下降される。下
降に際しては前記電磁操作弁51の切換位置がD位置に
手動で切換えられ、下限位置に到達後にはその切換位置
がN位置に手動で切換えられる。下降時の電磁操作弁5
1の操作は、以下同様にして行われる。図1を参照し
て、ステンレス鋼帯20は供給リール21から払出さ
れ、デフレクタロール29、図示を省略するスレッディ
ングテーブルを経て20段ゼンジミア圧延機23までス
レッディングされる。スレッディングテーブルは伸縮可
能なテーブルであり、ステンレス鋼帯20の先端スレッ
ディング時には、右デフレクタロール24aおよび右形
状検出ロール25aの上方まで引出され、それらロール
24a,25aと異物付着の多い前記サービステールが
溶接されているステンレス鋼帯20の先端との接触や衝
突を回避させる。スレッディング中、20段ゼンジミア
圧延機23の上下ワークロール間は開放されている。
【0037】ステップs2では、左プロテクタロール2
6bが初期設定位置まで上昇される。上昇に際しては、
前記電磁操作弁51の切換位置がU位置に手動で切換え
られ、初期設定位置に到達後には、その切換位置がN位
置に手動で切換えられる。上昇時の電磁操作弁51の操
作は以下同様にして行われる。初期設定位置は、前述の
ように左プロテクタロール26bの中心Pがガイド板4
1の頂部Qよりも下方であって、かつ左プロテクタロー
ル26bの上端が左形状検出ロール25bの上端よりも
20mm上方に位置するように設定される。このためス
テンレス鋼帯20の先端は、20段ゼンジミア圧延機2
3、ガイド板41を経て左プロテクタロール26bに突
っ掛かることなく、左プロテクタロール26bの上端を
越えて円滑にスレッディングされる。
【0038】ステップs3では、ステンレス鋼帯20の
先端が左プロテクタロール26bを越えてスレッディン
グされた後、左プロテクタロール26bが上限位置まで
上昇される。上限位置は前述のように左プロテクタロー
ル26bの上端が左形状検出ロール25bの上端よりも
50mm上方に位置するように設定される。このため異
物付着の多いサービステールが溶接されているステンレ
ス鋼帯20の先端は、左形状検出ロール25bに衝突や
接触することなく、その上方を間隔をあけてスレッディ
ングされ、左デフレクタロール24bを経て、左巻取り
リール22bに到達する。左巻取りリール22bに到達
後、ステンレス鋼帯20の先端は左巻取りリール22b
にグリップされる。また20段ゼンジミア圧延機23に
おいては、1パス目の圧下設定がパススケジュールに基
づいて行われる。
【0039】ステップs4では、左巻取りリール22b
によってステンレス鋼帯20の巻取りが開始され、ステ
ンレス鋼帯20に張力が付与され、1パス目の冷間圧延
が開始される。ステンレス鋼帯20に付与される張力
は、上限位置に設定されている左プロテクタロール26
bに押下力を作用させるので、中立回路を形成している
油圧回路内の油圧が上昇する。ステンレス鋼帯20に付
与される張力は後述のように大張力であるので、油圧は
非常に高くなり、リリーフ弁52の作動圧力を越え、リ
リーフ弁52が作動する。これによって左プロテクタロ
ール26bは、上限位置から前記ステンレス鋼帯20の
冷間圧延時のパスライン位置PL2の位置まで緩やかに
下降するので、ステンレス鋼帯20と左形状検出ロール
25bとの接触がソフトに行われ、左形状検出ロール2
5bに対する大きな衝撃力の作用が回避される。このた
めステンレス鋼帯20の表面疵の発生が防止され、かつ
左形状検出ロール25bの破損や傷発生が防止される。
【0040】また冷間圧延中ステンレス鋼帯20に付与
される張力は、全張力で8〜60トンであることが好ま
しい。全張力がこのような張力範囲に選ばれたのは、8
トン未満の全張力では張力が過小であるので、圧延荷重
の大幅低下を図ることが困難であり、硬質材料であるス
テンレス鋼帯20の高圧下圧延が困難になるからであ
る。また60トンを越える全張力では、張力が過大であ
るので、形状検出ロール25に対する異物付着の発生が
著しくなるからである。
【0041】ステップs5では、左プロテクタロール2
6bが下限位置まで下降される。このため冷間圧延中、
左プロテクタロール26bとステンレス鋼帯20との接
触が回避され、左プロテクタロール26bに起因するス
テンレス鋼帯20の表面疵の発生が防止される。
【0042】図8は、ステンレス鋼帯の1パス目の冷間
圧延終了後における後端スレッディング方法をプロテク
タロールの動作を主体として説明するためのフローチャ
ートである。図1を参照して、ステンレス鋼帯20の1
