JP3429155B2 - 高強度高靭性鋼線及びその製造方法 - Google Patents
高強度高靭性鋼線及びその製造方法Info
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Description
まま、ブルーイング等の熱処理を施されることなく製品
となる中高炭素鋼線(C含有量:0.4〜1.3%)に
関するものであり、スチールコードワイヤやワイヤソ
ー,PCワイヤロープ鋼線等に好適な高強度高靭性鋼線
及びその製造方法に関するものである。
用される鋼線を製造するにあたっては、高炭素鋼線材に
パテンティング処理を施した後、伸線するのが一般的で
あり、特に冷間伸線を行うことにより、鋼線の高強度化
を図ることができる。但し、伸線により強度が高くなり
過ぎると、縦割れ等が発生したりする場合があり、しか
も延性及び靭性が劣化するので伸線による高強度化には
限度があった。
・高延性な鋼線の開発を目的として、ナノメーターレベ
ルでの結晶学的立場から研究を行った。その結果、冷間
加工条件や焼き戻し条件を適切に制御することによっ
て、パーライトやベーナイトを主体とする鋼線の炭化物
を、その結晶粒径がナノメーター(nm)底ベルである
セメンタイト結晶(以下、「ナノ結晶」という)にする
ことに成功すると共に、ナノ結晶からなるラメラセメン
タイトを組織中の炭化物として有する鋼線は、高強度,
高靭性,高延性を示すことを見出し、先に出願を済ませ
た(特開平8−120407号)。
の間には相関関係があることは、上記出願以前にも知ら
れていたが、スチールコードワイヤのような極細線の分
野では、ラメラセメンタイトの存在状態を評価する技術
が確立されておらず、ラメラセメンタイトの存在形態と
機械的性質の関係は不明な点が多く、成分組成や製造条
件を試行錯誤的に変化させた実験結果からパテンティン
グ後に得られる組織が微細で均一なパーライト組織の場
合、機械的性質に優れるということが分かっていた程度
であった。
結晶構造がナノ結晶である鋼線(以下、ナノ結晶鋼線と
略すことがある)を開発することにより、高強度,高靭
性で且つ高延性な鋼線の提供を可能にした。但し、より
一層機械的特性に優れた鋼線が要望されており、上記ナ
ノ結晶鋼線よりも、高強度で且つ靭性に優れた鋼線の開
発が期待されていた。
目してなされたものであって、その目的はナノ結晶鋼線
と比較しても、より一層機械的特性に優れた高強度高靭
性鋼線を提供しようとするものであり、ラメラセメンタ
イトがナノ結晶である場合よりも、高強度を発揮すると
共に高靭性を示して捻回時等に縦割れを発生しない様な
高強度高靭性鋼線及びその製造方法の提供を目的とす
る。
明とは、Cを0.4〜1.3%含むと共に、微細パーラ
イト及び/又は疑似パーライトからなる鋼線であって、
組織中のラメラセメンタイトが、下記〜の条件を全
て満足するアモルファスであることを要旨とするもので
あり、またベイナイトからなる鋼線の場合には、組織中
のセメンタイトが、下記〜の条件を全て満足するア
モルファスであることを要旨とする。なお、本発明にお
いて、「微細パーライト及び/又は擬似パーライトから
なる」または「ベイナイトからなる」とは、「微細パー
ライト及び/又は擬似パーライト」または「ベイナイ
ト」以外の組織として不可避的に生成する程度の他相を
含む意味である。
ンタイトがアモルファス又はアモルファス的であるか否
かは、下記の〜の方法により確認することができ
る。 透過型電子顕微鏡観察による方法であり、1nm以
下のビーム径でディフラクションパターン(回析パター
ン)を撮ってもハローパターンを示し、且つ格子像を見
ても結晶性が確認できない場合にアモルファス又はアモ
ルファス的であるという。 メスバウワー分光分析による方法であり、前記ラメ
ラセメンタイト又は前記セメンタイトのメスバウワース
ペクトルにおいて、強磁性成分を示すピークの最大値を
