JP3428666B2 - 組換えマレック病ウイルスおよびその製法 - Google Patents
組換えマレック病ウイルスおよびその製法Info
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Description
ワトリ体内において外来遺伝子産物を発現させることが
可能な新規なウイルスベクターに関するものである。更
には、本ベクターを用いたニワトリ用多価生ワクチンの
作製並びにホルモンを始めとする生理活性物質の生体内
投与のための組換えマレック病ウイルス構築に関するも
のである。
及び肉用鶏の別を問わず、ワクチン接種による疾病予防
は重要な衛生対策の柱である。しかしながら、そのワク
チン接種の実態は実に過密とも言えるほど頻回であり、
したがってこれに要する人件費の大きさは養鶏家にとっ
て大きな経済的負担となっている。この点の打開策とし
て、一つには既存の数種のワクチンを単純に混合するこ
とが考えられる。しかしながら、生ワクチンの場合には
ウイルス相互の干渉という問題があり、又、不活化ワク
チン混合の場合においても容量的な限界がある。さらに
このような問題に加えて、生ワクチンと不活化ワクチン
の混合においては、ゲル(アジュバント)への生ワクチ
ン抗原の吸着による力価低下という問題があり、従来の
技術では現実的に問題が残されている。
開策としてウイルスベクターを使用することが試みられ
つつある。すなわち、一つのウイルスに複数のワクチン
抗原の遺伝子を組み込むことで多価の生ワクチンを作製
するという方法である。この方法により、前述したよう
なウイルス相互の干渉、あるいは不活化ワクチン混合時
における接種量の増大という問題を生じない多価ワクチ
ンを作出することが可能であると考えられる。
うことを目的とした研究は、既にワクシニアウイルス、
アデノウイルス、ヘルペスシンプレックスウイルス、レ
トロウイルス等で実施されており、いずれもインビトロ
の系において、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBs抗
原)あるいは狂犬病ウイルスや帯状疱疹ウイルス等の糖
蛋白抗原の発現に成功している。しかしながら、これら
のウイルスのあるものは腫瘍原性を有するウイルスに属
することから、ヒトまたは動物へ投与することは、安全
性の面から問題が多く現実的ではない。また、ウイルス
自体の安全性に問題はなくとも、本発明が目的とする鳥
類へのウイルスベクターという観点から見た場合、鳥類
が本来の宿主ではないことから、仮に鳥類へのウイルス
ベクターとして使用されたとしてもその効果に多くは期
待できない。
ス(例えばニワトリの鶏痘ウイルス)をベクターとして
使うことが考えられ、既にウイルスベクターとしての検
討もなされており、そのウイルスDNAに外来遺伝子挿
入の可能なことが示されている。しかしながら、例え
ば、現在の養鶏分野においては、鶏痘に対する免疫は、
鶏痘ウイルスの免疫持続期間が短いことから、通常、ニ
ワトリの飼育期間中に数回のワクチンウイルス(弱毒鶏
痘ウイルスまたは鳩痘ウイルス)の接種が必要とされて
いる。このようなことから、ポックスウイルスをウイル
スベクターとして用いた場合には、仮に複数の抗原を組
み込んだウイルスベクターが作出されワクチンとして使
用されたとしても、頻回のワクチン接種が必要になると
考えられる。また、ポックスウイルスベクターの場合、
ポックスウイルス自体の増殖がポックスウイルスに対す
る移行抗体により大きく阻害され、その結果、挿入抗原
に対して充分な免疫応答が得られないことが明らかとな
っている。
クチンによってその発症が防御されている悪性腫瘍であ
るが、その防御メカニズムとしては、ワクチンウイルス
が終生持続感染することにより、鶏等鳥類体内において
マレック病ウイルスに対する液性及び細胞性免疫を惹
起、終生持続せしめ、その結果、強毒ウイルスによる腫
瘍化を制していると考えられている。また本ウイルスワ
クチンは、ウイルス感染生細胞の形で投与され、生体内
では cell to cell 感染の形で増殖するために、他のワ
クチンウイルスと異なり移行抗体の影響をほとんど受け
ず初生雛に投与できることが大きな特徴である。
目し、近年、多価ワクチンの開発にマレック病ウイルス
をベクターとする研究が進められている。記述したよう
に、他のウイルスベクターをはるかに凌駕する特質をも
つマレック病ウイルスベクターを用いた多価生ワクチン
作製のためには、まず、マレック病ウイルスDNA上にお
いて、外来遺伝子を挿入することが可能な部位を見い出
すことが必須である。
遺伝子を挿入出来る可能性のある部位としてTK遺伝子
とgA抗原遺伝子が論じられている。しかしながら、T
K遺伝子の変異化によりチミジンキナーゼ活性を消失し
たマレック病ウイルスではその増殖性が低下しているこ
とが報告されており[P.Bandyopadyay et al(1987),12th
INTER- NATIONAL HERPESVIRUS WORKSHOP]、又、TK遺
伝子に外来遺伝子が挿入された組換えウイルスの報告は
ない。一方、gA抗原遺伝子にLacZ遺伝子を挿入された
組換えウイルスは不安定で純化出来ないことが報告され
ており、いずれも実用的でない[加藤 篤ら(1991),第11
1回日本獣医学会]。
する主要な糖蛋白質であり、動物体内に接種された場合
にgBのような中和抗体の産生は今のところ認められて
いないものの、gAが細胞性免疫を惹起することは十分
に推定される。したがって、マレック病ウイルスにベク
ターとワクチンとしての両方の機能を持たせることを考
えた場合に、このgA遺伝子に外来遺伝子を挿入しgA
