JP3432447B2 - カーボン繊維とその保持体からなる構造物の製造方法 - Google Patents

カーボン繊維とその保持体からなる構造物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水素吸蔵材料等、各
種用途が期待されるカーボン繊維とその保持体からなる
構造物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】触媒を用いた気相成長等による微細なカ
ーボン繊維は種々の用途が期待されている。例えば、Ro
driguz等によって発表されたグラファイト・ナノファイ
バー(GNF)は、従来の水素吸蔵合金と比較して極めて
高い水素吸収能・放出能を有する(J.Phys.Chem.B,102(1
998)4253.)。GNFはナノメーターオーダーの金属触媒粒
子にC2H4などの原料ガスを供給することにより、触媒粒
子と同等寸法のナノメーターオーダーの直径を有する繊
維として合成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなカ
ーボン繊維は非常に微細なため、嵩が大きく空間充填率
が低いという問題があった。本発明は触媒粒子を高密度
に配置し、さらにカーボン繊維の成長する空間を制御す
ることにより、カーボン繊維が高密度に存在する構造体
を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のカーボン繊維と
その保持体からなる構造物の製造方法は、Si、Feお
よび酸素を含むアモルファス体を空気中もしくは酸素を
含む雰囲気中で、500〜800℃の温度で酸化し、シ
リカと鉄の酸化物2相に分解する工程と、前記鉄の酸化
物を還元したFe金属を触媒として炭化水素ガスを用い
た気相成長によりカーボン繊維を形成する工程とを具備
することを特徴とするものである。 また、本発明のカー
ボン繊維とその保持体からなる構造物の製造方法は、S
i、Feおよび酸素を含むアモルファス体を空気中もし
くは酸素を含む雰囲気中で、500〜800℃の温度で
酸化し、シリカと鉄の酸化物2相に分解する工程と、前
記鉄の酸化物を一部除去して細孔を形成する工程と、前
記細孔内に残存する鉄の酸化物を還元したFe金属を触
媒として炭化水素ガスを用いた気相成長によりカーボン
繊維を形成する工程とを具備することを特徴とするもの
である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0006】本発明は、天然鉱物のFayalite(Fe2Si
O4)が600゜C程度の酸化雰囲気でMagnetite(Fe3O4)とS
ilica(SiO2)に分解すること(S. Kondoh他、Am. Mine
ralogist, 70, 737-746 (1985))や、Fe、Siと酸素を含
むアモルファス体がやはり鉄の酸化物(Hematite(Fe2O
3)など)とSiO2に分解することを利用するものであ
る。2相複合体中の鉄酸化物の形態は、島状や表面に垂
直な線状などに制御することができ、数nm〜数10nmとい
った微細な大きさで、密に配置することができる。分解
させるものはFayaliteでも、Fe、Siと酸素を含むアモル
ファス体でもよいが、均質性や制御性の点から、アモル
ファス体の方が望ましい。この分解によって生じた2相
からなる複合体を水素気流中で加熱すると、鉄の酸化物
のみが還元されて、微細な金属FeがSiO2の中に多数分布
したものが得られる。このFeを触媒として、500〜700゜C
程度で、炭化水素ガスと反応させるとFeの微細粒子の部
分から微細なカーボン繊維が成長する。カーボン繊維の
径は触媒粒子の粒径によって決まるので、本発明のよう
な複合体を用いてカーボン繊維を作製すると、微細な繊
維が密に配置した形態の構造を得ることができる。
【0007】次に、上記した分解反応を利用した技術と
して、Fe3O4が表面に垂直な線状に析出させ、この鉄の
酸化物部分のみを酸などで溶かして抽出し、ナノメータ
ーオーダーの細孔が一次元に並んだメソポーラス膜を作
製する技術が開発された(平野眞一、第2回シナジーセ
ラミックスシンポジウム予稿集、1998年2月16日〜17
日、ファインセラミックス技術研究組合、東京、pp53-5
8)。そこで、本発明では、この技術をさらに発展さ
せ、微細なカーボン繊維を、その成長空間を制限して、
形成する技術を開発した。すなわち、一次元に並んだ鉄
の酸化物部分のみを酸などで溶かして抽出するが、これ
によって形成される細孔の底部に鉄の酸化物を一部残存
させる。これを、上記と同様に水素で還元して、細孔底
部に触媒となる金属Feを形成し、炭化水素と反応させて
カーボン繊維を成長させる。カーボン繊維は、予め形成
された細孔に沿って成長することになるので、一次元に
規則的に、かつ高密度に配置されたカーボン繊維を得る
ことができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0009】実施例1 酸化鉄(FeO)とSiO2の混合粉末をターゲットとして、
基板上にFe-Si-O系のアモルファス膜を形成した。FeOと
SiO2の混合比はFeOが70%(体積分率)とした。基板は
膜に影響しないものであれば何でもよいが、今回はガラ
ス基板とした。得られたアモルファス膜を空気中800゜C
の条件で1時間加熱処理した。この処理により分解が起
こり、ナノメータオーダーの微細な鉄酸化物がSiO2中に
分散した。
【0010】次に、この複合膜を600゜Cで、水素還元し
表面に鉄の微細粒子が多数分散した膜とした。さらに、
これを600゜Cで、エチレンと水素の混合ガス(エチレン2
5%)と20分間反応させ、微細なカーボン繊維を成長さ
せた。
【0011】以上の過程を図1に示した。
【0012】実施例2 酸化鉄(FeO)とSiO2の混合粉末をターゲットとして、
ガラス基板上にFe-Si-O系のアモルファス膜を形成し
た。FeOとSiO2の混合比はFeOが60%(体積分率)とし
た。得られたアモルファス膜を空気中600゜Cの条件で1
時間加熱処理した。この処理により分解が起こり、ナノ
メータオーダーの微細な線状の鉄酸化物が膜に垂直にSi
O2中に分散した構造となった。
【0013】次に、この膜を、塩酸に浸漬して、鉄の酸
化物を抽出して、ナノメーターオーダーの細孔を形成す
るが、そのときに完全に抽出せず、一部が細孔の底部に
残るようにした。
【0014】こののちに、この複合膜を500゜Cで水素還
元し、密に存在するナノメーターオーダーの細孔の底部
に鉄の微細粒子が存在する膜とした。さらに、これを60
0゜Cで、エチレンと水素の混合ガス(エチレン20%)と2
0分間反応させ、微細なカーボン繊維を成長させた。
【0015】以上の過程を図2に示した。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明を用いるこ
とにより、カーボン繊維が高密度に存在する構造体を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1カーボン繊維とその保持体か
らなる構造物とその製造方法を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例2におけるカーボン繊維とその
保持体からなる構造物とその製造方法模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 W.Z.Li 他7名,Large− Scale Synthesis of Alined Carbon Nan otubes,SCIENCE,米国, 1996年12月 6日,VOL.274,1701 −1703 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 9/127 C01B 31/02 101