Pf ,超常磁性成分を示すピークの最大値をPspとした
とき、Pf <Pspを満足するときアモルファス又はアモ
ルファス的であるという。 X線回折分析による方法であり、前記ラメラセメン
タイト又は前記セメンタイトのX線回折パターンにおい
て、最大ピークの半値幅(2θ)が3rad以上である
ときに、アモルファス又はアモルファス的であるとい
う。
セメンタイトがアモルファスである鋼線を製造するにあ
たっては、パテンティング処理及び冷間伸線を複数回繰
り返す鋼線の製造方法において、真歪みの値が2.0以
上となる様に、伸線中の鋼線温度がセメンタイトの回復
温度を超えないように冷却を施しながら最終伸線を行う
方法を採用することが推奨される。
パーライト組織及び/又は疑似パーライト組織やベイナ
イト組織でも良く、ラメラセメンタイト又はセメンタイ
トがアモルファス又はアモルファス的であれば良いが、
以下の説明では、パーライト組織のラメラセメンタイト
がアモルファス又はアモルファス的である場合を代表的
に取り上げて説明する。
晶の集合体として存在している場合には、その変形能力
は添加元素の種類や量の他に、炭化物の超微細構造の形
態にも左右される。本発明者らは、今回新たにラメラセ
メンタイトのアモルファス化(アモルファス又はアモル
ファス的にすること、以下同じ)に成功すると共に、そ
の特性を調べた結果、これまでにない優れた機械的性質
を有していることを見出し、本発明に想到したものであ
る。
とは、高強度を発揮すると共に高靭性を示して捻回時等
に縦割れを発生しないという性質である。従って、いく
ら強度が高くても、靭性が低く捻回時等に縦割れが発生
しては望ましくなく、一方靭性に優れていても、強度が
低ければ望ましくない。要するに強度及び靭性がバラン
スよく優れており、捻回時等に縦割れが発生しないこと
が望ましい。そこで本発明では、[引張強さ (MPa)]×
([絞り (%)]+[捻回値 (回) ])[以下、TS×
(RA+TN)で示す]を機械的特性を示す指標として
採用する。本発明者らはこの指標で表現される機械的特
性と結晶状態の間には、非常に高い相関関係があり、ラ
メラセメンタイトをアモルファス化することにより、鋼
線の化学成分組成に関わらず(即ち他の要求特性の改善
を目的として添加されるCr等の元素の存在に関わら
ず)、上記機械的特性を高めることができ、前記ナノ結
晶鋼線では縦割れが発生する程度まで強度を上げても、
縦割れが起こらずしかも優れた靭性を示すことを突き止
めたのである。
は、伸線工程における加工条件の制御が重要である。0.
88C−0.2 Si−0.5 Mn−0.004 P−0.003 S鋼を用
いて湿式または乾式の連続伸線を行った際の伸線歪み量
とそのときのラメラセメンタイトの結晶構造との関係
を、表1に示す。
タイト(伸線歪み:0)は、単結晶状態である。冷却を
せずに伸線を行った場合には真歪みの値が4.61から
0.81までの範囲でどの場合でも、ラメラセメンタイ
トがアモルファス化せずナノ結晶であることが分かる。
冷間圧延時に冷却を行うことによってアモルファス化す
ることは可能であるが、真歪みが2.0未満ではアモル
ファス化せずナノ結晶となるので、アモルファス化には
真歪み2.0以上で冷却伸線することが必要であること
が分かる。
ても、冷却伸線を行わないとアモルファス化しない理由
としては、冷却を施さないと、最終ダイス近傍において
伸線中に温度が上昇し、セメンタイトの回復温度である
300℃前後にまで線材が加熱されたことに起因してい
るものと考えられる。即ち、伸線中の摩擦発熱や加工発
熱により線材温度が上昇した場合では、一旦アモルファ
ス化したラメラセメンタイトが再結晶してしまう可能性
がある。従って、伸線中の鋼線温度が上昇しないよう
に、伸線条件を制御することが重要であり、例えば伸線
速度をあまり速くせず線材を空冷するか、或いは湿式で
伸線することが望ましい。尚、冷却を行うことなく伸線