を変異化させることはワクチン効果の低下につながると
予想された。
は、まだあまり解析の進んでいない遺伝子についても効
果的な組換えマレック病ウイルスの作出に関して研究を
進め、マレック病I型ウイルス遺伝子のBamHI−H断片
に外来遺伝子を挿入することで組換えマレック病ウイル
スが調製可能なことを見いだしている(特願昭63-22696
0号)。
の開発に鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、マレッ
ク病ウイルス遺伝子ゲノム中に外来遺伝子を非常に効率
よく安定に組み込むことのできる部位を見いだした。更
に、そのようにして構築した組換えマレック病ウイルス
は、in vitroのみならずin vivoにおいても本来のマレ
ック病ウイルスの特性を失うことなく優れた増殖安定性
を示すことが確認され、鳥類用多価ワクチンとして用い
られるウイルスベクターとして極めて優れていることが
確認された。すなわち、本発明は、鳥類用のワクチンと
して利用することが可能な、新規な組換えマレック病ウ
イルスならびにその製法、さらにはこの組換えマレック
病ウイルスを用いた鳥類用多価生ワクチンおよびホルモ
ンを始めとする生理活性物質を鶏体内に投与のためのベ
クターを提供するものである。
クチンとしては、弱毒マレック病I型ウイルス(MDV
-I型)、七面鳥ヘスペスウイルス(HVT)、または
マレック病II型ウイルスと七面鳥ヘルペスウイルスを混
合したものが存在する。マレック病自体はI型ウイルス
の感染により引き起こされることがわかっており、した
がって、その発症防御には、血清学的に同じ型に属する
マレック病I型ウイルス弱毒株をワクチンとして用いる
ことが基本となると考えられる。すなわち、本発明にお
いて、マレック病ワクチンも含めた多価ワクチンとして
本発明の組換えマレック病ウイルスを使用する場合に
は、マレック病I型ウイルスを使用することが好まし
い。
レック病ウイルスの調製における外来遺伝子挿入領域と
は一つにはマレック病ウイルスゲノムのUs領域であ
り、一つには反復倒置配列である。Us領域とは、MD
V−DNAの3'端に位置し、その両端を反復倒置配列
(inverted repeat sequence)により挟まれた約12kbの
長さからなる遺伝子領域を言う。この領域中に外来遺伝
子を組み込むことにより、目的の外来遺伝子を安定に発
現し、しかもマレック病ワクチンとして必要なマレック
病ウイルスの性状を消失または低下させることなく組換
えマレック病ウイルスを調製することが可能になる。本
発明において使用するマレック病ウイルスのUs領域由
来遺伝子断片は、外来遺伝子を組み込むことが可能な外
来遺伝子導入部位、例えば適当な制限酵素認識部位を有
する少なくとも約1kbpのUs領域由来遺伝子断片を言
う。このようなUs領域由来遺伝子断片の好ましい例と
しては、マレック病I型ウイルス遺伝子を制限酵素EcoR
Iで処理して得られる約2.8kbpの遺伝子断片でBalI部位
を有する遺伝子断片(A4フラグメント)が挙げられ
る。また、本発明で開示される反復倒置配列に自発的に
存在する繰り返し配列はウイルスの増殖性に影響を与え
る事なく除去することが可能であり、上記断片と同様、
ウイルスの増殖性に影響を与える事なく外来遺伝子を挿
入することが可能な貴重な領域である。
イルスを接種した鶏において、ウイルスゲノムに挿入し
た遺伝子の産物に対して長期にわたって抗体が持続した
という報告はなく、しかもβ−ガラクトシダーゼのよう
な細胞内に発現される蛋白質に対する抗体が本発明で示
すように初生時1回の接種で4ヶ月以上にわたって持続
されるような優れた免疫方法の開発は未だかつて報告さ
れていない。したがい、本発明による免疫方法を用いて
ニューカッスル病ウイルス(NDV)や伝染性気管支炎
ウイルス(IBV)の膜蛋白のような感染細胞上に発現
される蛋白を鶏体内で発現させた場合には、より強力な
免疫が誘導されることが期待される。事実、本発明で開
示するようにNDV−F蛋白遺伝子を挿入された組換え
マレック病ウイルスは、接種後約4ヶ月に亘って充分に
ニュ−カッスル病を防御する効果を獲得していた。ま
た、本来細胞膜上及び膜外に発現されるべき構造をもた
ない蛋白に対しては、そのN末端にシグナルペプチドを
付加することで[Nucleic Adids Research, 14, p4683-
4690 (1986)]、細胞外に分泌させることが可能である
し、さらにC末端に疎水性アミノ酸に富むアンカー領域
を付加することで細胞膜上に発現すべく組み込む遺伝子
を構築することが可能であり、このような形で発現され
ることにより挿入した遺伝子発現産物に対してより強力
な免疫を誘導することが可能である。
りその構成遺伝子の一部を不活化されたウイルスは、か
りに in vitro での増殖性が良好であっても、in vivo
における増殖性あるいは増殖性の一つの表れである病原
性は明らかに低下するとされている[Bernard Meignier
ら、The Herpes viruses 4, p265 (1985)]。従って、
作出された組換えウイルスあるいは組換えワクチンが i
n vivo 応用可能かどうかを見極めるためには、該ウイ
ルスを実際に鶏に接種し、その増殖性と免疫原生を確認
する必要がある。このような観点から、我々は作出され
た組換えウイルスの鶏接種試験を行いその効果を確認し
た。その結果、本発明に従い調製される組換えマレック
病ウイルスは、鶏体内において16週間以上持続感染す
ることが確認され、マレック病ウイルス本来の増殖性が
失われていないことが確認された。また、その良好な免
疫原生は、マレック病ウイルスに対する抗体の持続や挿
