JP3433877B2 - エポキシ樹脂組成物、それからなるフィルム状接着剤およびエポキシ樹脂組成物の調製方法 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物、それからなるフィルム状接着剤およびエポキシ樹脂組成物の調製方法Info
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Description
物に関し、より詳しくは室温において非常に安定であ
り、かつ取扱い性が良好で、高い接着強度を有し、低温
速硬化タイプのフィルム状接着剤として極めて有用なエ
ポキシ樹脂組成物およびその特性を十分に引き出す調製
方法に関する。
いは1液型ペースト状接着剤と比較して取扱い性、接着
特性が優れていることから航空機分野、建材分野等のハ
ニカム材と面材などの接着に使用されている。
ィルム状接着剤では接着が困難であった、大型部材や耐
熱性の低い材料を接着するために、低温で接着が可能な
フィルム状接着剤の開発要求がある。
(タック、流動性等)と硬化特性および貯蔵安定性の相
反する物性の両立が難しく、多岐にわたるユーザーの要
求にもかかわらず満足する材料が少ない。
性と保存安定性および生産性の相反する特性の両立と
は、室温保存下、あるいは生産時のエポキシ樹脂組成物
を離型紙上に加熱塗布する際には反応がほとんど進行せ
ず、硬化温度では速やかに反応が進行するという性質で
ある。したがって、低温で硬化接着が可能なフィルム状
接着剤は樹脂組成物の硬化温度と離型紙上に樹脂フィル
ムとする温度との差が必然的に小さくなり、上記特性の
両立はより困難になると考えられていた。
材料において、フィルム状接着剤として取り扱えるよう
に改善するため、高分子量のエポキシ樹脂を添加する
と、架橋密度の低減による耐熱性の低下を招くばかり
か、硬化温度でのモビリティの低下により反応性が低下
し、十分に硬化反応が進行せず接着強度が得られない。
機系充填材およびゴム成分を添加する方法(例えば特開
昭46−24898号公報、特開昭53−119939
号公報、特開平2−173082号公報)も一般的に行
われているが、前者は接着強度を低下させ、後者は取扱
い性が向上するものの、Tgが低下し被接着物の使用温
度が制限される。
であったため、これまで100℃以下で硬化し、しかも
取扱い性、保存安定性、接着強度にも優れるフィルム状
接着剤はこれまで開発されていない。
的課題を解決し、室温での取扱い性、保存安定性が優
れ、高い接着強度を有する、ホットメルト法でのフィル
ム化が可能な低温速硬化型フィルム状接着剤として用い
うるエポキシ樹脂組成物およびその調製方法を提供する
ことを目的とするものである。
的を達成するため鋭意研究を進めた結果、硬化剤の構
成、配合量を最適化するだけでなくベースとなるエポキ
シ樹脂組成物の構成を工夫することにより、上記の目的
が達成されることを見いだし、本発明を完成した。
示されたポリサルファイト骨格を有するエポキシ樹脂5
〜30重量%、(B)熱可塑性エラストマー成分を含有
するエポキシ樹脂および/または架橋ゴム成分を含有す
るエポキシ樹脂20〜60重量%、(C)軟化点が50
℃以上の固形エポキシ樹脂10〜50重量%および
(D)ポリアミド樹脂2〜40重量%からなる樹脂組成
物100重量部に対して、(E)尿素系硬化剤2〜15
重量部、および(F)40℃で安定であり、80℃以下
の温度で活性化し得る潜在性硬化触媒3〜20重量部を
配合してなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
ィルム状接着剤を第2の要旨とし、(A)一般式(I)
で示されたポリサルファイト骨格を有するエポキシ樹脂
5〜30重量%、(B)熱可塑性エラストマー成分を含
有するエポキシ樹脂および/または架橋ゴム成分を含有
するエポキシ樹脂20〜60重量%、(C)軟化点が5
0℃以上の固形エポキシ樹脂10〜50重量%および
(D)ポリアミド樹脂2〜40重量%からなる樹脂組成