する方法でも伸線速度を遅くすればアモルファス化する
ことは可能であるが、最終ダイスにおける温度上昇を防
止したり、伸線減面率を制御して線温の上昇を抑制する
ことが必要であり、生産性の観点からすれば、冷却伸線
を採用することが推奨される。
セメンタイトがアモルファス又はアモルファス的である
か否かは、以下に示す透過型電子顕微鏡観察法、メ
スバウワー分光分析法、X線回折分析法により確認す
ることができる。以下、夫々を具体的に説明する。
でディフラクションパターン(回析パターン)を撮って
もハローパターンを示し、且つ格子像を見ても結晶性が
確認できない場合にアモルファス又はアモルファス的で
あるということができる。
ターンを撮る理由は、1nmを超える通常のビーム径
(例えばサブミクロンオーダーのビーム)でディフラク
ションパターンを撮った場合には、アモルファスの場合
だけではなくナノ結晶でもディフラクションパターンが
リングパターンとはならずハローパターンとなる。従っ
て、ナノ結晶の粒子径よりも小さいビーム径でディフラ
クションパターンを撮ることによりナノ結晶はリングパ
ターンを示すので、ハローパターンであればアモルファ
ス又はアモルファス的であることを示すこととなる。
E(Field emission) −TEM等に代表される高分解能
TEMを用いることが必要である。その理由は、汎用T
EMの場合には、ビームがブロードである(1nmを超
える)為に、格子像を観察しても格子像パターンが観察
されなかったり、ディフラクションパターンでナノ結晶
に対してもハローパターンを示すからである。従って、
FE−TEM等の高分解能TEMを用いてビーム径1n
m以下で格子像パターンを観察することにより、はじめ
てアモルファス又はアモルファス的な組織であると判断
することができる。
抽出によって得られたラメラセメンタイトの結晶格子像
を観察する目的で撮影されたものである。以下の条件で
撮影したが、結晶格子像が現れていない。 装 置:HF−2000形 電界放出透過型電子顕微
鏡(FE−TEM) 総合倍率:×1,500,000 (撮影倍率 ×300,000 ) 加速電圧:200kV カメラ長:0.4m
イトをナノプローブ(電子線半径1.0nm)によりデ
ィフラクションパターンを撮影したものであるが、結晶
構造に特有のリングパターンではなくハローパターンと
なっている。図1(a),(b)の結果から、上記ラメ
ラセメンタイトはアモルファスであるか或いはアモルフ
ァス的であることが分かる。
ラセメンタイトのメスバウワースペクトルであり、
(a)は伸線前の鋼線(直径1.35mm)、(b)は
伸線後の鋼線(直径0.48mm)、(C)は0.20
mmまで伸線した鋼線から得られたラメラセメンタイト
のスペクトルを夫々示す。+印と実線が取り込みままの
データであり、これを解析により成分ごとにピークを分
離した結果が点線で示されている。解析結果の点線は強
磁性成分と超常磁性成分の2種を示しており、ピークが
6か所に現れているもの[図2(a)参照]は強磁性成
分を示し、中央部にピークが2か所に現れているもの
[図2(b)参照]は超常磁性成分を示すことが知られ
ている。尚、強磁性材料はキュリー温度以上では常磁性
を示すが、強磁性材料をナノ結晶化やアモルファス化し
たり、或いはこれに類似する組織にした場合には、常温
であっても常磁性材料的な挙動を示すことがあり、この
場合に超常磁性であるという。
ワースペクトルにおいて、強磁性(ferromagnetism)を示
すピークの最大値をPf ,超常磁性(superparamagneti
sm)を示すピークの最大値をPspとしたとき、Pf <Ps
pを満足するときアモルファス又はアモルファス的であ
るという。
>Pspとなっており、線材中のセメンタイトが強磁性を
示しており、結晶質であるものと考えられる。ある程度
の伸線を施した図2(b)のスペクトルでは、超常磁性
成分が増加してPf <Pspとなっており、更に線径0.