入した遺伝子産物であるβ−ガラクトシダーゼに対する
抗体の長期持続及び組換えウイルスの優れたマレック病
予防効果及びニューカッスル病予防効果からも確認され
た。
がって作出される組換えウイルスは、鶏体内で良好に増
殖かつ持続感染し、強毒マレック病ウイルスに対する発
症防御効果のみならず外来遺伝子産物に対する抗体をも
惹起することが可能である。このような良好なin vivo
の増殖性及び免疫原性を示す組換えウイルスの作出技術
は本発明において最も特筆すべきことであり、in vivo
応用すなわち、組換え多価生ワクチンの可能性を示した
初めての技術である。
るワクチン抗原をコードする外来遺伝子をマレック病ウ
イルスに組み込み、これを鳥類に接種した場合、本来の
マレック病ウイルスと同様な機序により本組換えウイル
ス接種個体において、長期又は終生に亘って外来遺伝子
に由来する抗原が発現され、該抗原に対する液性又は細
胞性免疫が誘導・保持されることが期待される。本発明
に従えば、鶏等の鳥類に対して初生時の一回投与のみで
マレック病のみならず多数の病原体に対して免疫を賦与
しうる多価生ワクチンを作出することが可能である。ま
た、本組換えウイルスが接種後長期間に亘り体内に於い
てβ−ガラクトシダーゼを発現していた事から示される
ように、本技術は単なる抗原投与系としてのみならず、
生体内へホルモン等生理活性物質を投与する為の貴重な
薬剤投与システムとしても利用可能である。
の作出法についてさらに記述する。一般に、本発明のよ
うな組換えウイルスを作出するためには以下のような手
順が必要となる。 (1)ウイルスDNAの一部をプラスミドベクターにクローニ
ングする。 (2)ウイルスDNA断片がクローニングされたプラスミド
に、発現すべく構築された外来遺伝子を含む遺伝子断片
を挿入し、インサーションプラスミドを構築する。 (3)インサーションプラスミドをウイルス感染細胞に形
質導入する。 (4)適当な方法で外来遺伝子を保持する組換えウイルス
を選択する。
るインサーションプラスミドの基本構造としては、マレ
ック病ウイルス由来のUs領域または反復倒置配列遺伝
子を有し、さらに動物細胞もしくは動物ウイルス由来の
プロモーターの下流に目的の外来構造遺伝子及びさらに
その下流に転写終結因子を接続した構造を有する。尚、
プロモーターおよび外来構造遺伝子さらに必要な場合に
は転写終結因子の各遺伝子が該外来遺伝子が転写翻訳さ
れるようにデザインされ組換えられた遺伝子断片を外来
遺伝子発現カセットと言い、従って、本発明に用いるイ
ンサーションプラスミドはマレック病ウイルス由来のU
s領域または反復倒置配列遺伝子を有し、該遺伝子領域
中に外来遺伝子発現カセットが組み込まれたことを特徴
とするプラスミドとも表現できる。このようなプラスミ
ドを用いることにより、インサーションプラスミド上の
ウイルス由来遺伝子断片は相同部分においてウイルスDN
Aに置換し、その結果ウイルス遺伝子断片に挟まれてい
た外来遺伝子断片がウイルスゲノムに組み込まれる。ま
た、ここで言う動物細胞もしくは動物ウイルス由来のプ
ロモーターとは、これまでに知られる動物細胞発現用の
種々のプロモーターも含め、特定のものに限定されるも
のではない。
Aを制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動によ
り、各断片を分離したのちゲルより回収し、各断片をプ
ラスミドにクローニングする。
ニングされた各ウイルス断片を任意な酵素で一箇所切断
または一部欠損させたものへ動物細胞内で機能するプロ
モーターを発現されるべき構造遺伝子の上流にもつ形で
外来遺伝子を挿入する。
イルス断片の相同組換えであるが、通常は感染性ウイル
スDNAとインサーションプラスミドを同時に細胞に形
質導入する方法がとられるが、本発明では、培養細胞に
ウイルスを感染させた後、インサーションプラスミドを
導入するという方法が用いられる。従って、本法は非常
に簡便な組換えの方法であり、かつ、形質導入の方法と
してエレクトロポーレーション法を用いることで非常に
高い効率で組換えウイルスを得ることが可能である。
組み込まれる外来遺伝子としては、ウイルス性疾病、細
菌性疾病、寄生虫病等各種鶏病疾病のワクチン抗原とな
り得る蛋白質をコードする種々の遺伝子が挙げられる。
例えば鶏を対象とした多価ワクチンの調製においては、
その組み込む外来遺伝子として、ニューカッスル病ウイ
ルス(NDV)抗原をコードする遺伝子、例えばNDV
−F蛋白またはHN蛋白をコードする遺伝子、鶏伝染性
喉頭気管炎ウイルス(ILTV)の糖蛋白をコードする
遺伝子、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBD
V)のウイルス構造蛋白をコードする遺伝子、例えばV
P2をコードする遺伝子、伝染性気管支炎ウイルス(I
BV)のスパイク蛋白をコードする遺伝子並びに伝染性
コリーザの原因菌であるヘモフィラス・パラガリナルム
(Heamophilus paragallinarum)のHA蛋白をコードす
る遺伝子等が挙げられる。
作製例として、ニューカッスル病を防御する組換えマレ
ック病ウイルスの構築法並びにその効果について言及す
るが、挿入するニューカッスル病ウイルスの遺伝子とし
ては、超弱毒株D−26由来のcDNAが用いられる。
ニューカッスル病ウイルスの病原性は、F蛋白が強毒型
であるか否か、あるいは又HN蛋白が強毒型であるか否
かで決定される。従って、強毒型のFまたはHN遺伝子
を用いて組換えウイルスを作出した場合、ベクターウイ
ルスが本来有していなかった新たな病原性を獲得する危
険性がある。そのような可能性をなくすために、本発明