物を(D)の融点または軟化点以上の温度で混合して均
一とした後、降温し、上記樹脂組成物100重量部に対
して、(E)尿素系硬化剤2〜15重量部、および
(F)40℃で安定であり、80℃以下の温度で活性化
し得る潜在性硬化触媒3〜20重量部を配合することを
特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法を第3の要旨
とする。
ける重要な構成要素の一つは(A)ポリサルファイト骨
格を有するエポキシ樹脂と、(B)熱可塑性エラストマ
ー成分を含有するエポキシ樹脂および/または架橋ゴム
成分を含有するエポキシ樹脂とを併用することである。
薬品性および靭性に優れているが、単独ではフィルム状
接着剤として使用できないポリサルファイト骨格を有す
るエポキシ樹脂(A)とフィルム状接着剤としては使用
できるが、エラストマー成分または架橋ゴム成分の存在
による耐熱性の低い、熱可塑性エラストマー成分を含有
するエポキシ樹脂および/または架橋ゴム成分を含有す
るエポキシ樹脂(B)とをある特定の割合で併用するこ
とにより、室温での保存安定性に優れ、高い接着強度を
有し、しかも耐熱性の優れた低温速硬化性を有するエポ
キシ樹脂組成物が得られることを見い出した。
脂としては、下記一般式(I)で示されるような構造を
有するエポキシ樹脂が好適に用いられる。
mは1〜3.5の範囲が好ましく、さらに好ましくは
1.5〜3の範囲である。またポリサルファイト骨格の
nは1〜70の範囲が好ましく、より好ましくは2〜5
0の範囲である。ポリサルファイト骨格のnが1未満で
あると通常のビスフェノール型エポキシと同等になり効
果が得られない。また、nが70を超えると耐熱性が低
下する。
ルファイト骨格を有するエポキシ樹脂は、米国特許第
2,363,614号明細書に記載されているようにジ
シクロアルキルもしくはトリクロルアルキルなどを多硫
化ナトリウムと反応させることにより得られる固形ゴム
状ポリサルファイト重合体、もしくは米国特許第2,4
66,963号明細書および特開昭59−221333
号公報に記載されているようにゴム状ポリサルファイト
のラテックスを求核試薬と還元剤を組み合わせた液で処
理することにより得られる液状ポリサルファイトにエポ
キシ基を導入もしくはエポキシ樹脂と反応させることに
より得ることができる。
限定されないが、ビスフェノールA型、ビスフェノール
F型、3官能および4官能エポキシ樹脂、ノボラック型
およびこれらの変性エポキシ樹脂等が挙げられるがこれ
らに限定されるものではない。
脂とメルカプタン末端ポリサルファイト化合物等を反応
させることによっても得ることができる。
性を付与するために上記化合物の少なくとも1つの水素
をハロゲン化したものも使用できる。
エポキシ樹脂は、市販されており、その例として東レチ
オコール(株)製のFLEP10,FLEP60等が挙
げられる。また、必要に応じて反応性希釈剤、カップリ
ング剤等を混合して用いてもよい。
熱可塑性エラストマーまたは架橋ゴムをあらかじめ以下
に記載したようにエポキシ樹脂に均一に分散したものが
使用される。
含有するエポキシ樹脂における熱可塑性エラストマーと
は、エポキシ樹脂と反応し得る末端基を有するブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン
系エラストマー等の非架橋の熱可塑性エラストマー成分
をエポキシ樹脂中に分散し反応させて得られるもので、
これらのエラストマー成分の末端基とエポキシ樹脂とが
部分的に反応していることが性能安定性の面から好まし
いが、これらに限定するものではない。
ポキシ樹脂とは、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム等
の架橋ゴム成分をエポキシ樹脂中に分散させた後、反応
して得られるもので、これらのゴム成分も上記の熱可塑
性エラストマー成分を含有するエポキシ樹脂と同様、末
端基とエポキシ樹脂とが部分的に反応していることが好
ましいが、これらに限定するものではない。