パス目の冷間圧延は、ステンレス鋼帯20の後端が供給
リール21から離れ、デフレクタロール29を経て右巻
取りリール22a近辺に到達するまで行われる。
【0043】ステップa1では、1パス目の冷間圧延終
了後、右および左プロテクタロール26a,26bが上
限位置まで上昇される。プロテクタロール26の上昇
後、前記スレッディングテーブルが縮小され、退避位置
まで移動して待機する。ステンレス鋼帯20の後端は、
上限位置まで上昇されているプロテクタロール26によ
って支持されるので、スレッディングテーブルが退避し
ても異物付着の多い前記サービステールが溶接されてい
るステンレス鋼帯20の後端と形状検出ロール25との
接触や衝突が防止される。このため前述と同様に形状検
出ロール25に対する傷や異物付着の発生が防止され
る。スレッディングテーブルの退避後、ステンレス鋼帯
20の後端は、右巻取りリール22aにグリップされ
る。また20段ゼンジミア圧延機23においては、2パ
ス目の圧下設定がパススケジュールに基づいて行われ
る。
【0044】ステップa2では、右巻取りリール22a
によってステンレス鋼帯20の巻取りが1パス目とは逆
方向に開始され、ステンレス鋼帯20に張力が付与さ
れ、2パス目の冷間圧延が開始される。ステンレス鋼帯
20への張力付与後は、前述と同様にプロテクタロール
26がリリーフ弁52の緩衝作用によって前記パスライ
ン位置PL2まで緩やかに下降する。
【0045】ステップa3では、右および左プロテクタ
ロール26a,26bが下限位置まで下降され、その位
置で待機する。2パス目の冷間圧延終了後、2パス目と
逆方向に3パス目の冷間圧延が行われる。3パス目の冷
間圧延は、ステンレス鋼帯20の先端を左巻取りリール
22bに、後端を右巻取りリール22aにグリップした
まま行われる。このレバース圧延は、ステンレス鋼帯2
0の板厚が予め定める値に達するまで繰返して行われ
る。なお冷間圧延中、全パスを通じて自動形状制御が行
われる。自動形状制御は、形状検出ロール25の形状出
力が予め定める形状目標範囲を満たすように20段ゼン
ジミア圧延機23に設けられている前記形状制御手段の
制御量を自動制御することによって行われる。
【0046】図9は、ステンレス鋼帯の最終圧延パス後
における後端スレッディング方法をプロテクタロールの
動作を主体として説明するためのフローチャートであ
る。図1を参照して、ステンレス鋼帯20の最終圧延パ
スは、左巻取りリール22bによって最終巻取りが行わ
れるようにパス回数が調整される。ステップb1では、
ステンレス鋼帯20の後端が右巻取りリール22aから
離れ、冷間圧延張力が開放される。ステップb2では、
右および左プロテクタロール26a,26bが上限位置
まで上昇される。ステンレス鋼帯20は、プロテクタロ
ール26によって形状検出ロール25より上方の上限位
置で支持されるので、ステンレス鋼帯20の最終圧延パ
ス後における後端スレッディング時に、異物付着の多い
サービステールが溶接されているステンレス鋼帯20の
後端と形状検出ロール25との衝突や接触を防止するこ
とができる。ステップb3では、左巻取りリール22b
にステンレス鋼帯20の後端が巻取られた後、右および
左プロテクタロール26a,26bが下限位置まで下降
され、次回の冷間圧延までその位置で待機する。なおス
テンレス鋼帯20の第1パス目の先端スレッディング開
始から最終圧延パスの後端スレッディング終了まで、前
記異物除去ブレード28は、形状検出ロール25および
デフレクタロール24a,24bに付着した異物、すな
わち鉄粉のかき取りを継続する。
【0047】以上詳述したように、本実施例では、冷間
圧延時の張力が高い場合やサービステールを溶接して冷
間圧延を行う場合などのように異物発生量が多く、かつ
異物が強固に付着しやすい悪条件下においても、プロテ
クタロール26の適正な操作によってステンレス鋼帯2
0のスレッディング時に、異物付着の多いサービステー
ルが溶接されているステンレス鋼帯20の先後端と形状
検出ロール25との衝突や接触を回避することができ
る。このため形状検出ロール25の傷や異物付着の発生
が防止され、それに起因するステンレス鋼帯20の表面
疵の発生を防ぐことができる。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、金属帯の
圧延設備は形状検出ロールの傷や異物付着の発生が生じ
やすい金属帯のスレッディング時に形状検出ロールと金
属帯との接触を回避させることができるので、形状検出
ロールの傷や異物付着の発生を確実に防止することがで