では、いずれの遺伝子も弱毒型の超弱毒株D−26由来
のものが用いられる。すなわち、本発明に従へば、従来
のニューカッスル病ワクチンにない効果の長期持続に加
えて、安全性も兼ね備えた極めて優れた生ワクチンが作
出される。
染防御抗原のみならず、鶏の成長ホルモン或いは免疫賦
活物質等を投与するためのベクターとしても有用であ
る。さらに種々の有用な抗体を卵に賦与するために、種
鶏を免疫するための抗原投与にも有用である。すなわち
ドラッグデリバリーシステム(DDS)としてのマレッ
ク病ウイルスベクターにこれらの遺伝子を組み込むこと
が考えられる。
は、発現させるべくウイルスに組み込まれた外来遺伝子
に応じた測定系が使用される。例えば、ニューカッスル
病ワクチンとの多価ワクチンを目的とし、ニューカッス
ル病ウイルスF抗原を発現する組換えマレック病ウイル
スを調製する場合には、NDV−F抗原性の検出を行う
ことにより目的のニューカッスル病ワクチンとなり得る
組換えマレック病ウイルスを選択することが出来る。ま
た、酵素の遺伝子を組み込んだ場合にはその酵素活性を
指標として組換えマレック病ウイルスのスクリーニング
を行うことができる。その具体例として、本実施例に示
すようにβ−ガラクトシダーゼ(β-gal)をコードする
遺伝子(LacZ遺伝子)をマレック病ウイルスに組み込
み、β−ガラクトシダーゼを発現している組換えウイル
スを選出する場合には、β−ガラクトシダーゼに対する
基質[例えばX-Gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル
β-D-ガラクトピラノシド)]を細胞シートに重層する
寒天液中に添加することで、β-ガラクトシダーゼ活性
をもつウイルスのプラークを識別することが可能であ
る。
reeウイルス産生型のLacZ(+)マレック病ウイ
ルスを親株とし、相同組換えによりLacZ遺伝子を目
的遺伝子に置換し(以下、リバース法と言う)、Lac
Z(−)のプラークを選択しクローニングすることによ
り、目的の外来遺伝子が組み込まれた組換えマレック病
ウイルスを容易に調製することが可能となる。このリバ
ース法は、目的の外来遺伝子が組み込まれた組換えマレ
ック病ウイルスの調製において優れた調製法となる。従
来のマレック病I型ウイルスにおいては、cellfr
eeウイルスの産生が殆どなかった為、このようなリバ
ース法を適用することは不可能であったが、本発明のc
ell freeウイルス産生型のマレック病ウイルス
を用いることによりその問題が解決される。
をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定さ
れるものではない。
株はマレック病ワクチンを接種されていない50日齢のブ
ロイラーより1986年に分離されたウイルスである。SPF
1日齢ヒナの腹腔に2X10 3 接種した試験では、10週間の
観察期間中発症・死亡はなく、剖検においても腫瘍病変
を始めとする異常は認められなかった。
効果(CPE)を強く呈した時点でウイルス感染細胞をハー
ベストし、平井らの方法[J.gen.Virol.,45,p119(197
9)]に従って、ウイルスDNAを精製した。すなわち、ま
ずCPEを強く呈したウイルス感染細胞に2倍量の 1%-NP40
溶液(0.01M-Tris-HCl,pH7.4,0.01M-NaCl,0.0015M-MgCl
2 )を加えて30分間氷冷した後、ピペッティングした。
この溶液を2500回転で10分間遠心し、 その上清を40%ー
60%(w/w)のショ糖溶液(0.02M-Tris-HCl,pH7.4,0.15M
-NaCl)に重層、175kGで2時間遠心後、40%ショ糖溶液と
60%ショ糖溶液の中間に形成されたマレック病ウイルス
に由来するカプシドの層を分取した。さらに、この中間
層を再度0.02M-Tris-HCl,pH7.4,0.15M-NaCl溶液に懸濁
し、160kGで1時間遠心してペレッティングさせた。この
ペレットを、プロテイネースK(ベーリンガー・マンハ
イム山之内)を0.1%に含む1%ーSDS溶液(0.1%-Tris-HC
l,pH7.4, 0.01M-EDTA,1%-Sarcocinate;半井化学)に浮
遊させ、37℃で一晩放置した。その後、フェノール処
理、エタノール沈澱によりDNAを回収し、TE緩衝液(10m
M-Tris-HCl,pH8.0,1mM-EDTA)に溶解し、10%ー30%のグ
リセロールグラディエント溶液に重層後、175kGで4時間
遠心した。次に管底より溶液を分画し、ウイルスDNAを
含む画分をとり、10%ートリクロル酢酸を加えて、DNAを
沈澱させ回収した。
し、0.7%-アガロースゲル電気泳動で各断片を分離後、
エレクトロエリューション法によりゲルから溶出し、フ
ェノール処理、エタノール沈澱により回収した。このよ
うにして得た断片をpUC又はPBRにT4DNAリガーゼを用い
て挿入し、適当なコンピテントセル(例えばJM109)に
形質導入し、形質転換大腸菌を得た。次に、100μg/ml
にアンピシリンを含むLB培地で培養した後、アルカリ
法によって菌体内のプラスミドを回収した。
後、JM109(宝酒造)に形質導入した。得られたトラン
スフォーマントをLB培地で一夜培養した後、その30μl
にM13ファージ(109/ml以上)を60μl感染させ、さら
に一夜振盪培養した。遠心により菌体を除去後上清より
ファージを回収し、常法に従い目的遺伝子断片の塩基配
列を含む一本鎖DNA(ssDNA)を調製した。得られたssDN
AをSEQUENASEV2.0(TOYOBO) を用い、添付のプロトコー
ルに従い塩基配列の決定を行った。なお必要に応じ、プ