たは架橋ゴム成分と反応させるエポキシ樹脂は特に制限
はないが、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エ
ポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が取扱い性の
面から特に好ましい。
は架橋ゴム成分を含有するエポキシ樹脂は、エポキシ樹
脂と反応し得る末端基を有する非架橋のエラストマー成
分もしくは架橋ゴム成分とエポキシ樹脂とを100〜1
80℃の温度で必要により触媒を添加して反応させるこ
とにより容易に得ることができる。
成分を有するエポキシ樹脂または架橋ゴム成分を含有す
るエポキシ樹脂をさらに予備反応することにより軟化点
が50℃以上の固体エポキシとして使用することもでき
る。
を使用することが可能であり、例えば、大日本インキ化
学工業(株)製のエピクロンTSR−960,エピクロ
ンTSR930,エピクロンTSR601、油化シェル
エポキシ(株)製のエピコートYL6308,エピコー
トYL6347、日本触媒化学工業(株)製のα−MN
77、CX−MN110、CX−MN201、および日
本合成ゴム(株)製のXER,XER2等を例示するこ
とができる。
の熱可塑性エラストマー成分を含有するエポキシ樹脂と
架橋ゴム成分を含有するエポキシ樹脂は、1種または2
種以上を併用して用いることができるが、2種以上を併
用する方が硬化樹脂の靭性、接着特性の向上効果がより
顕著である。
有するエポキシ樹脂と架橋ゴム成分を含有するエポキシ
樹脂との配合割合は特に限定されないが、これらの混合
エポキシ樹脂中に含まれるエラストマー成分と架橋ゴム
成分の総量が全体のエポキシ樹脂成分の3〜20重量%
の範囲内にあることが好ましい。
キシ樹脂は、軟化点が50℃以上の固形のものが好まし
い。このようなエポキシ樹脂を用いることにより低温で
の硬化特性を犠牲にすることなくエポキシ樹脂組成物全
体の取扱い性と流動性をコントロールすることが可能と
なる。(C)成分のエポキシ樹脂の軟化点が50℃未満
であると得られるエポキシ樹脂の室温での取扱い性を適
度にコントロールすることが困難となる。
種類で、または必要に応じて2種類以上を併用すること
ができる。その際、混合するすべてのエポキシ樹脂の軟
化点が50℃以上である必要はなく、混合するエポキシ
樹脂中に軟化点が50℃未満のエポキシ樹脂が含まれて
いても、(C)成分として用いるエポキシ樹脂組成物の
軟化点が50℃以上であれば差し支えない。
硬化性の面を考慮すると200〜4000g/eq.の
範囲が好ましい。特に好ましくはエポキシ当量が400
〜3000g/eq.の範囲である。
樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポ
キシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。 特に
好ましいエポキシ樹脂として以下の市販のものを例示す
ることができる。
514(エポキシ当量=300g/eq.,軟化点=7
5℃) 大日本インキ化学工業(株)製:HP−4032H(エ
ポキシ当量=250g/eq.,軟化点=70℃) 大日本インキ化学工業(株)製:エピクロン 152
(エポキシ当量=360g/eq.,軟化点=60℃) 大日本インキ化学工業(株)製:EXA1857(エポ
キシ当量=250g/eq.,軟化点=80℃) 日本化薬(株)製:EBPS−300(エポキシ当量=
260g/eq.,軟化点=65℃) 油化シェルエポキシ(株)製:Ep1001(エポキシ
当量=450g/eq.,軟化点=64℃) 油化シェルエポキシ(株)製:エピコート1009(エ
ポキシ当量=3300g/eq.,軟化点=144℃) 油化シェルエポキシ(株)製:E4001p(エポキシ
当量=480g/eq.,軟化点=60℃)
ポキシ樹脂組成物に(D)成分としてポリアミド樹脂を
併用することである。従来は前述したようにフィルム接
着剤としての取扱い性を確保するために固形エポキシ樹
