JP3428942B2 - 照明付き展示パネル装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、美術館等におい
て、作品を掛けて展示するための壁面を提供する箱型の
展示パネル装置に関し、特に必要に応じて照明灯の支持
部材を内部へ収納したり外部へ張り出させたりすること
ができる展示パネル装置に係る。

【０００２】

【従来の技術】展示面を提供する側壁に囲まれた内側空
間を有する箱型の展示パネル装置が公知である。このよ
うな展示パネル装置において、展示面を照らす照明灯を
取り付けたもの、照明灯の支持アームを伸縮自在に構成
し、不使用時の壁面からの突出寸法を可及的に縮小しよ
うとするものも知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の展示パネル
装置においては、照明灯及びそれの支持部材が常時側壁
面から外方へ突出した状態にある。伸縮自在の照明灯支
持アームを備えたものでも同様である。展示に際して附
属の照明灯を用いない場合には、この照明設備が目障り
になる。不使用時に展示パネル装置を保管する際には、
附属照明設備の張り出しが邪魔になる等の問題点があ
る。従って、本発明は、照明灯の不使用時には、照明設
備を外から見えないように内部へ収納し、必要に応じて
外方へ張り出させることができる展示パネル装置であっ
て、構造が簡単で安価に得られ、しかも堅牢なものを提
供することを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
課題を解決するため、照明灯８を支持するための回転ア
ーム５の基端を側壁２ａ，２ｂの内側に枢支し、内側空
間Ｓ内において起立、転倒自在とする。回転アーム５
は、起立位置において、先端側が上方にあり、転倒位置
において、先端側が下方にあるようにする。回転アーム
５の先端側に支持アーム６の基端を枢着する。支持アー
ム６は、先端側に照明灯８を支持し、回転アーム５が起
立位置にあるときに、先端側が側壁２ａ，２ｂの上縁を
越えて外方へ延出し、照明灯８で展示物を照らすことが
でき、回転アーム５が転倒位置にあるときに、ほぼ全体
が内側空間Ｓ内に収容される。回転アーム５を回転させ
るための手動又は電動の回転手段９を操作して回転アー
ム５、支持アーム６を伸縮させるようにした。照明灯８
の不使用時には、回転アーム５、支持アーム６のほぼ全
体が内側空間Ｓへ収納され、外部からは目に付かない
し、外方への出張りがなく、保管の邪魔にならない。

【０００５】

【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形
態を説明する。図１は展示パネル装置の断面図、図２は
展示パネル装置の平面図、図３は照明灯を使用する状態
の展示パネル装置の正面図、図４は照明灯を使用する状
態の展示パネル装置の側面図、図５は展示パネル装置の
動作を説明する一部の側面図である。図において、展示
パネル装置１は、側壁２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄで四方を
囲まれ、上方が開放した箱型の本体２を具備する。本体
２は、内側空間Ｓを有し、底部に設けられたキャスター
３で移動自在である。側壁２ａ，２ｂの外面側に、絵画
等の展示物を支持する。

【０００６】照明装置４は、側壁２ａ，２ｂの内側に支
持されている。照明装置４は、回転アーム５と、支持ア
ーム６と、照明灯８（図２乃至図５）を支持する支持レ
ール７と、アームの回転手段９とを具備する。左右１対
の回転アーム５は、基端において軸１０に固着され一体
回転する。軸１０は、側壁２ａ，２ｂの内側の左右に取
り付けられた一対の軸受け１１間に架設され、一端側に
は歯車１０ａが固着されている。回転アーム５は、内側
空間Ｓ内において起立、転倒自在で、図５に実線で示す
起立状態において、先端がほぼ側壁２ａ，２ｂの上縁に
達する上方位置に配置され、図１に示す転倒状態におい
て、先端が相対的に下方位置に配置される。回転アーム
５は、転倒状態において下部がストッパ１５に当接して
支持される。

【０００７】支持アーム６は、その基端部が各回転アー
ム５の先端部に枢着され、先端部には、左右の１対間に
支持レール７が架設されている。照明灯８は、支持レー
ル７に着脱自在に取り付けられる。支持レール７は、そ
のほぼ全長にわたる導電部を有し、照明灯８に電源を提
供し、これを移動自在に支持する、一般に配線ダクトと
称される導電支持部材を備える。支持アーム６は、回転
アーム５が起立位置にあるときに、先端側が側壁２ａ，
２ｂの上縁を越えて外方へ延出し、照明灯８で展示物を
照らすことができ、回転アーム５が転倒位置にあるとき
に、ほぼ全体が内側空間Ｓ内に収容される。支持アーム
６は、側壁２ａ，２ｂの上縁の支持部１２に常時、荷重
の一部を支持されるように傾斜して凭れるように構成さ
れる。支持部１２は、ブラケット１３を介して側壁２
ａ，２ｂの上縁部内側に取り付けられた溝付きの支持ロ
ーラ１４で構成される。支持ローラ１４は、外周の溝内
に支持アーム６を受け入れてこれを相対移動自在に支持
する。回転アーム５は、起立状態において先端側の側面
がブラケット１３の縁に当接して停止する（図５）。

【０００８】アーム５の回転手段９は、軸１０の歯車１
０ａに掛け回されたチェーン１６、これに噛み合う歯車
１７、これを回転させるハンドル１８を具備する。歯車
１７、とハンドル１８は、両者を接続する歯車ブロック
と共に、側壁２ａ，２ｂの内側下部に取付座１９を介し
て取り付けられる。側壁２ｃに設けられた扉付きの開口
２ｅから作業者が内部空間Ｓに入ってハンドル１８を操
作する。