ラスミド上の遺伝子断片をKilo-Sequence用Deletion Ki
t(Takara、cat.No.6030)を用いて段階的に短くしたプ
ラスミドを構築し、同様にssDNAを調製した。
ーベスト,洗浄後、5%牛血清(BS)添加イーグルーMEM(E
-MEM;日水)培地に20万個/mlの細胞濃度で浮遊し、そ
の40mlをファルコン社製組織培養フラスコ(NO.3028)
に入れ、これにマレック病ウイルス感染CEFを約80万個
接種し、37℃で4時間培養した。その後再びEDTA-トリプ
シン溶液で細胞をハーベストし、PBS-で2度細胞を洗浄
し、このうち500万個の細胞をバイオラッド製ジーンパ
ルサー(cat.No.165-2075)のキュベットに移し、インサ
ーションプラスミドを加え、添付のプロトコールに従っ
てパルスを加え、ウイルス感染細胞にインサーションプ
ラスミドの導入を行った。次に、5%BS添加E-MEM(日
水)15mlに浮遊させ、径10cmのシャーレ(ファルコン社
製No.3003)に移し、37℃で培養した。翌日、生着して
いない死亡細胞を培地とともに除去し、新たに前日培養
した初代CEFをハーベストしたもの(2nd CEF)を50万個/
mlに浮遊させた5%ーBS加E-MEMを15ml添加した。37℃で4
ないし7日間培養した後、クロロフェノールレッドβ-D-
カ゛ラクトピラノシド(生化学工業)を100μg/mlの濃
度で含む1%-アガロース/E-MEM液(フェノールレッド不
含)を重層した。
示す赤色プラークをプラーククローニングすることによ
り次代に継代した。この操作を数回繰り返した後、ウイ
ルス感染細胞を超音波破砕機を用いて緩やかに壊し、ウ
イルスをcell freeの状態にした後、4時間培養したCEF
に接種後数日培養し、さらにプラッククローニングを2
〜3回行って組換えウイルスを純化した。
ng Kit(cat.No.150350)及び TROPIX社製Southern-light
(cat.No.SL100) を用い、添付のプロトコールに従って
プローブの作製並びにハイブリダイゼーションを行っ
た。簡単には、線状化したDNAを加熱変性し、ランダム
プライマーを用いてKlenow fragment によりジゴキシゲ
ニンラベル化dUTPを含むdNTPsを基質としてプローブDNA
を合成した。
したハイボンドN+(アマシャムジャパン、cat.No.RPN.303
B)にプロトコールに従いハイブリダイゼーションさせ、
アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニンヒツジ
IgGを用いて検出を行った。アルカリフォスファターゼ
の基質としてはAMPPDを用い、生じた特異発光をX線フ
イルム(FUJIXEROX,X-OMAT)を用いて検出した。
50350)が全面にCPEを呈した時点で上清を吸引し、プロ
ティネースK溶液(プロティネースK1mg/ml、0.1M-Tr
is・HCl.pH9.0、0.1M-NaCl、 0.001M-EDTA、1%SDS)を2m
l注ぎ、37℃−1時間処理した後、コニカルチューブ(フ
ァルコン、cat.No.2099)に移し37℃で一夜処理した。
その後、フェノール処理した上清をエタノール沈澱し、
乾燥後100μlのTE(10mM-Tris・HCl.pH8.0、1mM-EDTA)に
溶解した。サザンハイブリダイゼーションにはこのうち
の2μlを制限酵素で切断して用いた。
BS-を加えて4mlとし、これをコニカルチューブ(ファル
コン、cat.No.2099)に入れたFicoll-Paque(ファルマ
シア)3mlの上に静かに重層し、1500rpm×30分遠心した
(KUBOTA、KN-30F)。リンパ球・単球よりなる中間層(Buf
fy coat)を分取し、再びEDTAを0.01%に含むPBS-に懸濁
した後、1000rpm×5分遠心して回収し、これを4時間培
養した2ndCEFに接種し、4日〜7日観察した。MDVのCPE
が認められなかったものに関してはさらに3代目まで継
代を重ね判定を行った。
共にカバーグラス(MATUNAMI.No.1,18
x18mm)3枚の入った径5cmのシャーレに接種
し、2日間培養した後カバーグラスを取り出し、室温で
20分間アセトン固定後、−80℃に保存した。又、抗
β−gal抗体検出用としてβ−アクチンプロモーター
の下流にLacZ遺伝子を接続されたプラスミドpAS
LacZ(特願昭63−226960号)をBMT−1
0細胞にエレクトロポーレーションにより導入し、2日
間培養した後、同様にアセトン固定して−80℃に保存
した。
応させた後、FITC標識抗ニワトリIgGヤギ抗体(KIRKEGAA
RD & PERRY Lab., cat.No.031506)をPBS-で20倍希釈し
たものを37℃で1時間反応させ洗浄後蛍光顕微鏡下で観
察を行った。
−ト(ヌンク社cat.No.473768)にwell当り100μlずつ
分注し、4℃で一夜反応させ、0.15M-PBS(pH7.3)で洗浄
後、1%BSA/0.15M-PBSで37℃-2時間ブロッキングを行っ
た。
μlを加え37℃で1時間反応させ、以降常法に従い、5000
倍希釈した抗ニワトリIgG POD標識ウサギ抗体(ノルデ
ィック社)及びTMBZ(同仁化学、cat.No.346-04031)を
反応させ、1N-H2SO4で反応を停止させた後、OD450nm/63
0nmの吸光度を測定し、450nmから630nmの吸光度を差し
引いた値をELISA値とした。
ゲル電気泳動を行い、17kbの断片(以下HindIIIB断片)
を切り出した後pBR322にクローニングした。 このHindI