脂の配合が不可欠であったが、それにより80℃での硬
化性が低下するため、両者のバランスを取ることが難し
く、また、上記樹脂組成物は硬化物が非常に硬いため、
剛直性を求められる接着用途に適しているが、発泡体等
の柔軟性を有するものとの接着には不向きであった。
を上記樹脂組成物に対し2〜40重量%の比率で配合す
ることにより、80℃での低温硬化性および耐熱性を確
保しつつ、フィルム接着剤としての取扱い性、発泡体等
の柔軟性を有する素材への接着特性を改善できることを
見い出した。
アミド樹脂は結晶性ポリアミド、非晶性ポリアミド等い
かなるポリアミドも使用できる。本発明で使用できるポ
リアミドの例としてはナイロン6、ナイロン66、ナイ
ロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン
12等の結晶性ナイロン、および非晶性ナイロン、共重
合ナイロン、ブレンド品等が挙げられる。
られるポリアミドは共重合ナイロンであり、更に好まし
くはアルコール可溶性ナイロンである。(D)成分が樹
脂調整時に軟化もしくは融解、あるいはエポキシ樹脂に
少なくとも一部が溶解することにより、低温での硬化性
を保持しつつ、優れた接着強度を発現させることが可能
となる。
効果が得られる。この場合の低融点とは、エポキシ樹脂
成分を調整する温度(約160℃)以下の融点もしくは
軟化点を有するポリアミドを示す。(D)成分として入
手可能な共重合ナイロンは東レ(株)製:CM400
0,CM4001,CM8000,CM6000シリー
ズ、ダイセル化学(株)製:ダイアミドX1874,N
1901シリーズ、ユニチカ(株)製:ユニチカナイロ
ンT−8,C1030,BASF:1C,6A、ヘンケ
ル白水社製のマクロメルトJP900,JP901等を
挙げることができるがこれらに限定するものではない。
分に溶解する場合、いかなる形態、粒径でも構わない。
また、(D)成分がエポキシ樹脂成分に溶解しない場
合、(D)成分の形態は粉体であることが好ましい。こ
の粉体の平均粒径は150ミクロン以下の範囲が好まし
く、更に好ましくは100ミクロン以下である。この場
合の平均粒径とは遠心沈降速度法などで求められる体積
平均粒径を意味する。平均粒径が150ミクロンを越え
ると、接着する際に被接着面同士の密着性が得られず、
十分な接着強度が得られない。発泡体等の柔軟性を有す
る素材への接着性の改善には(D)成分が上記エポキシ
樹脂組成物に溶解することが好ましい。
(A)、(B)、(C)および(D)の4成分を必須成
分とするものであり、その比率は(A)成分が5〜30
重量%、(B)成分が20〜60重量%、(C)成分が
10〜50重量%および(D)成分が2〜40重量%で
ある。(A)成分の量が5重量%未満では十分な接着
性、靭性は得られず、30重量%を越えると取扱い性が
低下する。また、(B)成分の量が20重量%未満では
十分な接着強度が得られず、60重量%を越えると接着
強度の向上が望めないばかりではなく耐熱性が低下す
る。そして、(C)成分の量が10重量%未満では樹脂
組成物の取扱い性が悪く、50重量%を越えると樹脂組
成物のモビリティが低下し80℃での硬化性が悪化し、
硬化しない場合がある。
エポキシ樹脂成分として上記の(A)、(B)、(C)
および(D)成分から構成されるが、取扱い性最適化な
ど様々な要求に答えるため、必要に応じてこの他のエポ
キシ樹脂を全エポキシ樹脂に対して20重量%以下の範
囲で併用することができる。
ックの調製などに使用し、添加することにより本発明の
樹脂組成物の低温短時間で硬化し、高い接着強度を発現
するという特徴を損なうものでなければ特に限定はな
い。例えば、タックの最適化を図るために使用するエポ
キシ樹脂としては低粘度のビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルS型エポキシ樹脂やこれらを予備反応することにより
得られる半固形、固形エポキシ樹脂、およびこれらを変
性したエポキシ樹脂などが挙げられ、耐熱性を改善する