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si、Feおよび酸素を含むアモルファス
    体を空気中もしくは酸素を含む雰囲気中で、500〜8
    00℃の温度で酸化し、シリカと鉄の酸化物2相に分解
    する工程と、前記鉄の酸化物を還元したFe金属を触媒
    として炭化水素ガスを用いた気相成長によりカーボン繊
    維を形成する工程とを具備することを特徴とするカーボ
    ン繊維とその保持体からなる構造物の製造方法。
  2. 【請求項2】Si、Feおよび酸素を含むアモルファス
    体を空気中もしくは酸素を含む雰囲気中で、500〜8
    00℃の温度で酸化し、シリカと鉄の酸化物2相に分解
    する工程と、前記鉄の酸化物を一部除去して細孔を形成
    する工程と、前記細孔内に残存する鉄の酸化物を還元し
    たFe金属を触媒として炭化水素ガスを用いた気相成長
    によりカーボン繊維を形成する工程とを具備することを
    特徴とするカーボン繊維とその保持体からなる構造物の
    製造方法。
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JP4639798B2 (ja) * 2004-12-27 2011-02-23 三菱化学株式会社 気相成長法炭素繊維製造用触媒および炭素繊維の製造方法
JP4778381B2 (ja) * 2006-05-02 2011-09-21 日本放送協会 冷陰極素子及びその製造方法
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W.Z.Li 他7名,Large−Scale Synthesis of Alined Carbon Nanotubes,SCIENCE,米国,1996年12月 6日,VOL.274,1701−1703

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