きる。これによって形状検出ロールの耐久性が大幅に向
上し、かつ作業者が手作業で行っていた付着異物除去作
業を廃止することができるので、金属帯圧延設備の休止
時間が大幅に短縮され、圧延設備の稼動率、能率および
生産性が大幅に向上する。
【0049】また本発明によれば、金属帯のスレッディ
ング時に、プロテクタロールの昇降方向位置が適正位置
に設定されるので、金属帯と形状検出ロールの衝突や接
触が回避され、形状検出ロールに対する傷や異物付着の
発生が確実に防止される。これによって後続する冷間圧
延時に形状検出ロールの傷に起因する金属帯の転写疵や
異物付着に起因する金属帯の押込み疵の発生が確実に防
止される。このため金属帯の表面品質および製造歩留り
が大幅に向上する。
【0050】また本発明によれば、大きな圧延張力の下
で冷間圧延を行うクラスタ型冷間圧延機においても、形
状検出ロールへの異物付着を確実に防止することができ
るので、形状検出ロールの耐久性が大幅に向上し、長期
間にわたって金属帯の形状を確実に検出することができ
る。
【0051】また本発明によれば、昇降駆動手段の昇降
駆動は、構造が簡単で複雑なリンク機構などを設ける必
要がなく、かつ大きな力を発生させることができる複動
流体圧シリンダによって行われるので、昇降駆動手段の
小型化ならびに省スペース化を図ることができる。また
緩衝手段は、プロテクタロールを上限位置から緩やかに
下降させることができるので、プロテクタロールととも
に下降する金属帯と形状検出ロールとの接触がソフトに
行われる。これによって形状検出ロールに対する大きな
衝撃力の作用が回避されるので、形状検出ロールの破損
や傷発生が防止される。また金属帯の表面疵の発生を防
止することができる。
【0052】また本発明によれば、金属帯に張力が付与
され、冷間圧延が開始される際に、金属帯と形状検出ロ
ールとの接触がソフトに行われるので、形状検出ロール
の傷発生が防止される。このため形状検出ロールの耐久
性および金属帯の表面品質が大幅に向上する。また冷間
圧延中には、プロテクタロールと金属帯との接触が回避
されるので、プロテクタロールに起因する金属帯の表面
疵の発生が防止され、金属帯の表面品質が向上する。
【0053】また本発明によれば、過大圧延張力に基づ
く形状検出ロールへの異物付着が防止されるので、金属
帯の押込み疵の発生が防止され、金属帯の表面品質およ
び製造歩留りが大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である金属帯のレバース式冷
間圧延設備の簡略化された構成を示す系統図である。
【図2】図1に示す左プロテクタロール近辺の簡略化さ
れた構成を示す側面図である。
【図3】図2に示す左プロテクタロール近辺の簡略化さ
れた構成を示す正面図である。
【図4】図2に示す左プロテクタロール近辺の簡略化さ
れた構成を示す平面図である。
【図5】図1に示す昇降駆動手段の簡略化された構成を
示す系統図である。
【図6】ステンレス鋼帯のスレッディング時におけるプ
ロテクタロールの昇降方向設定位置を示す模式図であ
る。
【図7】ステンレス鋼帯の冷間圧延における1パス目の
先端スレッディング方法をプロテクタロールの動作を主
体として説明するためのフローチャートである。
【図8】ステンレス鋼帯の1パス目の冷間圧延終了後に
おける後端スレッディング方法をプロテクタロールの動
作を主体として説明するためのフローチャートである。
【図9】ステンレス鋼帯の最終圧延パス後における後端
スレッディング方法をプロテクタロールの動作を主体と
して説明するためのフローチャートである。
【図10】従来からのレバース式20段ゼンジミアミル
の簡略化された構成を示す系統図である。
【符号の説明】
1,21 供給リール 3,22a 右巻取りリール 5a,25a 右形状検出ロール 5b,25b 左形状検出ロール 9,22b 左巻取りリール 10,20 ステンレス鋼帯 11,28 異物除去ブレード 23 クラスタ型冷間圧延機 26 プロテクタロール 27 昇降駆動手段 39 複動油圧シリンダ 41 ガイド板 51 電磁操作弁 52 リリーフ弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B21B 39/14 B21B 37/00 116M (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 39/02 B21B 39/14 B21B 33/02 B21B 37/00 B21B 1/00 - 11/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯を供給する供給リールと、 圧延された金属帯を巻取る巻取りリールと、 供給リールと巻取りリールとの間に設けられ、供給リー