20mmまで伸線された図2(c)の線材(真歪みが
3.85)のスペクトルでは、超常磁性成分が支配的と
なっている。この図2(c)の線材は、後述する実施例
のNo.23に相当し、優れた捻回特性を示した。
いてアモルファス構造のスペクトルが図2の(b),
(c)の様にスプリットせず(2つのピークとならず)
シングルピークとなるとの見解もあるが、FE−TEM
のナノディフラクションでハローパターンを示したもの
がメスバウワースペクトルで2つのピークを示してい
る。従って、学術的には更なる研究が必要であるが、本
発明にとって有効な組織(高強度で且つ高靭性な組織)
であることには違いないので、本発明ではスプリットし
ているメスバウワースペクトル(超常磁性スペクトル)
を示す組織を含めて本発明に係るアモルファス又はアモ
ルファス的な組織であると判定する。
イトのメスバウワースペクトルにおいて、強磁性成分を
示すピークの最大値をPf ,超常磁性成分を示すピーク
の最大値をPspとしたとき、Pf <Psp(Psp/Pf ≧
1)を満足すれば、アモルファス又はアモルファス的で
あるということができるが、Psp/Pf ≧4であれば好
ましく、Psp/Pf ≧5であればより好ましい。
折パターンにおいて最大ピークの半値幅(2θ)が3r
ad以上であるときに、アモルファス又はアモルファス
的であるという。
当する線材を用いて、(a)伸線前,(b)伸線後(1.3
5mm → 0.48mm),(c)伸線後(0.48mm → 0.20mm)の線
材を抽出残渣した試料のX線測定結果である。(a),
(b),(c)と伸線加工を進めるに従い、セメンタイ
トに特有の約45radにおけるピークが減少し、ピー
クがブロードニングしていく傾向が認められる。但し、
真歪みが3.58(線径が0.20mm)である図4
(c)の線材でも、完全にはピークが消滅しておらず、
一部に結晶が残存しているものと推察される。
クが存在しないことをいい、図4の(c)の様に、完全
にはピークが消失してはいないが多少の結晶性を有する
状態をアモルファス的(amorphous-like)な状態とい
う。本発明では、X線回折パターンにおける最大ピーク
(セメンタイトの場合には約45radにおけるピー
ク)がブロードであり半値幅が3rad以上であればア
モルファス又はアモルファス的であるとする。上記半値
幅は優れた捻回特性を有する線材を得る上で、3rad
以上であれば良いが、5rad以上であれば好ましく、
7rad以上であればより好ましい。
に相当する表層部と、その内側の中心部とでは、伸線後
に集合組織に差が生じることが知られている。換言すれ
ば表層部と中心部では結晶の方位が異なっており、この
ような集合組織の違いにより、捻回試験等を行ったとき
に、表層部と中心部の境界付近で内部応力が発生し、縦
割れが発生するものと考えられる。従って、少なくとも
表層部と中心部の境界付近を含む外周部がアモルファス
又はアモルファス的であれば、優れた捻回特性を発揮す
るものと期待されるが、優れた捻回特性を得る上では、
中心部を含む全体に亘って線材がアモルファス又はアモ
ルファス的であることが好ましい。
0mm)である線材の表層部と中心部のセメンタイトの
メスバウワースペクトルを比較する目的で行われた実験
結果を示すものであり、(a)は表層部、(b)は中心
部から抽出した残渣から得られたセメンタイトのスペク
トルを示す。中心部には強磁性成分が比較的多く残存し
ているおりアモルファス化の度合いは小さいものの、両
者はいずれもPf <Pspを満足して、しかも強磁性成分
と超常磁性成分のピークの高さは著しく、両者にほとん
ど差がないことを示している。従って、本発明において
ラメラセメンタイトの分析を行うにあたり、TEM観察
やメスバウワー分光分析を行う場合、表層部から試料を
採取しても差しつかえない。
における組織の炭化物をアモルファス又はアモルファス
的にすることによって、高強度で高靭性な鋼線を得るこ
とができ、ブルーイング等の熱処理を施すことなく伸線
まま材として用いれば、スティールコード用素線,PC
鋼線,バネ用鋼線,ワイヤーソー等の素材として最適で
ある。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の主旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
%(Cr:0.21%),0.82%(Cr:0) と異なる3種であり、それ以
外は同じ成分組成を有する鋼線(Si:0.2%,Mn:0.5%,P:0.