目的に添加されるエポキシ樹脂としてはグリシジルアミ
ン型などの多官能性エポキシ樹脂、芳香族系エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ樹脂等があり、耐衝撃性を向
上させる目的に長鎖のアルキル系エポキシなどの添加が
有益である。この時添加するエポキシ樹脂に市販されて
いるエポキシ樹脂を使用してもなんら問題はない。
る二つ目に重要な構成要素は、尿素系硬化剤(E)と4
0℃で安定で、かつ80℃以下の温度で活性化し得る潜
在性硬化触媒(F)とを併用して用いることである。
で硬化させるだけであれば、潜在性硬化触媒(F)を単
独で使用しても、エポキシ当量さえ十分に使用すれば可
能であるが、接着強度の点では十分な強度が得られな
い。それに対し、尿素系硬化剤(E)を併用した場合は
より少ない硬化剤使用量でも十分な接着強度が得られる
からである。
しては、下記の構造式(II)および(III) で示すものを
例示することができる。
温度で活性化し得る潜在性硬化触媒(F)としては、マ
イクロカプセル型、アミンダクト型などの潜在性硬化剤
のうち、40℃で安定で、80℃以下の温度で活性化し
得るものが用いられる。市販されている潜在性硬化剤で
これらの条件に単独でも合致するものとしては、例えば
味の素(株)製のPN−23、旭化成工業(株)製のH
X−3721,HX−3722、エー・シー・アール
(株)製のH3615,4003,4070等を例示す
ることができる。これらは1種で、または2種類以上を
併用して用いることができる。
硬化触媒(F)の配合割合は、上記(A),(B)およ
び(C)成分からなるエポキシ樹脂100重量部に対し
て、尿素系硬化剤(E)が2〜20重量部、および潜在
性硬化触媒(F)が3〜20重量部である。
部、および潜在性硬化触媒(F)が3重量部に満たない
場合には、エポキシ樹脂の硬化反応が十分に進行せず、
所望の接着強度が得られない。一方、尿素系硬化剤
(E)および潜在性硬化触媒(F)の配合割合が共に2
0重量部を越えて使用しても硬化特性の向上は望めず、
保存安定性、接着強度が低下するようになる。好ましい
尿素系硬化剤(E)の配合割合は5〜15重量部、およ
び好ましい潜在性硬化触媒(F)の配合割合は5〜15
重量部である。
樹脂硬化剤系に助触媒を添加することができる。特に、
ビスフェノールタイプのアミン化合物は、上記の潜在性
硬化触媒との併用により硬化反応を促進することができ
る。助触媒のアミン化合物としては、メタフェニレンジ
アミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニ
ルスルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタン等の
芳香族ジアミンが挙げられる。
上記の硬化剤系と、成分(A)のポリサルファイト骨格
を有するエポキシ樹脂および成分(B)の熱可塑性エラ
ストマー成分または架橋ゴム成分を含有するエポキシ樹
脂とを組み合わせてあるため、硬化剤の触媒性能をさら
に飛躍的に向上させる効果が得られる。
記の成分以外に炭酸カルシウム、タルク等の充填剤、難
燃剤、顔料等を目的に応じて適宜使用することができ
る。また、フィルム状接着剤として使用する場合にキャ
リヤー材として使用するガラス、ポリエステル、ナイロ
ン等の不織布、織物材等を含有しても差し支えない。
限に引き出すには、(A)〜(D)成分を成分(D)の
融点または軟化点以上の温度で混合して均一とした後、
降温し、上記樹脂組成物に対して、(E)および(F)
成分を配合することが好ましい。成分(D)を添加した
樹脂組成物をいったん成分(D)の融点または軟化点以
上の温度に昇温し均一とすることにより、本発明のエポ
キシ樹脂組成物の特徴である、低温での硬化性を保持し
つつ、優れた接着強度を発現し、さらには発泡体等の柔
軟性を有する素材への十分な接着が可能となる。成分
(E)および(F)を添加する温度は、成分(F)の活
性が十分に発現しない温度であり、(A)〜(D)成分