II-B断片をEcoRIで切断した後、マルチクローニングサ
イト(MCS)においてBamHIサイトからHindIIIサイトまで
を削除されたプラスミドpUC119(以降Δpuc119)にサブ
クローニングした(pKHB)。pKHBの EcoRI切断パターンを
図1に示した。
8Kb),KA5(2.1Kb、)KA6(2.4Kb)の位置を図2に示した。
各断片をもつプラスミドをそれぞれpKA3,pKA4,pKA5,pKA
6と命名した。これらのうち、A5,A6断片はウイルス間で
長さが異なることが示された(表1)。
-4508-01)よりBamHI及びTthlllIにより切り出し、平
滑末端化した4.2Kbの断片(SV40-LacZ)を挿入した(pKA4B
L,図3)。
組換えウイルスの作出に従ってK-A4BLを作出した。本ウ
イルスは親株61-554と同等の良好なin vitro増殖性を示
した。
認する為に、K-A4BL感染CEFより抽出したDNAをEcoRIで
切断後サザンハイブリダイゼーションを行った。KA4断
片及びpCH110よりHindIII及びBamHIで切り出したLacZ
遺伝子(3.7K)をプローブとしたサザンハイブリダイゼー
ションの結果を図4に示した。KA4断片(レーン2)、L
acZ遺伝子(レーン1)いずれのプローブを用いた場合
でも期待されたサイズのバンドのみが検出され、LacZ遺
伝子の挿入が相同組換えによっていること、及び組換え
ウイルスが純化されていることが確認された。
おけるウイルス回収試験及び抗MDVFA抗体検査成績を表
2に示した。接種後1週目及び6週目のウイルス回収はそ
れぞれ4/5及び5/5(+)であり、又6週目の抗MDVFA抗体は
7/7(+)であった。一方、7週目の血清について抗β-gal
抗体価を ELISAにより測定した。図5に示したように7
例全例が対照群(HVT+SB-1接種群)よりも高値を示し、
これらすべてが、抗体の検出系としてはより感度の劣る
β-galを抗原とするFAにおいても陽性であり、K-A4BL接
種鶏において抗β-gal抗体が産生されていることを確認
した。さらに、抗β−gal抗体は16週目においても全
例陽性であり、ウイルス回収も16週目では2/7(+)と良好
な成績であった。この時、HVTまたはCVI988cl
oneCを20,000PFU接種された鶏からのウイルス回収率は
いずれも2/12(+)であった[Witterら、 Avian Diseases
31, p829-840 (1987)]。すなわち、今回の成績により
本A4BLは本来のマレック病ワクチンウイルス株と同等以
上の持続感染性を有し、ベクターとして極めて好ましい
性質を保持していることが証明された。また驚くべきこ
とに、β−galに対する抗体は接種後4週目で既に全
例陽転した後、4ヶ月以上に亘って160倍以上と言う
高い抗体価(FA価)で持続しており、本システムがワ
クチン投与系として極めてすぐれていることが実証され
た。
換えウイルスのプラークはすべてβ-ガラクトシダーゼ
活性を保持しており、本ベクターが単なる一過性の抗原
投与系にとどまらず、酵素やホルモン等を持続的に体内
で産生するDDSとしても極めて優れたシステムである
ことが証明された。
レーター内で飼育されたウイルス非接種鶏からのウイル
ス回収及び抗価体は陰性であり、本組換えウイルスが同
居感染性を欠如することが明らかとなった。すなわち、
組換えウイルスが接種個体に留まると言う点で、非常に
実用的であることが示された。
確認する目的で、一日齢ヒナの腹腔内にK-A4BLを2000 P
FUまたは6000 PFU接種し、一週後に強毒マレック病ウイ
ルスアラバマ(alabama)株5000 PFUで腹腔内に攻撃し
た。10週間飼育・観察し、期間中のマレック病に起因
する死亡または脚麻ひの発生及び10週後の剖検におけ
る腫瘍病変の有無を指標として効果の判定を行った。そ
の結果、表3に示したように非免疫対照群では10羽全
例が死亡または発症したのに対し、K-A4BL接種群では20
00 PFU接種群において一例の発症が認められたのみであ
り、本組換えウイルスがマレック病ワクチンとして十分
な免疫原性を持つことが確認された。
ションベクターpKA4Bの構築 pUC119をMflIで消化後、1%-アガロースゲルで泳動
し、マルチクローニングサイトのうち、HindIIIサイト
からXbaIサイト(以下、クローニングサイトと言う)
を含む1.0kbの断片をゲルから切り出し、pSV2-dhfr(AT
CC No. 371464)のBglIIサイトへ挿入した(pSV2-dl
n)。本プラスミドより、polyA付加シグナルの上流に
クローニングサイトを持つ形でHindIII及びBamHIにより
1.0kbの断片を切り出し、これをpCH110のSV40初期遺伝
子プロモーターの下流にLacZ遺伝子と置換する形で挿
入した(pSVEA)。pSVEAをPvuII及びBamHIで切断後、SV
40初期遺伝子プロモータークローニングサイト及びpoly
A付加シグナルを有する1.3kbの断片を平滑末端化した
後、pKA4のBalIサイトに挿入しpKA4B(図6)を構築し
た。
き遺伝子をクローニング後、組換ウイルスの作出及び実
施例2に従って相同組換えを行うことにより、該遺伝子
を持つ組換えマレック病ウイルスを容易に作出すること
が出来る。また、該組換えウイルスを培養細胞または鶏
に感染させることにより、該遺伝子にコードされる蛋白
質をSV40初期遺伝子プロモーター及びpolyA付加シグナ
ルを用いて効率よく発現させることが可能である。
09−01)のSmaIサイトに超弱毒NDV,D−2
6株由来のfusion 蛋白遺伝子(F遺伝子:H.