004%,S:0.003% を含有して残部Fe)を用いて、熱間圧延
により直径5.5mmの鋼線とし、パテンティング処理
と冷間伸線加工を繰り返し施すことにより、直径1.3
mmの鋼線として、次いで550℃で最終のパテンティ
ング処理を行い、表2に併記した最終線径まで伸線し
た。得られた鋼線における炭化物(ラメラセメンタイ
ト)の結晶状態は、透過型電子顕微鏡で調べると共に、
鋼線の機械的性質を測定した。結果は表2に示す。
線時に冷却を施すことにより、ラメラセメンタイトはア
モルファス化されており、このように炭化物がアモルフ
ァス化されたNo. 21〜23,No. 26〜28,No. 31〜33はい
ずれも、[TS×(RA+TN)]の値が290以上で
あり、炭化物がナノ結晶であるNo. 24,25,29,30,34,35
と比較して、強度及び靭性という機械的特性に優れてい
ることが分かる。特にNo. 25,No. 30,No. 35では、縦
割れが発生して捻回値(100 dia.)が0であった。
伸線速度を変えたこと以外は、実施例1と同様にして線
材を製造した。
り、湿式伸線により、平均減面率や伸線速度も適切であ
り、アモルファス化されたセメンタイトを得ることがで
きた。No. 45〜48は比較例であり、No.45 は伸線速度が
高過ぎ、No.46 は真歪みの値が小さ過ぎ、No.47 は平均
減面率が高過ぎ、No.48 は冷却伸線を行っておらず、い
ずれもセメンタイトがナノ構造であり、アモルファス化
されていなかった。
ウワー分光分析及びX線回折分析を行った。メスバウワ
ー分光分析は、0.92GBqの57Coを線源とし透過法に
より行った。結果は表4に示す。
上であり、優れた捻回特性を有するNo. 21〜23,No. 26
〜28,No. 31〜33はいずれも、前記ラメラセメンタイト
又は前記セメンタイトのメスバウワースペクトルにおい
て、強磁性成分を示すピークの最大値をPf ,超常磁性
成分を示すピークの最大値をPspとしたとき、Psp/P
f が1.0以上、即ちPf <Pspを満足しており、X線
回折分析における最大ピークの半値幅(2θ)が3ra
d以上であった。
で、炭化物がナノ結晶である鋼線と比較しても、縦割れ
を起こすことなく、より一層強度及び靭性に優れた鋼線
を提供できることとなった。
より得られた線材の結晶構造を示す図面代用写真であ
り、(a)は電解抽出によって得られたラメラセメンタ
イトの結晶格子像を撮影した電子顕微鏡写真であり、
(b)はナノプローブ(電子線半径1.0nm)でのデ
ィフラクションパターンを撮影した電子線回折写真であ
る。
バウワースペクトルであり、(a)は結晶質のセメンタ
イト(強磁性成分)のスペクトルであり、(b),
(c)はアモルファス化されたセメンタイト(超常磁性
成分)のスペクトルである。
バウワースペクトルであり、(a)は表層部のスペクト
ル,(b)は中心部のスペクトルである。
回折パターンであり、(a)は結晶質のセメンタイトの
パターンであり、(b),(c)はアモルファス化され
たセメンタイトのパターンである。
Claims (3)
- 【請求項1】 Cを0.4〜1.3%(「質量%」の意
味、以下同じ)含むと共に、微細パーライト及び/又は
疑似パーライトからなる鋼線であって、 組織中のラメラセメンタイトが、下記(1)〜(3)の
条件を全て満足するアモルファスであることを特徴とす
る高強度高靭性鋼線。(1)前記ラメラセメンタイトの透過型電子顕微鏡観察
において、1nm以下のビーム径による回折パターンが
ハローパターンであり、且つ格子像から結晶性が確認で
きないものである。 (2)前記ラメラセメンタイトのメスバウワー分光分析
において、メスバウワースペクトルの強磁性成分を示す
ピークの最大値をPf,超常磁性成分を示すピークの最
大値をPspとするとき、Pf<Pspを満足する。 (3)前記ラメラセメンタイトのX線回折分析におい
て、X線回折パターンの最大ピークにおける半値幅(2
θ)が3rad以上である。 - 【請求項2】 Cを0.4〜1.3%含むと共に、ベイ
ナイトからなる鋼線であって、 組織中のセメンタイトが、下記(4)〜(6)の条件を
全て満足するアモルファスであることを特徴とする高強
度高靭性鋼線。(4)前記セメンタイトの透過型電子顕微鏡観察におい
て、1nm以下のビーム径による回折パターンがハロー
パターンであり、且つ格子像から結晶性が確認できない
ものである。 (5)前記セメンタイトのメスバウワー分光分析におい
て、メスバウワースペクトルの強磁性成分を示すピーク
の最大値をPf,超常磁性成分を示すピークの最大値を
Pspとするとき、Pf<Pspを満足する。 (6)前記セメンタイトのX線回折分析において、X線
回折パターンの最大ピークにおける半値幅(2θ)が3
rad以上である。 - 【請求項3】 パテンティング処理及び冷間伸線を複数
回繰り返す鋼線の製造方法であって、伸線中の鋼線温度
がセメンタイトの回復温度を超えないように冷却を施し
ながら、真歪み2.0以上で最終伸線を行うことを特徴
とする請求項1または2に記載の高強度高靭性鋼線の製
造方法。
Priority Applications (6)
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