【０００９】図１において、照明装置４は本体２内に収
納状態にある。この状態から、ハンドル１８を操作して
回転アーム５を反時計方向へ回転させると、図５に仮想
線で示す経過を経て、実線で示すように起立し、支持ア
ーム６がやや外方上がりに傾斜して側方へ延出し、照明
灯８で展示物を照らす状態に到る。支持アーム６は終
始、支持部１２のローラ１４に凭れており、凭れ掛かる
ことにより、それと回転アームとの相対位置及び本体と
の相対位置が自動調整される。回転アーム５と支持アー
ム６との間には、ばね、歯車機構その他の相互の直接の
角度調整手段は存在しない。また、照明装置４の収納状
態において、回転アーム５がストッパ１５に当接して支
持され、支持アーム６は先端部が支持ローラ１４に凭れ
て支持されるので、別途支持アーム６の保持手段は不要
である。極めて簡単な構成である。照明装置４は収納状
態において外部から隠蔽される。

【００１０】回転アーム５、支持アーム６を左右に１対
設け、両者間に支持レール７を架設する実施形態を以上
説明したが、１対であることは必須でないし、支持レー
ル７を用いることも必須ではない。本体２の移動手段
は、キャスタ３に限定されず、例えば吊り戸式のもので
あってもよい。本体は、横断面矩形以外の多角形の箱型
であってよい。

【００１１】

【発明の効果】以上のように、本発明においては、照明
灯８を支持するための回転アーム５の基端を側壁２ａ，
２ｂの内側に枢支し、内側空間Ｓ内において起立、転倒
自在とする。回転アーム５は、起立位置において、先端
側が上方にあり、転倒位置において、先端側が下方にあ
るようにする。回転アーム５の先端側に支持アーム６の
基端を枢着する。支持アーム６は、先端側に照明灯８を
支持し、回転アーム５が起立位置にあるときに、先端側
が側壁２ａ，２ｂの上縁を越えて外方へ延出し、照明灯
８で展示物を照らすことができ、回転アーム５が転倒位
置にあるときに、ほぼ全体が内側空間Ｓ内に収容され
る。回転アーム５を回転させるための手動又は電動の回
転手段９を操作して回転アーム５、支持アーム６を伸縮
させるようにした。このため、照明灯８の不使用時に
は、回転アーム５、支持アーム６のほぼ全体が内部空間
Ｓへ収納され、外部からは目に付かないし、外方への出
張りがなく、保管の邪魔にならない。構造が簡単で安価
に得られ、また堅牢で保守も容易である等の効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】展示パネル装置の断面図である。

【図２】展示パネル装置の平面図である。

【図３】照明灯を使用する状態の展示パネル装置の正面
図である。

【図４】照明灯を使用する状態の展示パネル装置の側面
図である。

【図５】展示パネル装置の動作を説明する一部の側面図
である。

【符号の説明】

１ 展示パネル装置 ２ 本体 ２ａ 側壁 ２ｂ 側壁 ３ キャスタ ４ 照明装置 ５ 回転アーム ６ 支持アーム ７ 支持レール ８ 照明灯 ９ アーム回転手段 １０ 軸 １０ａ 歯車 １１ 軸受け １２ 支持部 １３ ブラケット １４ 支持ローラ １５ ストッパ １６ チェーン １７ 歯車 １８ ハンドル Ｓ 内部空間

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 側壁に四方を囲まれ上方が開放した内側
   空間を有し、側壁の外面側に絵画等の展示物を支持する
   ものにおいて、 前記側壁の内側に基端が枢支され、前記内側空間内にお
   いて起立、転倒自在で、起立位置において、先端側が、
   相対的に上方位置に配置され、転倒位置において、先端
   側が、相対的に下方位置に配置される回転アームと、 この回転アームの先端側に基端が枢着され、先端側には
   照明灯を支持し、回転アームが起立位置にあるときに、
   先端側が前記側壁の上縁を越えて外方へ延出して前記照
   明灯で前記展示物を照らすことができるよう配置され、
   回転アームが転倒位置にあるときに、ほぼ全体が前記内
   側空間内に収容されるよう配置される支持アームと、 前記回転アームを回転させるための回転手段と、を具備
   することを特徴とする照明付き展示パネル装置。
2. 【請求項２】 前記回転アームと支持アームとが、同期
   動作するように左右一対設けられ、 左右一対の支持アームの先端部間に、前記照明灯を任意
   位置に支持できる支持レールが架設されることを特徴と
   する請求項１に記載の照明付き展示パネル装置。
3. 【請求項３】 前記支持アームが、常時前記側壁の上部
   の支持部に、相対移動自在に傾斜して凭れるように構成
   されることを特徴とする請求項１又は２に記載の照明付
   き展示パネル装置。
4. 【請求項４】 前記支持アームを凭せ掛けるための前記
   支持部が、前記側壁の内側上部に軸支された溝付きロー
   ラを具備し、 支持アームが、このローラの溝にはまって、収納位置か
   ら張り出し位置までローラを転動させつつ移動するよう
   に構成されることを特徴とする請求項１又は２に記載の
   照明付き展示パネル装置。
5. 【請求項５】 前記回転アームを回転させるための回転
   手段が前記内側空間内に設けられ、 回転手段を操作するために回転手段に作業者が接近する
   ための扉付きの開口が前記側壁に設けられることを特徴
   とする請求項１又は２に記載の照明付き展示パネル装
   置。
6. 【請求項６】 前記側壁の下部にキャスターを備え、移
   動可能に構成されることを特徴とする請求項１又は２に
   記載の照明付き展示パネル装置。