と(E)および(F)成分との混合が短時間のうちに可
能である温度を成分(F)の硬化特性から判断すればよ
い。
らに詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるも
のではない。実施例および比較例中の「部」は「重量
部」を示す。なお、実施例および比較例中の各評価は以
下の方法で行った。取扱い性は、樹脂組成物をフィルム
状とした時のトップフィルム(保護フィルム)の解除が
可能か否かで評価した(○:良好、×:不良)。耐熱性
は、樹脂組成物のMechanical Therma
l Analysis(Tanδmax)で評価した。
接着強度の評価は、JIS 6850(1976)「接
着剤の引張剪断接着強さ試験法」に準拠し、被接着体に
サンドブラスト処理を施したアルミニウム板(A202
4P−T3)を用いて行った。発泡体との接着強度の評
価は、ASTM−C−297−76(フラットワイズ引
張試験)に準拠し、発泡体として鐘淵化学工業(株)製
のポリ塩化ビニル系発泡体クレゲセル#100を用いて
行った。発泡体内部で破壊したものを○とした。保存安
定性は、樹脂組成物を室温で放置した時、調製直後の2
倍の粘度となるまでの時間で評価した。以上の樹脂の硬
化条件は80℃×2時間とした。
は、以下の化合物を表す。 FLEP60:ポリサルファイト骨格を有するエポキシ
樹脂(東レチオコール(株)) TSR960:カルボキシル基末端のブタジエン/アク
リロニトリル共重合体と液体エポキシ樹脂との反応物。
エラストマー含有量=10%(大日本インキ化学工業
(株)) YL6308:スチレン/ブタジエン系エラストマーと
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂との反応物。推定
エラストマー含量=10%(油化シェルエポキシ
(株)) BPA328:架橋構造を有するアクリルゴムとビスフ
ェノールA型液状エポキシ樹脂との反応物。推定ゴム含
有量=20%((株)日本触媒) BPF307:架橋構造を有するアクリルゴムとビスフ
ェノールF型液状エポキシ樹脂との反応物。推定ゴム含
有量=20%((株)日本触媒) Ep828:エピコート828ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)) Ep807:エピコート828ビスフェノールF型エポ
キシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)) Ep1001:エピコート1001固形エポキシ樹脂、
軟化点=70℃、エポキシ当量=480g/eq(油化
シェルエポキシ(株)) Ep4005:エピコート4005固形エポキシ樹脂、
軟化点=90℃、エポキシ当量=1100g/eq(油
化シェルエポキシ(株)) EXA1514:ビスフェノールS型エポキシ樹脂、軟
化点=75℃、エポキシ当量=300g/eq(大日本
インキ化学工業(株)) N740:EPICLON N740フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂、半固形(大日本インキ化学工業
(株)) PN−23:アミンアダクト型潜在性硬化剤(味の素
(株)) HX−3722:マイクロカプセル型潜在性硬化剤(旭
化成工業(株)) JP901:アルコール可溶性ナイロン(ヘンケル白水
社製) D250:共重合ポリアミド(ダイセルヒュルズ
(株)) PDMU:3−フェニル−1,1−メチルウレア(オミ
キュア94,ACIJapan Ltd.製) DCMU:3−(3,4−ジクロフェニル)−1,1−
ジメチルウレア(DUMU99、保土ヶ谷化学工業
(株)) DDS:4、4’−ジアミノジフェニルサルフォン(S
EIKA&COMPANY,LTD.製)
してはTSR960を20部、(C)成分として、Ep
1001を40部、(D)成分としてJP601を10
部を150℃で溶融混合した後、60℃まで冷却した。
次いでEp828 10部にPDMUを7部、PN−2