Sato et al.,Virus Researc
h 7,241−255(1987))を挿入した(p
SVLF)。 本プラスミドをEcoRI及びSalI
で消化後、エレクトロエリューション法により4.3k
bの断片を回収し、平滑末端化した後pKA4のBal
Iサイトに挿入してインサーションプラスミドpKA4
BFを構築した(図7)。
組換えウイルスの作出の手順に従って組換えを実施し
た。但し、組換えウイルスのクローニングはF蛋白を認
識するモノクローナル抗体#83及び#313[Y.U
mino et al.,J.gen.virol.,
71,p1189(1990)]を用いた免疫染色によ
り行った。
ング法を以下に示す。組換えから数日のち、プラークの
出現したシャーレをE−MEM培地で洗浄後、モノクロ
ーナル抗体#83及び#313を含む等張液を加え室温
で10分〜60分反応させた。洗浄後、等張液で100
倍〜200倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウス
抗体(Bio−Rad,code No.172−10
11)を加えてさらに室温で10分〜60分反応させ
た。洗浄後、10mlあたり3,3−Diaminob
enzidine Tetrahydrochlori
de(DAB、和光、code No.343−009
01)5mgと過酸化水素水(三菱瓦斯化学、H 2 O 2
31%含有)1.6μlを含む0.1M−トリス緩衝液
(pH7.5)を加えて室温で5分〜60分反応させ、
組換えウイルスのプラークを染色した。褐色に染色され
たプラークの周囲をリング状の物で囲い、同リング内の
みを0.1%にEDTAを含むトリプシン液で消化する
ことにより組換えウイルス感染細胞を回収し、新たなC
EFと同時培養することにより組換えウイルスの純化を
実施した。本操作及び超音波処理によるcell fr
ee化を数回繰り返して組換えウイルスを純化した。純
化された組換えウイルスは、親株同等の良好なin v
itro増殖性を示した。
る防御効果を見るために、免疫試験を実施した。一日齢
雛の腹腔内にK-A4BFを103接種後、3、9及び16週
目に強毒NDV佐藤株10 4 致死量で下腿部筋肉内に攻撃し
た。その結果、2週間の観察期間中、非免疫対照群が全
て発症または死亡したのに対しK-A4BF接種群は一羽の発
症・死亡もなく、本組換えウイルスがニューカッスル病
に対して充分なワクチン効果を持つことが示された(表
4)。
した。本プラスミドをEcoRI及びSalIで部分的に消化
後、エレクトロエリューション法により4.5kbの断片を
回収し、平滑末端化した後pKA4のBalIサイトに挿入して
インサーションプラスミドpKA4BFを構築した(図8)。
えウイルスの作出の手順に従って組換えを実施した。但
し、組換えウイルスのクローニングはHN蛋白を認識す
るモノクローナル抗体#193、#142及び#265
[Y.Umino et al.,J.gen.virol.,71,p1189(1990)]を用
い、K-A4BF作出の方法に準じて行った。純化された組換
えウイルスは、親株同等の良好なin vitro増殖性を示し
た。
れをKpnIで切断・線状化した後、組換えウイルスの作
出に従ってK-A3VLの作出を行った。
A3VL感染CEFより抽出したDNAをEcoRIで切断後サザンハ
イブリダイゼーションを行った(図10)。KA3断片及
びLacZ遺伝子をプローブとした結果、何れにおいても期
待したサイズのバンドのみが検出され、LacZ遺伝子の挿
入が相同組換えによっていること及び組換えウイルスの
純化がされていることが確認された。また、K-A3VLのプ
ラークは組換え前の本来のウイルスのプラークに比較し
て小さく、明らかに増殖性が阻害されていた。
列の塩基配列決定 pKA5をStuIにより切断後、切り出された約220bから
なる断片をpUC119のSmaIサイトにクローニングし、塩基
配列の決定をおこなった。その結果をGA株の塩基配列
(GenBank Accession Number M80595、M.Sakaguchi)と
比較したところ、塩基番号614から822に相当する領域が
2回繰り返していることが明らかとなった。一方、pKA6
の塩基配列を調べた結果、該領域が5回繰り返してい
た。
列を決定した。その結果、KA6とほぼ同様TRsにおいて、
鶏白血病ウイルス(ALV、RAV2)のDNAと88%のホモロジ
ーを示す278bの塩基配列が組み込まれ、かつ3.5回繰
り返していることが確認された。図11に繰り返し配列
の位置を示した。配列表:配列番号1にBC-1株のA6断片
の塩基配列を示した。配列表:配列番号1中の853番目
の核酸から5'側(小さい塩基番号の方向)がUs領域遺
伝子、854番目の核酸から3'側(塩基の番号が増す方
向)がTRs領域の遺伝子に相当する。以上の結果よ
り、IRs及びTRsのUS領域に接する部分には、ウ
イルスの増殖性に影響を与えず遺伝子の挿入が可能な部
位のあることが明らかとなった。
の存在することが確認されたことより、pKA5をもちいて
インサーションプラスミドの構築をおこなった。まず、
pKA5をStuIで切断することにより約220bpのリピート配
列を切り放し、アガロースゲル電気泳動により5.1kbの
断片を回収後、アルカリフォスファターゼにより脱燐酸
した。次にpCH110(ファルマシアcat.No.27-4508-01)
よりBamHI及びTthlllIにより切り出し、平滑末端化し
た4.2Kbの断片(SV40-LacZ)を挿入してインサーションプ
ラスミドpKA5SL(図12)を構築した。
後、組換えウイルスの作出の手順に従って組換えを実施
した。純化された組換えウイルスは、親株同等の良好な
in vitro増殖性を示した。
の断片に分けそれぞれを回収した。1.1kbの断片は再び
Δpuc119のSmaIサイトにクローニングし、また4.9kbの
断片はセルフライゲーション後、同様に塩基配列の決定
に準じてssDNAの調製を行い、塩基配列の決定をおこな
った。その結果を配列表:配列番号2及び図13に示
す。この塩基配列中には639個の塩基からなるORFが認め
られた(US639)。
−A4BLの作出 K-A4BL感染細胞10万PFUを初代CEF3000万個ととも
に径10cmのシャーレに接種後、CPEを全面に呈した4
日目にその上清を採取した。その上清を1500 rpm×10分
遠心(KUBOTA KN-30F)したものに初代CEF3000万個
とBSを5%添加後、0.7%重炭酸ソーダ水溶液でpH
を7.4前後に修正した後、径10cmのシャーレに接種して
培養した。本操作を5回繰り返した後、さらにその上清
を5%BS加E−MEMで10倍に希釈し、2nd CEFを50
万個/mlになるように添加した後、100μlずつ96穴プレ
ートに接種してさらに培養した。5日後、シングルプラ
ークの出現したウェルより細胞を回収し、初代CEF10
00万個とともに径5cmのシャーレに接種した。その上清
を96穴プレートに接種し、シングルプラークの出現した