    ルから供給された金属帯を所定の板厚に圧延する圧延機
    と、 圧延機と巻取りリールとの間に設けられ、金属帯を巻掛
    けて巻取りリールに導くデフレクタロールと、 圧延機とデフレクタロールとの間に設けられ、ほぼ水平
    に通板される金属帯の下面に接触して、その金属帯の形
    状を検出する形状検出ロールと、 圧延機と形状検出ロールとの間に形状検出ロールに近接
    して設けられ、形状検出ロールの上端よりも上方の上限
    位置と前記形状検出ロールの上端よりも下方の下限位置
    との間で昇降可能に支持されるプロテクタロールと、 プロテクタロールを前記上限位置と下限位置とにわたっ
    て昇降駆動する昇降駆動手段と、 圧延機とプロテクタロールとの間にプロテクタロールに
    近接して設けられるガイド板であって、ガイド板の頂部
    は形状検出ロールの上端よりも下方に設けられるガイド
    板とを含み、 金属帯のスレッディング開始時には、プロテクタロール
    の中心がガイド板の頂部よりも下方であって、かつプロ
    テクタロールの上端が形状検出ロールの上端よりも上方
    であるようにプロテクタロールの位置が設定され、 金属帯の先端がプロテクタロールを越えてスレッディン
    グされた後には、プロテクタロールの中心がガイド板の
    頂部よりも上方に位置するようにプロテクタロールの位
    置が上限位置に設定されることを特徴とする金属帯の圧
    延設備。
  2. 【請求項2】 前記圧延機は、クラスタ型冷間圧延機で
    あることを特徴とする請求項1記載の金属帯の圧延設
    備。
  3. 【請求項3】 前記昇降駆動手段は、 プロテクタロールを上限位置から下限位置にわたって昇
    降駆動させる複動流体圧シリンダと、 複動流体圧シリンダの作動流体の経路を複動流体圧シリ
    ンダの昇降および保持動作に応じて切換える経路切換手
    段と、 プロテクタロールを緩やかに下降させる緩衝手段とを含
    むことを特徴とする請求項1または2記載の金属帯の圧
    延設備。
  4. 【請求項4】 金属帯を供給する供給リールと、 圧延された金属帯を巻取る巻取りリールと、 供給リールと巻取りリールとの間に設けられ、供給リー
    ルから供給された金属帯を所定の板厚に圧延する圧延機
    と、 圧延機と巻取りリールとの間に設けられ、金属帯を巻掛
    けて巻取りリールに導くデフレクタロールと、 圧延機とデフレクタロールとの間に設けられ、ほぼ水平
    に通板される金属帯の下面に接触して、その金属帯の形
    状を検出する形状検出ロールと、 圧延機と形状検出ロールとの間に形状検出ロールに近接
    して設けられ、形状検出ロールの上端よりも上方の上限
    位置と前記形状検出ロールの上端よりも下方の下限位置
    との間で昇降可能に支持されるプロテクタロールと、 プロテクタロールを前記上限位置と下限位置とにわたっ
    て昇降駆動する昇降駆動手段と、 圧延機とプロテクタロールとの間にプロテクタロールに
    近接して設けられ、形状検出ロールの上端よりも下方に
    位置するガイド板とを含む金属帯の圧延設備を使用し
    て、 金属帯のスレッディング開始時には、プロテクタロール
    の中心がガイド板の頂部よりも下方であって、かつプロ
    テクタロールの上端が形状検出ロールの上端よりも上方
    であるようにプロテクタロールの位置を設定し、 金属帯の先端がプロテクタロールを越えてスレッディン
    グされた後には、プロテクタロールの中心がガイド板の
    頂部よりも上方に位置するようにプロテクタロールの位
    置を上限位置に設定し、 金属帯の先端が巻取りリールに巻取られ、張力が金属帯
    に付与されるときには、緩衝手段を介してプロテクタロ
    ールを緩やかに下降し、 金属帯の圧延中には、プロテクタロールの上端が形状検
    出ロールの上端よりも下方に位置するようにプロテクタ
    ロールの位置を下限位置に設定することを特徴とする金
    属帯の圧延方法。
  5. 【請求項5】 金属帯の圧延中の全張力が8〜60トン
    であることを特徴とする請求項4記載の金属帯の圧延方
    法。
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