3を10部およびDDSを2部を加え、均一になるまで
3本ロールで混合して本発明のエポキシ樹脂組成物を得
た。このエポキシ樹脂組成物から厚み150μmのフィ
ルムを作製し、これを目付20g/m2 のポリエチレン
不織布に張り合わせてフィルム状の接着剤とし、取扱い
性、保存安定性、接着強度および耐熱性の評価を行っ
た。表1にそれらの評価結果を示す。
配合比率を表1および表2に示すように変更して実施例
1と同じ操作によりエポキシ樹脂組成物を調製し、実施
例1と同様に評価した。評価結果を表1および表2に示
す。
配合比率を表3に示すように変更して実施例1と同じ操
作によりエポキシ樹脂組成物を調製し、実施例1と同様
に評価した。評価結果を表3に示す。
短時間に硬化し、しかも室温での取扱い性と保存安定性
に優れ、高い接着強度を有するため、低温速硬化型フィ
ルム状接着剤等の用途に極めて有用である。さらに本発
明の調製方法で得られるエポキシ樹脂組成物は、発泡体
等の柔軟性を有する材料に対しても優れた接着性を有す
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 (A)一般式(I)で示されたポリサル
ファイト骨格を有するエポキシ樹脂5〜30重量%、
(B)熱可塑性エラストマー成分を含有するエポキシ樹
脂及び/または架橋ゴム成分を含有するエポキシ樹脂2
0〜60重量%、(C)軟化点が50℃以上の固形エポ
キシ樹脂10〜50重量%及び(D)ポリアミド樹脂2
〜40重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し
て、(E)尿素系硬化剤2〜15重量部、及び(F)4
0℃で安定であり、80℃以下の温度で活性化し得る潜
在性硬化触媒3〜20重量部を配合してなるエポキシ樹
脂組成物。 【化1】 - 【請求項2】 (A)一般式(I)で示されたポリサル
ファイト骨格を有するエポキシ樹脂5〜30重量%、
(B)熱可塑性エラストマー成分を含有するエポキシ樹
脂及び/または架橋ゴム成分を含有するエポキシ樹脂2
0〜60重量%、(C)軟化点が50℃以上かつエポキ
シ等量が200〜4000g/m 2 である固形エポキシ
樹脂10〜50重量%、(D)ポリアミド樹脂2〜40
重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、
(E)尿素系硬化剤2〜15重量部、及び(F)40℃
で安定であり、80℃以下の温度で活性化し得る潜在性
硬化触媒3〜20重量部を配合してなるエポキシ樹脂組
成物。 - 【請求項3】 (E)尿素系エポキシ樹脂硬化剤が下記
の構造式のいずれかで表される化合物である請求項1ま
たは2記載の樹脂組成物。 【化2】 【化3】 - 【請求項4】 請求項1、2または3記載のエポキシ樹
脂組成物からなるフィルム状接着剤。 - 【請求項5】 (A)一般式(I)で示されたポリサル
ファイト骨格を有するエポキシ樹脂5〜30重量%、
(B)熱可塑性エラストマー成分を含有するエポキシ樹
脂および/または架橋ゴム成分を含有するエポキシ樹脂
20〜60重量%、(C)軟化点が50℃以上の固形エ
ポキシ樹脂10〜50重量%および(D)ポリアミド樹
脂2〜40重量%からなる樹脂組成物を(D)の融点ま
たは軟化点以上の温度で混合して均一とした後、降温
し、上記樹脂組成物100重量部に対して、(E)尿素
系硬化剤2〜15重量部、および(F)40℃で安定で
あり、80℃以下の温度で活性化し得る潜在性硬化触媒
3〜20重量部を配合することを特徴とするエポキシ樹
脂組成物の製造方法。
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JP13547196A JP3433877B2 (ja) | 1996-05-29 | 1996-05-29 | エポキシ樹脂組成物、それからなるフィルム状接着剤およびエポキシ樹脂組成物の調製方法 |
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