ウェルの上清を同様に3回処理して、cell freeウイル
ス高産生型のクローンを得た。本ウイルスを1万PFU
接種後5日間培養されたCEF上清中には、200〜500P
FU/mlのLacZ(+)ウイルスが産生されていた。こ
れに対し、同様の条件で培養されたワクチン株であるC
VI988感染細胞の上清中には2〜10PFU/mlの
ウイルスが産生されているのみであった。
%前後とされている。したがって、200〜500PFU/ml
のcell freeウイルスを産生するK-A4BLを親株として用
いることにより、はじめてリバース法による効率的なウ
イルスの作出が可能となる。
位置を示す。
ドpKA4BLの構成を示す。
断した後、 LacZ遺伝子(レーン1) 及び KA4断片(レーン
2)をプローブとして行ったサザンハイブリダイゼーショ
ンの結果の模式図を示す。
週齢における血清中の抗β-gal ELISA抗体価を示す。
(○印は通常のマレック二価ワクチンを接種された鶏の
7週齢における血清を測定した値を示す)
Bの構築を示す。
A4BFの構成を示す。
A4BHNの構成を示す。
ドpKA3VLの構成を示す。
切断した後、LacZ遺伝子(レーン1)及びKA3断片(レーン
2)をプローブとして行ったサザンハイブリダイゼーショ
ンの結果の模式図を示す。
位置、並びにK-554株及BC-1株のA6断片における繰り返
し配列の位置を示す。
pKA5SLの構成を示す。
むORF、US639近傍の塩基配列を示す。
Claims (9)
- 【請求項1】 下記(1)または(2)の遺伝子断
片を有し、動物細胞若しくは動物ウイルス由来のプロモ
ーター下流に外来遺伝子を接続した外来遺伝子発現カセ
ットが該遺伝子断片中に組込まれたプラスミドを用い
て、マレック病1型ウイルスゲノムに該外来遺伝子発現
カセットを組込むことを特徴とする組換えマレック病ウ
イルスの調製法。 (1)マレック病1型ウイルス遺伝子をHindIIIで処理
して得られるUs領域を含むHindIII−B断片を、更にEco
RIで処理して得られる、約2.8Kbpからなる遺伝子断片 (2)マレック病1型ウイルス遺伝子をHindIIIで処理
して得られるUs領域を含むHindIII−B断片を、更にEco
RIで処理して得られる、IRsとUsまたはTRsとUsの境界
を含む遺伝子断片 - 【請求項2】 下記(1)または(2)の遺伝子断
片部位に、動物細胞若しくは動物ウイルス由来のプロモ
ーター下流に外来遺伝子を接続した外来遺伝子発現カセ
ットが組込まれた組換えマレック病1型ウイルス。 (1)マレック病1型ウイルス遺伝子をHindIIIで処理
して得られるUs領域を含むHindIII−B断片を、更にEco
RIで処理して得られる、約2.8Kbpからなる遺伝子断片 (2)マレック病1型ウイルス遺伝子をHindIIIで処理
して得られるUs領域を含むHindIII−B断片を、更にEco
RIで処理して得られる、IRsとUsまたはTRsとUsの境界
を含む遺伝子断片 - 【請求項3】 外来遺伝子が、マレック病以外の
ワクチン用抗原をコードする遺伝子である請求項2記載
の組換えマレック病1型ウイルス。 - 【請求項4】 外来遺伝子がニューカッスル病ウ
イルス抗原遺伝子である請求項2記載の組換えマレック
病1型ウイルス。 - 【請求項5】 ニューカッスル病ウイルス抗原遺
伝子が、弱毒型ニューカッスル病ウイルス由来の遺伝子
である請求項4記載の組換えマレック病1型ウイルス。 - 【請求項6】 請求項2ないし5記載のいずれか
の組換えマレック病1型ウイルスを主成分として含有す
ることを特徴とする鳥類用多価ワクチン。 - 【請求項7】 鳥類がニワトリである請求項6記
載の鳥類用多価ワクチン。 - 【請求項8】 外来遺伝子が生理活性物質をコー
ドする遺伝子である請求項2記載の組換えマレック病ウ
イルス。 - 【請求項9】 請求項8記載の組換えマレック病
ウイルスをベクターとして鳥類に接種することを特徴と
する生理活性物質の投与方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3-195703 | 1991-07-09 | ||
JP19570391 | 1991-07-09 | ||
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JPH0622757A JPH0622757A (ja) | 1994-02-01 |
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JP20593392A Expired - Fee Related JP3428666B2 (ja) | 1991-07-09 | 1992-07-08 | 組換えマレック病ウイルスおよびその製法 |
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FR2728795B1 (fr) * | 1994-12-30 | 1997-03-21 | Rhone Merieux | Vaccin vivant recombinant aviaire, utilisant comme vecteur un virus herpes aviaire |
FR2728794B1 (fr) * | 1994-12-30 | 1997-03-21 | Rhone Merieux | Vaccin recombinant aviaire a base de virus herpes aviaire, notamment contre la maladie de gumboro |
JPH08322559A (ja) * | 1995-06-02 | 1996-12-10 | Chemo Sero Therapeut Res Inst | gB遺伝子プロモーターを用いた組換えヘルペスウイルス |
-
1992
- 1992-07-08 JP JP20593392A patent/JP3428666B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Title |
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J.Gen.Virol.,Vol.67,Part12,pp.2685−2694(1986) |
The Journal of Virology,Vol.65,No.3,pp.1584−1588(1991) |
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Publication number | Publication date |
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JPH0622757A (ja) | 1994-02-01 |
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